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議会報告

2002年3月臨時議会

日本共産党の反対討論

2002年3月26日 日本共産党福岡市議団 綿貫英彦議員

私は、日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている諸議案のうち、議案第34号ないし37号、39号ないし50号、53号ないし59号、61号、68号、74号、75号、83号、84号、87号ないし89号、98号、99号、101号、103号ないし105号に反対し、討論を行います。わが党の意見については、代表質疑および補足質疑、分科会審査ならびに総会における質疑で述べておりますので、ここではその基本点といくつかの問題について述べます。


日本経済はいま、所得、消費、生産が連鎖的に落ち込み、物価下落が同時に進む、かつて経験したことのない、いわゆる「デフレの悪循環」の危機に陥っています。昨年の企業倒産は1万9441件、完全失業率は昨年末には過去最悪の5.5%となりました。国民生活関連の指標は過去最悪を更新し続けています。昨年、福岡地区の有効求人倍率0.51倍は全国平均以下、本市における企業倒産は293件と過去最大であります。小泉内閣が「構造改革」と称して、倒産、失業、社会保障切り捨てなどの激痛を国民に押しつけていることが、こうした景気の悪循環をいっそう深刻にしているのであります。

小泉内閣の2002年度政府予算案は、医療費を中心に社会保障費を削り国民に負担を押しつけ、文教費や中小企業対策費は削減する一方、従来型公共事業を継続し、軍事費を増額、大銀行支援の70兆円枠も温存するなど、大企業・大銀行応援、暮らし冷遇の予算となっています。また地方交付税の削減や地方自治体への借金押しつけをすすめています。今日の経済危機を打開するためには、経済運営の軸足を、国民の暮らしと営業に置く方向に転換することが求められているのであります。したがって、市長は、政府に対し、無駄な公共事業をやめて、暮らしと福祉を充実する予算に抜本的に組み替えるよう要求すべきであります。


本市においては、1998年の市長選挙において、市政の転換を求める市民の審判が下りました。すなわち、「開発行政からの転換で生活優先の市政を実現する」「腐敗の一掃と財政再建に取り組む」市政こそが、市民から強く求められたのであります。ところが、山崎市長の3年有余は、公約を投げ捨て、「アジアの交流拠点都市づくり」の継承による開発行政と開発破綻救済に血道を上げ、4年間で借金を3647億円も増やして財政危機を一層深刻にし、そのツケを行財政改革の名で市民と市職員に押し付け、敬老パスの縮小・廃止をはじめ暮らしと福祉の切り捨てをすすめて、市民を欺き続けてきたのが実態であります。

こうした開発行政のもとで、政・官・業の癒着構造は根深く、今なお腐敗体質が温存されようとしていることは極めて重大であります。

したがって今日、市政に求められているのは、「小泉改革」による医療改悪やリストラ推進など国民生活の土台を揺るがす攻撃から、市民の暮らしと福祉を守るとともに、無駄と浪費の大型開発優先の市政から、市民の安全、健康、福祉を保持するという自治体本来の姿に立ち返ることであります。


しかるに、山崎市長の2002年度予算案は、福祉や教育など生活関連予算を抑制・削減する一方、最大の開発である人工島へ予算を一極集中させるものであり、「あとは野となれ山となれ」とでも言うべき破滅型予算となっていることが最大の特徴であります。

一般会計は、3年ぶりの増額となりましたが、その主な要因は商工金融資金や博多港開発への低利融資の償還金など諸収入の増、基金のとりくずし、臨時財政対策債などであり、市税や利子割り交付金の減額など税財源の減少が顕著であります。

歳出面では、子ども総合相談センター建設や子ども行政の一元化などにより保健福祉費の伸びはあるものの、3400人を越す待機者を抱える特別養護老人ホームの整備費は新規がわずか3ヵ所240人分、保育所整備費も増築2ヵ所にすぎません。教育費はまたも削減され、一般会計に占める構成割合は8.2%と過去最低を更新し続けています。さらに国保が医療・介護合わせて1.83%の値上げ、また、市立高校等授業料も値上げするなど市民負担増も押しつけられています。

一方、人工島建設は、銀行の要求に応じた事業見直しを行い、新年度、他局の予算も集中して、増資や低利融資、土地の買い上げなど過去最高の343億円を投じ、博多港開発が整備すべき道路や公園を巨額の市費で肩代わりしようとしています。また、SBC破綻救済策として8億円余、新空港の推進に1億円、区画整理6事業で133億円、都市高速道路に63億円、その他、九大を核とした学術研究開発拠点づくりなど、大型開発には莫大な予算が組まれ、さらに国際会議場建設など従来の公共投資が委託金に姿を変えてゼネコンの仕事づくりが行われているのであります。また、イベント予算も膨れ上がっております。

この結果、市債残高は一般会計だけでも1兆3193億円、起債制限比率はさらに上昇し、17.7%にものぼる危険な状態であります。年度末の借金は3会計合計で2兆5932億円となり、市民一人当たり191万円にもなるのであります。まさに、とどまるところを知らない借金地獄と言わなければなりません。


以上のように、山崎市長の2002年度予算案は、国民に激しい痛みを押しつける小泉内閣に追随し、大型開発をすすめ、破綻すればさらに税金を投入する、そして行財政改革の名で市民犠牲を増大させるものであり、地域経済と市民生活にいっそうの困難がもたらされることは明白であります。これはまさに、銀行やゼネコンなど大企業奉仕の自民党政治そのものであります。

いま市政に必要なことは、莫大な財政負担をともなう人工島の推進をきっぱりやめ、埋め立ての中止と計画の縮小見直しを行うことであります。そして、公共事業を無駄な大型開発中心から、住宅や福祉などの生活密着型に転換するとともに、暮らし、福祉、介護、医療、教育、環境を最優先する市民本位の市政へ抜本的に転換することです。こうした転換によってこそ、不況打開と財政再建の道も切り開けるのであります。2002年度予算案にはこの見地が全く欠落しており、わが党の賛同できないところであり、また、消費税転嫁を含む予算諸議案には反対するものであります。


次に、わが党が反対する議案のうち、いくつかの問題について、その理由を明らかにしておきます。

第1は、人工島建設についてであります。

市民の反対世論を押し切って進めた人工島事業は、これまでに事業費2100億円、約4割を埋め立てたものの、博多港開発の土地売却の見通しもなく、新生銀行から融資が打ち切られるなど、今や、破綻は明らかであります。こうした中、市長は銀行団の要求に応じて事業見直しを行い、本来、博多港開発が負担すべき道路や公園を肩代わり整備し、鉄軌道や都市緑化フェア、環境共生都市づくりなど、新たな公共事業を導入しようとしており、少なくとも900億円を超す税金が投入されようとしています。新年度予算案では、博多港開発への増資や200億円の低利融資、土地の買い上げなど過去最高の343億円が計上されており、破綻した人工島に予算も人も集中して「全庁をあげて取り組む」という市長の姿勢は、市民不在で極めて異常であります。人工島建設を推進すれば、人工島はまさに借金の島となり、本市財政が破滅の道に突き進み、暮らしや福祉の切り捨てにつながることは明白であります。したがって、新たな埋め立てや浚渫工事を凍結し、計画を縮小すべきであります。また、竣工した土地については、巨額の市費投入をやめ、売却して投下した事業費を取り戻すことを含め、市民参加、市民本位で利用を見直すべきであり、残る工区は擬似湿地として保全ないし改善すべきであります。


第2は、大型開発と破綻救済の問題についてであります。

博多リバレインの地下2階に入居させる3施設に新年度8億円余を計上し、今後年間1億3000万円もの家賃を払い続ける計画は、本市が出資もしていないエスビーシーに税金を投入する異常な破綻救済であり、撤回するとともに、「都市未来ふくおか」から出資を引き上げ、解散を要求し、渡辺通一・三丁目市街地再開発計画は中止すべきであります。新空港の推進のため1億円の予算を計上しておりますが、空港建設先にありきの「新福岡空港構想」は撤回して市民・県民の広い議論にゆだねるべきであります。また、公約違反の国際会議場については、周辺施設を含め、計画を見直し、香椎駅周辺土地区画整理事業については、この際、白紙に戻して、まちづくり計画を協議するよう求めるものです。

自然動物公園構想と「九州大学学術研究都市構想」は、自然破壊、巨額の財政負担、市民犠牲をともなうものであり、きっぱり取りやめるべきです。


第3は、本市の公共事業をめぐる汚職腐敗事件の徹底究明と再発防止についてであります。

木山総務企画局長が逮捕された河本建設談合贈収賄事件、浜田副議長あっせん収賄事件など、公共事業をめぐり、政・官・業の構造癒着という重要問題が突き付けられているにもかかわらず、市長は、まともな調査を行わないなど汚職・腐敗を一掃するという姿勢が見えず、入札制度改革の効果もあがっていません。市政に対する市民の信頼は失墜しており、今、市長の政治姿勢が厳しく問われているのであります。わが党は、大企業・ゼネコン奉仕の破綻救済と開発行政を改めるとともに、今こそ、汚職腐敗事件の真相解明と政・官・業の構造癒着の一掃に取り組むことを強く要求するものであります。


第4は、本市の財政再建と真の行財政改革についてであります。

市長は「プライマリーバランスは達成した」などと言いますが、本市の財政は、借金が4年間で3647億円増え、年度末の借金総額は3会計合計で2兆5932億円にものぼり、危機的な状態に陥っています。借金のおおもとにある開発行政を改めることなしに財政危機を克服できないことは明白であり、ましてや、借金財政のつけを市民生活に押しつけるやり方は全く逆立ちしており、市民の納得は得られません。したがって、「第2次行財政改革大綱」を撤回することとあわせ、ゼネコン浪費型公共事業を抜本的に見直し、大型開発予算を大幅に削減するとともに、介護や医療など社会保障、教育、農業、中小企業といった生活関連事業を充実するなど、自治体本来の役割を果たすことを基本にした市民本位の行財政改革を行うよう要求するものであります。


第5は、市民の暮らしと環境に関わる問題についてであります。

国民健康保険料の値上げは、いっそう滞納者を増やして受診抑制を進行させ、その結果、病気が重症化し、医療費が増え、国保財政が悪化するという悪循環を一層深刻にするものです。市費を大幅に繰り入れて保険料を引き下げるとともに、医療を受ける権利を奪う資格証発行は直ちにやめ、保険証は原則交付し、減免制度を拡充するなど、市民が安心して医療を受けることができるようにすべきであります。また、介護保険は、低所得のお年寄りに対する保険料や利用料の独自減免制度を創設するとともに、特別養護老人ホームの整備予算を大幅増額するよう求めます。

この不況の中、雇用と中小企業を守る本市の取り組みが重要です。本市職員の削減をやめ、増員して長時間、過密労働の常態化を解消するとともに、市内の主要企業に対して雇用拡大を働きかけるべきであります。中小企業対策予算を増額するとともに、中小企業向け官公需発注比率を70%以上へ引き上げるべきです。生活保護については、保護申請書等を窓口カウンターに置くとともに、扶養義務や就労の強制、「同意書」や辞退届の強要など冷酷極まる保護行政を改めるべきであります。市営住宅は、入居希望者が増加しており、大幅に増やすべきです。

家庭ごみ収集の有料化や、新東部清掃工場の福岡クリーンエナジーへの委託は、環境行政における市の公的責任を放棄するものであり、また大野城・太宰府両市からの臨海工場へのごみの受け入れは、臨海工場設立の経過と住民合意にも、ごみの自治体内処理原則にも反するものであり、やめるべきであります。ごみ処理基本計画の改定にあたっては、実際にごみを減量し、処理施設計画も縮小する方向で見直すべきです。


第6は、保育と教育の問題についてであります。

保育所待機児が730人と急増するなか、在園児が追い出される事態も起きており、公的責任を果たすためにも、保育所整備が緊急課題であります。しかるに、新年度予算案では増築2ヶ所、定員100名増しか措置されておらず、全く不十分であります。わが党は、三苫など必要な地域への保育所の新設、無認可保育所の認可化を急ぐこと、緊急的措置として、保育所の増築予算を大幅増額して、入所希望者を受け入れるよう強く要求するものです。また、市費を大幅に繰り入れて保育料を引き下げるとともに、民間保育園への補助金の大幅削減は撤回すべきであります。あわせて、産休明け保育については、要求が強く、実施に踏みきるべきです。

子どもと教育の現状は、学級崩壊、非行、いじめ、体罰、不登校の増加等々いっそう深刻になっております。今日の事態は、政府・文部科学省が続けてきた受験中心、競争と管理の教育政策が生み出したものであります。新年度から学校週五日制とともに系統性を欠く新「学習指導要領」も完全実施される中、いま必要なことは、憲法・教育基本法、さらに子どもの権利条約に則り、「真理と平和を希求する人間の育成」のため、過度の競争教育を改め、基礎的な学力の保障など、すべての子どもたちの成長、発達を中心に置いた学校教育に改めることです。したがって、教育費の削減はやめ、増額するとともに、30人以下学級の早期実現を国、県に強く要求し、本市自身の責任において年次的にでも30人以下学級を実施すべきであります。あわせて、市立高校と幼稚園の授業料値上げは、保護者に過重な負担を強いるものであり、撤回すべきであります。

留守家庭子ども会事業の教育委員会から保健福祉局への移管は、父母や関係者の間で混乱や事業内容の後退を心配する声が広がっており、撤回すべきであります。また、指導員の人件費や施設費などを保護者負担とすることは許されません。留守家庭子ども会事業は従来どおり社会教育事業として実施、充実し、あわせて、指導員を増やすなど態勢を整えて土曜日も開設することを求めるものであります。また児童館は、小学校区ごとの設置に直ちに着手すべきです。

子どもに悪影響を及ぼす場外馬券売り場、車券売り場の設置については、市民の声に応え、市長はきっぱりと反対を表明し、国や関係者に働きかけることを強く求めるものであります。


第7は、同和行政についてであります。

今日、部落問題は基本的に解決し、国はいっさいの同和特別対策の終了を明確にし、地対財特法も失効します。本市が103の同和対策事業のうち85事業を継続することは異常であり、時代逆行も甚だしいと言わざるを得ません。わが党は、「人権・同和行政基本方針」を直ちに撤回し、同和特別対策を全面的に廃止するとともに、解同市協議会への団体補助金4930万円を全額削除するよう強く要求するものです。同和啓発、同和教育の存続は、部落差別を普遍化、永久化させるものであり、きっぱりと廃止するとともに、「人権教育基本方針」の策定はやめるべきであります。


最後に、市民の安全と平和を守る問題についてであります。

市民の安全と生活、平和を守るため、政府に対し、有事立法の制定を断念すること、および米軍の武力行使と一体不可分の輸送・補給活動を自衛隊に押しつけるテロ対策特別措置法を廃止することを要求するとともに、福岡空港、博多港の軍事利用と、戦争への協力要請をきっぱり拒否すべきであります。


以上でわが党の反対討論を終わります。


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