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議会報告

2004年12月議会

介護保険制度の改善を求める意見書

厚生労働省は、介護保険5年目の制度見直しに当たって、社会保障審議会・介護保険部会で取りまとめを行い、平成17年通常国会に関連法案を提出しようとしています。その内容は、「給付の効率化・重点化」を図るとして、高齢者の在宅及び施設等の介護サービスの制限や利用料の値上げ、特別養護老人ホーム等の「ホテルコスト」と称する保険外負担増、また、保険料徴収対象の拡大、障害者支援費制度との統合など、関係者に不安と懸念を抱かせるものとなっています。

この4年半で明らかになった介護保険制度の見直すべき課題は、利用料負担が重いことなど在宅サービスの利用が支給限度額の4割程度にとどまっていることや、施設等の基盤整備不足のため特別養護老人ホームの待機者が全国で32万人にも上っていることなどです。また、保険料の値上げが繰り返され、低所得者にとっては深刻な負担となっており、全国市長会においても、低所得者対策やサービス拡充のための財政措置を強く求めています。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、介護保険制度の見直しに当たっては、国の介護給付負担割合25%を確実に配分し、現行の調整交付金を別枠化すること、さらに、在宅でも施設でも必要な基盤整備が進められるようにするとともに、保険料・利用料については、国の制度として減免等の低所得者対策を確立するなど、安心して介護サービスが受けられるように改善されるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣 あて

議長名


(全会一致/日本共産党立案)

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安定した地方財政の確立に関する意見書

政府・与党は2004年11月26日、国庫補助負担金の廃止・縮減と地方交付税削減の方向を明らかにした「三位一体改革の全体像」を決定しました。削減される国庫補助負担金は2005、2006年度の2年間で総額約3兆円にも上ります。焦点の義務教育費が8,500億円、国民健康保険が7,O00億円の削減となり、生活保護や児童扶養手当については、削減額の明示は見送られたものの補助率見直しを2006年度から実施するなどとしており、憲法で保障された国民の教育と健康・福祉に重大な影響を及ぼすものとなっています。

一方、地方へ移譲される税源頼は2004年度分を含めても目標の3兆円には満たない上に、地方交付税についても「歳出削減に努め、地方財政計画の合理化」などを進めるとして、地方自治体の財政運営を一層困難にすることは必至です。

こうした三位一体改革の全体像に対して、共同通信社のアンケート調査では、都道府県知事の7割が「不満」を表明しており、地方自治の確立には程遠いと言わなければなりません。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、地方自治確立の理念に沿った国庫補助負担金制度の見直しを行われるとともに、地方交付税については財源保障と財源調整の両機能を重視し、一方的な削減をやめ、地方公共団体の安定的な財政運営に必要な財源確保を図られるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済財政政策担当大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣 あて

議長名


(全会一致/日本共産党立案)

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平成17年度地方交付税所要総額確保に関する意見書

平成16年度政府予算においては、地方交付税及び臨時財政対策債の大幅な削減により、地方財政運営に支障を来すとともに、地方との信頼関係を損ねる結果となりました。

平成17年度政府予算編成においては、平成16年度予算のような大幅な削減が行われることのないよう、国は誠実に対応し、国と地方の信頼関係を構築し、住民サービスの低下を来さないようにすべきです。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、平成17年度政府予算編成に当たり「地方交付税の所要総額」を確実に確保し、平成16年度予算のような地方交付税等の大幅な削減により、地方公共団体の財政運営に支障を来すことのないよう、平成17年度の地方交付税総額は少なくとも平成16年度の水準以上を確保すること、及び税源移譲に伴い、財政力格差が拡大する財政力の弱い地方公共団体に対しては、地方交付税の財源調整・財源保障を強化して対応すること、さらに、地方財政計画上の歳出と決算とのかい離については、投資的経費と経常的経費の実態を踏まえ一体的に是正すべきであることから、一方的な、不合理な削減を絶対行わないことについて、その実現を図られるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済財政政策担当大臣
総務大臣
財務大臣 あて

議長名


(全会一致)

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WTO・FTA交渉に関する意見書

WTO(世界貿易機関)交渉は、本年8月1目に今後の交渉の前提となる枠組み合意がなされましたが、具体的な数値などは今後の交渉にゆだねられました。

アメリカを始めとする農産物輸出国は、依然として、上限関税の設定や高関税品目の関税の大幅引下げ、関税割当数量の大幅拡大などを要求しています。これは、農産物輸出国がますます輸出を拡大しやすくするためのものであり、我が国の農業への打撃はもとより、食料の安全性の確保や安定供給、環境保全などにも大きな影響を与えるものです。

一方、アメリカなどが行っている国内農家への手厚い補助や輸出補助政策については、枠組み合意の内容では、国内補助金等や輸出補助金等の実質的な削減には結び付かないため、途上国などから反発が高まっています。このような公平さを欠いた交渉を是正し、地球規模での食料・環境問題を解決するために、各国が自国の生産資源を最大限に活用できるよう、「新たな農産物貿易ルールの確立」が求められています。

また、現在、我が国は、韓国、マレーシア、フィリピン、タイとの間で個別にFTA(自由貿易協定)交渉を行っていますが、特に東南アジア各国からは農産物の貿易自由化を求められています。このままでは、さきのメキシコとのFTA交渉でも見られたように、工業製品の輸出自由化のために、農業分野が大幅な譲歩を強いられ、農業が大きな影響を受けることになるのは必至です。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、WTO及びFTAにおける農業分野の交渉に当たっては、次の事項を実現されるよう強く要請します。


  1. WTO農業交渉では、食料自給率の向上や農林水産業の多面的機能の発揮、各国の多様な農林水産業が共存できるような貿易ルールに改めること。
  2. 上限関税の設定や関税割当数量の一律的・義務的拡大には断固反対すること。また、特別セーフガートなどの国境措置を確保すること。
  3. 「緑の政策」の要件緩和など国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。
  4. FTA交渉では、農林水産物の関税撤廃・削減を行わないこと。
  5. WTO・FTA交渉の情報を公開し、農業者や消費者の声を交渉に反映すること。

地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣 あて

議長名


(全会一致)

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高齢者虐待防止法の制定を求める意見書

高齢化が急速に進む我が国では、最近、介護が必要な高齢者を放置したり、家庭や施設内で高齢者に暴力を振るうなどの虐待が深刻化しています。

しかしながら、高齢者への虐待は表面化しにくく、これまで家庭や施設内の問題として見過ごされてきており、配偶者・児童虐待対策に比べ、法整備などの対策も遅れているのが現状です。

虐待の背景には、介護者の極度のストレスや家庭内の複雑な人間関係などがあります。また、虐待を自覚していない家族も多く、家族を含めた精神的なケアが不可欠であるとの指摘もあります。

昨年、医療経済研究機構は、家庭内での高齢者への虐待について初の全国調査を実施し、本年4月にその調査結果を発表しました。それによると、虐待が「生命に関わる危険な状態」に至る事例が1割という深刻な実態が浮き彫りになる一方、虐待に気が付いた在宅介護支援の専門職員の9割が対応は困難と感じていることも明らかになりました。この結果からも、虐待防止と早期保護への具体的な仕組みづくりが急務となっています。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、地域社会全体として高齢者の人権を守る体制づくりを進め、虐待防止のための具体的な対策を早急に実現するために、相談窓口の設置を始め、早期発見のための通報システムの確立、高齢者の緊急一時保護施設等の整備、関係機関や家族のネットワークづくりの推進、施設職員や関係者への虐待防止教育の実施、介護者の待遇改善と資質の向上、高齢者虐待防止に関する国民への教育・啓発の推進などを内容とする、高齢者虐待防止法を制定されるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
厚生労働大臣 あて

議長名


(全会一致)

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大規模災害への対策と早期復旧に関する意見書

本年は、新潟中越地震の発生や観測史上最多を数える台風が上陸するなど、日本列島は近年まれにみる大規模な災害に見舞われたところです。

この一連の災害によって全国各地に死者・行方不明者の発生や、住宅損壊・浸水、農林水産業用施設や農作物、港湾施設等の公共施設等への被害など甚大な人的・物的被害がもたらされ、住民生活と地域経済に大きな影響を及ぼしています。

この深刻な事態に対し、政府として、速やかな応急措置と復旧対策を講ずるとともに、これまでのすべての大規模災害についての対策を総点検し、災害発生の原因や治水計画、防災・地震対策の検証を進め、抜本的対策を早急に講ずることが必要です。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、被災地のライフラインの復旧並びに被災者への支援に一層カを注ぐとともに、国民を災害から守るため、将来予測される震災等の自然災害について、地方自治体が万全の対策を講じることができるように次の事項について強く支援を要請します。


  1. 建物の耐震構造化推進の重要性を強く認識し、地震防災策の見直しを行うこと。特に、避難所や救援活動の拠点となる学校や病院の耐震化には早急な対策を講ずること。
  2. 河川、海岸及び湾岸の水防施設は、堤防等の総点検を速やかに実施し、整備を進めること。
  3. 今回の新潟中越地震の教訓を生かし、国土の7割を占める中山間地での震災対策の確立を早急に図るとともに、災害関連緊急治山事業を速やかに実施すること。
  4. 防災無線の整備、洪水ハサードマップの策定に関し、早急な普及のための計画策定と予算措置を行うこと。また、警戒情報の発令基準及び避難誘導マニュアルの策定を急ぐこと。
  5. 高齢者等の要援護者への対策を推進するため、災害情報の伝達・避難・救助・復旧・自立支援等に関し、対処マニュアルの策定を早急に行うこと。

地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済財政政策担当大臣
防災担当大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣 あて

議長名


(全会一致)

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北方領土返還要求に関する決議

歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島からなる北方領土は、我が国固有の領土であり、ロシア連邦からの早期返還が期待されている。

北方領土間題解決に向けては、平成5年の「東京宣言」を始めとして、近年、日ロ関係における良好な環境作りが進められており、「北方四島の帰属間題解決後の平和条約締結」という交渉指針に基づき、日日両国は引き続き全力を尽くしている。

特に、来る平成17年は日露通好条約締結150年、また、平成18年は日ソ共同宣言50年という節目の年を迎え、一定の進展が望まれる。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、今後とも継続して対口外交交渉を展開するとともに、北方領土の早期返還実現を図るよう強く要請する。

以上、決議する。

平成 年 月 日
福岡市議会


(全会一致)

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自衛隊のイラク派遣延長に反対し、
早急に撤退することを求める意見書

日本政府は、平成15年12月9日「イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画」を閣議決定し、自衛隊をイラクに派遣しました。この基本計画では自衛隊派遣期間は平成15年12月15日から平成16年12月14日までの間と期限が付けられていました。しかしながら、政府は平成16年12月9日、自衛隊派遣延長を国会に諮ることなく閣議決定しました。

イラクでは昨年5月、ブッシュ大統領が戦闘終結宣言を出し、イラク人による暫定政府が樹立され、イラク国民議会選挙が予定されていますが、治安は悪化する一方で、いまだに全土は戦闘状態にあります。武装勢力制圧の名の下、アメリカ軍による攻撃で数多くの一般市民が巻き添えにされ、尊い命が日々奪われており、政治犯収容所での虐待、ファルージャ総攻撃での負傷捕虜の殺害などが明らかになるにつれ、イラク国民はもとより、国際世論の反発も高まっています。

イラクにおける日本人犠牲者も外交官、ジャーナリスト、さらには自衛隊撤退を求める人質事件で殺害された香田青年など5人に上ります。

この間、アメリカが戦争の根拠として主張していたイラク政府の大量破壊兵器が存在しないことはアメリカ政府も認めるところとなりました。戦争の根拠が覆されたことで既にスペイン、フィリピンは撤退し、ハンガリー、オランダなど今後撤退を予定している国々もあります。さらに、武力行使の正当性を判断する使命を持つ国際機関である国連のアナン事務総長は最近、イラク戦争開始を国際法違反であるとし、イラク選挙準備のためアメリカが要求した国連の選挙専門家の大量派遣を断っています。

また、自衛隊派遣の前提であった「非戦闘地域」とされたサマワも砲撃を受けるなど、安全性の根拠も覆されつつあります。

これらの状況から判断すれば、これ以上自衛隊がイラクにとどまる根拠、正当な理由はありません。

日本政府はアメリカ政府に追従するのでなく、イラクヘの自衛隊派遣延長をやめ、早急に撤退を図り、国連中心にイラクの平和構築と復興支援でその役割を果たすべきです。

よって、福岡市議会は、政府が、自衛隊のイラク派遣延長を撤回し、早急に撤退されるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

内閣総理大臣
外務大臣
防衛庁長官 あて

議長名


(反対多数で否決・日本共産党は賛成)


関連記事日本共産党は賛成→日本共産党の賛成討論

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「自衛隊のイラク派兵延長に反対し、早急に撤退することを求める意見書(案)」に対する日本共産党の賛成討論

2004年12月17日 中山 郁美 議員

私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております意見書案第21号「自衛隊のイラク派兵延長に反対し、早急に撤退することを求める意見書(案)」について賛成討論を行います。


去る12月9日、日本政府は、自衛隊イラク派兵の1年延長を決定しました。偽りの口実でイラクを侵略したアメリカに追随し、イラク侵略戦争と無法な占領支配に加担するものであり、断じて認められないものであります。


もともと、イラク戦争の最大の口実とされた大量破壊兵器がなかったことは今や明瞭であります。去る10月、米国の調査チーム自身が、「開戦時に保有せず、開発計画もなかった」ことを最終的に言明し、国連の調査報告でもくり返し確認されるなど、戦争の大義そのものが崩れさりました。小泉首相が「大量破壊兵器の保有」を断定して戦争を支持し、「いずれみつかる」と言って自衛隊を派兵しましたが、この根拠が国民を欺くものだったことがいよいよ明瞭になっているのであります。


また、米軍は、ファルージャでの住民への無差別攻撃を行うなど、無法な武力弾圧路線をすすめており、イラク情勢の深刻な悪化を招いています。ファルージャでの犠牲者は、子どもや女性、老人などを中心に1万人を超えるとも伝えられており、民間人への無差別攻撃は、国際人道法にそむく戦争犯罪であることは明らかであります。首相は、米軍の無差別虐殺作戦に対し、一言も抗議しないどころか、逆に「成功させなければならない」と全面的に支持をする等、非人道的な態度をとっております。これは、侵略戦争と戦争犯罪の共犯者として、イラク国民全体を敵にまわす深刻な立場に日本を置いたという点で重大であります。


さらに、陸上自衛隊の派兵先のサマワが「非戦闘地域」だとしてきた政府の説明も、いよいよ根底から成り立たなくなっております。自衛隊宿営地に向け8回も迫撃砲やロケット弾の攻撃が行われており、治安維持活動にあたっていたオランダ軍がおそわれ、兵士6人が死傷するという事態も起きており、首相自身も「予断を許さない厳しい状況」だと認めざるを得ませんでした。もはや、サマワは「非戦闘地域」とは言えず、イラク特措法の規定に照らしても、これ以上駐留し続けることは許されません。イラクの自衛隊は、「安全確保支援」として武装米兵を輸送する等、米軍の作戦を支える軍事行動をとっています。まさに、米軍指揮下の多国籍軍に組み込まれており、実質的な占領軍となっているのであります。

これ以上自衛隊派兵を続けるならば、今後イラクの人々との間に「殺し、殺される」というとりかえしのつかない事態をひき起こしかねません。国連のアナン事務総長もイラク戦争を「国連憲章に照らして違法である」と明言し、派兵国のイラクからの撤退も相次ぐ中、戦争・占領連合は国際的に孤立を深めております。このような中、派兵を延長することは、世界の流れにも逆行するものであります。


国連憲章はその前文において「われらの一生のうちに2度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救う」事を高らかに謳っております。今、日本政府に求められているのは、正義と人道の国際協調路線にたちかえり、国連を中心とする国際的努力に、憲法に基づく平和外交を基本に加わることであります。現在、日本国民もその6割以上がイラク派兵延長に明確に反対しております。日本政府は、この国民の声を受け止め、日本国憲法違反のイラク派兵をただちに中止し、撤退を決断すべきであるということを最後に述べて、賛成討論を終わります。


関連記事「自衛隊のイラク派兵延長に反対し、早急に撤退することを求める意見書」

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人権侵害の救済に関する制度等の制定を求める意見書

平成13年5月、「人権擁護施策推進法」に基づき設置された人権擁護推進審議会から、人権救済制度の在り方について答申が出されました。

そこで、今日の人権侵害の状況を見ると、熊本県における元ハンセン病患者に対する宿泊拒否事件や同和地区出身者の結婚差別問題、人権侵害情報のインターネット掲示問題や、報道による人権侵害、刑務所における受刑者に対する暴行など公権力による人権の侵害など、人権侵害や差別事件は後を絶たず、人権侵害救済のための法律の整備及び機関の設置は急務の課題であります。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、21世紀を真の人権の世紀にするため、また、憲法に保障された基本的人権を確立するため、平成5年に国連で採択されたパリ原則に基づき、独立性や中立性を確保し、人権団体と十分な連携を取りながら、被害者の救済が迅速、効果的に実施されるような人権侵害救済機関を設けることなどを内容とした人権侵害の救済に関する制度等を早期に制定されるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣 あて

議長名


(賛成多数で否決・日本共産党は反対)


関連記事日本共産党は反対→日本共産党の反対討論

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「人権侵害の救済に関する制度等の制定を求める意見書(案)」
に対する日本共産党の反対討論

2004年12月17日 星野 美恵子 議員

私は日本共産党市議団を代表して、ただ今議題となっております意見書(案)第24号「人権侵害の救済に関する制度等の制定を求める意見書(案)」について反対を表明し、討論を行います。

政府から独立した人権救済機関の設置は、1993年国連総会で「国内人権機関の地位に関する原則」いわゆる「パリ原則」が採択されるなど、いまや国際的な流れとなっております。わが国でも国民に対する人権侵害を迅速・簡易に救済し、特に重大で救済困難な、公権力の人権侵害に厳正に対処するための、政府から独立した、包括的な人権救済機関の設置が、多くの人から求められております。現在国としても、この人権救済機関の設置を含めた人権擁護法案の準備がなされており、いま地方議会としてやるべきは、この検討されている法案を実効あるものにするための意見をあげることであります。

しかるに本意見書(案)は、「人権侵害の救済に関する制度等の制定を求める」となっておりますが、その内容は「(人権救済)機関の設置」とともに「人権侵害救済のための法律の整備」を求めるものであります。

この「人権侵害救済に関する法律」制定要求は、これまで「差別」を口実に「糾弾」などの人権侵害をおこなってきた部落解放同盟が、従来の「『部落解放基本法』制定運動の継承と発展」であると位置づけ、「部落解放・人権政策確立への重要な一里塚」であり、「『部落解放基本法』の全構成部分の実現のとりくみ」だとして、全国的に展開している運動の一環であります。解同が全国の地方議会での決議に取り組んでいる狙いが、全国からの意見書をテコにこの「法律」を制定させ、これまでの不公正・乱脈な同和行政を継続・強化させようとするものであることは明白であります。


またその内容は意図的に「人権」を「差別」に矮小化するものであります。本意見書(案)が引用している「人権救済制度の在り方についての答申」でも、「積極的救済を行うべき差別的取扱いの範囲」として「人種、信条、性別、社会的身分」等の憲法第14条1項にある差別事由を列挙しており、これを理由に「社会生活における差別的取扱い」を行ってはならないとし、それには「公権力との関係に係るもの」も含めると明記しているのであります。

もともと人権擁護のための法案に求められているのは、憲法第14条にある「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という基本的人権条項を実現していく内容にすることであり、「人権」を個々人間の「差別」に矮小化し、内容を狭めることは許されません。

今日、わが国の人権の状況は、憲法で保障された基本的人権が、自民党政治のもとで、いちじるしく侵害されており、「職場に憲法なし」と言われている大企業では、賃金・雇用などでの女性差別、思想・信条による差別が、依然としてまかりとおり、警察の自白強要をはじめ、代用監獄や刑務所などでの人権侵害もあとをたたない状況であり、また薬害エイズへの加担、ハンセン病患者に対する隔離政策など、行政機関がかかわった被害も深刻であります。

日本共産党は、新たな人権救済機関について、「個別の人権侵害の救済にあたるとともに、政府の施策に対しての調査や是正勧告、人権に関する国内法の整備や、各種の国際的な人権条約等の批准及び承認の促進など、国民の人権保障のために積極的な活動をおこなう責務を明確にし、そのためにも、政府からの独立性を確保すること。また権力や大企業などによる人権侵害についても、強力な調査権限を法律で規定すること。さらに、『解放同盟』など一部の運動団体が一方的に『部落差別』と認定し、糾弾するような事案にたいし、迎合することなく、それ自身が人権侵害にあたるときは毅然と対処し、『差別』を口実に、国民の内心の自由を侵す一方的な『教育・糾弾』などについては、認めない」ことなどを盛り込み、早急に設置する必要があると考えております。本意見書(案)は、その実現を後景に追いやり、さらに「人権」を「差別」に矮小化して、同和行政の継続・強化をたくらむものであり、論議の結果、若干の文言修正がありましたが、この意見書(案)の意図する本質は何ら変わっておらず、かかる意見書の立案には、わが党は反対であります。


最後に、日本共産党は、1922年の創立当初から、当時日本国民を無権利状態においてきた絶対主義的天皇制に抗し、平和、主権在民、国民の自由と人権を勝ち取るために、まさに命がけでがんばりぬいてきた政党であります。今日でも、大企業の内部を含め、社会生活の各分野で、国民の基本的人権を制限・抑圧するあらゆる企てを排除し、社会的経済的諸条件の変化に対応する人権の充実をはかるためにさらに奮闘する決意を表明し、反対討論を終わります。


関連記事「人権侵害の救済に関する制度等の制定を求める意見書」

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