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議会報告

2005年9月議会

2005年度 代表質問

2005年3月7日 星野美恵子議員

(一)

私は、日本共産党市議団を代表して、山崎市長の施政方針と二〇〇五年度予算案、及びその他の諸議案について、市長並びに教育委員会に質問いたします。

いま国民の暮らしと日本経済は未曽有の危機に直面しています。自民・公明の小泉内閣はこの四年間、「構造改革」の名で、医療や年金の改悪など国民負担増の強行、大企業のリストラ応援、中小企業つぶしの横行など、国民生活のあらゆる分野での荒廃と破壊を加速させました。失業率は依然として四%台の高い水準で、家計所得は毎年数兆円規模で減り続け、また生活保護世帯は昨年ついに百万世帯を上回りました。一握りの大企業と大金持ちだけが「勝ち組」と言われ、額に汗して働く勤労者、働こうにも職のない多くの若者、社会発展に貢献してきたお年寄りなど、圧倒的多数の国民が「負け組」にされて、今の暮らしだけでなく、将来も脅かされております。弱肉強食で、儲けと効率だけが優先される結果、社会の基盤がゆがみ、世相が殺伐としているのであります。いま政治に求められているのは、一人ひとりの人間が大切にされる連帯の社会を築くことではないでしょうか。

今年は戦後六〇年の節目の年であります。私たちの国は六〇年前、二度と戦争はしないと世界に誓った日本国憲法をつくりました。ところが今、政府は、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃戦略につきしたがい、憲法及び世界とアジアの平和の流れに逆らう危険な道を進んでいます。世界中が平和の国際秩序を求めており、平和憲法を持つ日本がアメリカいいなりから脱け出すことこそ強く求められているのであります。

自民、民主の「二大政党づくり」がもたらすのは、増税と改憲です。消費税の大増税と、九条を中心とした憲法改悪は、国のあり方を根本から変え、国民の安全と暮らしを決定的に脅かすものであります。日本共産党は、国民と力を合わせ、この二つの反動政治をくいとめるため総力をあげる決意であります。


そこでまず初めに、二〇〇五年度政府予算案について、お尋ねします。

小泉内閣の二〇〇五年度予算案は、定率減税の半減による所得税・住民税の一兆六四〇〇億円増税など、いよいよ「大増税路線」に踏み出すものです。〇五年度からの二年間の国民負担増は、定率減税の廃止の他、年金課税強化、フリーター課税強化、年金・介護・雇用保険料の値上げ、国立大学授業料値上げなど、合計七兆円にものぼるものであります。さらに、〇七年度には消費税増税を実施しようとしています。国民の所得が減り続けているときに大増税を行うことほど無謀なことはありません。その一方で、大型公共事業のムダづかいを復活・継続するとともに、史上最高の利益をあげている大企業などに対する優遇税制には手をつけようとしていません。また「三位一体の改革」による国庫補助負担金と地方交付税の削減及び不十分な税源移譲は、地方財政に深刻な影響を与えるものです。このような小泉内閣の新年度予算のもとで、暮らしも経済も財政も悪循環の一途をたどるのは必至であります。

したがって市長は、政府に対し、「大増税路線」を中止し、年金、介護など必要な社会保障の拡充、災害対策の強化、雇用、中小企業、農業の危機打開、地方税財政の拡充などのために予算を重点的に配分し、むだな大型公共事業と膨らむ軍事費を大幅に削減するなど、国民生活と日本経済を守る予算に抜本的に組み替えるよう要求すべきだと思いますが、ご所見をお尋ねします。あわせて、消費税の大増税と憲法改悪にきっぱり反対すべきだと思いますが、所見を求めるものであります。


次に、市長の施政方針と予算案について、お尋ねします。

市長は所信表明で、「自治都市、元気都市」の実現や「財政の健全化、行政のスリム化」などと述べられております。しかるに市長の「市政経営戦略プラン」は、負担増など市民生活に大きな影響を与える一方、自ら作りだした深刻な借金財政には何の反省もなく、人工島など大型開発のムダづかいを「重点事業」としていっそう推進するものであります。また「民間でできることは行政はしない」「地域や民間との『共働』による市役所改革」などと称して民営化や民間委託、PFIの活用などとして民間営利企業に新たな儲け口をつくっています。これは自治体としての責任放棄と営利企業化に他なりません。まさに「大企業・銀行喜び、市民泣く」というのが山崎市政の実態であります。そもそも住民の安全、健康、福祉を守るというのが地方自治の本旨であり、利潤優先の企業による横暴勝手から住民を守るのが市長の最優先の仕事であります。それと全く逆の道を突き進む山崎市長に、市長としての資格があるのか厳しく問われるところであります。

したがって、市長は、「市政経営戦略プラン」にもとづく開発会社化・営利企業化をすすめる市政運営を根本から改め、福祉や教育など市民生活の充実に責任を持って真剣に取り組む「自治体らしい自治体」づくりへきっぱりと転換すべきであります。市長の所見をお尋ねいたします。


次に、二〇〇五年度予算案の基調についてお尋ねします。

新年度予算案の特徴は、厳しい財政状況にありながら、最大の開発である人工島へ予算を一極集中させ、その一方で福祉や教育など生活関連予算は抑制・削減する、まさに市民犠牲型予算となっていることであります。

一般会計の歳入は、地方交付税の五七億円減など税財源の減少が顕著ですが、その不足分を各種公共料金の大幅値上げや、基金の一〇二億円取り崩し、多額の市債発行、外郭団体からの寄付金で埋めあわせするものであり、財政運営の不安は解消できません。歳出面では、教育費が、前年度より六三億円も削減され、一般会計にしめる構成比は史上最低を更新して六・一%にまで落ち込んでいます。市営住宅の建設費は三一億円で新設ゼロ。四千八百人以上の待機者をかかえる特別養護老人ホームの新規分はわずか四カ所で八億円余、中小企業対策費は一四億円で一般会計のわずか〇・二%にすぎません。生活保護費をはじめ福祉予算は抑制されています。一方、人工島には各局の予算を集中させ二〇〇億円を充て、区画整理は渡辺通駅北を含め七事業で一六五億円、都市高速道路に四九億円など、大型開発に莫大な予算が組まれているのであります。年度末の借金総額は前年度より減少したとは言え、三会計合計で二兆六八〇六億円、市民一人当たり一九七万円にものぼり、また起債制限比率は一八・一%と悪化しているのであります。外郭団体などの借金のうち一般会計によって返済する「隠れ借金」も六六〇億円であります。新聞各紙はこうした事態を「火の車」などと厳しく報じております。

市長は、こうした大企業・銀行奉仕の浪費と市民犠牲の破滅型予算案を抜本的に見直し、暮らし、福祉、介護、医療、教育、環境を最優先する市民本位の予算に改めるべきだと思いますが所見のほど、お尋ねをいたします。

(二)

次に本市最大の事業である人工島問題についてであります。市長は「世界とのゲートウェイ」「アジアに向けた都市戦略」等といって、暮らしや教育まで犠牲にしながら、まさに予算も人も一極集中させ、人工島事業を何が何でも推進しようとしています。

そこで質問の第一は直轄化を含む博多港開発工区の破綻救済に関してであります。同工区は「本市の将来に必要な都市機能用地」などとして埋立が進められてきました。しかるに竣工した一工区は土地が売れず、市長は破綻救済のために新事業計画を策定して、公園、道路、学校用地など次々に税金で土地を購入したのであります。そして唯一の民間分譲は、原価割れという事態となりました。こうした中、本事業の採算がとれないと見た融資銀行団は新規融資の停止を通告するとともに、市による肩代わりを要求し、市長はこれに応えて二工区の直轄化を打ち出したのであります。土地需要がない中で、埋立を進めれば一工区と同様の事態になりかねません。しかも道路・下水道などインフラ整備の肩代わりとして一一五億円が一般会計から投じられる計画であります。「本市の将来に必要」などの口実はもはや通用せず、「二十一世紀中華街構想」なるものも市長の思いつきにすぎません。市長は会社二工区の直轄化をやめるとともに、市立病院の統合移転など一工区における破綻救済もやめるべきだと思いますが、所見をお尋ねいたします。


質問の第二は博多港開発株式会社についてであります。同社は、二〇〇三年度、資金繰りにも窮し、本市から八七億円の緊急融資を受けた上に五〇億円もの欠損を計上するにいたりました。同社はすでに自らの経営能力はなく、事実上、銀行に管理される会社となっています。しかも同社は必要もないケヤキ庭石の購入で、四億円を超す中間マージンを政治家に提供し、社長が謝礼を受け取り、総額一〇億円ものむだ遣いとなる汚職腐敗事件を引き起し、乱脈経営と批判されています。こうした中、市長は直轄化などで不良債権を引き取り、この破たん三セクを丸抱えしようとしているのであります。本市は五一%を出資しておりますが、事業の見通しをあやまり野放図に融資を続けてきた銀行団の面倒まで市民が見なければならない理由はどこにもありません。したがって、博多港開発㈱についてはただちに会社を清算すべきと思いますが所見のほど、お尋ねします。


質問の第三は港づくりと市工区についてであります。すでに一・二工区は竣工し、広大な港湾関連用地ができております。ところが土地需要はなく、計画どおりの土地処分ができないというのが実情であります。また、現在、3万トン以上のコンテナ船は減少傾向にあり、増えているのは一万トン以下の小型船舶であり、既存埠頭の再整備などで対応できるのであります。したがって、水深一五mの航路や岸壁の建設は過大投資に他なりません。コンテナヤードが必要なら、臨海土地を機能施設用地に転換すればすみます。市長は不必要な投資を続けるのでなく、三及び四工区の埋立については中止すべきと思いますがお尋ねを致します。


質問の第四は市民参加による見直しについてであります。マスコミも「金食い島」と報じる中、市民は「破たん救済に勝手に税金を使うな、市民の声を聞け」と怒りの声をあげています。計画が破綻し、その救済に巨額の税金・公金を注ぎ込もうとする今、市民の意思を確認すべく住民投票などが求められております。市長は人工島事業全体を凍結し、見直すべきではないかと思うが、明確な答弁を求めるものであります。

(三)

次に市政経営戦略プランにもとづく市民犠牲と指定管理者制度についてであります。

質問の第一は、公共料金値上げと福祉切り捨てについてであります。今回提案されている公共料金の値上げは、家庭ごみの有料化をはじめ下水道使用料や市立高校授業料などの十七件、総額四十一億円余であり、件数、金額ともに山崎市長就任以来最大となっております。家庭ごみの有料化は、「排出者責任」や「負担の公平」と称して四五リットルのごみ袋一枚当たり四五円、総額十七億五一〇一万円もの大負担を市民に押し付けるものであります。家庭ごみの有料化は、行政責任を放棄し、ごみ減量にもつながらないことは明確であり撤回するべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

政令市で一番高い本市の下水道使用料については、基本使用料を五六〇円から七六〇円に、三六%値上げをしようとしています。これによって下水道使用料全体では七・四%、約十五億円の増収となり、これは大口使用者の負担の軽減を図る一方で、低所得者をはじめ市民に大きな負担を押し付けるものであります。したがって、市民負担増は許されず、一般会計からの繰入を継続するとともに、下水道使用料の値上げは撤回すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

またこの他、国民健康保険料の約四億五千万円の値上げ、敬老金等の助成制度の改悪で二億五千万円の削減など、重い負担を市民に押し付けるものであります。さらに新年度は老人医療費助成制度の廃止や留守家庭子ども会の父母負担の導入など検討するとしています。市長が進めている「市政経営戦略プラン」は撤回し、公共料金値上げと福祉切り捨てはやめるべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。


質問の第二は公の施設の指定管理者制度の導入についてであります。

今議会には福岡市民会館など四四件にのぼる条例改正議案が提出されています。公の施設管理・運営は数十兆円の市場といわれ、企業等が参入に積極的な動きを見せる中で、営利を目的にした民間企業にゆだねることは、行政の責任が曖昧になり、公共性を危うくするとともに、住民サービスの確保を困難にするものであり、また高齢者の就労の機会をも奪うものであります。

したがって、指定管理者制度の適用に当たっては公共的役割を保持できるように民間営利企業を除外するとともに、福祉施設など市民生活に直結する公の施設は直営を原則とすること。また、自転車駐車場などの管理委託については、高齢者の公的雇用拡大に責任を果たす立場から従来通りシルバー人材センターを指定するべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

(四)

次に、地域経済と雇用対策について質問いたします。

質問の第一は、雇用対策であります。正規雇用が減り続けるなど現在の雇用情勢はまさに危機的状況にあり、雇用対策の充実は市民の暮らしと社会の安定を図るうえで、重要な政治課題となっております。したがって、労働者の権利を守るために、大企業のリストラの奨励や派遣労働の規制緩和政策を改め、実効ある雇用対策に転換させること、「サービス残業根絶法」の制定、異常な長時間労働の禁止などを図るための法制定と労働基準監督行政の強化、及び失業者対策の拡充を国に働きかけるべきだと思いますが所見をお伺いします。

また、公的分野の雇用拡大こそ求められており、市職員の削減をやめ、特に教育、福祉、防災などの分野で雇用拡大に取り組むこと。併せて、市内の企業に新規雇用枠の拡大を要請するなど市として特別の手だてを講ずるべきだと思いますが所見をお尋ねいたします。


質問の第二は中小企業対策と地域経済の振興についてであります。本市経済の主役である中小企業は長引く不況のもと、倒産・廃業が相次ぎ、自殺者も後を絶ちません。地域経済を建て直すため、中小企業対策の抜本的拡充が求められています。しかるに新年度の中小企業対策費はわずか一四億円程度にすぎません。市長は予算を大幅に増額するとともに、全庁あげた取り組みが必要だと思いますが所見を求めます。また、二十一世紀中華街構想策定等人工島の破綻救済をやめるとともに、観光コンベンションや新規企業誘致に特化した経済振興策を改め、既存産業の保護・育成に力を注ぐべきと思うが答弁を求めます。

公共事業については、大型開発中心から、生活密着型に転換し、中小企業向け発注率を七割以上に引き上げ、仕事確保を図るとともに、下請け含め、適正な賃金の支払いと建設業退職金共済を徹底すべきだと思うがお尋ねします。

不況対策として都城市や日南市が行っている住宅リフォーム助成制度は、地場中小零細建設業者等の仕事起こしとなり、地域経済に大きな波及効果をあげております。本市でも、同様の制度を早急に実施し、民需の拡大を図るべきと思いますが所見を伺います。

本市の制度融資については、制度の主旨を関係機関に徹底するとともに、営業が困難な場合の返済凍結や期間延長を認めること、商店街対策については、個別商店街ごとに行政が援助に入り、新たな支援策を含む個別対策を強化すべきと考えますが所見を求めます。


質問の第三は農業の再建についてです。政府による農産物の輸入自由化や市場原理の導入などによって本市農業も衰退の一途をたどっています。市長は市内農業を守る立場から、農産物の完全輸入自由化に反対するとともに、政府による農産物の価格保障制度の確立を要求すべきと考えますが所見をお伺いいたします。また、公共事業中心の本市の農業政策を転換し、所得保障を含む独自の助成策を講ずるべきと思うが明確な答弁を求めます。

(五)

次に、年金、医療、介護など国の大改悪から市民の健康・福祉を守る問題についてであります。

第一は、年金及び医療制度改悪と福岡市保健福祉総合計画「見直し」問題についてです。

政府が強行した年金改悪は、厚生年金保険料が「平均的サラリーマン」で年間約一万円の負担増、国民年金保険料も二〇〇七年度までに年三六〇〇円の負担増となります。一方、受け取る年金の水準は現在の八五%以下に減らされるなど老後の生活を破壊するものであります。こうした年金改悪に対して、国民の八割が制度を元に戻すことを求めております。したがって、市長は、年金改悪に反対し、基礎年金の国庫負担を早急に二分の一に引き上げ、改悪前の給付水準を維持するよう、国に強く要求すべきではありませんか。お尋ねいたします。併せて、「最低保障年金制度」の創設や障害基礎年金の支給要件緩和など低年金者や無年金者の救済対策が必要だと思いますが、ご所見をお伺いします。

また、政府が進める「医療改革」は、六十五歳以上の高齢者全員から保険料を徴収する新たな高齢者医療制度につくり変えるとともに、国保などを都道府県単位に再編・統合し国庫負担を減らすことや「混合診療」制など保険外の自由診療を拡大して、受診抑制にいっそう拍車をかけるものであります。したがって、市長は、こうした国民と自治体に犠牲を強いる国の医療改革の撤回を要求するとともに、サラリーマンの医療費の窓口負担を二割に引き下げ、老人医療費の自己負担を軽減し、国民健康保険の国庫負担を増額して低所得者を中心に窓口負担と保険料負担の軽減を図るよう国に求めるべきだと思うが、お尋ねをいたします。

市長の進める保健福祉総合計画の「中間見直し」は、給付減や負担増など高齢者や子どもの福祉を切り捨てる冷たい計画となっております。市長は、行政責任の放棄や市民犠牲の強化をやめ、真に保健・福祉を充実する計画に改めるべきだと思いますが、ご答弁を求めます。


第二は、国民健康保険行政及び市立病院統廃合移転問題についてであります。

市長は、国保料を二〇〇五年度も三・六七%引き上げ、一人当たり九万一七〇七円にしようとしています。相次ぐ値上げが滞納者を増やし、払えない人から保険証を取り上げ、一万七千件以上もの「資格証明書」を発行して市民の医療を受ける権利を奪っています。資格証の発行は収納率の向上にはつながっておらず、まさに「金の切れ目が命の切れ目」となっております。市長は、市費を大幅に繰り入れて保険料を引き下げるとともに、保険証の取り上げをやめて原則交付し、減免制度を拡充するなど、市民が安心して医療を受けることができるようにすべきだと思いますが、所見を伺います。

また、市立病院の統合移転は、人工島の破綻救済のための巨額の無駄づかいに他ならず、「新病院基本構想」は白紙撤回し、予算も削除すべきだと思うが、明確な答弁を求めるものであります。


第三は、介護保険制度の改善と高齢者対策についてであります。

政府の介護保険制度「見直し」法案は、「介護予防」の名のもとに軽介護高齢者の在宅サービスを切り捨て、新たに「ホテルコスト」と称して特別養護老人ホーム等の居住費や食費を保険外自己負担させたうえに、保険料も引き上げるなどの大改悪であり、市長は反対を表明すべきではありませんか。お尋ねをいたします。

また、高い保険料や重い利用料負担のために、介護の必要な人が必要なサービスを受けられないという深刻な事態の改善は急務です。したがって、市長は国に対し、介護保険の国庫負担割合を二十五%から当面三十%まで拡大するよう要求するとともに、本市独自の保険料減免制度の拡充や利用料の減免・助成制度を創設するなど低所得者の負担軽減を図るべきだと思いますが、所見を求めます。併せて、本市の特別養護老人ホームの待機者は、四千八百人以上に急増しているにもかかわらず、新年度四ヵ所二百五十人分しか予定されていません。市長は、予算を大幅に増額して特養ホームを増設し直ちに待機者を解消すべきだと思いますが、お尋ねをします。

高齢者施策では、市長は、新年度、お年寄りの生き甲斐である本市の敬老金及び祝い品制度の削減・縮小を打ち出し、さらに、十三億円もの負担増を押しつける老人医療費助成制度の廃止など高齢者を切り捨てる計画を強行しようとしております。長年にわたって高齢者の保健・福祉を支えてきたこれらの制度を切り捨てる市長の「お年寄りいじめ」は到底認めることができません。直ちに、廃止・削減計画を撤回すべきです。明確な答弁を求めます。

第四は、生活保護行政及びホームレス対策についてであります。

長引く不況や雇用情勢の悪化のもと、「最後のよりどころ」である生活保護行政の充実が急務となっています。こうしたなか、政府の生活保護支給費の切り下げや老齢・母子加算の廃止は憲法で保障された最低限度の生活をいっそう悪化させるものであり、撤回を要求するとともに、国庫負担を四分の三から三分の二に削減する計画に反対を表明すべきだと思うが、市長のご所見をお伺いします。

市長は、「面接」と称して不当に保護申請を排除したり、「適正化対策」を口実に、人権侵害に及ぶ扶養義務や就労の強制、実態を無視した資産活用や辞退届の強要、予告なしの訪問調査等をやめるべきではありませんか。併せて、必要な人が誰でも自由に申請できるように必要な申請書類や「生活保護のしおり」を窓口カウンターに置くとともに、夏期・年末の福祉手当てを創設すべきだと思いますが、お尋ねをします。

学資保険裁判の最高裁判決に基づき、直ちに学資保険の保有・活用を認め、教育扶助を高校進学まで拡充すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。

また、市内のホームレスは六百人以上にのぼっており、保護が受けられず自殺未遂まで出す深刻な実態にあります。市長は、本市の「自立支援実施計画」を拡充して、住所不定を理由にした生活保護からの排除をやめるとともに、NPO支援団体や急迫入院病院等に必要な補助を増額し、公的な自立支援センター等の建設など行政責任を果たすべきではありませんか。所見のほどお伺いします。


第五は、障害者対策についてであります。

障害者支援費制度は、国の予算不足で必要なサービスが受けられないという深刻な事態を招いております。こうしたなか打ち出された「障害者自立支援法案」は、利用料の自己負担増などいっそうサービス利用を抑制し、障害者福祉の根底をも揺るがすものであり、撤回を要求すべきではありませんか。お尋ねいたします。

市長は、ホームヘルプサービス、ショートステイ事業や施設整備の拡充を図るとともに、サービス水準を後退させないために支給量の上限は定めず、支援費額を国基準に上乗せし、施設への重度障害者加算や低所得者負担の減免などを実施すべきだと思いますが、所見を求めます。

また、障害者小規模作業所の運営に大打撃をもたらす市補助金削減計画を断念するとともに、重度加算補助の制限撤廃、土地家屋借上料補助の大幅増額、送迎負担費や給食・健康診断にかかる補助を実施するなど、障害者の生活と働く場を保障すべきではありませんか。お尋ねをします。併せて、福祉及び共同作業所間の補助格差を早急に是正すべきだと思うが、市長の答弁を求めます。

(六)

次に、子どもの健やかな成長と教育の問題について質問いたします。

市長は新年度、保育行政などを保健福祉局から独立させ「こども未来局」を新設するとのことですが、問題はその中身が子ども施策と子育て支援の真の充実となっているかであります。

そこで質問の第一は、保育行政についてであります。

市長は、今でさえ二十一ヵ所しかない市立保育所を七ヵ所まで減らす民営化方針を打ち出しましたが、これは歳出削減が目的であって、まさに保育行政を放棄するものと言わざるを得ません。今春民営化される板付保育所で、保育内容の後退や負担増などの心配から父母や関係者から大きな反対の声が上がったのも当然です。保育の充実に公的責任を果たすため、公立保育所の民営化方針を撤回すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。

現在、本市の保育所待機児は七百人を超えており、深刻です。詰め込みにつながる定員増ではなく、保育所を新設するなど緊急対策を講じるとともに、民間保育園補助金を大幅に増額すべきではありませんか。併せて、無認可保育所への財政的支援を図り認可化を促進すべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。

また、高過ぎる保育料は、子育て世代にとって大きな負担となっています。市長は、他都市並に市費を繰り入れ、保育料を引き下げるとともに、第二子以降の保育料は高い方を減免し、第三子以降は無料とすべきではありませんか。お尋ねをいたします。


質問の第二は、乳幼児医療費助成制度についてです。

子育て支援に関して、安心して医療機関にかかれる制度が強く望まれていますが、本市の乳幼児医療費助成制度は初診料を取るなど他都市と比較しても不充分であります。市長は、産み育てる環境づくりというのであれば、初診料や往診料は無料にするとともに、二〇〇五年度から助成対象を通院も就学前まで拡大すべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。また、乳幼児医療費無料化を国の制度として実施するよう申し入れるべきではありませんか。市長の答弁を求めます。


質問の第三は、留守家庭子ども会についてであります。

今働く親が増加し、放課後児童の安全性も問われており、留守家庭子ども会の必要性がますます高まっています。ところが市長は、「受益者負担の導入」などと言って父母負担の大幅な引き上げを検討しています。利用料の値上げによって入所できない子どもが増えて「かぎっ子」となり危険にさらされることになりかねません。こうした父母負担増は行うべきではないと思いますが、答弁を求めるものです。

留守家庭子ども会については、希望者全員が入会できるよう、施設の拡張・改善、並びに指導員体制の拡充と労働条件改善、開設時間の延長や土曜日開設など必要な措置を取るべきだと思いますが、所見を伺います。


質問の第四は、児童館建設についてであります。

〇才〜十八才までの子どもたちが安心してのびのび遊び、社会性を培う児童館の必要性は益々高まり、建設に対する市民の思いはかつてなく大きく、これまで二十三団体、約三十万筆の請願署名が寄せられ、それに応える行政の責任と姿勢が厳しく問われております。

市長は子育て交流サロンや、子どもプラザ等でごまかすのでなく、専門職員のいる児童館を小学校区ごとに早急に設置すべきだと思いますが所見をお伺いいたします。


質問の第五は、児童虐待を含む児童相談体制等についてであります。

児童虐待による子どもの死亡や傷害事件など深刻な事例が急増しており、こども総合相談センターの児童福祉司など専門職員を増員して相談事業の充実と対策を早急に推進すべきだと思いますがご所見をお伺いします。また各区に相談窓口を開き、一時保護所や児童養護施設を増設するとともに、児童虐待を未然に防ぐための通告システムなどが必要だと思いますが、併せて答弁を求めます。


質問の第六は、教育行政についてであります。

第一点は教育政策のゆがみをただし、憲法と教育基本法に基づく教育を実現する問題についてであります。

政府は、今日の教育の矛盾と困難の原因を教育基本法に求め、その改悪を進めようとしていますが、これはまったく根拠も道理もないものであります。逆に政府が長年にわたって、続けてきた異常な競争主義・管理主義の教育や、日の丸・君が代の強制等、教育基本法に明記された民主主義的な理念や原則を踏みにじってきたことこそが今日の教育をめぐる矛盾と困難を作り出しているのであります。教育基本法は前文で、憲法の理想の実現における教育の役割を示し、「真理と平和を希求する人間の育成」をうたっています。一人ひとりが大事にされ、人格の個性的な開花を進めることが、今日ほど求められているときはありません。教育基本法改悪の狙いは、財界の求める「学力」のみを重視し、愛国心を強制し、憲法改悪とあわせアメリカとともに戦争できる国づくりを進めることにあります。市長は、教育行政の権限を強化し教育内容をゆがめる教育基本法改悪にきっぱり反対するべきだと思いますが、所見を求めます。また、子どもの内心の自由をおかす「心のノート」などによる愛国心教育や、子どもたちを勉強のできる子とできない子に差別・選別する習熟度別授業の固定化はやめるべきだと思いますが、教育長の所見を伺います。

山崎市長になってから、教育予算は年々削減され、新年度は一般会計の六・一%という異常な低さに抑えられています。市長は、教育を軽視し続ける姿勢を改め教育予算を大幅に増額すべきであります。また、国の義務教育の国庫負担金の廃止・削減は、教育の機会均等、教育の水準の維持・向上を図るべき国の責任を放棄するものであり、これに反対すべきではないかと思いますが、市長並びに教育長の答弁を求めます。


二点目は義務教育の指導内容と体制についてです。

新学習指導要領は実施後わずか三年で多くの矛盾を生み、文部科学大臣が「総合的な学習の時間」の見直しを発言する等、手直しを余儀なくされております。現場に困難と混乱をもたらし、子どもと教職員からゆとりを奪っている新指導要領の全面的な見直しを国に対して要望すべきではありませんか、また、「心の教育の充実」等、現場の声も聞かずに強制されている本市「教育改革プログラム」は抜本的に見直すべきと思いますが、所見を伺います。また、子どもの成長・発達に直接責任を負う教職員の深刻な健康問題にとって長時間・過密労働の改善が極めて重要であります。したがって、教職員を大幅に増やすべきだと思いますが教育長の答弁を求めます。また、教職員に新たな競争とストレスを増大させる「自己評価、実績評価」を教育現場に持ち込むことは許されず、二〇〇五年度からの実施は撤回すべきだと思うが答弁を求めます。二〇〇五年は中学校教科書採択の年であります。教科書の選定にあたっては、教育委員会議を公開するとともに、侵略戦争を肯定し歴史の真実をゆがめアジア諸国との友好をも損なう教科書は採択すべきでないと思いますが所見をお尋ねいたします。


三点目は三〇人学級の実現についてです。

少人数学級は、全国の四二道府県が独自に実施するなど全国的な流れとなり、三〇人学級を求める福岡県での請願署名は六年間で三百万人にものぼっております。本市においては今年度、研究指定とした四校において、「勉強がよくわかる」「不登校が減った」等、顕著な成果が上がり、関係者から大幅拡充を求める声が広がる中、二〇〇五年度全ての小学校一年生において実施される運びとなりました。市長は三〇人以下学級の即時実現を国・県に強く要求するとともに、本市の責任において、直ちに全ての学年で三〇人以下学級を実施すべきだと思いますが、明確な答弁を求めるものであります。


四点目は教育を受ける権利の保障についてです。

長引く不況のもと、経済的理由による高校退学や修学旅行等への不参加の激増など、事態は引き続き深刻であります。県に授業料補助の大幅増額を求めるとともに高校奨学金の充実を図るべきだと思いますが、教育長の答弁を求めるものであります。就学援助については、その充実こそが求められており、辞書や水着代の削減は行うべきでないと思いますが答弁を求めます。また、働きながら学ぶ生徒や不登校児等の「受け皿」となる定時制高校の拡充を図るよう県に要求すべきだと思いますが、お尋ねをいたします。

小中学校における不登校生徒の実態は深刻であり、自立の支援と教育を受ける権利を保障することが重要になっております。「学校適応指導教室」の増設を図るとともに、フリースクール等への公的支援を図るべきだと思うが答弁を求めます。


五点目は、障害児教育についてであります。

今日、LDやADHDなど、多様化する障害に対応する支援体制の充実が求められております。特別な教育を必要とする全ての子どもたちへの支援を本格的に前進させるよう国へ要求するとともに、本市独自の介助員、加配制度の充実を図るべきだと思いますが所見を求めます。また、障害児が安心して通学できるよう学校施設のバリアフリー化が早急に求められており、本市でも新築及び改築校や車椅子使用児童在籍校をはじめ、エレベーターの設置を大幅にひろげるべきだと思いますが、併せて所見を伺います。


六点目は、安全で快適な教育環境の実現についてであります。

子どもたちが犠牲になる事件を防止するために、学校における安全管理は、教職員や父母等、現場のみに負担を押し付けず、現場の声を聞き、人員や予算を増やし実効性のあるものにすべきだと思いますが所見を伺います。老朽校舎の改修・改築や耐震補強、生徒数急増校に対する教室整備等、緊急なものについては予算を増額して実施することが必要でありませんか。また、小中学校の教室冷暖房については、その必要性ははっきりしており、来年度から実施すべきだと思いますが、併せて所見を伺うものであります。


質問の第七は、青年の雇用及び文化・スポーツの問題についてであります。

青年の雇用問題は引き続き深刻で、福岡県の大学生の就職内定率は昨年十二月で五二%となっております。政府の「自立・挑戦プラン」は根本的な改善にはつながらず、国と県に対して青年の雇用対策の抜本的強化を求めるとともに、市として雇用創出支援奨励金制度を導入するなど、独自に特別の手立てを取るべきと思いますが、御所見を伺います。また、本市の文化・スポーツ施設は不足しており、文化芸術・スポーツやサークル活動等に青年も安価で利用できる施設を市内各地に整備すべきと思いますが、お尋ねいたします。

(七)

次に都市づくりの諸問題についてお尋ねします。

アジアの交流拠点都市づくりの名による開発行政は、自然環境の破壊をはじめ様々な都市問題を引き起こすとともに、財政危機をいっそう深刻にしています。市長は開発優先をやめ、市民本位のまちづくりへ転換すべきであります。

そこで、質問の第一は、九大学術研究都市構想と空港問題についてです。

いま学研都市構想というものが全国至るところで破綻をし、多くの自治体が後始末に苦慮しています。新年度、市長は産学連携センターの整備を予算化していますが、「九州大学学術研究都市構想」はバブルの発想に他ならず、推進すれば巨額の市費投入を求められることになるのは必至です。市は構想の推進の音頭を取るのをやめ、同機構を解散させるか、もしくは市として撤退すべきと思いますがお尋ねをいたします。

また、空港問題は新北九州空港や佐賀空港との連携、既存ストックの有効活用などで解決を目指すべきであり、ムダ遣いの新空港は断念すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。


質問の第二は「新・福岡都心構想」についてです。

都心部の機能強化と魅力づくりの名で財界に利益を誘導する「新・福岡都心構想」は巨額の税金投入をもたらすもので検討をやめるべきと思いますがご所見をお伺いします。


質問の第三は、土地区画整理事業についてであります。

渡辺通駅北土地区画整理事業は九州電力と都市未来ふくおかの塩漬け、不整形の土地を整形し、かつ広い道路に面した一等地に移すとともに、キャナルシティにつながる幹線道路をつくってやるという九州電力・都市未来ふくおか、福岡地所に便宜を図るものであります。市長は同事業をやめるべきと思いますが答弁を求めます。

また、香椎駅前の区画整理事業については、ずさんな土地利用計画や資金計画など様々な問題を引き起こしているにもかかわらず、市長は住民の意向を無視して強行しています。しかし、地価下落のおり、市街地での区画整理は成り立たなくなっているのが現状です。事業を中断し、まちづくり計画を白紙に戻して、住民参加で見直すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。


質問の第四は九大移転等についてであります。

市長は、整備が完了した工区など移転先の土地を協定どおり、早急に買い戻すよう、九大と国に要求すべきと思いますがお尋ねいたします。また、九大跡地を核とする六本松のまちづくりについては、情報を常に公開し、住民の参加と合意を徹底するとともに、既存施設の活用や、災害避難場所等公的活用を中心に据えるべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。

質問の第五は、河川・災害対策についてであります。

昨年は地球温暖化現象の下で九州をはじめ全国で十回の台風上陸、豪雨さらには新潟中越地震など大災害が相次ぎ、多くの被災者が発生しました。本市では一昨年の大水害などで被害が生じており、災害対策の充実が求められております。したがって、被災者に対する住宅本体の建築・補修を補助の対象にするなど「被災者生活再建支援法」の改正を国に要求するとともに、被災者に対する災害見舞金は中小業者・農家なども対象にし大幅に増額すること。また御笠川激特事業を毎秒千トンに対応できるように見直し、河床掘削など早急に完了させるべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。


質問の第六は、交通対策についてであります。

市長は、天神一極集中の是正、国道四九五号線の拡幅と博多バイパスの延伸を早急に行うとともに、西鉄宮地岳線と地下鉄との直通運転の実現を急ぐべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。


質問の第七は、水需給計画の見直しについてであります。

福岡県が二〇〇三年度に発表した「福岡県における水事情について」によると福岡都市圏の水需要は日量一〇二万三千トンから八四万二千トンに大幅な下方修正を行っています。水需要が大幅に修正された状況の下で、〇五年度に供用開始される五万トンの海水淡水化施設は、その必要性が厳しく問われるものであります。したがって、福岡県に対して水需給計画の改定を早急に行うとともに、五ヶ山ダムの建設を凍結し、見直すことを要求すること。また、都市膨張政策を改め、本市の水需給計画を抜本的に見直すべきだと思いますが、併せて答弁を求めます。


質問の第八は、住環境を守る問題についてです。

市長の開発誘導行政のもとでマンション建設紛争は後を絶ちません。こうしたなか建築主の住民に対する事前説明や話し合いがなされない不誠実な態度が続出しており、市長は「建築紛争の予防と調整に関する条例」を遵守するよう強く指導するとともに、条例に事前説明の強化、関係住民の同意などを盛り込み、実効あるものに改正すべきと思いますが、ご所見を伺います。

東区美和台四丁目でおこっている携帯電話鉄塔建設問題は業者が住民との話し合いの途中で強行着工しました。このような暴挙に対し市長は厳しく抗議するとともに話し合いを強く指導すべきと思いますが答弁を求めます。また、民間の建築確認検査機関に正確・公正な審査を強く要求するとともに、国に厳正な指導を行うよう求めるべきではないかと思いますが、答弁を求めます。

用途地域等の見直しにあたっては開発誘導を改めるとともに、建築物等の高さ制限の規制強化を図ること、また、住民の要求に基づいた地区計画、建築協定を積極的に進めるべきと思いますが併せてお尋ねいたします。


質問の第九は、市営住宅の増設とマンション対策についてであります。 

長引く不況、リストラ、倒産が相次ぐなか、市営住宅の公募倍率が一九倍にもなっているにもかかわらず、新年度、新規建設は一戸もなく、一方で人工島の住宅事業には破たん救済のために巨額の補助金を出しております。市長は建替中心の住宅政策を改め、新規市営住宅を大幅に増やすべきだと思いますが、答弁を求めるものであります。さらに、高齢者向け借り上げ住宅の戸数の増加、母子世帯・心身障害者世帯の入居枠を増やすべきではありませんか、お尋ねをいたします。

また、約三十万人いる本市の分譲マンション居住者は、戸建て住宅に比べ、重い負担を強いられています。マンション居住者の不利益をなくすために、マンション敷地内を公共性の強い空間と位置づけ、ごみ置き場や公園の固定資産税減免や維持管理費等の補助など、居住者支援策を直ちに行うべきと思いますがご所見をお伺いします。


質問の第十は環境行政についてであります。

第一点目は、本市のごみ処理基本計画についてであります。

市長は、「循環のまち・ふくおか」を掲げながら、その計画は、家庭ごみの有料化や臨海工場、新東部清掃工場などの大量焼却主義を前提にしたものであり、根本的なごみ問題の解決には程遠いと言わなければなりません。発生抑制、分別の徹底、リデュース・リユース・リサイクルの推進などを基本にした計画に抜本的に改めるべきだと思いますが、市長のご所見をお伺いします。

また、一般廃棄物は区域内処理が原則であり、「広域行政」を口実にした大野城・太宰府市など他都市からのごみ受け入れはやめるとともに、都市圏南部環境行政推進協議会における南部工場建て替えなど広域処理協議は中止すべきではありませんか、お尋ねします。併せて、福岡クリーンエナジー(株)による新東部工場の建設運営は、行政責任を曖昧にして九州電力の利益保障を行うものであり、同社を解散させ、直営で行うべきだと思うが、ご答弁を求めます。

さらに、国の「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」は、拡大生産者責任が欠落して一方的に消費者負担を強いるものであり、発生抑制や生産企業の引き取り義務など製造者責任を明確にした改正を要求するとともに、当面、市として低所得者のための助成制度を設けるべきだと思いますが、所見のほどお尋ねいたします。


第二点目は、地球温暖化対策など足元からの自然環境保護行政についてであります。

地球温暖化防止のための「京都議定書」が発足しました。国の「地球温暖化対策推進大綱」に温室効果ガスの個別事業所ごとの削減計画義務付け、第三者機関による検証などの実効ある措置を盛り込むとともに、事業活動に伴う排出量の公表、新エネルギー電力買取りなどの法制化及び体制の整備を行うよう求めるべきだと思いますが、市長の所見をお伺いします。本市としても、市民参加のもとでエネルギーの浪費や公共事業の無駄をなくし、低エネルギー生産・消費構造の転換を図るなど、実効ある施策を確立すべきではありませんか。お尋ねをします。

また、国際的に重要な湿地である博多湾和白干潟を国設鳥獣保護区特別保護地区に指定させ、早急に「ラムサール条約」の登録湿地とするよう、国に強く働きかけていくべきだと思いますが、市長の答弁を求めるものであります。


質問の第十一は、市長の進めるイベント行政についてであります。

緑化フェアをはじめ、コンベンションシティの名で、市負担がわからないまま進める巨大イベント誘致行政は改めるべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。また、姉妹都市交流など莫大な税金を投入して行われる国際交流事業についても、見直すべきだと思いますが、併せてお尋ねいたします。

(八)

次に、汚職腐敗の一掃と、地方自治の確立、公正、平和の行政推進についてお尋ねいたします。

質問の第一は、汚職、腐敗の一掃についてであります。本市では、大型開発路線を突き進む山崎市長のもとで、毎年のように汚職事件が発覚するという、まさに全国に例のない異常な事態となっております。総務企画局長の贈収賄事件、本市発注企業から政治家への迂回献金など、常に指摘されてきた異常な政官業の癒着構造の根を断つために、本市の政治倫理条例に企業・団体献金の禁止を盛り込むとともに、本市公共事業の受注企業への政治資金パーティ券の売却禁止を盛り込むべきだと思いますが、ご所見を伺います。また、談合構造を崩すことは本市にとっては喫緊の課題であり、当面一定数の入札参加者の除外や予定価格の決定に抽せんくじを導入するなど思い切った改革を進める必要があると思いますが、お尋ねいたします。あわせて、内部告発制度については、通報案件に外郭団体・三セク等も加えるとともに、告発者保護のため匿名通報、不利益取り扱いの禁止などを盛り込んだ条例を制定すべきだと思いますが、答弁を求めます。


質問の第二は、地方自治・住民自治に関してであります。

本来、地方政治の主人公は住民自身であり、地方自治体はその住民の福祉の増進を図り、願いにこたえることこそ果たすべき役割であります。ところが、市民を「行政の共働」の相手などとして、本来行政が行うべき公的責任を市民と自治協議会に押し付けているのであります。これは「真の自治」などとはまったく相反するものであり、行政の仕事を自治協に押し付けるべきではないと思いますが、市長のご所見をお伺い致します。

あわせて市民公益活動推進条例で、市民が「公益活動」に参加・協力することを「市民の役割」などとして義務付け押し付けることは、許されず抜本的に見直すべきだと思いますがお尋ねいたします。

また、市長は、情報公開条例について非公開対象を縮小し、相手先、場所など全て公開すべきだと思いますが、答弁を求めます。併せて、個人情報の漏えいが危惧される住民基本台帳ネットワークについては、接続をやめるべきだと思いますがご所見のほどお尋ねいたします。


質問の第三は、外郭団体・第三セクター問題についてであります。

本市の百四に及ぶ外郭団体・第三セクターは、経営問題をはじめ存在意義や必要性などが厳しく問われております。特に「博多港開発」や「都市未来ふくおか」など無駄な開発を進める第三セクターは、経営破たんも顕著になっており、廃止・縮小を積極的に行うべきだと思いますが答弁を求めます。また、管理型の団体についても、その運営、事業及び予算の執行について厳正な監査・指導を行い、情報公開を徹底するとともに、業務の再委託を行っている団体などについては直営に切り替えるなど、そのあり方について抜本的に見直すべきではないかと思いますが、お尋ねをいたします。また、退職幹部の三セクを含む外郭団体や利害関係のある民間企業への天下りや口きき、あっせんの規制措置を講ずるべきだと思いますが、答弁を求めます。


質問の第四は、男女共同参画の推進についてであります。

今の不況のもと、女性の生活と労働をめぐる状況は一段と厳しさを増しており、この中で、日本国憲法を生かし、男女差別を一掃することが早急に求められており、母性保護の権利や雇用の場における男女差別の是正のための企業責任を明記するとともに、苦情・不服を迅速に処理し、権利や利益の保護を図るための機関を設置するなどを条例に盛り込むべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。さらに、市長は「雇用における平等」を率先して実現するため、女性職員の管理職への登用率や、各種審議会の女性の登用率を大きく引き上げるべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。また、男女共同参画推進センターを各区に設置すべきだと思いますが答弁を求めます。


質問の第五は、同和問題についてであります。

長年の国民の努力と運動によって部落問題は基本的に解決し、国や多くの自治体で、同和行政の終結が図られ、差別のない自由な社会的交流が実現する新たな段階に踏み出しております。ところが、市長は、今年度もまた、七億四八〇〇万円余もの同和予算を計上し、さらに同和行政を継続しようとしております。このような異常な「部落差別」の温存、固定化政策はやめ、一般対策も含め「同和」を用件とする特別施策は直ちに終結するとともに、解同市協議会への団体補助金をはじめ、同和関係予算は全額削除すべきだと思いますが明確な答弁を求めるものであります。また市同研等同和団体への教員の派遣は直ちに中止するとともに、同和教育行政はやめるべきだと思いますが、教育長の答弁を求めます。さらに、同和施策を温存し、報道・表現の自由を侵すことなどが危惧される人権擁護法案については、制定しないよう国に要求すべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

質問の第五は、自主・平和外交への転換、自衛隊のイラク派兵と博多港・福岡空港の軍事利用を許さない問題であります。

今や、世界でも、アジアでも、軍事同盟関係を理由に米国に自動的に軍事協力する動きは見直されつつあり、イラクからも各国軍隊の撤退が続いております。アメリカの国連軽視、先制攻撃戦略に追随するばかりでは、日本はますます国際社会で孤立することになるのは明らかです。市長は、政府に自衛隊のイラクからの即時撤退を強く要求するとともに、憲法九条を持つ国にふさわしい自主・平和外交に転換するよう要求すべきと思いますが、所見をお尋ねします。

また、福岡空港は、米軍による軍事利用が強化されつつあり、市長は市民の願いである板付基地の全面返還を強く要求するとともに、博多港については「友好・親善」「休養」「補給」など、いかなる目的であれ、米軍による博多港・港湾施設の軍事利用を許さず、「非核神戸方式」を適用すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。


以上、私は市民の切実な要求である暮らし、福祉、教育などの問題について、また自治体らしい自治体への転換を求めて、市長並びに教育長の所信をただしてまいりましたが、誠意あるかつ明確な答弁を求めるものであります。

長時間のご静聴に感謝し、日本共産党市議団の代表質問を終わります。


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