2005年2月議会
2月補正予算・議案に対する討論
2005年2月24日 倉元達朗議員
私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第1号、6号、8号〜11号、15号、16号、23号、28号、31号、36号〜38号に反対し、討論を行います。
まず、議案第28号、小学校及び中学校用地の取得についてです。これは、人工島に小中学校を建設するため博多港開発1工区の土地4ヘクタールを43億円で購入するものであります。
土地価格は1平方メートルあたり10万7500円ですが、本市が同工区の公共用地として博多港開発から過去に購入した価格と比べて1.3倍もの不当な高値であり、これは博多港開発の破たん救済そのものであります。
まだ一人も住んでおらず生徒児童数の見込みも立たない人工島に学校を建設することは全く異常ですが、これは市長がタウンミーティングなどで語っているとおり、市立病院移転や鉄道導入とともに、1工区の付加価値を高め住宅地の販売を促進するための「先行投資」と位置付けられているからであります。しかもこの土地は、土壌汚染の可能性も指摘されているところです。
本市においては、全小中学校での少人数学級や教室冷暖房、老朽校舎の改善や耐震補強など、子どもたちの発達と安全を保障するための施策が強く求められているにもかかわらず、教育予算は年々減らされ続けておりますが、人工島の破たん救済のために教育行政を歪め、食い物にすることは、断じて認められません。
したがって、わが党は、人工島の小中学校用地取得に強く反対し、本議案の撤回を要求するものであります。
次に、議案第31号、公有水面埋立権の譲受けについてです。これは、博多港開発株式会社の2工区の埋立権を本市が396億円で買い取り、人工島の埋め立て事業を継続、推進する、いわゆる直轄化のためのものであります。
博多港開発株式会社は、銀行から融資を受けて土地を造成し、その土地を売って資金を返済するとされていました。ところが1工区は竣工したものの土地は全く売れず、一部銀行から事業採算が見込めないとして新規融資を停止される事態となり、破たんが表面化しました。そこで市長は2001年に銀行団の要求に屈して2000億円以上の税金を投入する「新事業計画」を策定、道路や下水道などの肩代わり整備、売れない土地の買い上げ、200億円の緊急融資など、莫大な公金投入を計画したのであります。しかるにその後も土地は売れず、約定返済は滞り、市が87億円もの緊急融資を行ったにもかかわらず、博多港開発は昨年度50億円の赤字を計上したのであります。こうした事態を受け銀行団は新規融資の中止を宣告したわけですが、それは「金融事情の変化」などというものではなく、博多港開発の事業採算が取れず資金回収ができない、まさに経営破たんしていることの何よりの証拠であります。この破たん三セクを市が丸抱えするのが、今回の直轄化であります。
直轄化によって、本市は新たな借金をして不良債権を抱えこむ一方、融資銀行団は何の責任も取らないばかりか破たん会社から返済を受けて利益を得るのであります。396億円での埋立権買い取りはまさに銀行の利益を保障するものであって、何の正当性もないのであります。もともと融資銀行には、見通しもない土地利用計画と資金計画を認めて融資を続けてきた貸手責任があり、本市がその銀行の責任まで取らされる理由は全くありません。わが党の質疑に対し港湾局長は「埋め立てをやめれば地元経済への影響が大きい」などと答弁されましたが、それは融資銀行団に負担させることを避けたいとの本音を語ったものに他なりません。
今回博多港開発から譲り受ける2工区の土地利用計画は、住宅地や産業用地などとなっていますが、住宅地は供給過剰、産業用地も何の具体性もなく、その目玉「新中華街構想」も市長がひとり勝手に思いついた「夢」に過ぎないのであります。つまり2工区を埋め立てる必要性は皆無であります。
それでもなお2工区の埋め立てを続ければ、本来開発者負担で行うべき道路や下水道などインフラ整備を115億円もの税金で肩代わりし、さらに環境情報エリアや緑地などの上物整備を行い、そのうえ土地が売れなければ1工区同様に土地を買い取るなど、税金投入は避けられないのであります。一般会計からどれだけムダづかいしても特別会計が黒字になれば問題ないとする市長の感覚は、市民には納得できないものです。
さらに市長は、人工島一極集中による財源不足を市民に押し付け、家庭ごみ有料化や下水道料金値上げに加え、留守家庭子ども会の受益者負担導入や公立保育所民営化、老人医療費助成や敬老金のカットなど市民犠牲をすすめていますが、断じて許されないものであります。
したがって、わが党は、博多港開発2工区の直轄化に反対し、本議案の撤回を強く要求するとともに、博多港開発を清算すること、人工島事業を市民参加で抜本的に見直すことを求めるものであります。
次に、議案第23号、指定管理者の指定についてです。これは、公の施設の指定管理者制度にもとづき、南区の12ヶ所の自転車駐車場の管理を株式会社駅レンタカー九州に指定するものです。これによって、従来受託していた福岡市シルバー人材センターの仕事が奪われるのであります。
わが党はかねてから、公の施設の指定管理者制度は、本来自治体が公的な責任において管理運営すべき公共施設を、民間営利企業のもうけ道具にし、個人情報漏洩の危険性もあると指摘してきました。自転車駐車場の管理に民間企業を参入させることについても、公的責任の放棄であると同時に、現在管理を受託しているシルバー人材センターが民間と一律に競争させられ、これが委託費を引き下げ、同センターの運営を困難にし、ひいては高齢者の就業対策に対する本市の責任を後退させることになるとの懸念を警告してきたところであります。今回の指定管理者の選定に関わって、この懸念が現実のものとなっています。また区ごとに管理者が異なるために市民サービスの後退も生じています。このように自転車駐車場の管理者を民間企業に指定することに、わが党は反対します。あわせて、就業を含めた高齢者対策を充実することを要求します。
以上で、わが党の反対討論を終わります。