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議会報告

2003年12月議会

意見書について

福岡市議会2003年12月定例会では、4つの意見書案が提案され、うち3つが全会一致で可決されました。

「定住を目的としない居住施設の建設及び運営に関する規制強化を求める意見書」は、ウィークリーマンション建設問題がおきている福岡市南区の「静かな寺塚を守る会」「鴻巣山の緑と環境を守る会」が、あわせて約2万人分の請願署名を提出したのを受け、第4委員会が起案したもの。日本共産党市議団も可決にむけ力を尽くしました。

また、小泉内閣がイラク派兵を強行しようとするなか、日本共産党が共同提案に加わった「自衛隊のイラク派遣に反対する意見書案」は、自民党、公明党などの反対で否決されました。日本共産党は賛成討論をおこないました。

以下に意見書を紹介します。

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定住を目的としない居住施設の建設及び
運営に関する規制強化を求める意見書

近年、生活様式の多様化等により、定住を目的としない短期滞在型のウィークリー・マンスリー形式のマンションが増加しています。これらのマンションは、保証人不要、敷金・礼金不要などのシステムにより、容易に利用することができ、また短期滞在型であることから、地域への帰属意識や「住まう」という意識が希薄化した不特定多数の利用者によって、地域の風俗や治安、環境全般に悪影響をもたらすのではないかという懸念が、地域住民に広がっています。

このような定住を目的としない短期滞在型のマンションは、週又は月単位という非常に短期の契約で住人が入れ替わっていくことから、実質的にはホテルや旅館と大差がありません。ホテルや旅館を営業するためには、かなり厳しい規制をクリアしなければなりませんが、本市では、このウィークリーマンション等が、「マンション」という名の下にこれらの規制を逃れ、都市計画法上建築物の用途制限が最も厳しい第一種低層住居専用地域に建築されようとしています。

中高層住宅や共同住宅等の建築紛争を解決するために、条例等に基づく調整や指導が行われていますが、最終的には現行の建築基準法等により判断せざるを得ないことから、その建設・運営に当たっては、地域住民と施主・請負業者との間にトラブルが生じやすく、十分な解決に至っていないのが現状です。このため、ウィークリーマンション等の建設・運営形態について調査研究し、新たに法的整備を行う必要があります。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、建築基準法の改正を始め、ウィークリーマンション等の建設・運営の規制について、新たに法的整備を行われるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣  あて

議長名

(全会一致で可決)

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起業・創業環境の早急な整備及び
新たな雇用の創出を求める意見書

長引く不況の中で、環境・バイオテクノロジー・情報通信・ナノテクノロジーなど新たな雇用・起業創出のための施策が求められています。

中でも、新たに事業を開始しようとする中小・ベンチャー企業に対しての幅広い支援、また中小企業者の新技術やアイデアに着目した事業活動に対する継続的支援、さらに地域雇用に直結する地域産業資源を活用した事業創出環境の整備等を図ることが不可欠です。

しかし、一般的にベンチャー企業等は信用カや担保力が不足しがちであるなど、起業・経営に必要な資金調達環境は困難な状況となっています。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、既存中小企業の振興はもちろん、ベンチャー企業等の起業環境の整備に向け、効果的な施策を講じ産業の活性化を図るとともに、資源循環型社会の推進によるエコ産業の市場規模拡大や、外国人観光客を増加させる観光産業の振興によって雇用の創出を図ること、及び政府系金融機関・民間金融機関などによる起業・創業への資金調達の支援策(無担保・無保証を含む)の一層の充実を図ることなどによって、ベンチャー企業等に対する起業・創業環境の早急な整備を行うとともに、「土地担保主義」だけでなく、技術力や新しいアイデアなど内容中心の新融資制度の確立や支援策の拡充などを図られるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣 あて

議長名

(全会一致で可決)

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税源移譲を伴わない国庫補助負担金等の削減を行わず、
地方財政の拡充を求める意見書

小泉内閣は、12月5日に閣議決定した「平成16年度予算編成の基本方針」において、地方財政の「三位一体の改革」を推進するとして、国庫補助負担金について「1兆円を目指して廃止・縮減等を行う」こと等を決めました。

その主な内容は、義務教育費国庫負担金や公立学校施設整備費、公立保育所運営費の国庫負担金の削減などです。これが実施されれば地方自治体の財政を圧迫し、住民サービスを切り捨てるなど甚大な影響を与えることは必至であり、多方面から批判と危ぐの声が高まっています。

一方、「基本方針」は、税源移譲を含む税源配分の見直しについて、「検討を行う」として明確にしておらず、しかも、最終的には補助金削減分の8割程度しか移譲しない方針と伝えられています。また、地方交付税の財源保障機能も縮小するとしています。これでは国から地方への財政支出を減らすだけであり、「地方軽視だ」と厳しく批判があがるのは当然です。もともと税源移譲は、国税の一部を地方税に移して、地方自治体の自主財政を充実させることであります。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、税源移譲を伴わない国庫補助負担金等の削減を行わず、地方財政の拡充を図られるよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 あて

議長名

(全会一致で可決)

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自衛隊のイラク派遣に反対する意見書

米英軍による事実上の占領行政が続くイラクでは、5月1日にブッシュ大統領が戦闘終結を宣言した後も、米英軍等に対するゲリラ攻撃が続き、死者の数は戦闘終結前を大きく超えるに至っています。また、11月29日に日本人外交官が射殺されるなど、イラクの治安は悪化しており、住民の反米感情も高まるばかりです。

日本政府は、イラク復興支援特別措置法に基づき、自衛隊をイラクに派遣しようとしていますが、同法が前提としている国連安保理決議1483は、米英軍(米英占領当局)の権限、責任及び義務を認識し、加盟国に人道的支援を呼びかけているに過ぎません。イラクは、非戦闘地域が一瞬にして戦闘地域に変わり得る状況であり、自衛隊派遣の枠組みを定めた同法の前提さえも満たしていません。米英軍占領下における自衛隊の活動は、占領行政への参画であり、自衛隊の占領行政への参画は違憲としてきたこれまでの政府見解に反することも明らかです。

しかも、米国がイラク攻撃を行う理由とした大量破壊兵器は、いまだに見つかっておらず、米英軍のイラク攻撃・占領には一片の正当性もありません。

今、市民の中からも「国連中心の枠組みによる人道復興支援に切り替え、イラク国民に速やかに主権を返還すべきだ」という声が出されています。

よって、福岡市議会は、国会及び政府が、イラクの復興に当たっては、日本の果たす役割を医療や食糧の援助及び生活インフラの再建等に限定し、自衛隊を派遣されないよう強く要請します。


地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

平成 年 月 日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
防衛庁長官 あて

議長名

日本共産党、民主・市民クラブ、社民・市政クラブ、ふくおかネットワークの共同提案。
自民党、公明党、みらい福岡、平成会などの反対多数で否決


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「自衛隊のイラク派遣に反対する意見書案」に対する
日本共産党の賛成討論

2003年12月17日 日本共産党福岡市議団 比江嶋俊和議員

私は、日本共産党市議団を代表して、ただいま議題となっております、民主・市民クラブ、社民・市政クラブ福岡市議団、ふくおかネットワーク、日本共産党市議団共同提案の意見書案第16号「自衛隊のイラク派遣に反対する意見書」案について、賛成討論をおこないます。

米英軍による占領統治が続くイラクでは、今なお全土が戦闘状態にあります。万を超える罪なきイラク国民をはじめ、米英軍だけでなく国連や赤十字の施設・関係者にも被害が及び、日本人外交官2人が殺害されるという大変悲惨な事件も起きました。

先日、フセイン元イラク大統領が米軍に拘束されましたが、イラク国民を苦しめ、クウェートを侵略したフセイン元大統領は、国際世論の監視のもとで法にのっとり厳正に裁かれなければなりません。しかるにこれをもって、米英によるイラク攻撃と軍事占領の無法性がいささかも免罪されるものでは決してありません。アメリカがイラク攻撃の理由とした「大量破壊兵器」はいまだ発見されず、米英軍が国連の決定によらない無法な戦争と不法な占領支配を続けていることはいまや誰の目にも明らかです。

こうしたなか、自民、公明による小泉内閣は、アメリカ・ブッシュ政権の要求を受け、自衛隊のイラク派兵を強行する基本計画を12月9日、閣議決定しました。しかし、自衛隊派兵は、国際社会の道理や日本国憲法に照らしても全く大義がないものです。

第一に、イラクへの自衛隊派兵は、米英軍による無法な侵略戦争と不法な占領支配に軍事力をもって加担するものだということです。基本計画は、「安全確保支援」として米英占領軍への支援活動を明記し、自衛隊が無反動砲や対戦車弾などの重装備をするとしていますが、これは自衛隊が占領支配に加担し、武力を行使する事態を想定したものです。重武装した自衛隊が米英軍と行動をともにすれば、占領軍の一部とみなされ、日本が憎しみと攻撃の対象となることは明らかです。またテロの標的となる危険性を自ら招きよせることにもなります。

第二に、イラクへの自衛隊派兵が、憲法をふみにじる海外での武力行使に道をひらくものだということは、あまりにも明瞭です。イラク復興支援特別措置法は、自衛隊の活動を「非戦闘地域」とするとしていますが、全土が戦争状態という現在の状況では、この法に照らしても派兵する前提は全くありません。自衛隊が攻撃を受け、それに応戦すれば、文字通り海外での武力行使であります。日本国憲法は、武力による威嚇や武力の行使を厳格に禁止し、「戦争はしない、軍隊は持たない」と誓ったものであり、イラク派兵は根本的に憲法と相容れないものです。

このままイラク派兵を強行するなら、日本の軍隊が戦後初めて他国の領土で他国民を殺害するという恐ろしい道に日本を引き込み、また戦後初めて自衛官から戦死者を出すという事態に道を開くことになります。自衛隊員やその家族も含め、多くの国民から不安と批判の声があがっているのも当然です。最近の世論調査によると、派兵反対が多数となっています。圧倒的多数の国民の意思に背く歴史的暴挙となるイラク派兵を推進することは絶対に許されないものです。

政府与党は、「テロに屈してはならない」などと言いますが、民間人を無差別に殺傷するテロが許されないのは当然です。しかし、テロが多発するイラクの事態をつくりだしているのは、無法な戦争と不法な占領であり、これに加担すれば、泥沼の戦争を深刻にし、戦争を長引かせてイラクの復興を遅らせることになるのは必至です。

イラク問題の道理ある打開の道は、一日も早く米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道復興支援にきりかえること、その枠組みのもとでイラク国民にすみやかに主権を返還し、米英軍を撤退させることであります。今、日本がなすべきことは、そのための外交努力であり、国連主導の枠組みのもとでの非軍事の民生支援であって、自衛隊派兵では決してありません。したがって、イラクの戦場に自衛隊を送る計画は、ただちにやめるべきであります。

日本は今、歴史の重大な岐路に立たされています。日本共産党福岡市議団は、命がけで反戦・平和を貫いてきた党として、憲法9条を生かした平和の日本と世界を願うすべての人々と力をあわせ、戦争への道を突き進む自衛隊派兵の歴史的暴挙をくいとめるため、全力をあげる決意を表明するものです。以上で、わが党の賛成討論を終わります。


関連記事自衛隊のイラク派遣に反対する意見書

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