2003年9月議会
意見書について
2003年9月議会で、3つの意見書が全会一致で可決されました。
そのうち日本共産党市議団が起案した2つの意見書を紹介します。
青年の雇用対策の抜本的強化を求める意見書
本年7月の完全失業率が5.3%、失業者が342万人と雇用情勢は中高年層を含め、戦後最悪の水準で推移し、完全失業者の約半分は34歳以下の若者です。また、大学卒業者の就職率が55.0%、高校卒業者の就職率が16.6%と過去最低を記録しており、若年層の就職状況は極めて深刻な事態となっています。15歳から34歳までの若者のうち、パート、アルバイト、派遣労働者、正社員への就業を希望する失業者など、いわゆる「フリーター」と言われる人々は、1991年の182万人から年々増加し、この10年間で417万人に急増しています。また、34歳以下の正社員数は、1995年と2001年を比較すると、中小企業で増加した一方、大企業で108万人、公務労働で27万人も減少しています。
2003年版『国民生活白書』では、若年層の不安定雇用の急増が引き起こす問題として、第1にフリーター自身が、不利益を被ったり、不安を感じたりすること、第2に若年の職業能力が高まらなければ、経済の成長の制約要因になるおそれがあること、第3に社会を不安定化させること、第4に未婚化、晩婚化、少子化などを深刻化させることなどを指摘しています。
今や、若年層の雇用問題は、日本社会の再生産、存続自体を不可能にしかねない重大な事態に立ち至っており、その打開は緊急焦眉の課題と言わざるを得ません。
よって、福岡市議会は、国会及び政府が、景気回復策の充実はもとより、企業に対し、積極的に若者を雇用するよう強く働きかけるとともに、派遣労働者を常用雇用にする労働者派遣法上の努力義務を厳守し、さらに有給の職業訓練制度や訓練貸付制度の創設、奨学金返済の繰り延べや減免制度の導入など、実情にあったきめ細かな施策を実施されるよう強く要請します。
地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成15年9月22日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣 あて
議長名
(全会一致で可決)
御笠川の水害対策に関する意見書
本年7月19日の集中豪雨は、8河川41箇所でのはんらん、1,700世帯以上の家屋等の浸水被害など、本市に4年前の大水害を上回る甚大な被害をもたらしました。
とりわけ二級河川御笠川は広範囲にわたってはんらんまたは決壊し、冠水した博多駅周辺では交通遮断、地下施設の水没、地下鉄の不通など、都市機能が麻痺する深刻な事態となり、市民生活に重大な影響を与えました。
御笠川は、4年前の水害を踏まえ河口から10.5キロメートルの区間が河川激甚災害対策特別緊急事業に採択され、流下能力を毎秒730トンヘと高める改修が進められていますが、今回の集中豪雨における同河川の流量は毎秒890トンと推計されており、同事業の早期完成とあわせて計画の見直しが求められます。
市民は4年間で二度も大水害を受けたことに不満と不安を強め、三度繰り返すことのないよう抜本的な対策を強く求めており、御笠川の早急かつ万全な改修が急務となっています。また、著しい浸水被害が発生するおそれがある都市部を流れる河川及びその流域について総合的な浸水被害対策を講ずることを目的とした特定都市河川浸水被害対策法に基づいて、御笠川を特定都市河川に指定し、流域水害対策計画の策定や雨水貯留浸透施設の整備、雨水流出抑制対策などを実施することが緊急の課題となっています。
よって、福岡市議会は、政府及び福岡県が、御笠川の河川激甚災害対策特別緊急事業の早期完成と御笠川全川の改修とあわせて、同事業の計画を見直し、遊水地等の整備を図るとともに、特定都市河川浸水被害対策法に基づき、同河川を特定都市河川に、同河川流域を特定都市河川流域に指定し、総合的な浸水被害対策を講じられるよう強く要請します。
地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成15年9月22日
内閣総理大臣
国土交通省
福岡県知事 あて
議長名
(全会一致で可決)