政策と活動
2025年度予算要望
- 2025年度予算編成に関する申し入れ
- 2025年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望(389項目)
-
- 国の悪政の「防波堤」となり、市政の大もとから見直しを(6項目)
- 医療・介護・障害福祉などケアを支える市政を(69項目)
- ムダな大型開発をあらため、市民の生活・安全優先のまちづくりを(87項目)
- 気候危機打開へ、地域と地球の環境守る先頭に(28項目)
- 物価高騰とコロナの影響に苦しむ中小企業・小規模企業者、農林水産業を支援し、地域経済の立て直しを(23項目)
- 憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもを人間として尊重する教育・文化行政の推進を(76項目)
- 子どもの権利が守られ、安心して子育てできる福岡市に(37項目)
- あらゆる分野でジェンダー平等を進める(17項目)
- 憲法の平和・民主主義の理念を福岡市のすみずみに(46項目)
2025年度予算編成に関する申し入れ
2024年12月10日
福岡市長 髙島 宗一郎 殿
福岡市教育長 石橋 正信 殿
日本共産党福岡市議団
団 長 中山 郁美
幹事長 倉元 達朗
堀内 徹夫
綿貫 康代
10月の総選挙で、国民は自民・公明政権に対する歴史的審判を下しました。これは、裏金問題への怒りと同時に、暮らしの困難への無為無策、大軍拡には巨額の税金を使いながら暮らしの予算を切り詰めるなど、経済や外交・安全保障を含む自民党政治の全体に対する不信や怒りのあらわれです。まさに国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索し、探求する、新しい政治プロセスが始まったと言えます。この選挙で示された「自民党政治から抜けだして新しい政治をつくりたい」という国民の民意のベクトルに逆行する立場をとるならば、厳しい批判が寄せられ、市民から見放されることは明白です。いまこそ憲法の精神を生かして、国がすすめる悪政から住民を守る「防波堤」の役割を果たし、住民の暮らしと福祉を良くするという自治体本来の仕事をすすめ、地方自治と民主主義を守り、発展させる方向へと市政を転換することが求められています。
髙島市長はこれまで、この自民・公明政権が推進してきた政治に追随するだけでなく、率先して実行する先導役になってきました。今回の総選挙結果は、この髙島市政に対しての審判でもあったと言っても過言ではありません。市長は「都市の成長」と言って大型開発や呼び込み路線を続け、規制緩和をすすめてきました。しかし「生活の質」、つまり市民生活の向上につながっているとは到底いえません。市民のなかでの貧困の広がりや中小零細業者の廃業・倒産などが相次いでいるという市内の現状がそれを証明しています。この市長が進める従来の路線では市民の暮らしの困難を打開することにはつながらず、いまこそ、社会保障の充実や教育の公的負担の軽減、給付の増額など、市としてできることを最大限にやるべきときです。
私たちはこうした立場から、2025年度予算編成にあたっての重点要望を貴職に申し入れます。
2025年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望
1、国の悪政の「防波堤」となり、市政の大もとから見直しを
物価高騰が長引くもとで、暮らしの困難がひろがっている。労働者の実質賃金は2013年の自民党政権復帰後の11年間で年収で404万円から371万円へ33万円も減る一方、同時期の大企業の内部留保は200兆円以上膨らみ539兆円に達している。このおおもとには「大企業が儲ければ、それが滴り落ちて国民全体が潤う」という財界・大企業の利益優先の自民党政治があるが、このような時代遅れのトリクルダウン政策は物価高騰から市民の暮らしを守るうえでも、日本経済を再生するうえでも百害あって一利なしである。また、自公政権は2022年末に「安保3文書」を策定し、他国の領土にミサイルを撃ち込む「敵基地攻撃能力」の保有や5年間で43兆円もの軍事費をつぎこむ大軍拡につきすすんでいるが、この動きは国民・市民に更なる負担を押し付けるだけでなく、「軍事対軍事」の悪循環をエスカレートさせ、戦争の危険をもたらすものである。さらには、石炭火力と原発を推進し、大手電力会社による再生可能エネルギーの出力制御を許すといった気候危機打開に逆行するような動きや、「米不足」を招いた農家への減産押し付け、食料主権を放棄するような輸入自由化路線といった自民党農政なども市民・国民の暮らしに深刻な危機をもたらしている。いまこそ本市が国の悪政から市民を守る「防波堤」の役割を果たすことが求められている。
(1)国の悪政から市民を守る
- 500兆円を超えて積み上がっている大企業の内部留保に時限的に課税することで中小企業の賃上げ支援の財源を確保して最低賃金を速やかに時給1500円に引き上げるとともに非正規労働者の待遇を改善し、「1日7時間、週35時間労働制」への移行や時間外・休日労働の上限規制を設けることで労働時間の短縮をはかるよう国に求めること。
(答)
最低賃金の引き上げにつきましては、最低賃金法に基づき中央または地方の最低賃金審議会において適切に決定がなされております。また、中小企業の賃上げ支援や非正規労働者の待遇改善、労働時間の縮減などにつきましては、賃上げ促進税制や助成金など、 国において事業者に配慮した対応がなされているものと認識しております。
- 消費税を緊急に5%に減税するとともに、これまで行ってきた法人税減税を元に戻すことや富裕税などの創設、GDP2%への大軍拡予算の削減などムダづかい一掃で財源をつくり、最低補償年金制度の導入や高すぎる医療費窓口負担の軽減など社会保障を削減から充実へと転換するとともに、教育予算を抜本的に増やすよう国に求めること。
(答)
消費税につきましては、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全て の世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられているものと認識 しております。(財政局)
教育につきましては、毎年、指定都市教育委員会協議会などを通して、教職員配置の充実改善 や学校における働き方改革の推進、学校教育の振興充実などについて、国に要望しております。 (教育委員会)
- 新しい需要と雇用を生み出し地域循環型経済の発展をすすめるために、原発ゼロや石炭火力発電からの撤退を決断し再生可能エネルギーを抜本的に増やすことを国に求めること。また、価格保障・所得補償の充実をはかることとあわせて「輸入自由化」路線を転換することで食料自給率を早急に50%に引き上げる計画を持つよう国に求めること。
(答)
原子力発電を含めた電源構成につきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えております。(環境局)
食料自給率につきましては、国において、新たな食料・農業・農村基本法に基づき、食料・農業・農村基本計画の改定に向けた検討がなされており、動向を注視してまいります。(農林水産局)
- 「安全保障3文書」に基づく「敵基地攻撃能力」の保有や5年間で43兆円もの軍事費をつぎこむ「戦争国家」づくりを改め、集団的自衛権行使容認の閣議決定と安保法制を廃止するとともに、対話と協力の外交に力を入れるASEANと協力して東アジア規模の平和の地域協力の枠組みを発展させるよう国に求めること。
(答)
国の安全保障のあり方につきましては、国の専管事項であり、国におきまして十分な議論を行っていただきたいと考えております。
(2)市政転換
本市は「都市の成長」を「生活の質の向上」に結び付けるという名目で、大型開発や大型イベントをすすめてきた。しかし、市民の生活は良くなるどころか長引く物価高騰の影響を受けてさらに厳しくなっており、市内中小企業・小規模事業者の経営が悪化し続け倒産・廃業が相次いでいる。また、加齢性難聴者の補聴器購入補助や学校給食費無償化などの市民の切実な願いには背を向け、学校施設の改修や抜本的な水害対策など必要な施策にはお金を使わない、市民に冷たい市政運営がなされている。「天神ビッグバン」・ウォーターフロント再整備などの大型開発、大型イベント優先の税金の使い方を改め、市民の暮らしや市内中小業者の営業を応援し、地域循環型経済へ転換すること。
(答)
福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定した総合計画に基づき、都市の成長と生活の質の向上の好循環を創り出すことを基本戦略としてまちづくりを進めており、第3次産業が9割を占める福岡市の特性なども踏まえながら、経済的な成長と心豊かな暮らしのバランスがとれたコンパクトで持続可能な都市の実現を目指してまいります。
(3)福岡市基本計画
市長が提案している「第10次福岡市基本計画」では、破たんした「生活の質の向上と都市の成長の好循環」という前期の計画の基本戦略をそのまま踏襲している。また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げながら、「貧困をなくそう」も「ジェンダー平等」も書かれておらず「SDGsウォッシュ」に他ならない。しかもその評価指標はすべて「市民意識」で設定されており、施策の具体的・客観的な達成目標がなく問題である。破たんした大企業中心の都市の成長戦略を抜本的に見直し、SDGsの掲げる目標を基本に、達成目標も「市民意識」ではなく、具体的なものを掲げるよう抜本的に見直すこと。
(答)
第10次基本計画につきましては、すべての分野別目標で「市民意識」を測ることにより、目標全体の進捗に対する市民の実感を大切にするとともに、各施策・事業における客観的なデータなどにつきましては、政策推進プランに位置付け、社会の変化にも柔軟に対応しながら、基本計画と政策推進プランを一体的に推進してまいります。
2、医療・介護・障害福祉などケアを支える市政を
(1)マイナンバー保険証について
マイナンバーカード保険証の運用開始以来、誤った情報が紐づけされている等の問題が全国で多発しているにも関わらず、石破政権は12月2日から紙の保険証の新たな発行を行わない運用を強行した。各種世論調査では70~80%が反対や不安の声を上げており、医療関係をはじめ多くの団体も「医療現場の負担は増大する一方、個人情報や医療を受ける権利が守られなくなる」等として方針撤回を求めている。石破首相自身も総裁選において「併用」を選択肢として示したにも拘らずこれを反故にしたことに対して国民の怒りはひろがっている。国に対して、マイナ保険証の押し付けを中止し、従来の紙の保険証との併用を認めるよう強く求めること。
(答)
マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきましては、福岡市国民健康保険の保険者として、法令に基づき適切に制度を運用していくとともに、国に対し、国民への丁寧な説明や制度の周知などを求めてまいります。
(2)国民健康保険について
- 本市の国保世帯の平均所得は約83万円と低い水準にとどまっており、所得200万円以下の低所得者がその約82%を占めている。3年半にわたるコロナ禍に加えおさまらない異常な物価高は低所得層が多い被保険者の経済的負担を増大させており、元々重い負担となっている保険料の軽減が強く求められている。しかし市は、「収入未済」や「減免」分等を保険料に上乗せする方式を続け、一般会計からの法定外繰り入れを削減し、今年度の1人当たり保険料は史上最高額となっている。「上乗せ方式」をやめるとともに、国や県の圧力をはねのけ、一般会計からの法定外繰り入れを物価高騰に見合うよう抜本的に増やし、保険料の大幅引き下げをはかること。
(答)
国民健康保険料の算定につきましては、法令などの定めに従い、必要とする保険料収入額を確保できるよう適正に行っております。
福岡市につきましては、一般会計からの多額の繰入により保険料負担の軽減を図っておりますが、法定外繰入は、その財源が市税であるため、国保加入者以外の市民の方は、前期高齢者納付金と併せて、二重に負担する構造となっております。
また、国は「決算補填等目的の法定外繰入金」を赤字と定義し、6年を目安に計画的・段階的な赤字の削減・解消に取り組むことを定めており、その額は縮小していく必要があります。
- 子どもの均等割分については対象年齢によって免除や軽減に格差を設けることに道理はない。18歳までの全てのこどもを対象にし、全額免除とすること。併せて、国に対して全国知事会が要求している「公費1兆円の投入」で均等割、世帯割をなくし保険料の協会けんぽ並みへの引下げを可能にするよう求めること。
(答)
子どもに係る均等割保険料につきましては、子育て世帯の負担軽減を図るため、令和3年度から福岡市独自の措置として、多子世帯を対象に保険料の軽減を実施しております。また、国においても、令和4年度から子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児の均等割保険料を半額にする軽減制度が導入されております。
なお、国に対しましては、子どもに係る均等割保険料の軽減制度を拡充するよう要望するとともに、国民健康保険事業の安定的かつ持続的な運営ができるよう、医療保険制度の一本化などの抜本的改革や財政基盤強化のための国庫負担割合の引上げを引き続き要望してまいります。
- 現在本市においては到底高額所得者と言えない世帯が年106万円もの保険料最高額を強いられている。賦課限度額の引上げは止め、「応益割」偏重の是正など、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。
(答)
賦課限度額につきましては、政令により上限額が定められております。
また、保険料の算定につきましては、法令などの定めに従い、医療給付費などの見込総額から、国や県等の支出金などの見込総額を控除した額をもとに、収入未済や減免などの影響を考慮したうえで、必要とする保険料収入を確保できるよう適正に行っております。
- 「都道府県単位化」は、国保の構造問題を解決しないまま自治体の主体性を奪い、住民負担増や滞納制裁強化、一般会計繰入の抑制等を強制するやり方であり、すでに大きな影響を生み出している。見直すよう国に求めること。
(答)
国民健康保険の財政運営の都道府県単位化につきましては、持続可能な医療保険制度を構築し、将来にわたり国民皆保険制度を堅持するため、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、市町村は引き続き保険料の賦課徴収や保健事業などを行っております。
- 本市の保険料減免世帯比率はコロナ禍の影響が残っていた前年度においてもわずか5.39%にとどまるなど、極めて低い水準にある。物価高騰の影響が拡大し続ける今こそ「所得が前年に比べて30%以上減少」という条件を「前年比20%以上」に改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して適用対象をひろげ、広報を充実させること。また、減免申請については前年度の所得が確定する時期を待たず、保険料確定後のいずれの時期においても見込みで受理し決定すること。
(答)
保険料の減免につきましては、福岡市国民健康保険料減免基準に基づき、災害などにより損害を受けた場合や、所得が前年に比べて30%以上減少する場合、生活保護の適用を受けることになった場合など、保険料の納付が困難となった被保険者を対象として実施しております。市民への減免制度の周知につきましては、今後も国民健康保険加入の全世帯に発送する保険料決定通知書に同封のリーフレットや市政だより、ホームページなどの広報に努めてまいります。また、納付相談の方には事情を十分にお聴きして、きめ細かく丁寧に対応してまいります。なお、所得が著しく減少し生活が困難となった事情などをしっかりと確認して減免を適用してまいります。
- 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が12年連続0件という異常な事態となっており、改善が図られていない。「前年度比3割以上の減少」という収入要件等の厳しい条件が付されていることによって、日常的に生活が厳しい人は適用されない等の矛盾が引き起こされており、早急に要件を見直し、困窮者を救える制度へと改めるとともに、ホームページや市政だより等で広報すること。
(答)
本制度は、失業などの特別な理由により収入が著しく減少し、一時的に一部負担金の支払いが困難となった場合の措置であることから、収入要件を設定しているものです。
- 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、わずかな預金132円を差し押さえる事例や公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれているなど、異常なやり方が横行している。公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常、機械的なやり方はただちにやめること。
(答)
国民健康保険料を滞納している世帯につきましては、督促状や催告書などの文書や電話などにより可能な限り接触の機会を確保し、自主納付の説得に努めております。
しかしながら、負担能力がありながら度重なる納付説得にも応じず、長期にわたり滞納を続けている世帯に対しましては、保険料収入の確保と被保険者間の負担の公平性確保の観点から、やむを得ず差押などの滞納処分を実施しており、今後とも法令を遵守し業務を行ってまいります。
(3)後期高齢者医療制度等について
- 福岡県の保険料は全国的に見ても高い水準のまま推移し2017年度から強行されてきた特例軽減の段階的廃止縮小並びに賦課限度額の引上げ、現役世代の負担軽減や少子化対策の財源確保のためとした被保険者の負担割合の見直し等によって、2024・2025年度の第9期保険料は一人あたり9万427円と史上最高額となっている。長引いたコロナ禍に加え、継続している異常な物価高騰と年金引き下げによる生活困難もひろがっており、第9期保険料については剰余金や各種基金を最大限活用し、保険料の緊急引き下げを行うよう広域連合に求めること。また、保険料特例軽減の復活を国に求めること。
(答)
後期高齢者医療制度は、必要な医療費を被保険者の保険料、現役世代からの支援金及び、国・県・市町村の公費で賄う制度であり、被保険者の方にも応分の負担をお願いする仕組みとなっております。
後期高齢者医療の保険料の算定につきましては、県後期高齢者医療広域連合において、運営安定化基金などの活用も含め、適切に対応していくこととされております。
保険料の軽減につきましては、世帯の所得に応じて均等割の7割・5割・2割を軽減する減額制度が設けられております。国において、制度発足時の激変緩和措置として、平成20年度以降、本則の軽減を拡大する措置が実施されておりましたが、世代間・世代内の公平を図り、能力に応じた負担を求める観点から、平成29年度より段階的に見直しが行われました。福岡市といたしましては、国の動向を注視するとともに、制度改革による急激な変化への十分な配慮、丁寧な説明及び周知について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。
- 後期高齢者の医療費窓口2割負担の拡大が強行実施されて以降、一人あたり年5万円以上の負担増となり「受診回数を減らした」「食費を抑えて預貯金を切り崩している」など、受診抑制や生活困難がひろがっている。3割負担への更なる拡大の検討は中止するとともに2割負担を1割に戻すよう国に求めること。
(答)
窓口負担割合の見直しにつきましては、後期高齢者医療制度を支える現役世代の負担増を抑制し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するため、国において法改正が行われたものであります。
なお、法の施行にあたっては、必要な受診が抑制されることがないよう、施行後3年間は、月あたりの負担増加額を最大3,000円とする措置も導入されております。福岡市といたしましては、国の動向を注視するとともに、制度改革による急激な変化への十分な配慮や、丁寧な説明及び周知について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。
- 無料低額診療事業は経済的困窮者にも医療を保障する重要な役割を果たしている。本市において実施する医療機関を増やすための取り組みを県とも連携し強め、制度の広報を市ホームページだけにとどめず、ポスターやパンフレット等でも広く行うこと。また、国に対して薬剤費への制度適用を求めるとともに、当面他都市でも徐々に広がる独自助成を本市でも実施すること。
(答)
無料低額診療事業につきましては、社会福祉法の規定に基づき実施される第二種社会福祉事業として位置づけられ、事業の実施に当たっては届出制となっております。
制度の広報につきましては、福岡市や生活自立支援センターのホームページに掲載するとともに、区役所の窓口でチラシを配布するなど、事業を実施している医療機関と連携し、周知に努めております。
また、薬剤費への制度適用につきましては、無料低額診療事業は社会福祉法に定める国の制度であり、国において対処すべき課題であると考えております。
(4)こども病院・市民病院
- こども病院・市民病院ともに医師、看護師等が業務量に見合った数になっておらず、職員へ過大な負担がかかることによって人材が流出し医療の質が低下している。人材流出を防ぎ医療の質を維持するためにも処遇改善をするとともに職員を正規で増員すること。あわせて、医師の計画的増員や診療報酬の改善をすすめ、医師の長時間・過密労働の是正をはかるよう国に求めること。
(答)
病院機構につきましては、患者の動向などを踏まえ、基準に沿って医師や看護師などのスタッフの適正配置が確保され、安心かつ安全な医療の提供に取り組まれております。また、職員の勤務条件などにつきましても、地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程等に基づき、適切な対応が図られております。
- 独立行政法人化以降、福岡市立病院機構の一時金の支給月額が福岡市と同様ではなく、年間支給月額の累計が合計すると0.8月低くなっている。病院機構に改善を指示すること。
(答)
職員の勤務条件などにつきましては、地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程等に基づき、病院機構において適切な対応が図られております。
- 病院機構では、職員間のパワーハラスメント等で疾病に追い込まれる事案が度々生じている。これまで起こった事案について、ハラスメントに至った背景など加害者・被害者双方の状況を分析し、再発防止策を強化するとともに、安心して通報できる体制をつくり、事案が起きた場合には被害者への補償をおこなうこと。
(答)
病院機構におけるハラスメント防止策につきましては、職員のハラスメントに関する理解を深めるため、全職員を対象とした研修が実施され、別途行われるアンケートの結果などの活用により、研修内容は適宜見直しが図られております。
また、相談しやすい体制をつくるため、マネジメントの強化やコンプライアンスの徹底を目的とした管理監督者に対する研修が実施されるとともに、各病院及び運営本部に設置する内部相談窓口に加えて外部相談窓口が設置されております。
- こども病院においては、小児・周産期医療の拠点としての重要な役割を果たす一方、病院機構の方針の下、採算性が優先されている。職員の勤務諸条件を改善し、職員の合意を大切にする民主的な病院運営へと転換するよう指導すること。また、バスのルートや便数を抜本的に増やすようバス事業者に強く要請するとともに、職員の駐車場利用枠を増やすこと。台風など強風時にタクシーを呼んでも断られるため、夜勤明けの職員が帰宅できなくなることがないように病院独自のバス借り上げ等の工夫によって災害時の通常業務に従事できるよう対策をとること。
(答)
職員の勤務条件をはじめ、労務管理や経営のあり方につきましては、病院機構において地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程などにより自律的に行われており、地方独立行政法人化した趣旨を踏まえ、適切な対応が図られております。
バスの運行につきましては、西日本鉄道㈱へ、こども病院の交通利便性の確保について協力要請を引き続き行うとともに、職員の駐車場利用につきましても、勤務実態や自家用車利用が特段必要と認められる場合及び緊急呼出や夜間勤務の状況などを考慮し、利用を許可しており、適切に対応されております。
また、台風来襲時は事前に服務の取り扱いを通知するなど、職員の出退勤に配慮されております。
- 市民病院で検討されている建て替えや移転について、職員への現状報告や説明もなく進んでいる状況がある。職員に随時説明しながらすすめることと。また、地域で医療を受けている住民にも大きな影響があるため、地域住民にも情報を提供すること。
(答)
福岡市民病院のあり方につきましては、福岡市病院事業運営審議会にて審議されており、同審議会は、原則、公開で開催しております。
また、同審議会の審議状況につきましては、病院内で共有されております。
(5)介護保険
- 介護の提供体制の崩壊という危機が進行している。ホームヘルパーなどの介護人材不足、経営悪化による事業所の撤退・廃業・倒産が続出している。特に政府が今年度から訪問介護の基本報酬を減らしたことは大打撃となった。介護報酬の増額、介護職員の待遇改善、介護事業の継続支援のために、介護保険の国庫負担を10%増やして公費負担を現行の50%から60%にするよう国に求めること。
(答)
介護保険制度は全国共通の制度として運用されており、介護報酬につきましては、各種調査などを基に国により設定されております。
引き続き、国の動向などを注視しながら、適切な介護報酬の設定や国の負担割合の引上げなどについて、国へ要望してまいります。
- 第9期福岡市介護保険事業計画では、保険料の基準額は年間8万2788円で8080円もの値上げとなっている。また15段階全てで値上げされ、制度開始時から約2倍以上と史上最高額になった。その結果、本市の保険料は政令市で5番目、県内で2番目の高さになっており、高齢者の生活を大きく圧迫している。市民の暮らしを守るため、市の一般会計からの繰り入れも行い保険料を引き下げることが求められているが、市は「適切でない」と否定的な態度をとり続けている。厚生労働大臣の国会答弁では自治体独自の繰り入れを否定しておらず、あらゆる手段を講じて保険料の引き下げを図ること。また、2024年9月末時点で143名に課している滞納者に対するサービス取り上げ等のペナルティはやめること。
(答)
介護保険料につきましては、3年ごとに介護保険事業計画を策定する中で、必要な介護サービス費用などを見込み、設定しております。設定に当たりましては、介護給付費準備基金を活用するなど保険料上昇の抑制を図っております。また、低所得者の保険料の負担軽減を図るため、独自の減免制度を実施するとともに、平成27年度から、給付費の5割の公費とは別枠で国費、県費、市費を投入しており、国の制度に基づき、今後もこれらの取組みを引き続き実施してまいります。
滞納者に対する保険給付の制限につきましては、被保険者の負担の公平性を確保するため、介護保険法に基づき実施しております。
なお、国に対して、国の負担割合を引き上げるといった財政支援措置や低所得者の保険料の負担軽減の拡大を図るよう、引き続き、要望してまいります。
- 2024年4月に3年に1度の介護保険制度改定がおこなわれ、訪問介護事業所の基本報酬が引き下げられた。国はこの引き下げをごまかすために特定事業所加算を作ったが、24時間の連絡体制確保や研修の実施など算定要件がきびしく、大半を占める小規模事業所にとってこの加算を受けることは容易ではない。今回の報酬引き下げによって利用者はさらに負担を強いられ、事業所の経営危機からサービスの提供が減る可能性が高く、必要な介護を受けられなくなる人が続発する危険がある。国に訪問介護事業所の基本報酬引き下げを撤回し、引き上げるよう求めること。あわせて、国が基本報酬を引き上げない間は市独自に訪問介護事業所への支援を行うこと。
(答)
介護保険制度は全国共通の制度として運用されており、介護報酬につきましては、各種調査などを基に国により設定されております。
訪問介護につきましては、令和6年度の報酬改定の影響を検証し、実情に応じた報酬体系の構築を検討するよう、引き続き、国に要望してまいります。
- 昨年5月から新型コロナウイルス感染症が5類に変更されたが、コロナによって高齢者が死亡する確率は依然高い。国に対し、コロナに対する医療費の公費助成を元に戻すよう求めるとともに、介護従事者への市の無料スクリーニング検査を復活させること。
(答)
新型コロナウイルス感染症に係る医療費につきましては、令和5年5月の5類感染症への移行後、他の疾病との公平性も考慮し、通常の保険診療と同様の負担を求めることとされましたが、急激な負担増を避けるため、令和6年3月末までの入院費や治療費につきましては、段階的な公的支援が行われ、令和6年4月以降は、季節性インフルエンザなどの他の疾病と同様に通常の保険診療による自己負担となっております。
また、介護従事者などに対するスクリーニング検査につきましては、国の方針を踏まえ、令和6年3月末に終了いたしました。高齢者施設への感染症対策につきましては、講習会での助言や注意喚起を継続して行うなど、引き続き、国の方針や感染状況に応じて適切に対応してまいります。
- 公益財団法人九州経済調査協会の調査によると、2030年までに介護サービス分野では福岡市で1900人もの人材が不足すると言われている。また第9期計画では介護人材の確保に外国人をあげているが、同調査では、年収の高い関東への流出が想定されており、外国人労働者で賄えるというのは幻想にすぎない。訪問介護事業所や訪問介護員とともに、介護にかかわるすべての職員の処遇改善のために市の独自支援を行うこと。市独自に保育士へ行っている家賃補助、奨学金補助を、介護職員にも実施すること。
(答)
介護人材の確保につきましては、国の指針により、国、都道府県、市町村などがそれぞれ役割を担い、人材確保策を推進することとされております。
国は、介護報酬改定を通した処遇改善や外国人介護人材の受入れに関する制度設計を、県は、資格取得のための就学資金貸付など、様々な取組みを行っております。
福岡市は、これらの取組みと連携しながら、介護職員初任者研修の無料開催及び資格取得者と介護事業所とのマッチング、外国人と介護施設とのマッチング、介護の魅力発信による人材のすそ野拡大などの「新規人材の参入促進」、ICTツールのモデル導入・検証によるDXの推進や経営力強化のためのコンサルタント派遣などの「労働環境・処遇の改善」、様々な研修を通した「資質の向上」に総合的に取り組んでまいります。
- 本市の特養ホーム待機者は2270人である。申込み者の数から「必要度の低い人」を除外する恣意的な判断によって実態より少ない人数に絞り込んだ上に、今期(2024年度~2026年度)における整備計画は190人分という極めて不十分なものになっている。このようなやり方は許されず、希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、早急に待機者解消を図ること。併せて、小規模多機能施設やグループホーム、宅老所などの基盤整備と公的補助を強化すること。また、「要介護1・2」の特養ホーム入所からの締め出しをやめ、入所条件を緩和するよう国に求めること。
(答)
特別養護老人ホームにつきましては、令和4年度に実施した特別養護老人ホーム入所申込者実態調査の結果などを踏まえ、令和6~8年度を計画期間とする「第9期介護保険事業計画」に整備目標量を定め、この計画に基づき、整備を進めております。
小規模多機能型居宅介護やグループホームなどにつきましては、「介護保険事業計画」に基づき、計画的に整備を進めるとともに、小規模多機能型居宅介護などの新規開設事業者に対しては、令和3年度から市費を投入し、建設費補助を増額しております。
また、平成27年4月から、特別養護老人ホームは新規入所者について、原則、要介護3以上の中・重度の要介護者を支える施設としての機能が強化されましたが、要介護1・2の方でも、居宅での生活が困難であると特別養護老人ホームが判断した場合には、保険者の意見を聞いたうえで施設への特例入所を可能としております。
- いきいきセンター(地域包括支援センター)がおこなう総合相談支援においては、年々相談件数が増加傾向で、職員1人が受け持つケース数が108件となっている。また専門職相談員の不足により相談業務が行えないことや、ケアマネージャーの不足により、相談員がケアプランを作成せざるを得ないなどで、業務が正常に行えず市へ委託料の一部を返金する事態がおきている。もともとの低い配置基準を改めるとともに、市独自の財政支援施策を行うこと。現在57ヶ所で中学校区に1つしかない状況を改め、増やすこと。
(答)
地域包括支援センターにつきましては、平成27年度に、従来の39か所から57か所に増設するとともに、職員定数は平成26年度の156名から、令和6年度までには268名に順次増員するなど、体制の拡充を図ってきたところであり、今後とも、高齢者一人ひとりのニーズを踏まえた支援に取り組んでまいります。
(6)高齢者
- 高齢者乗車券については、申請書の記入ミスなどでのちに変更しようとしても一切受け付けない対応がなされている。このような対応を改めること。要望の強い所得要件及び利用上限額廃止や、ICカードとタクシー助成券、渡船乗車券などの併用を可能にし、高齢者の移動権を保障すること。タクシー助成券については、1回に使える金額が500円から1000円になったが不十分であり、上限を撤廃するとともに、有効期限をなくすこと。
(答)
高齢者乗車券は、70歳以上の市民に広く認知され、利用されている制度であり、高齢者の社会参加の促進に寄与しているものと考えております。
これまで、郵送・オンラインでの申請及び交付、オンデマンド交通に利用できる新たな券種の追加などを行ってまいりましたが、さらに、令和6年度分からは、タクシー助成券を1乗車につき2枚利用できることとするなど、改善を図っております。
今後とも、持続可能な制度としながら、利用者の利便性の確保に取り組んでまいります。
- 加齢性難聴は高齢者の引きこもり、孤立、事故、そして認知症の大きな原因になり、その対策として補聴器は有効であると専門家も指摘している。しかし、その購入費用は数十万円におよび負担が非常に重く、補助を求める声が広がっている。市は「加齢性難聴は加齢に伴って誰にでも起こり得る」と言いながら、自己責任を押し付け補助金創設にも背を向けている。しかし、誰にでも起こりうることだからこそ行政の支援が不可欠である。福岡市が手をこまねいている間にも実施自治体は広がり、ことし1月時点で238に広がっている。本市でも加齢性難聴者の補聴器購入費補助制度を創設すること。
(答)
加齢性難聴につきましては、国において、補聴器を用いた聴こえ方の補正による認知機能低下の予防効果などの研究が進められております。加齢による聞こえづらさや見えづらさなど、老化に伴う身体機能の低下は誰の身にも起こり得ることであり、これに対応した社会生活上の支援を行うことにつきましては、その効果を見極めながら、慎重に検討していく必要があるものと考えており、引き続き、身体障害者手帳を取得されている方に対して、補聴器購入に対する助成を行うとともに、国などの動向を見守ってまいります。
(7)原爆被害者
原爆被害者の相談事業や被爆証言活動等は本来行政が行うべきものであるが、本市は僅かな補助金で「原爆被害者の会」に丸投げしている。平均年齢が86歳となった当会は自力で事業を維持・充実させることが困難になっており、運営費補助金を増額するとともに人的補助など必要な支援を行うこと。会が取り組んでいる被爆体験を継承するための「語り部」養成事業については広島市や長崎市のように会と連携しながら早急に市の実施事業へと移行すること。また、同じ施設利用団体なのに差別的取り扱いをすることは許されず、障害者と同様に被爆者のふくふくプラザ駐車場使用料を全額免除するよう手立てをとること。
(答)
原爆被害者への対応につきましては、原爆被害者等援護事業として、被爆者及びその家族の福利厚生や生活相談事業、小・中学校などでの「証言(語り部)活動」を継続的に行っている団体に対し、事業費の一部を助成しており、今後も引き続き支援してまいります。市民福祉プラザの駐車場使用料につきましては、条例及び規則に基づき対応してまいります。
(8)アスベスト
- 「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金の支給に関する法律」では、屋外作業員や対象期間外に被害を受けた人は補償対象外である。また、給付金法による補償基金には、建材メーカーが参加していない。これらの被害者も補償対象とすることや、メーカーによる基金への拠出を実現するよう国に要求すること。アスベスト曝露による健康被害を防ぐための規制強化、労働災害認定基準の大幅緩和、さらに、裁判によらず簡易・迅速に建設アスベスト被害者を全面的に救済する「被害者補償基金制度」の早急な創設などを市として積極的に国に要求すること。
(答)
アスベスト対策に関しましては、国において、石綿障害予防規則などにより安全確保のための規制整備がなされるとともに、健康被害にあわれた方につきましては、労働者災害補償保険法及び石綿による健康被害の救済に関する法律などに基づく支援制度が設けられ、状況の変化に応じて見直しも行われております。
福岡市といたしましては、引き続き、国の動向を注視するとともに、石綿健康被害救済制度の申請窓口である各区保健福祉センターにおいて、丁寧な相談対応に努めながら、適切に受付案内・情報提供を行ってまいります。
- アスベスト対策を抜本的に強化するために、アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し、含有調査を行うこと。大規模災害時の飛散対応等のため、アスベスト使用建築物のハザードマップを公開し積極的に市民に周知すること。また、市民へのアスベスト被害に対する啓発活動を強めること。アスベストを扱う建設労働者の防じんマスクの普及につとめ、市内業者への購入補助を行うこと。また国民健康保険の特定検診において、職種や経歴に応じてアスベストの影響・被害が明らかになるような問診・検査を行うこと。石綿調査の公的資格制度である「建築物石綿含有建材調査者」などの専門家を育成、職員も大幅に増やすなど総合的なアスベスト対策をすること。
(答)
解体工事のアスベスト対策につきましては、令和3年4月の改正大気汚染防止法の施行により、アスベスト含有建材の使用の有無に関する事前調査の方法が法定化されるなど、規制の強化が図られております。アスベストアナライザーは、解体工事の立入検査時に、アスベスト含有の可能性のある建材が確認された場合に使用しております。
市民への啓発活動につきましては、今後もホームページへの掲載や区役所でのパンフレット配布など、情報発信に努めてまいります。また、環境省主催の技術講習会へ参加するなど、職員の専門的知識の習得やスキルの向上を図るとともに、副市長をトップとする全庁横断的な推進組織である「アスベスト対策調整部会」のもと、関係部局が情報共有を図り、合同パトロールを実施するなど、連携して取り組んでおります。今後も、引き続き「アスベスト対策推進プラン(第二次)」に基づき、総合的なアスベスト対策に取り組んでまいります。(環境局)アスベストが使用された建築物は違反建築物ではなく、安全を確保するため封じ込め対策を取られているものなどもあり、風評被害を生む可能性もあることから、個人情報を含むものを公開することは課題が多いと考えております。(住宅都市局)
特定健康診査につきましては、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づく内臓脂肪の蓄積に起因した生活習慣病予防のための健診であり、厚生労働省が示す問診票に基づき実施しており、「労働安全衛生法」における労働者に対する健診とは異なりますので、新たな問診項目を追加することは困難と考えております。(保健医療局)
- 吹付けアスベストが施工されているおそれのある民間建築物の解体、建築、補修工事における事前調査やアスベスト除去費用の補助対象を本市は「解体を予定していない建物」に限定している。解体も補助対象とし、建物所有者の負担を軽減する補助金制度の対象拡充を国に求めるとともに、市として独自の補助制度をつくり、「ゼロ・アスベスト」のまちづくりをすすめること。
(答)
福岡市においては、良質な居住環境の形成と生活環境の保全を図るため、まずはアスベスト除去後も使用される建築物で多数の人が利用するものを補助対象としております。
(9)生活保護
- 自公政権が社会保障費抑制路線のもとで生活保護基準の連続引下げを強行した結果、生活保護世帯は苦しい生活を強いられている。1日3回の食事や毎日の入浴がかなわない等、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が奪われている状況にあり、司法でも、この基準引下げの政府決定を違法とする判決が相次いで出されている。生活保護制度を憲法に規定された生存権にふさわしい水準にするために、これまで切り下げた生活扶助費・住宅扶助費等を抜本的に引き上げるよう国に求めること。
(答)
生活保護基準につきましては、生活保護法第8条に基づき厚生労働大臣が定めるものとされております。また、生活扶助基準などにつきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、子どもの健全育成に必要な費用を検証するなど、社会経済情勢などを総合的に勘案して、国において定められております。
- 物価高騰による食料品や燃油代などの値上げが保護世帯に重くのしかかっている。特に温暖化によって夏の時期に災害並みの猛暑が続いても電気代を気にして冷房の使用を控えるなどの例もあり、命を脅かす事態となっている。市独自の夏季見舞金および年末見舞金を復活・拡充すること。また、本市は「負担の適正化を図る」と言って保護世帯への下水道料金減免制度を廃止したが、多くの政令市は引き続き減免制度を続けている。制度復活を含めた市独自施策を行うこと。
(答)
生活保護基準につきましては、生活保護法第8条に基づき厚生労働大臣が定めるものとされております。また、生活扶助基準などにつきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、子どもの健全育成に必要な費用を検証するなど、社会経済情勢などを総合的に勘案して、国において定められております。
なお、福岡市につきましては、平成12年度に個人給付施策の見直しを行い、福祉見舞金を廃止したところであり、福岡市独自に保護基準を超える給付を行うことは困難です。(福祉局)生活保護受給世帯に対する下水道使用料の減免制度につきましては、負担の適正化を図る観点から、平成28年6月に廃止したものであり、同制度の復活は考えておりません。(道路下水道局)
- 膨大な漏給、低すぎる捕捉率の早期解決が求められている。定期的な捕捉率の調査・公表、テレビCMやインターネットを活用した広報、公共施設などへのポスター掲示、市政だよりの1面への特集記事掲載などによる制度の周知徹底や相談の呼びかけ、誰もが手に取れるような場所に申請用紙を置くなど捕捉率向上策を講じること。また、特に若い世代に制度を周知するためにもSNSを積極的に活用すること。そのうえで、申請権を保障するため「面接」「指導・助言」を口実に不当に生活保護を排除する「水際作戦」を根絶すること。
(答)
生活保護の相談があった場合、相談内容を具体的に確認し、「生活保護のしおり」を配布するなど、他法他施策の活用をはじめ生活保護の仕組みについて説明を行ったうえで、生活保護の申請の意思がある方には申請書を交付し、申請に必要な手続きを支援しております。各福祉事務所に対しましては、生活保護の申請の意思がある方の申請権を阻害しないよう指導するとともに、相談者の立場に立った懇切丁寧な対応を心掛けるよう、研修などを通して周知徹底を図っております。
- 保護申請時、申請者の親族に「金銭的援助ができないか」などと問い合わせる扶養照会をおこなうことが、保護の申請をためらわせる原因の一つになっている。2023年度、扶養照会を行って実際に金銭的援助につながった例は2578件中わずか11件しかなく、費用対効果も薄い。扶養照会はやめること。
(答)
生活保護法では、民法に定める扶養義務者の扶養が保護に優先することとなっております。扶養義務者に対する調査に当たりまして、申請者の状況に配慮しながら、これまでの交流状況や関係性、扶養義務者の職業や収入などを確認のうえ、扶養の可能性がある方に対して、金銭的な扶養の可能性のほか、精神的な支援、定期的な交流について照会を行っております。
- 全行政区の保護課面接室に1つ以上の監視カメラが設置されている。甚だしい人権侵害であり、トラブルのもととなっているだけでなく、申請・相談者に対して監視されているプレッシャーを与え、来所する人を減らす水際作戦の一種であり、ただちに撤去すること。
(答)
防犯カメラにつきましては、犯罪及び事故の未然防止のほか、来庁される市民や職員の安全を確保するために設置しております。なお、緊急かつやむを得ないと認められる場合にのみ録画するなど、相談者のプライバシーに十分配慮した運用としております。
- 保護申請の際、本市では手持ち金が1円もないなど窮迫している状況の場合は一時貸し付けを受けることができるが、1日500円にとどめている実態がある。これではまともな食料を購入することもできず、運用の実態を見直して必要に応じた金額の貸し付けを行うこと。
(答)
生活保護申請時の一時貸付金につきましては、所持金や世帯の人数、光熱水費の支払い状況など、個別の事情を考慮した上で、必要な金額の貸付けを行っております。
- 利用者に年1回の「資産申告」を強要することは問題である。本市でもこれを根拠に預金通帳の提出強要や財布の中身まで確認するなど著しい人権侵害さえ起きている。実施要領は、利用者と福祉事務所とが協力して金銭管理の適正化を図るとしているだけで「資産申告」強要の根拠とはなりえない。本市として、「資産申告」は一切やめること。また、国に対し、誤解を招くような実施要領は撤回するよう求めること。
(答)
資産申告につきましては、生活保護法第60条において、生活保護受給者が主体的に生計の状況を適切に把握する責務が定められており、国の実施要領において、少なくとも12か月ごとに資産申告を求めることとされております。
- 保護申請する市民に対して殊更自立を強調したり、保護を利用していても、居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有が認められる余地があること等をあえて教えないなど、市民の生活保護を受ける権利を侵害するような対応は問題である。このような窓口での機械的な対応を改めること。また、「生活保護のしおり」や市ホームページの記載について、誤った情報や誤解を招く内容がないよう精査して改善し、正確に周知すること。
(答)
生活保護につきましては、生活保護法第4条に基づき、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが要件となっております。また、周知につきましては、生活保護の相談は個別に対応すべきものでありますので、生活保護の申請相談があった場合には、相談者の事情や状況に応じて資産の活用方法を説明するなど、懇切丁寧な対応を心掛けるよう各区福祉事務所には周知徹底しており、「生活保護のしおり」や市ホームページにつきましても、分かりやすい内容となるよう努めております。
- 健康状態や年齢を無視した就労の強要はやめること。現場では、本人の意向を無視した問答無用の就労指導をおこなうといった事例が起きており、このような指導は真の自立を遠ざけるものであるためやめること。
(答)
稼働能力の活用につきましては、国の通知により、「年齢や医学的な面からの評価だけではなく、その者の有している資格、生活歴・職歴などを把握・分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案すること」とされており、本人の能力に適した就労が実現できるよう、本人の意向を伺いながら寄り添った支援に努めております。
また、地域の求人状況は必ずしも本人の意向と一致するとは限らないため、本人の能力や意向を基本としながら、まずは、現状における稼働能力の活用を支援するとともに、就労後の状況に応じて、転職による増収の相談を継続するなど、本人の稼働能力がより活かせるよう、効果的な支援に継続的に取り組んでおります。
- 適正受診指導などと称して入院日数や通院回数に対する不当な削減指導やジェネリック医薬品使用の強制を行わないこと。
(答)
長期入院患者の社会復帰対策につきましては、長期入院患者の実態を適確に把握し、適切な医療扶助を実施し、その処遇を充実することによって患者の社会復帰を助長することを目的としており、入院治療の必要性が低く、受入先があれば退院可能な人を対象に、本人、家族、医療機関、福祉事務所が連携して社会復帰に向けた取組みを行っております。
頻回受診者に対する適正受診指導につきましては、病状及び受診状況などを適切に把握した上で、適正な療養指導・助言を行うことを目的としており、実施に当たりましては、事前の嘱託医協議、主治医からの意見聴取などを経て適切な処遇が図られるよう努めております。また、後発医薬品の普及につきましては、国全体で取り組んでおり、その一環として、医師が後発医薬品への変更を不可としていない(一般名処方を含む)場合は、後発医薬品を原則として使用していただくことになっております。
- 入院時、医療機関からの寝巻貸与代金については保護費に含まれず自己負担となっており、市独自に支給すること。おむつ代については医者の認定がある場合に限定せず、必要額を市独自に補助すること。
(答)
入院に際しての寝巻代の支給につきましては、入院を必要とする者が入院に際し、寝巻またはこれに相当する被服が全くないかまたは使用に堪えない場合に保護費から支給できることとなっており、おむつ代につきましては、常時失禁状態にある患者などが紙おむつなどを必要とする場合に支給できることとなっております。
引き続き、国の定める制度を適切に運用してまいります。
- ケースワーカーの平均担当世帯数を減らすことは利用者の生活に寄り添った援助を行うために重要だが、2024年度も102.0ケースで、国の標準世帯数を20以上も上回っている。そのためにトラブルや誤った情報を伝えるなどといった事例が多数見受けられる。日本弁護士連合会や多くの専門家も職員の増員の必要性を指摘している。正規職員のケースワーカーを抜本的に増員すること。
(答)
ケースワーカーにつきましては、必要数の確保に努めるとともに、専門知識を有する会計年度任用職員の活用や委託事業の実施など、事務の効率化を図ることにより、一人ひとりのケースワーカーが、保護受給者の実情に即したきめ細かな相談・支援が行えるよう、業務執行体制の整備に努めております。
- 本市のケースワーカーは大学を卒業して3年以内の職員が70%、経験年数4年以上はわずか12.4%と、依然として市職員としても、ケースワーカーとしても、経験が浅い職員が大半を占めており、それによって不適切な対応が増えている。日本弁護士連合会や学識者等から専門性の確保の必要性が指摘されており、社会福祉士や精神保健福祉士、弁護士など国家資格を有する職員の採用や配置を行い、生活困窮者へのきめ細かな支援などノウハウが継承できる体制をつくること。
(答)
新任職員など経験年数が短い職員につきましては、配属直後に研修を実施し、生活保護業務に必要な基礎知識の習得と接遇の向上に努めております。
また、通常の業務におきましても、先輩職員がトレーナーとして助言指導にあたるほか、係長による同行訪問や同席面接などでの指導により、技能や接遇の向上を図っております。
- 本市では、就労支援等事業などのケースワーク業務について民間企業等への委託をすすめているが、このやり方は公的責任の放棄や、保護利用者への管理強化などの問題点がある。政府が検討しているケースワーカーそのものの民間委託も含め、これ以上の外部委託はやめること。
(答)
被保護者就労支援事業など生活保護業務に関する業務委託につきましては、生活保護受給者の課題やニーズが多様化していることから、より個別具体的な支援を効率的・効果的に実施するため、専門的な知識や経験を有する事業者へ外部委託をしております。
- 大学生・専門学校生などの生活保護受給権を認めないやり方や、大学、専門学校等への進学者を強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方は、進学をあきらめる子どもを生むと同時に新たな貧困を生み出している。「進学・就職準備給付金」などの一時金ではこの問題の解決にならず、仕組みを改めるよう国に要求すること。教育扶助費や高等学校就学費用は実態に照らせばまだ不足しており、増額を国に求めること。保護を受けながらアルバイトをして進学準備のための貯金をすることや保護費をやりくりして学資保険を積み立てることは認められているにも関わらず、現場では収入認定の対象とすることがあり、問題である。このような対応を行わないよう徹底すること。
(答)
生活保護世帯から大学などへ進学する場合は、世帯分離の取扱いとすることが国において定められており、要件に該当する場合には、大学進学や就職の際の新生活の立ち上げ費用として進学・就職準備給付金を支給しております。
また、教育扶助費などにつきましては、生活保護法第8条に基づき厚生労働大臣が定めるものとされており、平成30年10月には基準額が増額されるなど、充実が図られております。このほか、高等学校などに就学している生活保護受給者で高等学校等就学費で就学経費が賄えない場合は、就学資金の貸付対象となるほか、一定の要件の下にアルバイト収入を収入認定から除外する取扱いを行っております。
- 進学の受験のための交通費支給など子どもの進学・就学時に活用できる制度についてほとんど周知されていない。活用できる制度などについて対象者への周知を徹底すること。また、児童手当と児童扶養手当の違いや収入認定について周知されておらず、現場で混乱が生じている。制度の改定があった場合は利用者に丁寧に説明すること。
(答)
子どもの進学・就学時に活用できる制度につきましては、生活保護世帯それぞれの事情や状況に応じて、適切な制度案内を行っております。児童手当などの他法他施策につきましては、生活保護制度上の取扱いも含め、丁寧に説明するよう努めております。
(10)貧困
- 市民の貧困実態・貧困率の調査を行い、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。また、子どもの貧困対策についても、他都市にならって子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て、その達成に必要な具体的な施策に取り掛かること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、出前相談会など必要な人に支援が届くようにアウトリーチを強化すること。
(答)
生活困窮者への支援に当たりましては、生活困窮の実態を把握し、生活困窮者を早期に支援に繋げることができるよう、様々な支援施策や福岡市の関係部局との連携を図りながら支援を実施してまいります。(福祉局)
子どもの貧困対策につきましては、子どもの生活状況等に関する調査の結果なども踏まえ、子ども総合計画に基づき、各局が連携して、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援に取り組んでまいります。(こども未来局)
- 長引く物価高騰によって、市民の暮らしはますます苦しくなっている。所得が低くなりがちな高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、貧困対策として他の政令市にならい上下水道料金の減免をただちに実施すること。
(答)
高齢者や障がい者、ひとり親家庭に対する公共料金などの減免につきましては、公営企業の独立採算性や受益者負担の原則など様々な課題もあることから、今後の経済状況や国の動向などを注視してまいります。(福祉局、こども未来局)
水道料金及び下水道使用料の支払いが困難なお客さまにつきましては、分割納付や支払期限の柔軟な対応など、引き続き、丁寧に対応してまいります。(道路下水道局、水道局)
- 生活福祉資金貸付は、生活自立支援センターによる伴走型支援を条件にしているなど、貸付に厳しい条件が課せられており、必要な人が受けられない仕組みになっている。制度を抜本的に見直して、必要な人が受けられるよう国と県に要望すること。また、各区の社会福祉協議会にも窓口を設置すること。
(答)
生活福祉資金貸付制度につきましては、国の要綱に基づき、県社会福祉協議会が実施主体となり、県下統一的な取扱いをしております。なお、支援が必要な方に対しましては、生活自立支援センターにおいて生活状況や収入状況などの聞き取りを行い、一人ひとりの状況に応じた支援を行っております。
また、窓口につきましては、県社会福祉協議会から事務委託を受けた市社会福祉協議会が直接貸付事務を行うことで、迅速かつ効率的な審査が行えることから、ふくふくプラザを窓口としております。
- 水道料金・市営住宅家賃・住民税・国保料などの滞納は生活困窮のシグナルと捉え、ライフライン事業者の協力や局を越えた連携を行うこととなっているが、事業者には協力依頼を出しただけで、福岡市生活自立支援センターへの紹介人数さえも把握していない。市の内部で局を越えた会議を定期的に開催し、積極的に実態を把握するなど、実効性のある仕組みを構築すること。
(答)
生活困窮者の把握につきましては、ライフライン事業者や、その他関係機関に周知を図ることで、生活に困窮された方が生活自立支援センターへの相談に繋がるよう取り組むとともに、相談者の状況に応じて関係機関と個別に情報共有を図るなど、連携して支援を実施しております。また、関係所属に対しましては、生活に困窮している方を把握した時は、必要に応じ生活自立支援センターや保護課への相談を促すよう、協力を依頼しております。
さらに、令和3年度から定期的に、福祉局のほか水道局や住宅都市局などと「生活困窮者等の把握に向けた検討会」を開催し、各相談窓口への相談状況を共有するなど、連携強化を図っております。
- 昨年行われた市の「子ども・子育て支援に関するニーズ調査」によれば、朝食を毎日食べることができていない小学生の割合は年収300万円未満世帯とひとり親世帯ではどちらも1割を超えており、200万円未満の世帯では約2割にのぼるなど、突出している。また、民間のアンケート調査でも「学校の長期休みは給食がないので、毎年恐怖」などの声が寄せられている。行政の責任で子どもの欠食対策を行うこと。行政が本腰を入れた子どもの貧困対策に取り組まないなか、行政に代わって「子ども食堂」が大きな役割を果たしており、貧困対策のみならず子どもの居場所づくりや地域交流の場にもなっている。「子どもの食と居場所づくり支援事業」補助金を抜本的に増額し、書類手続きなどの簡素化を図ること。
(答)
貧困の状況にある子どもの食事に関する支援につきましては、「子どもの食と居場所づくり支援事業」を通して子ども食堂への支援を行っており、地域において食事の提供と居場所づくりを行う団体への補助金交付に加え、開催場所のマッチング支援などに取り組んでおります。また、補助金交付に係る書類につきましては、できる限り分かりやすい書式や手引きに見直すなどの工夫を行っております。
今後も、より多くの担い手によって、身近な地域で子どもたちを見守り支える活動が広がっていくよう取り組んでまいります。
- 市内のホームレスは依然として多く、切れ目なく対応できるように年末年始も対応できる窓口を開設するとともに、市内の巡回を強化して、相談に応じ、支援すること。ホームレスが施設への入所を求めた場合、感染症の検査などの理由からその日に入所できない仕組みを改めるために一時宿泊所を確保すること。民間ボランティアやNPO支援団体への委託費を大幅に増額すること。ホームレス患者は、受診する時にはすでにひどい疾患を患っていることが多いため、医療機関の負担は大変重くなっている。現行の入院協力金3000円では不足しており、大幅に増額すること。ホームレスなどの利用を物理的に妨げるいわゆる排除ベンチや排除アートの設置はやめること。
(答)
年末年始における生活困窮者及びホームレスの方への対応につきましては、緊急を要する保護の相談や急な生活困窮が発生した場合に備え、年末は各区保護課に当番職員を配置し、年始は通常の閉庁日と同様に緊急連絡網を活用するなど相談体制の確保に努めております。
ホームレス巡回相談につきましては、今後も専門の相談員が市内全域を巡回し、ホームレスの方の相談に応じるとともに関係機関への同行やつなぎなどの支援を積極的に行ってまいります。ホームレス自立支援施設への入所につきましては、待機が困難な方で、他の制度の活用ができない方は、緊急一時的に施設に入所していただく対応を行っております。
また、入院協力金につきましては、現行の金額で実施してまいります。
市が設置したベンチにつきましては、ベンチを利用される高齢者や障がいのある方などの立ち座りの負担を軽減するため、手すりを設置しております。
(11)民生委員
民生委員の充足率は92.5%と低い水準にとどまっており、なり手不足は引き続き深刻である。欠員の出ている地域には近隣からのフォローも行われているが、76の地域では完全に空白となっている。本市は「民生委員の活動に資するため」の施策として「地域共生推進員」の配置、地域包括支援センターの増設やスクールソーシャルワーカーの増員等を行っているとしているが、抜本的な負担軽減にはつながっておらず、個人情報の保護をめぐる困難さも相まって、なり手不足の根本解決には程遠い状況である。本来行政が行うべきことを押し付けていないか等、徹底した検証を行い業務量について抜本的に削減するとともに活動費の大幅増額を行うこと。また、欠員が生じている地区を他地区の委員がカバーするやり方には無理があり、行政の責任において臨時の代替措置をとること。
(答)
民生委員のなり手の確保及び活動しやすい環境づくりを図るため、地域包括支援センターの増設や、スクールソーシャルワーカーの増員などのほか、令和2年度から活動費を増額するとともに欠員地区をフォローする民生委員に対しても活動費を追加で支給しております。また、令和4年度からは民生委員の活動をサポートする地域共生推進員を配置するなどサポート体制の充実を図っております。
さらに、令和7年度からは、活動費のさらなる増額を図るとともに、新任委員をサポートする「協力員制度」の新設や地域共生推進員の増員を行うなど、民生委員が活動しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
(12)障害者施策
- 「福岡市障がい者差別解消条例」の改定が行われたが、当事者団体等が求めてきた「何人も」という文言を実体規定に入れる課題について取り入れられなかったため、見直しを求める議会請願も行われた。相当数の当事者の意見が切り捨てられたままの状態は問題であり、更なる改定に向けて検討をすすめること。また、議論の過程で明らかになった差別体験等の実態に基づいて本市の施策のあり方を具体的に検証し抜本的改善につなげること。
(答)
条例の改正につきましては、障がい当事者や事業者、学識経験者など様々な立場の委員で構成する障がい者差別解消推進会議において、令和4年度から10回にわたって協議を行い、推進会議としての結論が取りまとめられたものを踏まえたものとなっております。福岡市の障がい者差別解消に向けた施策のあり方につきましては、障がい者差別解消推進会議での意見を伺いながら、検討してまいります。
- 福祉乗車券・福祉乗車証については、「持続可能な制度とするため」等として障害の程度や所得によって交付対象を狭める差別的取り扱いは許されない。特に現下の物価高騰や公共交通機関の料金引き上げは大半が低所得層である障害者世帯に大きな打撃となっており、対象及び交付額の拡大は喫緊の課題である。制度の対象を関係者から要望の強い療育手帳Bおよび精神障害者手帳2級まで拡充するとともに、所得制限を廃止し、交付額を引き上げること。
(答)
福祉乗車券・福祉乗車証につきましては、これまで、郵送・オンラインでの申請及び交付、オンデマンド交通に利用できる新たな券種の追加などを行ってまいりましたが、さらに、令和6年度分から、タクシー助成券を1乗車につき2枚利用できることとし、改善を図っております。将来にわたり持続可能な施策としていく必要があり、対象者や所得要件の見直しは予定しておりませんが、他の障がい福祉施策の実施状況などを踏まえた上で外出支援のあり方について総合的に検討してまいります。
- 精神障害者に対する交通運賃割引を頑なに拒否しているJR九州及び福岡北九州高速道路公社に対し障がい者差別解消条例が定める「合理的配慮」の趣旨を踏まえ早急に実施するよう強く申し入れること。実施されるまでの間、市として自己負担分を補填する手立てをとること。また、障害者が一人で手帳にもとづく割引を受けるには「100㎞以上」という異常な条件を付けているJRに対し、見直しを求めること。
(答)
精神障がい者に対するJR各社の交通運賃割引につきましては、令和7年4月から開始されると伺っております。また、精神障がい者に対する有料道路割引の実施及びJRの障がい者への交通運賃割引適用条件につきましては、有料道路各社及びJRに対して、様々な機会を通して、県や他の自治体とも連携を行いながら、要望してまいります。
- 障害者が65歳になるとそれまで受けてきた障害者サービスから介護保険サービスに半ば強制的に移行させられ、自己負担が増え、サービスが継承・継続されず利用者は肉体的にも精神的にも大きな負担を感じている。新高額障害福祉サービス等給付費が支給されるとはいえ、対象要件から外れる人も多い。介護保険の対象年齢でも障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるなど、新たな自己負担なしでサービス水準が維持できるよう市独自の手立てをとること。問題の大元にある障害者総合支援法の第7条(介護保険優先)の廃止を国に求めること。
(答)
介護保険の対象となる障がい者の支援につきましては、障害者総合支援法第7条などの規定により、介護保険に障がい福祉サービスと同内容のサービスがある場合は、介護保険による給付が優先されますが、介護保険の被保険者である障がい者から障がい福祉サービスの利用に係る支給申請があった場合は、具体的な利用意向などを把握した上で、障がい者の個々の状況に応じて必要なサービスの支給決定を行っております。
また、障がい者が65歳以上になっても使い慣れた事業所においてサービスを利用しやすくする観点などから、高齢者や障がい児・者が共に利用できる「共生型サービス」を実施しております。
新高額障害福祉サービス等給付費につきましては、一定の要件を満たす高齢障がい者の介護保険に係る自己負担の一部を償還することで、利用者負担の軽減を行っております。しかしながら、対象外となる方々もいることから、今後も引き続き国に対象者の範囲の見直しを要望してまいります。
- 本市主催の行事において、未だに手話通訳者をつけないものが散見される。担当者の責任に矮小化することは許されず、早急に是正すること。
(答)
福岡市主催の行事における聴覚障がい者への配慮につきましては、市職員が差別の解消に向け、特に合理的配慮の提供を適切に行うために必要な事項を定めた職員対応要領などにより周知を行っており、引き続き、全職員を対象としたeラーニングの実施などにより、障がい者に対する合理的配慮の提供について周知を図ってまいります。
- 「手話言語条例」は38都道府県を含む542自治体へと広がり、政令指定都市においても6自治体へとひろがってきている。しかし、本市においては障がい者差別解消条例に手話も言語に含むことが書き込まれていることを理由に頑なに手話言語条例制定に背を向け続けており、当事者・関係者から批判の声や強い要望が上がっている。これ以上先送りすることに道理はなく、本市においても早急に制定作業に入ること。
(答)
「手話言語条例」の制定につきましては、「差別解消条例」において、手話も言語に含むこととし、障がいのある方に対してコミュニケーション及び意思決定の支援などを保障する必要があるとの基本理念を定め、障がいを理由とする差別の解消を推進することとしており、同条例の普及や施行状況、国の動向を見守りながら、対応を検討してまいります。
- 手話通訳者派遣事業の範囲については、「社会生活上外出が必要不可欠なとき」等とする利用条件を撤廃すること。また、聴覚障害者用の情報提供施設について市民プラザ内の「情報センター」では不十分であり、春日市のクローバープラザ並みにビデオ制作やビデオライブラリー、各種イベント実施等の機能を持たせること。
(答)
手話通訳者の派遣につきましては、現在、医療機関や公共職業安定所などを利用する場合や、公的機関などが主催・共催する講演、会議に出席する場合など、社会生活上外出が必要不可欠なときにおいて、適当な通訳者が得られない場合に派遣しております。平成28年度からは社会生活上の必要性が高い、電気・ガス・水道の手続き・工事や携帯電話・ファックスなどの購入・修理も加え、派遣対象を拡充しております。
聴覚障がい者用の情報提供施設につきましては、平成25年度から市民福祉プラザ内に聴覚障がい者情報センターを設置し、聴覚障がい者、盲ろう者及びその家族などへの相談対応や、手話通訳者や要約筆記者等の派遣など総合的なコミュニケーション支援を実施しております。
- 本市における登録手話通訳者数は71人と減少し、担い手が不足している。その報酬は4時間未満4160円、4時間以上5370円となっているが、福岡県では2時間以内4000円、以後1時間ごとに2000円とされており、その格差は重大である。人材確保の大きな要因となっている低すぎる報酬を県並みに引き上げ、市が直接正規職員として雇用するなど、専門職にふさわしい待遇へと改善すること。
(答)
手話通訳者の派遣報酬につきましては、引き続き他都市の状況を研究してまいります。なお、各区役所には手話通訳職員を配置しております。
- 強度行動障害者の短期入所施設はニーズに比して絶対的に不足しており、市の責任で増設するとともに、報酬見直しを国に求めるだけでなく、民間事業者の参入がひろがるよう市独自に職員加算や施設の改造費補助を創設すること。「強度行動障がい者支援事業」はノウハウの蓄積、人材の育成、事業者への支援などを充実させること。
(答)
強度行動障がい者の短期入所施設につきましては、令和6年度から新たに市独自事業として開始した補助金において、受入れ促進のために必要な設備の補助を行うなど、受け入れる施設や短期入所事業所の拡大に努めており、引き続き、事業者へ働きかけを行うほか、利用者一人ひとりの状況に応じた十分な支援体制が確保されるよう、国に対して報酬の見直しを要望してまいります。
強度行動障がい者支援事業につきましては、支援拠点施設「か~む」において、3か月程度の集中支援を行い、個々の障がい特性に応じた支援計画を検討・策定し、行動問題の軽減を図り、地域移行が促進されるよう取り組んでおり、令和6年度からは、「か~む」での支援後に地域での受入れが進むよう、受け入れる施設への支援を継続して行う職員の配置や、受入れにあたって必要な部屋の改修などへの助成、支援研修の対象を拡大するなど、ソフト・ハードの両面から支援を行っております。また、「か~む」を利用しない場合でも、引き続き、家族や事業所の相談に応じ、必要に応じて家庭訪問や事業所訪問を行い、適切な助言・指導などを行うことで、障がい当事者や家族が潜在化しないよう努めるとともに、事業所職員の支援技術の向上を図るための研修を実施してまいります。さらに、強度行動障がい者を受け入れる事業所の負担軽減や事業所職員の技術向上等を図るため、受入れ事業所と他の事業所の職員が共同で支援にあたる「共同支援事業」を実施しており、令和6年度から対象事業所に重度訪問介護を追加するなど、地域での受入れ事業所の拡充に取り組んでおります。
- 障害者グループホームの設置数は増えてきたものの、ニーズからすれば大幅に不足している。市の運営費補助を重度障害者受け入れ施設だけに限定せず拡充するとともに、土地や建物の確保や新設時の改修費への補助を増額すること。また、利用者への家賃補助については、国任せにせず、市が独自に上乗せ補助を行うこと。低すぎる報酬単価によってひとり夜勤体制となっている等の状況を解消するためにも報酬額を抜本的に引き上げるよう国に求めること。
(答)
グループホームの整備促進につきましては、市独自の補助制度として、消防用設備、備品購入費など、開設時に必要な費用の補助を行っており、さらに重度障がい者等の受入れ促進のための設備改修費も補助しております。また、令和2年度には重度障がい者の受入れに対する運営費補助を新設し、令和4年度からは強度行動障がい者の受入れに対しても運営費補助の対象を拡充しております。
利用者への家賃補助につきましては、国に対し上限額の引上げを引き続き要望するとともに、事業所の経営実態に見合う適切な報酬水準が確保されるよう、今後も必要に応じて国に求めてまいります。
- 知的障害者の地域生活移行については、必要とする支援の質・量の確保、十分な所得保障や住宅手当の充実等、知的障害者の希望と選択を最大限尊重する仕組みを構築しないまますすめることは許されない。支援策の抜本拡充を図り、入所施設も「終の住処」として利用できるようサービス提供や支援の実態について現場で適宜確認するとともに、設備や職員体制の充実を図り「親なきあと」の不安を取り除くこと。
(答)
入所施設につきましては、真に必要とする方たちが適切に利用できるよう、制度、財政両面からの支援を国に要望するとともに、障がい者の重度化、高齢化や「親なき後」の生活の安心も見据え、知的障がい者などが、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、在宅で生活するために必要な支援の充実を図るなど、総合的な支援体制の構築に取り組んでまいります。
- 国において行われた報酬改定は、生活介護事業の基本報酬への「時間刻み」導入やグループホームの基本報酬基準の大幅引き下げが含まれ、現場の困難をひろげている。障害者支援施設等労働者の賃金は全産業労働者平均まで未だ月6万円近くの隔たりがあり、現場の声を踏まえ、報酬の全体的かつ抜本的な引き上げを図るよう国に求めること。また、最低賃金の引き上げにともない施設規模によっては新たに数百万円の財源が必要となるケースも生じているが、何の手立ても取られておらず経営を圧迫している。財源を手当てするよう国に求めること。また、市独自に処遇改善のための補助や家賃補助を創設すること。
(答)
障がい福祉サービスなどにおける福祉・介護職員などの処遇改善加算につきましては、令和6年度の報酬改定により、令和4年度に創設されたベースアップ等支援加算など複数の加算を一本化するとともに加算率を引上げるなど制度が拡充され、さらなる賃金改善が実施されております。今後とも、障がい福祉サービス事業所が安定した経営が可能となるような報酬水準が確保され、良質な人材確保が図られるよう引き続き国へ要望してまいります。
また、事業者に対して処遇改善加算などの取得を促進するなど職員の処遇改善につながる取組みを進めてまいります。
なお、運営指導などにおいて賃金などに関する法令違反が確認された場合につきましては、労働基準監督署などと連携し、改善を指導してまいります。
- 障害者の一般就労は、収入を得るということだけではなく、就労によって本人が社会とのつながりを持ち、生活や人生を豊かにする等、重要な意味を持っている。障害者に対する継続した就労支援には就労支援事業所職員が安心して働ける雇用の安定性が不可欠であり、NPOや社会福祉法人などA型事業所を営む法人が安心して就労支援事業を継続していくためにはこの間のベースアップ等支援加算では不十分であり、国に報酬単価の引上げを求めるとともに、市として独自に財政支援を行うこと。また、B型事業所においても月1500円という異常に低い工賃の実態もあり、その増額が図れるよう市としても財政支援を行うこと。
(答)
就労継続支援事業所職員の処遇改善につきましては、国において令和6年度の報酬改定により、令和4年度に創設されたベースアップ等支援加算など複数の加算を一本化するとともに加算率を引上げるなど制度が拡充され、さらなる賃金改善が実施されております。今後とも、障がい福祉サービス事業所が安定した経営が可能となるような報酬水準が確保され、良質な人材確保が図られるよう引き続き国へ要望してまいります。
また、事業者に対して処遇改善加算などの取得を促進するなど職員の処遇改善につながる取組みを進めてまいります。
工賃向上に向けた支援につきましては、障がい者工賃向上支援センターにおいて、業務開拓や障がい者施設へのマッチング、受注体制づくりの支援を行うとともに、障がい者施設の商品やサービスについて、ときめきショップやホームページなどで積極的に情報発信するなど、一体的に支援を行ってまいります。
- 本市の障害者雇用は、法定雇用率を超えてはいるものの、その内訳はほとんどが非正規雇用となっている。正規の採用枠を抜本的に増やすこと。民間企業に障害者の採用増を要請し促進するため、国任せにせず、本市独自の補助制度をつくること。
(答)
福岡市における障がい者の雇用につきましては、障がいの特性に応じた業務内容や職場環境に配慮しながら、今後とも計画的な採用を行い、雇用の拡大に努めてまいります。(総務企画局)民間企業の障がい者雇用につきましては、障がい者就労支援センターにおいて、企業訪問や企業セミナーなどを実施し、障がい者雇用の啓発・助言を行っております。
今後とも、ハローワークや就労移行支援事業所などの関係機関や民間企業と連携を図りながら、障がい者の就労支援に積極的に取り組んでまいります。
なお、障がい者の採用にあたっての助成につきましては、国の制度として特定求職者雇用開発助成金などの各種制度があり、企業などから相談があった場合には、適切に情報提供を行ってまいります。(福祉局
- 障害者関連施設の指定管理者を社会福祉事業団から民間団体に移行する公募の動きや指定管理料の縮減、新たな事業をトップダウンで押し付ける等は、職員の処遇やモチベーションの低下につながり、サービスの低下を引き起こすものでありやめること。
(答)
社会福祉事業団は、福岡市の障がい児・者福祉分野において重要な機能を果たしており、今後とも障がい福祉サービス事業への民間の参入状況を勘案しながら先駆的・高度専門的な分野や民間の取組みが進んでいない分野に重点的に取り組むとともに、社会福祉法人としての自主性や組織体制の適正化を図りながら、中・長期的視点に立った組織や機能の見直しを進めてまいります。
- 障害者基幹相談支援センターの委託料はそもそも低い中、物価等の高騰により人材確保や運営に更なる困難をきたしており、増額を図ること。
(答)
障がい者基幹相談支援センターの運営にかかる委託料につきましては、賃金上昇などを考慮しながら必要に応じて増額を行っておりますが、今後も社会情勢を考慮しながら、金額や運営方法の検討を行ってまいります。
(13)ヤングケアラー
子どもたちが、家族・近親者の世話や介護に追われ、重い負担に苦しんだり、成長や進路の障害となったりするヤングケアラーは深刻な社会問題になっている。本市でも専用相談窓口と専用相談ダイヤルが設置され、2023年度は前年度の倍となる延べ897件の相談が寄せられているが、うち当事者は10%ほどであり非常に少ない。当事者に情報が届くようにSNS等を活用した情報発信をつよめ、容易に相談できるSNS相談窓口を開設すること。また、市として支援団体の方々の意見を踏まえ、教育現場や福祉現場におけるヤングケアラー問題の研修の充実、市民への啓発をすすめながら、総合的なヤングケアラーの実態調査に取り組み、地域ソーシャルワーカーの配置をはじめとした支援策を構築すること。さらに、社会福祉や教育、児童心理分野等の専門家を配置し、総合的な取り組みをすすめることができる専門の部署を早急につくり、各区役所にも担当者を設置すること。
(答)
ヤングケアラーへの支援につきましては、学校をはじめ要保護児童支援地域協議会の構成機関などが連携しながら実態の把握に努めており、普及促進のため、SNSを活用した情報発信に加え、学校や関係機関に相談先が記載されたリーフレットやカード、ポスターを配布しているほか、ヤングケアラーの相談窓口に専門のコーディネーターを配置して、進路やキャリア相談を含めた相談支援体制を構築するとともに、子どもの置かれた状況に応じ、必要な福祉サービスを提供するなど、引き続き、適切な支援につなげてまいります。
また、SNSによる相談受付、市民や関係機関への研修、ヘルパー派遣など支援の充実に努めており、今後も関係機関との連携を強化した取組みを進めてまいります。
3、ムダな大型開発をあらため、市民の生活・安全優先のまちづくりを
(1)天神ビックバン・博多コネクティッド
規制緩和による街壊しである「天神ビッグバン」には昨年度までに約126億円の巨額の税金が使われ、今年度も約5億円が投じられる見込みである。その結果、全国最悪の地価の上昇が起こり、もうかっているのは都心に大きな土地やビルを持っている大企業や富裕層ばかりである。その一方で、福岡市のアパートの家賃は2015年と比べ2割も高くなり、ファミリー向けマンションは史上最高額の家賃に達するなど、都心部には住民、とりわけ中低所得層が住めなくなりつつある。また、長年、当地で営業をしてきた業者も追い出す計画である。このような街壊しを許しておくわけにはいかない。
天神ビッグバンは現時点できっぱり中止すること。博多コネクティッドも天神ビッグバン同様、中止すること。
(答)
「天神ビッグバン」につきましては、警固断層のリスクがあるなかで、耐震性やセキュリティに課題を抱える更新期を迎えたビルが多い天神地区において、規制緩和を積極的に活用し、民間投資を喚起することで、ビルの建替えを促し、災害に備えると同時に、新たな雇用や空間、税収を生み出していくプロジェクトとして取り組んでおります。また、「博多コネクティッド」につきましては、筑紫口駅前広場やはかた駅前通りの再整備など交通基盤の拡充とあわせ、ビルの建替え誘導や回遊性の向上などを図り、博多駅の活力と賑わいをさらに周辺につなげていくプロジェクトとして取り組んでおります。
耐震性の高い先進的なビルへの建替えとあわせ、高付加価値なビジネスの集積を図りながら、水辺や文化芸術、歴史などが持つ魅力に磨きをかけるとともに、さらなる緑化を推進することで、潤いや安らぎを与え、多様な個性や豊かさを感じられる、多くの市民や企業から選ばれるまちづくりに取り組んでまいります。
(2)九州大学箱崎キャンパス跡地
- 4月、住友商事を筆頭とした企業グループが九州大学箱崎キャンパス跡地開発の優先交渉権者に選定された。優先交渉権者が提案している「AI見守りカメラ」や「健康情報を一元管理するPHR基盤」は、企業が個人情報を握りそれをもとに商売をするものであり、情報流出を防ぐ保障もなく、住民から要求されたものでもない。優先交渉権者が提案するデジタル技術の導入については、市として個人情報を守る立場に立ち、住民への情報開示と合意形成を図ること。
(答)
先端技術の活用に当たりましては、個人情報が適切に取り扱われることが前提と考えており、関係法令を遵守するとともに、地域のご意見を伺いながら、優先交渉権者と協議を進めてまいります。
- 跡地開発では人口が5400人になると予測され、分譲住宅だけで2000戸の供給が予定されており、600人の児童の増加を見込んでいるにもかかわらず、市と九州大学は毎年の供給戸数の制限を理由に学校用地の確保は必要ないとの立場である。これでは新たな過大規模校を生む可能性があり、九州大学に学校用地を確保させること。
(答)
教育環境を維持するため、居住機能につきましては、総供給戸数に加え、毎年の供給戸数の制限を付してもらっており、九州大学箱崎キャンパス跡地内に、新たに小学校用地を確保する必要はないと考えております。
- 優先交渉権者の提案では「緑化率40%、樹木1万本以上による圧倒的な緑量確保」とされているが、1万本では「圧倒的な緑量」とは言えない。そもそも九大があったころは、100年の歴史を経て立派な樹木がたくさんあり、存続を望む住民の意見も聞かず伐採した経過がある。住民が求めているのは、表面的な緑化でなく、優先交渉権者に樹木量を抜本的に増やすよう求めること。
(答)
地域とともに創り上げたグランドデザインにおいては、公園や広場、歩行者空間、道路などにおいてみどり豊かな空間を確保するとともに、有機的に繋いだ緑のネットワークを形成することとしております。
優先交渉権者からは、緑化率40%という緑量を中心に、街角広場や歩行者用通路を整備することや、広場等をみどりのネットワークでつなぎ、まち全体にみどりを広げる提案がなされており、グランドデザインの実現に向けて、引き続き、優先交渉権者と協議を進めてまいります。
- 優先交渉権者の提案では近隣公園と箱崎中学校を近接して配置し一体的なオープンスペースを創出し、防災性の向上を図るとしている。しかしそこでは一時的な避難場所や応急的な活動しか想定されていない。東区には宇美断層もあり、ここが揺れたら大きな打撃を受ける地域である。能登半島地震の経験からも食料や水、寝る場所、トイレなどを兼ね備えた広大な防災公園をつくること。
(答)
地域とともに創り上げたグランドデザインに基づき、新たに整備する公園などのオープンスペースは、一時的な避難や応急活動の場として利用できる整備に努めることとしております。また、優先交渉権者から提案されている地域防災拠点などと連携することにより、防災性の向上が図られるよう協議を進めてまいります。
- 優先交渉権者を決める審査過程は何も公開されず、市が不公正な関わりをしたとの報道が複数のメディアからなされ、怪文書までばらまかれる事態となるなど、問題が山積みである。優先交渉権者を決めた不透明な審査過程と高島市長の関与について情報開示を行うとともに、住民要求を基本に据えた跡地利用にするために、多くの市民が計画に参加できる仕組みを整え、「グランドデザイン」に沿った跡地利用に抜本的に見直すこと。
(答)
公募主体である九州大学とUR都市機構からは、審査は適正に行われたと伺っております。なお、公募主体において、審査委員会の開催経過や評価点、評価講評などが公表されております。
引き続き、地域のご意見を伺いながら、九州大学などと連携し、グランドデザインの実現に向けたまちづくりに取り組んでまいります。
- 跡地開発において、グランドデザインに基づく地域住民の要望実現を求めている住民団体が、九大と優先交渉権者に説明会を求めていることに対し、九州大学移転・跡地対策協議会において、九大の担当者は「偏った情報」などと、住民団体にレッテル貼りを行い、真摯に向き合わない不誠実な答弁を行った。傍聴に来ていた住民からは、「この団体のワークショップで情報を知ることができたのに、九大の態度に違和感」など不審を抱くものとなっている。九大に対し、住民団体に対する発言の撤回を求め、説明会に応じるよう働きかけること。
(答)
九州大学には、ご要望の内容について、お伝えします。
(3)人工島・港湾再編
- 人工島の土地処分は公共施設の移転、立地交付金のばら撒きなどあの手この手で巨額の税金を投入した結果である。長年にわたり毎年100億円もの税金がつぎ込まれてきた上に、今後も約239億円の事業費を見込んでいる。このような一定の地域を特別扱いする税金の使い方はやめること。
(答)
アイランドシティにつきましては、居住者が1万5千人を超え、まちの成熟が進むとともに、大規模物流施設の立地などによる港湾機能の強化が進んでおり、引き続き、豊かな市民生活の実現や福岡市の成長に寄与するよう、先進的モデル都市づくりや、国際物流拠点の形成などに取り組んでまいります。
- 港湾計画で定める博多港の国際海上コンテナ取扱量目標値130万TEUは、現在のペースで目標達成は「厳しい」と当局も認めざるを得ない状況である。さらに、人工島への5万t級以上のコンテナ船の入港は、直近の5年間でわずか5隻である。15m水深の人工島D岸壁の整備や大型コンテナ船対応のための東航路整備事業は必要性がなく税金のムダづかいでありやめること。
(答)
博多港は、九州の輸出入コンテナの半数以上を取り扱っており、福岡のみならず九州全体の市民生活や経済活動を支える重要な役割を果たしております。このような中、アイランドシティコンテナターミナルにおいて拡張したコンテナヤードを供用開始しております。また、近年では、基幹航路を中心に数多くの大型船が投入されており、中国航路や東南アジア航路などアジア域内においてもコンテナ船の大型化が進んでいる状況にあります。こうした船舶の大型化や貨物の増加に対応し、船舶の安全かつ円滑な航行を確保するためには、岸壁や東航路の整備が必要であります。
引き続き、アイランドシティD岸壁の早期整備につきまして、様々な機会を捉え国に提言を行うなど、コンテナターミナル全体の機能強化に取り組むとともに、港湾計画の目標値である「国際海上コンテナ取扱個数130万TEU」の達成に向けて戦略的に取り組んでまいります。
- 人工島の民間住宅や道路・下水道などに助成する「住宅市街地総合整備事業」による積水ハウスなど特定の大企業への露骨な税金投入はやめること。
(答)
アイランドシティは、(第10次)基本計画において「魅力・活力創造拠点」として位置づけ、「環境に配慮した先進的モデル都市を形成」することとしており、引き続き、道路などの都市基盤施設の整備を進めてまいります。
- 「中長期的な視点で検討」などとして未だに現存している必要のない人工島への鉄軌道の導入計画はきっぱりとやめること。
(答)
アイランドシティへの鉄軌道の導入につきましては、アイランドシティのまちづくりの進展や、東部地域の交通体系の変化の状況などを踏まえつつ、中長期的な視点に立ち検討を行ってまいります。
- コロナ禍でインバウンドが破綻して、ウォーターフロント地区再整備も大幅な見直しが迫られた。海外クルーズ船の寄港が再開したことを理由に賑わいの拠点などといって財政負担が伴う開発を行わないこと。中央ふ頭や須崎ふ頭の新たな埋立て、埋立費用だけで700億円と莫大な費用がかかる箱崎ふ頭地区の水面貯木場及び海面処分場の埋立てはやめること。
(答)
ウォーターフロント地区(中央ふ頭・博多ふ頭)につきましては、ふ頭基部において、MICE関連施設が一体的・機能的に配置されたMICE拠点の形成や、賑わいと憩い空間の創出など、引き続き市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。(住宅都市局)
中央ふ頭、須崎ふ頭及び箱崎ふ頭地区の埋立てにつきましては、博多港港湾計画に位置づけており、引き続き、検討を進めてまいります。(港湾空港局)
- 第3セクター・博多港開発株式会社はケヤキ・庭石事件を起こすとともに、人工島事業の土地処分ができず、経営危機に陥り、市から多額の増資を受け、会社2工区を市に399億円で譲渡するなど、巨額の税金が投入されたおかげで存続している会社である。そもそも市の外郭団体の見直しでは、廃止も含めて検討されてきたものであり、このような会社に今後の埋立事業などを担わせることは許されず、会社はただちに解散し清算すること。
(答)
博多港開発株式会社につきましては、これまでも福岡市と両輪でふ頭の整備を行うなどの重要な役割を果たしてきており、今後とも、これまで蓄積した同社のノウハウや資産を博多港の機能強化など公共性の高い分野に積極的に役立ててまいりたいと考えております。
(4)大阪・関西万博
ゴミの最終処分場を会場としているためガス爆発事故が発生し、協会が事実を隠していたことも発覚した。また、アクセスが夢咲トンネルと夢舞大橋の二つしかない夢洲で大規模災害が起きた際の避難計画も未だにないなど、安全性への懸念が生じている。万博はカジノ建設のインフラ整備に公金を投入するためのものであり、本市が関わればカジノを容認するメッセージを送ることになる。このようなイベントに市民の税金を使うことは許されず、きっぱりと万博から手を引くこと。
(答)
福岡市では、国内で開催されるイベントなどを活かした効果的な観光誘客に取り組んでおり、引き続き、これらの機会を活かしながら誘客を進めてまいります。
(5)MICE・観光
インバウンドや富裕層・大企業優遇をやめ、「住んでよし、訪れてよし」の観光立国推進基本法の理念に立ち返った観光政策へと転換すること。地域住民のみなさんが望む形で観光客の受け入れができるよう、住民と自治体と観光関連業界とで検討されるサスティナブルツーリズムをさらに推進すること。
(答)
サステナブルツーリズムにつきましては、宿泊業をはじめとした観光関連事業者のCO2削減などの環境に配慮した取組みへの支援などを行っており、引き続き持続可能な観光を推進してまいります。
(6)国家戦略特区
国家戦略特区は、農業、医療、教育、労働などの分野の国民生活や安全にかかわる規制について、財界の要求に応じて緩和し、市民を守るルールを壊す仕組みとなっている。この制度は地域経済の発展にもつながらず、真の意味での経済成長をもたらさない。本市の「グローバル創業・雇用創出特区」指定を返上すること。
(答)
福岡市の国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」につきましては、スタートアップ支援による開業率の向上やイノベーションの推進による新たなビジネスなどの創出により、雇用の拡大を図ることを目的として取り組んでおります。
福岡市につきましては、特区の指定からこれまでの成果として、創業のすそ野が広がり、多くの企業が生み出されるなど、創業都市としての存在感が格段に向上しております。また、既存企業とスタートアップ企業のビジネスマッチングも進めてまいりました。そうした取組みを継続しつつ、次のステップとして、数多く誕生した企業の中から世界を舞台として飛躍的に成長する企業が生まれることを目指し、グローバル展開やスケールアップの促進に取り組んでおります。今後とも、国家戦略特区を活用することにより、技術革新や市民ニーズの変化で、時代に合わなくなった規制を緩和し、新しい価値の創造にチャレンジする企業の支援や、既存企業と創業企業との連携による相互の成長を図り、福岡市の都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。
(7)住宅困窮者対策
- 生活費に占める家賃の割合が極めて高いうえに、昨今の物価高騰などを口実に、家賃を増額する通告がされる等、更なる家賃負担増が広がりつつある。加えて、引き続く物価高騰が何重にも暮らしの危機的状況を招いている。収入が年金のみの世帯、学生を含む低所得の単身者世帯、高齢者単身女性世帯、シングル子育て世帯等に対しての家賃補助制度を創設すること。
(答)
家賃補助制度につきましては、離職等により経済的に困窮し、住居を失うおそれのある方に対して、生活困窮者自立支援法に基づき、家賃相当分の給付金を支給する住居確保給付金事業を実施しております。国の制度に基づき、引き続き、適切に実施してまいります。(福祉局)
低額所得者などの住宅確保要配慮者に対しましては、セーフティネット住宅において、入居者負担低減などの経済的支援策を設けており、引き続き、制度活用に向けて、広報・周知に取り組んでまいります。(住宅都市局)
- 高齢のために入居を拒否される事例が各地で起こっている。セーフティーネット住宅の実績は極めて不十分ありもっと充実を図ること。
(答)
高齢者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅につきましては、さらなる制度の周知を図るとともに、登録促進や入居者負担軽減のための経済的支援を行うなど、住宅確保要配慮者の居住の安定確保に取り組んでまいります。
(8)市営住宅
- 「住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸」する市営住宅はニーズが高いのに、応募倍率は、一般枠で11.1倍、単身の高齢者・身体障害者は31.7倍など、前年度から上昇している。「管理戸数は現状維持」という計画を見直し、新規に建設を行うとともに、髙島市長就任当初より400戸以上も減っている管理戸数を建替え時に増やすこと。またUR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど多様な供給方式の活用により、市営住宅の供給を大幅に増やすこと。
(答)
市営住宅につきましては、管理戸数のうち約半数の住戸が、昭和40年半ばから50年代に整備され、順次、更新時期を迎えることから、現在、居住環境を維持保全し、将来にわたって安定的な運営を図っていくため、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づく、計画的・効率的な建替えや改善事業に、鋭意取り組んでおります。
また、令和4年10月よりUR賃貸住宅の空き家をセーフティネット住宅として登録し、入居者負担軽減のため経済的支援策を設けております。
民間賃貸住宅の活用につきましては、引き続き、福岡市と住宅事業者や福祉団体などで構成する「居住支援協議会」において、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できる支援策を実施するとともに、継続的に協議・検討を行ってまいります。
- 未婚率の上昇、雇用の不安定化、所得の低迷は若者に過度の住宅費負担を強いている。若者も市営住宅に一般入居できるようにすれば多様な年齢層で団地コミュニティを構成することにもつながる。現行の基準を見直すとともに民間賃貸住宅の借り上げを含めて若者向け市営住宅を増やすこと。
(答)
若者の単身世帯の市営住宅への入居につきましては、市営住宅条例において、心身障がい者や災害被災者、DV・犯罪被害者など、より住宅困窮度が高い方は、年齢に関わらず入居申込ができることとしております。
また、若者のうち、低額所得者や住宅困窮者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として登録をするセーフティネット住宅の登録促進や、要配慮者に対する家賃低廉化補助などの経済的支援を行うなど、引き続き、要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう支援してまいります。
- 住民による市営住宅の共益費徴収や、草取り、駐車場の管理、電灯交換などの設備管理、住民トラブルの解決等を管理組合に押し付けるのではなく、市および住宅供給公社が責任を持って行うこと。また、電灯は改修工事や故障時の交換を待たずに交換頻度が少ないLEDの利用を早急にすすめること。
(答)
市営住宅における共益費の徴収などにつきましては、市営住宅条例及び同条例施行規則により、入居者には共用部分の光熱水費などの費用負担のほか、敷地内を適正な状態に維持していただく必要があることから、管理組合などによる共同での履行をお願いしております。
また、高齢化の進展などを背景に、行政等による共益費徴収・管理を望む意見があることを踏まえ、令和6年10月より一部の市営住宅において、共益費の徴収・管理のモデル事業を開始しています。なお、管理組合活動を支援するため住宅供給公社に専任の係組織を設置しており、共益費回収などの支援に取り組んでおります。
LEDの利用につきましては、新築住宅において平成24年度から共用廊下灯を、平成27年度以降は、全ての照明器具をLED照明としております。また、既存住宅につきましても、外壁改修工事や蛍光灯型照明器具が故障した際にLED照明へ交換しており、令和7年度末までに共用廊下等のLED化が完了できるよう進めております。
- 市営住宅の建替えに伴う余剰地については、第一義的には市営住宅の増設を図ること。それ以外の場合でも、住生活基本計画に基づき民間売却ではなく住民要望を反映し、「高齢者福祉施設等の誘致」など公的に活用すること。また、弥永住宅の余剰地には住民要望にそって、高齢者福祉施設や児童館、図書館等を設置すること。
(答)
市営住宅につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、建替えや改善事業による機能更新を進めております。
大規模な市営住宅を建て替える際は、土地の有効活用により将来活用地を創出し、公共施設の導入や、福祉関連部局と連携し、地域課題を踏まえた福祉施設の誘導を行うなど、地域拠点の整備を進めてまいります。
今後も、将来活用地につきましては、行政需要調査を踏まえた公共利用を最優先にしながら、地域の意向も踏まえ、その規模や地域特性に応じて事業提案公募による売却を実施するなど、活用方法を検討してまいります。
- 公的関与を弱める指定管理者による市営住宅の管理はやめ、市住宅供給公社で行うこと。
(答)
市営住宅の管理につきましては、幅広い管理業務のうち、保守管理、緊急・小口修繕及び駐車場管理運営業務について、民間事業者の能力やノウハウを活用し、入居者サービス向上などを図るため、一部の区において民間事業者による指定管理を実施しております。今後とも、市営住宅の機能や役割を踏まえつつ、福祉的な配慮への対応やコミュニティの活性化、効果的な管理運営などに向け、福岡市住宅供給公社、民間指定管理者、それぞれの力を引き出しながら、安定的なサービス提供に努めてまいります。
- 市営住宅の入居者の訪問介護や訪問看護およびデイサービスの送迎等の際に利用できる無料の来訪者用駐車場を増やすこと。また、敷地内有料駐車場に近隣の工事車両などが長時間駐車して、市営住宅の住民への来訪者が利用できない事態も生じている。住民関係者が優先して使えるように必要な手立てを取ること。
(答)
市営住宅における来訪者用駐車場につきましては、入居者の親族や介護サービス事業者などが訪問する際の駐車スペースのニーズが高くなっているため、コインパーキングやデイサービス送迎等の一時駐車場の設置を進めております。
また、予約制の駐車場シェアリングにつきましても、モデル事業を通して把握した課題の改善等を行ったのち、拡充を図ってまいります。
なお、これらの駐車場につきましては、市営住宅への来訪者などが利用しやすい運営に努めており、今後も駐車場の設置や適切な管理運営に取り組んでまいります。
- 福祉のまちづくり条例には市営住宅などについて「市は…高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするために…必要な措置を講じるよう努めなければならない」と定めており、エレベーターのない市営住宅はバリアフリーの観点から重大な問題である。建替えなどで対応する現在の市の整備計画ではあまりにも遅く、すべての市営住宅にエレベーターをすみやかに設置すること。
(答)
エレベーターの設置につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、特に老朽化が著しい中層住宅の建替えを推進するとともに、片廊下型の既存中層住棟への設置に努めております。
(9)建築紛争
- 中高層マンション建築の苦情相談件数は昨年度94件にも及び、住環境を守りたいという住民の願いは高い。「建築紛争の予防と調整に関する条例」は建築に対する「住民合意」を求めておらず、紛争の原因となっている。住民合意・罰則規定の導入など条例をより実効性のある内容に抜本的に改定すること。あわせて、当事者となる「住民」の範囲拡大、住民から要求があった場合の説明会開催の義務化、原則として説明会出席者全員が署名した議事録の提出、市の指導の義務化などを盛り込んだ、条例改正を緊急に行うこと。また、解体についても近隣住民への事前説明と周知の義務付けなどの規制を盛り込むこと。
(答)
建築紛争の予防と調整に関する条例につきましては、建築基準法関係規定に定めのない標識の設置や事前説明の義務化などを法に上乗せして定めることにより、建築計画などについて事前に周知し、建築主等と近隣住民が早めの話し合いを行うことで、建築紛争を未然に防止することを目的としております。
建築紛争の解決は、建築主等と近隣住民双方の歩み寄りと協力により実現されるものであると考えており、福岡市では、近隣住民等から説明会開催の要望があった場合は、建築主へこれに応じるよう指導を行い、概ね開催されている状況となっております。
また、議事録につきましては、署名までは求めておりませんが、建築主及び近隣住民の双方で確認しておくことを促しております。
さらに、建物がなくなる解体工事につきましては、解体業者において事前説明や家屋調査などを適宜行っていることから、事前説明等の義務付けまでの必要性は低いと考えております。今後とも、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。
- 住民説明会が開かれても不誠実な説明・対応に終始して打ち切るケースや建築主等が一方的にまとめた、事実上虚偽の報告ともいえる「議事要旨」をつけて市に報告していた事例や住民を妨害者扱いして訴訟を起こすなど悪質な行為が後を絶たない。また、「条例を遵守する」と言いながら住民の要求に歩み寄らない事例もある。建築主への条例の周知のあり方を見直し、条例及び解説書の精神が実際に生きるように徹底すること。
(答)
福岡市では、建築紛争の予防と調整に関する条例の趣旨に則り、建築主等と近隣住民による話し合いや双方による説明会の議事録等の確認を促しております。
また、紛争予防条例やその解説につきましては市ホームページに掲載し周知するとともに、建築主等が紛争予防条例についての理解をより深めるため、関係団体の会員に対する周知文書の配布や団体が出席する研究会や講習会において紛争予防条例の啓発に努めております。今後とも、建築主等と近隣住民双方が条例の主旨等についての理解を深めるよう周知啓発に努めるとともに、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。
- 開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の積極的な周知と適用に努めること。
(答)
良好な住環境の形成・保全へ向けては、全市的な土地利用誘導の枠組みである用途地域などを基本としつつ、地域の状況や特性に応じたきめ細かなまちづくりのルールを定める制度である地区計画や建築協定などを活用することが有効であると考えており、令和6年12月末現在、138地区において地区計画を策定し、また、73地区で建築協定を認可しております。今後も、これらの制度の周知を図り、地元の方々と共働してルールづくりに取り組みながら、制度の積極的な活用に努めてまいります。
(10)公共交通・生活交通
- 福岡市の交通政策の基本的指針となる「都市交通基本計画」の改定に向けた検討がすすめられている。計画の検討資料のなかには、6年前の市長選で市民から強い批判を浴びた博多駅からウォーターフロントを経て人工島に抜けるロープウェイのようなものや2年前の市長選後に大問題になった福岡空港国際線への地下鉄延伸なども試算されており、どれも採算の取れないとんでもない提案ばかりが並べられている。これらの提案は市民のためではなく観光客などの利便性向上と民間大企業の利益を優先させるものであり、撤回すること。
(答)
計画の改定にあたっては、現時点における採算性などを把握し、このようなデータを含めて、計画改定の検討過程を議会や市民にお示しすることが重要と考え、概略試算の結果をお示しいたしました。各拠点などへのアクセスを強化することは重要であるため、新たに各拠点などへのアクセス強化に取り組むことを位置づけ、交通状況の変化など中長期的な視点も持って、様々な方策を幅広く検討してまいります。
なお、上空における試算につきましては、代表的な鉄軌道システムとして、モノレールおよびAGT(新交通システム)で試算を行っております。
- 唐人町からみずほPayPayドームへの「動く歩道」など民間会社からの提案が「基本計画」案の資料に掲載されているが、結局、事業者側は国や市からの補助金などを当て込んでおり、これらの案を実施すれば、莫大な公金投入に繋がる。前のめりの姿勢はあらため計画から除外すること。
(答)
民間事業者からの提案につきましては、提案者自らが実施主体となるものであり、また、福岡市の交通課題の解決や交通利便性の向上につながる取組みであると考えていることから、より良い取組みとなるよう対話を進めてまいります。
- 「都市交通基本計画」案では今後の生活交通の支援策について、バス路線などの代替交通の確保と地域主体の取り組みへの支援強化などとし、具体的な新しいものは見受けられない。デマンド交通など不十分だった従来の施策の延長線上では取り残される住民を生み出してしまうのは明白である。地域の諸条件に応じた施策の策定と実施の責務を果たすこと。
(答)
公共交通による生活交通の確保に向けた取組みにつきましては、高齢化の進展などに伴い、重要性が高まっていると考えております。
一方、郊外部における人口減少やバス利用者数の減少に加え、近年の運転手不足など、公共交通を取り巻く環境は厳しくなっており、バス路線の維持に課題が生じております。このため、地域、交通事業者及び市が共働して、公共交通ネットワーク維持に努めるとともに、持続可能な生活交通確保に向けた取組みの一つとして、令和4年度より、オンデマンド交通を活用した社会実験を実施しております。
今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などを実施するとともに、社会実験の成果などを踏まえ、令和7年度に公共交通不便地等における地域の取組みに対する支援を拡充するなど、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に取り組んでまいります。
- 巨額の費用がかかる空港国際線ターミナルへの都市高速道路の延伸は中止すること。
(答)
福岡高速3号線(空港線)の延伸につきましては、福岡市南部地域や太宰府方面からの国内線旅客ターミナルへのアクセス強化と、空港周辺道路の混雑緩和にも寄与する重要な道路であり、令和3年度に着手しております。今後も、福岡北九州高速道路公社など関係機関と連携し、早期供用に向けて取り組んでまいります。
- 高低差が激しく、バス停からの距離もあり、買い物や通院など特に高齢者の移動が困難になっている地域が少なくない。区役所をはじめ地域交流センターなど主要な公共施設に公共交通機関でアクセスすることが困難な住民も多い。このような地域に安価で利用できるコミュニティバスやシャトルバスを運行させること。市は運行の条件に地域の協力を求めるが、それ自体に大きなハードルがあり、これを超えなければ生活交通が保障されないのは不公平である。住民自治会の動向によって支援に差をつけることはやめること。
(答)
福岡市は、ほとんどの地域において民間のバス路線が形成されており、郊外部など、バス路線の休廃止に伴い公共交通空白地となる地域につきましては、条例に基づき、休廃止対策として、代替交通を確保しているところです。
休廃止対策によりベースとなるバス路線などの維持を図りつつ、オンデマンド交通社会実験の成果などを踏まえ、令和7年度に公共交通不便地等における地域の取組みに対する支援を拡充するなど、取組みを強化することとしており、引き続き、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に努めてまいります。
- 西鉄によるバスの減便・廃止は、通院や買い物など住民の日常生活に大きな支障をきたしており、生活交通確保への最大限の配慮を定めた公共交通条例を無視している。交通事業者としての責務を果たさせるように早急に増便を求めること。生活交通の確保を交通事業者の努力義務ではなく義務として明記することや、「自助」「共助」などとし住民に責任を押し付けるやり方を改めるなど、生活交通条例を改正すること。
(答)
公共交通による生活交通の確保に向けた取組みにつきましては、高齢化の進展などに伴い、重要性が高まっていると考えております。
一方、郊外部における人口減少やバス利用者数の減少に加え、近年の運転手不足など、公共交通を取り巻く環境は厳しくなっており、バス路線の維持に課題が生じております。このため、地域、交通事業者及び市が共働して、公共交通ネットワーク維持に努めるとともに、持続可能な生活交通確保に向けた取組みの一つとして、令和4年度より、オンデマンド交通を活用した社会実験を実施しております。
今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などを実施するとともに、社会実験の成果などを踏まえ、令和7年度に公共交通不便地等における地域の取組みに対する支援を拡充するなど、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に取り組んでまいります。
- 市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引については請願が全会一致で採択されており、現在の20円から東部の西鉄との乗継同様すみやかに60円へ拡大するようJRに強く要請すること。また、JRが割引を実施しない場合でも、物価高騰対策および公共交通利用促進による脱炭素施策としても、本市が先行して割引額を10円から30円に引き上げること。加えて連続割引区間について、2区から3区に拡大すること。
(答)
JR筑肥線から地下鉄への乗り入れの初乗り料金軽減につきましては、市議会において請願が採択されたことも踏まえ、JR九州と協議を行っております。
引き続き、請願採択の趣旨である東西の格差是正に向けて、鋭意協議を進めてまいります。
- JR筑肥線運休の際に、乗客は姪浜駅に足止めされ徒歩やタクシーなどで目的地に向かわざるを得ないケースが度々ある。その場合、JRに代替輸送を速やかに行うよう強く申し入れること。JRが実施しないならば市の責任で市民の交通手段を確保すること。
(答)
JR筑肥線内の輸送障害に伴う代替輸送につきましては、JR九州において、判断のうえ実施されるべきものであると考えており、効果的かつ円滑に行われるよう、交通局としてJR九州と必要な協議を進めてまいります。
- 毎年のように視覚障害者が駅ホームから転落する事故が後を絶たない。市内の西鉄天神大牟田線各駅およびJR博多駅などにホームドアを早急に設置するよう西鉄やJR九州に強く申し入れるとともに、国まかせではなく、市としても推進のための協議会を設置すること。また、ホームドアが設置されるまでの間、乗客の安全対策要員をホームに配置するとともにホーム中央に視覚障害者の道しるべとなる線状誘導ブロックや内包線付き点状ブロックを敷設するよう事業者に申し入れること。
(答)
鉄道駅におけるホームドアの設置につきましては、鉄道事業者による取り組みを踏まえながら、ホームドア以外の安全対策も含め、引き続き鉄道事業者と協議を行ってまいります。なお、西鉄天神大牟田線においては、令和7年度末までに西鉄福岡(天神)駅内全ホームへのホームドア設置を完了する予定と聞いており、また、JR筑肥線においては、令和3年3月に市内全駅への設置が完了しております。
- JR九州による駅無人化のため車椅子利用者は介助員が来るまでに長い時間がかかったり、前日までの予約ができなければ移動に著しい制約を受けたりしている。同社に対して移動の自由を制限されて苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めた訴訟が係争中である。駅の無人化は本市の障がい者差別解消条例が規定する合理的配慮に欠けるものであり、全駅を有人に戻すよう、JR九州に求めること。
(答)
駅無人化につきましては、令和4年7月に国土交通省が策定した「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン」も踏まえながら、無人駅における安全性や利便性を確保するよう、引き続き働きかけてまいります。
- 一方通行なので、人にぶつからず階段より安全であるエスカレーターは、多くの視覚障害者が単独で利用している。エスカレーターへの誘導をするための点字ブロックを設置すること。
(答)
バリアフリールートの誘導案内につきましては、国のガイドラインや福祉のまちづくり条例などに基づき整備を行っております。地下鉄駅における視覚障がい者のエスカレーターへの誘導案内につきましては、乗降時のつまずきや転倒、白杖の巻き込みなど、安全性に課題があるため、ご利用のお客様の安全を考慮し、エレベーター及び階段などのより安全なルートへの誘導を行っております。今後、障がい者団体などの意見、国や他の鉄道事業者の検討状況などを踏まえ、慎重に研究してまいります。
(11)道路・交通安全
- 「道路整備アクションプラン2024」における「生活関連経路バリアフリー化された割合」は、年間整備延長が少なく、目標を達成できるペースでもないため、抜本的に予算を増額すること。また、バリアフリー化の対象を重点整備地区に限らず、緊急性や必要性を踏まえて、全ての鉄道駅周辺とその周辺道路等のバリアフリー化を推進すること。
(答)
生活関連経路のバリアフリー化につきましては、現在策定中の「道路整備アクションプラン2028(令和7年度~令和10年度)」に基づき、計画的に取り組んでまいります。また、生活関連経路以外の道路のバリアフリー化につきましても、必要性や緊急性などを勘案しながら取り組んでまいります。
- 従来から、交差点の歩道と車道との間には2センチの段差が必ずある。車椅子が2センチの段差を乗り越えるためには一定の力が必要であり、衝撃で荷物が飛び出ることもある。障害のある当事者との協議で、歩道に段差のない縁石の設置を始めているが、規模もスピードもあまりにも不十分である。予算も大きく確保して、急いで歩道と車道の段差解消をしていく計画を必要性のあるところに立て、実施すること。
(答)
交差点の歩道と車道との間にある段差につきましては、段差のない縁石の整備について、令和6年度より全市的に本格導入し、道路の改築などに合わせて、順次整備を進めております。引き続き、現在策定中の「道路整備アクションプラン2028(令和7年度~令和10年度)」に基づき、誰もが安心して移動できるよう道路のバリアフリー化に取り組んでまいります。
- 通学路および学童保育、園児等の移動経路や保育園周辺を総点検し、安全対策を講じること。さらに、「小学校周辺の歩車分離率」を引き上げること。
(答)
通学路や未就学児の移動経路をはじめとする道路の交通安全対策につきましては、関係機関と連携し、安全点検により抽出された箇所などにおいて、路側帯のカラー化や防護柵の設置、交差点部における車止めの設置などによる安全対策に取り組んでおります。
「小学校周辺の歩車分離率」の引き上げにつきましては、現在策定中の「道路整備アクションプラン2028(令和7年度~令和10年度)」に基づき、重点的に取り組んでまいります。
- 消えかかった横断歩道や停止線、国道の中央分離帯などの路面標示を改善するとともに交通安全施策関連予算の増額を県や国に求めること。また、カラー舗装や路面標示は安全対策として重要であり、関連予算を増額すること。
(答)
横断歩道や停止線などの道路標示の改善につきましては、地域からの要望などを踏まえ、県公安委員会へ適切な維持管理を求めてまいります。(市民局)
福岡市が管理する路面標示の維持管理につきましては、引き続き、日常的なパトロールに加え、道路の「傷みカード」や「LINE通報システム」などにより市民や企業などから寄せられる情報も踏まえ、不具合を早期に確認し、早期補修に努めてまいります。
道路の交通安全対策につきましては、必要性や緊急性などを勘案しながら、取り組んでまいります。(道路下水道局)
- 昨年210件発生している道路陥没を未然に防ぐために、日常パトロールや路面下空洞調査等の頻度を増やし、原因と劣化・優先度の分析をおこない、道路改修・維持対策を講じること。
(答)
道路の維持管理につきましては、日常的なパトロールに加え、市民や企業などへ通報の協力をお願いするとともに、路面下空洞調査を実施し、道路の損傷や空洞の早期発見と早期補修に取り組んでおります。
また、これまで補修した空洞の発生要因を分析するとともに、下水道の整備時期などの地域特性も踏まえながら、空洞が発生しやすい箇所を抽出し、今後の調査路線を選定しております。今後とも、日常的なパトロールや空洞調査により、事故の予防保全に努めてまいります。
- 自転車の安全を確保するためには、歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備することが重要である。しかし、実態は進んでおらず、整備されたものも歩行者や車との混在形態のものが多い。歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備するために、関連予算を抜本的に増額し整備を急ぐとともに自転車対歩行者事故を減らす対策を強化すること。
(答)
自転車通行空間につきましては、「自転車活用推進計画」及び「道路の構造の技術的基準及び道路標識の寸法を定める条例」などに基づき、自転車、自動車それぞれの有効幅員がなるべく広く確保できるよう、中央分離帯の縮小や幅の狭い側溝への改良などの工夫を行い、より安全な自転車通行空間の整備を推進してまいります。
- 自転車に乗る人のヘルメット着用を普及するために、他都市にならいヘルメット購入費補助制度を創設すること。
(答)
ヘルメットの着用促進につきましては、県警察や関係機関・団体と連携し、広報・啓発に取り組んでまいります。
(12)水道・下水道
- 異常な物価高騰が収まらず、一方で賃金や年金が物価高に追いつかず、多くの市民の暮らしや中小事業者の業況等がきわめて厳しい状況に置かれているもと、水道料金は市民に重い負担となってのしかかっている。本市は、水道料金の減免を求める市民の声に対し、企業債残高の増大を招くなどと言い訳をし、支払期限の延長のみ対応しているが、2023年度は企業債残高を計画以上に約17億円も縮減しており、問題は市民生活を守る立場に立つかどうかである。本市独自に、緊急の水道料金の減免措置を講じること。
(答)
水道事業につきましては、近年の物価上昇や建設単価の高騰などにより厳しい経営環境に置かれており、水道料金の減免は、企業債残高の増大や施設の整備・更新の遅れを招き、将来に大きな負担を残すことになると考えております。
水道料金の支払いが困難なお客さまにつきましては、分割納付や支払期限の柔軟な対応など、引き続き、丁寧に対応してまいります。
- 本市の上下水道の減免制度は、水道料金にはそもそも全くなく、下水道料金では災害時だけであり、他都市に倣って非課税世帯や障害者世帯を対象とした減免制度をつくること。また、生活保護利用世帯への下水道使用料の減免制度については、政令市では、仙台・さいたま・相模原・静岡・浜松・名古屋・広島市で実施され続けており、本市でも復活させること。
(答)
水道事業につきましては、独立採算制と受益者負担の原則を基本として運営を行っております。
水道料金の減免を行った場合、事業運営に影響を及ぼすとともに、最終的にはその費用を他のお客さまにご負担いただくこととなるため、減免制度は設けておりません。(水道局)下水道事業会計での負担による減免は、歳入面では使用料収入の大幅な伸びが期待できない中、歳出面では下水道施設の改築・更新費用などの増大が今後見込まれ、将来に大きな負担を残すことが危惧されることから、慎重に判断すべきであると考えております。生活保護受給世帯に対する下水道使用料の減免制度につきましては、負担の適正化を図る観点から、平成28年6月に廃止したものであり、同制度の復活は考えておりません。(道路下水道局)
- 水道事業は、安全・安心・安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものであり、地方公共団体主体で健全な運営がなされるよう現行のまま直営を堅持し、民営化や広域化は行わないこと。
(答)
水道事業につきましては、「水道長期ビジョン2028」に基づき、福岡市が責任を持って主体的に運営し、計画的に事業を推進するとともに、他水道事業体との連携も図りながら、安全で良質な水道水の安定供給に取り組んでまいります。
- 能登半島地震では、道路や電気・通信と並ぶ重要インフラである上水道が根こそぎ破壊され、取水、浄水、管路などの機能が停止し、一部には長期間にわたり給水が再開されない事態となった。この地震の教訓からも、水道施設・管路等の耐震化を集中的に推進することが求められる。本市の水道配水管の耐震化率は2023年度末で61.8%と年間0.6%しか進んでおらず、残されている配水管の耐震改修について、現行の年間45kmの更新ペースでは完了まであと35年間もかかるため、さらに早めるよう計画を見直すこと。また、災害時などに水を供給しなければならない重要給水施設の耐震ネットワーク工事は、未だ救急告示病院である今津日赤病院など7か所が未整備であり、工事を急ぐこと。さらに、この耐震ネットワークの対象となっていない避難所も多くあり、対象施設を抜本的に増やすこと。
(答)
配水管の耐震化につきましては、収容避難所や救急告示病院などへの給水ルートを優先的に耐震化する耐震ネットワーク工事が令和6年度末までに完了する見込みであり、地震などの災害が頻発化・激甚化している現状を踏まえ、新たに一時避難所などを対象施設とした「第2次耐震ネットワーク工事」を令和7年度から計画的に実施してまいります。
- 下水道管の未耐震は、震災時のトイレの使用などに大きな支障をきたすことが能登地震でも改めて明らかとなった。本市の下水処理場6施設中4施設が地震時における排水機能が確保されておらず、下水道管渠全体でも未耐震化率が65.9%であり、早急に改善すること。
(答)
地震対策につきましては、下水道の根幹となる施設である水処理センター・ポンプ場の耐震化を進めるとともに、下水道管渠においても、緊急輸送道路に埋設された管渠や防災拠点に接続する管渠などの耐震化を優先的に実施してまいります。
- 福岡地区水道企業団の海水淡水化施設は、年間約25億円の維持管理費等の経費をかけながら、実際は、2013年以降、1日平均生産水量が5万㎥ある施設能力の半分を超えた年はほとんどない。そもそも本市の1日最大給水量45万9633㎥に対し施設能力は78万987㎥あり、すでに過剰である。さらに日量1万㎥の五ケ山ダムからの用水供給が開始されており、海淡施設を稼働する必要はない。したがって、2027年までさらに155億円をかける設備更新はせず、海淡施設は廃止するよう企業団に強く求めること。
(答)
海水淡水化施設につきましては、県策定の「福岡地域広域的水道整備計画」に位置づけられており、渇水時などにおける水の安定供給に寄与するものであることから、水資源に恵まれない福岡都市圏にとって必要な施設であると認識しており、令和5年から6年にかけての冬季渇水時にはフル稼働するなど、都市圏の安定供給に貢献しております。
なお、設備更新につきましては、福岡地区水道企業団において、更なるコスト削減に取り組まれていると聞いております。
- 猛毒のダイオキシンを生成する2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(除草剤)が、1971年に林野庁によって五ケ山ダムの上流域の佐賀県吉野ヶ里町に945kgが埋められ、長年放置されてきた。国は、これを撤去する方針を持ったが、その後の進捗がない。国に対し、安全かつ速やかな撤去を強く要望すること。
(答)
2,4,5-T系除草剤の移設などにつきましては、平成4年から関係利水者である那珂川市、福岡地区水道企業団、春日那珂川水道企業団と連携して、国に要望してまいりました。このような中、国は令和3年から撤去を念頭に置いたボーリング調査などを進め、掘削対象の範囲や処理量が把握できたことから、処理が可能と判断し、令和6年度に埋設箇所の中央部分にある除草剤の掘削・収集運搬・無害化処理を実施しており、残りの掘削対象土の処理も、令和7年度に国が発注する予定です。
このような進展を踏まえ、水源汚染に対する不安を払拭するため、ダム管理者である県に対して、国への積極的な働きかけについて要望するとともに、国に対して残りの掘削対象土の安全な処理や、掘削処理後における土壌及び水質のモニタリングによる安全性の確認などを要望しております。
今後とも、関係利水者や県と連携して、国へ強く要望してまいります。
- 能登半島地震でも明らかになったように、給水車と運転要員の確保は、今後の大規模災害等を考慮すれば重要な課題である。横浜市19台、大阪市16台、熊本市7台などと比較しても、現在の本市保有台数4台は充分ではない。必要な財政措置を国に求めるとともに、市独自でも給水車と要員を拡充すること。
(答)
給水車につきましては令和6年度に2台の追加配備を進めており、今後は6台体制で対応することとしており、研修や訓練により給水に対応できる人員の育成を図っております。また、災害時の応急活動につきましては、全国の水道事業体に支援を要請できる体制を構築しております。なお、水道施設の災害対策に対する行財政支援などにつきまして、日本水道協会を通して国に対して要望をしております。
(13)防災
- 能登半島での大地震は、県による地震被害想定の見直しが行われず、インフラ等の耐震化の遅れとともに、消防や自治体職員が大幅に削減されて防災力が貧弱な中、国や他の自治体からの派遣に依存せざるを得なかったことが指摘されている。本市「地域防災計画」の基本理念には「市民、企業、NPOとの共創」などとして「自助、共助」をことさら強調しており、能登半島地震で明確となった自治体の責務の位置づけが曖昧である。「地域防災計画」において自助・共助を求めるだけでなく、市の責任で地域防災力の向上に取り組むよう「計画」を改めること。
(答)
地域防災計画においては、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を基本として、これを実現するため、自助、共助、公助が一体となった災害に強い共創のまちづくりを推進していくこととしております。
- 本市には、警固活断層とともに、政府の特別機関である地震調査研究推進本部が主要活断層と位置付けた日向峠-小笠木峠断層、宇美断層があることから、本市防災計画の想定地震に3つの活断層を入れること。
(答)
地域防災計画における被害想定につきましては、災害対策基本法により、市町村の計画は国や県の計画と整合を図ることとされており、県において、主要活断層の被害想定調査の結果を踏まえた計画の見直しが行われた場合には、県の計画との整合を図りながら必要な見直しを行ってまいります。
- 本市の地震による想定避難者数2万5千人は、想定されている全壊住宅数と焼失建物に住む人の数である。しかし、避難するのは全壊や焼失した家屋の人だけではなく、半壊や一部損壊の世帯や、不安から自主避難する人々も見積もるべきであり、想定避難者数を抜本的に見直すこと。
(答)
地震による想定避難者数につきましては、災害対策基本法により、市町村の計画は国や県の計画と整合を図ることとされており、引き続き、県の計画との整合を図りながら必要な見直しを行ってまいります。
- 本市は水と食料について、国からのプッシュ型支援物資が届く最大3日間分として、想定避難者を人口の1.5%の3万人の3食分合計27万食を公的備蓄している。しかし、能登半島地震では1週間後でも支援は届かなかった。国の支援を当て込んだ貧弱な備蓄計画は抜本的に見直すこと。
(答)
国のプッシュ型支援につきましては、大規模災害時には発災当初から、物資が緊急輸送されるようになっており、過去の災害においても、発災から3日目までには被災地に届いていることから、その実効性は高いものと考えております。
必要な物資につきましては、公的備蓄のほか、国からの支援物資や企業などとの災害時応援協定も活用しながら、適切に確保してまいります。
- 本市の公的備蓄の内、飲料水の86%、食料の75%が、博多区月隈の収蔵庫に集中配備となっている。これでは、警固活断層で大地震が発生し、市内道路が断層を中心に寸断されれば、本市の東部と西部との輸送ルートが確保できなくなり、必要な物資が避難所に届かない事態となりかねない。新潟市では8行政区にある54の拠点施設に一定の備蓄を行い、それとは別に、小・中学校、高校など360カ所に分散備蓄している。このような体制は、名古屋市でも、横浜市でも同様に取られている。月隈に集中している備蓄のやり方は、他都市に倣って、早急に分散配備に切り替えること。
(答)
公的備蓄につきましては、各小学校などに防災倉庫を設置し、避難所で必要となる発電機や照明器具などの資機材を配備するとともに、各公民館などに食料、水、携帯トイレなどを備蓄しているところであり、引き続き、分散備蓄を進めてまいります。
- 能登半島地震では、下水道や水道が寸断されてトイレが使えない状況が発生し、トイレを必要数いち早く確保する重要性が浮き彫りとなった。本市には携帯トイレの備蓄は33万回分しかなく、3万人の避難者が1日5回の用を足したとして2日分しかない。また、耐震化された下水道に繋がる下部構造を構築しておけばすぐにでも使えるマンホールトイレは、本市には25施設76基しかなく、大阪市の1450基と比べても余りにも足りない。さらに、トイレ問題は関係部局が多岐にわたることから、全体統括責任者を明確に決めることが求められている。携帯トイレの備蓄を抜本的に増やすとともに、マンホールトイレは地区避難所408カ所に、計画的に急いで整備すること。また、トイレ対策の全体統括責任者を明確にすること。
(答)
災害用トイレにつきましては、携帯トイレと簡易トイレをあわせて約48万回分を確保しております。
また、マンホールトイレにつきましては、避難所となる公民館や小中学校などの新築、改築に合わせて整備を行うなど、引き続き、関係局と連携しながら、災害時のトイレ対策に取り組んでまいります。
- 能登半島地震では、金沢大学による珠洲市での調査で、木造家屋100棟のうち約40棟が全壊状態で、その半数が1981年の「新耐震基準」導入後に新改築されたものだったとされている。福岡市内の住宅については約10万戸が耐震基準を満たしているか不明とされているが、それに加えて、新耐震基準を満たしているとされる住宅約67万戸についても大地震に対して必ずしも安全とは言えなくなった。東京都では2000年以前に建築された新耐震基準の木造住宅についても診断や改修について補助事業を開始している。市内建築物の耐震化を早急に促進するために、本市として無料の簡易診断を行うとともに、改修補助額を抜本的に引き上げること。また、対象外とされている1981年以後に建築された新耐震基準の住宅にも対象を拡充すること。さらに、人命確保のための耐震ドア、窓や屋根の補強だけでも助成を活用できるようにすること。あわせて、木造戸建て住宅の耐震改修工事費補助事業については、多額の工事費全額を事前準備しなければならず、市から補助金額を直接工事事業者に支払う「代理受領制度」の速やかな導入を行うこと。
(答)
住宅の耐震化につきましては、「福岡市耐震改修促進計画」に基づき、木造戸建住宅や共同住宅の耐震改修工事費補助などを実施しており、令和6年度から木造戸建住宅の耐震改修工事費補助の補助上限額及び補助率を拡充しております。昭和56年以降の木造戸建住宅につきましては、平成29年5月に「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」が国から示されており、引き続き、所有者やリフォーム業者、設計者などに幅広く周知してまいります。
家屋以外の補強・支援につきましては、人命を守ることが最も重要であると考えており、耐震シェルター・防災ベッドの設置を補助対象とするなどの耐震改修補助制度の拡充を図っております。また、代理受領制度などにつきましては、必要に応じて他都市の事例なども参考に、市民にとって使いやすい制度となるよう努めてまいります。
国土交通省によると、能登半島地震における旧耐震基準の木造建築物は、昭和56年以降の木造建築物と比較して顕著に高い倒壊率であり、引き続き、現行の補助制度の周知・活用促進など、民間住宅の耐震化の促進に取り組んでまいります。
- 国の被災者生活再建支援金は最大でも300万円と少なく、加えて現行の支援金額となった2007年に比べて建設資材は151%に値上がりしており、現状の支援金額では大幅な目減りとなっている。さらにこの対象は、「全壊」もしくは「大規模半壊」に限られる。また、福岡県被災者生活再建支援金は、全壊世帯には最大200万円が支給されるが、一部損壊は対象外となっている。国や県に対して住宅支援をさらに充実するよう求めること。あわせて、福岡市災害見舞金は全・半壊世帯に最大6万円を支給するだけの制度となっており、抜本的に充実させること。
(答)
被災者生活再建支援金につきましては、これまでも指定都市市長会などにおいて、国に対し、対象範囲の拡充など制度の見直しを要望しており、引き続き、国の動向を注視してまいります。福岡市災害見舞金につきましては、市の基準に基づき、被害の程度などに応じて支給してまいります。
- 大雨による避難指示が出ても避難する人が極めてわずかという問題がある。市はハザードマップを配布するなどとして自宅の土砂災害のリスクの認識や、マイ・タイムラインの作成推奨で正しい避難行動の理解促進を図るというが、2018年の西日本豪雨では愛媛県肱川の野村ダム等の緊急放流による洪水から避難できず犠牲を生み、昨年の久留米市の土砂災害では土砂災害警戒区域の指定外で被害が出るなどしており、行政の正確な情報伝達については、さらなる研究が求められている。したがって、市民の避難に関する正確な情報が速やかに伝わるよう日常的な体制強化を図ること。
(答)
災害時の避難行動につきましては、多様な伝達手段により、高齢者等避難や避難指示などの緊急情報を速やかに発信しており、これらの情報やマイ・タイムラインなどを活用し、適切な避難行動につなげていただく取組みを進めてまいります。
- 本市の洪水ハザードマップは2級河川の氾濫想定だけが記載されており、未だに準用河川や普通河川の氾濫等による内水浸水が反映されていない。ハザードマップを実際の避難行動に結びつくようにするために、内水浸水想定区域を作成して反映させるとともに、過去の浸水実績やワークショップ等で住民から出されている意見も図示に用いるなど、改定を急ぐこと。
(答)
内水浸水想定区域につきましては下水道区域全域において、また、洪水浸水想定区域につきましては準用河川などにおいて、現在、区域の設定に向けて検討を進めております。(道路下水道局)
準用河川などの洪水浸水想定区域のハザードマップへの反映は、令和6年度中の完成を目指しております。今後も、新たな浸水想定区域が設定された際などには、適宜、ハザードマップへの反映を行ってまいります。(市民局)
- 津波ハザードマップについて、避難の方向の記載はあるものの、区域内で避難できる高いビルなどが記載されていない。必要な津波避難ビルを確保し、ハザードマップに記載すること。また、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。
(答)
津波避難対策につきましては、津波ハザードマップを作成し、対象校区への配布や、ホームページへの掲載を行うとともに、複数の災害リスクを表示できる「総合ハザードマップ」を配信しており、これらの活用について、引き続き出前講座などを通して市民への周知・啓発を図ってまいります。
- 本市の災害予防計画では、パソコンやスマートフォン等を活用することが前提となっており、それができない高齢者や障害者などには災害時に自分のいる地域でどういう被害が起きるのか、正確に知ることができない。ハザードマップや揺れやすさマップについて、全区1本のものが配布されているが、具体的な危険箇所は、きわめてわかりにくい。避難経路や避難場所はどこかなどが誰にでも理解できるようにすることが求められている。市の責任で校区ごとのマップを作成し、全世帯に配布すること。
(答)
ハザードマップにつきましては、災害種別毎に災害想定区域や避難場所などを記載したマップを作成し、市民へ配布するとともに、ホームページに掲載しております。
また、複数の災害リスクを表示し、任意の場所を拡大・印刷できる「総合ハザードマップ」の配信も行っており、今後もこれらを活用し、出前講座などを通して市民への周知・啓発を図ってまいります。(市民局)
警固断層帯南東部で地震が発生した場合に、お住まいの地域がどのくらい揺れるかを強さ別に色分けした揺れやすさマップの各区版を配布するとともに、出前講座や耐震セミナ-を開催し、建物の耐震化の重要性について周知啓発に努めております。(住宅都市局)
- 「福岡市地域強靭化計画」には、被災後の都市のイメージの回復、福岡市のブランド力の確保・向上策として、平時からMICE誘致、開催支援策を推進していくなど、災害対策とは関係のない事業も入っており、見直すこと。
(答)
国土強靭化地域計画に係る国のガイドラインにおきまして、災害による風評被害や信用不安、生産力の回復遅れなどによる経済等への甚大な影響を回避するよう示されていることを踏まえ、「福岡市地域強靭化計画」においても、都市イメージの回復、ブランド力の確保・向上策として、平時からМICE誘致、開催支援などを推進していくこととしております。
- 年々集中豪雨の発生などによる危険が高まっているもとで、県が指定する市内の土石流災害にかかる特別警戒区域を含む警戒区域380件のうちハード事業が実施されているのは、わずか5件、1.3%、急傾斜地崩壊における特別警戒区域を含む警戒区域1397件 のうち、わずか6件、0.4%となっている。県に対して、ハード事業の大幅な前倒しを実施するよう求めるとともに、市としても安全確保の対策をおこなうこと。
(答)
土砂災害特別警戒区域などにおけるハード対策につきましては、関係法令に基づき、県が対策事業を行うこととなっております。
福岡市としましては、地域からの要望を踏まえ、県に対して早期整備の要望を行ってまいります。
- 本市の指定避難所は、コロナ禍を踏まえ、避難者1人当たりの面積を4㎡確保すれば、最大で10万1000人しか収容できない。また195か所ある一時避難所では、約1割に当たる19か所で浸水時には使用できず、約25%の47か所で1階を使用できない。さらに、260か所ある収容避難所でも、約1割に当たる25か所で浸水時には使用できず、約17%の45か所で1階を使用できない。また、エレベータもないなど、バリアフリー化が求められる避難所も多い。災害が迫っている時は、ためらわずに避難所へ行く行動を市民に求めるためにも、避難所が使えない、行っても入れないという現状を打開する防災計画が求められている。したがって、抜本的に避難所の増設をはかり、バリアフリー化を急ぐとともに、企業や団体などの民間施設、学校の教室、ホテルなどの宿泊施設など、あらゆる場所をフル活用する協定を結び、避難スペースを増やすこと。
(答)
災害時の避難につきましては、避難所のほか、親戚・知人宅やホテルなどの安全が確保できる場所に、各自の状況に応じて避難していただくよう事前に周知を行っており、避難所についても風水害時に使用できる避難所を予め選定の上、必要数を開設することとしております。また、地元の民間施設と、災害時における利用に関する協定を締結するなど、地域の実情に応じ、指定避難所以外の避難所の確保にも取り組んでおります。
避難所内の移動などに配慮が必要な避難者につきましては、避難所運営職員が地域の協力を得ながら各施設の状況に応じて、合理的な配慮を行うこととしております。
- 避難所に段ボールベッドを導入することは、避難者の健康を保つ上で不可欠である。本市は、国の支援や企業の災害時応援協定を前提にして、運ばれてくることを当てにしているが、公的備蓄されているものはひとつもないのは問題である。段ボールベッドの公的備蓄を行うこと。また、避難所における人権やプライバシーを守るために必要な間仕切りは1校区あたり10セット、避難所用テントは20台しか備蓄がなく、市として必要数を確保すること。
(答)
避難所で使用する間仕切りや簡易ベッドなどにつきましては、引き続き公的備蓄の拡充に取り組むとともに、国からの支援物資や企業などとの災害時応援協定も活用しながら、適切に確保してまいります。
- 防災対策や防災備蓄、避難所運営における「ジェンダーの視点」にたった取り組みは、きわめて重要な課題である。本市の防災会議委員49人のうち女性委員は8人16%であり、北九州市の47%と比べても異常である。女性の視点がないことが、防災備蓄にも表れており、政府が奨励しているおりものシートや、女性用下着、妊婦用下着、母乳パットなどとともに、介護用品7品目もない。市として防災への女性の参画をすすめ、具体的な意見を聞いて、最低限の備蓄を整えること。
(答)
女性や妊産婦向けの備蓄品につきましては、国からのプッシュ型支援や、企業との災害時応援協定の活用により必要な物資を確保するほか、公的備蓄として、妊産婦用下着、母乳パッドなどを追加することとしております。
- 避難所における性的少数者(LGBT/SOGI)に対する対応を抜本的に強めることは、誰もが過ごしやすい避難所生活を送るうえでも重要な課題である。更衣室や入浴施設は、ひとりずつ使える時間帯を作ることや、下着、生理用品、ヒゲソリなどの支援物資を、男女別としない仕組みにすること。
(答)
性的マイノリティの方への配慮につきましては、「避難所運営の手引き」において、様々な人に配慮した避難所運営を行うこととしており、適切な運営に努めてまいります。
- 一時避難所によっては、情報が入手できないところも散見される。テレビやラジオを設置し、改善すること。また、快適に過ごすことができるよう畳などを設置すること。収容避難所には、冷暖房を付けるとともに、トイレは主として洋式に改修すること。また、台風などの災害では、スーパー・コンビニなどが閉店する中での避難を余儀なくされる場合もあり、衣類やあたたかい食料が避難者にいきわたるよう備蓄の工夫をすること。
(答)
避難所環境の充実につきましては、国の避難所運営ガイドラインなどを踏まえながら、公的備蓄の拡充に努めるとともに、空調設備がある公民館や学校の特別教室の使用による暑さ・寒さ対策のほか、様々な人に配慮した避難所運営を行うこととしています。また、避難生活における健康被害や災害関連死を抑制するため、温かい食事の提供や、清潔なトイレ環境及び心身休まる生活空間の確保など被災者に優しい避難所の環境整備に取り組んでまいります。
- 福祉避難所については障害者や高齢者などの避難所としての機能を発揮できるよう万全を期すことが求められている。現在168か所を指定しているが、施設が被災し使用できない場合も想定し、指定箇所を抜本的に増やすこと。また、障害者や高齢者などの要配慮者が避難所をたらいまわしにされないように、直接、福祉避難所への避難を個別避難計画で位置付けること。さらに福祉避難所においては、通信、照明、空調、換気設備及び医療機器等の確保・維持が必要であり、呼吸器機能障害者などを受け入れる場合は電源の確保が絶対に必要となる。停電に備え、福祉避難所開設予定施設や高齢者施設などに非常用自家発電設備の設置をすすめるために市独自の補助制度をつくること。また、発電機等に必要な燃料の確保を市の責任ですすめること。
(答)
福祉避難所につきましては、高齢者施設や障がい者施設などに対して、引き続き、協定の締結を働きかけることにより、協定施設の拡充に取り組んでまいります。また、国のガイドラインを踏まえ、個別避難計画における直接避難のあり方について、協定施設などと協議を行いながら検討を行ってまいります。
高齢者施設などにおける非常用自家発電設備につきましては、国の交付金などを活用し、引き続き、整備促進を図るとともに、国に対し、補助制度の拡充を要望してまいります。また、非常用自家発電設備のない障がい者福祉避難所に対しては、引き続き、非常用電源装置の配備を進めてまいります。
福祉避難所で必要となる発電機等の燃料につきましては、基本的に施設において確保することとされており、必要に応じて、施設の電力確保を支援してまいります。
- 「避難行動要支援者名簿」に登録されている人のうち、個別避難計画が立てられているのは約13%に過ぎないのは大問題である。名簿登録から漏れている方も含めて、避難誘導、具体的な移動の手段の手配などについて、通常時からきめ細かい個別計画を市の責任で策定するなどして対策を強化すること。被災時に施設運営で一番の課題となる職員不足については、協定を結んでいる他都市などとの協議をすすめ、福祉避難所に対する受け入れ体制を事前に確立すること。
(答)
避難行動要支援者の個別避難計画につきましては、特に優先度が高い要支援者について、福祉事業者と連携しながら作成を進めるとともに、地域においても作成が進むよう自治会・町内会単位でのワークショップの実施など、きめ細かな支援を行っております。(市民局)福祉避難所の受け入れ体制につきましては、福祉事業所などと連携し対象者が安心して避難できる体制づくりに取り組んでまいります。(福祉局)
- 市民が家族の一員としてのペットと一緒に避難行動をとる「同行避難」は、被災者を救護する観点から、災害時にも被災者がペットを適切に飼養管理できるよう支援することが重要である。これは、ペットの飼い主の早期自立を支援することであり、ペットの健康と安全の確保にも寄与することとなる。また、ペットを飼養しない多くの被災者とのトラブルを最小化させ、すべての被災者の生活環境を保全することにも繋がる。しかし、本市の「避難所運営の手引き」には、ペットとの「同行避難」の位置づけがほとんどないに等しい。環境省が策定している「人とペットの災害対策ガイドライン」に基づいて、ペットの一時預かりや避難所での飼養環境の整備などの支援体制をつくるとともに、避難所を運営する人、市の職員に周知徹底を図ること。さらに、ペット連れで避難する「同伴避難」ができるように珠洲市などの例にならい専用のテントを必要数用意すること。
(答)
ペットとの避難につきましては、「避難所運営の手引き」などに基づき、誰もが安心して避難生活を送ることができるよう、避難所を運営する市職員や地域の方に、その取扱いの周知を行っております。
また、令和6年度からペット同伴者専用避難所を東区の東部動物愛護管理センターと西区の家庭動物啓発センターに試行設置しており、避難用テントも必要数用意しております。(市民局)市民やペットの飼い主等に対しても、各種イベントや動物愛護管理センターホームページなどにより、ペットとの同行避難についての周知啓発を行っております。(保健医療局)
- 河川の流水量を「流域治水」でコントロールするため、必要な河川には農業用ため池を治水池へ転用、学校の校庭・公園などに雨水を一時的に貯める流域対策等を行い、流域からの流出量の抑制に取り組むこと。また、耐越水堤防を整備し、避難する時間が確保できる対策を強めること。さらに、河床掘削、老朽化した護岸のかさ上げ・改修、バックウォーターや内水氾濫対策、バイパス雨水管整備などの氾濫防止対策を県とも協力しておこなうこと。
(答)
流域全体のあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う流域治水に基づき、治水の根幹である河川の河道拡幅などの改修や浚渫により流下能力の向上を図るとともに、用途廃止された農業用ため池の治水池整備による雨水流出抑制に取り組むなど、引き続き、総合的な治水対策を進めてまいります。
- 市内の二級水系13のうち、河川整備方針・計画があるのは、那珂川、御笠川、瑞梅寺川、樋井川、多々良川、湊川の6水系だけであり、すべての二級水系の整備計画の策定を県に求めること。
(答)
二級河川につきましては、河川管理者である県に対し、河川整備基本方針などの策定とあわせて適切な維持管理及び河川改修の推進について要望してまいります。
- 本市が管理する25の準用河川のうち、七隈川については近年溢水が起きていないことをもって整備を中断しているのは問題である。未整備部分の整備を早急に行うとともに、民有地でも補助金を出して雨水貯留浸透施設の整備をすすめる国のグリーンインフラ支援制度を活用し、貯留施設の新設を福岡大学に促すこと。
(答)
福岡市が管理する河川の治水対策につきましては、治水の根幹である河川の河道拡幅や地下河川などにより流下能力の向上を図ってまいります。
七隈川の整備につきましては、市全体における河川整備の進捗などを踏まえ、検討を進めてまいります。
また、グリーンインフラ支援制度を活用した、民間企業などが実施する雨水貯留浸透施設の整備などへの支援につきましては、国や県などの関係機関と連携し、検討を進めてまいります。
- 東区の若宮商店会に隣接する松崎第11雨水幹線や、南区の老司ゲートのような浸水が頻繁に起きている場所については、被害状況を丁寧に掌握した上で、二度と家屋や商店、車両などへの浸水被害が起きないようにすること。また、流量増加、水路の形状改良、雨水流出抑制策など有効かつ具体的手立てを講じること。
(答)
浸水が頻繁に起きている地区につきましては、今後も降雨の状況や被害状況などの確認を行い、ハード・ソフト両面から必要な浸水対策を推進し、浸水被害の軽減に努めてまいります。
- 人的被害を与える可能性のある防災重点ため池は市内で257か所あるが、満水状態の時に地震などの自然災害で決壊した場合に想定される浸水の範囲や深さ、避難場所などの情報をまとめた「ため池ハザードマップ」の作成は85か所に過ぎない。すべての防災重点ため池について、ハザードマップの策定や暫定的な避難方法の住民周知をするとともに、防災重点以外のため池についても調査点検を行うこと。
(答)
ハザードマップにつきましては、令和6年度までに106か所の作成を予定しており、全ての防災重点農業用ため池での作成を進めてまいります。また、福岡市のホームページや市政だよりへの掲載及び各戸配付などにより、広く周知を図ってまいります。
防災重点以外の農業用ため池につきましては、定期的な点検を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。
- ため池の維持管理を担ってきた水利組合などの人員減少と高齢化が進んでおり、行政の関与が求められている。そもそも豪雨時の洪水対策を水利組合に任せることは無理がある。行政の責任体制を確立し、ため池の耐震性や豪雨による洪水の危険性などの調査や防災工事を早急に完了させるための財政措置を国に求めるとともに、市独自でも調査、工事をすすめること。
(答)
農業用ため池の地震や豪雨に対する調査及び防災工事につきましては、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」に基づき、国庫補助を活用しながら対策を進めており、今後も必要な予算の確保に努め、計画的に進めてまいります。
また、農業用ため池の安全性向上のための耐震調査のほか、市の独自対策として、洪水吐改良工事を行うなど、今後も計画的に進めてまいります。
- 能登半島地震では、原発についても深刻なトラブルが発生した。志賀原発では冷却用の外部電源の変圧器が損傷し、非常用発電機も停止し、またモニタリングスポット116カ所の内18カ所でデータが取得できなくなった。さらに、重大事故時の避難ルート11路線のうち、7路線が土砂崩れ等により通行止めとなり、避難計画は机上の空論となった。これらの事態は、地震国の日本では大地震が起きないと言える場所はなく、玄海原子力発電所をはじめ原発はただちに廃止することが求められていることを示している。地域防災計画の原子力災害対策編について、災害対策基本法に基づくのではなく、原子力災害対策特別措置法に基づく計画に変更すること。また、全市民の放射能被害を想定し、国、県と連携して、市民の避難計画を策定すること。さらに、本市の避難計画は屋内避難を基本とするものであり、複合的な原子力災害に対応できておらず、全市民の放射能被害を想定し、福岡市から他の都市への避難を含めた計画を立てること。あわせて、専門家がひとりもいない防災会議に、原子力・原子力発電の専門家を入れること。
(答)
市町村は、原子力災害対策特別措置法第28条1項の規定により読み替えて適用する災害対策基本法第42条の規定により、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づき、地域防災計画を作成することとされています。
また、福岡市は、「地域防災計画(原子力災害対策編)」や「原子力災害避難計画」に基づき、対処体制の整備や実施要領の作成など対策の具体化を進めるとともに、国の「原子力災害対策指針」や県の「地域防災計画(原子力災害対策編)」の改正の動向を踏まえながら、福岡市の「地域防災計画」及び「避難計画」の見直しを行うなど、原子力災害対策の充実、強化に取り組んでまいります。
なお、地域防災計画の見直しにつきましては、必要に応じて、防災会議に専門委員を置き、学識経験者などからの意見を聴取しております。
(14)消防
- 2023年度の一般会計の歳出に占める消防費の予算の構成比は1.6%しかなく、政令市最低レベルとなっている。また、本市の消防本部職員1人当たりの管轄人口は1414人と政令市最高であり、京都市や大阪市のほぼ2倍という状況は異常である。本市の消防の体制は、国の指針に照らして、ポンプ車2台が足りず、人員は60人も不足しており、警防要員も、救急要員も、予防要員も、充足率が足りていない。抜本的に予算を増額し、早急に「消防力の整備指針」に基づき、消防機材も人員も100%充足させること。
(答)
国が定める消防力の整備指針につきましては、包括的な整備水準を示しているもので、各自治体においては、地域の実情などを総合的に勘案し、消防体制を整備しております。福岡市では、これまで消防署所の適正配置など、実態に即した消防体制の強化を図ってまいりました。)
引き続き、必要な予算を確保し、車両、資機材及び人員の確保に努めてまいります。
- コロナ感染や熱中症対応などで、救急隊員にはさらなる負担が強いられており、現場は疲弊している。本市の救急要員は、国の指針に照らして90.6%と低すぎる。市民の命を守るために、これ以上の放置は許されず、抜本的に予算を増額して、救急隊員を増やすこと。
(答)
救急要員につきましては、これまで、福岡市の救急需要に対応するため、救急隊員の増員や救急車の増車など、救急体制の強化を図るとともに、救急隊の効率的かつ効果的な運用に取り組んでまいりました。
今後も引き続き、救急需要の動向を注視し、必要な予算を確保するなど、適切な救急体制の確保に努めてまいります。
- 2024年度の本市の消防局におけるハラスメント事例はゼロだとされているが、日頃からの署内での人権侵害、パワハラ等の根絶に向けた取り組みをさらに強めること。また消防職場での暴力・パワハラ・セクハラに対応するために、弁護士など第三者が参加する機関を設置すること。
(答)
消防職員のハラスメント対策につきましては、国が定める法令などを踏まえ適切な措置を講じるとともに、ハラスメント撲滅の方針や相談窓口の周知・啓発に取り組んでおり、今後とも風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。
- 消防組織に女性消防吏員を増加させることは、子どもや高齢者、災害時の要支援者など多様な住民への対応力が向上するとともに、育児・介護などそれぞれ異なる事情を持っていることを同僚が理解し支援する組織風土が醸成されることにより、組織力の強化、士気の向上が図られるとして、消防庁は2026年までに全国で女性消防吏員比率を5%に引き上げる目標をしめしている。しかし本市の女性消防吏員の割合は3.3%に過ぎず、現状のままでは達成を見込めない。したがって、女性が安心して働ける職場環境づくりに努め、女性の活躍の場が広がることによる新たな課題や問題点にも柔軟に対応するなどして、女性消防吏員を目標に照らして計画的に増やすこと。
(答)
福岡市の女性消防吏員につきましては、平成11年の採用開始以降、救急業務、警防業務など様々な分野で活躍しているところであり、今後も国の目標を踏まえ女性消防吏員の採用に努めてまいります。
4、気候危機打開へ、地域と地球の環境守る先頭に
気候危機の打開は、日本国民にとって待ったなしの課題となっている。猛暑による熱中症の増加や、線状降水帯・ゲリラ豪雨などによる水害等によって、国民の命が脅かされ、農業や水産業にも大きな被害を与えている。同時に、気候危機打開への省エネルギーと再生可能エネルギーの取り組みは、新たな仕事と雇用の創出の効果が地域経済にも波及し、持続可能な地域循環型経済への転換をすすめるなど大切な課題であり、本市として対策が求められている。
(1)福岡市地球温暖化対策実行計画
- 「第5次福岡市地球温暖化対策実行計画」は、政府よりも10年早い「2040年カーボンニュートラル」を掲げ、2030年までに市域の温室効果ガス排出量の50%削減目標を立てているが、その内の46%は国の施策で削減されることを前提としている。ところが、英独が1990年比でCO2を4~5割減らしているのに対し日本は1割減にとどまり、再エネ電力の割合も2023年の電力の比率は、英国は46%、ドイツは52%なのに日本は24%と完全に「周回遅れ」となっている。したがって、2050年実質ゼロを目指すには2030年までにCO2を50~60%削減することが必要であり、この立場で本市として計画の見直しを国に求めること。また、石炭火力から2030年までに計画的に撤退するよう国に求めること。さらに、輸入価格高騰がエネルギー自給率13.3%の日本経済を翻弄しており、100%国産エネルギーである再エネの利用推進と省エネの取り組みをあらゆる分野ですすめるよう国に求めること。
(答)
国の目標につきましては、パリ協定に基づく国際的な枠組みの下で、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、2030年度の削減目標を46パーセント削減、さらに50パーセントの高みを目指すものと認識しております。
また、電源構成やエネルギー自給率につきましては、国がエネルギー政策の枠組みの中で、検討・決定されるものと認識しております。
- 本市は「実行計画」を策定し、あわせて「気候非常事態宣言」も行った。しかし実行計画は、原単位を成果指標にするとしてエネルギー消費量の削減目標を持たず、経済活動が増えれば全体として排出量が増えても構わないという計画となっており、現実に、2022年度の温室効果ガス排出量は、前年より42万tも増加している。また、再生可能エネルギーの2030年度の導入目標も40万kWのまま20年前から全く同じ数字を掲げ続けており、2023年度の再エネ設備容量は26.1万kWと前年比でわずか1.3万kWの増加にとどまっている。このままでは「2040ゼロ」は画餅に終わる恐れが強く、実行計画の抜本的な見直しが求められる。したがって、実行計画の「2030年50%削減」という目標を大幅に引き上げるとともに、エネルギー消費量の削減目標について全体目標と分野ごとの目標を明確に持つこと。また、再エネ導入の新たな野心的な2030年度目標を持つこと。
(答)
「地球温暖化対策実行計画」につきましては、2030年度における市域の温室効果ガス排出削減目標を、国の計画における削減目標が46パーセントであるなか、福岡市の今後の人口増、世帯増なども見込んだうえで、2013年度比で50パーセント削減という高い目標を掲げたものであり、目標の達成に向け、引き続き取組みを進めてまいります。
エネルギー消費量につきましては、省エネに関する成果指標として、施策の効果をより的確に把握できることから、人口増加などの影響を受けない原単位当たりのエネルギー消費量を成果指標に設定しており、総量については、同実行計画の進捗管理のなかで引き続き把握してまいります。
再エネに関する2030年度の成果指標につきましては、再生可能エネルギーによる設備導入量40万キロワットに加え、再生可能エネルギーの利用率を45パーセントとする成果指標を設けており、再生可能エネルギーの導入推進と利用拡大の両面の取組みによって、再生可能エネルギーの普及拡大を図ってまいります。
- 「実行計画」を本気で推進していくためには、港湾や大規模工場・事業所、医療機関、交通・運輸事業者などとのCO2排出量削減をどのようにするかが重要であるが、本市では、民間事業者に促す程度で終わっている。川崎市では、条例をつくり、民間事業所に市の2030年度削減目標に見合う目標、進捗状況を毎年報告することを義務付け、市はそれを市民に公表する仕組みを作っている。本市でも、条例をつくり、民間事業所のCO2削減目標に行政が一緒に責任を持つ仕組みをつくること。
(答)
温室効果ガスの大規模排出事業者につきましては、法令により、エネルギー使用量の国への報告義務があるとともに毎年一定以上のエネルギー消費原単位の削減が努力義務とされており、その排出量については、ホームぺージで公表されております。
事業者の脱炭素に係る取組みにつきましては、太陽光発電設備の導入、建築物や空調設備などの省エネルギー化への助成事業をはじめ、令和6年度に創設したCO2排出削減を目標とする融資に係る手数料の助成やアドバイザーの派遣、脱炭素に関するセミナーの開催などに取り組むとともに、「エコ・ウェイブ・ふくおか会議」や「地球温暖化対策市民協議会」での企業と連携した活動などにより、推進してまいります。
- 「実行計画」を受けて、「市役所率先実行計画」をつくり、各局などでも取り組みが進み始めてはいる。例えば、港湾空港局では、博多港の港湾施設や物流活動における脱炭素化の計画を作成した。一方で、学校、公民館、市営住宅、市場をはじめ、大部分の市有施設には具体的な省エネや再エネの目標や計画さえない。したがって、「実行計画」を「福岡市基本計画」の部門的計画とするのではなく、本市の上位計画と位置付け、全局横断型の体制で推進を図ること。
(答)
「地球温暖化対策実行計画」につきましては、「基本計画」を環境面から総合的・計画的に推進するための基本指針である「環境基本計画」の部門別計画に位置づけられるものであり、関連する行政計画と連携を図るとともに、副市長をトップとし、局長、区長などで構成する「温暖化対策推進会議」が中心となって、同実行計画に基づく取組みを着実に推進してまいります。
- 「実行計画」を達成するためには、進捗状況を福岡市環境審議会などで十分な時間を取って協議・検討するとともに、市民の意欲、知恵、協力が反映できるようにするため、中高校生や大学生など若者をはじめ、広く市民や企業・団体が参加する推進協議会議などをつくり、計画の推進を図ること。
(答)
「地球温暖化対策実行計画」に基づく取組みにつきましては、市民・事業者・学識経験者などで構成する「地球温暖化対策実行計画協議会」や「地球温暖化対策市民協議会」をはじめ、出前講座や大学生を対象としたワークショップなど様々な機会を通して、市民、事業者に共感を広げ、連携・協力しながら進めてまいります。
また、「地球温暖化対策実行計画」の進行管理につきましては、地球温暖化対策実行計画協議会や環境審議会に対して取組みの進捗状況や実績などについて報告し、点検・評価を受けております。
(2)省エネルギーを推進する
- 省エネに大きく寄与する民間住宅の断熱は、家庭部門におけるCO2排出削減のカギを握る。2025年4月から、新築・増改築の住宅には断熱性能等級4という省エネ基準が義務付けされるが、本市は、この基準をクリアしている住宅戸数の把握もしていないのは問題である。鳥取県の先進例に倣い、市として基準に適合する住宅を認定し、消費者向けの広報や普及啓発を行い、事業者を育成し、認定住宅建設への助成をおこなうこと。
(答)
住宅の省エネルギー化につきましては、脱炭素建築物誘導支援事業においてZEH-Mとして認定された建物の設計費用に対して、最大100万円の補助を行うとともに、ECOチャレンジ応援事業では複層ガラスなどへの改修に対してポイントを付与するなど、省エネ化を推進しております。
また、国においては、断熱窓の改修費用に対し上限200万円を補助する先進的窓リノベ事業や、高い省エネ性能を有する新築住宅に対し上限100万円を補助する子育てエコホーム支援事業などが実施されており、市の独自支援策とあわせて広く周知することにより活用を促してまいります。
- 学校をはじめ公共施設等での断熱改修は、子どもたちをはじめ多くの市民に断熱の大事さを体感してもらうなど、市民啓発にもつながる。さらに、地場中小企業の仕事起こしとなり、経済波及効果も期待できる。省エネを推進するために公共施設の断熱化に今すぐ取り組むこと。
(答)
公共施設につきましては、「市有建築物の環境配慮整備指針」に基づく省エネルギー化を進めるため、新築はもとより既存施設につきましても、改修に合わせ、施設の用途や状況に応じて、断熱性の向上に取り組んでおります。
(3)再生可能エネルギーの導入拡大をすすめる
- 九州電力送配電(株)は、電力供給量が需要を大きく上回っているとして原発を稼働させながら太陽光発電事業者に発電停止を求める「出力制御」を2018年10月以来行ってきており、市が設置している6カ所のメガソーラにおいても大きな損失となっている。このことは、原発の出力抑制はしないまま再エネで作った電気を捨てる“原発優先給電”の仕組みが公共でも民間でも再エネを拡大する障害となっていることを示しており、再生可能エネルギーの導入推進を図る本市の「地球温暖化対策実行計画」の推進が妨げられている。したがって市は、九電と国に対して原発優先の「給電ルール」を見直し再生可能エネルギーを優先するよう強く要求すること。
(答)
優先給電ルールにつきましては、再生可能エネルギーの最大限導入と電力の安定供給を両立させていくために、各エネルギーの特性を踏まえ、国において定められているものと考えております。
太陽光発電事業者に対しては、再生可能エネルギーの出力制御量の低減に向けて、オンライン代理制御が行われており、国において、出力制御量の更なる低減に向けた検討が進められているところであり、その状況を注視してまいります。
引き続き、再生可能エネルギーの有効利用のため、連系線を活用した他地域への送電可能量の拡大などの基盤整備や蓄電池導入支援について、他都市と連携して国に対し働きかけてまいります。
- 本市の建築物等での太陽光発電は、環境省によれば各種再生可能エネルギー発電可能性量の中で最も多く、ポテンシャルは本市で年間3060MWとされているが、実際の発電量は143MWにとどまっている。市内建築物等への太陽光発電の積極的な導入を促進すること。
(答)
太陽光発電につきましては、住宅や事業所に太陽光発電設備を導入する際の助成を行うとともに、太陽光発電設備で発電した電力をためる蓄電池などへの助成事業を引き続き推進することにより、導入拡大を図ってまいります。
- 福岡市における風力発電は、風況が充分になく導入は困難と本市は否定的だが、環境省によれば、約90万世帯分の年間電力に当たる約4600GWhもポテンシャルがあるとされている。風力発電に対する位置づけを抜本的に据え直し、他都市の実践に倣い、自然環境に配慮する仕組みを盛り込んだ上で、風速7m毎秒以上の海上などで積極的に取り組むこと。
(答)
風力発電につきましては、小型風力発電の実証実験において、高効率な風レンズ風車であっても、福岡市の風況では十分な発電量が得られなかったことから、現段階においては、太陽光発電のように広く導入を進めていくことは困難と考えております。
今後とも、技術革新の進展や民間事業者の動向などを注視してまいります。
- 市役所本庁舎をはじめ、学校、病院、ごみ焼却工場、地下鉄、上下水道などすべての公共施設で使用する電力を2030年までに100%再生可能エネルギーに転換すること。また、市有施設・市有地で太陽光や風力、地熱、小水力などの発電の活用を環境保全や住民の健康に配慮した上で抜本的に拡大すること。あわせて、本市の公用車についてはガソリンを使わない電気自動車化をすすめ、高速充電設備の野心的導入を図ること。
(答)
市役所の業務にかかる温暖化対策の取組みにつきましては、周辺環境に配慮しながら、自家消費を目的とした太陽光発電設備の導入を拡大するとともに、使用電力を原則、再生可能エネルギー電気に切り替えていくこととしております。(環境局)
庁用車につきましては、対象の車種がない場合を除き、各車両の利用用途も踏まえ、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の優先的な導入を推進してまいります。(環境局・財政局)
急速充電設備につきましては、設置に対する一部助成や市有施設への設置を行うことなどにより電気自動車の利用環境整備を進めてまいります。(環境局)
- 政府は再び原発推進へと大きくかじを切り、全国で再稼働をすすめ、設計年数を超えて60年以上も老朽原発を稼働し続けるとしている。しかし、原発に「絶対安全」などありえず、とりわけ世界有数の地震・津波国である日本での原発稼働ができないことは東京電力福島第1原発の大事故の最大の教訓であり、能登半島地震においても志賀原発の危険が現実問題となって国民的な不安を増大させた。温暖化対策を口実に原発の再稼働、新増設に固執する国の方針に反対し、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するよう、国に求めること。
(答)
原子力発電所の再稼働などにつきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えております。(市民局・環境局)
- 市長は九州電力と国に対して、玄海原子力発電所3、4号機の即時停止と早急な廃炉を強く要請すること。あわせて、九電に対してどんな微細な事故であってもすべてを直接福岡市へただちに連絡させるとともに、発電施設の新増設や原発を稼働及び延長運転をしようとするときは、事前に福岡市に丁寧に説明を行い、事前了解を得る内容に「原子力安全協定」の見直しをすること。
(答)
原子力発電所の廃炉などにつきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えており、玄海原子力発電所3・4号機の再稼働につきましては、新規制基準に基づく国の厳格な適合性審査のもと、安全性が十分に確認され、再稼働に至ったと認識しております。(市民局・環境局)
引き続き、原子力発電所の安全確保と情報公開の徹底について、国及び県に要望を行うとともに、原子力安全協定につきましても、原子力災害対策特別措置法や、原子力災害対策指針の改正動向などを踏まえながら、適切に対応してまいります。(市民局)
(4)熱中症から命と健康を守るために
- 今年の夏は気象庁が2年連続で最も暑いと発表しており、太宰府市では35度以上の猛暑日が62日で国内最多記録を更新した。そういう中、今年の熱中症搬送者数は1160人で、救急搬送のうち32%は住宅内で発症しており、予防にはエアコンの使用が不可欠であるが、物価高騰のなか、電気代を気にしてエアコンを使わない方が少なくない。市独自に電気代支援を行うこと。
(答)
物価高の影響を受けた市民への生活支援につきましては、令和6年度の住民税非課税世帯に対し、給付金を支給しているところであり、今後とも、国の動向を注視してまいります。
- 内閣府の2023年度消費動向調査によれば、年収300万円以下の世帯では17%がエアコンがないという回答をしており、これは福岡市でいえば5万4570世帯、全世帯の約6.6%となる。また、現実に市内で生活保護を利用している家庭では418世帯にエアコンが設置されていない。一方、エアコンの導入設置は約9万円かかり、低所得世帯にとって、新たな購入設置や買い替えは財政的に簡単ではない。練馬区では、低所得で1台も動くエアコンがない世帯に対して、10万5千円の助成制度をつくっている。すべてのエアコン未設置世帯への購入・設置費の助成をおこなうこと。また、大家や住宅管理会社のエアコン設置への助成制度を本市独自に作ること。
(答)
生活保護受給世帯における冷房器具の購入費用につきましては、保護開始時や長期入院から新たに居住を始める際に、冷房器具が未設置であるなど、一定の要件に該当する場合に支給することとなっております。なお、支給要件に該当せず、緊急に購入する必要があって、購入費用がない場合は、県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付を紹介し、手続きの支援を行っております。
冷房器具の設置費用を含め、生活保護制度は最低限度の生活を保障するために、国において一定の基準を定め実施されているものであり、今後も国の動向を注視してまいります。
- クーリングシェルターを活用した熱中症対策は、暑くなり倒れそうになって駆け込むのではなく、その前に、避難できる施設の活用が重要である。市民センターや公民館、図書館などの一定の空間のある部屋をクーリングシェルターとして位置付けた公的施設を抜本的に増やすこと。また、民間施設の協力を広げるとともに、休憩のためのイス、水分補給のための水や清涼飲料水、タオル、保冷剤など、必要な物品は予算もつけて市から提供すること。
(答)
クーリングシェルターにつきましては、引き続き、市民が利用しやすい公共施設、民間施設の指定を進めるとともに、協力施設に対して、飲料水などの消耗品の提供を実施してまいります。
(5)JR騒音
JR福岡貨物ターミナル駅では、貨車の連結やブレーキの音、リフトの作業音などが、深夜2時まで鳴りやまず、周辺住民の受忍限度を超えている。市は、日本貨物鉄道株式会社に対し、貨車の運行時間を夜12時までとし、深夜の騒音を伴う作業をやめるよう、国土交通省や環境省とも連携を図って同社に実行させるとともに、防音壁を設置させ騒音被害を軽減させること。
(答)
福岡貨物ターミナル駅に関する騒音につきましては、市民の相談により騒音を測定し、鉄道事業者に騒音対策を要請してきたところであり、鉄道事業者においては、これまで、運行速度順守の徹底や騒音低減に向けたレールの改良が実施されております。
また、在来鉄道の走行騒音につきましては、環境基準などが定められておらず、新設及び大規模改良に際してのみ騒音問題の未然防止などのための指針が定められている状況にあるため、既設の在来線についても指針などを策定し騒音対策を推進するよう国へ要望を行っております。今後も、市民の相談に応じて、鉄道事業者に対する騒音対策の要請などを実施してまいります。
(6)干潟保全
今日、世界で、干潟は水の浄化など自然の恵みをもたらすものであり、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収にも重要な役割を果たしており、保全が重視されてきている。本市の和白干潟は、日本で2か所しかない自然海岸が残る干潟であり、絶滅が心配されている渡り鳥(クロツラヘラサギ・ツクシガモなど)や、干潟の生きもの(オオミミガイ・ハクセンシオマネキ等)の渡来地・生息地であるため「国指定鳥獣保護区」にも指定されており、日本海に面した干潟では最も底生生物の種の多様性が高い。本市は、条約登録をこの20年間、「将来的な課題」と言い続け何もしていない。登録に向けた地域住民の理解を速やかに得る手立てをとること。和白干潟の「特別保護地区」指定を国に申請し、ラムサール条約登録地にされるよう積極的な取組みを推進すること。
(答)
和白干潟のラムサール条約登録につきましては、まず国、県と連携して国指定鳥獣保護区の特別保護地区指定について地域住民の理解を深めていくことが必要であるため、将来的な課題であると考えております。
干潟の保全につきましては、「博多湾環境保全計画(第二次)」においても、重要な施策として位置づけており、今後も引き続き、市民、NPОなど多様な主体との連携、共働により干潟の保全に取り組み、和白干潟の重要性について、理解を深めるための取組みを進めてまいります。
(7)ごみ
- 本市では、年間約5万8千tのプラスチックがごみとして排出されており、2026年度からプラスチックごみ分別収集によるリサイクルの導入を予定している。しかし、この費用を自治体や消費者が負担することには、生産者が、製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負う「拡大生産者責任」の立場からみて道理がない。プラごみの発生抑制とともに、製造企業の責任による回収と再生利用をおこなうよう国に求めること。
(答)
プラスチックごみ対策につきましては、「循環のまち・ふくおか推進プラン」に基づき、発生抑制と再使用の2Rに重点を置いた3Rの取組みを推進しており、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を踏まえ、環境配慮設計や使用の合理化、代替素材の利用の促進に向けて、市民・事業者と連携しながら更なる取組みを推進するとともに、国に対し、拡大生産者責任の強化を引き続き求めてまいります。
- 家庭用ごみ袋の値段は、全国の市町村では1リットル当たり0.8円程度なのに福岡市では1円と全国平均よりも高い。また、国の有料化手引きでは「住民の受容性」も勘案し負担額の住民意向調査をするよう定められているにもかかわらず、物価高騰以後、本市は調査すら行っていない。家庭用ごみ袋代の値下げを行うこと。また、高齢者や障害者などを対象にした粗大ごみの持ち出しサービスは無料にすること。
(答)
家庭ごみ用の指定袋の価格設定につきましては、負担の公平性の確保、ごみ減量・リサイクルの行動を起こすきっかけづくりなどの観点や福岡市周辺の市や町の状況を踏まえ設定しております。
粗大ごみの持ち出しサービスにつきましては、従来の粗大ごみ収集運搬事業の追加サービスとして、高齢者や障がい者などを対象に実施している制度であり、市民サービスの公平性を保つ見地から、受益者負担の原則により、利用される方々に経費の負担をお願いしております。
- 本市は「第5次福岡市一般廃棄物処理基本計画」において、2030年度のごみ処理量を53万tとするとしているが、これは全く現在の処理量と変わらないもので、減量する目標となっていない。「福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」第3条には、「市は、あらゆる施策を通じて、廃棄物の減量を推進する」と責務が謳われていることからも許されない。したがって、市は、人口や事業所が増えれば全体としてごみが増えても構わないという原単位でのごみ減量の見方を改め、ごみ処理量の抜本的な削減を明確にした目標とするよう「第5次基本計画」を見直すこと。
(答)
「循環のまち・ふくおか推進プラン」の数値目標につきましては、今後の人口や事業所数の増加といった都市の成長を見込みごみ処理量を推計し、新規施策の効果や国の方向性も踏まえ設定しており、現在、第2期実行計画の策定に向け、近年のごみ処理実績なども踏まえ、数値目標の推計を行っております。
- 家庭ごみの収集運搬労働者は、人口も処理量も増え仕事も増えているにもかかわらず、その賃金は低水準に据え置かれており、委託企業の多くで定期昇給がない。夜間戸別収集を維持・継続するためには、委託労働者の雇用の安定と労働条件の改善は不可欠である。したがって、民間並みの賃金引上げや定期昇給が実現できるよう委託費を引き上げ、労働条件の改善を図れるよう市が責任を持って委託企業を指導すること。
(答)
ごみ収集にかかる委託人件費につきましては、公務員の給与改定動向などを参考として、適正な賃金水準となるよう算定しており、今後も安定的な事業継続が実施できる体制の確保に取り組んでまいります。
(8)盛土・土砂災害警戒区域の開発行為
本市として、危険な盛土の総点検と情報開示をおこない、緊急な安全対策を急ぐこと。また、土砂災害特別区域には盛土をさせないことや、建設発生土は建設工事の発注者などが最終処分地まで適正に処理する責任を持つことを義務づけることなど、違法な盛土造成への規制を強化すること。さらに、危険区域への新たな宅地などの開発、住宅等の建築を禁止するとともに、危険区域の管理を個人所有者まかせにせず、土地の買取りを含め、市としての管理を強めること。
(答)
盛土等に伴う災害の防止につきましては、「宅地造成及び特定盛土等規制法」及び同法施行条例に基づき、取組みを進めてまいります。(住宅都市局)
なお、盛土の総点検につきましては、令和3年度に実施しており、県において直ちに大規模災害につながる危険な盛土は確認されていないとの調査結果が公表されております。(農林水産局)
(9)緑・公園
- PFI法改正で対象施設が都市公園にまで拡大されたため、公園が民間企業の金儲けのための施設に変質させられてきている。本市では、水上公園、西南の杜の湖畔公園、動植物園、高宮南緑地において、PFIによって公園の一部が整備・運営され、民間活力が活用されてきた。さらにこれから、東平尾公園、清流公園、明治公園、香椎浜北公園、長垂海浜公園では、PFIによって公園を丸ごと整備・運営しようとしている。都市公園を儲けの場とするパークPFI はやめること。
(答)
都市公園法に規定されるPark-PFI制度は、公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設を民間資金により設置し、当該施設から生じる収益を活用して、一般の公園利用者が利用できる特定公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を公募により選定する制度です。各公園の性格や立地などの特性に応じ、Park-PFI制度をはじめとした様々な事業手法や制度を活用し、魅力あふれる公園づくりに取り組んでまいります。
- 「新・緑の基本計画」については、市民の意見を反映させ、政府よりも10年早く温室効果ガス排出実質ゼロにするという本市の脱炭素目標に見合った形で、樹木の保全及び緑化の推進をする計画へ改定すること。
(答)
緑の基本計画につきましては、福岡市基本計画などの上位計画に合わせ、また、国の基本方針に即し現計画の成果や近年の社会情勢の変化などを踏まえ、市民や有識者、議会の意見などを伺いながら、令和7年度の改定に向けて取り組んでまいります。
- 東京の神宮外苑再開発計画では多数の樹木を伐採することに反対運動が起きユネスコ諮問機関のイコモスが警告を発した。また本市でも須崎公園の樹木伐採に端を発して、都市の緑の保全は市民的な要求となっている。国際的には、気候危機やヒートアイランド対策として、CO2を吸収し気温を下げる樹木の役割が注目されており、樹木の枝葉で覆われる面積である樹冠被覆率の目標を持ち、樹木を増やしている。市として樹冠被覆率を目標と定めること。
(答)
都市の緑につきましては、「福岡市新・緑の基本計画」に基づき、特別緑地保全地区の指定や保存樹への各種助成などにより、緑の保全に取り組んでまいります。
また、公園や街路樹などの樹木につきましては、定期的な剪定や安全点検などを行うとともに、地域の方々などによって結成された公園愛護会や街路樹サポーターに清掃や除草等の協力をいただきながら、適正に保全を行っており、引き続き、市民・地域・企業との共働によりみどり豊かなまちづくりを推進してまいります。なお、目標につきましては、現在行っているみどりの基本計画の改定において、様々な指標の設定を研究してまいります。
- 国道などの基幹道路沿いの街路樹等を、「地元住民からの要望」などと言って伐採している。樹木の適切な管理・保全を徹底すること。
(答)
街路樹の管理・保全につきましては、定期的な樹木の剪定や除草だけでなく、街路樹の枯れ枝や倒木による事故を未然に防ぐために月1回のパトロールによる安全確認や、樹木医による街路樹診断を計画的に実施しております。今後とも、街路樹サポーターをはじめ市民・企業などと一緒に街路樹のある美しい景観づくりに取り組んでまいります。
- 本市がすすめる「都心の森1万本プロジェクト」は天神アクロスの緑4万本と比しても余りにも少なく、天神ビッグバンや博多コネクティット等の大型開発による環境破壊の「免罪符」でしかなく、計画を改めること。
(答)
都心の森1万本プロジェクトにつきましては、都心部をはじめとして全市域において様々な樹木の植樹運動を展開するものであり、新たな植樹や街路樹の管理の強化、民間ビル建て替え時の緑化誘導など、市民や企業との共働によりみどり豊かなまちづくりを推進してまいります。
5、物価高騰とコロナの影響に苦しむ中小企業・小規模企業者、農林水産業を支援し、地域経済の立て直しを
(1)中小企業・小規模企業者支援
- 本市が行ったアンケートでは中小企業の売り上げはコロナが流行する前と比べて6割しか回復していない。さらに物価高騰を価格に「おおむね反映」できた業者は15%に過ぎない。コロナ・物価高騰の影響は本市中小企業・小規模企業者に重くのしかかっている。
「第3次プラン」に「コロナ」や「物価高騰」に苦しむ企業を引き続きしっかりと支援することを位置付け、今年4月で打ち切った「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援」など直接支援を復活させること。(答)
現在、改定を進めております「第3次中小企業振興プラン」につきましては、「経営基盤の強化と持続的発展」を取組みの方向性の一つに位置づけ、経営相談や専門家派遣などの総合的な支援や商工金融資金制度による資金繰り支援など、市内中小企業が直面する経営課題に柔軟に対応できるよう支援してまいります。
物価高騰の影響を受けた中小企業の支援につきましては、引き続き、経済情勢や国や県の動向を注視しながら、市内需要の喚起や生産性向上など、必要な支援に取り組んでまいります。
- 「ゼロゼロ融資」の返済が本格的に始まっており、物価高騰と合わさって資金繰りに苦しむ業者が増えている。保証協会や金融機関が制度融資の追加融資及び措置・返済期間の延長等の条件変更に柔軟に応じるように要請すること。
(答)
中小企業者の資金繰りにつきましては、中小企業サポートセンターにおける金融相談や専門家派遣などにより支援を行っております。また、従来より、市から金融機関や福岡県信用保証協会に対し、個々の事業者の実情に即した弾力的な運用を行うよう要請しており、金融機関・保証協会においても、適切に対応していただいていると認識しております。
- 2023年10月からインボイス(適格請求書等保存)制度が開始された。小規模事業者、個人事業主やフリーランスを取引から排除し、淘汰を推しすすめるものであり、ただちに廃止するよう国に求めること。
(答)
インボイス制度は、消費税の複数税率制度の下において課税の適正性を確保するために必要な制度とされております。
- 重点施策として位置付けているスタートアップは雇用や税収の成果が不明瞭であり地域経済への影響はわからない。「これからモノになるかどうかわからないスタートアップ企業には手厚くやっている」という声が市内の業者から多数上がっている。これまで本市の経済と雇用を担ってきた既存の地場中小企業・小規模企業者向けの振興予算を抜本的に増やすこと。
(答)
中小企業の成長と発展を図ることは、福岡市における産業政策の基本課題であり、中小企業・小規模事業者が、社会経済環境の大きな変化の中で、持続的に成長・発展していくためには、新製品やサービスの開発、新市場の開拓など、イノベーションにチャレンジしていくことが重要であると考えております。このため、中小企業振興条例に基づき、「経営基盤の強化」として、中小企業振興の根幹であり、経済観光文化局予算の8割を占める商工金融資金制度の運用や、きめ細かな相談業務などによる経営支援を行うとともに、「持続的発展の促進」として、商店街や伝統産業など地域に密着した経済活動の活性化の支援、中小企業・小規模事業者の「多様で活力ある成長発展の促進」として、第二創業を含むスタートアップの支援・育成や、観光・集客戦略などに取り組んでおります。今後とも、これらの施策を積極的に推進し、引き続き市内の中小企業・小規模事業者の事業継続や雇用を支えてまいります。
- 環境の改善整備で住民に喜ばれるとともに、波及効果の大きさで地域経済対策としても大きな威力を発揮している用途制限のない住宅リフォーム助成制度を創設すること。個々の商店の改装や店舗等で使用する備品の費用などへの助成を行う「商店リニューアル助成事業」を新設すること。
(答)
住宅リフォーム助成制度につきましては、市民の安全安心な住宅の確保や良質な住宅ストックの形成を図るため、戸建住宅や共同住宅の耐震化や要介護などの高齢者がいる世帯を対象としたバリアフリーなどに対して助成を行っております。(住宅都市局)
商店のリニューアルなどに対する支援につきましては、商店街の共同施設の設置費用の一部を助成しております。(経済観光文化局)
- 市の公共工事等を受注した企業や下請け業者等に、市が定める賃金以上を支払うことが義務付けられる公契約条例は、川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国で80を超える自治体に広がっている。発注する公的機関と受注者等の間で結ばれる契約(公契約)において、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する公契約条例を制定すること。
(答)
公契約条例の制定につきましては、国において公契約に関する法制を整備するのが適当であると考えております。
- 福岡県建設労働組合の賃金調査では設計労務単価に比べて、6割程度の賃金しかもらっていないことが明らかになった。市発注の公共事業の下請け、孫請けの賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを調査するとともに抜き打ちでの調査も行うこと。さらに、本市の総合評価方式の評価に労務単価を守らせる項目を採用し、建設労働者に適正な賃金を支払われるようにすること。
(答)
公共工事設計労務単価は、国において、国・都道府県・政令市等の発注工事から抽出した工事につきまして、従事した元請・下請の建設労働者の賃金を調査し、実態を反映した平均単価を職種ごとに定め、公共工事の積算に適用しており、12年連続で上昇しております。
福岡市につきましては、毎年の労務単価決定に合わせ、関係業界団体に対して、適切な価格での下請契約、技能労働者への適切な水準の賃金支払いについて要請しております。
また、下請契約を締結する全ての公共工事において、施工体制台帳及び施工体系図の提出を求め、各監督課にてその内容を確認しており、財政局においては、毎年実施している施工体制一斉点検の際に、下請契約の締結状況などについて現場で確認を行っております。
なお、技能労働者の賃金につきましては、技術的な熟練度や資格の保有状況などにより差があることから、設計労務単価に対して、その賃金の多寡を一律に評価することは困難であると考えております。
- 公共事業を地元中小企業、特に小規模企業者へ優先して発注すること。また、公共事業の在り方を生活密着型に改めて中小企業の仕事を増やし、分離・分割発注の拡大、地場中小企業・小規模企業者向けの発注割合を増やすこと。
(答)
官公需の発注状況につきましては、福岡市が1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対してアンケート調査を毎年実施し、下請発注状況などの把握に努めております。公共事業につきましては、従来より地場中小企業の育成、振興を図る立場から、可能な限り地場中小企業へ優先して発注することを基本方針とし、分離・分割発注することで地場中小企業の受注機会の拡大を図るよう努めるとともに、公共工事の発注に当たっては、元請企業に対して、特記仕様書において、下請発注や資材調達における地場企業活用の努力義務を課しております。
- 競争入札資格のない未登録業者に対して、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する小規模工事登録制度を実施すること。
(答)
小規模工事登録制度につきましては、発注のあり方や施工上の課題などの整理・研究を行っております。
- 所得税法56条の廃止は、家族一人ひとりの働きを正当に評価し、人権を尊重することにつながる。また、ジェンダー格差の是正、女性の地位向上と経済的自立への一歩にもなる。自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を必要経費として認めない所得税法第56条の廃止を国に求めること。
(答)
所得税法第56条では、個人事業は家計と事業とを切り離して考えることが難しく、事業に関する様々な対価を適正に認定することが税務執行上困難であることから、その対価は必要経費に算入できないこととされております。
一方、同法第57条では、事業専従者につきまして、一定額を必要経費に算入できること、さらに青色事業専従者につきましては、記帳・保存の義務を果たすことで給与支払額の全額を必要経費に算入できることとされておりますことから、家族従業者の労賃につきましても、税制上考慮されているものと考えております。
- 中小企業経営の発展にとって採用と人材育成が決定的に重要である。中小企業が共同でおこなう求人活動や社員教育活動への支援を強めること。各分野のすぐれた技能者・職人の認定制度、報償金制度を整備・拡充し、すぐれた技術を継承すること。経営者同士が学び・交流できる場、各地の商店街や市場関係者が学び・交流できる場をつくること。同業種間、異業種間の学びと交流を応援すること。
(答)
中小企業の求人活動につきましては、合同会社説明会や人事担当者のスキル向上プログラムなどを実施するとともに、参加者の交流機会も設けております。また、社員教育活動につきましては、福岡商工会議所などと連携して人材育成講座を実施しております。
技能者・職人の認定制度等につきましては、優れた技能を有し、技能伝承活動を積極的に行っている技能職者を「博多マイスター」として認定し、その活動の支援を行っております。また、商店街の学び・交流の場につきましては、商店街の関係者等を中心とした参加者が、抱えている課題やその解決方法について議論する勉強会の場をつくるとともに、参加者が課題解決のための企画に実際に取り組む活動を支援しております。
(2)雇用・労働
- 過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにする働かせ方を強いる企業が少なくない。労働問題を県や国に任せるだけでなく、専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話やSNSを使った相談を実施すること。調査、相談、啓発を網羅した、違法・脱法的な働き方をなくすための条例をつくること。
(答)
労働問題につきましては、労働基準関係法令などに基づき、監督指導権限を有する国及び県が主たる役割を果たしており、福岡市はそれを補完する役割を担っていると考えております。国は、労働局や労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」、平日の夜間及び土日も電話相談が可能な「労働条件相談ほっとライン」により、労働相談を受けております。福岡市におきましても、市民相談室で労働相談を受けた場合においては、必要に応じて弁護士による法律相談を受け付けるほか、国の労働基準監督署や県の労働者支援事務所などの専門窓口につなぐなど、引き続き、関係機関と連携を図りながら、取組みを進めてまいります。また、労働に関する法令や制度をわかりやすく解説した「働くあなたのガイドブック」及びガイドブックを抜粋した「働くあなたのリーフレット」を発行し、福岡市内の高等学校や専門学校、大学・短期大学、情報プラザや区役所などで配布するとともに、福岡市ホームページへ掲載するなど、引き続き周知・啓発に努めてまいります。
- 「働くあなたのガイドブック」の発行部数は10万人を超える高校生、大学生等の数に比して少なすぎる。抜本的に作成部数を増やすとともに、どのように配布し活用されているのかを把握すること。また、「働くあなたのリーフレット」を市内の高校、専門学校生、大学生全員に渡せるように作成部数を増やすとともに、労働者向けリーフレットを作成すること。
(答)
福岡市では、労働関係法令を分かりやすく解説し、労働相談窓口を紹介する「働くあなたのガイドブック」を令和5年度は、令和6年1月に12,000部を発行し、福岡市内の全ての高等学校、短大、大学、専門学校に必要部数を送付したほか、企業向けセミナーや市関連施設などでも広く配布しており、引き続き必要部数を発行し、配布してまいります。また、「ガイドブック」をもとに学生向けに編集した「働くあなたのリーフレット」を、令和6年1月に40,000部発行し、福岡市内の全ての高等学校、短大、大学、専門学校に必要部数を送付しており、引き続き必要部数を発行し、配布してまいります。
さらに、「ガイドブック」及び「リーフレット」と同じ内容を福岡市ホームページに掲載するなど、今後とも、利用者のニーズを踏まえた周知・広報に努めてまいります。
(3)農林水産
- 物価高騰が続き農業・漁業従事者に深刻な影響を与えている。肥料、資材、燃油、飼料など高騰分を補てんする市独自の施策を実施すること。
(答)
物価高騰の影響を受けた中小企業の支援につきましては、引き続き、経済情勢や国や県の動向を注視しながら、市内需要の喚起や生産性向上など、必要な支援に取り組んでまいります。農業者、漁業者につきましては、燃油高騰に備え必要に応じて加入している国のセーフティネット制度を活用いただくとともに、飼料価格高騰などの影響を受ける畜産農家に対し、必要な支援に取り組んでまいります。
また、国際市況の影響を受けにくい農業への転換を図るため、地域資源を活用した肥料や飼料の利用拡大に向けた支援の充実に取り組んでまいります。
- わが国の食料自給率は先進諸国最低の38%に落ち込んだままである。肥料・飼料・種子などの大半も海外依存で実質10%以下という指摘もある。近年の世界的な食料危機が警告するように、「食料は金さえ出せば輸入できる」時代ではなくなっている。一方、国内の農業と農村は崩壊が急速に広がっており、近い将来、農業者の激減は必至である。このままでは、国内の食料生産も危うくなり、耕作放棄地が広がり、国土や環境の荒廃が一気に広がりかねない。食料供給の不安定化を見据えて、食料自給率の向上・回復を国政の柱に据え、農政の最大の目標に掲げて取り組むよう国に求めること。
(答)
食料自給率につきましては、国において、新たな食料・農業・農村基本法に基づき、食料安全保障の確保などに関し必要な施策を講ずるものとされるとともに、食料・農業・農村基本計画の改定に向けた検討が進められており、動向を注視してまいります。
- 農業と農村の歴史的衰退の流れを逆転させ、食料自給率の向上に本格的に転ずるためには、基幹産業と位置付け、農林水産関係予算の大幅な増額が不可欠である。農林水産業の振興に必要な予算を思い切って増額すること。
(答)
農林業・水産業総合計画に掲げる目標の実現に向け、必要な予算の確保に努め、施策を推進し、農林水産業の振興を図ってまいります。
- 農業所得に占める政府補助の割合は、ドイツ77%、フランス64%だが、日本は30%と半分以下でしかない。価格保障、所得補償を抜本的に充実するよう国に求めること。
(答)
農畜産物の価格保障や農家の所得補償につきましては、農業者の経営安定に資する国の交付金などの制度を活用するとともに、国において、新たな食料・農業・農村基本法に基づき、合理的な価格形成に向けた検討が進められており、動向を注視してまいります。
- 本市の農家の経営主の平均年齢が73.7歳となっている。農家戸数及び農業従事者数についても、依然として減少傾向が続いている。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすこと。
(答)
農家の後継者づくりにつきましては、青年農業者の育成支援や親世代の経営安定化を図ることで、次世代へ円滑に継承できるよう進めてまいります。
また、農業技術を習得するためのインターンシップなどの研修の充実、国補助を活用した経営確立のための資金交付、農業用機械・施設の経費助成の拡充及び低利融資などにより、新規就農者の確保に向け取り組んでまいります。
さらに、新規参入者につきましては、関係機関と連携し、新規就農相談や農地のあっせんなどを行ってまいります。
- これ以上耕作放棄地を増やさない手立てをとるとともに、活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにすること。
(答)
耕作放棄地対策につきましては、農業委員会と連携しながら、貸したい耕作放棄地の情報をホームページに掲載し、農地を借りたい人と農地所有者とのマッチングを行うほか、農業者による再生を支援するとともに、新たに市民や企業・団体などと連携し、農地活用の実証実験などに取り組んでまいります。
- 国が「みどりの食料システム戦略」で2050年までに有機農業による耕作面積を25%にするという目標に見合った戦略を福岡市は持たなければならない。そのためには有機農家を増やす必要がある。有機農業技術を学ぶことができる研修を市がイニシアチブをとって行ったり、技術指導できる人材を招聘するなど、有機農業に取り組んでもらうきっかけを作ること。有機農業に安心してとりくめるよう、収益の不安定期への手厚い補助を実施すること。学校・保育園・幼稚園の給食の食材に地元の有機農産物が採用されるように、有機にふさわしい価格で買い取り、その際の掛かり増しの経費を市が補助すること。
(答)
有機農業につきましては、国の「みどりの食料システム戦略」に基づき、地域の実情や農業者の意向に配慮しながら、有機農業に取り組む面積の拡大が図られるよう、研修会の開催や先進地の視察など、農業者が有機農業にチャレンジしていくための環境整備に取り組むとともに、国の交付金を活用し支援を行ってまいります。
また、市民の有機農業への理解促進を図るため、有機農産物のPR活動に取り組んでまいります。
- 有害鳥獣による農作物への被害額は2967万円となっており影響は依然大きい。被害の多くを占めるイノシシ対策のためワイヤーメッシュ、電気柵の設置など予算を増やすこと。
(答)
イノシシなどの野生鳥獣による被害対策につきましては、国の補助事業を活用した侵入防止柵の設置支援や、市独自の侵入防止柵の強化支援により、鳥獣の農地への侵入防止を図るとともに、猟友会への活動支援や報奨金支給、ICT・IoTを活用したわなの設置や集中捕獲の拡充などにより、捕獲活動を促進するなど、県・JAなどの関係者とも連携しながら、被害防止対策を推進してまいります。
また、イノシシが出没しにくい環境づくりに取り組む地域や自衛に取り組む農業者への支援など、地域等とも協力しながら取り組んでまいります。
- 各市場において脱炭素化計画を作成し実行すること。
(答)
脱炭素化につきましては、「福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画」に基づき、削減目標に向けて、各市場に適した効率的・効果的な整備や管理運営などに努めております。今後とも温室効果ガスの削減に向けて取組みを進めてまいります。
- 民有林の人工林のうち、約8割が木材として利用可能時期を迎えている。森林の保全や花粉発生源対策のためにも主伐をすすめること。
(答)
花粉発生源対策として、スギ、ヒノキ人工林の伐採の促進に取り組むとともに、地域産材の利用促進に努めてまいります。
6、憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもを人間として尊重する教育・文化行政の推進を
(1)福岡市教育振興基本計画
教育の主人公は子どもである。教育は子どもの「人格の完成」をめざし、その尊厳を尊重しながら発達を支える営みであり機会均等でなければならない。ところが、現行の第2次福岡市教育振興基本計画は、教職員の抜本増や処遇改善、遅れている校舎等の大規模改造、体育館へのエアコン設置をはじめとする教育環境の整備など、教育行政の責務が抜け落ち「共育」として家庭や地域の責任をことさら強調するものとなっている。教育内容においては「キャリア教育」「グローバル人材の育成」「英語教育の推進」をセットとし、ICT教育を重視する等、財界からの要求を具体化した偏狭なものとなり、「福岡スタンダード」として画一的な子ども像を強調するなど、子どもたちが学びの意味を実感できないものとなっている。今、世界では戦争や環境問題、人権問題など多くの社会問題が発生し、子どもたちはコロナ禍や家庭の生活困難等にも直面し、葛藤と模索の中でともすれば希望を失いかねない中での学びを強いられている。現在策定作業中の次期教育振興基本計画においては日本国憲法が掲げる教育権や個人の尊厳を土台に、「子どもの権利条約」が掲げる一人一人の尊厳、発達の権利や意見表明権などの人権、最善の利益を保障し、教育の真の目的である「人格の完成」が土台に据えられた教育を実現するため、教育条件の抜本的改善と教育行政の責任について明確化を図ること。
(答)
次期教育振興基本計画につきましては、これまでの成果を検証し、国の教育振興基本計画を参酌のうえ、社会情勢の変化や新たな課題に対応した計画となるよう検討しております。次期計画では、目指す人間像を「自分の可能性を信じ、様々な変化や困難に主体的に向き合い、他者と力を合わせ、豊かな人生やよりよい社会を切り拓く人」とし、それに向かって成長するために身に付けてほしい力として「自ら学ぶ力」、「他者と協働する力」、「未来をつくる力」を示すこととしております。
また、これらの力を育むために大切にしていくこととして「子どもを主体とした学びの推進」など5つの基本方針を掲げるとともに、計画を推進するにあたっての共通の視点として、子どもの権利の尊重を含むWell-being(ウェルビーイング)とDX(デジタルトランスフォーメーション)を設定することとしており、現在、「確かな学力の育成」など8つの施策の具体的な内容について検討を進めております。
(2)教育予算
人件費を除けば一般会計のわずか7%前後と抑制されている本市の教育予算は、施設整備・改善、学校運営等、教育活動の基盤を揺るがしており、抜本的に増額すること。人件費についても教職員不足を打開するとともに現在会計年度任用職員とされている専門職を正規化するために大幅増額を図ること。
(答)
福岡市が目指す子ども像の実現に向け、必要な予算を確保し、次期教育振興基本計画に基づき教育施策の充実に着実に取り組んでまいります。
人件費につきましては、教職員定数のさらなる充実について、今後とも国に要望してまいります。
(3)過大規模校など適正な教育環境への改善
- 31学級以上の過大規模校について、2024年度は小学校23校、中学校6校となり、昨年度より3校も増えた。プレハブ教室は小中合わせて38校155教室にのぼり、多くの子どもたちに不自由な学校生活を強いている。子どもたちは運動場で思いきり遊ぶこともできず、全員が参加する学校行事さえも難しくなっている。早急に過大規模校を解消するためのあらゆる手立てを尽くすこと。また、この問題は、無秩序な住宅開発による人口急増や、教育委員会が子どもの数についていい加減な推計を出していることが原因である。市は、開発規制は困難だとしているが、子ども病院跡地では住宅戸数の制限をおこなった実績があり、児童数、生徒数が多い地域の開発に対して制限をかける条例を制定すること。あわせて、教育委員会の児童生徒数の推計においては正確を期すこと。
(答)
過大規模校への対応につきましては、「福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」に基づき、児童生徒数の推移や住宅開発の動向を注視しながら、適切に取り組んでまいります。
民間企業の開発を学校教育の観点から規制することにつきましては、様々な課題があり困難であると考えておりますが、児童生徒数の推移や住宅開発の動向を踏まえ、関係局と連携しながら適切な教育環境の確保に努めてまいります。
また、児童生徒数の推計につきましては、住宅開発計画などを早期に把握するとともに、精度向上に努めてまいります。
- 毎日使用する印刷室や給食の受所、相談室やPTA会議室などの諸室には未だにエアコンが設置されていないところが残されている。エアコンの設置費用についてPTAなどに負担させることは問題であり、子どもや職員、保護者が活動するところはすべて教育委員会の責任で設置すること。
(答)
相談室やPTA会議室などへの空調整備につきましては、必要性や優先順位などを総合的に判断していく必要があると考えております。
- 厳しい猛暑のため体育や学校行事が体育館で行えず、教育活動に支障を来しており、またPTAや現場からも設置を求める切実な声が寄せられている。国は、「緊急防災・減災事業債」を2025年まで延長し体育館へのエアコン設置を促している。断熱構造の問題と多額の経費を言い訳にして頑なに設置を拒否する姿勢は許されず、今後新設される学校の体育館にエアコンを設置するとともに、既存校にもただちに断熱構造を施しエアコンを設置すること。
(答)
学校体育館の空調設備につきましては、教育環境の充実及び避難環境の確保の観点から、早期整備に向け取り組んでまいります。
断熱施工につきましては、福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に基づき、整備を進めてまいります。(教育委員会)
- 学校のエレベーター設置について教育委員会は、2025年度までにわずか6校しか計画しておらず、その後の設置計画は、大規模改修時にとなっており、いつになるかわからない。障害のある子どもたちの地域で学ぶ権利を奪っており許されない。今年度も小学校で29人、中学校で10人の肢体不自由児がエレベーターのない学校に在籍しており、これは卒業に間に合わないものは放置をし、先延ばしにしてきた結果であり、教育委員会の怠慢である。しかも全国平均3割の設置率に対し、2025年までに2割に満たない。児童生徒の安全確保、教員等の負担軽減、学校のバリアフリー化によりインクルーシブ教育を促進するためにも、また避難所としての役割を果たすためにも、全ての小中学校へエレベーターを設置する計画を策定するとともに、要配慮児童生徒が在籍する学校への設置を急ぐこと。
(答)
エレベーターの設置につきましては、要配慮児童生徒の入学、卒業年の見込みや既存校舎へ設置する際の技術的な課題などを踏まえつつ、検討してまいります。
- 学校のリフォームである従来の大規模改造工事については、築30年以上で未実施の学校が52校残されているにもかかわらず「長寿命化計画」を理由に40年経過するまで放置されようとしている。築年数が古い学校は老朽化がすすみ、危険個所も多い。大規模改造工事の改修ペースを引き上げ、未実施校については早急に終了させること。
(答)
長寿命化改良につきましては、施設の老朽化の状況を勘案し、計画的に実施していくとともに、今後とも予算の確保に努めながら、良好な教育環境の整備に努めてまいります。
- 2023年度に各学校から提出された学校施設改良等要望の項目は286件で、1校あたり1~2件と学校現場から出される声としては極めて少ない。しかも対応済みはわずか53件と20%にとどまっている。今年夏の公共施設を考える会の学校施設調査でも、また軒天やブロック塀の爆裂、アスベスト含有材の破損など多くの危険個所が見つかった。さらに、10月にはプレハブ校舎の天井が落下し児童に接触する事故も起きている。子どもや教職員の命に関わる問題であり、先延ばしは許されず、維持補修費を抜本的に増やし、各学校から要望が出された箇所については早急に対応すること。
(答)
学校施設改良等要望につきましては、計画的な実施が必要な大規模な改造から、小規模改善までを含み、またその内容も多岐に渡っております。そのため、必要に応じて現地確認や学校へヒアリングなどを行って状況を確認するとともに、緊急性のあるものは優先的に対応する一方で、他の改修と併せて実施することが、効果的・効率的であるものなどにつきましては、その機会を捉えて適宜実施しております。
- 学校施設ブロック塀改修事業は、2018年から開始され、昨年度末までに危険個所が19.7km完了したが、依然として10kmの改修が残されている。予算を増額して速やかに改修すること。また、通学路における危険なブロック塀については、補助事業の対象を抜本的に広げ、補助額を増額して、積極的に周知するとともに、危険なブロック塀の除去を早急にすすめること。
(答)
学校施設のブロック塀の改修につきましては、専門家による調査の結果を踏まえ、危険性が高いものから、できる限り早期に改修できるよう、予算の確保に努めながら取り組んでまいります。(教育委員会)
危険なブロック塀の除却につきましては、福岡県住宅・建築物耐震化連絡協議会の会員である県や関係団体と連携して、ブロック塀の調査・点検・啓発用リーフレットの配布などを行うとともに、除却をさらに促進するため、平成30年10月より助成上限額を増額した補助制度を改めて市政だよりなどに広報するなど、周知・啓発を図っております。(住宅都市局)
- 水泳授業は、海や川に囲まれた我が国において、命を守るために必要なものである。モデル事業として民間プールの活用や、複数校での共同利用が検討されているが、移動時間がかかり授業時間が短くなることや、すべての生徒が利用できるスペースはないなどの問題がある。また、小学生と中学生での体格の違いからくる事故のリスクが懸念される。さらに、新たな保護者負担増が行われれば水泳授業の機会均等も保障されなくなることも予想され、拙速な実施はすべきでない。すべての学校プールを維持し、水泳授業を暑い時期にも行えるよう施設整備を行い、教員の負担になっている水質管理の専門業者への委託や、水泳指導について教員の過度な負担にならないよう加配するなどの手立てをとること。
(答)
民間プール等の活用につきましては、モデル事業の結果を踏まえ、専門的な指導による授業の充実や水泳学習の計画的実施、教員の負担軽減などの効果が見込まれるため、令和7年度から本格的に実施することとしております。また、学校の建替え・新設などの際には、民間プール等の活用のほか、学校プール施設の共同利用などを、個別に検討してまいります。
学校プールにおける水泳授業につきましては、暑さ対策として、プールサイドへの散水や適切な休憩時間の確保などを行っており、また、教員の負担軽減などのため、令和7年度から小学校に対して指導補助員の派遣を行ってまいります。
- 学校プールにおいては、老朽化でプール内にささくれができていることによる怪我などの事態が生じている。また、学校施設整備指針で設置が推奨されている日除けの設置が未だ76%にとどまっていることに加え、小さすぎて全員が利用できない施設も多い。さらに、プールサイドが熱すぎて危険との声に対し、プール用ビニール床シートを貼っているとのことだが、改修時に限定されており大半は放置されている。早急にすべての学校プールの改修を行うこと。加えて、周りの住宅や高層マンションから丸見えとなっているプールも多数見受けられる。必要な予算を確保して、早急に対応すること。
(答)
学校プールにつきましては、劣化の進行により、危険性があると認められるものは、その都度、修繕などを実施しております。
暑熱対策やプライバシー対策につきましては、プール改修などの機会を捉え、プールサイドの一部に日除けテントなどを整備しております。
- 市内に学校施設は217校あるにも関わらず、学校用務員については拠点校方式として154人しか配置されておらず、以前の全校配置の時と比べ即応性が下がり、危険を回避し、快適な環境を整備することに支障をきたしている。学校用務員について、21校のみ配置の拠点校方式はやめ、各校最低1人、規模によっては複数配置すること。
(答)
学校用務員が行う学校環境整備などに関する業務につきましては、平成26年度から拠点校制度を実施しており、今後とも、児童生徒の安全で快適な学習環境の確保などに配慮しながら取り組んでまいります。
- 今年の学校施設調査でも、アスベスト含有が疑われる波型スレートやPタイルの破損や劣化が多数確認された。市はアスベスト含有の可能性がある材料や使用箇所などを周知し、破損が見受けられる場合の応急対応や児童生徒への指導の依頼、教育委員会への報告などを通知しているというが、多くの教員や児童生徒が把握していない実態がある。アスベストの危険性や維持管理方法、処分方法について周知するとともに、アスベスト含有建材は早急に撤去すること。また市が保有するアスベストアナライザーも活用し検査を行うこと。
(答)
学校施設の天井や壁、床、屋根などの仕上げ材として使用されている建材につきましては、工事施工年度によってはアスベストを含有している可能性もありますが、これらの非飛散性アスベストは、通常使用している状態では飛散する恐れはありません。
破損した場合の取扱いにつきましては、学校施設管理マニュアルに記載するとともに、各学校に対し文書で周知しており、必要に応じて緊急修繕での対応を行っております。また、改修時に仕上げ材を撤去などする場合につきましては、事前に専門業者による調査を行い、アスベストの含有を確認したうえで、必要に応じ対策を講じております。今後とも、アスベストの処理につきましては、関係局とも連携し、関係法令に基づき適切に対応してまいります。
(4)学校給食
- 学校給食は、食育基本法で定めている食育であり、教育の一環である。国は学校給食費無償化に背を向けているが、2023年9月時点で小中学校とも給食費を無償化した自治体は全国で547となった。義務教育は無償とする憲法の立場からも、学校給食費を無償とすることは当然のことである。学校給食費の無償化を実施すること。
(答)
学校給食費につきましては、食材料費の物価高騰分の公費負担を継続するとともに、2学期から無償化いたします。また、引き続き国に対する財源措置などの要望を行ってまいります。
- 他都市では、有機農業を推進しながら、できた農作物を学校給食に使うという循環型の取り組みがすすめられており、東京都世田谷区では、他都市の有機食材を購入して有機給食を行っている。給食に使うまでの供給量はすぐに賄えなくとも、全校一斉ではなく、一部の学校で使ってみることで、地元有機農業の振興にもつながる。また、子どもたちへ安全で質の高い給食を提供することができる。本市でも有機給食を実施すること。
(答)
有機給食の実施につきましては、福岡市の学校給食は、1日の食数が約12万食と非常に多く、大量かつ安定的に食材を調達する必要があるため、現状では流通量が少ない有機農産物の使用は困難であり、今後の研究課題と考えております。
- 2023年度の中学校の喫食時間は平均で21分である。現場では授業が長引いたり、準備に手間取ったりして喫食時間が10分以下になる場合も少なくない。子どもたちや教職員からも給食時間は短すぎるという声があがっている。その主な原因は中学校給食がセンター方式であることから、返却時間に余裕がないことにある。給食センターと協議し、柔軟な対応を求めるとともに、生徒一人一人に応じた十分な個別的配慮を講じ、学校が必要と判断すれば、給食・喫食時間を長くすること。
(答)
給食時間につきましては、各学校において、学習時間やその他の様々な教育活動を盛り込んだ一日の時制を定める中で、準備や喫食時間なども含め、適切な時間の設定に努めております。給食直前の授業の終了が遅れた場合などで、やむを得ず給食時間が短くなった場合は、必要に応じて延長するなどの対応を図るほか、食べるのにどうしても時間がかかる児童生徒に対しては、本人とよく話した上で、個別に時間を設けるなどの対応も図っております。また、配送トラックの出発時刻は、給食終了時刻から30分以上の余裕をもって計画しており、出発に間に合わない場合は、翌日以降の食器返却を認めるなどの配慮をしております。今後とも児童生徒の喫食状況などの把握に努めるとともに、必要に応じて個別の配慮も行うなど、適切に対応してまいります。
- 小学校の給食室へのエアコン設置は、現在69校で2024年度中に70校になる見込みだが未だ半分以下である。猛暑の中では40℃を超えるとの訴えもある環境での調理業務は過酷である。学校給食室にも準用される「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理場の温度は25℃以下に保つことが望ましいとされており、衛生的にも調理員の健康にとっても重要である。大規模改造工事を待たずに、速やかにすべての給食室へエアコンを設置すること。
(答)
小学校調理室の空調整備につきましては、調理員の安全な労働環境の確保を図るため、学校の新設時や長寿命化改良時などの機会を捉え、またそれ以外にも調理室単独での工事も優先度の高い学校から整備を進めてきたところであり、出来る限り早期に整備を完了できるよう計画的に取り組んでまいります。
- 本市の中学校給食はPFIのセンター方式で、1万食を超える大量調理、職員の低賃金など、食育としての給食とは程遠い実態となっている。小学校給食においては、自校方式であっても、146校中73校と半分が民間委託され、ここでも低賃金の職員が、子どもたちと関わりない形で業務を行っている。しかし、学校給食は子どもたちの成長を育み、食育にも資するものであり、営利を追求する民間への委託はなじまない。中学校給食のセンター方式並びに小学校給食の民間委託はやめ、顔の見える安全性の高い直営・自校方式に戻し、調理員は市の正規職員として配置すること。
(答)
小学校給食の民間委託につきましては、引き続き安全・安心でおいしい給食の提供を基本としながら、給食調理や食器の洗浄、施設の清掃などの業務について、令和7年度は78校において民間委託を実施します。
中学校給食につきましては、開始当初より委託・センター方式により提供しており、今後も安全・安心な給食の提供を実施してまいります。
(5)少人数学級
少人数学級は、学習意欲の高まりや不登校児童・欠席者の減少など、教育的効果が数字として表れ、児童生徒の自尊感情も高まることが実証されている。本市においては、35人学級が実現したものの、現場では20人~30人程度の学級の実現を求める切実な声が広がっている。国に対して法改正や予算の増額を求めるとともに、実現するまでの間、市独自に採用を増やし20人学級をめざすこと。
(答)
福岡市では、小・中学校全学年での35人以下学級本格実施により、きめ細かな指導の充実を図っております。
教職員の配置につきましては、学級編制の標準の段階的な引き下げや小学校における教科担任制の拡充などに伴い、いわゆる義務標準法に基づき配当される教員定数に追加が予定されておりますが、さらなる充実について、今後とも国に要望してまいります。
20人学級につきましては、集団的教育の実施に制約が生じる可能性があることや、教室及び教員の確保に課題があると認識しております。
(6)ICT教育
- 教育におけるICTの活用については、子どもたちの学びを補助する1つのツールとしての位置づけを明確にし、事実上の強制をやめ、教員の自主性・自立性を尊重すること。ICT支援員については各学校に月2回程度の派遣ではニーズに対応できておらず、全校に1人ずつ常駐させること。
(答)
福岡市につきましては、1人1台端末を活用し、これまで培ってきた教育実践にICTを組み合わせ、児童生徒が共に学び合う協働的な学習や、個々の習熟度に応じた学習を進めており、児童生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出す学びの実現に努めております。ICT支援員につきましては、現在各学校に月2回の派遣を行っており、加えて、常時、電話相談が可能な「ヘルプデスク」を設置するなど、学校のICT活用の支援を行っております。
- タブレットの活用により、子どもの成績、日々の生活などが「学習ログ」としてクラウド上に蓄積されることになる。これらの個人情報等の教育データを民間産業に提供する事は許されず、厳正に管理すること。
(答)
教育データの活用における個人情報の取扱につきましては、関係法令などを遵守し、適切に対応してまいります。
- デジタル教科書については、現場や有識者から学習効果への疑問や子どもの健康への懸念が出され海外では見直しの動きも起きてきている。視力障害のある子どもに見やすいなどの点はあるものの、全体的な導入には多くの懸念があり本格導入については慎重にすること。
(答)
デジタル教科書につきましては、ICTを活用し学校における教育の質をより高めていくために効果的に活用していくことが重要であり、1つのツールとして、児童生徒の健康面を考慮しながら、適切に導入を進めてまいります。
- ICT教育にあたっては、基本的人権を基軸とした「デジタル・シティズンシップ教育」を重視すること
(答)
デジタル・シティズンシップ教育につきましては、デジタル技術を積極的に活用し社会に参加することができる児童生徒を育成するため、自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつことや、情報を正しく安全に利用することなどの学習を情報モラル教育の中で実施しております。
(7)教職員の働き方改善、採用のあり方
- 教師不足は引き続き深刻であり、年度当初から担任不在となる異常な事態を作り出している。これは長年正規教員の採用数を抑制し、500人規模の定数内講師で穴埋めするやり方によって引き起こされてきた問題である。また産休・育休代替で運用できる講師の確保にも無策だった結果でもあり、教育委員会の責任は重大である。講師頼みの定数確保方式をやめ年度内の休暇取得見込みを正確に把握した上で、正規教員の抜本的な増員を図ること。その際、教養・専門試験結果を主要な選考の判断材料とせず、経験や意欲等、総合的に判断し有能な人材確保を図ること。また、市立高校を含め、非常勤講師の処遇を抜本的に改善すること。国に対して、義務教育給与の国庫負担率を現状の3分の1から2分の1に戻すよう求めること。
(答)
教員につきましては、学校教育の充実などのため、これまで増員してきたところであり、引き続き計画的な採用を行ってまいります。
非常勤講師の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示した運用の考え方を踏まえ、職務内容や職責などに応じて設定しており、今後とも、市全体の均衡なども踏まえながら適切に対応してまいります。
義務教育費国庫負担制度につきましては、毎年、指定都市教育委員会協議会を通して、その所要額全額について適切な財政措置を講じるよう、国に要望しております。
- 教員の労働時間については、6割以上が過労死ラインを超える深刻な実態は改善されておらず病気休暇者数は365名、そのうち精神の病によるものは156名と史上最高になっている。教職員の長時間勤務については、学校閉庁日の設定やICTの活用、意識改革などでは、根本的な解決に程遠く、教員一人あたりの持ち時間数を小学校で週20時間、中学校で18時間程度を実現するよう現場に指導・助言すること。「改革推進プログラム」は早急に改訂すること。
(答)
教員の授業時数につきましては、教育課程編成において年間の標準授業時数を大幅に上回ることがないよう指導を行うとともに、教科担任制の拡充などに取り組んでおります。また、教職員定数の充実について、今後とも国に要望してまいります。
学校の働き方改革につきましては、令和4年4月に策定した「福岡市立学校における働き方改革推進プログラム」に基づき取組みを推進しておりますが、働き方改革の一層の推進を図るため、次期プログラムの策定に取り組んでおります。
- スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学校司書等、極めて重要な役割を担っている専門職が、本市においては会計年度任用職員という非正規雇用でしかも数校かけもちの業務形態という異常な働かせ方になっている。現場のニーズに応えられるようにするためにも、国が定数化するまでの間、本市独自に正規雇用とし、まずは全校に1人以上配置すること。
(答)
スクールカウンセラーにつきましては、令和3年度に大幅に増員して全ての市立学校に、週1~2日配置するとともに、引き続き心のケアの充実に努めてまいります。スクールソーシャルワーカーにつきましては、全ての市立学校に、週1~2日配置するとともに、その一部を拠点校スクールソーシャルワーカーとし、正規職員を配置しています。今後も正規職員のスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの配置につきましては、引き続き国に要望してまいります。
学校司書につきましては、令和7年度は100名増員することとしており、今後とも段階的な増員を行ってまいります。また、学校司書をサポートする役割を担う学校図書館支援員を配置し、子どもの読書活動の推進と心の居場所づくりを図ってまいります。なお、学校司書につきましては、その職務内容なども踏まえ、会計年度任用職員として任用することとしており、勤務条件につきましては、今後とも制度に基づき適切に対応してまいります。
- 教員は、夏季休業期間中にも、ワックスがけや壁塗り、草刈り、会議や校内研修等に忙殺され休暇を取得しにくい状況になっている。学校閉庁日の設定では何の改善にもなっておらず、本来、教員がやる必要のない環境整備等の業務は、行政の責任で他の公共施設と同様に専門の地場業者に委託するとともに、会議や研修等は夏季休業期間中には原則実施しないよう指導すること。
(答)
夏季休業期間中は、学校閉庁日が最大10日間となるよう設定しております。また、学校閉庁日は、学校行事や会議、研修、部活動などのほか、教育委員会事務局から学校への通知や照会などについても実施しないこととしており、教員が休暇を取得しやすい環境づくりに努めております。
引き続き、学校及び教員が担う業務の見直しを含め、学校の働き方改革を推進してまいります。
- 福岡市内において、部活動の全員顧問制の廃止等を求める教職員組合が結成され賛同の声もひろがっている。顧問になることによって時間外活動を余儀なくされ、教員の大きな負担となる事態は問題であり、強制にならないよう現場を指導すること。部活動指導員や支援員のさらなる増員を図ること。部活動の地域移行については、学校教育との関係整理、費用の自己負担増や指導者確保等、未解決の問題が山積しており、拙速な移行を行わないこと。
(答)
部活動の全員顧問制につきましては、一部の教員に負担が偏ることがないよう軽減を図ることや、複数の教員で指導することによって生徒が安全に活動できるようにすること、さらに、一方の教員が指導できない場合においても生徒の活動時間を確保することなどを目的として、各学校で採用を検討し、決定することが適切であると考えております。
また、部活動指導員につきましては大幅に増員し、生徒の技術向上や教員の負担軽減に取り組んでおります。
部活動改革については令和7年度以降も、国の動向を踏まえ、適切なあり方について検討してまいります。
(8)教育のあり方
- 合理的な理由なく、子どもの表現の自由を規制し、人権侵害となっているいわゆる「ブラック校則」については、世論と運動を受けて、一定の見直しが行われてきたものの、未だ髪型や服装、アンダーウェアの色、眉毛の揃え方などに関して、事実上の細かい規制が残っている。細かい校則規定は、明確なハラスメントだと捉え、学校任せにせず、子どもの権利条約に基づき、教職員、子ども、保護者の話し合いによって絶えず見直すよう助言すること。また、「指導」と言う名目で「違反」した生徒を教室に入れないなど、教育を受ける権利を侵害する対応も残っている。人権侵害の「指導」についてはただちに根絶させること。ジェンダーフリーに反する男女別の校則規定についても見直しを指示すること。
(答)
各学校の校則につきましては、毎年、各学校において、校内校則検討委員会を設置し、学校や地域の状況、社会の変化などを踏まえて、現状に合う内容への変更の必要性も含め、絶えず見直しを進めております。
また、校則に関する指導につきましては、今後も不適切な指導が行われないよう取り組むとともに、規則を守る指導だけでなく、生徒の内省を促して主体的に行動できるようにするなど、人権に配慮し、教育的効果をもつ指導となるよう努めてまいります。
- 本市で2023年度に把握されたいじめは、小学校で3143件、中学校で520件となり、合わせて過去最多を更新し、タブレットやパソコン、スマートフォンによる誹謗中傷等の人権侵害も後を立たない。いじめへの対応を絶対に後回しにしない命最優先の原則(安全配慮義務)を確立し、被害者の安全を確保し、加害者にはいじめをやめるまでしっかり対応すること。そのためにも些細なことにも対応できるよう教職員・保護者の情報共有の徹底について現場を指導すること。また「重大事態」が発生した際の調査については、改訂されたガイドラインを現場に徹底するとともに、速やかな対応ができるよう教育委員会として現場を援助すること。
(答)
いじめ問題への対応につきましては、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめ防止基本方針や各学校のいじめ防止基本方針を策定し、いじめの未然防止・早期発見に努め、いじめの関係児童生徒へのケアや相談体制の整備、被害者への情報提供などを行うとともに、いじめの重大事態への対応につきましては、改定されたガイドラインに沿って行うこととしております。
その方針を実現する実効性のある組織として、いじめ問題対策連絡協議会やいじめ防止対策推進委員会の設置、各学校のいじめ防止基本方針に基づいて設置したいじめ防止対策委員会で、被害者に寄り添ったいじめ事案への解決に努めております。
さらに、いじめや不登校をはじめとする学校の諸課題に法的な観点から指導助言を行うために、令和5年度からスクールロイヤーを配置し、必要に応じた各学校への支援を行っております。今後とも、いじめ防止対策推進法の基本理念に基づいた取組みを学校と連携しながら行ってまいります。
- 子どもたちは、インターネット等により非科学的で、歪んだ情報に触れ、予期せぬ妊娠に直面したり、性暴力性犯罪の被害者になったりするリスクの中で生活している。人の受精や妊娠の過程は取り扱わないとする時代錯誤の学習指導要領「歯止め規定」は、撤廃することを国に求めるとともに、これに縛られることなく科学的な「包括的性教育」を徹底すること。本市作成の「性教育の手引き」については、国際基準に照らしても大きく立ち遅れており、LGBTQ+についての記載を含む科学的なものへと全面的に改訂すること。
(答)
性教育につきましては、学習指導要領に基づき、性に関する正しい理解や、適切な行動をとれるよう、学校教育活動全体を通して指導しております。
性に関する教育の手引きにつきましては、学習指導要領の内容を踏まえ改訂したもので、問題なく活用できるものと考えております。
- 全国一斉学力テストや本市独自の「生活習慣・学習定着度調査」は子どもと学校に管理と競争を押しつける以外の何物でもなく、子どもと教職員を疲弊させ、精神的ストレスを増大させている。全国学力テストはやめるよう国に求めるとともに、参加をやめ、本市独自調査も中止すること。偏差値競争の温床であり、保護者の経済負担となっているフクトをはじめとする業者テストは認めないこと。
(答)
福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査につきましては、調査をもとに成果と課題を明らかにし、各学校がさらに取組みの改善を図りながら、学力の課題解決に向けた効果的・重点的な取組みを行っております。
全国学力・学習状況調査につきましては、児童生徒の学力の実態把握と授業改善のために、全小・中学校の参加を継続してまいります。
中学校における実力テストにつきましては、各学校が生徒一人ひとりの進路指導の充実につなげる取組みとして実施しております。
- 学習指導要領に基づき実施されている現行の道徳科については、特定の価値観を押し付け憲法や子どもの権利条約に反するものとなっている。道徳教育は子ども一人一人が自分の価値観を高めながら、市民道徳を身に付けられるものになるよう学校教育全体で取り組み、内心の自由を侵す「評価」はやめること。
(答)
道徳科につきましては、引き続き学習指導要領に基づき、学習を実施するとともに、適切な評価を行ってまいります。
- 「2分の1成人式」は、親への感謝を実質強要し、様々な事情を抱えた子どもたちや保護者にとってはストレスとなっている。「起業が大事」という特定の価値観を押し付ける「アントレプレナーシップ教育」とともにやめること。
(答)
2分の1成人式は、児童が、自分自身の成長を振り返ることができる大切な機会となっており、今後もキャリア教育の一環として継続してまいります。
なお、各学校において2分の1成人式を行う際には、担任が家庭環境を把握し、児童が意欲的に学習に参加することができるように配慮しております。
アントレプレナーシップ教育など、様々な教育施策につきましては、福岡市の子どもたちの学力をはじめ、これからの社会を生き抜く力を身につけさせるために実施しており、今後も推進してまいります。
- 憲法違反の安保法制のもとで、自衛隊と米軍の一体的な運用が加速化し、敵基地攻撃能力の強化によって、自衛隊が戦争の突撃部隊とされる危険が高まっている。「殺し殺される軍隊」としての性格を高めている自衛隊を職場体験先として選定しないよう学校現場に徹底すること。
(答)
中学校における職場体験学習につきましては、総合的な学習の時間に位置づけており、体験する職場につきましては、学校が開拓した職場、生徒自身が探してきた職場、保護者や地域から受け入れの申し入れがあった職場などの中から、生徒が選択し、保護者の承諾を得て決定しております。
自衛隊での職場体験につきましても、学習の一環として行っており、他の事業所と同様に職業の1つとして捉え、生徒の安全などを考慮し、実施しております。
- 暴力に他ならない教師による体罰や、人権侵害である暴言は、学校現場から根絶しなければならないが、未だに後を断たない。「体罰根絶宣誓書」への署名や唱和など形骸化した対策ではなく、子どもの権利条約や日本国憲法に対する教職員の認識を高める研修など、日常的な取り組みを充実させ、学校現場は子どもを権利主体として捉える場に変えるとともに、発生事実が判明した際は、厳正に対処すること。
(答)
体罰によらない教育につきましては、校長連絡会、生徒指導連絡会などにおいて、その趣旨の徹底を図るとともに、全教員が「体罰根絶宣誓書」に署名、唱和するなど、「体罰を決して許さない学校風土」を醸成し、体罰禁止の徹底を図っております。
また、全校種の校長会会長や中学校体育連盟会長などで構成される「体罰によらない教育推進委員会」で、体罰の原因究明や未然防止についての協議を行っております。今後とも、体罰をなくす取組みの充実を図ってまいります。
(9)教育を受ける権利
- 生活保護基準の連続引き下げについて、憲法違反だとする判決が相次いで出されており、この基準に連動させ、「生活保護基準の1.25倍」としている本市の就学援助基準の異常さが明確になっている。長引く物価高騰が子育て世代をも直撃している中、就学援助制度の重要性はかつてなく高まっており、基準を抜本的に見直すこと。
(答)
就学援助の認定基準につきましては、原則として、国が決定している生活保護基準に準じて定めております。
- 就学援助の支給項目については、国が認めているクラブ活動費・生徒会費PTA会費はもとより眼鏡購入費についても追加するとともに、物価高騰を加味し、入学準備金を含む給付額全体を増額すること。
(答)
就学援助の支給項目につきましては、保護者の経済的負担が大きく、全ての児童生徒に関わるものを選定しております。また、入学準備金などの支給額につきましては、国の就学援助の国庫補助予算単価に準じて定めております。
- 学校、徴収金や修学旅行費等について保護者の大きな負担となっており、義務教育は無償と定めた憲法に基づき、これらの経費を無償とするよう国に求めるとともに、就学援助を受けている世帯の保護者に、一時的に立替えを強いる後払い方式を改めること。
(答)
経済的理由により就学困難な児童生徒の保護者などに対しては、就学援助による支援などを行っております。また、就学援助では、小学校の修学旅行費につきましては、令和7年度から保護者が旅行前に支払うことなく、当該実費相当額を市から事業者に直接支払うこととするほか、学用品費などの様々な支給項目の性格に応じて、支給額や支払いの時期、また定額払いや実費による精算払いなどの手法を設定しております。
- 不登校児童生徒数は年々増加し、2023年度は5177人と前年度を約800人も上回り史上最高となった。学校が行き過ぎた管理や競争によって、子どもにとって息苦しい場になっていることの表れである。子どもを学校から遠ざけている要因を取り除くとともに、「不登校特例校」については、想定人数を抜本的に増やすとともに、各地に計画的に増設すること。
(答)
不登校児童生徒数の増加の要因につきましては、文部科学省の調査結果において、コロナ下による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況であったことなどが背景にあるとされているほか、児童生徒の休養の必要性に関する考えが浸透したこと、SNSやゲームの普及により、家庭にいても容易に外部に繋がることができ、様々な経験が可能となったという社会の変化も影響しているとの意見もあります。
福岡市においても同様に、不登校児童生徒数の増加の要因や背景は、個々の状況によって多様であると考えております。
学びの多様化学校「百道松原中学校」につきましては、5つの教室を確保するなど、ゆとりをもって施設を整備しており、また、運営面では学級数に応じて教員を配置するとともに、国の加配制度も活用して人員を配置するなど、転入学する生徒に応じて、工夫して対応してまいります。増設につきましては、開校後の状況を見ながら、検討してまいります。
- 本市における不登校対策は、学校へ復帰させることを目的にされてきた。当事者や保護者にプレッシャーを与え、追い込むことになりかねない復帰率目標は廃止し、学校復帰を前提とせず、教育を受ける権利、人格の完成を保障する多様な受け皿を整備すること。「適応指導教室」についてはその名称を変更し、子どもの居場所、学びの場へと改変すること。
(答)
現在検討中の次期教育振興基本計画においては、不登校児童生徒の支援として、多様な学びの場を提供するなど個々の児童生徒に応じた支援や指導の充実を図ることとしており、指標につきましては、復帰率とは別の指標を設定する予定としております。
また、適応指導教室については、すでに令和6年度から、校内適応指導教室は「校内教育支援教室」に、校外適応指導教室は「教育支援センター」に名称を変更しております。
- フリースクールは様々な理由で不登校となっている子どもたちの重要な受け皿であるにもかかわらず、公的助成がないために、運営には大きな困難があり、保護者にとっても大きな経済的負担となっている。県のわずかな助成では到底足りず、市として助成制度を創設するとともに、国に対し財政措置を求めること。
(答)
フリースクールへの公的助成につきましては、現在、保護者に対してフリースクールの授業料を助成している政令市はなく、また、福岡市では、令和6年度に教育支援センターの設置を全区に拡大するとともに、令和7年度に学びの多様化学校を設置するなど、不登校児童生徒の学びの場の確保に取り組んでおります。今後も国や他都市の動向や踏まえながら、不登校児童生徒への支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
(10)特別支援教育
- 特別支援学校が不足しており、プレハブで対応する等、教室不足が深刻な事態が続いている。校舎増築や増設など早急な対策を取り、図書室等必要な教室を整備すること。
(答)
特別支援学校の整備につきましては、設置義務のある福岡県に対して、福岡市内への県立特別支援学校の設置を要望するとともに、国の設置基準や障がいのある児童生徒数の推移などを踏まえ、特別支援教育の充実に必要な施設整備について検討をしてまいります。さらに、特別支援学校卒業生の就労率の向上を目指し、就労支援に特化した特別支援学校高等部を令和5年度に1校新設し、令和7年度にはさらに1校新設するなど、障がいのある生徒の自立支援を強化してまいります。
- 自閉症・情緒障害特別支援学級は今年度一定増設されたとはいえ、未だ4割の設置率にとどまっており、ニーズに全く見合っておらず、9割近くになっている全国政令市水準からも大きく立ち遅れている。全校への設置を早急に実現すること。また多様な発達障害に対応できる指導教室を大幅に増やすこと。
(答)
自閉症・情緒障がい特別支援学級につきましては、対象となる児童生徒の状況や居住地などの実態を踏まえ、計画的な増設に努めてまいります。
多様な発達障がいに対応するため、これまで、LD・ADHD等通級指導教室を設置してきており、今後も、対象となる児童生徒の状況や居住地などの実態を踏まえ、必要な学校へ計画的に増設してまいります。
- 特別支援学級については、8人を1人の教員が受け持つという現行の学級編成基準では、一人一人に行き届く教育は困難である。市独自に2人担任体制をとり、国に対して加配の財政措置を求めること。また、基準そのものを現行の8人から6人に見直すよう国に求めること。
(答)
特別支援学級の教員定数につきましては、義務標準法に基づき配当される教員定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について、今後とも国に要望してまいります。
- 特別支援学校や学級に配置する教員は、専門性を身に付けた人員の配置を原則とし、採用枠を抜本的に増やすこと。また、人員不足を補う方策として、学校の求めに応えられるよう、学校生活支援員や介助員を大幅に増やし、処遇を改善すること。
(答)
特別支援教育に係る正規教員につきましては、その専門性を考慮し、平成14年度から、特別支援学校教諭の採用区分を設け、教員採用試験を実施しており、引き続き計画的な採用を行ってまいります。
学校生活支援員や特別支援学級介助員につきましては、児童生徒の実態及び学校運営の状況に応じて適宜任用することとしており、勤務条件につきましては、今後とも制度に基づき適切に対応してまいります。
今後とも、学校生活や学習活動に困難を抱える子どもたちが、よりよく過ごすことができるよう支援の充実に努めてまいります。
- 発達教育センターにおける2023年度の就学相談人数は、2676人と史上最高を更新しており、子どもとっての適切な進路を選びたいという保護者の願いは切実である。速やかな判断ができるよう相談体制の拡充・充実を図ること。療育センターや児童発達支援センター、保育園や幼稚園等との連携を深め、子どもや保護者の希望を最大限尊重した学びの場を保障すること。そのために必要なエレベーター等、バリアフリーのための施設整備や人員配置については遅滞なく行うこと。
(答)
障がいのある児童生徒の就学先につきましては、療育センターや児童発達支援センター、就学前施設や幼稚園、保育園などと連携して、児童の実態を十分に把握し、保護者の意向を踏まえて適切な学びの場を検討し決定するよう努めており、今後も、就学前施設などと連携してまいります。
特別支援学級や通級指導教室につきましては、対象となる児童生徒の状況や居住地などの実態を踏まえ、計画的に増設に努めるとともに、要配慮児童生徒の入学・卒業年の見込みや既存校舎へ設置する際の技術的な課題などを踏まえつつ、エレベーター等の設置を検討してまいります。また、必要に応じて学校生活支援員の配置も検討してまいります。
(11)大学・高校の学費支援
- 高学費によって学生生活は限界にきている。私立大学の初年度納付金は平均で約148万円、国立大でも約82万円にもなっている。そのなかでアルバイトと貸与奨学金なしに学生生活が成り立たない状況が〝当たり前〟になっている。学生を支援するために特別給付金を復活させ対象も拡充すること。
(答)
大学生などへの支援につきましては、国や大学などにおいて様々な支援策が実施されているところであり、必要な支援が学生に届くよう、引き続き分かりやすい周知に取り組んでまいります。
- 学生の8割がアルバイトに従事し、3人に1人が貸与奨学金を借りている。平均で300万円の奨学金という「借金」をかかえて社会に出ざるをえない状況で、若い世代の抱える奨学金返済額は全国で10兆円にものぼる。学費引き下げ、給付奨学金の拡充、貸与奨学金の返済を国の責任で半分に減らすことや入学金制度の廃止を国に求めること。市独自の給付奨学金をつくること。市教育振興会高校奨学金は希望者全員が借りられるようにすること。
(答)
大学生などへの支援につきましては、国や大学などにおいて様々な支援策が実施されているところであり、必要な支援が学生に届くよう、引き続き分かりやすい周知に取り組んでまいります。(こども未来局)
教育振興会奨学金につきましては、中学生の進路保障を図るため、奨学金の貸与を実施しており、平成30年度以降、申込者のうち収入基準を満たした生徒全員を採用しております。今後とも事業の安定運営を図りつつ、国・県の修学支援制度の動向も踏まえながら、適切に実施してまいります。(教育委員会)
- 本市独自の私学助成は、1校平均約180万円で近年全く変わっていない。コロナ禍に加えて急激な物価高騰にある中で、保護者の負担軽減のためにも私学助成の拡充を図ること。
(答)
私立学校への助成につきましては、私立高等学校の教育の振興や保護者の負担軽減を図るため、国・県の助成を補完する目的で備品の整備などに対して助成を行っております。
(12)図書館
- 図書館の資料収集経費が減っており、「新刊本がない」「借りにくくなった」などの声があがっている。資料収集経費をはじめ図書館予算を増やすこと。
(答)
図書購入費などの資料収集経費につきましては、適切な予算措置を行っておりますが、今後も福岡市総合図書館資料収集方針に基づき、引き続き蔵書の充実に努めてまいります。
- 図書館の仕事を具体的に担うのは、専門職である司書である。司書には、資料・情報を自ら適切に選択できるよう利用者に協力、支援するなどの役割がある。にもかかわらず、本市の図書館員の99%が会計年度任用職員となっており、正規職員はわずか1人であり、その待遇は、低賃金で、雇用継続の保証もないなど、たいへん劣悪である。専門職に相応しい待遇に改善し、希望者は正規職員にするとともに増員を図ること。
(答)
総合図書館及び分館につきましては、司書資格を有する職員を引き続き現行の通り配置し、適切な運営を図ってまいります。
- 管理運営を民間企業に「丸投げ」する指定管理者制度は、図書館を営利追求の場に変質させる。司書の専門性の蓄積、長期にわたるコレクション形成、読書の自由を保障するためにも住民参加を大切にして直営で運営すること。
(答)
指定管理者制度につきましては、「福岡市総合図書館新ビジョン」に基づき、図書館サービスの向上を図るため、平成28年度から総合図書館の施設管理及び東図書館などの運営に導入しており、公共図書館としての役割を維持しながら、民間能力の活用により、多様化する市民ニーズに効率的かつ効果的に対応してまいります。
(13)社会教育施設
- 市議会議員による市政報告会は、市民の市政参加にとって重要であり、社会教育や生涯教育の拠点である公民館の目的内利用に位置づけること。
(答)
公民館につきましては、社会教育法及び公民館条例に基づき運営をしており、市政報告会を含め、利用のあり方について様々な角度から検討を行ってまいります。
- 社会教育法で定められている公民館における禁止行為は、営利事業や宗教活動など、極めて限定的なものであり、市民の社会参加や自治活動を促すことに繋がる利用については認めるのが原則である。審査基準については、社会教育施設としての役割を明確にするとともに、誤った対応が起きないように公民館職員への研修、周知を図ること。
(答)
公民館につきましては、職員研修の実施や、審査基準を含め情報共有の徹底を図るなど、今後とも、市民に安心して快適にご利用いただける施設となるよう努めてまいります。
- 社会教育施設である公民館を単なる「貸館」にしてしまうコミネットでの申し込み受付は導入しないこと。
(答)
公民館のデジタル化・オンライン化につきましては、公民館という施設の特殊性を十分考慮しながら、利用者の利便性向上や職員の負担軽減のための取組みを行ってまいります。
- 地域交流センターを使用した自衛隊イベントで学習室に来ていた中学生と思われる子どもに対して、自衛隊員が声をかけ抽選会に誘導するなど市民センター・地域交流センターで指定管理者による不適切な対応が多々生じている。市民が幅広く活用する公共施設における指定管理者制度については、事業者に対して市民への適切な対応を徹底するとともに、市が直接運営するよう制度を見直すこと。
(答)
市民センターや地域交流センターの運営につきましては、市民の皆様に快適にご利用いただける施設となるよう、今後とも指定管理者と連携を図りながら、市民サービスの向上に努めてまいります。
- 南区における地域交流センターについては市民のニーズをよく調査して設置方針を早急に決定し計画を策定すること。
(答)
南区における地域交流センターにつきましては、引き続き地域の声を踏まえつつ、基本構想・基本計画の策定に向けた検討を進めてまいります。
- 社会教育を支援する本来の役割を果たすため、館長や主事を補助する人員確保のための予算を増額するとともに、公民館主事の大幅な待遇改善を行うこと。
(答)
公民館では、地域の課題や住民ニーズに対応した多様な事業を展開しており、今後とも、必要な予算を確保するなど、適切に運営してまいります。
(14)文化・芸術
- 本市の文化振興費は2023年度の当初予算で36億円、一般会計の0.3%にすぎない。すべての市民の文化的に生きる権利、もっと自由に文化・芸術をつくり楽しむことを保障するために文化予算の抜本的な増額を行うこと。
(答)
文化芸術振興につきましては、福岡市文化芸術振興計画に基づき、市民が身近に文化芸術と触れあう機会の創出や、市民の文化芸術活動の支援などに取り組んでまいります。
- 来年3月末にオープンする拠点文化施設・福岡市民ホールは、収容人数の増加を理由に利用料金を市民会館より上げようとしている。地元の劇団や鑑賞団体にとって大きな負担となるため市民会館の使用料と同額にすること。また、地元の劇団や鑑賞団体を対象にした減免制度をつくること。ただの「貸館」にさせないためにも社会包摂の場として役割を果たすよう検討を行うとともに、舞台の創造、舞台芸術をささえる人材育成など本市における文化の拠点になるようにすること。
(答)
福岡市民ホールの利用料金につきましては、福岡サンパレスや他都市の類似したホールの料金を参考に上限額を設定するとともに、減免は市民会館の規定と同じ要件としております。また、劇場法を踏まえ、舞台芸術の公演や市民の文化芸術活動などのための場の提供に加え、公演を企画実施することや、多様な主体と連携し、共働することで社会課題の解決に貢献することなどに取り組むこととしております。
- 拠点文化施設内に整備予定の800席の劇場型ホールができたとしても、慢性的なホール不足は解消できない。演劇等の専門性に対応できる中規模ホール建設をさらに計画すること。
(答)
整備を進めている福岡市民ホールには、これまでの市民会館を継承する大ホールに加え、新たに演劇などの専門性にも対応できる約800席の中ホールの整備を進めております。
- 音楽・演劇練習場の4施設は高い稼動率のため希望者の多くが利用できない状況となっている。すべての行政区に設置する計画をつくること。また、ぽんプラザホール同様の小劇場を増設すること。
(答)
音楽・演劇の練習施設につきましては、高い稼働率となっていることから、令和4年度に移転した塩原音楽・演劇練習場において練習室を増やすなど、全市的な練習施設の機能拡充を図っております。
今後とも、各施設の利用状況や、文化活動の現状、市民のニーズなどを踏まえ、誰もが利用しやすい練習環境づくりに向け、既存施設の更新に合わせた機能確保なども含め検討を進めてまいります。
- 民間の劇場やミニシアター、ライブハウスは現状では商業施設や遊興施設として扱われ、何の支援もない。年間100日以上事業を行っている施設は劇場とみなして固定資産税の減免をはかるなど、積極的な支援を行うこと。
(答)
市内のライブハウスなどへの支援につきましては、音楽関係団体を通して、各施設で行われるイベント情報などを発信しております。
今後とも、ニーズを踏まえながら、必要な支援に努めてまいります。
- すべての小中学生が少なくとも1年に1度は文化芸術に触れる機会をつくるために、全校が取り組める予算を確保し推奨すること。義務教育の期間だけでなく、就学前の子どもや、高校生、大学生に対する芸術鑑賞などの支援を強めること。
(答)
文化芸術に触れる機会につきましては、各学校の状況に応じて、学校長の判断により実施しております。引き続き、国や県・市などが主催する文化芸術活動関連事業を各学校に案内してまいります。(教育委員会)
また、福岡市文化芸術振興計画に基づき、子どもをはじめ市民が文化芸術に触れ合う機会の創出に取り組んでまいります。(経済観光文化局)
- 障害者・高齢者の芸術鑑賞・創造・作品発表などの機会を増やし、支援すること。
(答)
障がいのある人や高齢者への文化芸術振興につきましては、福岡市文化芸術振興計画に基づき、文化芸術に触れる機会の創出や、文化芸術活動の支援に取り組んでまいります。
- 減免申請団体会員以外の入場者がいることをもって18歳未満の使用が半数を超えた場合に適用される市民センターでの使用料を減免しないという機械的な対応をやめること。
(答)
市民センターの使用料につきましては、市民センター条例などに基づき減免を行っており、申請時などに利用内容や団体名簿を確認した上で、18歳未満の者が半数以上の団体が利用する場合は、5割相当額を減免しております。
- すべての市民センターのホールで子どもが舞台を見えやすくするため子ども用クッションの数を増やすこと。
(答)
市民センターの子ども用クッションにつきましては、令和5年度に全センターに設置したところであり、今後とも利用者ニーズの把握に努めてまいります。
- 文化芸術振興財団が行っている「ステップアップ助成プログラム」の助成事業数をさらに増やし、それに見合う補助を行うこと。
(答)
ステップアップ助成プログラムにつきましては、今後も文化芸術活動者のニーズを的確に捉えながら、効果的な支援に取り組んでまいります。
- 本市の貴重な文化財である福岡城で、集客のために、歴史的根拠もなく、天守閣があったかのように、復元とはかけ離れたやり方を、巨額の税金を使って行うライトアップ事業はやめること。
(答)
福岡城「幻の天守閣」ライトアップにつきましては、福岡城への観光集客を図るとともに、福岡城や福岡の歴史に対する観光客や市民の興味・関心を高めるため、天守台の上に仮設工作物を期間限定で設置し、ライトアップを実施いたしました。引き続き、史跡を活用した賑わいの創出などに取り組んでまいります。
(15)スポーツ
- スポーツ基本法では「スポーツは人々の権利」と謳われており、そのために市内でスポーツができる環境を整備することが求められている。本市のスポーツ施設の土日祝日の応募倍率は野球場、ソフトボール場が68.5倍、テニスコートが23.5倍などと毎年高倍率がさらに上がっており、国民のスポーツをする権利が保障されていない。そのことは、「福岡市スポーツ推進計画」で掲げている成果指標「身近なスポーツ環境に対する満足度」が56.5%と、初期値(2012年度)58.3%よりも下がっていることでも示されている。身近なスポーツ施設を新・増設すること。施設のトイレの洋式化や、空調など老朽化しているスポーツ施設は改善し、スポーツ用具については適宜、更新すること。また、競技人口が増えているボルダリングやスケートボードなどの公的施設など、160万市民が身近にスポーツ活動ができる施設を計画し、増設すること。
(答)
スポーツ施設の整備につきましては、課題や市民ニーズなどを踏まえ、民間の活用など、そのあり方を含めた検討が必要であると考えております。
スポーツ施設の維持補修及びスポーツ用具の更新につきましては、安全かつ快適に利用ができるよう、今後とも計画的に進めてまいります。
- 1年に1度もスポーツをしない障害者は約6割に及んでいる。障害の種類や程度にかかわらず、スポーツを行うことができる環境を作ることは、市の責任であり、市内体育館をはじめ、運動施設のバリアフリーをすすめるなど利便性の向上を図ること。また、拠点施設である「障がい者スポーツセンター」について、以前からの改修要望である、駐車場屋根の設置をすみやかに実施すること。多くの障害者が、スポーツやレクリエーションに親しむことができるためには、「障がい者スポーツセンター」が市内1か所では足りず、市有地を使って増設すること。
(答)
障がい者スポーツの環境づくりにつきましては、障がい者スポーツセンターや障がい者スポーツ協会を中心に、各種スポーツ教室や大会を開催するなど、スポーツを行う機会を提供しております。また、バリアフリーの推進につきましては、「福祉のまちづくり条例」及び「バリアフリー基本計画」に基づく施設整備を進め、利便性の向上に取り組んでおります。
障がい者スポーツセンターの改修につきましては、利用者アンケートなどでいただいたご意見や指定管理者からの要望を踏まえ、利用者の安全性や利用頻度、アセットマネジメントの観点などから、緊急度や優先度を考慮のうえ取り組んでおります。
また、障がい者スポーツセンターの増設につきましては、施設の利用状況などから現時点で必要性は低いと考えておりますが、引き続き、状況を注視してまいります。
今後とも、障がいのある方やご家族などの声を伺いながら、障がい者スポーツの振興及び環境づくりに取り組んでまいります。
- 学校の施設は地域スポーツ活動の重要な拠点の一つであり、小・中学校のグランドは校庭開放によって地域のスポーツ振興に寄与しており、その必要な施設整備が求められている。その一方、防球フェンスが低すぎる学校があり、利用者や周辺住民から強い要望が出されており、スポーツ推進予算を充てて改善を行うこと。
(答)
小中学校のグラウンドにつきましては、学校施設開放事業において、学校教育に支障のない範囲で地域住民のスポーツ活動の場として、既存施設の状況に応じたご利用をお願いしております。今後も適切な事業運営に努めてまいります。
- 福岡市総合体育館をはじめ各区の市立体育館の駐車料金が「受益者負担」だとして有料化されているが、スポーツ基本法第6条で自治体が「スポーツへの国民の参加及び支援を促進するよう努めなければならない」との規定からみて問題である。市民負担を増やす駐車料金の有料化はやめ、無料にすること。
(答)
総合体育館の駐車場の利用料金につきましては、福岡市総合体育館条例において上限額を定め、その範囲内で指定管理者が料金を定めております。
また、地区体育館の駐車場につきましては、負担の公平性の確保をはじめ、不適正利用の防止や財源の確保を図るため、順次有料化を実施しております。
- 体育館やプールの利用料金は、65~69歳が半額、70歳以上は無料となっている。高齢者の健康増進のために、65歳以上はすべて無料にすること。あわせて、福岡市内にある民間のスポーツ施設についても、市民が利用する際、利用料金の補助制度を作ること。
(答)
体育館やプールの利用料金につきましては、65~69歳を半額、70歳以上を無料としております。また、民間のスポーツ施設利用における料金の補助制度につきましては考えておりません。
- 体育館やプールなど、スポーツ施設の管理・運営に指定管理者制度が導入されている。運営会社は利益を上げるために、トレーナーなどの人件費を抑制しており、そのため職員の離職率が高く、利用者から苦情も寄せられている。また、コスト削減のために空調を入れないとか、照明を間引くなど、快適なスポーツ環境とは言い難い問題も起こっている。利用者の立場にたった運営のために、直営にもどすこと。
(答)
体育館及びプールの管理につきましては、民間のノウハウの活用により、柔軟で質の高い市民サービスを提供することを目的として、指定管理者制度を導入しております。今後とも利用者のニーズの把握に努めながら、適切な施設管理を行ってまいります。
7、子どもの権利が守られ、安心して子育てできる福岡市に
(1)保育
- 2024年10月1日時点で、未入所児童は2368人と依然として希望する保育所には入れない子どもたちが多く残されている。市長は保育の受皿確保のために企業主導型保育の導入や定員増の大規模化などを推進して保育の質を下げてきたが、定員を上回って受け入れている保育所がある一方で、保育士不足により子どもを受け入れることができないなどの理由で10人以上定員割れしている保育所もある。企業主導型保育事業の拡大や定員増の増改築を推進するのではなく、公共用地を活用して適正規模の認可保育所を増設すること。また、現在7園である公立保育所を増やし、せめて各行政区に設置すること。
(答)
入所保留児童への対応につきましては、地域の保育ニーズを的確に把握しながら、必要に応じ、既存保育所の増改築などにより、定員確保に取り組んでまいります。
また、各区の子育て支援コンシェルジュによる多様なニーズに応じた相談対応や、保育所検索アプリをはじめ情報発信の充実に取り組むなど、引き続き、きめ細かな入所調整対応を行ってまいります。
公立保育所につきましては、7か所を存続させ、緊急時の対応とセーフティネットなどを担う拠点となる保育所として充実してまいります。
- 全国で子どもが亡くなったり重体になるなどの事件が社会問題化するなか、福岡市の重大事故発生件数が10年前の2014年が5件だったのに対して2022年は31件、2023年26件と大きく増加している。そうしたなか国が保育士1人が受け持つ子どもの数を変更したことに関して現場の実態は「まだ不十分だ」との声が上がっている。配置基準のさらなる見直しと、今回見送られた0、1、2歳児の基準見直しを国に求めること。さらに市独自の配置基準を設け、0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善すること。
(答)
保育士の配置基準につきましては、国基準どおりとしており、国の動向を踏まえて対応してまいります。また、追加配置を行う保育所に対し、福岡市独自の支援として、雇用経費を助成しております。
今後も、必要に応じて国に対して充実を求めてまいります。
- こども誰でも通園制度は保育の本質を根本的に変質させ、子どもが物のように預けられることになりかねない。預けられる子どもも、一緒に生活する子どもにもストレスを与え、少ない給付のため新たな人材を確保することは難しく、保育の質の低下に繋がるなど問題は山積みである。このような事業にも関わらず、国の基準の4倍、月40時間の受け入れを行おうとしている市長は、現場の実態を見ることなく、推進する政府の側に立ち、子どもに向き合っていない。しかも、国はこの制度を近いうちに、本格実施にして、市町村の関与なしに、保護者と施設の直接契約を行わせようとしているが、そうなれば市町村の関与は極めて薄くなり、保育の実施責任が民間任せとなりかねず、子どもの命や発達の保証が保たれない。このまま、こども誰でも通園制度を行うことはやめ、子どもたちが安心して保育される制度に抜本的に見直すこと。
(答)
こども誰でも通園制度は、全ての子育て家庭に対して、働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を目的に実施しているところであり、集団生活における子どもの成長の促進や保護者の育児負担軽減などの効果が見られているところです。
事業の実施に当たっては、子どもの安全が確保されることが大前提であり、実施主体である市が認可、指導監査を適切に行ってまいります。
- 昨年度、福岡市では26件の不適切保育が確認された。こうした中、先日、市内の認可外保育所で働いていた保育士からの「虐待が行われている」という市担当者への告発があり、その保育所では泣き止まない子どもを叱責したり、倉庫などに隔離するといった虐待が行われていた。虐待根絶のために通報の奨励に努めることとあわせて、保育士の負担軽減のために配置基準を市独自に見直すことと保育の専門性と質を確保するための取りくみを市の責任で行うこと。認可外であっても管理職は保育士を置くなど市独自の基準を設けること。また、昨年起こった不適切保育の81%は市の相談窓口により発覚しているため、窓口の充実や通報システムの周知を行うこと。
(答)
保育士の配置基準につきましては、国基準どおりとしており、国の動向を踏まえて対応してまいります。
また、保育の専門性と質の向上を図るため、保育に必要な専門的知識や技術を取得できるよう、新人や中堅、ベテランに区分した保育士研修、園長研修などを実施しております。保育所等における虐待等の対応につきましては、「保育所等における虐待等相談窓口」のメールアドレスや担当課について、市のホームページや保育施設において保護者に周知するなど引き続き取り組んでまいります。
認可外保育施設における保育従事者の配置につきましては、国が示す基準に従って適正に配置されているかを立入調査にて確認しております。
- 国の面積基準は75年前から変わっておらず、様々な弊害を起こしている。乳幼児特有の感染症やインフルエンザなどの発生を鑑みると、市独自の乳児室の改善にとどまらずさらに改善を図ることが求められる。0歳児、1歳児については、午睡中の死亡事故を防ぐため、数分おきに呼吸確認が求められるが、布団が重なり合うなか確認する困難さがある。2歳以上の保育では、食事もおむつ替えも遊びも同じ場所で行われ、生活である保育場所として十分な面積が確保できていない。現在の施設面積、園庭面積の基準を抜本的に改善することを国に求めるとともに、本市独自の基準を乳児室以外にも設定すること。
(答)
施設の面積基準につきましては、乳児一人あたりの面積が、国基準より広くなるように乳児室の基準を設定しております。
- 幼保無償化は対象年齢が3~5歳児完全無償、第2子以降についても無償となったが、対象年齢をすべてに広げるよう国に要請すること。さらに国が行うまでは、子育て世帯の負担軽減のために市独自ですべての子どもを対象に保育料は無償とすること。また、制服、遠足、文房具代など「隠れ保育料」と呼ばれる実費徴収費が重い負担となっている。物価高騰の影響が特に子育て世帯にのしかかる中で、これらの費用についても無料とするよう国に求め、市独自の補助制度をつくること。保育料無償化の下でそれまで保育料に含まれていた副食費が保護者の実費負担として切り離され負担となっている。第3子以降に限らず、全てに対象を広げて副食費無償化の手立てをとること。
(答)
0~2歳児の保育料につきましては、福岡市独自に国の徴収基準額から20%相当額を減額した保育料体系としております。
さらに、市独自の多子世帯への負担軽減策として、令和5年度から開始した第2子以降の保育料無償化について、令和6年度より当該年度に満3歳を迎える2歳児の幼稚園プレ通園を対象に加えております。
また、実費徴収費につきましては、国の制度に基づき、生活保護世帯などを対象に費用の一部を助成しております。
副食費につきましても、低所得世帯や多子世帯を助成の対象とするとともに、保護者の経済的負担の軽減を図るため、物価高騰対策も行っております。また、さらなる子育て世帯の経済的負担軽減について、国に対して提言しているところであり、今後とも、国の動向を踏まえ、適切に対応してまいります。
- 保育士の賃金は、全産業平均より月5万円以上低いと言われており、現場の保育士からも「賃金に不満」「せめて月5万円あげてほしい」などと賃上げを求める強い要望が毎年寄せられている。また近年保育士不足で園の経営が苦しくなっているところが少なくなく、専門職にふさわしい賃金の保障ができるよう国に求めること。国の公定価格が引き上げられるまでは市が各種手当など独自施策をつくり手取りの底上げを図ること。補助金や、格差をつける手当ではなく、保育現場で働くすべての職員の賃金の底上げにつながる改善を行うこと。また、本市における保育士の賃金の実態調査を行うこと。
(答)
保育士の給与につきましては、国による公定価格の大幅な改善に加え、保育所委託費に上乗せして福岡市独自に職員の処遇改善に必要な助成を行っております。
今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。
また、保育士の給与改善状況につきましては、委託費の賃金改善実績報告書並びに指導監査時において確認しております。
- 保育士の離職防止のために市独自の施策である家賃の一部助成や奨学金の返済支援の対象範囲と額は不十分であり、対象を保育職員全員に拡充すること。また認可外保育施設、院内保育所などにも適用すること。家賃助成額は少なくとも月3万円に引き上げるとともに、奨学金返済支援の補助も拡充し、返済が終わるまで支援すること。
(答)
保育士の家賃及び奨学金助成につきましては、保育の質の維持・向上の観点から、安定的に保育を行うことができる正規雇用の保育士の雇用を促進するため、助成の対象を正規保育士としております。また、これらの助成は、保育ニーズに対応するため整備等を行ってきた認可保育所などにおける保育士の確保策として実施しているものであり、企業主導型保育事業を除く認可外保育施設は助成の対象としておりません。家賃助成額につきましては、福岡市における1人世帯の平均家賃月額及び私立保育所の平均住宅手当額の状況を踏まえ、補助の上限を月額1万円としております。奨学金助成上限額につきましては、大学生と短大生などの日本学生支援機構奨学金の借入・返済状況を踏まえ設定しております。
- 博多区の宗教法人が運営する認可保育所が、経営難を理由に2025年3月末で閉園することが判明した。突然の転園を余儀なくされた保護者らは不安や憤りを抱えている。市は数年前より経営難の相談を受けており、今回の事態にあたり適切な支援が行われたのか検証を行うこと。また子どもたちが路頭に迷うことにならないよう、保護者の希望に沿うよう最大限支援すること。
(答)
保育所などの経営につきましては、本来、運営する法人の責任において行うべきものであり、市が指導・指示を行うべきものではないと国が見解を示しているため、可能な範囲で必要な助言を行ってまいりましたが、運営法人の判断で休園となったものです。
転園が必要な児童につきましては、可能な限り保護者が希望する施設に入所できるよう、保育所、幼稚園と協議を行うなど各施設と調整した結果、全員に転園先を案内できる見込みです。
- 深刻な保育士不足の中、高額な人材派遣料が園の経営を圧迫している。福岡市が人材を確保して、派遣できるよう制度をつくること。
(答)
保育士の人材確保につきましては、「福岡市保育士・保育所支援センター」を開設し、保育所などでの就労に関する相談対応や保育士等の就職あっせんを行っております。引き続き、利便性の向上のほか利用の周知を図ってまいります。
- 保育の一環である給食を担う給食調理員の給与は、保育士と比べて賞与を含めて大きな差がある。ミスが許されないアレルギー食や宗教食への対応、0歳児の1人ひとりの発達に応じた離乳食づくりなどの専門性と、保育士とともに子どもたちの安全と成長を見守るチームとしての調理員の役割と責任は大きい。保育士と同等の給与水準とするよう国に求めるとともに、市独自に調理業務の特殊性と専門性に見合う「特別手当」を創設するなど格差是正のための手立てを講じること。
(答)
保育所職員の給与などにつきましては、国による公定価格の大幅な改善に加え、福岡市独自に職員の処遇改善に必要な助成を行っております。
今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。
- 国の配置基準では調理員も到底足りておらず、基準の改善を国に求めるとともに、市独自にも配置基準を引き上げて財政措置を講じること。
(答)
調理員の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、職員の配置に係る福岡市独自の措置として、パート調理員の雇用経費を助成しております。
- 給食調理員の書類や記録が煩雑になっている。日中は給食やおやつづくり、片付けに追われ、書類や記録の時間がサービス残業になっている。保育士と連携してすすめるためにも書類・記録の簡素化を図ること。
(答)
児童に応じた食事を適切に提供するためには、一定の書類の作成や記録は必要であり、特に食品衛生に関しては、食品衛生法に基づき、記録による衛生管理の「見える化」が求められております。引き続き、国の指針やガイドラインなどを踏まえ適切に対応してまいります。
- 子どもの発達や食歴に合わせた、安全でおいしい給食を提供するためには、職員間での園児の情報共有が不可欠であり、本市が重要性を解く食育は、給食調理員と保育士が連携をとりながら行う必要があり、自園方式でなければ実施できない。給食は外部搬入や外部委託などの規制緩和ではなく、自園方式を堅持すること。
(答)
福岡市においては、食育などの観点から、原則として給食の外部搬入は認めておりません。また、調理業務の外部委託につきましては、国の通知に基づき、給食の安全・衛生や栄養などの質の確保が図られること及び保育所本来の事業の円滑な運営を阻害しない限りにおいて認めることとしております。保育所が調理業務の外部委託を行う場合には、通知に基づく委託内容となっているか事前に市で確認をしており、給食の質や安全性の確保を図っております。
- 保育所の開所時間は11時間だが職員の勤務時間は8時間のため、時間差勤務が行われている。早朝や夕方などの時間帯は特に忙しく、様々なトラブルが起きやすいが、保育士の人数がそろっていない時間である。事故がないようすべての保育時間で配置基準が満たされている必要があり、朝夕の保育士を実際に増やして対応するためには現在の公定価格では不十分である。実態に見合うよう財政措置をするよう国に求めるとともに、市独自に補助制度を設け、どの時間帯でも配置基準が満たされるようにすること。
(答)
国の公定価格においては、11時間の保育標準時間認定の児童を受け入れる保育所には、必要な費用が含まれて算定されております。保育士の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、職員の配置に係る福岡市独自の措置として、充実保育士の雇用経費を助成しております。
今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。
- 保育業務の負担軽減としてICT化がすすめられているが、公的に提出する必要がある記録の作成等は、労働時間内には終わらず、休憩時間や自宅に持ち帰って書くことが常態化しており、保育士の大きな負担となっている。ICT導入という小手先のやり方ではなく、抜本的な業務の削減を図るとともに、提出させる書類を精選するとともに、必要な書類作成については労働時間であることを明確にし、残業手当が支払えるよう運営費の増額を行うこと。
(答)
保育士の負担軽減につきましては、保育帳簿の作成の効率化に資するよう、適宜様式の見直しを行うとともに、研修会や実地監査などにおいても、できるだけ省力化できるよう帳簿の記載方法などについて助言などを行っております。
また、保育業務のICT化により、保育帳簿の作成や園児の登降園管理、保護者への連絡、保育料などのキャッシュレス決済の機能を含むシステムを導入することで、保育業務の効率化を進めるとともに、保育所の働き方改革に取り組む保育所への支援を実施しており、引き続き保育士の負担軽減に取り組んでまいります。
なお、適切な時間外勤務手当の支給につきましては、指導監査などの機会を通して、引き続き、指導してまいります。
- 家庭的保育事業や小規模保育事業などは、保育基準が条例で定められているものの、園庭の設置義務がなく、職員全員が保育士の有資格者でなくても良いという国基準に、市は有資格者を1名義務付けてはいるが、認可保育所より基準が低いため、保育士の質の低下や保育所間での格差につながるなど問題である。すべての子どもの最善の利益と発達の権利を保障するため、条例を見直すとともに、必要な支援を強めて規制緩和路線を改めること。
(答)
家庭的保育事業や小規模保育事業などにつきましては、家庭的保育事業等の設備及び運営の基準を定める条例を制定し、保育の質の確保に努めております。
- 本市の認可外保育施設は、2024年4月1日時点で308施設となっているが、職員の健診費用など助成額の合計は約1493万円、1園につきわずか5万1692円にとどまっている。コロナ禍を経て、とりわけ院内保育所では、病院と一体に市民の命を守ってきた。さらに24時間保育や一時・休日・延長保育、障害児保育など、多様な保育要求にこたえ、地域の子育て支援に貢献し、保育行政を保管する役割を果たしている認可外保育施設への職員給与・修繕費・管理への補助を創設すること。あわせて、認可化をめざしている施設への財政支援を強化し、認可化をすすめること。
(答)
認可外保育施設の認可化につきましては、認可に必要な施設整備などの経費に対する助成を実施するなど、認可化へ向けた支援を行っており、今後も継続して支援してまいります。
- サポート保育(障害児保育)の支援区分Ⅰ~Ⅲの補助単価で、対象児童が1人でも保育士1人を雇用できるとなったが、支援が必要な子どもが複数でクラスをまたぐ場合、充分な対応ができない。保育士を1人でも多く雇用できる補助単価の増額が、現場から求められている。発達障害やグレーゾーンの子どもは年々増加しており、必要な保育士を確保できるように補助単価を抜本的に増額すること。障害の程度が重い子どもを受け入れられるように、1対1での個別対応が可能な保育所を抜本的に増やすこと。さらに医療的ケア児や障害の程度が重い子どもを受け入れる面からも看護師の配置が求められている。看護師配置を現場任せにせず、市として保育所ごとに複数配置する基準を設け、雇用費の助成を抜本的に増やすこと。
(答)
1対1での個別対応を要する児童も含め、特別支援保育の対象児童の支援を行う加配保育士の雇用費につきましては、令和6年度に一層の拡充を図っております。
また、医療的ケア児の受け入れ及び看護師の雇用につきましては、保育所などへの支援を行っております。
(2)医療的ケア児、療育
- 「医療的ケア児と家族の支援法」が成立し3年経つが、2024年9月現在における医療的ケア児の保育所での受入れは、未だに公立と私立あわせて16か所23人にとどまっている。すべての保育所で医療的ケア児を受け入れることができるように看護師を配置するとともに、必要な保育士を確保するための雇用費助成の予算を抜本的に増額し、医療的ケア児の受入れを増やすこと。また、たとえ看護師を配置できたとしても、不測の事態に対応するためには医療機関との連携は不可欠である。常に保育所と医療機関等とが連携できる体制を市の責任で整えること。
(答)
医療的ケア児の受入れ体制につきましては、全ての公立保育所に看護師を配置して医療的ケア児を受け入れる体制を整えるとともに、受け入れを行う民間保育所などに看護師雇用費を助成しており、令和6年度からは、医療的ケア児を受け入れる場合の看護師雇用費を拡充しました。また、医療的ケア児の受け入れ園においては、主治医もしくはかかりつけ医と連携しながら医療的ケアを安全に実施できるようにしております。
- 医療的ケア児を受け入れている幼稚園や保育園に看護師を派遣する幼稚園等看護師派遣事業は、幼稚園への1回あたりの看護師の派遣時間が60分、最大120分までという制度設計になっている。これでは開所時間の一部にとどまり、十分な支援とはいえず、2023年度の利用人数は幼稚園でわずか4人である。訪問看護の時間は4時間に引き上げること。保育園での医療的ケア児の受け入れは、今年度9月1日時点で16施設23人であり、保育士の加配がつかないことを理由に断られる事例もある。看護師とともに保育士を増やすこと。
(答)
幼稚園への看護師派遣につきましては、幼稚園の標準教育時間が1日4時間であることを踏まえ、看護師の派遣時間を1回60分、1日最大2時間と設定しております。医療的ケア児の受入れ体制につきましては、全ての公立保育所に看護師を配置して医療的ケア児を受け入れる体制を整えるとともに、受け入れを行う民間保育所などに看護師雇用費を助成しており、令和6年度からは、医療的ケア児を受け入れる場合の看護師雇用費を拡充しました。今後も、医療的ケア児の受け皿確保に努めてまいります。
- 2024年に「南部療育センター」が設置される予定であるが、発達障害児等の増加に伴い、現在の市内3か所の療育センター等における相談数は年々増加しており、単独通園施設の待機児童数も毎年発生している。相談から診断まで約1か月半かかっている。療育施設はまだまだ足りておらず、相談・診断・療育が速やかに受けられるように、療育センターや単独通園施設など療育施設をさらに増設すること。言語療法士や作業療法士などの療育は、現在は年1回しか受けられず、専門家の指導が年間通して受けられるよう、専門職員の増員を行い、療育に欠かせないきょうだい児の託児を実施すること。
(答)
福岡市における未就学障がい児の療育環境としては、現在、相談、診断、療育機能を有する療育センターなどの施設3か所、療育のみを行う児童発達支援センター8か所に加え、令和7年度開設に向けて、南部療育センターの整備を進めております。
また、令和4年度から、保育所などに通園しながら身近な地域で療育を受けられる児童発達支援事業所を、さらに、令和5年度からは、保育所の余裕スペースを活用した児童発達支援事業所を、モデル事業として設置しており、令和6年度から事業所の本格的な増設に取り組んでおります。児童発達支援センターにおいては、言語聴覚士などによる専門的相談にも対応しており、きょうだい児の託児につきましては、従来から、実施しております。
引き続き、多様化するニーズも踏まえ、療育など未就学障がい児に対する支援に取り組んでまいります。
- 新たな事業を実施する際には、子どもの発達と権利こそ中心に据えた制度設計が必要だが、児童発達支援センターの一時預かりについては、こども未来局が2026年度開始予定としていたものを市長がトップダウンで来年度からすべての児童発達支援センターで強引にすすめさせようとしている。すでに今年10月1日からは東部と西部の療育センターと2つの民間で強行されたが、現場からは「職員にとっても、子どもにとっても、療育後に体制の整わない中預けられることは大きな負担となる」と懸念が出ている。こういうやり方を現場の声を無視して押し付けることは許されず、体制が取れるまで強行しないこと。
(答)
障がい児の保護者にかかる就労支援につきましては、児童発達支援センターを利用する保護者からの要望をいただくなど、以前から課題と認識しており、現に就労支援を必要としている市民のためにも、可能な限り早期に実施することが必要と考え、市立の児童発達支援センターでの先行実施について、指定管理者である福岡市社会福祉事業団と協議を行い、令和6年度から事業を開始いたしました。
また、各施設や保護者の意見を伺った上で、安全に児童を預かりできる体制を整えるなど、丁寧に協議を行いながら事業を進めております。
- 本市は未就学児の療育について、障害の種別と年齢によって児童発達支援センターの利用頻度と利用時間を細かく定めており、センターと保育所の併用が認められないなど柔軟性に欠ける仕組みとなっている。近年、共働きで障害のある子を育てる家庭が増える中で保育所に通いながら療育を受けるというニーズは広がっているが、本市の規定では対応できず、「仕事を辞めざるを得ない」という声も複数あがっている。他都市では、幼稚園・保育所との並行通園による療育の強化も進んでいる。児童発達支援センターと保育所の併用を認めるよう規定を改善し、並行通園できる施設を増やすこと。また、保育所等訪問支援制度の周知と人員などの増員を行うこと。
(答)
令和4年度から、保育所などに通園しながら身近な地域で療育を受けられる児童発達支援事業所を、さらに、令和5年度からは、保育所の余裕スペースを活用した児童発達支援事業所をモデル事業として設置しており、令和6年度から事業所の本格的な増設に取り組むとともに、児童発達支援センターでの療育終了後の一時預かりを実施するなど、保護者の就労の状況にかかわらず、必要な療育が受けられる環境整備に取り組んでおります。
また、児童発達センターに通園する肢体不自由児につきましては、令和7年度からは、民間の児童発達支援事業所との併用や保育所などとの並行通園も可能とする予定としており、引き続き、障がい児の保護者の就労支援に取り組んでまいります。
保育所への訪問支援につきましては申請内容に応じた支援を行っており、引き続き、利用しやすいサービスの提供体制を整えてまいります。
今後とも、障がいの程度やその特性に応じた適切な支援を提供できるよう、障がい児の療育環境の整備に取り組んでまいります。
(3)子どもの医療費
69%の自治体が医療費無料化する中、本市は子どもの通院時の医療費助成対象を高校生世代まで拡大したが、1医療機関につき、ひと月あたりの自己負担額500円を残した。18歳までの入院・通院ともに通院時の自己負担をゼロにし、早急に子どもの医療費は完全無料とすること。また今年8月、全国知事会も子ども医療費について「全国一律の制度の早期創設」を訴えている。国に子どもの医療費無料化を求めること。
(答)
子ども医療費助成制度の自己負担につきましては、将来にわたり持続可能で安定した制度とするため、一定の負担をお願いしております。
国に対しましては、全国一律の子ども医療費助成制度を国の責任において創設するよう要望するとともに、全国市長会や県市長会など様々な機会を捉えて要望を行っており、引き続き要望活動に取組んでまいります。
(4)放課後児童クラブ
- 放課後児童クラブ(学童保育)の専用施設は登録人数に対して面積が狭く、人数がオーバーすれば理科室や音楽室など子どもの生活や遊びには適さない学校の特別教室を使っている。子ども1人あたり1.65㎡を確実に保障するよう計画的に整備し、各施設に、8㎡以上を確保した「静養するための機能を備えた区画」や、職員室、調理室、ホール(集会室)を備えるようにすること。また、トイレの設置基準が40人に1つと低く、多いところでは60人以上に1つのトイレしかなく、常に行列ができるところもある。安全、衛生上必要なトイレ、手洗い場を国の設置基準に沿って増設すること。
(答)
放課後児童クラブにつきましては、今後とも、国の通知や条例に基づき、学校施設の活用を含め、計画的に整備を進め、利用児童の状況や現場の意見も踏まえながら、遊びと生活の場に必要な機能を整備し、放課後の居場所の充実に取り組んでまいります。
- 子どもの発達・成長を保障するためにも、支援単位については「1クラス30人以下」とすることが必要であり、今後の新たな感染症対策にとっても必要な適正規模とすること。
(答)
支援単位の児童数につきましては、国が示す基準に基づき、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」において、概ね40人以下と定めており、引き続き、条例などに基づき、適切に対応してまいります。
- 子どもの成長・発達を保障する支援員は専門職であり正規雇用を基本とすべきである。しかし、市は未だに会計年度任用職員という働き方をさせている。早急に改善し、正規職員として大幅に増員すること。専門職にふさわしい処遇改善を行うこと。
(答)
総括支援員、主任支援員及び支援員の人員体制につきましては、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」に基づき、配置してまいります。
また、総括支援員などの勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示す運用の考え方や他都市の状況なども考慮しながら、適切に対処してまいります。
- そもそも少なすぎる支援員を補うため、協力という言葉を借りて有償ボランティアという脱法行為で約2000人の補助支援員が配置されている。労働時間に応じて報酬を受け取り、指揮命令に従って支援員を補助しながら労働者として雇用しないというやり方は許されない。補助支援員と雇用関係を結び、正規化を図ること。
(答)
放課後児童クラブの運営につきましては、地域や保護者で構成する校区の運営委員会と連携を図りながら実施しており、補助支援員は各運営委員会で登録の上、子ども達の見守りなどの活動にご協力していただいております。
引き続き、支援員と補助支援員の役割分担を明確にし、地域の方が補助支援員として協力しやすい環境を整え、地域全体で子どもを見守り育んでまいります。
- 社会福祉法人が運営する民間学童保育施設へ、発達の保障や児童の居場所を求めて入所希望は増加している。国はコロナ禍の下で民間の学童保育施設も給付対象とした。このことは民間といえ、放課後児童の育成の役割を果たしていると認めたものである。しかしその現状は、昨今の物価高騰により、経営危機に瀕しており、保護者への利用料引き上げが検討される事態も見受けられる。本市は社会福祉法人が営む民間の学童保育施設に対し、全く財政支援を行なわない差別的な対応をしている。放課後児童クラブにしか支援しない態度を改め、保護者の選択肢を広げる立場から民間にも恒久的な独自の財政支援を行うこと。
(答)
福岡市では、子どもの安全への配慮から、小学校敷地内に全ての放課後児童クラブを設置し、学校と連携しながら運営しており、待機児童も生じていないことから、民間学童への助成が必要とまでは考えておりません。
(5)児童館
地域に根ざし、専門職員が常駐する児童館は、ゼロ歳児から高校生までが自由に利用できる居場所である。本市では中央区に1つしかなく、都心部から遠いところに住む市民は利用しづらいという不利益を被っている。中央区の利用者が、他行政区に比べ5倍〜10倍多いことにも示されている。また、市内に1館の体制では、国の児童館ガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性は発揮できないことは明らかである。2023年度は中高生の利用も過去5年で1番高く、貴重な居場所となっている。また、乳幼児を抱える保護者にとっては交流や相談の場でもある。南区では新たに、「旧柏原公民館跡地に児童館を」という運動が始まっている。早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、幼稚園・学校・公民館の跡地など公有地を活用して計画的に増やすこと。
(答)
児童館につきましては、市内全域から利用できるよう交通利便性の高い場所に「中央児童会館」を設置し、子どもたちが自らの意思で自由に利用できる居場所となっております。さらに、地域で行われている子育て支援活動のサポートや出前児童館を実施するなど、館内にとどまらず、館外において地域や関係機関と連携した活動も行っております。
専門職員のいる児童館を各区に設置することは予定しておりませんが、身近な地域において、子どもの発達段階に応じた遊びや活動ができる場の確保や機会の充実、中高生などを対象とした若者の居場所づくり、それを支援していく人材の育成・確保を図ることを基本として、施策を推進してまいります。
(6)児童虐待
- 本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、3282件(2023年度)と10年連続で過去最多を更新した。また小中学生に配布している教材用タブレット端末を使った相談対応事業により、子ども本人からの相談も急増し、その数は前年度の6.8倍になっている。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、2022年3月30日に定められた国の新たな「児童相談所運営指針」において管轄区域内の人口は「基本としておおむね50万人以下」であることとされたことをふまえ、児童相談所を増やすこと。児童相談所内への児童心理治療施設の設置により、児童相談所の一時保護所の定員が40から10へと減らされ、児童養護施設などに割り振っているが、そもそも一時保護を想定した施設ではないため受け入れには人員や施設の面で困難がある。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やし、環境整備を行うこと。
(答)
一時保護所につきましては、警察からの身柄付一時保護の増加などに対応するため改修を行い、令和6年度から定員は20人となっております。今後も法令に基づき、適切な支援に取り組んでまいります。
- 専門職である児童福祉司・児童心理司について、児童虐待防止対策総合体制強化プランで示された2023年度目標の職員配置基準にもとづき児童虐待相談対応件数等を勘案すると同年度の児童福祉司は93人、児童心理司は46人必要であるが、本市の児童福祉司は82人、児童心理司は42人にしかならない。全員を正規雇用にして、早急に基準を達成できるよう採用数を増やすこと。また、半数が経験年数3年未満という状況をあらためて継続性を強め、専門性を高めること。弁護士資格をもつ職員を複数名配置すること。
(答)
こども総合相談センターでは、児童虐待の相談・通告件数の増加や相談内容の複雑化・深刻化に対応するため、専門職である児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、弁護士資格を有する職員を配置しており、今後とも、法定研修をはじめ研修内容のさらなる充実に努めるなど、職員の専門性の向上を図ってまいります。
- 児童養護施設等を退所した若者が社会生活を営んでいくうえで課題となっていることや不安に思っていることについて具体的に把握するために、市としてアンケート調査などにとりくみ、進学・就労支援などを強化すること。また施設職員について現行の本市の制度である、産休代替雇用や共済掛金への助成だけでは職員確保にはとうてい及ばず、処遇改善のための本市独自の支援をさらに拡充するとともに、国に対しても措置単価の引上げを要求すること。
(答)
児童養護施設等の入所児童などの自立に向けた支援につきましては、児童養護施設等から自立した若者の状況を確認するとともに、引き続き、それぞれの子ども・若者の状況をふまえた相談・支援を行いながら、必要に応じて措置延長や児童自立生活援助事業を活用するほか、就職・進学の際、国の基準による支度金に加えて福岡市独自の支度金の支給を実施してまいります。また、児童養護施設の職員への処遇につきましては、国への要望も行いながら、適切な援助体制が確保できるよう、取り組んでまいります。
(7)ひとり親家庭
日本のひとり親家庭の貧困率は44.5%とOECD36か国平均の31.1%を大幅に上回っている。特に母子世帯は、育児もありフルで働けず、就労していても非課税世帯が多く、物価高騰のもとでより大きな経済的打撃を受けて生活状況が非常に厳しい状況である。また、子どもの年齢が上がるほど教育費も上がり食費などを削って何とか生活しているのが実態である。すべてのひとり親家庭が「健康で文化的な最低限度の生活」ができる「福岡支援モデル」を策定するよう、以下の支援を求める。
- 「福岡市ひとり親家庭実態調査結果」(2021年度)において、「行政機関に対する要望」のトップは「年金・手当などの充実」であり、回答数の6割という強い要望になっている。児童扶養手当について、所得制限の緩和による第1子の拡充、第2・3子以降への加算額の大幅引上げ、毎月支給化、18歳から20歳未満までの支給延長を国に求めるとともに、市独自に加算すること。また、児童扶養手当の支給が開始から5~7年後に半減になる一部支給停止措置はやめること。
(答)
児童扶養手当につきましては、令和6年度に国において、所得制限額の引き上げや多子加算額の拡充が行われており、今後とも国の動向を注視してまいります。
- 前掲調査で2番目に回答数の多い項目は「医療保障を充実する」である。ひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限をやめ、18歳まで完全に無料にすること。
(答)
福岡市のひとり親家庭等医療費助成制度につきましては、県の補助対象事業として県制度と同基準で実施しております。
- 前掲調査で3番目に回答数の多い項目は、「県営住宅や市営住宅を増やす」である。福岡市のひとり親家庭で公営住宅に入居できているのは1割にも満たず、半分は民間借家やアパートなどで生活している。市営住宅におけるひとり親世帯への収入基準緩和・抽選倍率優遇や子育て世帯一般の別枠募集では十分ではなく、市営住宅そのものを大幅に増やすこととあわせて、ひとり親家庭が入居できる枠を抜本的に増やすとともに、ひとり親家庭への独自の家賃補助を行うこと。
(答)
市営住宅につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、建替えや改善事業による機能更新を進めております。
また、子育て世帯の入居につきましては、入居時の収入基準の緩和や、抽選時の倍率優遇のほか、子育て世帯の別枠募集を行うなど、市営住宅に入居しやすい制度としております。
ひとり親世帯を含む住宅確保要配慮者に対しましては、セーフティネット住宅において、入居者負担低減などの経済的支援を設けており、引き続き、制度活用に向けて、広報・周知に取り組んでまいります。(住宅都市局)
ひとり親家庭に対する家賃補助につきましては、自立促進を目的として令和4年度から一定の条件で返済が免除となる住宅支援資金の貸付を実施しており、引き続き、周知に取り組むとともにひとり親家庭支援に関する国の動向などを注視してまいります。(こども未来局)
8、あらゆる分野でジェンダー平等をすすめる
(1)市職員における男女賃金格差是正
2023年度の市職員の平均給与は女性が男性の84%となっており、年収で約105万円、40年働けば生涯賃金で約4200万円もの差となっている。市職員における男女賃金格差の是正をはかること。また、2024年5月現在の市職員の管理職に占める女性の割合は市全体で20.1%でありきわめて低い。計画的に女性管理職を増やす手立てをとり、意思決定の場における「男女半々」の実現をめざすこと。
(答)
市職員における男女の給与の差異につきましては、管理職に占める男性の割合が高いことが影響していると考えられるため、女性職員の活躍推進について、引き続き、「特定事業主行動計画」に基づき取組みを進めてまいります。
(2)女性が多数を占める会計年度任用職員等の待遇改善
本市の会計年度任用職員のうち約8割は女性であり、全体の約8割が年収300万円以下となっている。このような働かせ方が女性の低賃金を生み出す要因となっており、公務職場で非正規を増やすことは市が率先して男女賃金格差を広げることであり、許されるものではない。ジェンダー格差をなくしていくためにも、会計年度任用職員をはじめとする非正規職員の待遇改善をはかること。
(答)
会計年度任用職員の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示した運用の考え方や他都市の状況なども考慮し、適切に設定しており、適正な水準であると考えております。
(3)市内民間事業所の男女賃金格差是正
ジェンダー不平等の大きな要因となっている男女間の賃金格差の解消に向け、市として市内事業所に対し、男女別の賃金を調査・公表して、その是正計画策定を義務付ける条例をつくること。
(答)
男女の賃金格差の解消につきましては、「男女共同参画基本計画(第4次)」に基づき、男女の固定的役割分担意識の解消や、企業におけるワーク・ライフ・バランス及び女性活躍の推進に取り組んでおります。
今後とも、働く場における男女の均等な機会と待遇が確保されるなど、誰もが、個性や能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。
(4)選択的夫婦別姓
選択的夫婦別姓について、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけであり、国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告している。日本国内でも、自民党以外の主要政党がすべて推進の立場にたち、様々な世論調査で7割前後が賛成となり、日本経済団体連合会が制度の導入を求めて政府に提言を出すなど、選択的夫婦別姓実現の方向へと世論が大きく変化している。民法を改正し、選択的夫婦別姓を法制化するよう国に求めること。
(答)
国の「第5次男女共同参画基本計画」において、「家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」ことが盛り込まれており、今後とも、社会情勢や国の動向を注視してまいります。
(5)同性婚・LGBT
- 2024年8月現在、同性婚を認める国・地域は約37にのぼっており、今後もさらに増える見込みとなっている。日本でも「同性カップルが結婚(法律婚)できないのは憲法違反だ」とする裁判が各地で起き、地裁に続いて札幌高裁と東京高裁でも同性婚を認めない現行の民法などの規定を「違憲」と判断した。本市議会においても「同性婚の法制化の議論を求める意見書」が採択されている。同性婚を認める民法改正を国に求めること。
(答)
同性婚につきましては、国の動向を注視してまいります。
- 昨年成立したLGBT理解増進法は「多数者が認める範囲」でしか性的少数者の人権・尊厳は認められないとのメッセージを含む内容になっており、逆に理解を阻害し、差別を助長しかねない。性的少数者への差別・偏見を拡大することのないよう、性的指向・性自認等を理由とした差別を禁じ、多様性を尊重する立場を市長が明確にするとともに、LGBT差別禁止条例をつくること。
(答)
性的マイノリティへの支援につきましては、パートナーシップ宣誓制度の導入や専門電話相談、交流事業の実施など当事者に対する具体的な支援を行うとともに、映画会や講演会、パネル展の開催、ふくおかLGBTQフレンドリー企業登録制度の導入などにより、市民や企業に対する啓発に取り組んでいるところです。
今後とも、性的マイノリティ支援の充実に向け、国の動向や他都市の取組みなども含め検討してまいります。
(6)パートナーシップ制度
本市のパートナーシップ宣誓制度は、対象を一方又は双方が性的マイノリティの場合のみと限定しているため、受領証提示の際に意図せぬカミングアウトにつながる恐れがある。性的マイノリティではない異性間の事実婚も対象とすること。また、全ての民間事業者に是正勧告ができるパートナーシップ条例を制定すること。
(答)
パートナーシップ宣誓制度につきましては、当事者の声を伺うとともに、他都市の取組みなども踏まえながら、制度の充実を図ってまいります。
(7)中高年シングル女性への支援
離婚、死別、非婚、未婚の母、別居により配偶者やパートナーと同居しておらず、親や子ども、兄弟姉妹などの同居人がいない中高年シングル女性は、社会的、経済的に脆弱であり、生活保護の一歩手前で困窮している世帯も少なくない。多くの悩みがあっても相談できる場がないことも多いため、公的相談機関に中高年シングル女性の相談カテゴリを創設し、周知すること。
(答)
福岡市では、悩みを抱えた女性の相談につきましては、男女共同参画推進センター・アミカスの総合相談窓口や各区保健福祉センターなどで対応しております。
悩みを抱えた中高年層の単身女性の相談についても、相談内容や相談者の状況に応じて関係機関と連携を図るなど、適切に対応してまいります。
(8)市職員の生理休暇
2023年度に一度でも生理休暇を取得した市職員の割合は3.9%と非常に少ない。生理休暇を取得しやすい職場環境の醸成をはかること。
(答)
生理休暇につきましては、令和6年4月からシステム等による申請上の名称を「ウェルネス休暇」に改めるとともに、会計年度任用職員の当該休暇を有給休暇としたところであり、また、令和6年5月には全職員を対象とした女性・男性特有の健康課題等と仕事の両立支援に関する研修を実施いたしました。引き続き、生理休暇を取得しやすい職場環境の醸成に努めてまいります。
(9)生理の貧困
物価高騰が続くなかで、「生理の貧困」対策は女性の健康や尊厳に関わる重要な課題として、生理用品を学校トイレに常設することが13の政令市を含む多くの自治体に広がっている。本市において、南市民センターや博多区役所では民間企業と提携した生理用品の無料提供サービスをおこなっているが、公共施設においてはほぼ設置されておらず、学校トイレにも設置されていない。すべての学校トイレと市民センターや公民館、地下鉄の駅など公的施設に生理用品を設置すること。
(答)
生理用品の配布につきましては、新型コロナウイルス感染症への緊急対策として拡充された内閣府の地域女性活躍推進交付金に基づく事業として、様々な不安を抱える女性や子どもへの配布を行っております。
今後とも、社会情勢や国の動向などを注視してまいります。
(10)DV
昨年、全国の警察が受理したDVの相談件数がDV防止法施行以来最多となった。相談内容も多様化・複合化し、高度な専門性と継続性をもった相談・支援体制が求められており、DVの相談員について無期雇用の常勤職員、原則異動のない専門職にすること。各区の子育て支援課やアミカスに保育士や学習援助者を配置し、子連れの相談者が相談しやすい体制をつくること。民間シェルターへの補助金など支援の拡充、中長期滞在できる中間的施設(ステップハウス)の開設・運営へ助成するとともに、自立に要する費用の補助を拡充すること。男性DV被害者が相談しやすい体制の強化をはかること。また、国に対して退去命令の対象に精神的暴力を含むことや緊急保護命令の導入などDV防止法をさらに改正するよう求めること。
(答)
DV相談につきましては、配偶者暴力相談支援センターを中心に、各区保健福祉センター及び男女共同参画推進センター・アミカスにおいて専門の相談員が被害者の相談に対応しております。今後とも、配偶者暴力相談支援センター機能や関係機関との連携により、被害者支援に努めてまいります。
民間シェルターにつきましては、支援団体と連携し、引き続き支援を行ってまいります。また、ステップハウスや自立に要する費用の補助について、母子生活支援施設の活用や各区役所において、住居、就業、手当、給付金、貸付金など各種福祉制度の利用支援を行ってまいります。男性DV被害者の相談につきましては、配偶者暴力相談支援センターをはじめ、各区保健福祉センターや男女共同参画推進センター・アミカスにおいて対応してまいります。
(11)ハラスメント
ハラスメントは女性をはじめとする労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為であり、働き続けることを阻害する大きな要因の一つになっている。国に対し、ILO条約を批准できる水準のハラスメントの禁止を明確にした法整備を行うよう求めること。本市としてハラスメントが違法であることを明確にした「ハラスメント禁止条例」を制定すること。部局によっては市職員のハラスメントの相談・調査・判断を同じ部署で行うことがあることは問題であり、啓発・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を設置すること。
(答)
各種ハラスメントにつきましては、全ての人の人権を尊重するという視点に立ち、「人権教育・啓発基本計画」に基づき取組みを進めており、企業を対象とした研修でハラスメントを扱うなど、ハラスメント防止に向けた啓発に努めるとともに、人権啓発センターや男女共同参画推進センター・アミカスなどにおいて、各種ハラスメントの相談に対応してまいります。(市民局)市職員のハラスメント対策につきましては、国が定める法令などを踏まえ適切な措置を講じるとともに、相談窓口の周知や啓発に取り組んでいるところであり、今後とも良好な職場環境づくりに努めてまいります。(総務企画局)
(12)性暴力・痴漢
- 女性や子どもにとって、最も身近な性暴力である痴漢や盗撮について、市内の被害件数さえ把握していないのは問題であり、市独自の実態調査や相談・支援センターの増設、加害根絶のための啓発や加害者更生などの対策を講じ、政治の責任で痴漢を根絶すること。
(答)
性暴力被害の件数につきましては、県警察から情報提供を受けており、今後とも県警察に対し協力を求めてまいります。
性暴力被害に対する相談窓口につきましては、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」を県及び北九州市と共同で設置し、平成27年12月からは24時間・365日対応、令和元年9月からは精神科医や弁護士等の専門職を配置、令和2年度からは子どもの性被害の対応に熟練した心理職を配置するなど支援体制を強化しており、引き続き、複雑かつ多様化する相談に対応できるよう充実を図り、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。
また、性暴力加害者対策につきましては、令和2年度から県において加害者相談窓口が設置されており、相談状況などを把握するとともに、福岡市においても窓口の周知を図ってまいります。
- 「性暴力被害者支援センター・ふくおか」においてはSNSを使って気軽に相談ができる体制や、被害者の精神科受診の公費負担の拡充など抜本的に充実するとともに、本市独自のワンストップ支援センターや病院拠点型のセンター創設および警察を通さなくても病院で証拠保全ができる体制をつくること。
(答)
「性暴力被害者支援センター・ふくおか」につきましては、県及び北九州市と共同で設置し、平成27年12月からは24時間・365日対応、令和元年9月からは精神科医や弁護士等の専門職を配置、令和2年度からは子どもの性被害の対応に熟練した心理職を配置するなど支援体制を強化しており、引き続き、複雑かつ多様化する相談に対応できるよう充実を図り、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。
- 性暴力規定を見直し、性的同意年齢の引き下げや「不同意性交等罪」を創設した改正刑法が施行された。引き続き、すべての性暴力被害者を救済し、新たな被害者を生まないために、積極的な同意がなければ性犯罪とする「イエス・ミーンズ・イエス」規定創設や公訴時効の撤廃・延長などさらなる改正を検討するよう国に求めること。
(答)
刑法の性犯罪規定につきましては、国における性犯罪に関する刑事法検討会や法制審議会での議論及び国会での審議を経て改正刑法が成立し、令和5年7月から施行されたところであり、性犯罪に対して適切に対処されるものと認識しています。
(13)緊急避妊薬
どんな避妊法でも完全ではなく、性暴力被害を受けた時に特に有効であることから、緊急避妊薬が必要とされている。性交後72時間以内に服用すれば約8割の妊娠を防ぎ、内服が早ければ早いほど避妊効果が高いとされている。G7のうち日本以外の全ての国では医師の処方箋なしに購入でき、世界保健機関(WHO)も推進している。しかし、日本では医師の処方箋が必要とされ、保険も適用されないため、価格も高額である。子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決めるリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の観点から、緊急避妊薬を安心して入手しやすくする手立てを講じるよう国に求めること。
(答)
性暴力被害を受けた場合の緊急避妊薬につきましては、県において公費負担制度を設けており、福岡市民も対象となっております。
また、国の「第5次男女共同参画基本計画」において、「予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性が、緊急避妊薬に関する専門の研修を受けた薬剤師の十分な説明の上で対面で服用すること等を条件に、処方箋なしに緊急避妊薬を適切に利用できるよう、薬の安全性を確保しつつ、当事者の目線に加え、幅広く健康支援の視野に立って検討する。」ことが盛り込まれており、今後とも、国の動向を注視してまいります。
(14)離婚後共同親権
今年多くの反対と危惧の声を押し切って導入された「離婚後共同親権」は、父母間の合意がない「共同親権」を家庭裁判所が強制すれば、適切な親権の行使ができず、子の利益を害する重大な危険がある。DV被害者を含め、不本意な「共同親権」が強制され子どもの利益が害されることがないよう民法改正を国に求めること。
(答)
離婚後の共同親権などの民法改正につきましては、国において議論されるものであると考えております。
9、憲法の平和・民主主義の理念を福岡市のすみずみに
(1)市長の政治倫理
- 自民党主要派閥の政治資金パーティーをつうじた裏金事件が大問題となっており、今年10月の総選挙においては自民党の議席を大きく減らすなど国民の怒りの焦点となった。その結果、企業・団体献金および政治資金パーティーの禁止が国政の大きな課題に浮上しているにもかかわらず、未だに高島市長は政治資金パーティーを開催している。市長の2023年政治資金報告内容によれば、政治資金パーティーで3508万円の売上、約2650万円の収益を上げており、利益率約76%にも及ぶパーティー券の購入は対価的意義の乏しい事実上の寄附である。市長は、法に則り適切に対応しているというが、そもそもパーティー券は「20万円を超える」場合しか公開が義務付けられておらず、財界関係者や市の受注業者がパーティー券を複数の社員名義で分散して購入するといった手法で大量に購入している可能性は否定できない。市長の政治資金パーティーはやめるとともに、これまで市長が販売した政治資金パーティー券の販売先をすべて公開し、高額の支出となっている組織活動費などの内訳を明らかにすること。
(答)
政治資金パーティーにつきましては、政治資金規正法の規定の範囲内で開催・実施したものであり、今後とも、法に則り、適切に対応してまいります。
- 市政における最高責任者である髙島市長の日程についてホームページで公表しているというが、詳細については市長室も把握することなく、事実上どこで何をしているのかわからない状況となっている。このような状況は異常であり、市長の日程を公開すること。また、登退庁盤については、「防犯上の理由」などとして表示しないというのは理由にならず、表示すること。
(答)
市長の日程(行事等)につきましては、担当秘書が管理しており、対外的な行事を中心に、市ホームページに登庁日と併せて公表しております。
また、登退庁表示につきましては、他都市で市長への面会強要等の事案が発生したことなどを踏まえ、セキュリティの観点から平成31年1月より、表示しない運用としております。
(2)統一協会問題
統一協会と政治との癒着が大問題になっている。統一協会とその関連団体が「霊感商法」や多額の献金の強要、集団結婚などで多数の被害者を出してきた反社会的なカルト集団であることは明瞭であり、市として統一協会とその関連団体について反社会的集団であると規定すること。また、市は統一協会とその関連団体の公共施設の使用について許可を保留しているが、今後も使用を認めず、表彰や名義後援なども行わないこと。
(答)
旧統一教会とその関連団体の位置づけにつきましては、法律等に基づき国で定められるべきものと考えております。
公共施設の利用につきましては、国の見解が示されるまでの間、旧統一教会とその関連団体からの申請に対する許可を保留することとしております。
市独自の表彰制度や名義後援などにつきましては、福岡市が社会的に問題のある団体の活動を支持しているとの誤解を与えることがないよう、今後とも適切に対応してまいります。(総務企画局・市長室)
(3)住民参加
- 現場の不安の声をよそに児童発達支援センターの一時預かりをゴリ押しするなど、市長が独断専行で物事をすすめるやり方に、市民や議会から大きな批判の声が出されている。また、著名人や実業家などとの対談企画は旺盛に行う一方、さまざまな住民団体や要求団体との直接の対話は拒否するという市長の姿勢は許されない。さらには市民が市との意見交換の機会を求めた際に、「働き方改革」を理由に平日の勤務時間内に限定することは、労働者等を排除することになり、問題である。市民との直接の意見交換の機会については最大限保障するとともに、市政のすすめ方について市議会と市民の意見をよく聞き、住民投票・住民意向調査・住民討論会などを活用して、住民参画の上での政策決定を基本とすること。
(答)
様々な政策の推進に当たりましては、市民や関係者のご意見を丁寧に伺うとともに、市民の代表である議会との対話を真摯に進めながら、市政運営に取り組んでまいります。
- 2023年度、本市が実施したパブリックコメントは6事案であるが、意見提出件数は多いものでも58件、中には0件という事案もあり、市民の意見を広く聴取できていないのが実態である。パブリックコメントの周知方法や期間の延長などすすめ方を改善すること。また、市の施策への反対意見についても検討するなど少数意見を排除しないこと。あわせて、多様な市民の意見を市政に反映させるために、説明会や懇談会など行政が出かけて行き意見を聞くこと。また、各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。
(答)
パブリック・コメント手続の実施に当たりましては、対象となる計画案や条例案などの資料を市ホームページに掲載するとともに、情報プラザや各区役所・出張所などで市民などに対し閲覧・配布を行い、ご意見を頂いております。また、意見を募集する対象事案名と募集期間等につきましては、市政だよりにも掲載し、広く市民等に周知を図っております。福岡市においては、政策決定は、このパブリック・コメント手続などにより市民意見を伺いながら進めており、今後とも計画段階から市政へ参画できる機会の確保に努めてまいります。各種審議会等の委員の選任に当たっては、各所管局において、その設置目的、審議内容等を勘案した上で、効果的な選考方法を選択しております。市民公募枠につきましては、一部の審議会などで実施しておりますが、今後もその内容に応じて公募を検討してまいります。
- 市有地や公共用地の活用などにおける民間サウンディングは、大企業に好き勝手に意見を出させ、事業者の公募中はその情報を一切公開しないまま結論だけを市民や議会に押しつけるものであり、民主主義にもとる手法である。このような住民の声を聞かない手法はやめること。
(答)
市有地の活用に当たっては、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性なども踏まえ、総合的に検討することとしており、民間サウンディングにつきましては、民間ノウハウの活用や市場性の判断などが必要な場合に個別に実施しております。
(4)「行革」・民間参入・業務委託
- 2025年度に決定される本市の「財政運営プラン」(素案)は、「事業の選択と集中を図る」としながら、「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」やウォーターフロント再整備構想などの大型開発については指一本も触れず、一方、「個人給付施策の最適化」や「受益者負担の適正化」として、市民サービスを切り捨て、利用者負担を増やそうとしている。これは、地方自治体の役割である「住民の福祉の増進を図る」責務を放棄するものであり、抜本的に見直すこと。
(答)
今後、少子高齢化の進展による社会保障関係費の増加や、公共施設等の建替えなどに係る財政需要の増大が見込まれております。
このような状況にあっても、市民生活に必要な行政サービスを安定的に提供しつつ、市民ニーズの多様化、突発的な災害や経済情勢の変化に柔軟に対応しながら、生活の質の向上と都市の成長のために必要な施策を着実に推進していくため、政策推進プランに基づき投資の選択と集中を図るとともに、行政運営プラン及び財政運営プランに基づき、歳入の積極的な確保や行政運営の効率化、既存事業の組替えなど不断の改善に取り組んでまいります。
また、中長期的には、施策事業の推進により税源の涵養を図りつつ、超高齢社会に対応する持続可能な仕組みづくりやアセットマネジメントの推進、市債発行の抑制による市債残高の縮減などにより財政構造を強化し、将来にわたり持続可能な財政運営に取り組んでまいります。
- 2025年度に決定される本市の「政策推進プラン」(素案)は、「生活の質の向上と都市の成長の好循環を持続的なものにしていく」として、これまでのプランの基本点はなにも変えない計画を策定しようとしている。貧困をなくし、社会保障を充実させ、子どもの人格を尊重し、ジェンダー平等を追求し、地域循環型経済を成長発展させる計画になるよう全面的に改定すること。
(答)
政策推進プランにつきましては、第10次基本計画に定める目標の実現に向け、各施策を着実に推進できるよう、策定に取り組んでまいります。
- 本市では、物価高騰支援や給付金業務などを、大手派遣会社などの大企業に随意契約で業務委託した。本来ならば臨時に職員を増やしてでも対応すべきであった市役所業務を民間営利企業へ大規模業務委託したことにより、労働者に払われるべき賃金がピンハネされ、大企業の儲けづくりに利用されたものであり、「効果的、効率的な行政運営」とは程遠い事態となった。このような民間営利企業への大規模業務委託はやめ、労働者の適切な賃金や待遇を保障する市の直接雇用に切り替えていくこと。本市が業務委託した会社が他都市で人員配置を契約通りにおこなわず、委託金の返還に追い込まれている事例が相次いでおり、本市においても不正がないか調査すること。
(答)
民間企業への業務委託につきましては、民間の優れた能力やノウハウを生かすことで市民サービスの向上が図られる場合などには、市による適切な管理監督のもと、民間活用に取り組んでおり、今後とも、効果的、効率的な行政運営に努めてまいります。(総務企画局)
福岡市が発注した業務委託につきましては、契約に沿って適切に行われているものと認識しております。(財政局)
- 本市でのPFI事業は、各給食センター、小中学校の空調システム、総合体育館、美術館、科学館、マリンメッセ、早良南交流センター、拠点文化施設、今宿野外活動センター、博物館、環境局西部工場などで実施されてきており、今後も市営住宅、学校校舎、下水道事業、水道事業、公園などでの検討をしていくことにしている。この事業は、施設の建設や所有を営利企業に任せるもので、担当する民間事業者に長期間にわたる莫大な利益をもたらす一方、「タラソ福岡」のような事業者の経営破綻や、利益確保のための経費節減による利用者への冷遇、公共施設の管理・運営を長年にわたって民間事業者のノウハウ任せとなり市民や議会への情報開示ができないなど、「事業コスト削減、質の高い公共サービス提供」の謳い文句とは程遠い。また、これまで公務として公共サービスを担ってきた労働者は経費削減のために非正規労働者に置き換えられ、さらに安価な下請事業者に交代させられる例も出てきている。PFI事業はやめること。
(答)
公共施設の整備に当たっては、社会状況の変化や多様化する市民ニーズへ対応するとともに、より効果的な施設整備・運営を行うという観点から、引き続き適切な事業手法を検討してまいります。
- 西部運動公園の指定管理者が、自衛隊を広報するイベントを企画し、周辺住民に案内するなど、公的施設の有り様が疑われる事例が散見される。市民の生活や福祉の向上を目的とした公共施設のあり方を厳格に守ること。
(答)
指定管理者制度は、多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、経費の節減等のみならず住民サービスの向上を目的とするものであり、今後とも、指定管理者の業務執行について適切に点検・評価を行いながら、公の施設における市民サービスの向上と適正な管理運営の確保に努めてまいります。
- 指定管理者制度によって本市では351の公的施設の管理運営が民間に任されている。民間管理で多様化する住民ニーズに対応し、経費の削減、住民サービス向上が期待できるとしてきたが、人件費などの労働条件さえも市が把握できず、市民サービスの低下につながる不適切な管理・運営、行政の責任放棄も顕著となっている。営利企業参入を抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。あわせて、制度が導入されている施設にはモニタリングの基準を強化するとともに、抜き打ち点検や専門家による現場点検、現場労働者から直接、聞き取り調査をおこなうこと。
(答)
公の施設の管理・運営につきましては、「民間にできることは、民間に委ねる」という基本的な考え方のもと、施設個々の特性を踏まえ、民間のノウハウの活用により、柔軟で質の高い市民サービスの提供が可能と判断される場合に、指定管理者制度の積極的な導入を図っております。指定管理者の選定に当たりましては、制度の趣旨をより効果的に実現できるよう、幅広く公募するとともに、公の施設の適正な管理を確保するために、所管局においてモニタリングを実施し、その結果を踏まえ、指定管理者に対し必要な指導を行うこととしております。今後とも、モニタリングの充実を図るなど、指定管理者の業務執行について適切に点検・評価を行いながら、公の施設における市民サービスの向上と適正な管理運営の確保に努めてまいります。
- 株式会社クリーンエナジーの操業に伴う、九州電力への配当金は15億9250万円にもなっており、市財政を食い物にしている同社を廃止し、直営に戻すこと。また、市政を財界いいなりに誘導する役割を果たしている、「福岡アジア都市研究所」は廃止すること。
(答)
外郭団体につきましては、「外郭団体のあり方に関する指針」における団体ごとの取組方針に基づき、事業や人員体制を見直すなど、団体の自主的な取組みの指導、支援などを行い、着実に取組みを推進してまいります。
(5)市職員の配置・労働条件
- 本市の会計年度任用職員は、2024年5月時点で6181人となっており、その処遇は78.8%が年収300万円未満と劣悪となっている。また1年契約で、本市での更新は4回まであり、来年以降毎年3月に大量雇い止めが問題となる。この様な労働条件では、専門職として市民に信頼されていても不安定な雇用となっており、展望が持てない。人事院は6月、国の非正規公務員の更新を原則2回までとする制限の撤廃を各府省に通知した。本市も更新回数の上限を撤廃するとともに、正規職員として採用し、臨時・非常勤職員などの非正規労働者はただちに時給1500円以上にすること。
(答)
会計年度任用職員を含む福岡市職員の給与につきましては、地方公務員法に基づき、市内民間給与の状況を反映した人事委員会の報告及び勧告を尊重し、国及び他の地方公共団体の職員との均衡などを考慮しながら決定する必要があり、今後とも適切に対処してまいります。また、会計年度任用職員の採用につきましては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則及び成績主義に基づき広く公募を行ったうえで、客観的な能力の実証を行うことが必要とされております。今後とも国の通知やマニュアルなどを踏まえ、適切に対応してまいります。なお、会計年度任用職員を含む福岡市職員の配置については、勤務内容や勤務形態など、業務の特性に応じて、適切に実施してまいります。
- 本市の人口1万人当たりの職員定数は政令市で2番目に少ない110人で、災害や、感染症などの事態では、本来の業務の遂行を止めなければならない状況も生まれるなど、住民の福祉の向上という行政の役割を果たせていない。また、2023年度の超過勤務は、法定時間外労働の上限である「年360時間以内」を超えている職員が644人、「月45時間以内」を超えている職員が3005人となっており、長時間・過密労働が、過労死をうみだしかねない状況をつくっている。職員定数を抜本的に増やすこと。
(答)
人口当たりの職員数が少ないことにつきましては、福岡市がこれまで他都市に先駆けて、家庭ごみの収集や保育所の設置・運営、地下鉄駅業務などの民営化や民間委託などの民間活用を行ってきた結果などによるものであると考えております。
時間外勤務の縮減につきましては、職員の健康を保持し、職業生活と家庭生活の両立を実現させる観点から、重要なものであると認識しており、時間外勤務の上限規制をはじめとして、事前命令の徹底や業務の効率的な遂行などについて所属長に周知するとともに、全庁一斉定時退庁日を設定するなどの取組みを実施しております。
職員配置につきましては、新たな課題への対応が必要な部署を中心に職員の増員を継続するとともに、災害対応などには全庁的な応援体制を構築し、対応しているところです。今後とも、時間外勤務の縮減及び業務の質と量に応じた適切な職員配置に努めてまいります。
- 2024年人事委員会勧告に基づいて、市職員の月例給は10400円、ボーナスは0.10月分、平均年間給与は21万3千円引き上げられた。しかしながら、20年前と比較すると年間で平均55万円近く引き下げられており、公務員としてのモチベーションを低下させ、生活設計や地域の景気にも深刻な影響を与えている。市職員給与の大幅引き上げを行なうこと。
(答)
福岡市職員の給与につきましては、地方公務員法に基づき、市内民間給与の状況を反映した人事委員会の報告及び勧告を尊重し、国及び他の地方公共団体の職員との均衡などを考慮しながら決定する必要があり、今後とも適切に対処してまいります。
- 市は職員をまともに増やすことなく、「最少の経費で最大の効果」と称して、窓口業務をはじめ多方面において民間委託している。公務職場の民間委託化によって、職員が継続的に従事することで蓄積される公務に必要な専門性やノウハウ、経験が失われている。また、住民からの苦情や発生した問題が、市政運営に反映されず、信頼を損なっている。よって、これ以上の民間委託化はやめ、正規職員を基本とすること。
(答)
地方自治法上、地方公共団体は「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを基本としており、福岡市におきましても、新たな課題へ対応するため、必要な体制整備を行うとともに、業務の特性に応じて、民間が持つ専門知識や事業運営ノウハウなどを積極的に活用しながら、職員の適切な配置に努めております。
今後とも、簡素で効率的な組織体制の整備と適切な職員配置に努めてまいります。
(6)市有地
財政運営プランでは、「民間事業者のノウハウも活用しながら」「市有財産の有効活用に取り組(む)」としている。そもそも市有地は市民の財産であり、営利企業のもうけのために売却や貸付をすることは許されないが、実際には、各地の事業所や市有施設跡地の売却、北別館や大名小学校跡地などのような長期賃貸方式での貸付が行われている。民間営利企業への売却、貸付方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、市民の生活を守るために活用すること。
(答)
公共施設跡地などの活用につきましては、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性などを踏まえ、財源確保の観点に加えて、まちのにぎわいの創出や魅力の向上など、まちづくりの視点も取り入れながら、総合的に検討を進めてまいります。
(7)名義後援
- 市は2015年以降、「平和のための戦争展」の名義後援を拒否し続け、2023年度は当初承諾したものの、終了後に「特定の主義主張に立脚した内容が含まれ、行政の中立性を損なう」という理由で取り消した。しかし、そもそも市民の自発的な取り組み自体を応援するのが名義後援であり、展示されている作品一つ一つの中身を行政がチェックするようなことは、思想信条の自由を掲げた憲法に違反する重大な越権行為である。このような偏狭な取り扱いのもとになっている「名義後援の承認に関する取扱い要領」を抜本的に見直し、関係団体に謝罪すること。
(答)
名義後援につきましては、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの誤解を与え、行政の中立性を保てなくなる場合などには、所管局が定めた取扱要領に基づき、承諾の可否を慎重に判断しており、引き続き、適切に対応してまいります。
- 東市民センターの「ひまわり広場・会議室」は、市民に広く貸し出されているスペースであり、事実上「公の施設」として扱われている。しかしながら、市民団体などが利用する際には名義後援がなければ認めないとしており、これは「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」とする地方自治法第244条の精神に反するものであり、運用を改めること。
(答)
なみきスクエア内の「ひまわりひろば」につきましては、東区役所庁舎の一部であり、その利用は、行政財産の目的外使用となるため、庁舎管理規則及び要綱などに基づき、原則として福岡市が共催または後援する行催事について許可しております。
(8)消費者
- スマートフォンやインターネットを使った消費者被害が広がっている。特に未成年者契約の取消権がなくなったことで若年層の多重債務や消費者被害が懸念されており、中学校・高等学校等での体系的な消費者教育を強めること。特に若者などに多額の借金を背負わせる「オンラインカジノ」が社会問題となっており、啓発活動をつよめること。そのうえで、消費生活センターの公式SNSを立ち上げ、SNSを活用した啓発や相談に取り組むこと。
(答)
消費者教育につきましては、学習指導要領に社会科・公民科、家庭科などの教科を中心に指導することと示されており、児童生徒の発達段階を踏まえ、市場の働きと経済、金銭の管理などの学びを通して、基礎的な知識の獲得と判断力の育成に取り組んでまいります。(教育委員会)
消費生活センターにつきましては、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校における消費者教育が効果的に実施されるよう、消費者教育教材の提供や講師の派遣、若年者に特徴的な消費者トラブルについての注意喚起情報の提供などの支援を行っております。
また、市ホームページやSNSを活用した注意喚起情報の発信を行うとともに、インターネットによる相談対応も行っているところであり、今後とも、若年者の消費者被害防止に向けて取り組んでまいります。(市民局)
- 本市の消費生活センターの相談業務は2024年度より市直営に戻ったが、相談員は会計年度任用職員である。複雑化・多様化する相談に対応できるよう相談員の体制を強化するとともに、専門職にふさわしく正規職員にすること。
(答)
消費生活相談業務につきましては、その対応に高い専門知識が必要とされることから、専門の相談員を会計年度任用職員として配置しているところであり、今後とも、複雑・多様化する消費生活相談に十分かつ適切な対応ができるよう、相談員の資質の向上なども図りながら、相談体制の充実に取り組んでまいります。
(9)デジタル化・マイナンバー
- 市はデジタル社会に必要なツールだとして国とともにマイナンバーカードの普及を推進し、コンビニでの証明書等の発行手数料に差をつけるなどの平等原則に反する行為を行っている。しかし、マイナンバーカードをめぐって、別人の情報が閲覧できる、公金受取口座に本人ではない口座が登録されるといった重大なトラブルが次々と発覚するなかで、多くの市民が不安に感じており、このまま無批判に推進することは許されない。マイナンバーカードの普及推進はやめ、国に事業の見直しを求めること。
(答)
マイナンバーカードはオンラインで確実に本人確認ができ、デジタル社会を支える基盤となるものであり、福岡市におけるDXを推進する上でも重要な役割を担うものであります。今後とも個人情報の保護に万全を尽くしつつ、一層の普及に取り組んでまいります。
- 本市がすすめている行政手続きの急速なデジタル化は、対面での窓口サービスや紙による手続きの縮小・廃止が懸念され、デジタル機器を所持していない人や使いこなせない人が行政手続きから排除されるおそれがある。一方でデジタルを使いこなせない人への市の支援はあまりにも貧弱である。デジタルデバイド対策をさらに強めると同時に、市民の多様なニーズに応えるために、デジタル手続きとともに、紙による手続きを含めた対面での窓口サービスの拡充をはかること。
(答)
行政手続きのオンライン化などの取組みにつきましては、子どもから高齢者まで、誰もがデジタル技術を活用できる環境づくりを進めるとともに、デジタルに不慣れで、対応が困難な高齢者などにも十分配慮しながら、利便性の向上を図っていくことが重要と考えており、公民館スマホ塾やリモート窓口など、より多くの方がデジタル化のメリットを受けることができるよう取り組んでまいります。
また、DXの取組みを推進することで、業務の効率化、生産性を高めることにより、相談業務など人のぬくもりが必要な業務に人員を再配置するとともに、デジタル化への対応が困難な来庁者に対しても、丁寧に対応してまいります。
- デジタル関連法は、国や自治体がもつ膨大な個人情報のデータを企業に開放し、利活用しやすくすることが大きな目的となっており、市民のプライバシー権の侵害、利益誘導・官民癒着の拡大につながるものである。「地域の特性等に照らし、地方公共団体は法律の範囲内で条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは当然可能である」とする国の答弁をふまえ、本人の知らないうちに個人情報が利活用されることがないよう、個人情報の自己コントロール権を保障するための市独自の措置を講じること。
(答)
個人情報の保護につきましては、改正個人情報保護法や、国のガイドラインなどを踏まえ、適切に対応してまいります。
(10)人権教育・同和
「福岡市人権教育・啓発基本計画」は、実質同和問題や差別の問題に偏重している。しかし今、ジェンダー平等、子どもの権利、労働者の権利、外国人の権利など、日本社会のあらゆる分野で「人権後進国」の矛盾が噴き出しており、社会の不公平の拡大と分断を招いている。憲法で保障された幅広い人権を取り扱うものに「計画」を改善し、学校をはじめ社会教育活動の中での人権教育の見直しをすること。また、行政の主導による市民と企業への「人権啓発」名目での「同和」研修の押しつけはしないこと。あわせて、「同和」の特別対策に類するものの復活や、人権侵害を生み出しかねない特別な教育啓発や実態調査を実施しないこと。
(答)
「人権教育・啓発基本計画」につきましては、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、人権教育・啓発の取組みをより効果的かつ積極的に推進していくために策定しております。
人権教育・啓発につきましては、「人権教育・啓発基本計画」に基づき、学校・地域・企業などあらゆる場における取組みを推進しており、引き続き「人権という普遍的文化の構築」及び「人の多様性を認め合う共生社会の実現」に向けて、あらゆる人権問題の解決に向けた取組みを進めてまいります。
(11)ヘイトスピーチ・外国人
- 人種や民族差別をあおるヘイトスピーチを放置することは許されない。ヘイトスピーチについて、現状把握し、差別解消に向けた計画策定を行うこと。また、市長が毅然として根絶宣言を行うとともに、その立場に立った条例を制定すること。
(答)
ヘイトスピーチにつきましては、引き続き国や県などの関係機関と連携を図りながら、ヘイトスピーチ解消に向けた啓発に取り組んでまいります。
- 福岡市の外国人居住者は2024年9月末で4万9594人となっている。在留外国人が容易に相談窓口にアクセスできるよう公共施設・駅・商店街・スーパーマーケット・コンビニに協力依頼し、多言語でのポスターなどで周知し、外国人コミュニティなどのキーパーソンと連携して相談窓口の周知徹底を図るとともに、市独自の専用相談窓口を各区役所に設置すること。また、福岡市外国人総合相談支援センターでの相談は、主として平日昼に開催されており、土日や夜間の相談日も設置すること。外国人居住者の人権保障をすすめていくために、市として総合的な多文化共生推進計画をつくること。さらに、外国語が母語の子どもへのサポートを強め、ベトナムやネパール出身者による母国語教室の運営への支援を強めること。
(答)
外国人からの生活相談に関しましては、外国人総合相談支援センターにおきまして一元的に受付けており、同センターの広報チラシを多言語で作成し、市の施設をはじめ、大学等の教育機関や経済団体、在福公館、国際交流団体などの関係機関へ幅広く配布しているほか、同センターの案内を多言語で掲載したパンフレットを外国人が区役所で転入手続きを行う際に配布するなど、周知を図っております。また、同センターでは、メールによる相談を、土日・夜間も受け付けております。区役所での外国人の相談につきましては、市民相談室や窓口の職員並びに生活ガイダンス員が電話通訳や映像通訳などを使用して対応するとともに、必要に応じて外国人総合相談支援センターへの案内を行っております。
また、多文化共生の推進につきましては、基本計画において多文化共生の推進に係る施策を位置づけるとともに、政策推進プランにおいて様々な事業を推進しております。母語教育につきましては、活動する民間団体への相談対応や名義後援など、適宜支援しておりますが、今後とも他都市などの取組みを参考にしながら、行政としての支援について研究してまいります。
- 日本には117万人の永住外国人が生活している。地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によってすすめられるのが、憲法のさだめる地方自治の根本精神である。永住外国人を地方自治体の担い手としてむかえ、日本人市民と等しく参加する政治を実現することは現状に即しており、民主主義の成熟と発展につながることとなる。永住外国人の地方参政権を保障するよう国に求めること。
(答)
福岡市では、多言語のワンストップ相談窓口や各区役所等に導入している電話通訳・映像通訳などを活用し、外国人からの相談に対応しているほか、大学、日本語学校などの教育機関や経済団体、国際交流団体などの関係団体、外国籍市民へのアンケートやヒアリングなどを通じて把握したニーズや意見を踏まえ、外国人にも住みやすく活動しやすいまちづくりに取り組んでおります。
永住外国人の地方参政権につきましては、今後も外国人の生活環境の向上に取り組みながら、外国人を取り巻く社会状況の変化や国等の動向を注視してまいります。
(12)地域コミュニティ
「共創による地域コミュニティ活性化条例」が制定されたが、加入率の低下と担い手不足問題の解決には程遠く、ましてや従前どおりに地域課題を町内会・自治会、校区自治協議会などに担わせるために条例をちらつかせるのは問題である。市が調査した令和4年度の「自治会・町内会アンケート」でも、人材不足を解決する方法として「負担の少ない活動を工夫する」との回答が過半数を超える町内会から出されている。そもそも、自治会や町内会は任意組織であるにもかかわらず、住民が町内会への加入を現場で押しつけられたり、清掃に出てこないために罰金を払わせるような運営も見られるなど、町内会の活動や運営を縛ったりするものになっているところに矛盾がある。その上、防災や福祉について公的責任の明記がないままに、民生委員の推薦や、災害時に援護が必要な人の避難計画の作成など、本来市の責任である事業が事実上町内会に丸投げされている。町内会の行政下請化を強化しかねない条例を撤回し、町内会や市民の自主的活動を真に応援すること。
(答)
平成28年度から、自治協議会や自治会・町内会と福岡市がパートナーとして、企業や商店街、NPO、学校など様々な主体と地域の未来を共に創り出す「共創」の取組みを推進しています。
地域コミュニティの活性化に向けて、令和4年度に条例を制定し、その趣旨や地域コミュニティの大切さを周知するとともに、市から地域への協力依頼について、地域と意見交換を行いながら、見直しや庁内ルールの徹底に努めているところであり、引き続き負担軽減を図ってまいります。
今後とも、持続可能な地域コミュニティづくりに向けて、「共創」の地域づくりを推進してまいります。
(13)投票促進・若者の政治参加
- 投票区について、距離や地形など総合的に判断して分割し、投票所を抜本的に増やすとともに、すべての投票所のバリアフリー化をさらにすすめること。また、在宅投票制度、郵便投票、学生に対する不在者投票、在外投票、洋上投票など、制度を周知徹底し、投票機会の保障をはかることとあわせ、対象が狭く、手続きに手間と時間がかかる郵便投票制度の条件を緩和するよう国に求めること。
(答)
投票所の増設につきましては、投票所として使用するのに適した施設の有無などといった課題がありますが、地元の要望も聞きながら適切に対応してまいります。また、投票所のバリアフリーなど、投票環境の整備に努めてまいります。
郵便等投票制度などにつきましては、選挙管理委員会のホームページや選挙時には市政だよりや選挙の特設サイトなどにより周知を行っております。また、郵便等投票制度につきましては、福祉局発行の「福岡市の障がい福祉ガイド」に掲載し、障がい者の方に直接お知らせしておりますが、今後も制度の周知に努めてまいります。
郵便等投票の対象者の拡大につきましては、指定都市選挙管理委員会連合会を通して国に要望を行っております。
- 期日前投票は導入以降、投票所の増設なども行われ、国政・地方選挙問わず定着が進んできた。選挙実施のたびに利用割合が増加し、国政選挙では40%程度まで上昇している。商業施設等への期日前投票所設置だけにとどまらず、さらに投票率を高めるために、市内各地に「共通投票所の設置」「大学や高等学校、商業施設等への期日前投票所の設置」をすること。また、期日前投票所として使用している市役所1階ならびに区役所および商業施設等を投票日当日の「共通投票所」として利用できるようにすること。さらに、病院や高齢者福祉施設への入院患者、入所者が施設内において不在者投票ができるよう、未指定施設等への働きかけを強めること。そのうえで、外出が困難な有権者の投票行動を保障するために、選挙管理委員会が立会人と一緒に、投票箱を持って車でまわり、施設や自宅など要望がある場所に行く「巡回投票」を行うこと。
(答)
期日前投票所の設置につきましては、選挙人の利便性向上のために重要であると認識しており、令和4年11月の市長選挙より、全ての区の選挙人がいずれかの商業施設で投票できるよう大型商業施設4か所に期日前投票所を設置し、令和5年4月の統一地方選挙では、天神地区の7区集合型の期日前投票所を、市役所からソラリアプラザに変更して設置しております。商業施設での期日前投票所の設置は、選挙の数に応じた一定のスペースの確保、他のイベントなどの予約との調整、選挙事務に精通した職員の確保などの課題がありますが、施設側と早期に協議を行い、可能な限り設置できるように、引き続き取り組んでまいります。また、投票日当日に市役所や区役所などを共通の投票所とすることにつきましては、将来的に検討すべき課題であると考えております。入院患者・入所者の施設内での不在者投票につきましては、対象となる未指定施設に引き続き働きかけを行ってまいります。車などによる移動期日前投票所につきましては、主に山間部など、投票所まで距離が離れた選挙人の投票機会の確保のために活用されていると認識しておりますが、他都市の状況等を参考にしながら研究してまいります。
- 選挙公報は有権者に候補者情報を届ける重要な公的媒体であるが、全市的に配布日が投票日直前だとの苦情も多い。それにもかかわらず、まともな手立てがとられていないのは問題であり、少なくとも投票日の1週間前に有権者に届くよう手立てをとること。また、不在者投票の指定施設ではない、病院や高齢者施設にも、選挙公報を配布するようにすること。
(答)
選挙公報は、候補者などから公告示日または一部の選挙では公告示日の翌日までに原稿が提出され、その後、印刷を開始し、業者委託により各戸に配布しております。
大量部数の印刷及び配布であるため、各工程の時間短縮には困難を伴いますが、できるだけ早く配布できるよう取り組むとともに、各戸への配布前でも閲覧できるよう、市のホームページへの写しの掲載並びに、期日前投票所及び公民館での配架などの対応を引き続き行ってまいります。
- 2016年より18歳以上の若者も投票と選挙運動ができるようになったにも関わらず、政府は高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知をだしており、政治活動の自由を侵害している。高校生にも政治活動の自由があることを明確にし、「通知」を撤回するよう国に求めること。また、若い世代の投票率向上のためにも市として中高校生向けの主権者教育を抜本的に強めること。
(答)
市立高校などにおける政治的教養の教育、生徒による政治的活動及び主権者教育につきましては、今後も文部科学省通知や学習指導要領に基づき、授業や特別活動などにおいて適切に指導を行ってまいります。(教育委員会)
中高生を対象とした日頃の選挙啓発につきましては、模擬投票を取り入れた明るい選挙出前授業など、学校と連携して引き続き取り組んでまいります。(選挙管理委員会事務局)
(14)平和、基地
- 今年4月、国は自衛隊や海上保安庁が平時の訓練活用として、岸壁や航路の整備などの既存事業の促進をはかる「特定利用港湾」に博多港を選定し、本市はこれを受け入れた。この動きはいわゆる「安全保障3文書」にもとづくアメリカいいなりの「戦争国家づくり」の一環であり、米軍が博多港を軍事利用する可能性も否定できない。もし米軍が先制攻撃による不法な戦争を開始した場合、自衛隊が集団的自衛権を発動して参戦する可能性があり、「平時」から自衛隊の訓練拠点として博多港を提供するとなれば、本市がその報復などに巻き込まれ、市民の生命・財産が危険にさらされる恐れがある。選定を撤回するよう国に強く求めること。
(答)
博多港は、福岡のみならず九州全体の市民生活や経済活動を支える重要な役割を果たしております。
特定利用港湾につきましては、平素における広報や訓練などの場合において、自衛隊や海上保安庁の船舶が港湾施設を円滑に利用できるよう、利用調整に関する枠組みを設けるもので、新たに自衛隊の基地や駐屯地を作るものではありません。
特定利用港湾となりましたが、博多港が広く民間に利用されている商港であることに変わりはなく、福岡市は、港湾管理者としてこれまでどおり、市民生活の安全を確保するという立場で、港湾法その他の関係法令などに基づき、適切に対応してまいります。
- 国は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「土地利用規制法」)にもとづく「注視区域」として福岡空港・米軍板付基地から1km以内の地域など数か所を指定した。土地利用規制法上の「注視区域」は住民の個人情報などを国に提供することが求められ、「機能阻害行為」と政府に判断された場合には土地・建物の利用中止が勧告されることもあり、その結果、土地価格の低下などを引き起こすこともありうる。住民の基本的人権を守るために土地利用規制法にもとづく区域指定に抗議し撤回するよう国に強く求めること。あわせて今後、市が所有する保護すべき個人情報を国に提供しないこと。
(答)
注視区域及び特別注視区域の指定につきましては、重要土地等調査法に沿って、国が適切に手続きを行ったものと認識しております。また、国からの要請につきましては、法に基づき必要な協力を行ってまいります。
- 高島市長は、2020年からの5年間で、市民の反対を押し切って自衛隊に対して、本人の同意もなく、多数の当事者が知らないうちに延べ15万人近い若者の名簿提供を強行し、青年をはじめ市民の中に怒りが広がっている。このことは、憲法の保障するプライバシー権や自己情報コントロール権を侵害するものであり、断じて許されない。また、自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められず、自衛隊への対象名簿の提供をやめること。
(答)
自衛隊への募集対象者情報の提供につきましては、自己の情報の提供を望まない対象者を除外することとし、その周知を図るとともに、自衛隊と個人情報の取扱いに関する協定を締結するなど、個人情報の管理を徹底したうえで、適切に実施しております。
- 福岡空港内にある米軍板付基地で1972年に返還された米軍基地の跡地に残存していた燃料輸送管(パイプライン)に沿ってベンゼンなどの土壌汚染が確認され、福岡市が汚染土の除去費用を約2億200万円支払っているが、これを市が負担することは異常であり、米軍基地の原状回復費の返還を求めること。また、有害物質であるポリ塩化ビフェニール(PCB)の廃棄物が米軍基地内に保管されている疑いが報道されている。事実を確認し一刻も早い撤去を要求すること。さらには、今年10月の日米共同統合実働演習での福岡空港使用など、市民の命と安全を脅かすような動きは到底許されず、これらの問題の根源となっている米軍板付基地の即時全面返還を強く求め、福岡空港の軍事利用は中止するよう国と米国に対して強く要求すること。
(答)
滑走路増設事業における土壌汚染対策などにつきましては、国が設置・管理する空港の整備の一環として実施されていることから、空港法の規定に基づき、福岡市もその費用の一部を負担したものであります。(港湾空港局)
ポリ塩化ビフェニールの廃棄物の報道につきましては、引き続き情報収集に努めてまいります。
基地返還につきましては、市議会、市、自治協議会、男女共同参画協議会、労働団体などで組織している板付基地返還促進協議会を通して、国や在日米軍司令部等に対して引き続き要望してまいります。(総務企画局)
- 今年11月に福岡空港に飛来したオスプレイは墜落事故を繰り返している欠陥機であり、市民の命と安全を脅かすものである。今回のオスプレイ飛来について米軍と国に抗議し、日本国内での飛行中止と撤去を働きかけること。また、今後オスプレイ飛来のような重要な情報について米軍や国から得た場合にはすみやかに市民や議会に知らせること。
(答)
国の安全保障に関することにつきましては、国の責任において適切に対応されるべきものであり、今後とも国民の生命と安全を守るために、その役割を果たされるものと認識しております。今後、国から市に情報提供が行われ、住民生活に大きな影響が見込まれる場合などは、関係者と調整、情報収集の上、周知に努めてまいります。
- 博多港への米艦船の入港は友好親善などの目的であっても許されるものではなく、福岡市の「平和都市宣言に関する決議」にも「博多港港湾施設管理条例」にも反している。米軍艦及び自衛隊艦船の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
(答)
軍艦などの入港につきましては、入港目的が友好親善、乗組員の休養などで商船の荷役などに支障がない場合は、港湾管理者として適切に対応しております。
また、核兵器の問題につきましては、国の基本政策である、非核三原則により措置されていると考えております。
- 今年、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことに象徴されるように、今や核兵器廃絶は世界の流れとなっている。史上初めて核兵器を違法と断じた核兵器禁止条約は、9月24日現在73か国が批准し、署名した国は94か国に達し、国連加盟国の過半数の97に迫ろうとしており、福岡市議会でも速やかな核兵器禁止条約の締結を国に求める意見書を決議している。平和首長会議に加盟する市長として、市長自ら首相に対して同条約の批准を強力に働きかけること。また、市長の就任以来、核兵器廃絶や非核三原則の遵守などをうたう「非核平和都市宣言」を求める議会請願が、被爆者団体や高校生など幅広い市民から、13年間に8回も出されているが、市長は「アジア太平洋都市宣言」や議会議決を持ち出し、理由にならない理由で、頑なに拒否する異常な態度を続けている。高齢となっている被爆者の願いを無視することは許されず、ただちに宣言すること。
(答)
核兵器廃絶に向けた取組みにつきましては、平和首長会議国内加盟都市会議として、政府に対し要請を行っております。
国におきましては、核兵器のない世界の実現に向けて取り組んでいくとのことでございますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。
非核平和都市宣言につきましては、これまで福岡市においては、福岡市議会における「平和都市宣言に関する決議」に基づいて、市民の平和と安全を守り、世界の平和に貢献することを基本精神として市政運営を行うとともに、「アジア太平洋都市宣言」において、国際交流活動を通じて平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を内外に示しており、さらに平成24年12月策定の福岡市基本構想においても、その目的の中で、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくと謳っております。
今後ともこれらの宣言などの趣旨を市政に活かしてまいります。
- 国連の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会や、広島・長崎市の原爆資料館に、高校生をはじめ若者や親子を派遣するなどの事業について、北九州市等を見習って予算化すること。また、市として、原爆資料展をおこなうこと。
(答)
戦争の悲惨さ・被爆の実相を伝えていくため、博物館などにおける戦時関係資料の展示を行うとともに、小中学校においては様々な機会を捉えて平和学習を行っております。また、福岡市が参加する平和首長会議の取組みの一環として、原爆ポスター展の開催や小学校における被爆樹木の植樹を行うなど、平和意識の醸成に努めており、今後とも、関係局と連携しながら、取組みを行ってまいります。
- 福岡は広島、長崎に次いで被爆者が多く、また日本最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲を受けている。現在、戦争の史実を学ぶ公的な場は、市民福祉プラザの一角にある「引揚港・博多」常設展示施設や、空襲で大きな被害が出た地区にある博多小の平和祈念室などに限られている。冷泉小学校跡地など公共用地を活用して常設の平和資料館を設置すること。
(答)
戦争体験などを通して平和の尊さを後世に伝えていくことを目的に、博物館における戦時関係資料やふくふくプラザにおける博多港引揚資料の常設展示などを行っており、今後とも、平和に関する取組みを実施することにより、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。
- 福岡市市民福祉プラザ1階に「引揚港・博多」関係資料が常設展示されているが、一昨年リニューアルオープンして以来まだ一度も展示が入れ替えられていない。定期的に入替えを行うことは当初からの約束であり、毎年入替えを行うこと。また、資料について説明する学芸員も配置し、博多港引揚げの史実を学校教育の課題に位置付け、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを教える教材として使うこと。引揚げ記念碑「那の津往還」は記念樹とともに、ウォーターフロントの再整備の中で移転することなく、維持すること。
(答)
戦後、博多港が日本最大級の引揚港として果たした歴史的役割や、引揚者の労苦を後世に伝え、平和への願いを新たにするため、ふくふくプラザにおいて資料展「引揚港・博多」の常設展示を行っております。特定のテーマに沿った資料を展示する「特集展示コーナー」を活用し、展示の充実に努めてまいります。(福祉局)
引揚港としての博多港の歴史を通して、平和の尊さを学ぶことは大切なことであると認識しております。また、教育委員会が、発行した人権読本「ぬくもり」の中学生版に「博多港の歴史から未来を考える」という教材を掲載し、学習の資料として活用できるようにしております。(教育委員会)
引揚記念碑などが立地するウォーターフロント地区(中央ふ頭・博多ふ頭)につきましては、引揚げの歴史や設置の趣旨なども踏まえ、ふ頭基部のまちづくりに取り組んでまいります。(住宅都市局、港湾空港局)
- ロシアによるウクライナ侵略は開始から2年半以上が経過し、戦争の終わりが見えない状態が続いている。また、イスラエルの大規模攻撃によって、パレスチナ・ガザ地区の人道状況は、きわめて深刻な危機に直面しており、国連の特別委員会は「ジェノサイド(集団殺害)の特徴と一致する」と結論づけている。それにも関わらず日本政府は米国の顔色をうかがい、ロシアの侵略を非難する一方で、イスラエルの国際法違反の蛮行について批判しないという態度を取っている。ロシア軍のウクライナからの即時・全面撤退を強く求め、イスラエルの国際法違反の蛮行については強く中止を求めるとともに、国連憲章と国際法を守るという一点での協力を世界各国に呼びかけるよう国に要請すること。
(答)
ウクライナやガザ地区での情勢につきましては、国におきまして、国際法の遵守を求めるなど、各国との会談や様々な働きかけが行われていると認識しており、今後とも国の動向を注視してまいります。
(15)改憲と戦争できる国づくり
石破首相は戦力の不保持と交戦権の否認を明記した憲法9条2項を廃止することを年来の主張としており、従来の改憲派でさえ主張してこなかった軍事路線の強化に踏み出し、日本の戦後の平和主義を根底から覆す懸念がある。今後5年間で43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡に突き進み、暮らしも平和も壊そうとしている。この大軍拡の本質は、米国が推進する対中国軍事包囲網づくりの最前線に日本が立つということであり、「先制攻撃」を基本原則にすえる米軍の「統合防空ミサイル防衛」戦略に組み込まれることに他ならない。集団的自衛権の行使により自衛隊が米軍と融合して相手国に攻め込んだ結果、膨大な報復攻撃を呼び込み、本市も含めた日本全土に戦火が及ぶことになる重大な問題である。憲法第9条の改定はこうした米国の海外での戦争への全面参加を意味するものであり、改定をやめるよう国に求めること。
(答)
国の安全保障のあり方につきましては、国の専管事項であり、国におきまして十分な議論を行っていただきたいと考えております。
また、憲法の改正につきましては、国民的な議論を経て総合的に検討されるべきものと考えております。
以上