2002年9月議会
日本共産党の反対討論
2002年9月20日 日本共産党福岡市議団 星野美恵子議員
私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第158号、第160号ないし164号、第167号ないし172号に反対し討論をおこないます。
まず、議案第172号人工島コンテナターミナル整備のための契約議案、及び一般会計補正予算案中、アイランドシティ関連予算についてであります。これらは、いずれも人工島事業を推進するためのものでありますが、周知のように人工島事業については、その開発破綻が顕著となり、今あらためて事業の必要性と税金投入の是非が問われております。
今回議案のコンテナターミナルを含む港づくりについてみると、国がおこなう外貿コンテナバースの整備ついて、当初計画では、水深14mを1バースと13mを2バースの予定だったものを、「コンテナの取扱量が今後大幅に増大し、平成28年には現在の2倍になる」との過大な予測を前提に、昨年水深13mを15mに変更し、2バースつくる計画とされたのであります。しかしながら、消費不況はいよいよ深刻になり、コンテナ物資の大消費地である福岡都市圏の人口の伸び、失業・倒産、市民所得その他の経済指標、どこをとっても消費が2倍にも増える要素は見当たりません。国ですら当初計画の14mの岸壁を1バースつくったものの、外貿コンテナ2バースについては未着工のまま、今後の推移をみるとしており、博多港の需要が急増し、施設が逼迫するとは見ていないというのが実態であります。コンテナ埠頭整備が必要ならば、少ない経費で対応できる既存埠頭の再整備をすべきであり、不必要で過大なバースづくりはやめるべきであります。
また、博多港開発工区の事業見直しで山崎市長は、博多港開発株式会社が開発者責任で、当然整備すべき埋立地の道路や、上下水道等の工事費384億円を市民の税金で肩代わりするとしております。さらに、新たな30億円の増資や200億円の短期融資をおこなうほかに、香椎アイランド線の肩代わり整備による用地購入、緑化フェアを含む総合公園の整備、環境情報エリア等、売れない土地の買い上げや、鉄軌道の導入などを計画しております。これらの事業見直しによって、少なく見積もっても1,400億円以上の莫大な市民の税金が投入される計画であり、また住宅用地についても、9割以上を市住宅供給公社に押し付け600億円を超える公社資金を投入するのであります。
山崎市長が、このように全局あげて博多港開発の破たん救済に取り組むなか、いまや博多港開発のアイランドシティ事業部門は、全部、市庁舎に引き上げられ、埋立地のセールスや銀行との交渉などいわゆる会社経営についても市当局が面倒を見ているのであります。このような状態はすでに博多港開発が人工島事業を行う会社としての体をなしていないことを明らかにしております。
今回のコンテナヤード整備を含む人工島建設は、バース計画も過大であり、港湾関連用地も売れる見込みもたっておらず、すでに破綻が明確であり、現在の約4割の埋立てで工事を凍結して、完成した土地の利用と擬似湿地については、市民参加で見直すことこそ求められております。したがってわが党は、今回の人工島関連議案に反対し、その撤回を強く求めるものであります。またこの際、博多港開発を人工島事業から撤退させ、縮小、整理すべきであります。
次に議案第168号、福岡市老人医療費助成条例の一部を改正する条例案は、健康保険法の一部改正による新たな高齢者医療制度との整合を図るため、本市の老人医療費助成事業について所要の整備を行うためのものであります。政府は高齢者医療を、入院については自己負担を大幅に引き上げ、外来については医療費負担の上限額を月額3,200円から1万2千円、低所得者でも8千円にするとともに、上限を超える分も含め、窓口で一旦全額支払わなければならない「償還払い」を導入しました。しかしながら長期不況で市民生活は逼迫しており、市民の命と健康を守るためにも、本市老人医療費助成制度の拡充こそ、いま切実に求められているのであります。窓口負担での上限額を2倍以上に引き上げたうえ、窓口で幾ら払うかわからない「償還払い」の導入をすることは、さらに高齢者の受診抑制を進めることになるのは明らかであり、わが党は反対であります。
また議案第171号福岡市九電記念体育館条例案は、九州電力株式会社所有の九電記念体育館について、建物は寄付、土地は7年間無償譲渡を受け、市の体育館とするための条例整備であります。しかしながら、九電体育館は今でも充分に活用されており、市の管理下においたからといって、市内の体育施設が増えるわけではありません。市は新設するより安上がりだと、強調しておりますが、実際には、その活用にあたって必要な改修や維持管理費7年分、解体費等で約7億円の市費が必要であり、一方、九電にとっては、負担すべき固定資産税の7年分2億ないし3億円の市への納入が免除されるのであります。これは、武道館つき体育館建設中止の代替を口実に、九電がおこなってきた体育館運営や老朽施設改修等の肩代わりを税金でおこなうに過ぎず、しかも「福岡市九電記念体育館」と企業名を冠した名称はそのまま残すなど、まさに至れり尽せりであり、わが党は賛成しがたいものであります。
次にわが党が賛成する議案のうち、NPOボランティア交流センター条例案について一言述べておきます。NPOやボランティア支援のためのセンター設置には賛成であります。しかしながら、その設置場所は、青年センターの5階、卓球やイベント等のためのホールをつぶしてつくられたのであります。そのためそこを活用していた卓球クラブは3月で解散を余儀なくされ、従来おこなわれていた青年団体の交流会の場も失われたのであります。本市の数少ない青少年のための貴重なスペースを削ることは本来許されないことを強く指摘しておきます。
以上でわが党の反対討論を終わります。