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議会報告

2005年9月議会

2005年度予算案・議案に対する反対討論

2005年3月28日 中山いくみ議員

まず初めに、今回地震によって亡くなられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第41ないし44号、46号、48号、50ないし56号、59ないし63号、66号、67号、69号、70号、72ないし105号、107ないし109号、111号、121号、123号、125ないし127号、130号、131号、134号、135号、137号、139ないし141号、143号、144号、146ないし149号、152号、153号、157号、158号、163号、164号、166号、167号、169ないし171号に反対し、討論を行います。わが党の意見については、代表質疑および補足質疑、分科会審査ならびに総会における質疑で述べておりますので、ここではその基本点といくつかの問題について述べます。

周知のように、自民、公明によって成立した小泉内閣の2005年度政府予算は、長期にわたる深刻な不況の中、定率減税の半減による所得税・住民税の増税に続き、2年間の国民負担増が定率減税の廃止や年金課税強化など、合計7兆円にものぼるうえに、2007年度には消費税増税を実施しようとするなど、いよいよ「大増税路線」に踏み出すものとなっています。その一方で、大型公共事業のムダづかいを復活・継続するとともに、史上最高の利益をあげている大企業などに対する優遇税制には手をつけず、また「三位一体の改革」による国庫補助負担金と地方交付税の削減及び不十分な税源移譲によって地方財政に深刻な影響を与えるものであります。経済回復と国民生活の安定のためには、年金、介護など必要な社会保障の拡充、災害対策の強化、雇用、中小企業、農業の危機打開、地方税財政の拡充などのために予算を重点的に配分することこそ求められているのであります。

本市においては、山崎市長が、小泉内閣による国民犠牲の「構造改革路線」に追随し、「選択と集中」と称して、負担増など市民生活に大きな影響を与える一方、人工島など大型開発のムダづかいを推進し、民営化や民間委託、PFIなど自治体としての責任放棄と営利企業化を推し進め、まさに「大企業・銀行喜び、市民泣く」というべき市政を続けています。また、本市大型公共工事をめぐり、ケヤキ・庭石事件など、不正と腐敗も後を絶ちません。

そうした中、3月20日福岡県西方沖地震が発生し、本市も死者1名、多数の負傷者と住宅被害など、甚大な被害を受けました。いま市政に求められているのは、災害復旧と被災者救援、地震に強いまちづくりに全力をあげて取り組むことであります。そのためには人工島などムダな大型開発を優先する税金の使い方を根本から改める必要があります。さらに、暮らしと福祉を充実させ、雇用と中小企業対策を強化して、景気回復と財政再建の道を切り開くことであります。

しかるに、山崎市長の2005年度予算案は、福祉や教育など生活関連予算は抑制・削減する一方、人工島へ予算を一極集中させるものとなっています。一般会計の歳入は、地方交付税の縮減など税財源の減少が顕著ですが、その不足分を各種公共料金の大幅値上げや基金の102億円取り崩し、多額の市債発行などで埋めあわせするなど、財政運営はまさに綱渡りの危機的状況であります。歳出面では、教育費は一般会計にしめる構成比が史上最低の6.1%にまで落ち込みました。市営住宅の新設はゼロ。4800人以上の待機者を抱える特別養護老人ホームの新規分はわずか4カ所で8億円余、中小企業対策費は14億円で一般会計のわずか0.2%にすぎません。生活保護費をはじめ福祉予算は抑制され、国保料は3.67%の値上げなど負担増が押し付けられています。また、保育に係る経費削減を狙った公立保育所民営化を強行し、「効率化」「適正化」の名で福祉や暮らしに関わる補助金カットや職員減らしを進めています。一方、人工島には200億円、区画整理は7事業で165億円、都市高速道路に49億円など、大型開発に莫大な予算が組まれているのであります。また、イベント予算も膨れ上がったままです。この結果、年度末の借金は3会計合計で2兆6806億円、市民一人当たり197万円にものぼるのであります。外郭団体が抱える隠れ借金も660億円であります。

以上のように、山崎市長の2005年度予算案は、ムダと自然破壊、大企業・銀行の儲けのための大型開発を優先し、暮らしや福祉の充実を求める市民の切実な願いに背を向け、市民犠牲をいっそう強めるものであり、わが党の賛同できないところであります。


次に、わが党が反対する議案のうち、いくつかの問題について、その理由を明らかにしておきます。

第1は、公共料金の大幅値上げについてです。

今回の公共料金値上げは家庭ごみの有料化や下水道使用料値上げなど18件で総額45億円余、平年ベースで59億円と、件数、金額ともに山崎市長就任以来最大であります。

家庭ごみの有料化は、ごみ減量につながらないうえに、行政責任を放棄し、他都市からごみを受け入れるなどムダで過大な清掃工場の建設費の負担まで市民に押し付けるものであり、市民の納得は得られません。わが党は家庭ごみ有料化に断固反対するとともに、拡大生産者責任を明確にする法改正と、大量焼却主義からの転換やリデュース・リユース・リサイクルの推進に行政が責任を持つことなど、本市ごみ処理基本計画の抜本見直しを求めます。

下水道使用料の基本料金36%アップなどの大幅値上げは、大企業の負担軽減を図って年金生活者や低所得者に大きな負担を押し付けるものであり、政令市で一番高い本市の使用料をさらに引き上げるもので、全く道理のないものであり、わが党は中止を強く要求します。


第2は、人工島事業と大型開発についてです。

人工島の港づくりについては、博多港入港の大型コンテナ船が減少傾向にあり、しかも人工島の14メートル岸壁には3万トン以上の大型船は供用開始後1隻も着岸しておらず、今後水深15メートルの航路と岸壁を建設する計画は全くの過大投資であり、借金のツケを孫子の代にまで押し付けるのは許されません。市3及び4工区の埋立はきっぱり中止すべきであります。

博多港開発工区について言えば、土地が売れず、税金による土地購入、民間分譲も原価割れと破たんがいっそう明白となり、採算がとれないと見た融資銀行団が新規融資の停止を通告したことを受け、市長が銀行言いなりに2工区の直轄化を打ち出しました。しかし土地需要がない中で、埋立を進めれば1工区と同様の事態となるのは必至であり、莫大な税金投入が避けられないのであります。「21世紀中華街構想」なるものも他市の受け売りで、何の実現性の根拠もない代物にすぎず、市立病院の統合移転計画と同様に果てしない税金投入となるものです。こうした破たん救済と2工区の直轄化はやめ、博多港開発株式会社については、銀行団の責任も明確にさせて、直ちに清算すべきです。

人工島事業について市民は「破たん救済に勝手に税金を使うな、市民の声を聞け」と怒りの声をあげており、市民の意思を確認すべく住民投票などが求められておりますが、この際、人工島事業全体を凍結し、市民参加で根本的に見直すべきであります。

九州大学学術研究都市構想については、バブルの発想に他ならず、巨額の市費投入は必至であり、産学連携センターも本市が巨額の整備費などを負担する必要はありません。学研都市構想をやめ、同機構から撤退すべきです。

渡辺通駅北土地区画整理事業は、九電や福岡地所、都市未来ふくおか、福岡銀行などに便宜を図るものであることは明白であり、市が関与して巨額の税金を投入する理由は全くありません。


第3は、真の財政再建と行財政改革についてです。

市債残高は、山崎市長の7年間だけでも4521億円増え、2005年度末で2兆6806億円、起債制限比率は18.1%といっそう悪化しておりますが、この危機的財政が市長の開発優先の市政によって作り出されたことは明白であります。財源不足を補うために市民負担に頼るなど市長の財政運営は、まさに破滅型と言わなければなりません。財政健全化の名で市民に負担増と福祉切り捨てなど犠牲を強いることをやめ、大型開発のムダづかいをきっぱりやめるとともに、歳入については、大企業、高額所得者優遇の不公平税制を是正する必要があります。


第4は、市民の暮らしと福祉に関わる問題についてです。

市長は、国民健康保険料をまたも値上げしていますが、相次ぐ負担増が滞納者を増やし、払えない人から保険証を取り上げ、1万7000件以上もの資格証明書を発行して市民の医療を受ける権利を奪い、まさに「金の切れ目が命の切れ目」となっています。市費を大幅に繰り入れて保険料を引き下げるとともに、保険証は原則交付し、また減免制度を拡充して、市民が安心して医療を受けることができるようにすべきであります。

介護保険は、軽介護高齢者の在宅サービスの切り捨て、特養へのホテルコストの導入、保険料の引き上げなどの国の大改悪に市長は反対を表明すべきであります。また高い保険料や重い利用料負担の軽減を図るために、介護保険の国庫負担割合を当面30%まで拡大するよう要求するとともに、本市独自の保険料減免制度の拡充や利用料の減免・助成制度の創設を行い、特別養護老人ホームの整備を大幅に増やすべきであります。

今回市長は敬老金・敬老祝品の削減を打ち出し、さらに老人医療費助成制度を廃止しようとしていますが、一貫したお年寄りいじめの姿勢は許されず、改めるべきであります。

生活保護については、政府の生活保護支給費の切り下げや老齢・母子加算の廃止の撤回を要求するとともに、申請権の侵害、実態を無視した扶養義務や就労の強制、資産活用や辞退届の強要など、人権侵害にも及ぶ無法な保護行政を抜本的に改めることを強く要求するものであります。

市営住宅は、平均公募倍率19倍と希望者が急増しておりますが、新規建設は一戸もありません。新規市営住宅を大幅に増やすべきであります。また分譲マンション居住者の不利益解消のため、助成など支援策を講ずることを求めるものです。

市民生活と地域経済を建て直すうえで、雇用と中小企業対策を強めることが重要ですが、具体策は見えません。市長は、本市職員を増員して教育、福祉、防災などの公的分野の雇用拡大に努めることとあわせ、市内主要企業に対し新規採用枠の拡大を働きかけるべきであります。中小企業対策費を大幅に増額し、中小企業向け官公需発注を大幅に拡大し仕事確保を図るとともに、公共工事の下請けまで適正な賃金が支払われるよう改善策を講じるべきです。また、地場中小建設業者の仕事づくりと景気対策として大きな効果が期待できる住宅リフォーム助成制度の早急な創設を要求いたします。


第5は、教育及び子ども行政についてです。

政府は教育基本法の改悪を進めようとしていますが、異常な競争主義・管理主義の教育や、日の丸・君が代の強制等、民主主義的な理念や原則を踏みにじってきたことが今日の教育をめぐる矛盾と困難を作り出しているのであります。教育基本法は前文で、憲法の理想の実現における教育の役割を示し、「真理と平和を希求する人間の育成」をうたっていますが、一人ひとりが大事にされ、人格の個性的な開花を進めることが、今日ほど求められているときはありません。市長は、教育行政の権限を強化し教育内容をゆがめ、愛国心を強制する教育基本法改悪にきっぱり反対すべきです。また、国の義務教育の国庫負担金の廃止・削減に反対するとともに、教育予算を大幅に増額すべきです。とくに少人数学級については、小学1年生の35人学級実施にとどめず、教職員を増員して全ての学年で30人学級を実現することを要求します。

山崎市長のもとで保育行政の後退は顕著であります。公立保育所の民営化方針は、単に歳出削減が目的であり、まさに保育行政の責任を放棄するものに他ならず、民営化される板付保育所では子どもや保護者、職員に大きな不安と混乱をもたらしており、「保育の向上」などと言うのは全くの詭弁であります。公立保育所民営化はやめるとともに、保育所新設などによる待機児の解消や民間保育園補助金の増額、保育料の引き下げなど、保育の充実に責任を果たすべきです。

留守家庭子ども会については、その必要性がますます高まっており、希望者全員が入会できるよう施設の拡張・改善、指導員体制の拡充と労働条件改善、土曜日開設など充実するとともに、父母負担の大幅引き上げはやめるべきです。

また、18歳までの子どもたちの居場所となる児童館の建設を求める要求がますます高まっており、専門職員のいる児童館を校区ごとに設置すべきであります。

以上のように、新年度も子ども施策の充実は見られず、こども未来局の新設は逆に子ども施策の切り捨てに道を開くものではないかとの危惧を持たざるを得ません。幼稚園施策や留守家庭子ども会などを教育委員会に戻すべきであり、わが党は同局の新設に同意し難いものです。


第6は、公平公正で清潔な行政運営、住民自治、市民の安全と平和を守る問題です。

本市の開発行政のもとで、汚職腐敗事件が後を絶たず、政官業の癒着の一掃は緊急かつ欠くことのできない重要課題です。10億円のムダづかいのケヤキ・庭石事件は、利権あさりの典型であり、この際人工島事業全体について徹底調査すべきです。また談合防止のため入札制度の抜本的改革を進めるよう求めます。さらに、企業団体献金の禁止を要求するものです。

全ての外郭団体・第三セクターの情報公開を徹底するとともに、市の退職幹部の外郭団体や利害関係のある民間企業への天下りを禁止すること、開発型三セクの廃止・縮小を進めることが必要です。また情報公開条例は、非公開対象を縮小すべきです。

住民自治については、「共働」などとして本来行政が責任を持って行うべき仕事を市民と自治協議会に押し付けるやり方は、住民自治とは相反するもので、市民からは強い反対の意見もあがっており、やめるべきです。また市民公益活動推進条例案は、市民に対し「公益活動」への参加協力を義務付けて思想信条の自由を侵害することや、学校に地域貢献の役割を課すなど、様々な問題点を含んでおり、わが党は条例案に反対するとともに、市民の意見を取り入れて抜本的に検討し直すことを要求するものです。

同和行政については、解同市協議会への団体補助金をはじめ、7億円余にのぼる同和関係予算を全額削除すべきであります。また市同研等同和団体への教員の派遣を中止するとともに、同和教育行政はやめるべきです。

政府による自衛隊のイラク派兵は、憲法を踏みにじるとともに、平和の国際秩序の流れから日本を孤立させるものです。市長は、政府に自衛隊の即時撤退を強く要求するとともに、福岡空港の基地全面返還を要求し、博多港の軍事利用を許さず、「非核神戸方式」を適用すべきであります。

第7は、公の施設の指定管理者制度に関わる条例案についてです。

今回44件にのぼる条例案が提案されましたが、その指定管理者の指定方法は、博多座など4施設を除いて公募となっています。いくつかの施設については公募を行わずに公的団体を指定管理者とするとの方針ですが、いずれ民間営利企業が参入することを可能にするものに変わりはありません。とくに市営住宅については、当面の指定管理者は市住宅供給公社となるものの、将来的な営利企業の参入は許されません。もともと指定管理者制度は、数十兆円の市場とも言われる公の施設の管理を民間開放せよという財界・大企業の要求に応じたものであります。税金によって整備された市民の財産である公共施設を、営利企業の儲け道具として投げ渡すことは断じて認められないのであります。わが党は、福祉施設など市民生活に直結する施設は直営を原則にし、指定管理者制度を適用する場合には公共的役割を保持できるよう民間営利企業を除外すべきだという立場から、関係議案のうち41件に反対します。


最後に、地震対策についてです。

わが党は地震発生直後から、被害調査と復旧、被災者救援に全力を挙げて取り組んでまいりました。その活動を踏まえ、昼夜を分かたず奮闘されている皆様に敬意を表するとともに、いくつかの点について要望します。一つは、早急な災害復旧に全力を尽くすとともに、被害実態の全体を正確に把握し、激甚災害の指定を受けられるよう国に対して要求すること。二つめに、被災者救援に万全を期すため、「なんでも相談窓口」を創設し、支援施策を実施すること。三つめに、いまなお不自由な生活を強いられている避難所生活の住民の要望をよく把握し、必要な改善を行うこと。四つめに、玄界島の仮設住宅については島内に早急に建設するとともに、志賀島や西浦などでも仮設住宅を含め住居の確保に手立てを尽くすこと。五つめに、学校をはじめ公共施設の危険度判定と耐震調査を行うとともに、ビル、マンションなどの安全対策を図ること。六つめに、被災した中小企業・業者を支援するための無担保・無利子・無保証人の緊急融資を創設すること。最後に、地震に強いまちづくりについて調査と検討を開始し、施策の充実を図ること。以上、これらの緊急課題について、山崎市長が140万市民の命と生活を守る立場で、万全の対策を講じられるよう強く要望するものです。


以上で、わが党の討論を終わります。


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