トップ > 議会報告 > 2006年12月議会 > 2005年度決算にたいする反対討論

議会報告

2006年12月議会

2005年度決算にたいする反対討論

2006年12月15日 星野美恵子議員

私は日本共産党市議団を代表して、2005年度一般会計及び特別会計並びに企業会計決算諸議案のうち、議案第143号ないし146号、148号、150号、152号ないし158号、161号ないし165号について認定しがたいことを表明し、反対討論を行います。

周知のように、自民・公明政権の2005年度政府予算は、定率減税の半減による所得税、住民税の1兆6400億円増税など、大増税路線に踏み出すものでした。その一方で、大型公共事業のむだ遣いを復活、継続するとともに、史上最高の利益を上げている大企業などに対する優遇税制には手をつけませんでした。

こうしたなかで、2005年度の市政運営に求められていたのは、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本」とすると、地方自治法第1条に定められているように、国の悪政から市民を守るという自治体本来の使命を果たすことであり、そのための予算を組むことでした。

ところが、2005年度においては、人工島などムダな大型開発に税金をつぎこみ、その一方で福祉や教育など生活関連予算は抑制、削減する、まさに市民犠牲型の予算を組んだのであります。2005年度決算はこの当初予算の悪しき特徴を如実に示すものとなりました。

歳入についてみると、本市の公共料金値上げは、家庭ごみの有料化や下水道使用料、市立高校授業料、国民健康保険料など17件におよびます。また、この歳入決算の中には住民税の配偶者特別控除の廃止などの増税もふくまれています。

歳出面では、教育費が前市政のスタート時点と比べて270億円も削減され、一般会計に占める構成比は史上最低を更新して5.9%にまで落ち込みました。また、留守家庭子ども会も雨漏りなどの老朽化やスシづめ状態が放置されたままになっています。さらに、お年寄りについては、敬老金がカットされ、老人医療費助成についても廃止されました。この時点で入所を待つ人が4900人もいた特別養護老人ホームについては、新規分はわずか3カ所しかありません。市営住宅は新設ゼロ、中小企業対策費は11億円で一般会計のわずか0.15%にすぎません。また、この年におきた福岡県西方沖地震にたいする被災者支援をみても、本市の住宅再建支援金制度は要件が厳しすぎるなど、真の被災者支援とはほど遠いものであったといわねばなりません。

その一方、人工島事業や緑化フェアに巨額のお金を使っています。区画整理は渡辺通駅北を含めた7事業、都市高速道路などの大型開発に莫大な事業費を使ったのであります。また、多くの市民が反対したオリンピック招致については、2005年度決算では、4800万円の予算流用がおこなわれています。

こうした結果、市財政はどうなったでしょうか。借金総額は2005年度末で2兆7500億円、政令市の中でも最悪のクラスになっています。

以上のべてきたように、2005年度決算は、国の悪政から市民を守るどころか、市民に犠牲を押しつけ、福祉・教育を削減・抑制し、他方でムダな大型開発には予算を集中するものになっています。まさに、こうした市政が先の市長選挙で市民から厳しい審判を受けたものであり、わが党はこのような決算諸議案を認定することはできません。

次に、わが党が反対する諸議案のうち、主な問題について、その理由を明らかにしておきます。

第一は、オリンピック招致についてです。市民の7割が反対し、市議会史上かつてない13万6千筆の反対署名が集まりました。この圧倒的な民意を考えれば、招致のために税金を使うことはまったく許されないことは明らかであります。ところが2005年度決算では、財政上のルールを無視した姑息なやり方で4800万円がオリンピック招致のために流用され、これを契機として、その後招致のために人件費をふくめて4億6千万円もの浪費をしていきました。わが党として、このような浪費は断じて認められません。

第二は、人工島事業などムダな大型開発についてです。人工島事業には2005年度決算では58億円もの市費を充て、緑化フェアには22億円も使っています。人工島事業全体では山崎市政時代の合計で約1500億円もの事業費を投入したことになります。区画整理は渡辺通駅北を含め7事業で172億円、都市高速道路に46億円など大型開発に莫大な事業費を使ったのであります。くわえて、2005年度決算には、1兆円をこえる費用がかかるであろう新福岡空港建設のための調査費用も含まれています。市長選のさいの世論調査でも、市民の7割がこうした大型開発事業を「評価しない」と答えており、このような税金の使い方は市民の許すところではありません。

第三は、深刻な借金財政についてです。借金総額は2005年度末、3会計合計で2兆6690億円、隠れ借金815億円を加えると2兆7500億円、市民一人当たり200万円にものぼります。これは政令市の中でも大阪市についで二番目の大借金ということになります。実質公債費比率は22.2%に達しました。

市はムダな大型プロジェクトを聖域にしてきたために、「財政健全化プラン」などで、借金財政のツケを市民に転嫁してきました。2005年度決算では家庭ごみの有料化や下水道使用料、市立高校授業料など17件もの公共料金値上げが押しつけられました。また「経費の縮減」を口実に、老人福祉センターや市営駐輪場での指定管理者制度が導入されましたが、お年寄りの相談や健康増進等の公的サービスを後退させ、お年寄りの雇用の場を奪うものになっています。  このように、深刻な借金をつくり、そのツケを市民にまわすやり方に、わが党は厳しく反対するものであります。

第四は、福祉・医療・介護など市民生活にかかわる問題です。

国民健康保険については3.67%の値上げがおこなわれ、一人当たりの負担は平均9万1707円と支払能力の限界をこえたものになっています。資格証明書を交付された世帯は1万4510世帯にも及びました。先日、NHKで福岡市の国民健康保険行政がとりあげられ、保険料が払えずに医者にかかれない深刻な事態が放映されたように、市民の命と健康を守るはずの国保行政が、逆に市民の命と健康をおびやかすまでになっているのであります。

お年寄りについては、敬老金等が2億5千万円カットされ、4万人からとりあげられています。老人医療費助成も廃止されました。また、特別養護老人ホームについては、この時点で4900人の入所待ちを抱えていたのに、新規分はわずか3カ所で6億円たらずです。あまりにもお年寄りに冷たい中身ではありませんか。

生活保護についても、いっそうの改善・充実が求められていました。しかし、本市の生活保護行政は、依然として必要な人が誰でも申請できるようには改善が図られておらず、生活保護世帯が求めている夏・冬の手当についても冷たく拒否してきたのであります。また、ホームレス対策もまったく不十分なものでした。

子育て支援もあまりにも貧弱なものです。留守家庭子ども会については、入所希望が急増しているのに、建て替えは2005年度は3カ所、増築は1 カ所にすぎません。保育内容の後退を心配する父母から反対の声があがっていた、公立保育所の民営化も強行されました。また、これまで23団体から30万筆をこえる請願署名がよせられている児童館の建設についても、市は背を向けてきました。

障害者施策については、障害者支援費制度のもとで必要なサービスが受けられないという事態が生じ、市としての独自の支援が求められていました。しかし、利用者負担減免制度の拡充などについて、市は応えようとはしませんでした。  市営住宅については、格差や貧困が広がるなかで、市営住宅にたいする需要は高く、公募倍率はこの時点で19倍にもなっていました。ところが、2005年度の市営住宅の建設費は30億円にすぎず、新設は一つもありません。

以上のように、「住民の福祉の増進」こそ市政の役割だとする地方自治法の定めにてらしてみると、市民生活にかかわる本市の2005年度決算の中身はあまりにお粗末といわねばなりません。

第五に、教育の問題についてのべます。教育費が大きく減らされる中で、学校の施設の改善に使う「学校校舎等整備・改築費、校舎校地等維持補修費」の合計額は前市長の就任時には88億円あったものが2005年度決算では55億円足らずにまで減らされました。こうした結果、教室など老朽校舎の改善や耐震対策は後回しにされています。

第六に、雇用と景気対策についてです。自民・公明政権のもとで大企業のリストラが奨励され、残された社員には長時間過密労働が押しつけられてきました。こうしたなかで、「サービス残業」の根絶と雇用の拡大への支援こそが本市行政に求められたはずです。ところが、「サービス残業」根絶にたいしてはほとんど市独自の手だてがとられなかったうえに、福祉・教育・防災などの分野で市が率先して雇用を増やすことはかたくなに拒否をしてきました。とりわけ若い人を対象にした雇用創出支援奨励金の要求にたいして、市は「国の制度で十分だ」という実態無視の対応に終始しました。また、地元中小業者の応援についてみると、中小企業対策費は11億円で一般会計のわずか0.15%にすぎません。景気効果も高く、市民から請願も出ていた住宅リフォーム助成についても、市は実現を拒んできました。2005年度決算において、市は景気・雇用対策に無策であったといって過言ではありません。

第七に、汚職腐敗の一掃と、清潔で公正な市政の確立についてであります。大型開発優先の路線の市政がつづくなかで、本市では毎年のように汚職腐敗事件が発覚し、その一掃が急務となっておりました。しかし、大型開発優先の路線は改めようともせず、くわえて企業・団体献金の禁止や、市の公共事業受注企業への政治資金パーティ券の売却禁止などの対策をまったくとろうとしませんでした。

また、部落問題は基本的に解決しているのに、2005年度において同和対策として6億7754万円が使われ、部落解放同盟の市協議会に3068万円の補助金が出されていることはまことに異常な事態であり、認めることはできません。

最後に、2005年3月におきた福岡西方沖地震の問題です。この地震によって多大な被害が生じ、補正予算が組まれました。決算をみると、被災者支援のために、合計で21億円の事業費が投じられています。しかしながら、本市の住宅再建支援金制度は年齢や所得要件が厳しく、しかも一部損壊には適用されないものになっているなど、被災者の真の救済を図るにはあまりにも不十分な内容でした。にもかかわらず、市は必要な措置をとらずに減額補正までしたものであり、被災者に冷たいこのような決算は、認めがたいものだと言わねばなりません。

以上をもって、2005年度決算に対するわが党の反対討論を終わります。


>>>「2006年12月議会」トップへ戻る

>>>「議会報告」一覧ページへ戻る

政策と活動
議員の紹介
トピックス
議会報告
市議会ニュース
リンク
お問い合せ

↑上へ