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政策と活動

2024年度予算要望

2024年度予算編成に関する申し入れ

2023年12月6日

福岡市長  髙島 宗一郎 殿
福岡市教育長 石橋 正信 殿

日本共産党福岡市議団
団 長 中山 郁美
幹事長 倉元 達朗
堀内 徹夫
綿貫 康代

長期にわたる経済停滞と暮らしの困難によって、家計が疲弊しきっているもとに襲いかかった物価高騰は、国民の暮らしにとりわけ深刻な打撃を与えています。ところが岸田政権は一時しのぎ・場当たり的な対策を繰り返すだけで、どうしたら暮らしが良くなるのか、経済の停滞を打開できるのか、希望ある打開策を何一つ示すことができていません。また、憲法を踏みにじる敵基地攻撃能力保有と大軍拡の強行や健康保険証の廃止とマイナンバーカードの強制、小規模事業者やフリーランスへの実質的な増税となるインボイス制度の強行など、あらゆる分野で国民の声を聞かない「問答無用」の政治を進めています。

このような政治に対し、本市がやるべきことは、市民の声にもっと真摯に耳を傾け、住民の暮らしと福祉を良くするという自治体本来の仕事を進めること、国が進める悪政には憲法の精神を生かして住民を守る「防波堤」の役割を果たすこと、地方自治と民主主義を守り、発展させることです。

これまで髙島市長は「都市の成長」を「生活の質の向上」へといって大型開発や巨大イベントの推進、そして規制緩和をすすめてきました。しかし、その恩恵は大企業に集中し、市民や中小企業に回らず、この路線ではもう市民の暮らしの困難を打開することはできなくなっているのは明らかです。

市民を守り、その暮らしの困難を打開するために、社会保障の充実、教育の公的負担の軽減や給付の増額など、市としてできることを最大限やることこそ、いま求められています。

私たちはこうした立場から2024年度予算編成にあたっての重点要望を貴職に申し入れます。

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2024年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1、物価高騰から暮らしを守り、市政の大もとから見直しを

(1)国の悪政から市民を守る

いま、自民党政治のもとで30年という長期にわたる経済の停滞と衰退によって暮らしの困難が続いているところに物価高騰が襲いかかっており、市民への深刻な打撃となっている。岸田政権は「コストカット型経済」からの脱却をめざすといいながら、経済停滞の大きな原因である大企業向け減税とその穴埋めとして消費税の増税を繰り返してきた路線の転換には背を向けたままである。日本はこの30年間、労働者の賃金がほとんど上がらず、社会保障や教育への公的支出は先進国と比べても極めて低い水準のままで推移してきた。また、食料自給率は38%、エネルギー自給率も10%と先進国で最低水準であり、暮らしと経済の基盤である食料とエネルギーを外国に頼っていることが、国際情勢の危機にさいして脆弱な経済になってしまっている。市民の暮らしを守るために、物価高騰対策と一体に、いまこそ長期にわたって暮らしと経済を悪化させてきた構造的な問題を解決する必要がある。

  • 500兆円を超えて積み上がっている大企業の内部留保を賃上げや設備投資に還流させるため、中小企業の賃上げ支援を行いながら最低賃金を速やかに時給1500円に引き上げるとともに、非正規労働者の待遇改善をはかるよう国に求めること。

    (答)

    最低賃金の引き上げにつきましては、最低賃金法に基づき中央または地方の最低賃金審議会において適切に決定がなされております。また、中小企業の賃上げ支援や非正規労働者の待遇改善につきましては、賃上げ促進税制や助成金など、国において事業者に配慮した対応がなされているものと認識しております。

  • 消費税を緊急に5%に減税するとともに、これまで行ってきた法人税減税を元に戻すことや富裕税などの創設、GDP2%への大軍拡予算の削減などムダづかい一掃で財源をつくり、社会保障削減から充実へと転換するとともに、教育予算を抜本的に増やすよう国に求めること。

    (答)

    消費税につきましては、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられているものと認識しております。(財政局)

    教育につきましては、毎年、指定都市教育委員会協議会などを通して、教職員配置の充実改善や学校における働き方改革の推進、学校教育の振興充実などについて、国に要望しております。(教育委員会)

  • 新しい需要と雇用を生み出し地域循環型経済の発展を進めるために、原発ゼロや石炭火力発電からの撤退を決断し再生可能エネルギーを抜本的に増やすことを国に求めること。また、価格保障・所得補償の充実をはかることとあわせて「輸入自由化」路線を転換することで食料自給率を早急に50%に引き上げる計画を持つよう国に求めること。

    (答)

    原子力発電を含めた電源構成につきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えております。(環境局)

    食料自給率につきましては、国において食料・農業・農村基本法の改正に向けて検討がなされており、動向を注視してまいります。(農林水産局)


(2)市政転換

本市は「都市の成長」を「生活の質の向上」に結び付けるという名目で、大型開発や大型イベントを進めてきた。しかし、市民の生活は良くなるどころかコロナや物価高騰の影響を受けてさらに厳しくなっており、市内中小企業・小規模事業者の経営が悪化し続け倒産・廃業が相次いでいる。また、加齢性難聴者の補聴器購入補助や学校給食費無償化などの市民の切実な願いには背を向け、学校施設の改修や抜本的な水害対策など必要な施策にはお金を使わない、市民に冷たい市政運営がなされている。「天神ビッグバン」・ウォーターフロント再整備などの大型開発、大型イベント優先の税金の使い方を改め、市民の暮らしや市内中小業者の営業を応援し、地域循環型経済へ転換すること。

(答)

福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定した総合計画に基づき、都市の成長と生活の質の向上の好循環を作り出すことを基本戦略としてまちづくりを進めており、第3次産業が9割を占める福岡市の特性なども踏まえながら、経済的な成長と安全・安心で質の高い暮らしのバランスがとれたコンパクトで持続可能な都市の実現を目指してまいります。


(3)福岡市基本計画

本市は国よりも10年早く温室効果ガス排出実質ゼロの達成を掲げており、そのためには政治・経済など社会全体にわたる見直しが必要である。また、ジェンダー平等を一部門の問題にせずあらゆる施策の中心に位置づける「ジェンダー主流化」が求められている。気候危機打開、ジェンダー平等の視点で市のあらゆる計画・施策を見直すとともに、その立場で新しい「福岡市基本計画」を作成すること。

(答)

次期基本計画につきましては、社会経済情勢の変化や多様な価値観を取り入れていく必要があると考えており、多くの市民の皆様から頂いたご意見も踏まえながら、策定に取り組んでまいります。

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2、医療・介護・障害福祉などケアを支える市政を

(1)マイナンバー保険証について

マイナンバーカード保険証の運用開始以来、誤った情報が紐づけされている等の問題が全国で多発しているにも関わらず、岸田政権は来年秋から紙の保険証を廃止する方針を撤回していない。各種世論調査では70~80%が反対や不安の声を上げており、医療関係をはじめ多くの団体も「医療現場の負担は増大する一方、個人情報や医療を受ける権利が守られなくなる」等として方針撤回を求めている。国に対して、マイナ保険証の押し付けを中止し、現行の保険証を存続させるよう強く求めること。

(答)

マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきましては、福岡市国民健康保険の保険者として、改正後の法令に基づき適切に制度を運用していくとともに、国に対し、国民への丁寧な説明や制度の周知などを求めてまいります。


(2)国民健康保険について

  • 本市の国保世帯の平均所得は約83万円と低い水準にとどまっており、所得200万円以下の低所得者がその84%を占めている。3年半にわたるコロナ禍に加えおさまらない異常な物価高は低所得層が多い被保険者の経済的負担を増大させており、元々重い負担となっている保険料の軽減が強く求められている。しかし市は、「収入未済」や「減免」分等を保険料に上乗せする方式を改めないまま、一般会計からの法定外繰り入れを2年連続で削減し2年前の大幅引き上げによって史上最高水準となった保険料のまま押し付け、ほとんどの所得階層で前年度より引き上げられた。「上乗せ方式」をやめるとともに、国や県の圧力をはねのけ、一般会計からの法定外繰り入れを物価高騰に見合うよう抜本的に増やし、保険料の大幅引き下げをはかること。

    (答)

    国民健康保険料の料率の算定につきましては、法令などの定めに従い、必要とする保険料収入額を確保できるように適正に行っております。

    福岡市につきましては、一般会計からの多額の繰入により保険料負担の軽減を図っておりますが、法定外繰入は、その財源が市の税金であるため、国保加入者以外の市民の方は、前期高齢者納付金と併せて、二重に負担する構造となっております。

    また、国は「決算補填等目的の法定外繰入金」を赤字と定義し、6年を目安に計画的・段階的な赤字の削減・解消に取り組むことを定めており、その額は縮小していく必要があります。

  • 子どもの均等割分については15歳以下の第二子を半額、第三子以降について全額免除しているものの、今や対象年齢や減免割合に格差を設けることに道理はない。18歳までの全てのこどもを対象にし、全額免除とすること。併せて、国に対して全国知事会が要求している「公費1兆円の投入」で均等割、世帯割をなくし保険料の協会けんぽ並みへの引下げを可能にするよう求めること。

    (答)

    子どもに係る均等割保険料につきましては、子育て世帯の負担軽減を図るため、令和3年度より福岡市独自の措置として、多子世帯を対象に保険料の軽減を実施いたしております。

    また、国においても、令和4年度より子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児の均等割保険料を半額にする軽減制度が導入されております。

    なお、国に対しましては、子どもに係る均等割保険料の軽減制度を拡充するよう要望するとともに、国民健康保険事業の安定的かつ持続的な運営ができるよう、医療保険制度の一本化などの抜本的改革や財政基盤強化のための国庫負担割合の引上げを引き続き要望してまいります。

  • 現在本市においては3人家族で所得900万円という世帯が年104万円もの保険料最高額を強いられている。賦課限度額の引上げは止め、「応益割」偏重の是正など、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。

    (答)

    賦課限度額につきましては、政令により上限額が定められております。 また、保険料の算定につきましては、法令などの定めに従い、医療給付費などの見込総額から、国や県等の支出金などの見込総額を控除した額をもとに、収入未済や減免などの影響を考慮したうえで、必要とする保険料収入を確保できるよう適正に行っております。

  • 「都道府県単位化」は、国保の構造問題を解決しないまま自治体の主体性を奪い、住民負担増や滞納制裁強化、一般会計繰入の抑制等を強制するやり方でありすでに大きな影響を生み出している。見直すよう国に求めること。

    (答)

    国民健康保険の財政運営の都道府県単位化につきましては、持続可能な医療保険制度を構築し、将来にわたり国民皆保険制度を堅持するため、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、市町村は引き続き保険料の賦課徴収や保健事業などを行っております。

  • 「特別な事情」がないのに保険料を滞納しているとして保険証の代わりに資格証明書に切り替えられると治療費が窓口全額自己負担となる。資格証については、政令市のうち発行ゼロが6市にひろがり、短期証発行も2市がゼロとなっているにもかかわらず、本市においては年度当初から5000世帯を超えて資格証を発行し、短期証は1万世帯に上り政令市最悪水準となっており、このことにより受診を我慢して重症化・死亡する手遅れ事例が後を絶たない異常な事態となっている。「特別な事情」の確認は、丁寧な調査をすればできることであり、面談できないことを理由に「特別な事情」を実質調査しないまま保険料滞納世帯に対し機械的に資格証・短期証を発行するやり方は許されない。他都市の例にならい、資格証・短期証への切り替えをやめること。

    (答)

    短期被保険者証や資格証明書につきましては、国民健康保険法において交付が規定されております。

    また、資格証明書につきましては、特別の事情もなく国民健康保険料を滞納し、納付に誠意が見られない世帯に対して交付しております。交付に際しましては、事前に対象となる世帯に対して、特別の事情に係る届出書の提出について郵送で案内し、届出がない場合は電話などにより特別の事情の把握に務めるとともに、滞納世帯が負うリスクについて、パンフレットやホームページ、督促状の裏面などに明記し、周知徹底を図っております。

    なお、令和6年秋に短期被保険者証の廃止などをその内容に含む改正国民健康保険法の施行が予定されており、国の動向等も踏まえながら適切に対応してまいります。

  • 本市の保険料減免世帯比率はコロナ禍にあった前年度においてもわずか6.17%にとどまるなど、極めて低い水準にある。物価高騰の今こそ「所得が前年に比べて30%以上減少」という条件を「前年比20%以上」に改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して適用対象をひろげ、広報を充実させること。

    (答)

    保険料の減免につきましては、福岡市国民健康保険料減免基準に基づき、災害などにより損害を受けた場合や、所得が前年に比べて30%以上減少する場合、生活保護の適用を受けることになった場合など、保険料の納付が困難となった被保険者を対象として実施いたしております。

    なお、市民への減免制度の周知につきましては、今後も国民健康保険加入の全世帯に発送する保険料決定通知書に同封のリーフレットや市政だより、ホームページなどでも広報に努めてまいります。また、納付相談につきましては、個別の事情を十分にお聴きして、きめ細かく丁寧に対応してまいります。

  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が11年連続0件という異常な事態であり、制度の体をなしていない。「前年度比3割以上の減少」という収入要件等の厳しい条件が付されていることによって、日常的に生活が厳しい人は適用されない等の矛盾が引き起こされており、早急に要件を見直し、困窮者を救える制度へと改めるとともに、ホームページや市政だより等で広報すること。

    (答)

    本制度は、失業などの特別な理由により収入が著しく減少し、一時的に一部負担金の支払いが困難となった場合の措置であることから、収入要件を設定しているものです。

  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、わずかな預金715円を差し押さえる事例や公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれているなど、異常なやり方が横行している。公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常、機械的なやり方はただちにやめること。

    (答)

    国民健康保険料を滞納している世帯につきましては、督促状や催告書などの文書や電話などにより可能な限り接触の機会を確保し、自主納付の説得に努めております。

    しかしながら、負担能力がありながら度重なる納付説得にも応じず、長期にわたり滞納を続けている世帯に対しましては、保険料収入の確保と被保険者間の負担の公平性確保の観点から、やむを得ず差押などの滞納処分を実施しており、今後とも法令を遵守し業務を行ってまいります。

  • 国の制度として拡充するまでの間、市独自で国保に個人事業主を含めた傷病手当を創設すること。

    (答)

    国民健康保険における傷病手当金につきましては、任意給付のため、その財源は保険料となることから、福岡市の国民健康保険の運営状況を踏まえると、国の財政支援措置のない福岡市独自の傷病手当金制度の創設は困難であります。


(3)後期高齢者医療制度等について

  • 福岡県の保険料は全国的に見ても高い水準のまま推移し2017年度から強行されてきた特例軽減の段階的廃止縮小並びに賦課限度額の引上げ強行によって、2022・2023年度の保険料は一人あたり8万1731円と史上最高水準となっている。長引いたコロナ禍に加え、継続している異常な物価高騰と年金引き下げによる生活困難もひろがっており、第9期保険料については剰余金や各種基金を最大限活用し、保険料の大幅引き下げを行うよう広域連合に求めること。また、保険料特例軽減の復活を国に求めること。

    (答)

    後期高齢者医療制度は、必要な医療費を被保険者の保険料、現役世代からの支援金及び、国・県・市町村の公費で賄う制度であり、被保険者の方にも応分の負担をお願いする仕組みとなっております。

    後期高齢者医療の保険料の算定につきましては、県後期高齢者医療広域連合において、運営安定化基金などの活用も含め、適切に対応していくこととされております。

    保険料の軽減につきましては、世帯の所得に応じて均等割の7割・5割・2割を軽減する減額制度が設けられております。国において、制度発足時の激変緩和措置として、平成20年度以降、本則の軽減を拡大する措置が実施されてまいりましたが、世代間・世代内の公平を図り、能力に応じた負担を求める観点から、平成29年度より段階的に見直しが行われました。

    福岡市といたしましては、国の動向を注視するとともに、制度改革による急激な変化への十分な配慮、丁寧な説明及び周知について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。

  • 後期高齢者の医療費窓口負担の2倍化が2022年10月1日から強行実施されて以降、一人あたり年5万円以上の負担増となり「歯科受診をやめ、目薬を3回から2回に減らし眼科受診回数を減らした」「食費を抑えて預貯金を切り崩している」など、受診抑制や生活困難がひろがっている。窓口負担を元に戻すよう国に求めること。

    (答)

    窓口負担割合の見直しにつきましては、後期高齢者医療制度を支える現役世代の負担増を抑制し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するため、国において法改正が行われたものであります。

    なお、法の施行にあたっては、必要な受診が抑制されることがないよう、施行後3年間は、月あたりの負担増加額を最大3,000円とする措置も導入されております。

    福岡市といたしましては、国の動向を注視するとともに、制度改革による急激な変化への十分な配慮や、丁寧な説明及び周知について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。

  • 無料低額診療事業は経済的困窮者にも医療を保障する重要な役割を果たしている。本市において実施する医療機関を増やすための取り組みを県とも連携し強め、制度の広報を市ホームページだけにとどめず、ポスターやパンフレット等でも広く行うこと。また、国に対して薬剤費への制度適用を求めるとともに、当面他都市でも徐々に広がる独自助成を本市でも実施すること。

    (答)

    無料低額診療事業につきましては、社会福祉法の規定に基づき実施される第二種社会福祉事業として位置づけられ、事業の実施に当たっては届出制となっております。

    制度の広報につきましては、福岡市や生活自立支援センターのホームページに掲載するとともに、区役所の窓口でチラシを配布するなど、事業を実施している医療機関と連携し、周知に努めております。

    また、薬剤費への制度適用につきましては、無料低額診療事業は社会福祉法に定める国の制度であり、国において対処すべき課題であると考えております。


(4)こども病院・市民病院

  • こども病院・市民病院ともに医師、看護師等が業務量に見合った数になっておらず、職員へ過大な負担がかかることによって人材が流出し医療の質が低下している。人材流出を防ぎ医療の質を維持するためにも処遇改善をするとともに職員を正規で増員し、地域医療の拠点としての役割を果たせるようにすること。

    (答)

    病院機構の医師や看護師などにつきましては、患者の動向などを踏まえ、基準に沿ってスタッフの適正配置が確保され、安心かつ安全な医療の提供に取り組まれております。

    また、職員の勤務条件などにつきましては、地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程等に基づき、病院機構において適切な対応が図られております。

  • 独立行政法人化以降、一時金の支給月額が福岡市と同様ではなく、年間支給月額の累計が合計すると0.7月低くなっている。また「国立病院機構に準ずる」となっている給与表の改定時期が一年ずれており、国立病院機構の給与表は2023年度からのプラス改訂になっているにも関わらず、こども病院・市民病院では2024年度からしか採用されないことになっている。病院機構に改善するよう指示すること。

    (答)

    職員の勤務条件などにつきましては、地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程等に基づき、病院機構において適切な対応が図られております。

  • こども病院においては、小児・周産期医療の拠点としての重要な役割を果たす一方、地方独立行政法人福岡市立病院機構の方針の下、採算性が優先されている。職員の勤務諸条件を改善し、職員の合意を大切にする民主的な病院運営へと転換するよう指導すること。また、バスのルートや便数を抜本的に増やすようバス事業者に強く要請するとともに、職員の駐車場利用枠を増やすこと。台風など強風時にタクシーを呼んでも断られるため、夜勤明けの職員が帰宅できなくなることがないように病院独自のバス借り上げ等の工夫によって災害時の通常業務に従事できるよう対策をとること。

    (答)

    職員の勤務条件をはじめ、労務管理や経営のあり方につきましては、病院機構において地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程などにより自律的に行われており、地方独立行政法人化した趣旨を踏まえ、適切な対応が図られております。 バスの運行につきましては、引き続き、西日本鉄道㈱へ増便を要望するなど、交通利便性の向上に取り組まれております。

    職員の駐車場利用につきましては、勤務実態や自家用車利用が特段必要と認められる場合及び緊急呼出や夜間勤務の状況などを考慮し、利用を許可しており、適切に対応されております。

    また、台風来襲時は事前に服務の取り扱いを通知するなど、職員の出退勤に配慮されております。

  • 市民病院においては、老朽化による壁のヒビ割れや水漏れが多発している。修繕については職員に随時説明をしながら早急に対応すること。

    (答)

    市民病院の施設・設備につきましては、引き続き、計画的な維持管理に努めてまいります。


(5)介護保険

  • 第9期福岡市介護保険事業計画では保険料の基準額について、今期の年間7万4700円を最高で9060円も値上げすることを検討している。改定のたびに介護保険料は引き上げられ、制度開始時から約2倍以上になっており、史上最高額となっている。高齢者の生活は、物価高騰に加え、国が進める年金支給額の削減や医療費窓口負担の2倍化によって深刻な状況に追い込まれている。一般会計からの繰入れを含め、2022年度決算額で20億円ある介護給付費準備基金は全額活用するなど、あらゆる手立てをとって介護保険料の大幅引下げを図るとともに、2022年度も151名に課している滞納者に対するサービス取り上げ等のペナルティをやめること。

    (答)

    介護保険料につきましては、3年ごとに介護保険事業計画を策定する中で、必要な介護サービス費用などを見込み、設定しております。設定に当たりましては、介護給付費準備基金を活用し、保険料上昇の抑制を図ってまいります。また、低所得者の保険料の軽減を図るため、独自の減免制度を実施するとともに、平成27年度から、給付費の5割の公費とは別枠で国費、県費、市費を投入しており、国の制度に基づき、今後もこれらの取組みを引き続き実施してまいります。

    滞納者に対する保険給付の制限につきましては、被保険者の負担の公平性を確保するため、介護保険法に基づき実施しております。

    なお、国に対して、国の負担割合を引き上げるといった財政支援措置や低所得者における保険料の負担軽減の拡大を図るよう、引き続き、要望してまいります。

  • 2024年の3年に1度の介護保険制度改定に向け、国は具体的項目として「サービス利用料の2割負担の対象拡大」「老健施設などの多床室(相部屋)の室料有料化」「所得410万円以上で増額」などをあげている。しかし、これらが実施されれば、物価高騰に苦しむ高齢者や家族はさらに負担を強いられ、必要な介護を受けられなくなる人が続発しかねない。「認知症の人と家族の会」や中央社会保障推進協議会など7団体が9月29日に厚労省に求めた「利用者、事業者、従事者が報われる制度に改善を」「高齢者にこれ以上の負担増は避けるべき」との声を聞き入れ、このような介護保険制度の改悪は行わないよう国に求めると共に本市の第9期事業計画には反映させないこと。

    (答)

    介護保険制度は、全国一律の制度として、関係法令に基づき実施されており、第9期介護保険事業計画につきましては、国の制度改正も踏まえ、策定することとしております。

    介護保険制度の見直しにあたっては、被保険者が必要なサービスを受けることが困難とならないよう、必要な財政措置などの支援を講じるよう、引き続き要望してまいります。

  • 長期にわたる電気料金等の高騰は介護事業所の経営を圧迫している。市内のある介護事業所からは「自治体からの支援金は値上がり分の7割程度であり、価格高騰分をカバーできていない」という声があがっている。公定価格である介護報酬をもとに経営する介護事業所においてはコスト増を価格転嫁することができず、そもそも報酬が少ないために物価高騰の前から経営が苦しいという実態があり、市は光熱費などの価格高騰分を補助する制度を作ったが不十分である。介護の基盤と、利用者・従事者の命と暮らしを物価高騰から守るため、利用抑制や支出増に苦しむ介護事業所への減収補填を国に求めるとともに、市独自にも行うこと。また、利用料・保険料に跳ね返らないよう公費を投入しながら、介護報酬の引上げを行うよう国に求め、市として独自支援も行うこと。

    (答)

    介護保険制度は、全国一律の制度として、関係法令に基づき実施されているものであり、介護報酬の基準や単価の設定などにつきましては、国の役割とされております。福岡市といたしましては、物価高騰の状況や国の動向を注視しながら、適正な介護報酬の設定などについて、引き続き、国へ要望してまいります。

  • 介護職員の低処遇・長時間労働・人手不足は大問題となっている。厚生労働省の調査で全産業平均より「月6.8万円低い」とされる介護職員の低処遇を解決することこそ、介護人材を確保し、長時間過重労働を解決するために不可欠である。国に対し、介護報酬の引上げをはじめ、介護福祉士や調理員等介護現場で働く全ての労働者の抜本的なベースアップの対策をとるよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費の補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。市独自の保育士への家賃補助、奨学金補助と同じく、介護職員にも実施すること。

    (答)

    介護職員の確保や処遇改善につきましては、国において、介護人材確保のための取組みをより一層進めることを目的に、これまで介護報酬において3種類の処遇改善関係加算が設けられ、基本的な待遇改善が図られております。また、令和6年2月分から、介護職員1人あたりの賃金を、月6千円引き上げるための措置が新たに行われているところでありますが、今後とも適切な介護報酬体系の確立など、さらなる処遇改善について、引き続き国に要望してまいります。

    また、福岡市といたしましても、国の加算の取得の促進に加え、令和5年度から新たに、介護職員初任者研修の無料開催などに取組むとともに、県が実施している、一定の要件を満たせば返済が免除される貸付などの制度について、周知及び活用の支援を行っております。

  • 本市の特養ホーム待機者は2270人である。申込み者の数から「必要度の低い人」を除外する恣意的な判断によって実態より少ない人数に絞り込んだ上に、今期(2021年度~2023年度)における整備計画は240人分に対し実績は178人という極めて不十分なものになっている。このようなやり方は許されず、希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、早急に待機者解消を図ること。併せて、小規模多機能施設やグループホーム、宅老所などの基盤整備と公的補助を強化すること。また、「要介護1・2」の特養ホーム入所からの締め出しをやめ、入所条件を緩和するよう国に求めること。

    (答)

    特別養護老人ホームにつきましては、令和4年度に実施した特別養護老人ホーム利用申込者実態調査の結果などを踏まえ、令和6~8年度を計画期間とする第9期介護保険事業計画に整備目標量を定め、この計画に基づき、整備を進めてまいります。

    小規模多機能型居宅介護やグループホームなどにつきましては、介護保険事業計画に基づき、計画的に整備を進めるとともに、小規模多機能型居宅介護などの新規開設事業者に対しては、令和3年度から市費を投入し、建設費補助を増額しております。

    また、平成27年4月から、特別養護老人ホームは新規入所者について、原則、要介護3以上の中・重度の要介護者を支える施設としての機能が強化されましたが、要介護1・2の方でも、居宅での生活が困難であると特別養護老人ホームが判断した場合には、保険者の意見を聞いたうえで施設への特例入所を可能としております。

  • いきいきセンター(地域包括支援センター)がおこなう総合相談支援においては、年々相談件数が増加傾向で、職員1人が受け持つケース数が106件となっている。地域の高齢者の実態を細かく把握し、親身な対応を行っていくためにも職員数を抜本的に増やすこと。さらに内容が複雑化しており、一人当たりの業務量が増え、多忙化しているいきいきセンターの体制強化のために抜本的予算増を図ること。現在57ヶ所で中学校区に1つしかない状況を改め、増やすこと。

    (答)

    地域包括支援センターにつきましては、平成27年度に、従来の39か所から57か所に増設するとともに、生活支援・介護予防活動推進員の全圏域への配置を令和3年度に完了いたしました。職員定数は平成26年度の156名から、令和5年度は267名へと増員するなど、体制の拡充を図ってきたところであり、今後とも、高齢者1人ひとりのニーズを踏まえた支援に取り組んでまいります。


(6)高齢者

  • 高齢者乗車券については、その申請方法が郵送のみとなっており、申請書の記入ミスなどでのちに変更しようとしても一切受け付けない対応がなされている。このような対応を改めるとともに、区役所での直接発行を再開すること。要望の強い所得要件及び利用上限額廃止や、ICカードとタクシー助成券、渡船乗車券などの併用を可能にし、高齢者の移動権を保障すること。タクシー助成券については、1回500円という上限を撤廃するとともに、有効期限をなくすこと。

    (答)

    高齢者乗車券は、70歳以上の市民に広く認知され、利用されている制度であり、高齢者の社会参加の促進に寄与しているものと考えております。

    これまで、郵送・オンラインでの申請及び交付、オンデマンド交通に利用できる新たな券種の追加などを行ってまいりましたが、さらに、令和6年度分から、タクシー助成券を1乗車につき2枚利用できることとし、改善を図ってまいります。

    今後とも、持続可能な制度としながら、利用者の利便性の確保に取り組んでまいります。

  • 加齢性難聴は高齢者の引きこもり、孤立、事故、そして認知症の大きな原因になり、その対策として補聴器は有効であると専門家も指摘している。しかし、その購入費用は数十万円におよび負担が非常に重く、補助を求める声が広がっている。市は「加齢性難聴は加齢に伴って誰にでも起こり得る」と言いながら、自己責任を押し付け補助金創設にも背を向けている。しかし、誰にでも起こりうることだからこそ行政の支援が不可欠である。福岡市が手をこまねいている間にも実施自治体は広がり、ことし6月時点で191に広がっている。兵庫県と相模原市ではモデル事業が行われるなど、県や政令市レベルでも実施され始めた。本市でも加齢性難聴者の補聴器購入費補助制度を創設すること。

    (答)

    加齢性難聴につきましては、国において、補聴器を用いた聴こえ方の補正による認知機能低下の予防効果などの研究が進められております。加齢による聞こえづらさや見えづらさなど、老化に伴う身体機能の低下は誰の身にも起こり得ることであり、これに対応した社会生活上の支援を行うことにつきましては、その効果を見極めながら、慎重に検討していく必要があるものと考えており、引き続き、身体障害者手帳を取得されている方に対して、補聴器購入に対する助成を行うとともに、国などの動向を見守ってまいります。


(7)原爆被害者

本来、原爆被害者の相談事業や被爆証言活動については行政が行うべきであるが、本市においては「原爆被害者の会」に補助金を出し担ってもらっている。しかし、その活動は会員減少や平均年齢85歳という高齢化によって極めて困難になってきている。事業を維持・充実させることは団体の努力だけでは立ち行かない状況となっており、運営費補助金を増額するとともに必要な支援を行うこと。また、会が新たに取り組んでいる被爆体験を継承するための「語り部」養成事業については広島市や長崎市のように会と連携しながら市の責任で実施すること。また、同じ施設利用団体なのに差別的取り扱いをすることは許されず、障害者と同様に被爆者のふくふくプラザ駐車場使用料を早急に全額免除するとともに、被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付できるよう条例等の改正を行うこと。

(答)

福岡市原爆被害者への対応につきましては、原爆被害者等援護事業として、被爆者及びその家族の福利厚生や生活相談事業、小・中学校などでの「証言(語り部)活動」を継続的に行っている団体に対し、事業費の一部を助成しており、今後も引き続き支援してまいります。 市民福祉プラザの駐車場使用料につきましては、条例及び規則に基づき対応してまいります。

福祉乗車券等につきましては、障がい者と同様に規則に基づき引き続き被爆者の方に交付してまいります。



(8)アスベスト

  • 「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金の支給に関する法律」では、屋外作業員や対象期間外に被害を受けた人は補償対象外である。また、給付金法による補償基金には、建材メーカーが参加していない。これらの被害者も補償対象とすることや、メーカーによる基金への拠出を実現するよう国に要求すること。アスベスト曝露による健康被害を防ぐための規制強化、労働災害認定基準の大幅緩和、さらに建設アスベスト被害者の全面的、かつ早期解決に向け、裁判によらず簡易・迅速に救済する「被害者補償基金制度」の早急な創設などを市として積極的に国に要求すること。

    (答)

    アスベスト対策に関しましては、国におきまして、石綿障害予防規則などにより安全確保のための規制整備がなされるとともに、健康被害にあわれた方につきましては、労働者災害補償保険法及び石綿による健康被害の救済に関する法律などに基づく支援制度が設けられ、状況の変化に応じて見直しも行われております。

    福岡市といたしましては、引き続き国の動向を注視するとともに、石綿健康被害救済制度の申請窓口である各区保健福祉センターにおいて、丁寧な相談対応に努めながら、適切に受付案内・情報提供を行ってまいります。

  • アスベスト対策を抜本的に強化するために、アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し、含有調査を行うこと。大規模災害時の飛散対応等のため、アスベスト使用建築物のハザードマップを公開し積極的に市民に周知すること。また、市民へのアスベスト被害に対する啓発活動を強めること。アスベストを扱う建設労働者の防じんマスクの普及につとめ、市内業者への購入補助を行うこと。また国民健康保険の特定検診において、職種や経歴に応じてアスベストの影響・被害が明らかになるような問診・検査を行うこと。石綿調査の公的資格制度である「建築物石綿含有建材調査者」などの専門家を育成、職員も大幅に増やすなど総合的なアスベスト対策をすること。

    (答)

    解体工事のアスベスト対策につきましては、令和3年4月の改正大気汚染防止法の施行により、アスベスト含有建材の使用の有無に関する事前調査の方法が法定化されるなど、規制の強化が図られております。アスベストアナライザーは、解体工事の立入検査時に、アスベスト含有の可能性のある建材が確認された場合に使用しております。

    市民への啓発活動につきましては、今後もホームページへの掲載や区役所でのパンフレット配布など、情報発信に努めてまいります。

    また、環境省主催の技術講習会へ参加するなど、職員の専門的知識の習得やスキルの向上を図るとともに、副市長をトップとする全庁横断的な推進組織である「アスベスト対策調整部会」のもと、関係部局が情報共有を図り、合同パトロールを実施するなど、連携して取り組んでおります。今後も、引き続き「アスベスト対策推進プラン(第二次)」に基づき、総合的なアスベスト対策に取り組んでまいります。(環境局)

    アスベストが使用された建築物は違反建築物ではなく、安全を確保するため封じ込め対策を取られているものなどもあり、風評被害を生む可能性もあることから、個人情報を含むものを公開することは課題が多いと考えております。(住宅都市局)

    特定健康診査につきましては、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づく内臓脂肪の蓄積に起因した生活習慣病予防のための健診であり、厚生労働省が示す問診票に基づき実施しており、「労働安全衛生法」における労働者に対する健診とは異なりますので、新たな問診項目を追加することは困難と考えております。(保健医療局)

  • 吹付けアスベストが施工されているおそれのある民間建築物の解体、建築、補修工事における事前調査やアスベスト除去費用の補助対象を本市は「解体を予定していない建物」に限定している。解体も補助対象とし、建物所有者の負担を軽減する補助金制度の対象拡充を国に求めるとともに、市として独自の補助制度をつくり、「ゼロ・アスベスト」のまちづくりを進めること。

    (答)

    福岡市においては、良質な居住環境の形成と生活環境の保全を図るため、まずはアスベスト除去後も使用される建築物で多数の人が利用するものを補助対象としております。


(9)生活保護

  • 急激な物価上昇が生活保護世帯の生存権を脅かすなか、岸田政権は生活扶助基準を若干引き上げたものの、物価高騰にまったく追いついておらず、保護世帯の暮らしを維持・改善するにはほど遠いものとなっている。そもそも、2013年からの保護基準引下げなどによって生活保護世帯は苦しい生活を強いられており、1日3回の食事や毎日の入浴がかなわない等、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が奪われている状況にある。司法でも、この基準引下げの政府決定を違法とする判決が相次いで出されている。これまで切り下げた生活扶助費・住宅扶助費を元に戻し、憲法に規定された生存権にふさわしい水準に抜本的に引き上げるよう国に求めること。

    (答)

    生活保護基準につきましては、生活保護法第8条に基づき厚生労働大臣が定めるものとされております。また、生活扶助基準などにつきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、子どもの健全育成に必要な費用を検証するなど、社会経済情勢などを総合的に勘案して、国において見直しが行われたものであります。

  • 物価高騰による食料品や燃油代などの値上げが保護世帯に重くのしかかっている。下水道料金減免制度の復活、年末手当の支給など、市独自施策を行い、利用者の生活を支援すること。特に温暖化によって夏は災害並みの猛暑が続いており、暑さをしのぐための電気代がかさみ生活費を圧迫するため、市独自の夏季手当を創設すること。

    (答)

    生活保護基準につきましては、生活保護法第8条に基づき厚生労働大臣が定めるものとされております。また、生活扶助基準などにつきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、子どもの健全育成に必要な費用を検証するなど、社会経済情勢などを総合的に勘案して、国において定められております。

    なお、福岡市では、平成12年度に個人給付施策の見直しを行い、福祉見舞金を廃止したところであり、福岡市独自に保護基準を超える給付を行うことは困難です。(福祉局)

    生活保護受給世帯に対する下水道使用料の減免制度につきましては、負担の適正化を図る観点から、平成28年6月に廃止したものであり、同制度の復活は考えておりません。(道路下水道局)

  • 膨大な漏給、低すぎる捕捉率の早期解決が求められている。定期的な捕捉率の調査・公表、テレビCMやインターネット・SNSを活用した広報、公共施設などへのポスター掲示、市政だよりの1面への特集記事掲載などによる制度の周知徹底や相談の呼びかけ、誰もが手に取れるような場所に申請用紙を置くなど捕捉率向上策を講じること。また、申請権を保障するため「面接」「指導・助言」を口実に不当に生活保護を排除する「水際作戦」を根絶すること。

    (答)

    生活保護の相談があった場合、相談内容を具体的に確認し、「生活保護のしおり」を配布するなど、他法他施策の活用をはじめ生活保護の仕組みについて説明を行ったうえで、生活保護の申請の意思がある方には申請書を交付し、申請に必要な手続きを支援しております。

    各福祉事務所に対しましては、生活保護の申請の意思がある方の申請権を阻害しないよう指導するとともに、相談者の立場に立った懇切丁寧な対応を心掛けるよう、研修などを通して周知徹底を図っております。

  • 保護申請時、申請者の親族に「金銭的援助ができないか」などと問い合わせる扶養照会をおこなうことが、保護の申請をためらわせる原因の一つになっている。2022年度、扶養照会を行って実際に金銭的援助につながった例は2136件中わずか6件しかなく、費用対効果も薄い。扶養照会はやめること。

    (答)

    生活保護法では、民法に定める扶養義務者の扶養が保護に優先することとなっております。扶養義務者に対する調査に当たりまして、申請者の状況に配慮しながら、これまでの交流状況や関係性、扶養義務者の職業や収入などを確認のうえ、扶養の可能性がある方に対して、金銭的な扶養の可能性のほか、精神的な支援、定期的な交流について照会を行っております。

  • 全行政区の保護課面接室に1つ以上の監視カメラが設置されている。甚だしい人権侵害であり、トラブルのもととなっているだけでなく、申請・相談者に対して監視されているプレッシャーを与え、来所する人を減らす水際作戦の一種であり、直ちに撤去すること。

    (答)

    防犯カメラにつきましては、犯罪及び事故の未然防止のほか、来庁される市民や職員の安全を確保するために設置しております。なお、緊急かつやむを得ないと認められる場合にのみ録画するなど、相談者のプライバシーに十分配慮した運用としております。

  • 利用者に年1回の「資産申告」を強要することは問題である。本市でもこれを根拠に預金通帳の提出強要や財布の中身まで確認するなど著しい人権侵害さえ起きている。実施要領は、利用者と福祉事務所とが協力して金銭管理の適正化を図るとしているだけで「資産申告」強要の根拠とはなりえない。本市として、「資産申告」は一切やめること。また、国に対し、誤解を招くような実施要領は撤回するよう求めること。

    (答)

    資産申告につきましては、生活保護法第60条において、生活保護受給者が主体的に生計の状況を適切に把握する責務が定められており、国の実施要領改正において、少なくとも12か月ごとに資産申告を求めることとされております。

  • 「生活保護のしおり」や市ホームページの記載には「一日でも早く自分自身の力で生活できるよう」など殊更自立を強調したり、保護を利用していても、居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有が認められる余地があることを記載していなかったりと一面的で不適切な表現になっている。誤った情報や誤解を招く内容がないよう精査して改善し、正確に周知すること。

    (答)

    生活保護につきましては、生活保護法第4条に基づき、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが要件となっております。

    また、周知につきましては、生活保護の相談は個別に対応すべきものでありますので、生活保護の申請相談があった場合には、相談者の事情や状況に応じて資産の活用方法や弾力的な運用に関する事務連絡の内容を説明するなど、懇切丁寧な対応を心掛けるよう各区福祉事務所には周知徹底しており、「生活保護のしおり」や市ホームページにつきましても、分かりやすい内容となるよう努めております。

  • 健康状態や年齢を無視した就労の強要は止めること。現場では、教育機関で学びたい利用者の願いにまったく耳を貸さず、就労指導をおこなったり、「何でもいいから急いで就職を」と機械的な指導をおこなったりする事例が起きており、このような指導は真の自立を遠ざけるものであるため止めること。

    (答)

    稼働能力の活用につきましては、国の通知により、「年齢や医学的な面からの評価だけではなく、その者の有している資格、生活歴・職歴などを把握・分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案すること」とされており、本人の能力に適した就労が実現できるよう、本人の意向を伺いながら寄り添った支援に努めております。

    また、地域の求人状況は必ずしも本人の意向と一致するとは限らないため、本人の能力や意向を基本としながら、まずは、現状における稼働能力の活用を支援するとともに、就労後の状況に応じて、転職による増収の相談を継続するなど、本人の稼働能力がより活かせるよう、効果的な支援に継続的に取り組んでおります。

  • 適正受診指導などと称して入院日数や通院回数に対する不当な削減指導やジェネリック医薬品使用の強制を行わないこと。

    (答)

    「長期入院患者の社会復帰対策」につきましては、長期入院患者の実態を適確に把握し、適切な医療扶助を実施し、その処遇を充実することによって患者の社会復帰を助長することを目的としており、入院治療の必要性が低く、受入先があれば退院可能な人を対象に、本人、家族、医療機関、福祉事務所が連携して社会復帰に向けた取組みを行っております。

    「頻回受診者に対する適正受診指導」につきましては、病状及び受診状況などを適切に把握した上で、適正な療養指導・助言を行うことを目的としており、実施に当たりましては、事前の嘱託医協議、主治医からの意見聴取などを経て適切な処遇が図られるよう努めております。

    また、後発医薬品の普及につきましては、国全体で取り組んでおり、その一環として、医師が後発医薬品への変更を不可としていない(一般名処方を含む)場合は、後発医薬品を原則として使用していただくことになっております。

  • 入院時、医療機関からの寝巻貸与代金については保護費に含まれず負担となっており、市独自に支給すること。おむつ代については医者の認定がある場合に限定せず、必要額を市独自に補助すること。

    (答)

    入院に際しての寝巻代の支給につきましては、入院を必要とする者が入院に際し、寝巻又はこれに相当する被服が全くないか又は使用に堪えない場合に保護費から支給できることとなっており、おむつ代につきましては、常時失禁状態にある患者などが紙おむつなどを必要とする場合に支給できることとなっております。

    なお、福岡市におきましては、制度発足当時と比較して生活保護費などの措置水準などが向上していることなどから平成12年度に個人給付施策を見直したところであり、福岡市独自に保護基準を超える給付を行うことは困難です。

  • ケースワーカーの平均担当世帯数を減らすことは利用者の生活に寄り添った援助を行うために重要だが、2023年度も102.6ケースで、国の標準世帯数を20以上も上回っている。そのためにトラブルや誤った情報を伝えるなどといった事例が多数見受けられる。日本弁護士連合会や多くの専門家も職員の増員の必要性を指摘している。正規職員のケースワーカーを抜本的に増員すること。

    (答)

    ケースワーカーにつきましては、必要数の確保に努めるとともに、専門知識を有する会計年度任用職員の活用や委託事業の実施など、事務の効率化を図ることにより、1人ひとりのケースワーカーが、保護受給者の実情に即したきめ細かな相談・支援が行えるよう、業務執行体制の整備に努めております。

  • 本市のケースワーカーは大学を卒業して3年以内の職員が70%、経験年数4年以上はわずか9.7%と、依然として市職員としても、ケースワーカーとしても、経験が浅い職員が大半を占めており、それによって不適切な対応が増えている。日本弁護士連合会や学識者等から専門性の確保の必要性が指摘されており、社会福祉士や精神保健福祉士、弁護士など国家資格を有する職員の採用や配置を行い、生活困窮者へのきめ細かな支援などノウハウが継承できる体制をつくること。

    (答)

    新任職員など経験年数が短い職員につきましては、配属直後に研修を実施し、生活保護業務に必要な基礎知識の習得と接遇の向上に努めております。 また、通常の業務におきましても、先輩職員がトレーナーとして助言指導にあたるほか、係長による同行訪問や同席面接などの指導により、技能や接遇の向上を図っております。

  • 本市では、就労支援等事業などのケースワーク業務について民間企業等への委託をすすめているが、このやり方は公的責任の放棄や、保護利用者への管理強化などの問題点がある。政府が検討しているケースワーカーそのものの民間委託も含め、これ以上の外部委託はやめること。

    (答)

    被保護者就労支援事業など生活保護業務に関する業務委託につきましては、生活保護受給者の課題やニーズが多様化していることから、より個別具体的な支援を効率的・効果的に実施するため、専門的な知識や経験を有する事業者へ外部委託をしております。

  • 大学生・専門学校生などの生活保護受給権を認めないやり方や、大学、専門学校等への進学者を強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方は、進学をあきらめる子どもを生むと同時に新たな貧困を生み出している。「進学準備給付金」などの一時金ではこの問題の解決にならず、仕組みを改めるよう国に要求すること。教育扶助費や高等学校就学費用は実態に照らせばまだ不足しており、増額を国に求めること。

    (答)

    生活保護世帯から大学などへ進学する場合は、世帯分離の取扱いとすることが国において定められており、平成30年度に、大学などへ進学する際の新生活の立ち上げ費用に充てるため「進学準備給付金」制度が創設されております。

    また、教育扶助費などにつきましては、生活保護法第8条に基づき厚生労働大臣が定めるものとされており、平成30年10月には基準額が増額されるなど、充実が図られております。

    このほか、高等学校などに就学している生活保護受給者で高等学校等就学費で就学経費が賄えない場合は、就学資金の貸付対象となるほか、一定の要件の下にアルバイト収入を収入認定から除外する取扱いを行っております。


(10)貧困

  • 急激な物価高騰によって、市民の暮らしはますます苦しくなっている。所得が低くなりがちな高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、貧困対策として他の政令市にならい上下水道料金の減免をただちに実施すること。

    (答)

    高齢者や障がい者、ひとり親家庭に対する公共料金などの減免につきましては、公営企業の独立採算性や受益者負担の原則など様々な課題もあることから、今後の経済状況や国の動向などを注視してまいります。(福祉局、こども未来局)

    下水道使用料の支払いが困難なお客さまにつきましては、分割納付や支払期限の柔軟な対応など、引き続き、丁寧に対応してまいります。(道路下水道局)

    水道は、市民生活を支え、生活の質の向上と都市の成長を支える重要なライフラインであり、将来にわたる安全で良質な水道水の安定供給のため、財政の健全化を図りつつ、配水管の更新をはじめ、浄水場の再編などに計画的に取り組んでいく必要があります。

    このような中で、配水管の更新や浄水場の再編などが最盛期を迎え、建設改良費がピークとなるとともに、近年の人件費の上昇や、資源価格や資材価格の高騰などにより、これまで以上に厳しい経営環境に置かれており、水道料金の減免は、企業債残高の増大や施設の整備・更新の遅れを招き、将来に大きな負担を残すことになると考えております。

    なお、今後とも、個々の相談者の状況に応じた水道料金の支払期限の延長など、お客さまに寄り添った、きめ細かな対応を行ってまいります。(水道局)

  • 市民の貧困実態・貧困率の調査を行い、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。また、子どもの貧困対策についても、他都市にならって子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て、その達成に必要な具体的な施策に取り掛かること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、出前相談会など必要な人に支援が届くようにアウトリーチを強化すること。

    (答)

    生活困窮者への支援に当たりましては、生活困窮の実態を把握し、生活困窮者を早期に支援に繋げることができるよう、様々な支援施策や福岡市の関係部局との連携を図りながら支援を実施してまいります。(福祉局)

    子どもの貧困対策につきましては、子どもの生活状況等に関する調査の結果なども踏まえ、「第5次子ども総合計画」に基づき、関係部局が相互に連携を図り、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援に取り組んでまいります。(こども未来局)

  • 生活福祉資金貸付は、生活自立支援センターによる伴走型支援を条件にしているなど、貸付に厳しい条件が課せられており、必要な人が受けられない仕組みになっている。制度を抜本的に見直して、必要な人が受けられるよう国と県に要望すること。また、窓口はふくふくプラザで一本化せず、元にもどし、各区の社会福祉協議会で受けられるようにすること。

    (答)

    生活福祉資金貸付制度につきましては、国の要綱に基づき、県社会福祉協議会が実施主体となり、県下統一的な取扱いをしております。なお、支援を必要とされる方に対しましては、生活自立支援センターにおいて生活状況や収入状況などの聞き取りを行い、1人ひとりの状況に応じた支援を行っております。 また、窓口につきましては、県社会福祉協議会から事務委託を受けた市社会福祉協議会が直接貸付事務を行うことで、迅速かつ効率的な審査が行えることから、ふくふくプラザを窓口としております。

  • 水道料金・市営住宅家賃・住民税・国保料などの滞納は生活困窮のシグナルと捉え、ライフライン事業者の協力や局を越えた連携を行うこととなっているが、事業者には協力依頼を出しただけで、福岡市生活自立支援センターへの紹介人数さえも把握していないなど、機能していない。市の内部で局を越えた会議を定期的に開催し、積極的に実態を把握するなど、実効性のある仕組みを構築すること。

    (答)

    生活困窮者の把握につきましては、ライフライン事業者や、その他関係機関に周知を図ることで、生活に困窮された方が生活自立支援センターへの相談に繋がるよう取り組むとともに、相談者の状況に応じて関係機関と個別に情報共有を図るなど、連携して支援を実施しております。

    また、関係所属に対しましては、生活に困窮している方を把握した時は、必要に応じ生活自立支援センターや保護課への相談を促すよう、協力を依頼しております。

    令和3年度から定期的に、福祉局のほか水道局や住宅都市局などと「生活困窮者等の把握に向けた検討会」を開催し、各相談窓口への相談状況を共有するなど、連携強化を図っております。

  • 昨年行われた市の「子どもの生活状態等に関する調査」によれば、朝食を「まったく食べない」「めったに食べない」子どもの割合は年収300万円未満世帯とひとり親世帯で突出しており、小学6年生で5%、中学3年生で10%を超えている。また、子どもの食料支援などを行うNPO法人「キッズドア」が今年行った調査で、経済的に困窮する家庭のうち91%が給食がなくなる夏休みの食事に不安を抱えていることが明らかになるなど、給食がない長期休暇中に「子どもに栄養バランスのよい食事を与えられない」と心配する声が増えている。行政が本腰を入れた子どもの貧困対策に取り組まないなか、行政に代わって「子ども食堂」が大きな役割を果たしており、貧困対策のみならず子どもの居場所づくりや地域交流の場にもなっている。「子どもの食と居場所づくり支援事業」補助金を抜本的に増額し、書類手続きなどの簡素化を図ること。また、「子ども食堂」だけではすべての困窮する子どもたちをカバーすることはできず、行政の責任で子どもの欠食対策を行うこと。

    (答)

    「子どもの食と居場所づくり支援事業」につきましては、令和5年度から、補助金の拡充のほか、子ども食堂開催場所等マッチング支援などにも取り組んでおります。また、補助金交付に係る書類につきましては、できる限り分かりやすい書式や手引きに見直すなどの工夫を行っております。

    貧困の状況にある子どもの食事に関する支援につきましては、今後とも、関係部局が相互に連携を図りながら、改善に資する施策や事業に取り組んでまいります。

  • 市内のホームレスは依然として多く、安心して年を越せるよう年末年始も対応できる窓口を開設するとともに、市内の巡回を強化して、相談に応じ、支援すること。ホームレスが施設への入所を求めた場合、感染症の検査などの理由からその日に入所できない仕組みを改めるために一時宿泊所を確保すること。民間ボランティアやNPO支援団体への委託費を大幅に増額すること。ホームレス患者は、受診する時にはすでにひどい疾患を患っていることが多いため、医療機関の負担は大変重くなっている。現行の入院協力金3000円では不足しており、大幅に増額すること。ホームレスなどの利用を物理的に妨げるいわゆる排除ベンチや排除アートの設置はやめること。

    (答)

    年末年始における生活困窮者及びホームレスの方への対応につきましては、緊急を要する保護の相談や急な生活困窮が発生した場合に備え、年末は各区保護課に当番職員を配置し、年始は通常の閉庁日と同様に緊急連絡網を活用するなど相談体制の確保に努めております。

    ホームレス巡回相談につきましては、今後も専門の相談員が市内全域を巡回し、ホームレスの方の相談に応じるとともに関係機関への同行やつなぎなどの支援を積極的に行ってまいります。

    ホームレス自立支援施設への入所につきましては、待機が困難な方で、他の制度の活用ができない方は、緊急一時的に施設に入所していただく対応を行っております。

    また、入院協力金につきましては、現行の金額で実施してまいります。

    市が設置したベンチにつきましては、ベンチを利用される高齢者や障がいのある方などの立ち座りの負担を軽減するため、手すりを設置しております。


(11)民生委員

民生委員の充足率は92.4%と低い水準にとどまっており、なり手不足は引き続き深刻である。欠員の出ている地域には近隣からのフォローも行われているが、80の地域では完全に空白となっている。本市は民生委員の負担軽減のためとして地域包括支援センターの増設、スクールソーシャルワーカーの増員、一部の業務精選、活動費のわずかな増額や増員などを行っているとしているが、抜本的な改善にはつながっておらず、なり手不足の根本解決には程遠い状況である。本来行政が行うべきことを押し付けていないか等、徹底した検証を行い業務量について抜本的に削減するとともに活動費の大幅増額を行うこと。また、欠員が生じている地区を他地区の委員がカバーするやり方には無理があり、行政の責任において臨時の代替措置をとること。

(答)

民生委員の負担軽減につきましては、地域包括支援センターの増設や、スクールソーシャルワーカーの増員などのほか、令和4年度から民生委員の活動をサポートする地域共生推進員の配置を開始するとともに、会議や研修などの場で情報共有を図るなど、民生委員に過度な負担がかからないよう配慮しております。

また、民生委員が活動しやすい環境づくりに向け、令和2年度から活動費を増額するとともに、欠員地区をフォローする民生委員に対して、活動費を追加で支給しております。

今後とも民生委員の意見を踏まえ、なり手不足の解消に向けて取り組んでまいります。



(12)障害者施策

  • 福岡市障がい者差別解消条例の見直し作業が「障がい者差別解消推進会議」において進められてきたが、条例策定時には積み残しとなった「何人も」という文言を実体規定に入れる課題について、今回も取り入れない原案となっている。基本理念に入っていることを理由に実体規定に入れない案になっていることについて、少なくない当事者から「曖昧規定では差別解消は達成できない」との批判の声が上がっており、推進会議の結論だとしてこのまま進めれば禍根を残しかねない事態となっている。当事者の意見を丁寧に聴き取り、原案の見直しを図ること。また、議論の過程で明らかになった差別体験等の実態に基づいて本市の施策のあり方を具体的に検証し抜本的改善につなげること。

    (答)

    条例の原案につきましては、障がい当事者や事業者、学識経験者など様々な立場の委員で構成する推進会議において、令和4年度から10回にわたって協議を行い、推進会議としての結論が取りまとめられたものを踏まえたものとなっております。

    福岡市の施策のあり方につきましては、障がい者差別解消推進会議の意見を伺いながら、取り組んでまいります。

  • 福祉乗車券・福祉乗車証については、「持続可能な制度とするため」等として障害の程度や所得によって交付対象を狭める差別的取り扱いは許されない。特に現下の物価高騰は大半が低所得層である障害者世帯に大きな打撃となっており、対象拡大は喫緊の課題である。制度の対象を関係者から要望の強い療育手帳Bおよび精神障害者手帳2級まで拡充するとともに、所得制限を廃止すること。精神障害者に対する交通運賃割引を頑なに拒否しているJR九州及び福岡北九州高速道路公社に対し障がい者差別解消条例が定める「合理的配慮」の趣旨を踏まえ早急に実施するよう強く申し入れること。実施されるまでの間、市として自己負担分を補填する手立てをとること。

    (答)

    福祉乗車券・福祉乗車証につきましては、将来にわたり持続可能な施策としていく必要があり、対象者や所得要件の見直しは予定しておりません。

    また、精神障がい者に対する交通運賃割引につきましては、様々な機会を通して、県や他の自治体とも連携を行いながら、JR及び有料道路各社に対して精神障がい者への交通割引制度の適用について引き続き要望しております。

  • 障害者が65歳になるとそれまで受けてきた障害者サービスから介護保険サービスに半ば強制的に移行させられ、自己負担が増え、サービスが継承・継続されず利用者は肉体的にも精神的にも大きな負担を感じている。新高額障がい福祉サービス等給付費が支給されるとはいえ、対象要件から外れる人も多い。介護保険の対象年齢でも障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるなど、新たな自己負担なしでサービス水準が維持できるよう市独自の手立てをとること。問題の大元にある障害者総合支援法の第7条(介護保険優先)の廃止を国に求めること。

    (答)

    介護保険の対象となる障がい者の支援につきましては、障害者総合支援法第7条などの規定により、介護保険に障がい福祉サービスと同内容のサービスがある場合は、介護保険による給付が優先されますが、介護保険の被保険者である障がい者から障がい福祉サービスの利用に係る支給申請があった場合は、具体的な利用意向などを把握した上で、障がい者の個々の状況に応じて必要なサービスの支給決定を行っております。

    また、平成30年度の制度改正により、障がい者が65歳以上になっても使い慣れた事業所においてサービスを利用しやすくする観点などから、高齢者や障がい児・者が共に利用できる「共生型サービス」が創設されております。

    新高額障害福祉サービス等給付費につきましては、一定の要件を満たす高齢障がい者の介護保険に係る自己負担の一部を償還払いすることで、利用者負担の軽減を行っております。しかしながら、対象外となる方々もいることから、今後も引き続き国に対象者範囲の見直しを要望してまいります。

  • 本市では、聴覚障害当事者や関係団体からの長年の要望を受け、全ての市長会見に手話通訳者を配置するよう改善されたものの、市主催の行事においては未だ徹底されていない。市主催行事のすべてに手話通訳者をつけること。

    (答)

    市主催の行事における聴覚障がい者への配慮につきましては、福岡市職員が差別の解消に向け、特に合理的配慮の提供を適切に行うために必要な事項を定めた職員対応要領などにより周知を行っており、引き続き、全職員を対象としたeラーニングの実施などにより、障がい者に対する合理的配慮の提供について周知を図ってまいります。

  • 「手話言語条例」は36都道府県を含む506自治体へと広がり、政令指定都市においても6自治体へとひろがってきている。しかし、本市においては障がい者差別解消条例に手話も言語に含むことが書き込まれていることを理由に頑なに言語条例制定に背を向け続けており、当事者から批判の声が上がっている。これ以上の先送りは許されず、本市においても早急に制定作業に入ること。

    (答)

    「手話言語条例」の制定につきましては、差別解消条例において、手話も言語に含むこととし、障がいのある方に対してコミュニケーション及び意思決定の支援などを保障する必要があるとの基本理念を定め、障がいを理由とする差別の解消を推進することとしており、同条例の普及や施行状況、国の動向を見守りながら、対応を検討してまいります。

  • 手話通訳者派遣事業の範囲は若干ひろがったものの「社会生活上外出が必要不可欠なとき」等として未だに条件をつけており、当事者の要望を踏まえ利用条件を撤廃すること。また、聴覚障害者用の情報提供施設について市民プラザ内の「情報センター」では極めて不十分な機能となっており、春日市のクローバープラザ並みの機能を持たせること。

    (答)

    手話通訳者の派遣につきましては、現在、医療機関や公共職業安定所などを利用する場合や、公的機関などが主催・共催する講演、会議に出席する場合など、社会生活上外出が必要不可欠なときにおいて、適当な通訳者が得られない場合に派遣しております。平成28年度からは社会生活上の必要性が高い、電気・ガス・水道の手続き・工事や携帯電話・ファックスなどの購入・修理も加えるよう派遣対象を拡充しております。

    聴覚障がい者用の情報提供施設につきましては、平成25年度から市民福祉プラザ内に聴覚障がい者情報センターを設置し、聴覚障がい者、盲ろう者及びその家族などへの相談対応や手話通訳者や要約筆記者等の派遣など総合的なコミュニケーション支援を実施しております。

  • 本市における登録手話通訳者数は74人と少なく、担い手が不足している手話通訳者の養成を確実にすすめるためにも、4時間未満4160円、4時間以上5370円という報酬の引上げ、市が直接正規職員として雇用するなど、専門職にふさわしい待遇に引き上げること。

    (答)

    手話通訳者の派遣報酬につきましては、引き続き他都市の状況を研究してまいります。また、福岡市内の7区役所に会計年度任用職員として採用した手話通訳職員を配置しております。

  • 強度行動障害者の短期入所施設は絶対的に不足しており、市の責任で増設するとともに、民間事業者の参入がひろがるよう職員加算や施設の改造費補助を創設すること。「強度行動障がい者支援事業」はノウハウの蓄積、人材の育成、事業者への支援などを充実させること。

    (答)

    短期入所施設につきましては、事業者へ働きかけを行うほか、国庫補助なども活用し、強度行動障がい者の受入れ拡大に努めていくとともに、利用者一人ひとりの状況に応じた十分な支援体制が確保されるよう、国に対して報酬の見直しを要望してまいります。

    また、強度行動障がい者支援事業につきましては、支援拠点施設「か~む」において、3か月程度の集中支援を行い、個々の障がい特性に応じた支援計画を検討・策定し、行動問題の軽減を図り、地域移行が促進されるよう取り組んでおり、「か~む」での支援後に地域での受入れが進むよう、新たに受入れ後の継続した人的な支援や部屋の改修など、ソフト・ハードの両面から支援を行ってまいります。また、「か~む」を利用しない場合でも、引き続き家族や事業所の相談に応じ、必要に応じて家庭訪問や事業所訪問を行い、適切な助言・指導などを行うことで、障がい当事者や家族が潜在化しないよう努めるとともに、事業所職員の支援技術の向上を図るための研修や、強度行動障がい者を受け入れる事業所の負担軽減や技術向上等を図るため、受入れ事業所と他の事業所の職員が共同で支援にあたる「共同支援事業」を実施してまいります。

  • 障害者グループホームの設置数は増えてきたものの、ニーズからすれば大幅に不足している。市の運営費補助を更に拡充するとともに、土地や建物の確保や新設時の改修費への補助を増額すること。また、利用者への家賃補助については、市が独自に上乗せ補助を行うこと。低すぎる報酬単価によってひとり夜勤体制となっている等の状況を解消するためにも報酬額を抜本的に引き上げるよう国に求めること。

    (答)

    障がい者グループホームにつきましては、障がい者の地域生活への移行を支援する生活基盤として重要であると考えております。グループホームの整備促進につきましては、市独自の補助制度として、消防用設備、備品購入費など、開設時に必要な費用の補助を行っており、さらに重度障がい者等の受入れ促進のための、設備改修費も補助してまいります。また、令和2年度は重度障がい者を受入れに対する運営費補助の新設を行い、令和4年度からは、強度行動障がい者のグループホームへの受入れを促進するため、運営費補助の対象を拡大しております。

    利用者への家賃補助につきましては、国に対し上限額の引上げを引き続き要望するとともに、令和6年度の国の報酬改定の内容を踏まえ、事業所の経営実態に見合う適切な報酬水準が確保されるよう、今後も必要に応じて国に求めてまいります。

  • 知的障害者の地域生活移行については、必要とする支援の質・量の確保、十分な所得保障や住宅手当の充実等、知的障害者の希望と選択を最大限尊重する仕組みを構築することなしに、進めることは許されない。入所施設も「終の住処」として利用できるようサービス提供や支援の実態について現場で適宜確認するとともに、設備や職員体制の充実を図り「親なきあと」の不安を取り除くこと。

    (答)

    入所施設につきましては、真に必要とする方たちが適切に利用できるよう、制度、財政両面からの支援を国に要望するとともに、障がい者の重度化、高齢化や「親なき後」の生活の安心も見据え、知的障がい者などが、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、在宅で生活するために必要な支援の充実を図るなど、総合的な支援体制の構築に取り組んでまいります。

  • 国において、処遇改善加算がされたものの、障害者支援施設等労働者の賃金は全産業労働者平均まで未だ月6万円近くの隔たりがある。加算分を基本報酬に組み込んだ上で抜本的な引き上げを図るよう国に求めること。また、最低賃金の引き上げが行われた際には正規の施設職員賃金にも連動し、施設規模によっては新たに数百万円の財源が必要となる場合もあるが、何の手立ても取られておらず経営を圧迫している。財源の手当てするよう国に求めること。また、市独自に処遇改善のための補助や家賃補助を創設すること。

    (答)

    障がい福祉サービスなどにおける福祉・介護職員などの処遇改善加算につきましては、国において令和4年10月に福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算が創設されるなど制度が拡充され、さらなる賃金改善が実施されております。今後とも、障がい福祉サービス事業所が安定した経営が可能となるような報酬水準が確保され、良質な人材確保が図られるよう引き続き国へ要望してまいります。

    また、事業者に対して処遇改善加算などの取得を促進するなど職員の処遇改善につながる取組みを進めてまいります。

    なお、実地指導などにおいて賃金などに関する法令違反が確認された場合については、労働基準監督署などと連携し、改善を指導してまいります。

  • 障害者の一般就労は、収入を得るということだけではなく、就労によって本人が社会とのつながりを持ち、生活や人生を豊かにする等、重要な意味を持っている。障害者に対する継続した就労支援には就労支援事業所職員が安心して働ける雇用の安定性が不可欠であり、NPOや社会福祉法人などA型事業所を営む法人が安心して就労支援事業を継続していくために、国に報酬単価の引上げを求めるとともに、市として独自に財政支援を行うこと。また、B型事業所においても工賃の増額が図れるよう市としても財政支援を行うこと。

    (答)

    就労継続支援事業所職員の処遇改善につきましては、国において令和4年10月に福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算が創設されるなど制度が拡充され、さらなる賃金改善が実施されております。今後ともさらに障がい福祉サービス事業所の経営実態に見合う報酬水準が確保され、良質な人材確保が図られるよう引き続き国へ要望していくとともに、事業所に対して処遇改善加算などの取得を促進するなど職員の処遇改善につながる取組みを進めてまいります。

    また、工賃向上に向けた支援につきましては、障がい者工賃向上支援センターにおいて、業務開拓や障がい者施設への受注調整、受注体制づくりの支援を行うとともに、障がい者施設の商品やサービスについて、ときめきショップやホームページなどで積極的に情報発信するなど、一体的に支援を行ってまいります。

  • 本市の障害者雇用は、法定雇用率を超えてはいるものの、その内訳はほとんどが非正規雇用となっている。正規の採用枠を抜本的に増やすこと。民間企業に障害者の採用増を要請し促進するため、国任せにせず、本市独自の補助制度をつくること。

    (答)

    福岡市における障がい者の雇用につきましては、障がいの特性に応じた業務内容や職場環境に配慮しながら、今後とも計画的な採用を行い、雇用の拡大に努めてまいります。(総務企画局)

    民間企業の障がい者雇用につきましては、障がい者就労支援センターにおいて、企業訪問や企業セミナーなどを実施し、障がい者雇用の啓発・助言を行っております。

    今後とも、ハローワークや就労移行支援事業所などの関係機関や民間企業と連携を図りながら、障がい者の就労支援に積極的に取り組んでまいります。

    なお、障がい者の採用にあたっての助成につきましては、国の制度として特定求職者雇用開発助成金などの各種制度があり、企業などからの相談があった場合には、適切に情報提供を行ってまいります。(福祉局)

  • 障害者関連施設の指定管理者を社会福祉事業団から民間団体に移行する公募の動きや指定管理料の縮減はサービスの低下を引き起こすものでありやめること。

    (答)

    社会福祉事業団は、福岡市の障がい児・者福祉分野において重要な機能を果たしており、今後とも障がい福祉サービス事業への民間の参入状況を勘案しながら先駆的・高度専門的な分野や民間の取組みが進んでいない分野に重点的に取り組むとともに、社会福祉法人としての自主性や組織体制の適正化を図りながら、中・長期的視点に立った組織や機能の見直しを進めてまいります。


(13)ヤングケアラー

子どもたちが、家族・近親者の世話や介護に追われ、重い負担に苦しんだり、成長や進路の障害となったりするヤングケアラーは深刻な社会問題になっている。本市でも専用相談窓口と専用相談ダイヤルが設置され、2022年度は延べ437件の相談が寄せられており、うち当事者は10%ほどである。当事者が容易に相談できるようSNS相談窓口を開設すること。また、市として支援団体の方々の意見を踏まえ、教育現場や福祉現場におけるヤングケアラー問題の研修の充実、市民への啓発を進めながら、総合的なヤングケアラーの実態調査に取り組み、地域ソーシャルワーカーの配置をはじめとした支援策を構築すること。さらに、社会福祉や教育、児童心理分野等の専門家を配置し、総合的な取り組みを進めることができる専門の部署を早急につくり、各区役所にも担当者を設置すること。

(答)

ヤングケアラーへの支援につきましては、学校をはじめ要保護児童支援地域協議会の構成機関などが連携しながら実態の把握に努めており、ヤングケアラーの相談窓口に専門のコーディネーターを配置して、子どもの置かれた環境に応じ、必要な福祉サービスの利用など、適切な支援に繋げております。

また、SNSによる相談受付や関係機関への研修、ヘルパー派遣、実態調査、市民への啓発など支援の充実に努めており、引き続き、関係局と緊密に連携を取りながらヤングケアラーの支援に取り組んでまいります。

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3、ムダな大型開発をあらため、市民の生活・安全優先のまちづくりを

(1)天神ビッグバン・博多コネクティッド

“まち壊しプロジェクト”である天神ビッグバンは、庶民が気軽な買物のために集えなくなっているとともに、今度は風情のある水鏡天満宮横丁からも飲食店を追い出し、横丁ごとなくそうとしている。また、市独自の耐震基準をクリアしている天神エリアのビルは4割にとどまっており、地震などの際に1万7000人以上が路頭に迷う課題は後回しにしているなど、「安全・安心、災害に強い街づくり」という謳い文句も実態に合っていない。さらに天神通線北側整備に今後60億円かけるなど「税金を投入しない」と言いながら際限なく使っている。天神ビッグバンは現時点できっぱり中止すること。博多コネクティッドも天神ビッグバン同様、巨額の税金投入がなされており中止すること。

(答)

「天神ビッグバン」につきましては、警固断層のリスクがあるなかで、耐震性やセキュリティに課題を抱える更新期を迎えたビルが多い天神地区において、規制緩和を積極的に活用し、民間投資を喚起することで、ビルの建替えを促し、災害に備えると同時に、新たな雇用や空間、税収を生み出していくプロジェクトとして取り組んでおります。また、「博多コネクティッド」につきましては、筑紫口駅前広場やはかた駅前通りの再整備など交通基盤の拡充とあわせ、ビルの建替え誘導や回遊性の向上などを図り、博多駅の活力と賑わいをさらに周辺につなげていくプロジェクトとして取り組んでおります。

ビルの建替えにあたっては、規制緩和などにより、耐震性が高く、先進的なビルへの建替えを誘導し、水辺や緑、文化芸術、歴史などが持つ魅力にさらに磨きをかけ、多様な個性や豊かさを感じられる、多くの市民や企業から選ばれるまちづくりに取り組んでまいります。



(2)人工島・港湾再編

  • 人工島の土地処分は公共施設の移転、立地交付金のばら撒きなどあの手この手で巨額の税金を投入した結果である。長年にわたり毎年100億円もの税金がつぎ込まれてきた上に、今後も約284億円の事業費を見込んでいる。このような一定の地域を特別扱いする税金の使い方はやめること。

    (答)

    アイランドシティにつきましては、居住者が1万4千人を超え、まちの成熟が進むとともに、大規模物流施設の立地などによる港湾機能の強化が進んでおり、引き続き、豊かな市民生活の実現や福岡市の成長に寄与するよう、先進的モデル都市づくりや、国際物流拠点の形成などに取り組んでまいります。

  • 港湾計画で定める博多港の国際海上コンテナ取扱量目標値130万TEUは、現在のペースで目標達成は「厳しい」と当局も認めざるを得ない状況である。さらに、人工島への5万トン級以上のコンテナ船の入港は、直近の5年間でわずか13隻である。15メートル水深の人工島D岸壁の整備や大型コンテナ船対応のための東航路整備事業は必要性がなく税金のムダづかいでありやめること。

    (答)

    博多港は、九州の輸出入コンテナの半数以上を取り扱っており、九州の経済、産業を支える基盤として重要な役割を果たしております。このような中、令和5年3月にはアイランドシティコンテナターミナルにおいて拡張したコンテナヤードを供用開始しております。

    また、近年では、基幹航路を中心に数多くの大型船が投入されており、中国航路や東南アジア航路などアジア域内においてもコンテナ船の大型化が進んでいる状況にあります。

    こうした船舶の大型化や貨物の増加に対応し、船舶の安全かつ円滑な航行を確保するためには、岸壁や東航路の整備が必要であります。

    引き続き、アイランドシティD岸壁の早期整備につきまして、様々な機会を捉え国に提言を行うなど、コンテナターミナル全体の機能強化に取り組むとともに、港湾計画の目標値である「国際海上コンテナ取扱個数130万TEU」の達成に向けて戦略的に取り組んでまいります。

  • 民間住宅や道路・下水道などに助成する「住宅市街地総合整備事業」による積水ハウスなど特定の大企業への露骨な税金投入はやめること。

    (答)

    アイランドシティは、(第9次)基本計画において「活力創造拠点」として位置づけ、「環境と共生し快適な居住環境を形成する先進的モデル都市づくりを進める」としていることから、新たな核となる住宅市街地づくりを行うため、引き続き、住宅市街地総合整備事業を活用し、環境に配慮した良質な住宅整備の誘導や道路などの都市基盤施設の整備を進めてまいります。

  • 「中長期的な視点で検討」などとしていまだに現存している必要のない鉄軌道の導入計画はきっぱりとやめること。

    (答)

    アイランドシティへの鉄軌道の導入につきましては、アイランドシティのまちづくりの進展や、東部地域の交通体系の変化の状況などを踏まえつつ、中長期的な視点に立ち検討を行ってまいります。

  • コロナ禍でインバウンドが破綻して、ウォーターフロント地区再整備も大幅な見直しが迫られた。海外クルーズ船の寄港が再開したことを理由に賑わいの拠点などといって財政負担が伴う開発を行わないこと。中央ふ頭や須崎ふ頭の新たな埋立て、埋立費用だけで700億円と莫大な費用がかかる箱崎ふ頭地区の水面貯木場及び海面処分場の埋立てはやめること。

    (答)

    ウォーターフロント地区(中央ふ頭・博多ふ頭)につきましては、ふ頭基部において、MICE関連施設が一体的に配置されたMICE拠点の形成や、賑わいと憩い空間の創出など、引き続き市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。(住宅都市局)

    中央ふ頭、須崎ふ頭及び箱崎ふ頭地区の埋立てにつきましては、博多港港湾計画に位置づけており、引き続き、検討を進めてまいります。(港湾空港局)

  • 第3セクター・博多港開発株式会社はケヤキ・庭石事件を起こすとともに、人工島事業の土地処分ができず、経営危機に陥り、市から多額の増資を受け、会社2工区を市に399億円で譲渡するなど、巨額の税金が投入されたおかげで存続している会社である。そもそも市の外郭団体の見直しでは、廃止も含めて検討されてきたものであり、このような会社に今後の埋立事業などを担わせることは許されず、会社はただちに解散し清算すること。

    (答)

    博多港開発株式会社につきましては、これまでも福岡市と両輪でふ頭の整備を行うなどの重要な役割を果たしてきており、今後とも、これまで蓄積した同社のノウハウや資産を博多港の機能強化など公共性の高い分野に積極的に役立ててまいりたいと考えております。


(3)世界水泳

市長は大会後「良かった」と成功したかのように宣伝しているが、発表された来場者は水増しされ、マスコミは「福岡『祭り』の恩恵乏しく」と報じた。市民に押し付けられる130億円もの財政負担は減るどころか、さらに膨れる可能性が高く、逆に経済波及効果540億円など、程遠いものに終わるであろうことは明白である。また電通をはじめ不透明な契約などの問題も解明されていない。2度の延期を経ても、世界水泳を福岡で開催することにこだわり、ありもしない経済波及効果を喧伝し、市民に多額の負担を押しつけることになった市長の責任は重大である。客観的な検証を行うとともに、経済波及効果の計算根拠や電通との契約内容など黒塗り資料の内容を早急に公開すること。

(答)

経済波及効果の根拠等につきましては、大会事業費の確定後、お示しいたします。


(4)大阪・関西万博

大阪・関西万博について観光誘客にとどまらず会場内でのブース出店やイベントの開催を議会にも諮らず予定していたことが明らかになった。世論調査でも開催に対して「反対」が多数を占めるなど万博に福岡市が関与する理由はない。また、万博を契機にカジノを推進しようとしており本市がカジノを容認するメッセージを送ることになる。このようなイベントに市民の税金を使うことは許されず、きっぱりと万博から手を引くこと。

(答)

福岡市では、国内で開催されるイベントなどを活かした効果的な観光誘客に取り組んでおり、引き続き、これらの機会を活かしながら誘客を進めてまいります。


(5)MICE・観光

インバウンドや高額所得者のみをターゲットとした観光政策ではなく、観光地の住民が望む形での観光客の受け入れができるよう住民と自治体と観光関連業界とで検討することでサスティナブルツーリズム実現のための支援をすること。

(答)

サステナブルツーリズムにつきましては、観光関連事業者向けのセミナーやマッチング・アドバイスなどの支援を行い、地域や事業者と連携しながら、省エネや地産地消などを取り入れた旅行商品の造成を促進するなどの取組みを進めており、今後も引き続き推進してまいります。


(6)国家戦略特区

国家戦略特区は、農業、医療、教育、労働などの分野の国民生活や安全にかかわる規制について、財界の要求に応じて緩和し、市民を守るルールを壊す仕組みとなっている。この制度は地域経済の発展にもつながらず、真の意味での経済成長をもたらさない。本市の「グローバル創業・雇用創出特区」指定を返上すること。

(答)

福岡市の国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」につきましては、スタートアップ支援による開業率の向上やイノベーションの推進による新たなビジネスなどの創出により、雇用の拡大を図ることを目的として取り組んでおります。

福岡市につきましては、特区の指定からこれまでの成果として、創業のすそ野が広がり、多くの企業が生み出されるなど、創業都市としての存在感が格段に向上しております。また、既存企業とスタートアップ企業のビジネスマッチングも進めてまいりました。そうした取組みを継続しつつ、次のステップとして、数多く誕生した企業の中から世界を舞台として飛躍的に成長する企業が生まれることを目指し、グローバル展開やスケールアップの促進に取り組んでおります。

今後とも、国家戦略特区を活用することにより、技術革新や市民ニーズの変化で、時代に合わなくなった規制を緩和し、新しい価値の創造にチャレンジする企業の支援や、既存企業と創業企業との連携による相互の成長を図り、福岡市の都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。


(7)福岡空港

福岡空港は「東アジアトップクラスの国際空港」にすることを謳い文句にして、30年後に旅客数を現在の1.5倍にし、路線数を倍加させるとしているがコロナ禍で旅客数が激減するなどその計画は破綻している。また、航空業が気候変動に与える影響は大きく、地球環境を保持する観点からも矛盾する。こうした無謀な計画を見直すように国・県に求めるとともに滑走路増設をやめるように要求すること。

(答)

福岡空港は、九州・西日本地域の発展を支える主要地域拠点空港として、重要な役割を果たしており、その機能強化は大変重要であると考えております。

福岡空港につきましては、ピーク時間帯には増便が困難なほど過密化が進んでいることから、「総合的な調査」や「PI(パブリック・インボルブメント)」の実施などの様々な手順を経て、国において滑走路を増設することを決定し、平成27年度に事業着手されたところです。

福岡市としては、航空機混雑を解消するとともに、将来の航空需要に適切に対応していくため、引き続き増設滑走路の令和6年度末供用開始に向けた取組みを、国や県とともに推進してまいります。


(8)九州大学箱崎キャンパス跡地

  • 箱崎キャンパス跡地のまちづくりは、キャンパス周辺の4校区(東箱崎、箱崎、松島、筥松)が長年にわたって、住民の要望をまとめた「九大跡地利用4校区協議会」の提案の方向性や精神を踏まえることが必要である。地元住民が求めている元寇防塁跡の可視化保存・活用や防災機能を備えた広い公園の整備、住民が集えるコミュニティセンターの設置は、グランドデザインの方向性と同じであり、住民要望を実現すること。九州大学総合研究博物館については、箱崎キャンパスの歴史的建造物を活かして保管・展示し、市民へ公開、活用するなど、九州大学に住民要望の実現を求めること。

    (答)

    九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、地域とともに創り上げた「グランドデザイン」(平成30年7月 福岡市・九州大学)に基づき、都市基盤の整備を着実に進めるとともに、まちづくりの具体化に取り組んでおります。

    今後も、地元住民のご意見などを踏まえ、九州大学などと連携してグランドデザインの実現を目指してまいります。

  • 市長が九大箱崎跡地で推進しようとしている「FUKUOKA Smart EAST」(スマートイースト)はAIやビッグデータ等の最先端技術を使って個人情報を勝手に利用する住民監視のまちづくりに他ならない。首相官邸主導の特例的な規制緩和で行うスーパーシティ構想につながるスマートイーストは、やめること。また、11月25日には同構想の実証実験として一般客を乗せて箱崎地域を走行中の自動運転バスがタクシーと接触する事故を引き起こしている。スマートイーストは規制緩和を図り、安全対策や検証はないがしろにしたまま民間大企業の利益を優先して拙速に進めているものに他ならず、実証実験をやめること。

    (答)

    「Fukuoka Smart East」は少子高齢化など、まちづくりの様々な課題を解決しながら、持続的に発展していくため、最先端の技術革新の導入などによる快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市を創造していくものであります。

    まずは、その先駆けとして、箱崎のまちづくりにおいて取り組み、それが全市に広がり、より多くの人々に届くよう進めてまいります。

    市民などへの体験会等の実施にあたっては、関係機関と連携し、安全性等を確認しながら取り組んでまいります。

  • 8月8日の西日本新聞で、「九大跡地再開発地場連合が解消」という見出しで、JR九州、西部ガス、西鉄、九電が参加する、地場企業連合の意見がわかれ、共同入札が白紙になったと報道され住民が望まないアリーナ建設計画が発覚した。市は「把握しておらず、そもそも公募期間中に公の立場の者が公の場でこのような議論をすること自体、公募の支障になる」などと議会論戦や住民への情報開示に否定的な態度を示したのは言語道断である。すでに45億円もの税金をつぎこんできたもので、住民への情報開示は当然である。さらに九大跡地まちづくりの中心的役割を果たしてきた本市が、知らないふりをすることや公募を理由に跡地の開発について市民にも議会にも説明しない姿勢は許されない。市民への情報開示を行い、グランドデザインから逸脱することがないよう手立てを取ること。

    (答)

    九州大学箱崎キャンパス跡地の公募に当たりましては、地域とともに創り上げた「グランドデザイン」(平成30年7月 福岡市・九州大学)の実現に向け、「ゆとりある都市空間」や「多様な都市機能」、「様々な社会課題を最先端技術で解決するFukuoka Smart Eastの取組み」などを計画条件としております。

    今後も、地元住民のご意見などを踏まえ、九州大学などと連携してグランドデザインの実現を目指してまいります。

  • マンション開発の結果、人口が急増し、開校後わずかな期間で過大規模校となった東区の照葉地区の小中学校を教訓に、東箱崎小学校区では近隣も含めマンションの建設が進み、小学校のパンクが予想される。小学校用地を確保するとともに、今後中学校の分離・新設用地の必要性がないかどうかも検討すること

    (答)

    九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、新たな拠点の創出に向けて多様な都市機能の誘導を図るとともに、周辺の住環境などに配慮した住戸数となるように取り組んでおります。(住宅都市局)

    なお、学校用地の確保を含めた過大規模校への対応につきましては、「福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」に基づき、児童生徒数の推移や住宅開発の動向を注視しながら、適切に取り組んでまいります。(教育委員会)


(9)住宅

  • 日本における住宅政策は、長年、住宅確保を「自己責任」として、公的責任を後退させる新自由主義的政策がとられてきた。アベノミクス以降の格差と貧困の拡大によりその傾向はさらに強まっている。「福岡市住生活基本計画」「福岡市住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」は「民間まかせ」「自己責任」「持ち家偏重」を基本とする国の住宅政策に追随するものである。本市の借家戸数は6割を超えており、賃貸が多数である現実を踏まえ、市営住宅や家賃補助を抜本的に増やすなど「住まいは人権」との立場に立って、これらの計画の見直しをすること。

    (答)

    住宅確保要配慮者への住宅の確保につきましては、住宅審議会での審議を踏まえ策定した「住生活基本計画」及び「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」に基づき、市営住宅を含む公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅を合わせた賃貸住宅市場全体での対応を基本とし、引き続き、重層的な住宅セーフティネットの機能強化に向け取り組んでまいります。

  • 収入が年金のみの世帯、学生を含む単身者世帯、シングル子育て世帯等々、賃貸住宅に暮らす世帯で高すぎる住居費が家計を圧迫している。加えて、昨今の物価高騰が何重にも暮らしの危機的状況を招いており深刻さを増している。政府の住宅セーフティネット制度に基づいた、最大月額4万円の家賃低廉化(家主に給付する家賃補助)の対象となる登録住宅居住者への給付実績は、2021年度は本市でわずか2戸、2022年度も4戸のみである。募集戸数を抜本的に増やすとともに事業者や市民に制度の周知を広げ、若者単身者も対象にすること。また、入居者自身に家賃を支給するよう制度を改め、セーフティネット住宅に限定せずに枠を広げることを国に求めることと合わせて、こうした制度を市独自で行うこと。

    (答)

    低額所得者などの住宅確保要配慮者の居住の安定確保につきましては、「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」に基づき、セーフティネット住宅への改修費補助や要支援世帯に対する入居者負担低減などの経済的支援策を設けており、引き続き、制度活用に向けて、広報・周知に取り組んでまいります。

  • 「住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸」する市営住宅はニーズが高いのに、応募倍率は、一般枠で9.1倍、単身の高齢者・身体障害者は28.4倍など、前年度から上昇している。「管理戸数は現状維持」という計画を見直し、新規に建設を行うとともに、髙島市長就任当初より400戸以上も減っている管理戸数を建替え時に増やすこと。またUR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど多様な供給方式の具体化を行うこと。

    (答)

    市営住宅につきましては、管理戸数のうち約半数の住戸が、昭和40年半ばから50年代に整備され、順次、更新時期を迎えることから、現在、居住環境を維持保全し、将来にわたって安定的な運営を図っていくため、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づく、計画的・効率的な建替えや改善事業に、鋭意取り組んでおります。

    また、令和4年10月よりUR賃貸住宅の空き家をセーフティネット住宅として登録し、入居者負担軽減のため経済的支援策を設けております。

    民間賃貸住宅の活用につきましては、引き続き、福岡市と住宅事業者や福祉団体などで構成する「居住支援協議会」において、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できる支援策を実施するとともに、継続的に協議・検討を行ってまいります。

  • 20代単身者の最大の支出は家賃である。市営住宅の現行の入居基準を見直し、年齢の制限を設けず、若者も入居できるようにすることは多様な年齢層で団地コミュニティを構成することにもつながる。民間賃貸住宅の借り上げを含めて若者向け市営住宅を増やすこと。

    (答)

    若者の単身世帯の市営住宅への入居につきましては、市営住宅条例において、心身障がい者や災害被災者、DV・犯罪被害者など、より住宅困窮度が高い方は、年齢に関わらず入居申込ができることとしております。

    また、若者のうち、低額所得者や住宅困窮者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として登録をするセーフティネット住宅の登録促進や、要配慮者に対する家賃低廉化補助などの経済的支援を行うなど、引き続き、要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう支援してまいります。

  • 住民による市営住宅の共益費徴収や、草取り、駐車場の管理、電灯交換などの設備管理、住民トラブルの解決等を管理組合に押し付けるのではなく、市および住宅供給公社が責任を持って行うこと。また、電灯は改修工事や故障時の交換を待たずに交換頻度が少ないLEDの利用を早急に進めること。

    (答)

    市営住宅における共益費の徴収などにつきましては、市営住宅条例及び同条例施行規則により、入居者には共用部分の光熱水費などの費用負担のほか、敷地内を適正な状態に維持していただく必要があることから、管理組合などによる共同での履行をお願いしております。

    なお、管理組合活動を支援するため住宅供給公社に専任の係組織を設置しており、共益費回収などの支援に取り組んでおります。

    市が共益費を徴収することにつきましては、制度上の整理や良好なコミュニティ形成への配慮などの課題もありますので、地域の実情や現在行っている支援の効果などの状況を踏まえながら検討してまいります。

    LEDの利用につきましては、新築住宅において平成24年度から共用廊下灯を、平成27年度以降は、全ての照明器具をLED照明としております。また、既存住宅につきましても、引き続き、外壁改修工事や蛍光灯型照明器具が故障した際に、LED照明へ交換してまいります。

  • 市営住宅の建替えに伴う余剰地については、第一義的には市営住宅の増設を図ること。それ以外の場合でも、住生活基本計画に基づき民間売却ではなく住民要望を反映し、「高齢者福祉施設等の誘致」など公的に活用すること。また、弥永住宅の余剰地には住民要望にそって、高齢者福祉施設や児童館、図書館等を設置すること。

    (答)

    市営住宅につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、建替えや改善事業による機能更新を進めております。

    大規模な市営住宅を建て替える際は、土地の有効活用により将来活用地を創出し、公共施設の導入や、福祉関連部局と連携し、地域課題を踏まえた福祉施設の誘導を行うなど、地域拠点の整備を進めてまいります。

    今後も、将来活用地につきましては、行政需要調査を踏まえた公共利用を最優先にしながら、地域の意向も踏まえ、その規模や地域特性に応じて事業提案公募による売却を実施するなど、活用方法を検討してまいります。

  • 市営住宅の管理は指定管理者ではなく市住宅供給公社で行うこと。

    (答)

    市営住宅の管理につきましては、幅広い管理業務のうち、民間事業者が通常実施している、保守管理、緊急・小口修繕及び駐車場管理運営業務について、民間事業者の能力やノウハウを活用し、入居者サービス向上などを図るため、一部の区において民間事業者による指定管理を実施しております。

    今後とも、市営住宅の機能や役割を踏まえつつ、福祉的な配慮への対応やコミュニティの活性化、効果的な管理運営などに向け、福岡市住宅供給公社、民間指定管理者、それぞれの力を引き出しながら、安定的なサービス提供に努めてまいります。

  • 市営住宅の入居者の訪問介護や訪問看護およびデイサービスの送迎等の際に利用できる無料の来訪者用駐車場を確保すること。また、敷地内有料駐車場に近隣の工事車両などが長時間駐車して、市営住宅の住民への来訪者が利用できない事態も生じている。住民関係者が優先して使えるように必要な手立てを取ること。

    (答)

    市営住宅における来訪者用駐車場につきましては、入居者の親族などの来訪や介護サービスなどの訪問時の駐車スペースについてニーズが高くなっているため、市営住宅にコインパーキングを設置しているほか、令和5年度から、一部の団地で、デイサービスなどの一時駐車場所の確保や予約制の駐車場シェアリングのモデル事業を行っております。

    また、コインパーキングなどの利用状況を踏まえ、市営住宅への来訪者などが利用しやすい運営に努めており、今後も駐車場の適切な管理運営に取り組んでまいります。

  • エレベーターのない市営住宅はバリアフリーの観点から重大な問題である。建替えなどで対応する現在の市の整備計画ではあまりにも遅く、市営住宅などについて「市は…高齢者、障がい者等が安全かつ円滑に利用できるようにするために…必要な措置を講じるよう努めなければならない」と定めた福祉のまちづくり条例にも反する。すべての市営住宅にエレベーターをすみやかに設置し、バリアフリーにすること。

    (答)

    エレベーターの設置につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、特に老朽化が著しい中層住宅の建替えを推進するとともに、片廊下型の既存中層住棟への設置に努めております。


(10)中高層建築紛争

  • 中高層マンション建築の苦情相談件数は昨年度101件にも及び、住環境を守りたいという住民の願いは高まっている。「建築紛争の予防と調整に関する条例」は建築に対する「住民合意」を求めておらず、紛争の原因となっている。住民合意・罰則規定の導入など条例をより実効性のある内容に抜本的に改定すること。条例の抜本的改正されるまで当面、当事者となる「住民」の範囲拡大、住民から要求があった場合の説明会開催の義務化、原則として説明会出席者全員が署名した議事録の提出、市の指導の義務化などを盛り込んだ、条例改正を緊急に行うこと。また、解体についても近隣住民への事前説明と周知の義務付けなどの規制を盛り込むこと。

    (答)

    建築紛争の予防と調整に関する条例につきましては、建築基準法関係規定に定めのない標識の設置や事前説明の義務化などを法に上乗せして定めることにより、建築計画などについて事前に周知し、建築主等と近隣住民が早めの話し合いを行うことで、建築紛争を未然に防止することを目的としております。

    建築紛争の解決は、建築主等と近隣住民双方の歩み寄りと協力により実現されるものであると考えており、福岡市では、近隣住民等から説明会開催の要望があった場合は、建築主へこれに応じるよう指導を行い、概ね開催されている状況となっております。

    また、議事録につきましては、署名までは求めておりませんが、建築主及び近隣住民の双方で確認しておくことを促しております。

    さらに、建物がなくなる解体工事につきましては、解体業者において事前説明や家屋調査などを適宜行っていることから、事前説明等の義務付けまでの必要性は低いと考えております。

    今後とも、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。

  • 住民説明会が開かれても不誠実な説明・対応に終始して打ち切るケースや建築主等が一方的にまとめた、事実上虚偽の報告ともいえる「議事要旨」をつけて市に報告していた事例など、建築主側の悪質な行為が後を絶たない。また、建築主が説明会などで条例や解説書の中身を「知らない」「よくわからない」と公然と答えるケースも少なくない。建築主への条例の周知のあり方を見直し、条例の遵守や解説書の精神が実際に生きるように徹底すること。

    (答)

    福岡市では、建築紛争の予防と調整に関する条例の趣旨に則り、建築主等と近隣住民による話し合いや双方による説明会の議事録等の確認を促しております。

    また、紛争予防条例やその解説につきましては市ホームページに掲載し周知するとともに、建築主等が紛争予防条例についての理解をより深めるため、関係団体の会員に対する周知文書の配布や団体が出席する研究会や講習会において紛争予防条例の啓発に努めております。

    今後とも、建築主等と近隣住民双方が条例の主旨等についての理解を深めるよう周知啓発に努めるとともに、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。

  • 唐人町商店街におけるマンション建築問題では、建築主側が、資料配布をしたことで説明が終わったとして建築確認申請を提出し、住民が求める説明会を4か月も開催しなかった。ようやく説明会を開催しても、内容が不正確だったり、早朝の通学時間帯に資材搬入を計画したり、説明が終わっていないのに個別補償の策動に走るなど不誠実な態度に終始している。このような建築主の姿勢は「周辺の居住環境に十分に配慮するとともに、市民の良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない」とする紛争予防条例に定められた建築主等の責務を放棄するものであり、建築する資格はない。建築を中止するよう建築主に指導すること。

    (答)

    当該建築計画につきましては、条例に基づく事前説明が適切に行われたのち、建築基準法に基づく確認済証が既に交付されております。

    市では、建築主等に対し、住民の要望である説明会について、開催を要請するとともに、工事の施工方法については、近隣住民の安全を第一に考え、十分に話し合いを行うよう指導を行っているところです。

    建築紛争の解決は、建築主及び近隣住民が相互の立場を尊重し、双方の歩み寄りと協力によって実現されるものであります。

    今後とも、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。

  • 開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の積極的な周知と適用に努めること。

    (答)

    良好な住環境の形成・保全へ向けては、全市的な土地利用誘導の枠組みである用途地域などを基本としつつ、地域の状況や特性に応じたきめ細かなまちづくりのルールを定める制度である地区計画や建築協定などを活用することが有効であると考えており、令和5年12月末現在、136地区において地区計画を策定し、また、75地区で建築協定を認可しております。

    今後も、これらの制度の周知を図り、地元の方々と共働してルールづくりに取り組みながら、制度の積極的な活用に努めてまいります。


(11)公共交通・生活交通

  • 各地で交通不便地が生まれ、公共交通網の充実を求める声が広がっている。現在行っているような地域自治会等に負担を合わせた上で、民間任せのやり方では交通事業者の撤退などで交通手段が確保できなくなってきている。市が進めているオンデマンド交通導入の実証実験も結果が思わしくない。福岡市近隣の自治体でも予算をつけて市民の足を確保している。公共交通が発達すれば、経済効果が上がり、社会保障費を削減し、地球環境を守ることにつながる。運賃収入で採算が取れなくても、社会全体では大きな利益となるという「クロスセクターベネフィット」の考え方で本市が直接財政負担をして、要望のある地域にコミュニティバスを走らせ市民の交通権を守ること。

    (答)

    公共交通による生活交通の確保に向けた取組みにつきましては、高齢化の進展などに伴い、重要性が高まっていると考えております。

    一方、郊外部における人口減少やバス乗務員の不足、利用者数が新型コロナウイルス感染症拡大前まで回復していないなど、バス路線の維持に課題が生じております。

    このため、地域、交通事業者及び市が共働して、公共交通ネットワーク維持に努めるとともに、持続可能な生活交通確保に向けた取組みの一つとして、令和4年度より、オンデマンド交通を活用した社会実験を実施しております。

    今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などを実施するとともに、社会実験での課題等を踏まえながら、地域の実情に応じた持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組んでまいります。

  • 西鉄は10月からのダイヤ改正で、福岡地区17路線でまたも減便・廃止すると発表した。通院や買い物など住民の日常生活に大きな支障をきたしており、生活交通確保への最大限の配慮を定めた公共交通条例を無視している。西鉄に交通事業者としての責務を果たさせるように早急に増便を求めること。生活交通の確保を交通事業者の努力義務ではなく義務として明記することや、「自助」「共助」を住民に責任を押し付けるやり方を改めるなど、生活交通条例を改正すること。

    (答)

    公共交通による生活交通の確保に向けた取組みにつきましては、高齢化の進展などに伴い、重要性が高まっていると考えております。

    一方、郊外部における人口減少やバス乗務員の不足、利用者数が新型コロナウイルス感染症拡大前まで回復していないなど、バス路線の維持に課題が生じております。

    バス交通につきましては、重要な公共交通であり、今後とも地域や交通事業者と連携し、必要なサービスが確保されるよう努めてまいります。

    引き続き、現在の生活交通条例に基づく休廃止対策などに着実に取り組んでいくとともに、令和4年度より実施しているオンデマンド交通社会実験での課題などを踏まえながら、地域の実情に応じた持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組んでまいります。

  • 早良南地域交流センター「ともてらす早良」へのバスは交通アクセスが悪く、とりわけ早良区南部からは以前よりバスの便数が6便に減っている。同区選出の超党派の議員が要求しているように、野芥方面からのアクセス向上、さらなる増便を交通事業者に求めるとともに、市がコミュニティバス・シャトルバスを運行するなど利便性向上を図ること。

    (答)

    早良南地域交流センターへの交通アクセスにつきましては、開館に合わせ、バスを増便していただいております。

    今後とも、市民が利用しやすい施設となるよう努めてまいります。(市民局)

  • 東区蒲田団地の「蒲田団地」バス停では、東区の箱崎駅前を通って博多駅まで行く都心部行きのバスは、平日が8時台に2本しかなく、帰りは15時台に1本、16時台に1本のみで、土日や祝日には1本のバスもない。抜本的な増便の手だてをとるよう事業者に市として強く要求すること。増便が実現しない状況のもとでは市が責任を持ったコミュニティバスや、蒲田団地から歩いて通学すれば40分はかかる多々良小学校や多々良中学校の子どもたちのために市の責任でスクールバスを運行すること。

    (答)

    福岡市が主体となったバスの運行につきましては、バス乗務員の不足、新型コロナウイルス感染症拡大前まで回復していない利用状況や持続可能でバランスの取れた公共交通ネットワークの確保など、踏まえる課題が多いと考えております。

    東区蒲田団地のバス路線の維持・充実につきましては、地域の実情などを踏まえながら、交通事業者と連携して取り組んでまいります。(住宅都市局・教育委員会)

  • 南区の長住・花畑・柏原方面からは、平日に走っている大橋・区役所方面行きの西鉄バスが土日・祝日にはない。区役所は選挙時の期日前投票所であり、また、南市民センターは土日祝日は特に利用が多い公共施設である。こうした場所へのアクセスが脆弱な現状は交通権・移動権が阻害されている状況に等しい。市として西鉄に土日祝日の便の運行を強く要求するとともに、市が責任を持ったコミュニティバスの運行を検討すること。

    (答)

    福岡市が主体となったバスの運行につきましては、バス乗務員の不足、新型コロナウイルス感染拡大前まで回復していない利用状況や持続可能でバランスの取れた公共交通ネットワークの確保など、踏まえる課題が多いと考えております。

    南区南西部のバス路線の維持・充実につきましては、地域の実情などを踏まえながら、交通事業者と連携して取り組んでまいります。

  • 市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引については請願が全会一致で採択されており、現在の20円から東部の西鉄との乗継同様すみやかに60円へ拡大するようJRに強く要請すること。また、JRが割引を実施しない場合でも、物価高騰対策および公共交通利用促進による脱炭素施策としても、本市が先行して割引額を10円から30円に引き上げること。加えて連続割引区間について、2区から3区に拡大すること。

    (答)

    JR筑肥線から地下鉄への乗り入れの初乗り料金軽減につきましては、市議会において請願が採択されたことも踏まえ、JR九州と協議を行ってきたところです。

    引き続き、請願採択の趣旨である東西の格差是正に向けて、鋭意協議を進めてまいります。

  • JR筑肥線運休の際に、乗客は姪浜駅に足止めされ徒歩やタクシーなどで目的地に向かわざるを得ないケースが度々ある。その場合、JRに代替輸送を速やかに行うよう強く申し入れること。JRが実施しないならば市の責任で市民の交通手段を確保すること。

    (答)

    JR筑肥線内の輸送障害に伴う代替輸送につきましては、JR九州において、判断のうえ実施されるべきものであると考えており、効果的かつ円滑に行われるよう、交通局としてJR九州と必要な協議を進めてまいります。

  • 毎年のように視覚障害者が駅ホームから転落する死亡事故が後を絶たない。市内の西鉄天神大牟田線各駅およびJR博多駅などにホームドアを早急に設置するよう西鉄やJR九州に強く申し入れるとともに、国まかせではなく、市としても推進のための協議会を設置すること。また、ホームドアが設置されるまでの間、乗客の安全対策要員をホームに配置するとともにホーム中央に視覚障害者の道しるべとなる線状誘導ブロックや内包線付き点状ブロックを敷設するよう事業者に申し入れること。

    (答)

    鉄道駅におけるホームドアの設置につきましては、鉄道事業者による取り組みを踏まえながら、ホームドア以外の安全対策も含め、引き続き鉄道事業者と協議を行ってまいります。

    なお、JR筑肥線においては、JR九州によりホームドアの設置が進められ、令和3年3月13日より市内全駅で稼働しております。

  • JR九州は香椎線に加え筑肥線でも一部無人化を実施している。そのため車椅子利用者は介助員が来るまでに長い時間がかかったり、前日までの予約ができなければ移動に著しい制約を受けたりしている。同社に対して移動の自由を制限されて苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めた訴訟が起きている。駅の無人化は本市の障がい者差別解消条例が規定する合理的配慮に欠けるものであり、全駅を有人に戻すよう、JR九州に求めること。

    (答)

    駅無人化につきましては、令和4年7月に国土交通省が策定した「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン」も踏まえながら、無人駅における安全性や利便性を確保するよう、引き続き働きかけてまいります。


(12)生活道路・交通安全

  • 「道路整備アクションプラン2024」における「生活関連経路バリアフリー化された割合」は、年間整備延長が少なく、目標を達成できるペースでもないため、抜本的に予算を増額すること。また、バリアフリー化の対象を重点整備地区に限らず、緊急性や必要性を踏まえて、全ての鉄道駅周辺とその周辺道路等のバリアフリー化を推進すること。あわせて、横断歩道等における歩車道境界部について、「福岡市移動等円滑化のために必要な道路の基準を定める条例」の段差標準2cm規定の運用を改善することで、国体道路の春吉橋のような段差がないものを積極的に導入し、車いすユーザーや視覚障害者の歩行の安全にも配慮した縁石を導入すること。

    (答)

    生活関連経路のバリアフリー化につきましては、「道路整備アクションプラン2024」に基づき、「ユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、引き続き、計画的に取り組んでまいります。また、生活関連経路以外の道路のバリアフリー化につきましても、必要性や緊急性などを勘案しながら取り組んでまいります。

    横断歩道などにおける歩車道境界部につきましては、段差のない縁石の試験施工を実施するなど、本格導入に向けた取組みを進めております。

  • 通学路および学童保育、園児等の移動経路や保育園周辺を総点検し、安全対策を講じること。さらに、「小学校周辺の歩車分離率」を引き上げること。

    (答)

    通学路や未就学児の移動経路をはじめとする道路の交通安全対策につきましては、関係機関と連携し、安全点検により抽出された箇所などにおいて、路側帯のカラー化や防護柵の設置、交差点部における車止めの設置などによる安全対策に取り組んでおります。

    「小学校周辺の歩車分離率」の引き上げにつきましては、「道路整備アクションプラン2024」に基づき、重点的に取り組んでまいります。

  • 消えかかった横断歩道や停止線、国道の中央分離帯などの路面標示を改善するとともに交通安全施策関連予算の増額を県や国に求めること。また、カラー舗装や路面標示は安全対策として重要であり、関連予算を増額すること。

    (答)

    横断歩道や停止線などの道路標示の改善につきましては、地域からの要望などを踏まえ、県公安委員会へ適切な維持管理を求めてまいります。(市民局)

    福岡市が管理する路面標示の維持管理につきましては、引き続き、日常的なパトロールに加え、道路の「傷みカード」や「LINE通報システム」などにより市民や企業などから寄せられる通報も踏まえ、不具合を早期に確認し、早期補修に努めてまいります。

    道路の交通安全対策につきましては、必要性や緊急性などを勘案しながら、取り組んでまいります。(道路下水道局)

  • 道路陥没は昨年189件発生している。道路陥没を未然に防ぐために、日常パトロールや路面下空洞調査等の頻度を増やし、原因と劣化・優先度の分析をおこない、道路改修・維持対策を講じること。

    (答)

    道路の維持管理につきましては、日常的なパトロールに加え、市民や企業などへ通報の協力をお願いするとともに、路面下空洞調査を実施し、道路の損傷や空洞の早期発見と早期補修に取り組んでおります。

    また、これまで補修した空洞の発生要因を分析するとともに、下水道の整備時期などの地域特性も踏まえながら、空洞が発生しやすい箇所を抽出し、今後の調査路線を選定しております。

    今後とも、日常的なパトロールや空洞調査により、事故の予防保全に努めてまいります。

  • 自転車の安全を確保するためには、歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備することが重要である。しかし、実態は進んでおらず、整備されたものも歩行者や車との混在形態のものが多い。歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備するために、関連予算を抜本的に増額し整備を急ぎ、自転車対歩行者事故を減らす対策を行うこと。

    (答)

    自転車通行空間につきましては、「自転車活用推進計画」及び「道路の構造の技術的基準及び道路標識の寸法を定める条例」などに基づき、歩行者や自転車、自動車の安全を確保するため、積極的に整備してまいります。

  • 自転車に乗る人のヘルメット着用が努力義務化された。ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用者の約2.4倍である。他都市のようにヘルメット購入費補助制度を創設すること。

    (答)

    ヘルメットの着用促進につきましては、県警察や関係機関・団体と連携し、広報・啓発に取り組んでまいります。


(13)水道・下水道

  • 長期にわたって経済停滞・暮らしの困難が続いているところに、物価高騰が襲ってきており、市民生活、中小企業の業況等は、なお厳しい状況にある中、水道料金は市民に重い負担となってのしかかっている。本市は、水道料金の減免を求める市民の声に対し、企業債残高の増大を招くなどと言い訳をし、支払期限の延長のみ対応しているが、2022年度は企業債残高を計画以上に約15億円も縮減しており、問題は市民生活を守る立場に立つかどうかである。現に多額の負債を抱えていながら、減免に踏み出した自治体は、福岡都市圏では5市町、政令指定都市では7市ある。本市でも、特別の減免措置を講じること。

    (答)

    水道は、市民生活を支え、生活の質の向上と都市の成長を支える重要なライフラインであり、将来にわたる安全で良質な水道水の安定供給が求められております。

    また、水道事業は、受益者負担の原則に則った独立採算制を基本に、水道料金収入を主たる財源として経営するものであることから、財政の健全化を図りつつ、配水管の更新をはじめ、浄水場の再編などに計画的に取り組んでいく必要があります。

    このような中で、配水管の更新や浄水場の再編などが最盛期を迎え、建設改良費がピークとなるとともに、近年の人件費の上昇や、資源価格や資材価格の高騰などにより、これまで以上に厳しい経営環境に置かれており、水道料金の減免は、企業債残高の増大や施設の整備・更新の遅れを招き、将来に大きな負担を残すことになると考えております。

    なお、今後とも、個々の相談者の状況に応じた水道料金の支払期限の延長など、お客さまに寄り添った、きめ細かな対応を行ってまいります。

  • 本市の上下水道の減免制度は、水道料金にはそもそも全くなく、下水道料金では災害時だけであり、他都市に倣って非課税世帯や障害者世帯を対象とした減免制度をつくること。また、生活保護利用世帯への下水道使用料の減免制度は、政令市でも仙台・さいたま・相模原・静岡・浜松・名古屋・広島市で実施されており、本市でも復活させること。

    (答)

    水道事業につきましては、独立採算制と受益者負担の原則を基本として運営を行っております。

    水道料金の減免を行った場合、事業運営に影響を及ぼすとともに、最終的にはその費用を他のお客さまにご負担いただくこととなるため、減免制度は設けておりません。(水道局)

    下水道事業会計での負担による減免は、歳入面では使用料収入の大幅な伸びが期待できない中、歳出面では下水道施設の改築・更新費用などの増大が今後見込まれ、将来に大きな負担を残すことが危惧されることから、慎重に判断すべきであると考えております。

    生活保護受給世帯に対する下水道使用料の減免制度につきましては、負担の適正化を図る観点から、平成28年6月に廃止したものであり、同制度の復活は考えておりません。(道路下水道局)

  •  水道事業は、安全・安心・安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものであり、地方公共団体主体で健全な運営がなされるよう現行のまま直営を堅持し、民営化や広域化は行わないこと。

    (答)

    水道事業につきましては、「水道長期ビジョン2028」に基づき、福岡市が責任を持って主体的に運営し、計画的に事業を推進するとともに、他水道事業体との連携も図りながら、安全で良質な水道水の安定供給に取り組んでまいります。

  • 水道配水管の耐震化率は2022年度末で61.2%であり、残されている配水管の耐震改修について、現行の年間45kmの更新ペースでは完了まであと35年間もかかるため、さらに早めるよう計画を見直すこと。また、災害時などに水を供給しなければならない重要給水施設の耐震ネットワーク工事は、いまだ救急告示病院である今津日赤病院など13か所が未整備であり、工事を急ぐこと。さらに、この耐震ネットワークの対象となっていない避難所も多くあり、対象施設を抜本的に増やすこと。

    (答)

    配水管につきましては、新設や更新の際に全て耐震管を使用し、長期的な財政収支の見通しを踏まえた上で、実質的な耐用年数内に更新できるよう、平成29年度から更新延長を年間45キロメートルにペースアップし整備を行っております。

    特に、耐震ネットワーク工事につきましては、「地域防災計画」で指定された避難所や救急告示病院に加え、多くの帰宅困難者が発生すると予想される西鉄天神駅など、重要給水施設414か所の給水ルートの耐震化を、令和6年度末までに全て完了できるよう進めてまいります。

  • 下水道管が耐震化されていない事は、震災時のトイレの使用などに大きな支障をきたす。本市ではいまだ67%が未耐震であり、早急に改善すること。

    (答)

    下水道管の耐震化につきましては、下水道の根幹となる施設である水処理センター・ポンプ場に直結する幹線管渠や緊急輸送路下における重要な幹線管渠などについて、引き続き進めてまいります。

  • 福岡地区水道企業団の海水淡水化施設は、年間約25億円の維持管理費等の経費をかけながら、実際は、2013年以降、1日平均生産水量が5万㎥ある施設能力の半分を超えた年がない。そもそも本市の1日最大給水量45万9633㎥に対し施設能力は78万987㎥あり、すでに過剰である。さらに一昨年から日量1万㎥の五ケ山ダムからの用水供給が開始されており、海淡施設を稼働する必要はない。したがって、2027年までさらに155億円をかける設備更新はせず、海淡施設は廃止するよう企業団に強く求めること。

    (答)

    海水淡水化施設につきましては、県策定の「福岡地域広域的水道整備計画」に位置づけられており、渇水時などにおける水の安定供給に寄与するものであることから、水資源に恵まれない福岡都市圏にとりまして必要な施設であると認識しております。

    なお、設備更新につきましては、福岡地区水道企業団において、更なるコスト削減に取り組まれていると聞いております。

  • 猛毒のダイオキシンを生成する2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸(除草剤)が、1971年に林野庁によって五ケ山ダムの上流域の佐賀県吉野ヶ里町に945kgが埋められ、長年放置されてきた。国は、一昨年これを撤去する方針を持ったが、その後の進捗がない。国に対し、安全かつ速やかな撤去を強く要望すること。

    (答)

    2,4,5-T系除草剤の移設などにつきましては、平成4年から関係利水者である那珂川市、福岡地区水道企業団、春日那珂川水道企業団と連携して、国に要望してまいりました。

    このような中、国は令和3年より撤去を念頭に置いたボーリング調査等を進め、掘削対象の範囲や処理量が把握できたことから、処理が可能と判断し、令和5年度内の現場着手を予定されています。

    このような進展を踏まえ、水源汚染に対する不安を払拭するため、ダム管理者である福岡県に対して、国への積極的な働きかけについて要望するとともに(令和5年11月に県が国へ掘削処理に関する要望書を提出)、国に対して掘削処理の安全な実施や、掘削処理後における土壌及び水質のモニタリングによる安全性の確認などを要望しております。

    今後とも、関係利水者や県と連携して、国へ強く要望してまいります。


(14)防災

  • 本市「地域防災計画」の基本理念には「市民、企業、NPOとの共創」などとして「自助、共助」をことさら強調し公的責任を明記していない。市民に防災の対策義務を押しつけるのではなく、市の責任で、地域防災力の向上に取り組むよう改めること。

    (答)

    「地域防災計画」において、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を基本として、これを実現するため、自助、共助、公助が一体となった災害に強い共創のまちづくりを推進していくこととしております。

  • 「福岡市地域強靭化計画」には、被災後の都市のイメージの回復、福岡市のブランド力の確保・向上策として、平時からMICE誘致、開催支援策を推進していくなど、災害対策とは関係のない事業も入っており、見直すこと。

    (答)

    地域強靭化計画につきましては、国のガイドラインにおいて、災害による風評被害や信用不安による、経済等への甚大な影響を回避するよう示されており、「福岡市地域強靭化計画」においても、災害による風評被害や信用不安による経済等への甚大な影響を回避すべく、平時からMICE誘致、開催支援などを推進していくこととしております。

  • 2023年7月10日の大雨による避難指示を発令した対象者は19万1147人だったが、指定避難所に避難した避難者は最大59人で、わずか0.03%しか避難していない。市はハザードマップを配布するなどとして自宅の土砂災害のリスクの認識や、マイ・タイムラインの作成推奨で正しい避難行動の理解促進を図るというが、2018年の西日本豪雨では愛媛県肱川の野村ダム等の緊急放流による洪水から避難できず犠牲を生み、今年の久留米市の土砂災害では土砂災害警戒区域の指定外で被害が出るなどしており、行政の正確な情報伝達については、さらなる研究が求められている。したがって、市民の避難に関する正確な情報が速やかに伝わるよう日常的な体制強化を図ること。

    (答)

    災害時の避難行動につきましては、多様な伝達手段により、高齢者等避難や避難指示などの緊急情報を速やかに発信しており、これらの情報やマイ・タイムラインなどを活用し、適切な避難行動につなげていただく取組みを進めてまいります。

  • 本市の洪水ハザードマップは2級河川の氾濫想定だけが記載されており、未だに中小河川の氾濫等による内水浸水が反映されていない。ハザードマップを実際の避難行動に結びつくようにするために、内水浸水想定区域を作成して反映させるとともに、過去の浸水実績やワークショップ等で住民から出されている意見も図示に用いるなど、改定を急ぐこと。

    (答)

    内水浸水想定区域につきましては下水道の整備区域全域において、また、洪水浸水想定区域につきましては全ての準用河川において、現在、区域の設定に向けて検討を進めております。(道路下水道局)

    新たな浸水想定区域が設定された際などには、適宜、ハザードマップへ反映してきたところであり、今後も継続した対応を行ってまいります。(市民局)

  • 津波ハザードマップについて、避難の方向の記載はあるものの、区域内で避難できる高いビルなどが記載されていない。必要な津波避難ビルを確保し、ハザードマップに記載すること。また、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。

    (答)

    津波避難対策につきましては、津波ハザードマップを作成し、対象校区に配布するとともに、ホームページへの掲載や、複数の災害リスクを重ね合わせて表示できる「総合ハザードマップ」を配信しており、これらの活用について、引き続き出前講座などを通して市民への周知・啓発を図ってまいります。

  • 本市の災害予防計画では、パソコンやスマートフォン等を活用することが前提となっており、それができない高齢者や障害者などには災害時に自分のいる地域でどういう被害が起きるのか、正確に知ることができない。ハザードマップや揺れやすさマップについて、全区1本のものが配布されているが、具体的な危険箇所は、きわめてわかりにくい。避難経路や避難場所はどこかなどが誰にでも理解できるようにすることが求められている。地域まかせではなく、市の責任で校区ごとのマップを作成し、全世帯に配布すること。

    (答)

    ハザードマップにつきましては、災害種別ごとに災害想定区域や避難場所などを記載したマップを作成し、市民へ配布するとともに、ホームページに掲載しております。

    また、複数の災害リスクを重ね合わせて表示し、任意の場所を拡大・印刷できる「総合ハザードマップ」を配信しており、これらの活用について、引き続き出前講座などを通して市民への周知・啓発を図ってまいります。(市民局)

    警固断層帯南東部で地震が発生した場合に、お住まいの地域がどのくらい揺れるかを強さ別に色分けした揺れやすさマップの各区版を配布するとともに、出前講座や耐震セミナ-を開催し、建物の耐震化の重要性について周知啓発に努めております。(住宅都市局)

  • 年々集中豪雨の発生などによる危険が高まっているもとで、県が指定する市内の土石流災害にかかる特別警戒区域を含む警戒区域380件のうちハード事業が実施されているのは、わずか5件、1.3%、急傾斜地崩壊における特別警戒区域を含む警戒区域1397件 のうち、わずか4件、0.2%となっている。県に対して、ハード事業の大幅な前倒しを実施するよう求めるとともに、市としても安全確保の対策をおこなうこと。

    (答)

    土砂災害特別警戒区域などにおけるハード対策につきましては、関係法令に基づき、県が区域を指定し、対策事業を行うこととなっております。

    福岡市としましても、地域からのご要望を踏まえ、県に対して早期整備の要望を行ってまいります。

  • 本市の指定避難所は、コロナ禍を踏まえ、避難者1人当たりの面積を4㎡確保すれば、最大で10万1000人しか収容できない。また195か所ある一時避難所では、約1割に当たる19か所で浸水時には使用できず、約25%の47か所で1階を使用できない。さらに、260か所ある収容避難所でも、約1割に当たる25か所で浸水時には使用できず、約17%の45か所で1階を使用できない。災害が迫っている時は、ためらわずに避難所へ行く行動を市民に求めるためにも、避難所が使えない、行っても入れないという現実を打開する防災計画が求められている。したがって、抜本的に避難所の増設をはかるとともに、企業や団体などの民間施設、学校の教室、ホテルなどの宿泊施設など、あらゆる場所をフル活用する協定を結び、避難スペースを増やすこと。

    (答)

    災害時の避難につきましては、避難所のほか、親戚・知人宅やホテルなどの安全が確保できる場所に、各自の状況に応じて避難していただくよう事前に周知を行っており、避難所についても風水害時に使用できる避難所を予め選定の上、必要数を開設することとしております。

    また、地元の民間施設と、災害時における利用に関する協定を締結するなど、地域の実情に応じ、指定避難所以外の避難所の確保にも取り組んでおります。

  • 避難所における人権やプライバシーを守るために必要な間仕切りは1校区あたり10セット、避難所用テントは20台しか備蓄がない。また、避難者の健康維持のための段ボールベッドはまったく備蓄されておらず、災害発生後の民間事業者まかせとなっているのは重大である。国からの支援や民間企業との協定だけでは、いつ必要な物資が届くのかわからず、避難直後から避難者のプライバシーや健康を守るために、市として必要数を備蓄すること。また、食料や水の備蓄は3日分しかなく、公的備蓄は抜本的に増やすこと。

    (答)

    避難所で使用する間仕切りや簡易ベッドにつきましては、公的備蓄の拡充に取り組んでいるところであり、これらに加え、企業などとの災害時応援協定や国からの物資支援も活用しながら、避難所の状況に応じ、適切に対応してまいります。

  • 避難所における「ジェンダーの視点」にたった取り組みは、きわめて重要な課題である。政府は、2020年、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災、復興ガイドライン」を発表したが、現状では、災害発生時の避難所での生活で、女性が困難な中での生活を余儀なくされており、日本社会のおくれた現状が避難所生活に反映されたものだといえる。災害時に、更衣室や入浴施設は、ひとりずつ使える時間帯を設定や下着、生理用品、ヒゲソリなど、男女別の物資は、個別に届けられるような仕組みを作るなどの対応策を検討すること。また、避難所や仮設住宅などで、女性や子どもに対する暴力根絶の対策を講じ、安心・安全な避難生活と運営への改善を図ること。

    (答)

    避難所における女性や子どもなどへの配慮につきましては、「避難所運営の手引き」において、様々な人に配慮した避難所運営を行うこととしており、適切な運営に努めてまいります。

  • 避難所における性的少数者(LGBT/SOGI)に対する対応を抜本的に強めることは、誰もが過ごしやすい避難所生活を送るうえでも重要な課題である。更衣室や入浴施設は、ひとりずつ使える時間帯を作ることや、下着、生理用品、ヒゲソリなどの支援物資を、男女別としない仕組みにすること。

    (答)

    性的マイノリティの方への配慮につきましては、「避難所運営の手引き」において、様々な人に配慮した避難所運営を行うこととしており、適切な運営に努めてまいります。

  • 避難所によっては、情報が入手できないところも散見される。テレビやラジオを設置し、改善すること。また、快適に過ごすことができるよう畳などを設置すること。収容避難所には、冷暖房を付けるとともに、トイレは主として洋式に改修すること。また、避難直後から使用できるように、いすやベッドなどの備品をそろえるとともに、衣類やあたたかい食料・弁当が避難者にいきわたるようにすること。

    (答)

    避難所の環境整備につきましては、公的備蓄の充実に努めるとともに、エアコンについても、必要に応じて民間事業者との災害協定に基づき、移動式エアコンなどを設置することとしております。

    今後とも、国のガイドラインなどに基づく、良好な生活環境の確保に努めてまいります。

  • 福祉避難所については障害者や高齢者などの避難所としての機能を発揮できるよう万全を期すことが求められている。現在146か所を指定しているが、施設が被災し使用できない場合も想定し、指定箇所を抜本的に増やすこと。また、障害者や高齢者などの要配慮者が避難所をたらいまわしにされないように、直接、福祉避難所への避難も検討すること。停電に備え、福祉避難所開設予定施設や高齢者施設などに非常用自家発電設備の設置をすすめるために市独自の補助制度をつくること。また、発電機等に必要な燃料の確保を市の責任で進めること。

    (答)

    福祉避難所につきましては、開設が見込まれる施設に対して、引き続き、協定の締結を働きかけることにより、福祉避難所数の拡大に取り組んでまいります。また、要配慮者の直接避難につきましては、個別避難計画における直接避難の位置づけについて、国のガイドラインを踏まえ、協定を締結している施設などと協議を行いながら検討を行ってまいります。

    高齢者施設などにおける非常用自家発電設備につきましては、国の交付金などを活用し、引き続き、整備促進を図るとともに、国に対し、補助制度の拡充を要望してまいります。また、非常用自家発電設備のない障がい者福祉避難所に対しては、引き続き、非常用電源装置の配備を進めてまいります。

    福祉避難所で必要となる職員及び発電機に必要な燃料などにつきましては、基本的に施設において確保することとされており、必要に応じて、施設の電力確保を支援してまいります。

  • 「避難行動要支援者名簿」に登録されている人のうち、個別避難計画が立てられているのは約8%に過ぎないのは大問題である。名簿登録から漏れている方も含めて、避難誘導、具体的な移動の手段の手配などについて、通常時からきめ細かい個別計画を市の責任で策定するなどして対策を強化すること。被災時に施設運営で一番の課題となる職員不足については、協定を結んでいる他都市などとの協議を進め、福祉避難所に対する受け入れ体制を事前に確立すること。

    (答)

    避難行動要支援者の個別避難計画につきましては、計画作成の優先度が高い要支援者について、福祉事業者と連携した作成に取り組むとともに、地域においても作成が進むよう自治会・町内会単位でのワークショップの実施などによる支援を行っております。(市民局)

    福祉避難所の受け入れ体制につきましては、福祉事業所などと連携し対象者が安心して避難できる体制づくりに取り組んでまいります。(福祉局)

  • 市民が家族の一員としてのペットと一緒に避難行動をとる「同行避難」は、被災者を救護する観点から、災害時にも被災者がペットを適切に飼養管理できるよう支援することが重要である。これは、ペットの飼い主の早期自立を支援することであり、ペットの健康と安全の確保にも寄与することとなる。また、ペットを飼養しない多くの被災者とのトラブルを最小化させ、すべての被災者の生活環境を保全することにも繋がる。しかし、本市の「避難所運営の手引き」には、ペットとの「同行避難」の位置づけがほとんどないに等しい。環境省が策定している「人とペットの災害対策ガイドライン」に基づいて、ペットの一時預かりや避難所での飼養環境の整備などの支援体制をつくるとともに、避難所を運営する人、市の職員に周知徹底を図ること。

    (答)

    ペットとの同行避難につきましては、「避難所運営の手引き」などに基づき、誰もが安心して避難生活を送ることができるよう、避難所を運営する市職員や地域の方に、その取扱いの周知を行っております。(市民局)

    また、市民やペットの飼い主等に対し、各種イベントや動物愛護管理センターホームページなどにより、ペットとの同行避難についての周知啓発を行っております。(保健医療局)

  • 九州で最も地震発生確率が高い警固断層周辺地域には、住民のほかにも勤労者や来街者が多く居住・滞在している。県の防災計画では避難者数を2万5000人としか想定しておらず、本市もそれを容認している。考えられる最大規模の災害にともなう避難者数に見直すこと。

    (答)

    地震などの災害対策につきましては、国・県の動向を踏まえ検討するとともに、必要に応じて「地域防災計画」の見直しを行い、災害に強い都市づくりを進めてまいります。

  • 警固活断層が活動した場合の本市の被害想定では、帰宅困難者数は約6万2千人、寄る辺のない帰宅困難者数は天神地区で2万500人、博多駅地区で1万7500人が想定されるが、一時滞在施設の受け入れ数は天神地区で1万3422人、博多駅地区で1万5004人しか収容できない。しかも天神地区の受け入れ数のうち1万人分は中心街から離れた福岡競艇場であり計画のごまかしである。また、天神ビッグバンの進行で、帰宅困難者数の想定はさらに膨れ上がる。したがって、一時滞在施設と収容人数を抜本的に増やすこと。

    (答)

    一時滞在施設につきましては、市有施設などの活用のほか、民間施設への協力依頼などにより確保に取り組んできたところであり、引き続き、We Love天神協議会などのまちづくり組織などとの連携や、天神ビッグバンなどの建て替え誘導策も活用しながら確保を進めてまいります。

  • 木造戸建住宅の耐震化の助成制度については、対象外とされている1981年以後の住宅も対象とすること。市内の共同住宅の耐震診断と耐震改修助成の制度については、適用もほとんどされておらず、助成要件も緩和して抜本的に金額を引き上げ、制度の周知・広報も強めること。また、人命確保のための耐震ドア、窓や屋根の補強だけでも助成を活用できるようにすること。

    (答)

    民間住宅の耐震化につきましては、「福岡市耐震改修促進計画」に基づき、共同住宅の耐震診断費助成及び木造戸建住宅や共同住宅の耐震改修工事費助成を実施しております。

    昭和56年以降の木造戸建住宅につきましては、平成29年5月に「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」が国から示されており、引き続き、所有者、リフォーム業者、設計者などに幅広く周知してまいります。

    共同住宅の耐震化につきましては、一部制度要件の緩和を図っており、管理組合の合意形成や入居者への対応が困難な中、毎年度数件の申請があっております。今後も揺れやすさマップの配布、管理組合などを対象とした出前講座の開催などにより、耐震化の重要性についての周知啓発に努めていきます。

    人命確保のための家屋以外の補強・支援につきましても、耐震シェルター・防災ベッドの設置も補助対象とするなどの耐震改修助成制度の拡充を図っておりますが、建築物を耐震化することが建物の倒壊を防ぎ、人命を守るために最も重要であると考えており、引き続き、現行の耐震改修助成制度の普及・活用と併せて、民間住宅の耐震化の促進に取り組んでまいります。

  • 自然災害で住宅が壊れた人に支援金を支給する被災者生活再建支援法について、最大でも300万円と少ない上に、「一部損壊」は対象外にされている。緊急に500万円に引き上げるとともに、被災の実情に応じた支援ができるように、額も対象も拡充することを国に求めること。また、本市の災害見舞金は、住家の全壊でも最高で6万円となっており、抜本的に引き上げること。

    (答)

    被災者生活再建支援金につきましては、これまでも指定都市市長会などにおいて、国に対し、対象範囲の拡充など制度の見直しを要望しており、引き続き国の動向を注視してまいります。

    福岡市災害見舞金につきましては、被害の程度などに応じて定めた市の基準に基づき、引き続き支給してまいります。

  • 河川の流水量を「流域治水」でコントロールするため、必要な河川には農業用ため池を治水池へ転用、学校の校庭・公園などに雨水を一時的に貯める流域対策等を行い、流域からの流出量の抑制に取り組むこと。また、破壊しない堤防を整備し、避難する時間が確保できる対策を強めること。さらに、河床掘削、老朽化した護岸のかさ上げ・改修、バックウォーターや内水氾濫対策、バイパス雨水管整備などの氾濫防止対策を県とも協力しておこなうこと。

    (答)

    流域全体のあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う流域治水に基づき、治水の根幹である河川の河道拡幅などの改修や浚渫により流下能力の向上を図るとともに、用途廃止された農業用ため池の治水池整備による雨水流出抑制に取り組むなど、引き続き、総合的な治水対策を進めてまいります。

  • 市内の二級水系13のうち、河川整備方針・計画があるのは、那珂川、御笠川、瑞梅寺川、樋井川、金山川、多々良川の6水系だけであり、すべての二級水系の整備計画の策定を県に求めること。

    (答)

    二級河川につきましては、河川管理者である県に対し、河川整備基本方針などの策定とあわせて適切な維持管理及び河川改修の促進について要望してまいります。

  • 本市が管理する25の準用河川のうち、七隈川については近年溢水が起きていないことをもって整備を中断しているのは問題である。未整備部分の整備を早急に行うとともに、民有地でも補助金を出して雨水貯留浸透施設の整備をすすめる国のグリーンインフラ支援制度を活用し、貯留施設の新設を福岡大学に促すこと。

    (答)

    福岡市が管理する河川の治水対策につきましては、治水の根幹である河川の河道拡幅や地下河川などにより流下能力の向上を図ってまいります。

    七隈川の整備につきましては、市全体における河川整備の進捗などを踏まえ、検討を進めてまいります。

    また、グリーンインフラ支援制度を活用した、民間企業などが実施する雨水貯留浸透施設の整備などへの支援につきましては、国や県などの関係機関と連携し、検討を進めてまいります。

  • 東区の若宮商店会に隣接する松崎第11雨水幹線や、南区の老司ゲートのような浸水が頻繁に起きている場所については、被害状況を丁寧に掌握した上で、二度と家屋や商店、車両などへの浸水被害が起きないようにすること。また、流量増加、水路の形状改良、雨水流出抑制策など有効かつ具体的手立てを講じること。

    (答)

    浸水が頻繁に起きている地区につきましては、今後も降雨の状況や被害状況などの確認を行い、ハード・ソフト両面から必要な浸水対策を推進し、浸水被害の軽減に努めてまいります。

  • 人的被害を与える可能性のある防災重点ため池は市内で257か所あるが、満水状態の時に地震などの自然災害で決壊した場合に想定される浸水の範囲や深さ、避難場所などの情報をまとめた「ため池ハザードマップ」の作成は28か所に過ぎない。すべての防災重点ため池について、ハザードマップの策定や暫定的な避難方法の住民周知をするとともに、防災重点以外のため池についても調査点検を行うこと。

    (答)

    ハザードマップにつきましては、令和5年度までに85箇所の作成を予定しており、令和7年度までに、すべての防災重点農業用ため池で作成する予定で進めております。また、福岡市のホームページや市政だよりへの掲載及び戸別配付などにより、広く周知を図ってまいります。

    防災重点以外の農業用ため池につきましては、定期的な点検を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。

  • ため池の維持管理を担ってきた水利組合などの人員減少と高齢化が進んでおり、行政の関与が求められている。そもそも豪雨時の洪水対策を水利組合に任せることは無理がある。行政の責任体制を確立し、ため池の耐震性や豪雨による洪水の危険性などの調査や防災工事を早急に完了させるための財政措置を国に求めるとともに、市独自でも調査、工事をすすめること。

    (答)

    農業用ため池の地震や豪雨に対する調査及び防災工事につきましては、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」に基づき、国庫補助を活用しながら対策を進めており、今後も必要な予算の確保に努め、計画的に進めてまいります。

    また、市の独自対策として、農業用ため池の安全向上のための洪水吐工事を実施しており、今後も計画的に進めてまいります。

  • 福岡市は玄海原発から約35~60km圏内に位置している。国は、避難計画の策定範囲をUPZ(緊急時防護措置を準備する区域)圏内として、概ね玄海原子力発電所から半径30㎞までの住民の移動非難を計画しているが、本市の防災計画では具体的なものは何もない。しかし、東日本大震災が発生した際、福島第一原子力発電所から最大で約47㎞離れた飯館村まで放射能汚染地域が発生しており、UPZ圏外であっても避難などの防護措置は必要である。したがって、全市民の放射能被害を想定し、国、県と連携して、市民の避難計画を策定すること。また、本市の避難計画は屋内避難を基本とするものであり、複合的な原子力災害に対応できておらず、全市民の放射能被害を想定し、福岡市から他の都市への避難を含めた計画を立てること。さらに、専門家がひとりもいない防災会議に、原子力・原子力発電の専門家を入れること。

    (答)

    「地域防災計画(原子力災害対策編)」や「原子力災害避難計画」に基づき、対処体制の整備や実施要領の作成など対策の具体化を進めるとともに、国の「原子力災害対策指針」や県の「地域防災計画(原子力災害対策編)」の改正の動向を踏まえながら、福岡市の「地域防災計画」及び「避難計画」の見直しを行うなど、原子力災害対策の充実、強化に取り組んでまいります。

    なお、地域防災計画の見直しに当たりましては、必要に応じて、防災会議に専門委員を置き、学識経験者などからの意見を聴取しております。


(15)消防

  • 2022年度の一般会計の歳出に占める消防費の予算の構成比は1.2%しかなく、5年連続で政令市最低となっている。また、本市の消防本部職員1人当たりの管轄人口は1458人であり、京都市や大阪市のほぼ2倍という状況は異常である。本市の消防の体制は、国の指針に照らして、ポンプ車2台が足りず、人員は59人も不足しており、警防要員も予防要員も、充足率が足りていない。抜本的に予算を増額し、早急に「消防力の整備指針」に基づき、消防機材も人員も100%充足させること。

    (答)

    国が定める消防力の整備指針につきましては、包括的な整備水準を示しているもので、各自治体においては、地域の実情などを総合的に勘案し、消防体制を整備しております。

    福岡市では、これまで消防署所の適正配置など、実態に即した消防体制の強化を図ってまいりました。

    引き続き、必要な予算を確保し、車両、資機材及び人員の確保に努めてまいります。

  • コロナ感染や熱中症対応などで、救急隊員にはさらなる負担が強いられており、現場は疲弊している。本市の救急要員は、国の指針に照らして90.6%と依然として充足率があまりにも低すぎる。市民の命を守るために、これ以上の放置は許されず、抜本的に予算を増額して、救急隊員を増やすこと。

    (答)

    救急要員につきましては、これまで、本市の救急需要に対応するため、救急要員の増員や救急車の増車など、救急体制の強化を図るとともに、救急隊の効率的かつ効果的な運用に取り組んでまいりました。

    今後も引き続き、救急需要の動向を注視し、必要な予算を確保するなど、適切な救急体制の確保に努めてまいります。

  • 消防職員の中でのハラスメントは、兵庫県播磨、広島県呉市などの女性職員へのセクハラや、広島市、千葉県市原市、滋賀県甲賀市、愛媛県八幡浜市などでの部下職員へのパワハラなど、全国各地でこの間、明るみになってきている。2022年度の本市の消防局におけるハラスメント事例はゼロだとしているが、この問題は表に出にくく泣き寝入りしている例がありうるとして、対応するべきである。日頃からの署内での人権侵害、パワハラ等の根絶に向けた取り組みをさらに強めること。また消防職場での暴力・パワハラ・セクハラに対応するために、弁護士など第三者が参加する機関を設置すること。

    (答)

    消防職員のハラスメント対策につきましては、国が定める法令などを踏まえ適切な措置を講じるとともに、ハラスメント撲滅の方針や相談窓口の周知・啓発に取り組んでおり、今後とも風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。

  • 消防組織に女性消防吏員を増加させることは、子どもや高齢者、災害時の要支援者など多様な住民への対応力が向上するとともに、育児・介護などそれぞれ異なる事情を持っていることを同僚が理解し支援する組織風土が醸成されることにより、組織力の強化、士気の向上が図られるとして、消防庁は2026年までに全国で女性消防吏員比率を5%に引き上げる目標をしめしている。しかし本市の女性消防吏員の割合は3.3%に過ぎず、現状のままでは達成を見込めない。したがって、女性が安心して働ける職場環境づくりに努め、女性の活躍の場が広がることによる新たな課題や問題点にも柔軟に対応するなどして、女性消防吏員を目標に照らして計画的に増やすこと。

    (答)

    福岡市の女性消防吏員につきましては、平成11年の採用開始以降、救急業務、警防業務など様々な分野で活躍しているところであり、今後も国の目標を踏まえ女性消防吏員の採用に努めてまいります。

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4、気候危機打開へ、地域と地球の環境守る先頭に

気候危機の打開は、酷暑、豪雨、巨大台風などから市民の命を守るうえでも、避けて通ることのできない課題となっている。同時に、気候危機打開への省エネルギーと再生可能エネルギーの取り組みは、新しい需要と雇用を生み出し、地域の循環型経済の発展をすすめるなど、持続可能な経済社会へのカギを握っている大切な課題であり、本市として対策が求められている。



(1)福岡市地球温暖化対策実行計画

  • 本市は2022年に「第5次福岡市地球温暖化対策実行計画」を策定し、政府よりも10年早い「2040年カーボンニュートラル」を掲げ、2030年までに市域の温室効果ガス排出量の50%削減目標を立てているが、その内の46%は国の施策で削減されることを前提としている。ところが、英独が1990年比でCO2を4~5割減らしているのに対し日本は1割減にとどまり、再エネ電力の割合も英独がすでに約45%なのに日本は22%と完全に「周回遅れ」となっている。本市が掲げた目標を達成するためにも、国に気候危機打開の取り組みを抜本的に早めることを求めることが喫緊の課題である。したがって、2050年実質ゼロを目指すには2030年までにCO2を50~60%削減することが必要であり、この立場で本市として計画の見直しを国に求めること。また、石炭火力から2030年までに計画的に撤退するよう国に求めること。さらに、輸入価格高騰がエネルギー自給率10%の日本経済を翻弄しており、100%国産エネルギーである再エネの利用推進と省エネの取り組みをあらゆる分野ですすめるよう国に求めること。

    (答)

    国の目標につきましては、パリ協定に基づく国際的な枠組みの下で、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、2030年度の削減目標を46%削減、さらに50%の高みを目指すものと認識しております。

    また、電源構成やエネルギー自給率につきましては、国がエネルギー政策の枠組みの中で、検討・決定されるものと認識しております。

  • 本市は「実行計画」を策定し、あわせて「気候非常事態宣言」も行った。しかし実行計画は、原単位を成果指標にするとしてエネルギー消費量の削減目標を持たない計画となっており、これでは経済活動が増えれば全体として排出量が増えても構わないということとなり、地球温暖化対策とは言い難い。また、再生可能エネルギーの2030年度の導入目標も40万㎾のまま19年前から全く同じ数字を掲げ続けている。このままでは「2040ゼロ」は画餅に終わる恐れが強く、実行計画の抜本的な見直しが求められる。したがって、実行計画の「2030年50%削減」という目標を大幅に引き上げるとともに、エネルギー消費量の削減目標について全体目標と分野ごとの目標を明確に持つこと。また、再エネ導入の新たな野心的な2030年度目標を持つこと。

    (答)

    「地球温暖化対策実行計画」につきましては、2030年度における市域の温室効果ガス排出削減目標を、国の計画における削減目標が46%であるなか、福岡市の今後の人口増、世帯増なども見込んだうえで、2013年度比で50%削減という高い目標を掲げたものであり、設定した目標を確実に達成できるよう取組みを進めてまいります。

    エネルギー消費量につきましては、省エネに関する成果指標として、施策の効果をより的確に把握できることから、人口増加などの影響を受けない原単位当たりのエネルギー消費量を成果指標に設定しており、総量については、同実行計画の進捗管理のなかで引き続き把握してまいります。

    再エネに関する2030年度の成果指標につきましては、再生可能エネルギーによる設備導入量40万kWに加え、再生可能エネルギーの利用率を45%とする成果指標を設けており、再生可能エネルギーの導入推進と利用拡大の両面の取組みによって、再生可能エネルギーの普及拡大を図ってまいります。

  • 「実行計画」を受けて、「市役所率先実行計画」をつくり、各局などでも取り組みが進み始めてはいる。例えば、港湾空港局では、博多港の港湾施設や物流活動における脱炭素化の計画を作成した。一方で、学校、公民館、市営住宅をはじめ、大部分の市有施設には計画さえない。したがって、「実行計画」を「福岡市基本計画」の部門的計画とするのではなく、本市の上位計画と位置付け、全局横断型の体制で推進を図ること。

    (答)

    「地球温暖化対策実行計画」につきましては、「基本計画」を環境面から総合的・計画的に推進するための基本指針である「環境基本計画」の部門別計画に位置づけられるものであり、関連する行政計画と連携を図るとともに、副市長をトップとし、局長、区長などで構成する「温暖化対策推進会議」が中心となって、同実行計画に基づく取組みを着実に推進してまいります。

  • 「実行計画」に市民の意欲、知恵、協力が反映できるようにするため、中高校生や大学生など若者をはじめ、広く市民や企業・団体が参加する推進協議会議などをつくり、計画の見直しと推進を図ること。

    (答)

    「地球温暖化対策実行計画」に基づく取組みにつきましては、市民・事業者・学識経験者などで構成する地球温暖化対策実行計画協議会や地球温暖化対策市民協議会をはじめ、出前講座や大学生を対象としたワークショップなど様々な機会を通して、市民、事業者に共感を広げ、連携・協力しながら進めてまいります。

    また、「地球温暖化対策実行計画」の進行管理につきましては、地球温暖化対策実行計画協議会や環境審議会に対して取組みの進捗状況や実績などについて報告し、点検・評価を受けております。


(2)気候危機打開策

  • 本市の建築物等での太陽光発電は、環境省によれば各種再生可能エネルギー発電可能性量の中で最も多く、ポテンシャルは本市で年間3060MWとされているが、実際の発電量は143MWにとどまっている。市内建築物等への太陽光発電の積極的な導入を促進すること。

    (答)

    太陽光発電につきましては、住宅や事業所に太陽光発電設備を導入する際の助成を行うとともに、太陽光発電設備で発電した電力をためる蓄電池などへの助成事業を引き続き推進することにより、導入拡大を図ってまいります。

  • 福岡市における風力発電は、風況が充分になく導入は困難と本市は否定的だが、環境省によれば、約90万世帯分の年間電力に当たる約4600GWhもポテンシャルがあるとされている。風力発電に対する位置づけを抜本的に据え直し、他都市の実践に倣い、自然環境に配慮する仕組みを盛り込んだ上で、風速7m/秒以上の海上などで積極的に取り組むこと。

    (答)

    風力発電につきましては、小型風力発電の実証実験において、高効率な風レンズ風車であっても、福岡市の風況では十分な発電量が得られなかったことから、現段階においては、太陽光発電のように広く導入を進めていくことは困難と考えております。

    今後とも、技術革新の進展や民間事業者の動向などを注視してまいります。

  • 九州電力送配電(株)は、電力供給量が需要を大きく上回っているとして原発を稼働させながら太陽光発電事業者に発電停止を求める「出力制御」を2018年10月以来行ってきた。このことは、“原発優先給電”の仕組みが民間でも公共でも再エネを拡大する障害となっていることを示しており、再生可能エネルギーの導入推進を図る本市の「地球温暖化対策実行計画」の推進が妨げられている。したがって市は、九電と国に対して原発優先の「給電ルール」を見直し再生可能エネルギーを優先するよう強く要求すること。

    (答)

    優先給電ルールにつきましては、再生可能エネルギーの最大限導入と電力の安定供給を両立させていくために、各エネルギーの特性を踏まえ、国において定められているものと考えております。

    太陽光発電事業者に対しては、再生可能エネルギーの出力制御量の低減に向けて、オンライン代理制御が行われており、国において、出力制御量の更なる低減に向けた検討が進められているところであり、その状況を注視してまいります。

    引き続き、再生可能エネルギーの有効利用のため、連系線を活用した他地域への送電可能量の拡大などの基盤整備について、他都市と連携して国に対し働きかけてまいります。

  • 市役所本庁舎をはじめ、学校、病院、ごみ焼却工場、地下鉄、上下水道などすべての公共施設で使用する電力を2030年までに100%再生可能エネルギーに転換すること。また、市有施設・市有地で太陽光や風力、地熱、小水力などの発電の活用を環境保全や住民の健康に配慮した上で抜本的に拡大すること。あわせて、本市の公用車についてはガソリンを使わない電気自動車化をすすめ、高速充電設備の野心的導入を図ること。

    (答)

    市役所の業務にかかる温暖化対策の取組みにつきましては、周辺環境に配慮しながら、自家消費を目的とした太陽光発電設備の導入を拡大するとともに、使用電力を原則、再生可能エネルギー電気に切り替えていくこととしております。(環境局)

    庁用車につきましては、対象の車種がない場合を除き、各車両の利用用途も踏まえ、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の優先的な導入を推進してまいります。(環境局・財政局)

    急速充電設備につきましては、設置に対する一部助成や市有施設への設置を行うことなどにより電気自動車の利用環境整備を進めてまいります。(環境局)

  • 政府は再び原発推進へと大きくかじを切り、全国で再稼働をすすめ、設計年数を超えて60年以上も老朽原発を稼働し続けるとしている。しかし、原発に「絶対安全」などありえず、とりわけ世界有数の地震・津波国である日本での原発稼働ができないことは東京電力福島第1原発の大事故の最大の教訓である。温暖化対策を口実に原発の再稼働、新増設に固執する岸田政権の方針に反対し、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するよう、国に求めること。

    (答)

    原子力発電所の再稼働などにつきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えております。(市民局・環境局)

  • 市長は九州電力と国に対して、玄海原子力発電所3、4号機の即時停止と早急な廃炉を強く要請すること。あわせて、九電に対してどんな微細な事故であってもすべてを直接福岡市へただちに連絡させるとともに、発電施設の新増設や原発を稼働及び延長運転をしようとするときは、事前に福岡市に丁寧に説明を行い、事前了解を得る内容に「原子力安全協定」の見直しをすること。

    (答)

    原子力発電所の廃炉などにつきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えており、玄海原子力発電所3・4号機の再稼働につきましては、新規制基準に基づく国の厳格な適合性審査のもと、安全性が十分に確認され、再稼働に至ったと認識しております。(市民局・環境局)

    今後とも、原子力発電所の安全確保と情報公開の徹底について、国及び県に要望を行うとともに、原子力安全協定につきましても、原子力災害対策特別措置法や、原子力災害対策指針の改正動向などを踏まえながら、適切に対応してまいります。(市民局)


(3)熱中症から命と健康を守るために

  • 今年の夏は気象庁が統計開始後最も暑いと発表するもと、熱中症から命を守るための対策を抜本的に強めることが重要である。熱中症による救急搬送のうち36%は住宅内で発症しており、予防にはエアコンの使用が不可欠であるが、物価高騰のなか、電気代を気にしてエアコンを使わない方が少なくない。市独自に電気代支援を行うこと。

    (答)

    物価高騰の影響を受けた市民への生活支援につきましては、物価高騰緊急支援給付金として、令和6年度に新たに非課税等となる世帯への給付、低所得者の子育て世帯への加算給付及び定額減税しきれないと見込まれる方への調整給付を予定しております。

  • 内閣府の2023年度消費動向調査によれば、年収300万円以下の世帯では17%がエアコンがないという回答をしており、これは福岡市でいえば5万4570世帯、全世帯の約6.6%となる。一方、エアコンの値段は平均で8万4000円であり、低所得世帯にとって、新たな購入設置や買い替えは財政的に簡単ではない。すべてのエアコン未設置世帯への購入・設置費の助成をおこなうこと。また、大家や住宅管理会社のエアコン設置への助成制度を本市独自に作ること。

    (答)

    生活保護受給世帯における冷房器具の購入費用につきましては、保護開始時や長期入院から新たに居住を始める際に、冷房器具が未設置であるなど、一定の要件に該当する場合に支給することとなっております。なお、支給要件に該当せず、緊急に購入する必要があって、購入費用がない場合は、県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付を紹介し、手続きの支援を行っております。

    冷房器具の設置費用を含め、生活保護制度は最低限度の生活を保障するために、国において一定の基準を定め実施されているものですので、今後も国の動向を注視してまいります。

  • 道路ではアスファルト舗装面はかなり高温となり、直射日光も直接当たり、熱中症の危険がさらに高く、実際に熱中症搬送者の23%が道路での発症である。市民センターや公民館、図書館などの公共施設をクーリングシェルターとして位置付けて、使用されていない施設や部屋を市民に開放すること。また、東京都墨田区が薬局をクーリングシェルターと登録しているように、本市でも民間施設の活用を検討すること。

    (答)

    指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)につきましては、気候変動適応法の改正を踏まえ、一般の方が利用しやすい公共施設などの指定を進めてまいります。


(4)JR騒音

  • JR福岡貨物ターミナル駅では、貨車の連結やブレーキの音、リフトの作業音などが、深夜2時まで鳴りやまず、周辺住民の受忍限度を超えている。市は、日本貨物鉄道株式会社に対し、貨車の運行時間を夜12時までとし、深夜の騒音を伴う作業をやめるよう、国土交通省や環境省とも連携を図って同社に実行させるとともに、防音壁を設置させ騒音被害を軽減させること。

    (答)

    福岡貨物ターミナル駅に関する騒音につきましては、市民の相談により騒音を測定し、鉄道事業者に騒音対策を要請してきたところであり、鉄道事業者においては、これまで、運行速度順守の徹底や騒音低減に向けたレールの改良が実施されております。

    また、在来鉄道の走行騒音につきましては、環境基準などが定められておらず、新設及び大規模改良に際してのみ騒音問題の未然防止などのための指針が定められている状況にあるため、既設の在来線についても指針などを策定し騒音対策を推進するよう国へ要望を行っております。

    今後も、市民の相談に応じて、鉄道事業者に対する騒音対策の要請などを実施してまいります。

  • JR西日本の新幹線車両基地とJR九州新幹線とが分岐する南区弥永5丁目地域の騒音被害については、深夜2時近くまでの騒音で周辺住民から苦情が寄せられている。弥永4丁目で止まっている防音壁を延長、新型防音壁の設置など、騒音防止の手立てを市としてJRに要請すること。

    (答)

    南区弥永地域の新幹線騒音につきましては、九州新幹線開通直後は環境基準を超過したため、鉄道事業者に要請を行い、防音壁の嵩上げや吸音板の設置、レールの削正が実施されております。

    弥永5丁目地域は、安全面から防音壁の嵩上げは困難ですが、引き続き定期測定を行い、環境基準を超過した場合は、鉄道事業者に対して騒音対策を要請するとともに、新型防音壁など新たな対策・技術の導入を検討するよう国へ要望してまいります。


(5)干潟保全

今日、世界で、干潟は水の浄化など自然の恵みをもたらすものであり、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収にも重要な役割を果たしており、保全が重視されてきている。本市の和白干潟は、日本で2か所しかない自然海岸が残る干潟であり、絶滅が心配されている渡り鳥(クロツラヘラサギ・ツクシガモなど)や、干潟の生きもの(オオミミガイ・ハクセンシオマネキ等)の渡来地であり、生息地であるため「国指定鳥獣保護区」にも指定されている。永年にわたる和白干潟を守る保全活動は日本ユネスコ協会連盟から「未来遺産」に登録(2013年)され、2016年4月の環境省の「重要湿地」として発表された「ラムサール条約潜在候補地リスト」でも登録基準をクリアしている。本市は、条約登録を約20年近くにわたって「将来的な課題」としながら、何もしていない。登録に向けた地域住民の理解を速やかに得る手立てをとること。和白干潟の「特別保護地区」指定を国に申請し、ラムサール条約登録地にされるよう積極的な取組みを推進すること。

(答)

和白干潟のラムサール条約登録につきましては、まず国、県と連携して国指定鳥獣保護区の特別保護地区指定について地域住民の理解を深めていくことが必要であるため、将来的な課題であると考えております。

干潟の保全につきましては、「博多湾環境保全計画(第二次)」においても、重要な施策として位置づけており、今後も引き続き、市民、NPОなど多様な主体との連携、共働により干潟の保全に取り組み、和白干潟の重要性について、理解を深めるための取組みを進めてまいります。



(6)ごみ

  • 家庭用ごみ袋は、最小が15Lであり、他市のような小さなサイズのごみ袋がない。ごみ袋の値段は、全国の市町村では1リットル当たり0.8円程度なのに福岡市では1円と全国平均よりも高い。また、国の有料化手引きでは「住民の受容性」も勘案し負担額の住民意向調査をするよう定められているにもかかわらず、物価高騰以後、本市は調査すら行っていない。したがって、家庭用ごみ袋については、他市のように小さなサイズのごみ袋を作り、レジ袋の代わりに1枚でも購入できるようにし、すべてのごみ袋代の値下げを行うこと。また、高齢者や障害者などを対象にした粗大ごみの持ち出しサービスは無料にすること。

    (答)

    家庭用の指定ごみ袋の現行より小さいサイズの導入につきましては、単身世帯の増加などに伴い、ニーズが今後ますます高まることが考えられることから、令和6年度から試行的に実施いたします。

    家庭ごみ用の指定袋の価格設定につきましては、負担の公平性の確保、ごみ減量・リサイクルの行動を起こすきっかけづくりなどの観点や福岡市周辺の市や町の状況を踏まえ設定しております。

    粗大ごみの持ち出しサービスにつきましては、従来の粗大ごみ収集運搬事業の追加サービスとして、高齢者や障がい者などを対象に新たに実施した制度であり、市民サービスの公平性を保つ見地から、受益者負担の原則により、利用される方々に経費の負担をお願いしております。

  • 本市は「第5次福岡市一般廃棄物処理基本計画」において、2030年度のごみ処理量を53万tとするとしているが、これは全く現在の処理量と変わらないもので、減量する目標となっていない。「福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」第3条には、「市は、あらゆる施策を通じて、廃棄物の減量を推進する」と責務が謳われていることからも許されない。したがって、市は、人口や事業所が増えれば全体としてごみが増えても構わないという原単位でのごみ減量の見方を改め、ごみ処理量の抜本的な削減を明確にした目標とするよう「第5次基本計画」を見直すこと。

    (答)

    「循環のまち・ふくおか推進プラン」の数値目標につきましては、今後の人口や事業所数の増加といった都市の成長を見込みごみ処理量を推計し、新規施策の効果や国の方向性も踏まえ設定しております。

    ごみ処理量につきましては、近年、新型コロナウイルス感染症の影響があったと考えられることから、今後の動向を注視していくとともに、プラスチックごみの分別収集導入に向けた検討など、その削減の取組みを進めてまいります。

  • プラスチックごみ対策は、地球の将来がかかった大問題である。本市では、年間10万6000tのプラスチック類が焼却処理され、再生利用されているのは瓶と合わせて1万1000t程度である。そもそもプラスチックの焼却は化石燃料を燃やすことと同じであり、二酸化炭素排出により温暖化への深刻な影響を与えるものである。本市の家庭系プラスチックごみの焼却量を2030年度までにわずか3000tだけ減らす「第5次基本計画」は、2040年カーボンニュートラルとの整合性がない。したがって、生産者が、製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負う「拡大生産者責任」の立場でのプラごみ対策を国に求めるとともに、本市の廃プラスチック対策を抜本的に強化し、“焼却中心主義”を改め、プラスチックごみを出さないシステムの確立をめざすこと。

    (答)

    プラスチックごみ対策につきましては、「循環のまち・ふくおか推進プラン」に基づき、発生抑制と再使用の2Rに重点を置いた3Rの取組みを推進しており、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を踏まえ、環境配慮設計や使用の合理化、代替素材の利用の促進に向けて、市民・事業者と連携しながら更なる取組みを推進するとともに、国に対し、拡大生産者責任の強化を引き続き求めてまいります。

    また、令和8年度以降のプラスチックごみの分別収集導入に向け、引き続き戸別収集モデル事業を実施するとともに、再商品化事業者の公募など、収集運搬やリサイクル体制の構築に取り組んでまいります。

  • 家庭ごみの収集運搬労働者は、人口も処理量も増え仕事も増えているにもかかわらず、その賃金は低水準に据え置かれており、委託企業の多くで定期昇給がない。夜間戸別収集を維持・継続するためには、委託労働者の雇用の安定と労働条件の改善は不可欠である。したがって、民間並みの賃金引上げや定期昇給が実現できるよう委託費を引き上げ、労働条件の改善を図れるよう市が責任を持って委託企業を指導すること。

    (答)

    ごみ収集にかかる委託人件費につきましては、公務員の給与改定動向などを参考として、適正な賃金水準となるよう算定しており、今後も安定的な事業継続が実施できる体制の確保に取り組んでまいります。


(7)盛土・土砂災害警戒区域の開発行為

建設残土による盛り土の崩落と指摘された2021年の熱海土石流被害を受けて、盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する盛土規制法が成立したが、法で指定する区域が、人家等に被害を及ぼし得るエリアに限定されていることから、それ以外の地域への盛土の集中が避けられない。本市として、危険な盛土の総点検と情報開示をおこない、緊急な安全対策を急ぐこと。また、土砂災害特別警戒区域には盛土をさせないことや、建設発生土は建設工事の発注者などが最終処分地まで適正に処理する責任を持つことを義務づけることを「福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例」に盛り込み、違法な盛土造成への規制を強化すること。さらに、危険区域への新たな宅地などの開発、住宅等の建築を禁止するとともに、危険区域の管理を個人所有者まかせにせず、土地の買取りを含め、市としての管理を強めること。

(答)

盛土につきましては、令和3年度に国において総点検が実施されており、直ちに大規模災害につながる危険な盛土は確認されていないとの調査結果が県において公表されております。

土砂埋立てなどによる災害発生の防止につきましては、「土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例」に基づき、市民生活の安全に寄与することを最優先に、県とも連携しながら取り組んでまいります。

なお、同条例につきましては、令和4年5月に公布された「宅地造成及び特定盛土等規制法」と整合を図るため、見直しを進めております。(農林水産局)

令和4年5月に公布された「宅地造成及び特定盛土等規制法」に基づき、区域指定等の取組みを、有識者の意見を踏まえながら、関係部署と連携して進めております。(住宅都市局)



(8)緑・樹木

  • 多数の樹木を伐採する東京の神宮外苑再開発計画に反対運動が起き、ユネスコ諮問機関のイコモスが警告を発したことに見られるように、都市の緑の保全は、国民的な要求となっている。樹木の適切な管理・保全を徹底すること。

    (答)

    都市の緑につきましては、「福岡市 新・緑の基本計画」に基づき、特別緑地保全地区の指定や保存樹への各種助成などにより、緑の保全に取り組んでまいります。

    また、公園や街路樹などの樹木の管理につきましては、定期的な樹木の剪定や低木の更新刈込、安全点検などを行いながら、適正な管理・保全を行っております。

    さらに、地域の方々などによって結成された公園愛護会や街路樹サポーターに清掃や除草等の協力をいただいており、引き続き、市民・地域・企業との共働により緑豊かなまちづくりを推進してまいります。

  • 「新・緑の基本計画」は目標年次が2020年であり、新しい計画を求める声が上がっているにも関わらず、計画改定の予定は未定である。市民の意見を反映させた、政府よりも10年早く温室効果ガス排出実質ゼロにするという本市の脱炭素目標に見合った形で、樹木の保全及び緑化の推進をする計画への改定を速やかに行うこと。

    (答)

    緑の基本計画につきましては、福岡市基本計画などの上位計画に合わせ、現計画の成果や近年の社会情勢の変化などを踏まえ、市民や有識者、議会の意見などを伺いながら、令和7年度の改定に向けて取り組んでまいります。

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5、コロナの影響と物価高騰に苦しむ中小企業・小規模事業者、農林水産業を支援し、地域経済の立て直しを

(1)中小企業・小規模事業者と地域経済

  • 福岡市中小企業振興審議会では委員から「景況感の回復基調にある企業と経営状況が厳しい企業との格差が生じている」との意見が出され、規模の小さな業者が苦境に立たされていることが伺える。その上にインボイス制度が導入され多くの業者が増税となるか仕事が減らされるかを迫られている。さらにコロナ禍で売り上げが急減した中小企業にとって倒産の歯止めになっていた「ゼロゼロ融資」の返済も今年7月から本格化している。したがって、さらなる中小企業・小規模事業者への直接支援を行うこと。

    (答)

    インボイス制度につきましては、経過措置が設けられるなど、国において事業者の事務負担や取引への影響に配慮した対応がなされているものと認識しております。

    また、資金繰りの厳しい中小企業につきましては、中小企業サポートセンターにおいて、相談や専門家派遣、市の融資制度による資金繰りの支援などを行うとともに、燃料費等高騰の影響が長期化していることなどをふまえ、燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援を引き続き実施することとしております。

    今後とも、事業者のおかれている状況や国・県の支援策の動向を注視しつつ、市内中小企業の事業継続や雇用を支えてまいります。

  • 本市が7月に発表した「中小企業振興に関するアンケート」では76.7%の事業者が原油価格・物価高騰の影響でマイナスの影響が出ていると答えている。「燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援」制度を継続するとともに、「燃料費」に限らず「資材」「材料」の高騰にも対応できるように助成の対象を広げること。また補助率2分の1をさらに引き上げること。

    (答)

    燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援につきましては、支援対象期間を令和6年4月分まで延長し実施しております。

    支援対象経費につきましては、現下の原油価格・物価の高騰は、様々な業種への影響が生じていることから、幅広く市内中小企業を支援するため、多くの事業者に共通する経費で、価格高騰の影響が大きい燃料費及び光熱費について支援することとしております。

    また、上昇したコストは、本来、価格に転嫁し、賃金の上昇につなげるのが肝要であることなどを踏まえ、支援額は影響額の2分の1としております。

    今後とも、事業者のおかれている状況や国・県の支援策の動向を注視しつつ、市内中小企業の事業継続や雇用を支えてまります。

  • 「ゼロゼロ融資」の返済が本格的に始まっており、物価高騰と合わさって倒産企業が急増する危機が強まっている。金融機関から新たな資金調達が難しい企業も多く、ゼロゼロ融資をいったん「別枠債務」とするなど柔軟な対応を金融機関に求めること。

    (答)

    中小企業者の資金繰りに係る相談につきましては、中小企業サポートセンターにおける金融相談や専門家派遣などにより支援を行っております。また、従来より、市から金融機関や福岡県信用保証協会に対し、個々の事業者の実情に即した弾力的な運用を行うよう要請しており、金融機関・保証協会においても、適切に対応していただいていると認識しております。

  • ただでさえ、コロナや物価高騰の影響が中小企業・小規模事業者を襲っているにもかかわらず、国は10月1日からインボイス制度の導入を強行した。これまで消費税の納税を免除されていた小規模事業者や個人事業主に新たな税負担がのしかかることになっており、本市の小規模事業者や個人事業主への影響は大きい。他人事のように「経過措置がある」などと言わず、国にインボイス制度の中止を求めること。

    (答)

    インボイス制度は、消費税の複数税率制度の下において課税の適正性を確保するために必要な制度とされております。

  • 中小企業政策を創業、急成長型のベンチャー支援など特定の業種に重点化せず、現存する企業、雇用を守ることに改めること。本市の経済と雇用を支えている中小企業・小規模企業者向けの振興予算を抜本的に増やすこと。

    (答)

    中小企業の成長と発展を図ることは、福岡市における産業政策の基本課題であり、中小企業・小規模事業者が、社会経済環境の大きな変化の中で、持続的に成長・発展していくためには、新製品やサービスの開発、新市場の開拓など、イノベーションにチャレンジしていくことが重要であると考えております。このため、中小企業振興条例に基づき、「経営基盤の強化」として、中小企業振興の根幹であり、経済観光文化局予算の8割を占める商工金融資金制度の運用や、きめ細かな相談業務などによる経営支援を行うとともに、「持続的発展の促進」として、商店街や伝統産業など地域に密着した経済活動の活性化の支援、中小企業・小規模事業者の「多様で活力ある成長発展の促進」として、第二創業を含むスタートアップの支援・育成や、観光・集客戦略などに取り組んでおります。

    今後とも、これらの施策を積極的に推進し、引き続き市内の中小企業・小規模事業者の事業継続や雇用を支えてまいります。

  • 地場中小企業・小規模企業の仕事づくりにつながる用途の制限がない住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム支援制度を創設すること。

    (答)

    住宅リフォーム助成制度につきましては、市民の安全安心な住宅の確保や良質な住宅ストックの形成を図るため、戸建住宅や共同住宅の耐震化や要介護などの高齢者がいる世帯を対象としたバリアフリーなどに対して助成を行っております。(住宅都市局)

    商店のリフォームなどに対する支援につきましては、商店街の共同施設の設置費用の一部を助成しております。(経済観光文化局)

  • 住宅断熱リフォームに関する国の補助制度に上乗せ横出し、地場中小企業・小規模事業者の仕事づくりの仕組みを付与した市独自の制度をつくること。

    (答)

    住宅における断熱改修につきましては、複層ガラスによる断熱改修に対してポイントを付与する「ECOチャレンジ応援事業」を実施するとともに、「住宅窓改修の手引き」を活用した啓発や国補助金の周知などによって住宅の断熱性向上を推進してまいります。

  • 競争入札資格のない未登録業者に対して、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する小規模工事登録制度を実施すること。

    (答)

    小規模工事登録制度につきましては、発注のあり方や施工上の課題などの整理・研究を行っております。

  • 1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対して行っている「令和5年度官公需に関するアンケート調査結果」によると回答企業のうち発注金額の地場中小企業の割合は約4%、地場小規模企業者にいたっては1%にもはるか及ばない。実態調査を行い現状を正確に把握するとともに公共事業を地元中小企業、特に小規模企業者へ優先して発注すること。また、公共事業の在り方を生活密着型に改めて中小企業の仕事を増やし、地場中小企業者・地場小規模企業者向けの発注割合を増やすこと。

    (答)

    官公需の発注状況につきましては、福岡市が1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対してアンケート調査を毎年実施し、下請発注状況などの把握に努めております。

    公共事業につきましては、従来より地場中小企業の育成、振興を図る立場から、可能な限り地場中小企業へ優先して発注することを基本方針とし、分離・分割発注することで地場中小企業の受注機会の拡大を図るよう努めるとともに、公共工事の発注に当たっては、元請企業に対して、特記仕様書において、下請発注や資材調達における地場企業活用の努力義務を課しております。

  • 市発注の公共事業の下請け、孫請けの賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを調査するとともに抜き打ちでの調査も行うこと。あわせて、事業主が負担すべき必要経費(法定福利費、安全管理費)が適切に支払われていることも調べること。また、調査に基づいて指導すること。

    (答)

    公共工事設計労務単価は、国において、国・県・市の発注工事から抽出した工事について、従事した元請・下請の建設労働者の賃金を調査し、実態を反映した平均単価を職種ごとに定め、翌年度の公共工事の積算において適用しており、11年連続で上昇しております。

    福岡市におきましては、毎年の労務単価決定に合わせ、関係業界団体に対して、適切な価格での下請契約、技能労働者への適切な水準の賃金支払い及び、適正な法定福利費などの確保について通知しております。

    また、下請契約を締結する全ての公共工事において、施工体制台帳及び施工体系図の提出を求め、各監督課にてその内容を確認しており、財政局においては、毎年実施している施工体制一斉点検の際に、下請契約の締結状況などについて現場で確認を行っております。

    なお、下請契約の適正化につきましては、「建設業法」に基づき、国または県において調査や指導あるいは監督処分などの措置がとられることとなっております。

  • 市の公共工事等を受注した企業や下請け業者等は、市が定める賃金以上を支払うことが義務付けられる公契約条例は川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国で70を超える自治体に広がっている。発注する公的機関と受注者等の間で結ばれる契約において、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する公契約条例を制定すること。

    (答)

    公契約条例の制定につきましては、国において公契約に関する法制を整備するのが適当であると考えております。

  • 所得税法56条の廃止は、家族一人ひとりの働きを正当に評価し、人権を尊重することにつながる。また、ジェンダー格差の是正、女性の地位向上と経済的自立への一歩にもなる。自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を必要経費として認めない所得税法第56条の廃止を国に求めること。

    (答)

    所得税法第56条では、個人事業は家計と事業とを切り離して考えることが難しく、事業に関する様々な対価を適正に認定することが税務執行上困難であることから、その対価は必要経費に算入できないこととされております。

    一方、同法第57条では、事業専従者につきまして、一定額を必要経費に算入できること、さらに青色事業専従者につきましては、記帳・保存の義務を果たすことで給与支払額の全額を必要経費に算入できることとされておりますことから、家族従業者の労賃につきましても、税制上考慮されているものと考えております。


(2)雇用・労働

  • 過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにする働かせ方を強いる企業が少なくない。労働問題を県や国に任せるだけでなく、専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話やSNSを使った相談を実施すること。調査、相談、啓発を網羅した、違法・脱法的な働き方をなくすための条例をつくること。

    (答)

    労働問題につきましては、労働基準関係法令などに基づき、監督指導権限を有する国及び県が主たる役割を果たしており、福岡市はそれを補完する役割を担っていると考えております。

    国は、労働局や市内3か所の労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」、平日の夜間及び土日も電話相談が可能な「労働条件相談ほっとライン」により、労働相談を受けております。

    福岡市におきましても、市民相談室で労働相談を受けた場合においては、必要に応じて弁護士による法律相談を受け付けるほか、国の労働基準監督署や県の労働者支援事務所などの専門窓口につなぐなど、引き続き、関係機関と連携を図りながら、取組みを進めてまいります。

    また、労働に関する法令や制度をわかりやすく解説した「働くあなたのガイドブック」及びガイドブックを抜粋した「働くあなたのリーフレット」を発行し、福岡市内の高等学校や専門学校、大学・短期大学、情報プラザや区役所などで配布するとともに、福岡市ホームページへ掲載するなど、引き続き周知・啓発に努めてまいります。

  • 「働くあなたのガイドブック」は、抜本的に作成部数を増やすとともに、どのように配布し活用されているのかを把握すること。また、「働くあなたのリーフレット」を市内の高校、専門学校生、大学生全員に渡せるように作成部数を増やすとともに、労働者向けリーフレットを作成すること。

    (答)

    福岡市では、労働関係法令を分かりやすく解説し、労働相談窓口を紹介する「働くあなたのガイドブック」を令和4年度は、令和5年1月に12,000部を発行し、福岡市内の全ての高等学校、短大、大学、専門学校に必要部数を送付したほか、企業向けセミナーや市関連施設などでも広く配布しており、引き続き必要部数を発行し、配布してまいります。また、「ガイドブック」をもとに学生向けに編集した「働くあなたのリーフレット」を、令和5年1月に40,000部発行し、福岡市内の全ての高等学校、短大、大学、専門学校に必要部数を送付したところであり、引き続き必要部数を発行し、配布してまいります。

    さらに、「ガイドブック」及び「リーフレット」と同じ内容を福岡市ホームページに掲載するなど、今後とも、利用者のニーズを踏まえた周知・広報に努めてまいります。

  • 女性の活躍推進企業データベースを活用して市内民間企業の男女の賃金格差を市が公表するとともに、格差解消を促すこと。

    (答)

    男女の賃金の差異につきましては、国において、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主に対し、自社のホームページや女性の活躍推進企業データベースで公表するよう義務付けております。

    また、賃金を含む労働条件などにつきましては、労働に関する法令や制度をわかりやすく解説した「働くあなたのガイドブック」を作成し、企業や労働者、学生などに配布するとともに、福岡市ホームページにも掲載するなど、引き続き周知・啓発に努めてまいります。


(3)農林水産

  • 急激な円安、物価高騰が農業・漁業従事者に深刻な影響を与えている。肥料、資材、燃油、飼料など高騰分を補てんする市独自の施策を実施すること。

    (答)

    中小企業等(個人事業者含む)を対象とした燃料費等高騰の影響を受けた事業者支援につきましては、支援対象期間を令和6年4月分まで延長し実施しております。

    また、農業者、漁業者は、燃油高騰に備え、国のセーフティネットも必要に応じ活用いただいております。

    農業の資材高騰などにつきましては、令和5年度より地域資源を活用した肥料や飼料の利用を支援しており、国際市況による価格高騰の影響を受けにくい農業への転換に向け、支援の充実を図ってまいります。

    今後も物価の動向やその影響について引き続き注視してまいります。

  • 日本の食料自給率はカロリーベースで38%と、異常な水準まで低下している。岸田政権は、食料・農業・農村基本法の見直し作業を行い、6月に「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」を発表したが、そこでは国内生産力増大・食料自給率向上の旗すら下ろしてしまった。社会、経済の基盤である食料自給率向上に真剣に取り組まないのは「亡国の政治」と言わざるを得ない。食料供給の不安定化を見据えて、食料自給率の向上・回復を国政の柱に据え、農政の最大の目標に掲げて取り組むよう国に求めること。

    (答)

    食料自給率につきましては、国において食料・農業・農村基本法の改正に向けて検討がなされており、動向を注視してまいります。

  • 農業と農村の歴史的衰退の流れを逆転させ、食料自給率の向上に本格的に転ずるためには、基幹産業と位置付け、農林水産関係予算の大幅な増額が不可欠である。農林水産業の振興に必要な予算を思い切って増額すること。

    (答)

    農林業・水産業総合計画に掲げる目標の実現に向け、必要な予算の確保に努め、施策を推進し、農林水産業の振興を図ってまいります。

  • 農業所得に占める政府補助の割合は、ドイツ77%、フランス64%だが、日本は30%と半分以下でしかない。価格保障、所得補償を抜本的に充実するよう国に求めること。

    (答)

    農畜産物の価格保障や農家の所得補償につきましては、国において、交付金などにより適切な対策が講じられているものと認識しており、今後とも、これらの制度を活用してまいります。

  • 本市の農家の経営主の平均年齢が72.9歳となっている。農家戸数及び農業従事者数についても、依然として減少傾向が続いている。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすこと。

    (答)

    農家の後継者づくりにつきましては、青年農業者の育成支援や親世代の経営安定化を図ることで、次世代へ円滑に継承できるよう進めてまいります。

    また、農業技術を習得するためのインターンシップなどの研修や国補助を活用した経営確立のための資金交付、農業用機械・施設の経費助成及び低利融資などにより、新規就農者の確保に向け取り組んでまいります。

    さらに、新規参入者につきましては、関係機関と連携し、新規就農相談や農地のあっせんなどを行ってまいります。

  • これ以上耕作放棄地を増やさない手立てをとるとともに、活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにすること。

    (答)

    耕作放棄地対策につきましては、農業委員会と連携しながら、貸したい耕作放棄地の情報をホームページに掲載し、農地を借りたい人と農地所有者とのマッチングを行うとともに、農業者による再生の支援を行うなど耕作放棄地の活用に向けて取り組んでまいります。

  • 農業従事者が有機農業に安心してとりくめるよう、収益の不安定期への手厚い補助を実施すること。有機農業の拡大のために、安定した販路の確保が必要である。そのために、学校・保育園・幼稚園の給食の食材に地元の有機農産物が採用されるように、有機にふさわしい価格で買い取り、その際の掛かり増しの経費を市が補助すること。

    (答)

    有機農業に取り組む農業者に対しては、引き続き、国の交付金を活用し支援を行ってまいります。

    また、市内の有機農業の取組み面積が少なく、地元の有機農産物の安定供給は難しいことから、まずは、国の策定した「みどりの食料システム戦略」に基づき、地域の実情や農業者の意向に配慮しながら、有機農業に取り組む面積の拡大が図られるよう農業者の理解促進に努めてまいります。

  • 有害鳥獣による農作物への被害額は3362万円となっており影響は依然大きい。被害の多くを占めるイノシシ対策のためワイヤーメッシュ、電気柵の設置など予算を増やすこと。

    (答)

    イノシシなどの有害鳥獣による被害対策につきましては、国の補助事業を活用した侵入防止柵の設置支援や、市独自の侵入防止柵の強化支援により、鳥獣の農地への侵入防止を図るとともに、猟友会への活動支援や報奨金支給、ICT・IoTを活用したわなの設置や集中捕獲の実施などにより、捕獲活動を促進するなど、県・JA・糸島市などの関係者とも連携しながら、被害防止対策を推進してまいります。

    また、イノシシが出没しにくい地域ぐるみの環境づくりや自衛に取り組む農業者への支援など、地域とも協力しながら推進してまいります。

  • 各市場において脱炭素化計画を作成し実行すること。

    (答)

    脱炭素化につきましては、「福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画」に基づき、削減目標に向けて、各市場に適した効率的・効果的な整備や管理運営などに努めております。

    今後とも温室効果ガスの削減に向けて取組みを進めてまいります。

  • 民有林の人工林のうち、約8割が木材として利用可能時期を迎えている。森林の保全や花粉発生源対策のためにも主伐を進めること。

    (答)

    花粉発生源対策として、スギ、ヒノキ人工林の伐採の推進に取り組むとともに、地域産材の利用促進に努めてまいります。

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6.憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもを人間として尊重する教育・文化行政の推進を

(1)福岡市教育振興基本計画

第2次福岡市教育振興基本計画は、抜本的な教員増や遅れている大規模改造、体育館へのエアコン設置等教育環境の整備など教育行政の責務が抜け落ち、「共育」として家庭や地域の責任をことさら強調するものとなっている。教育内容においては「キャリア教育」「グローバル人材の育成」「英語教育の推進」をセットとし、ICT教育を重視する等、財界からの要求を具体化した偏狭なものとなり、子どもたちが学びの意味を実感できないものとなっている。今、世界では戦争や環境問題、人権問題など多くの社会問題が発生し、子どもたちはコロナ禍や家庭の生活困難等にも直面し、葛藤と模索の中でともすれば希望を失いかねない中での学びを強いられている。子どもの権利条約が掲げる一人一人の尊厳、発達の権利や意見表明権等の人権、最善の利益を保障し、教育の真の目的である「人格の完成」が土台に据えられた計画への転換が急がれており、早急かつ抜本的に見直すこと。

(答)

「第2次福岡市教育振興基本計画」は、福岡市の教育の大きな方向性を示す基本的な計画として策定しており、めざす子ども像や重視する教育の方法、推進すべき施策を定めております。

本計画で掲げるめざす子ども像「やさしさとたくましさをもち ともに学び未来を創り出す子ども」の実現に向け、確かな学力の向上をはじめとした17の施策を、引き続き推進してまいります。

なお、現計画の対象期間が令和6年度までとなっているため、次期計画の策定に向けた検討を行っております。



(2)教育予算

人件費を含み、一般会計のわずか13%前後と抑制されている本市の教育予算は、教員確保や施設整備・改善、学校運営等、教育活動の基盤を揺るがしており、抜本的に増額すること。

(答)

福岡市が目指す子ども像の実現に向け、必要な予算を確保し、第2次福岡市教育振興基本計画に基づいた教育施策の充実に着実に取り組んでまいります。



(3)過大規模校などの教育環境

  • 2023年度は小学校20校、中学校6校が31学級以上の過大規模校になっている。子どもたちはプレハブでの学校生活を余儀なくされ、運動場で思いきり遊ぶこともできず、全員が参加する学校行事さえも難しくなっている。また、学校規模が大きくなることによりいじめ・不登校が増える傾向もあることからも、過大規模校の解消は喫緊の課題である。文部科学省は過大規模校の状態は速やかに解消することとしているが、教育委員会は「福岡市小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」で、過大規模の状態が一定期間継続しない限り、適正化の手だてを講じないとして実質放置してきた結果がこれであり問題である。この方針を改定し、学校用地を確保して分離・新設をするなど、早急に過大規模校を解消するためのあらゆる手立てを尽くすこと。

    (答)

    過大規模校への対応につきましては、「福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」に基づき、児童生徒数の推移や住宅開発の動向を注視しながら、適切に取り組んでまいります。

  • 多くの市民と教育関係者等による長年の運動によって普通教室に続き、特別教室にもエアコンの設置が実現した。一方で、毎日使用する印刷室や給食の受所、相談室やPTA会議室などの諸室には整備されていないところが残されている。PTAが設置費用を出すところもあるとのことだが、これは教育委員会の怠慢である。このような諸室についてもただちにエアコンを設置すること。

    (答)

    相談室やPTA会議室などへの空調整備につきましては、必要性や優先順位などを総合的に判断していく必要があると考えております。

  • 猛暑による熱中症予防のために、体育の授業や学校行事が体育館で行えず、教育活動に支障を来している。また、体育館は災害時の避難所としても活用されることからエアコン設置を求める声が強くなっている。文科省は、「緊急防災・減災事業債」を延長し体育館へのエアコン設置を促している。教育委員会は、断熱構造の問題と多額の経費を言い訳にして頑なに設置を拒否する姿勢を改めて、今後新設される学校の体育館にエアコンを設置するとともに、既存校にも順次断熱構造を施しエアコンを設置すること。

    (答)

    既存の学校体育館への断熱施工につきましては、福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に基づき、整備を進めてまいります。また、空調設備につきましては、多額の整備や運転の費用を要することや教育上の必要性なども含め、総合的に判断していく必要があり、今後の検討課題であると考えております。

  • 学校のエレベーター設置について教育委員会は、2025年度までにわずか6校しか計画しておらず、その後の設置計画は、大規模改修時にとなっており、いつになるかわからない。障害のある子どもたちの地域で学ぶ権利を奪うものであり許されない。すでに在籍している肢体不自由児の卒業に間に合わないものは放置をし、先延ばしにしてきた結果、全国平均3割の設置率に対し、2025年までに18%のみと立ち遅れている。児童生徒の安全確保、教員等の負担軽減、学校のバリアフリー化を促進するためにも、全ての小中学校へエレベーターを設置する計画を策定するとともに、要配慮児童生徒が在籍する学校への設置を急ぐこと。

    (答)

    エレベーターの設置につきましては、要配慮児童生徒の入学、卒業年の見込みや既存校舎へ設置する際の技術的な課題などを踏まえつつ、検討してまいります。

  • 学校のリフォームである大規模改造は、築30年以上が対象となっているが、未だに一度も実施されていない学校が44校も残されている。築年数が古い学校は老朽化がすすみ、危険個所も増えている。新たに教育委員会が定めた長寿命化計画は、現在築30年以上経過した学校施設について改修対象にせず、10年先送りするものになっている。大規模改造の改修ペースを引き上げ、未実施校については必要な予算を確保して早急に大規模改造を行うこと。

    (答)

    大規模改造につきましては、施設の老朽化の状況を勘案し、計画的に実施していくとともに、今後とも予算の確保に努めながら、良好な教育環境の整備に努めてまいります。

  • 2022年度に各学校から提出された学校施設改良等要望の項目は351件だが、対応済みはわずか86件と25%にとどまっている。このうち補修点検の要望が出されていた脇山小学校の校舎外側の軒天部分について、市が「経過観察」だとして放置していた結果、今年の夏休みに爆裂して30センチ大のコンクリート片が落下した。幸い休み中で児童はいなかったが、1つ間違えば命に関わる重大な事故である。維持補修費を抜本的に増やし、各学校から要望が出された箇所については早急に対応すること。

    (答)

    学校施設改良等要望につきましては、計画的な実施が必要な大規模な改造から、小規模改善までを含み、またその内容も多岐に渡っております。そのため、必要に応じて現地確認や学校へヒアリングなどを行って状況を確認するとともに、緊急性のあるものは優先的に対応する一方で、他の改修と併せて実施することが、効果的・効率的であるものなどにつきましては、その機会を捉えて適宜実施しております。

  • 学校施設ブロック塀改修事業として道路に面した危険なブロック塀が優先的に改修されており、昨年度末までに16kmが完了したが、依然として14kmの改修が残されている。予算を増額して速やかに改修すること。また、通学路における危険なブロック塀については、補助事業の対象を抜本的に広げ、補助額を増額して、積極的に周知するとともに、危険なブロック塀の除去を早急に進めること。

    (答)

    学校施設のブロック塀の改修につきましては、専門家による調査の結果を踏まえ、危険性が高いものから、できる限り早期に改修できるよう、予算の確保に努めながら取り組んでまいります。(教育委員会)

    危険なブロック塀の除却につきましては、福岡県ブロック塀等安全対策推進協議会の会員である県や関係団体と連携して、ブロック塀の調査・点検・啓発用リーフレットの配布などを行うとともに、除却をさらに促進するため、平成30年10月より助成上限額を増額した補助制度を改めて市政だより等に広報するなど、周知・啓発を図っております。(住宅都市局)

  • 水泳授業を学校プールでおこなうことは重要な意義がある。しかし、学校施設整備指針で設置が推奨されている日除けが設置されておらず、テント等で代用している実態が多数残されている。また、プールサイドが熱すぎて危険、周りの住宅や高層マンションから丸見えなど改善すべき点も多数見受けられる。必要な予算を確保して、早急に対応すること。

    (答)

    学校プールの暑熱対策やプライバシー対策につきましては、プール改修などの機会を捉え、プールサイドの一部に日除けテントなどを整備しております。

  • 公共施設を考える会の調査では、各学校において日常的に施設管理や維持に努めていればすぐに修繕できる軽微なものも多数報告されている。これは学校用務員が各学校に配置されていればすぐに解決する問題である。よって、学校用務員の配置は拠点校方式はやめ、各校1人ずつ配置すること。

    (答)

    学校用務員が行う学校環境整備などに関する業務につきましては、平成26年度から拠点校制度を実施しており、今後とも、児童生徒の安全で快適な学習環境の確保などに配慮しながら取り組んでまいります。

  • 公共施設を考える会の調査では、アスベスト含有が疑われる波型スレートやPタイルの剥がれや劣化が今年も指摘されている。市はアスベスト含有の可能性がある材料や使用箇所などを周知し、破損が見受けられる場合の応急対応や児童生徒への指導の依頼、教育委員会への報告などを通知しているというが、多くの教員や児童生徒が把握していない実態がある。アスベストの危険性や維持管理方法、処分方法について周知するとともに、アスベスト含有建材は早急に撤去すること。

    (答)

    学校施設の天井や壁、床、屋根などの仕上げ材として使用されている建材につきましては、工事施工年度によってはアスベストを含有している可能性もありますが、これらの非飛散性アスベストは、通常使用している状態では飛散する恐れはありません。


(4)学校給食

  • 学校給食は、食育基本法で定めている食育であり、教育の一環である。さらに日本国憲法では義務教育は無償化と明確に書かれている。2023年度に小中学校とも給食費を無償化した自治体は全国で491となった。本市は、就学援助や生活保護を受給している世帯の子どもは無償になっているということを理由に給食無償化は必要ないという立場をとっているが、2021年に内閣府が実施した「子供の生活状況調査」によれば、支援が必要な世帯の就学援助や児童扶養手当の利用率は5割前後、生活保護などの利用割合はわずか1割未満であることがわかっており、本市でも支援の必要な世帯に必ずしも届いていないことは明らかである。国が踏み出さない中、学校給食費を無償とすることは行政の責務である。無償化は本市の一般財源のわずか0.5%で実現できる。コロナ禍とともに深刻な物価高騰が直撃しており、子育て世帯の負担軽減のためにも学校給食費の無償化を実施すること。

    (答)

    学校給食費につきましては、学校給食法などの法令により、保護者負担とされているもののうち、食材料費相当額のみを負担していただいており、経済的な理由により支援が必要な世帯に対しましては、生活保護や就学援助の制度により、支援を行っております。

  • 2023年度の中学校の喫食時間は平均で21分である。昨年「給食時間15分問題」が報道され市民の関心が高まっているにも関わらず、各学校の喫食時間は変わっていない。現場では授業が長引いたり、準備に手間取ったりして喫食時間が10分以下になる場合も少なくない。時間が短いために精神的に追い詰められるケースも続いている。教職員からも給食時間は短すぎるという声があがっている。しかしながら教育委員会は「これで良し」としてまともにこの問題に取り組もうとしておらず、今年も変わっていないという生の声が届けられている。生徒が実情を訴えやすいように喫食時間についての特別なアンケートをとるなど実態を把握し、十分な個別的配慮を講じるとともに、学校が必要と判断すれば、給食・喫食時間を長くすること。

    (答)

    給食時間につきましては、各学校において、学習時間やその他の様々な教育活動を盛り込んだ一日の時制を定める中で、準備や喫食時間なども含め、適切な時間の設定に努めております。

  • 小学校の給食室へのエアコン設置は、現在56校で2023年度中に6校のみ設置となっている。猛暑の中で、適切な温度を超える環境での調理業務は過酷である。「夏には40度にもなり、汗が給食に入る。熱中症で倒れた人もいる」との現場の調理員の声もあがっている。学校給食室にも準用される「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理場の温度は25℃以下に保つことが望ましいとされており、衛生的にも調理員の健康にとっても重要である。教育委員会の責任として給食室の温度の実態把握に努めるとともに、大規模改造を待たずに、速やかにすべての給食室へエアコンを設置すること。

    (答)

    小学校調理室の空調整備につきましては、調理員の安全な労働環境の確保を図るため、学校の新設時や大規模改造時などの機会を捉え、またそれ以外にも調理室単独での工事も優先度の高い学校から整備を進めてきたところであり、引き続き調理室の状況把握に努めるとともに、出来る限り早期に整備を完了できるよう計画的に取り組んでまいります。

  • 2023年9月、全国で給食調事業を展開していた株式会社ホーユーが同業者との競合による受注価格の低下などで自己破産申請し、突如給食提供を停止する事態に至った。このようなリスクをはらむ小学校給食の民間委託並びに中学校給食のセンター方式はやめ、直営にし、市の正規職員として配置すること。

    (答)

    小学校給食の民間委託につきましては、公募型プロポーザル方式により、価格面だけでなく事業者の経営状況や運営能力などを総合的に評価し、事業者を選定しております。


(5)少人数学級

少人数学級は、学習意欲の高まりや不登校児童・欠席者の減少など、教育的効果が数字として表れ、児童生徒の自尊感情も高まることが実証されている。教育委員会は、2022年度から小中学校全学年で35人以下学級を本格実施したものの、学級増に見合う教員の増員が行われず、担任外教員を担任に振り替えて対応しているため、少人数学級の教育的効果が発揮されていない上に、特別な役割を持っていた教員がいなくなり、現場は疲弊している。不安とストレスを抱えた子ども一人ひとりに寄り添いながらゆとりある手厚い教育を実現し、少人数学級の効果をさらに高めるために、担任外教員を担任に振り替えるやり方ではなく正規教員を抜本的に増やすこと。また今後コロナ以外の新たな感染症リスクも軽視できない中、将来的に20~30人程度の少人数学級を実現するための法改正や予算の増額を国に求めること。

(答)

福岡市では、小・中学校全学年での35人以下学級本格実施により、きめ細かな指導の充実を図っております。

教職員の配置につきましては、学級編制の標準の段階的な引き下げや、小学校高学年における教科担任制推進に伴い、いわゆる義務標準法に基づき配当される教員定数に追加が予定されておりますが、さらなる充実について、今後とも国に要望してまいります。



(6)ICT教育

  • 文部科学省が推進している「GIGAスクール構想」は公教育に参入し儲けを上げつつ生産性の向上のために役立つ人材を育成するという財界要求によるものである。ICTの活用においては子どもたちの学びを補助する一つのツールとしての位置付けを明確にし、活用ありきでの事実上の強制をやめ、教員の自主性・自立性を尊重すること。教員のニーズに応じて支援できるよう「ICT支援員」を各校に1人ずつ常駐させること。

    (答)

    福岡市におきましては、1人1台端末を活用し、これまで培ってきた教育実践にICTを組み合わせ、児童生徒が共に学び合う協働的な一斉学習や、個々の習熟度に応じた学習を進めており、児童生徒1人ひとりの可能性を最大限に引き出す学びの実現に努めております。

    ICT支援員につきましては、現在各学校に月2回の派遣を行っており、加えて、常時、電話相談が可能な「ヘルプデスク」を設置するなど、学校のICT活用の支援を行っております。

  • タブレットを活用したAIドリルの活用等で蓄積される子どもの個人情報等の教育データを民間産業に提供することは問題であり、行わないこと。

    (答)

    教育データの活用における個人情報の取扱いについては、関係法令などを遵守し、適切に対応してまいります。

  • デジタル教科書の一部導入が始まっているが、現場や有識者からは学習効果への疑問、子どもの健康への影響に対する懸念、活用に伴う教員の負担増等の意見が後を絶たない。強引な本格導入は許されず、慎重にすること。

    (答)

    デジタル教科書につきましては、ICTを活用し学校における教育の質をより高めていくために効果的に活用していくことが重要であり、1つのツールとして、児童生徒の健康面を考慮しながら、適切に導入を進めてまいります。


(7)教職員の働き方改善、採用数

  • 教師不足は本市においても引き続き深刻であり、5月1日時点で小学校2人、中学校5人、2学期始業式時点では小学校8人、中学校9人、特別支援学校2人の欠員を生み出し、担任不在となる異常な事態となっている。これは長年、正規教員の採用数を抑制し、500人規模の定数内講師で穴埋めするやり方が破綻したものである。また、産休・育休・病休代替で任用できる講師の確保にも無策だった結果でもあり、教育委員会の責任は重大である。講師頼みの定数確保方式をやめ、年度内の休暇取得見込みを正確に把握した上で正規教員の抜本的な採用増を図ること。従来の時間給が約半額に減らされた市立高校を含め非常勤講師の処遇を抜本的に改善し人材を確保すること。

    (答)

    教員につきましては、学校教育の充実などのため、これまで増員してきたところであり、引き続き計画的な採用を行ってまいります。

    非常勤講師の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示した運用の考え方を踏まえ、職務内容や職責などに応じて設定しており、今後とも、市全体の均衡なども踏まえながら適切に対応してまいります。

  • 教育委員会が定める教員の時間外在校等時間の上限目安である「月45時間以下」の割合は2021年度時点で小学校67.0%、中学校62.1%にとどまり過労死ラインを超える深刻な実態は改善されておらず2022年度中における教員の病気休職者数は390名、その内精神の病によるものは150名といずれも史上最高値となっている。しかし、2022年策定の「福岡市立学校における働き方改革推進プログラム」においては教職員の長時間勤務について「抜本的な改善には至っていない」ことを認めつつも、具体的な取り組みとしては学校閉庁日の設定や時差出勤、ICTの活用、ひいては学校現場の「意識改革」等、現場の努力に責任転嫁する対策にとどまっている。長時間過密労働の解決はもはや小手先の改善では不可能であり、授業時間を抜本的に削減し、教員一人あたり小学校で週20コマ、中学校で18コマ程度を実現するよう現場に指導・助言すること。「改革推進プログラム」は実効性のあるものへ早急に改訂すること。

    (答)

    年間の標準授業時数につきましては、学習指導要領で示されており、各学校において教育課程を編成する際には、年度当初の計画段階から年間の標準授業時数を下回ることがないよう指導しております。

    教員の授業時数に関連する教員配置につきましては、義務教育法に基づき配当される教員定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について、今後とも国に要望してまいります。

    学校の働き方改革につきましては、令和4年4月に策定しました「福岡市立学校における働き方改革推進プログラム」に基づき取組みを推進してまいります。

  • スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、学校司書等、極めて重要な役割を担っている専門職が本市においては数校かけもちの業務形態となっており、現場のニーズに応えられない状況になっている。全校へ1人以上配置するよう改善すること。またその処遇は、会計年度任用職員という1年単位の非正規雇用となっており、報酬や賃金も極めて低い水準にとどめられている。専門職にふさわしい処遇改善を図り、国が財源措置をするまでの間、本市独自に正規雇用への転換を図ること。養護教諭の複数配置、学校看護師の全校配置についても市独自に予算措置し実施すること。

    (答)

    スクールカウンセラーにつきましては、令和3年度に大幅に増員して全ての市立学校に、週1~2日配置するとともに、引き続き心のケアの充実に努めてまいります。スクールソーシャルワーカーにつきましては、全ての市立学校に、週1~2日配置するとともに、その一部を拠点校スクールソーシャルワーカーとし、正規職員を配置いたしております。今後も正規職員のスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの配置につきましては、引き続き国に要望してまいります。

    学校司書につきましては、全ての小・中・特別支援学校に配置するため、令和6年度から5名増員し、51名に拡充することとしており、今後とも効果的な配置について検証してまいります。また、職務内容なども踏まえ、会計年度任用職員として任用することとしており、勤務条件につきましては、今後とも制度に基づき適切に対応してまいります。(教育支援課)

    養護教諭の配置につきましては、義務標準法に基づき配当される定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について国に要望してまいります。

    学校看護師の配置につきましては、対象となる児童生徒の増加などの状況を踏まえ、適切に配置してまいります。

  • 教員は、夏季休業期間中にもワックスがけや壁塗り、草刈り、会議や校内研修等に忙殺されている。本来教員がやる必要のない環境整備等の業務は専門の地場業者に委託し、教員が気兼ねなく休暇を取得できるようにすること。

    (答)

    夏季休業期間中は、学校閉庁日と、その前後の週休日などを含めた学校閉庁期間が最大10日間となるよう、学校閉庁日を5日間設定しております。また、学校閉庁期間中は、学校行事や会議、研修、部活動などのほか、教育委員会事務局から学校への通知や照会などについても実施しないこととしており、教員が休暇を取得しやすい環境づくりに努めております。

    引き続き、学校及び教員が担う業務の見直しを含め、学校の働き方改革を推進してまいります。

  • 福岡市内において、部活動の全員顧問制の廃止等を求める教職員組合が結成された。全員顧問制によって時間外活動が半ば強制され、教員の大きな負担となっている事態は問題であり、やめるよう現場を指導すること。部活動指導員や支援員の更なる増員を図ること。部活動の地域移行については費用の自己負担増や指導者確保等、未解決の問題が山積しており、拙速な移行を行わないこと。

    (答)

    部活動の全員顧問制につきましては、一部の教員に負担が偏ることがないよう軽減を図ることや、複数の教員で指導することによって生徒が安全に活動できるようにすること、さらに、一方の教員が指導できない場合においても生徒の活動時間を確保することなどを目的として、各学校で採用を検討し、決定することが適切であると考えております。

    また、部活動指導員につきましては、大幅に増員し、生徒の技術向上や教員の負担軽減に取り組んでおります。

    部活動改革につきましては、令和6年度以降も、国の動向を踏まえ、適切なあり方について検討してまいります。


(8)教育のあり方

  • 合理的な理由なく子どもの表現の自由を規制し、人権侵害となっているいわゆる「ブラック校則」については、世論と運動を受けて一定の見直しが行われてきたものの、未だ髪型や服装、アンダーウェアの色、眉毛の揃え方等に関して事実上の細かい規制が残っている。また、「指導」という名目で「違反」した生徒を教室に入れない等、教育を受ける権利を侵害している対応も残っている。細かい校則規定は明確な「ハラスメント」だと捉え、学校任せにせず、見直しを指導するとともに、人権侵害の「指導」については直ちに根絶させること。ジェンダーフリーに反する男女別の校則規定についても見直しを指示すること。

    (答)

    各学校の校則につきましては、毎年、各学校において、校内校則検討委員会を設置し、学校や地域の状況、社会の変化などを踏まえて、現状に合う内容への変更の必要性も含め、絶えず見直しを進めております。

    また、校則に関する指導につきましては、今後も不適切な指導が行われないよう取り組むとともに、規則を守る指導だけでなく、生徒の内省を促して主体的に行動できるようにするなど、人権に配慮し、教育的効果をもつ指導となるよう努めてまいります。

  • 本市で2022年度に把握されたいじめは、小学校で3026件、中学校で533件となり合せて過去最多を更新し、タブレットやパソコン、スマートフォンによる誹謗・中傷等の人権侵害も後を絶たない。これらを見過ごすことなく根絶に向け集団的に対応するとともに、地域・家庭との連携を密にできるよう現場を援助すること。命にかかわったり、長期欠席の原因になったりする「重大事態」についてはガイドラインに基づき被害者に心を寄せた速やかな対応を徹底すること。

    (答)

    いじめ問題への対応につきましては、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめ防止基本方針や各学校のいじめ防止基本方針を策定し、いじめの未然防止・早期発見に努めるとともに、いじめの関係児童生徒へのケアや相談体制の整備、重大事態における被害者への情報提供などを行うこととしております。

    その方針を実現する実効性のある組織として、いじめ問題対策連絡協議会やいじめ防止対策推進委員会の設置、各学校のいじめ防止基本方針に基づいて設置したいじめ防止対策委員会で、被害者に寄り添ったいじめ事案への解決に努めております。

    さらに、いじめや不登校をはじめとする学校の諸課題に法的な観点から指導助言を行うために、令和5年度からスクールロイヤーを配置し、必要に応じた各学校への支援を行っております。

    今後とも、いじめ防止対策推進法の基本理念に基づいた取組みを学校と連携しながら行ってまいります。

  • 小中学生の自殺者が増えているにもかかわらず、教育委員会はその人数をはじめ実態について「保護者の意向」等を理由に公表していない。報道によると10月23日には市立小学校の敷地内で児童が死亡しているのが発見されたものの、教育委員会が文科省に報告もしないまま1ヶ月以上推移したことが発覚している。子どもの自殺という深刻な事態に直面している今、子どもの状況や悩みについて関係者間で情報共有し、命と権利を守ることに最優先で取り組む社会的共同こそ求められている。教育委員会はいたずらに情報を隠す体質をあらため、個人情報保護に留意しながらも、必要な情報については公開し、再発防止のための手立てを速やかに取る姿勢へと転換すること。

    (答)

    児童生徒の自殺した件数や状況などの公表につきましては、適切に判断し、対応しているところです。

    今後も、子ども達の心のケアについては、学校の教職員だけでなく、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育相談コーディネーターとともにチーム学校で取り組んでまいります。

  • 子どもたちはインターネット等により非科学的で歪んだ情報に触れ、予期せぬ妊娠に直面したり、性暴力・性犯罪の被害者・加害者になったりするリスクの中で生活している。人の受精や妊娠の過程は取り扱わないとする時代錯誤の学習指導要領「はどめ規定」は撤廃することを国に求めるとともに、これに縛られることなく科学的な包括的性教育を徹底すること。本市作成の「性教育の手引き」については国際基準に照らしても大きく立ち遅れておりLGBTQ+についての記載を含む科学的なものへと全面的に改定すること。

    (答)

    性教育につきましては、学習指導要領に基づき、性に関する正しい理解や、適切な行動をとれるよう、学校教育活動全体を通して指導しております。 性に関する教育の手引きにつきましては、学習指導要領の内容を踏まえ改訂したもので、問題なく活用できるものと考えております。

  • 全国一斉学力テストや本市独自の「生活習慣・学習定着度調査」は子どもと学校に管理と競争を押し付ける以外の何物でもなく子どもと教職員を疲弊させ、精神的ストレスを増大させている。全国学力テストはやめるよう国に求めるとともに、参加をやめ、本市独自調査も中止すること。偏差値競争の温床であり、保護者の経済負担ともなっているフクトをはじめとする業者テストは認めないこと。

    (答)

    福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査につきましては、調査をもとに成果と課題を明らかにし、各学校がさらに取組みの改善を図りながら、学力の課題解決に向けた効果的・重点的な取組みを行っております。

    全国学力・学習状況調査につきましては、児童生徒の学力の実態把握と授業改善のために、全小・中学校の参加を継続してまいります。

    中学校における実力テストにつきましては、各学校が生徒1人ひとりの進路指導の充実につなげる取組みとして実施しております。

  • 特定の価値観を押し付け、憲法や子どもの権利条約に反する現行の道徳科については評価をやめ、子ども一人一人が自分らしい価値観を高めながら市民道徳を身につけられるものへと改めること。

    (答)

    道徳科につきましては、引き続き学習指導要領に基づき、学習を実施するとともに、適切な評価を行ってまいります。

  • 「二分の一成人式」は親への感謝を実質強要し、様々な事情を抱えた子どもたちや保護者にとってはストレスともなっている。特定の価値観を押し付ける「アントレプレナーシップ教育」とともにやめること。

    (答)

    2分の1成人式は、児童が、自分自身の成長を振り返ることができる大切な機会となっており、今後もキャリア教育の一環として継続してまいります。

    なお、各学校において2分の1成人式を行う際には、担任が家庭環境を把握し、児童が意欲的に学習に参加することができるように配慮しております。

    アントレプレナーシップ教育など、様々な教育施策につきましては、福岡市の子どもたちの学力をはじめ、これからの社会を生き抜く力を身につけさせるために実施しており、今後も推進してまいります。

  • 安保法制の下で、自衛隊と米軍の一体的な運用が加速化し、敵基地攻撃能力の保有によって、自衛隊が戦争の突撃部隊とされる危険が高まっている。憲法違反の集団的自衛権の行使を付与され軍隊としての性格を高めている自衛隊を職場体験先として選定しないよう、学校現場に徹底すること。

    (答)

    中学校における職場体験学習につきましては、総合的な学習の時間に位置づけており、体験する職場につきましては、学校が開拓した職場、生徒自身が探してきた職場、保護者や地域から受け入れの申し入れがあった職場などの中から、生徒が選択し、保護者の承諾を得て決定しております。

    自衛隊での職場体験につきましても、学習の一環として行っており、他の事業所と同様に職業の1つとして捉え、生徒の安全などを考慮し、実施しております。

  • 教師による体罰は暴力であり、人権侵害の暴言とともに学校現場から根絶しなければならないが、未だに後を絶たない。「体罰根絶宣誓書」への署名や唱和など、形骸化した対策ではなく、子どもの権利条約や日本国憲法に対する教職員の認識を高める研修等、日常的な取り組みを充実させ、発生事実が判明した際は厳正に対処すること。

    (答)

    体罰によらない教育につきましては、校長連絡会、生徒指導連絡会などにおいて、その趣旨の徹底を図るとともに、全教員が「体罰根絶宣誓書」に署名、唱和するなど、「体罰を決して許さない学校風土」を醸成し、体罰禁止の徹底を図っております。

    また、全校種の校長会会長や中学校体育連盟会長などで構成される「体罰によらない教育推進委員会」で、体罰の原因究明や未然防止についての協議を行っております。

    今後とも、体罰をなくす取組みの充実を図ってまいります。


(9)教育を受ける権利

  • 生活保護基準の連続引き下げについて、憲法違反だとする判決が相次いで出されており、この基準に連動させ、「生活保護基準の1.25倍」としている本市の就学援助基準の妥当性は崩れている。異常な物価高騰が子育て世代をも直撃している中、就学援助制度の重要性はかつてなく高まっており、基準を抜本的に見直すこと。

    (答)

    就学援助の認定基準につきましては、原則として、国が決定している生活保護基準に準じて定めております。

  • 就学援助の支給項目については国が認めているクラブ活動費・生徒会費・PTA会費はもとより眼鏡購入費についても追加するとともに、物価高騰を加味し入学準備金を含む支給給付額全体を増額すること。

    (答)

    就学援助の支給項目につきましては、保護者の経済的負担が大きく、全ての児童生徒に関わるものを選定しております。また、入学準備金などの支給額につきましては、国の就学援助の国庫補助予算単価に準じて定めております。

  • 学校徴収金や修学旅行費等について保護者の大きな負担となっており、義務教育は無償と定めた憲法に基づきこれらの経費を無償とするよう国に求めるとともに、就学援助を受けている世帯の保護者に一時的に立替えを強いる後払い方式を改めること。

    (答)

    経済的理由により就学困難な児童生徒の保護者などに対しては、就学援助による支援などを行っております。また、就学援助は、学用品費や修学旅行費など、様々な支給項目に応じて、支給額や支払いの時期、また定額払いや実費による精算払いなどの手法について、それぞれの項目の性格に応じて設定しており、今後とも、保護者の負担を考慮し、適切に対応してまいります。

  • 不登校児童生徒数は年々増加し、2022年度は4400人と過去最高に膨れ上がった。学校が行き過ぎた管理や競争によって子どもにとって息苦しい場になっていることの表れである。子どもを学校から遠ざけている要因を取り除くとともに、「不登校特例校」については想定人数を抜本的に増やすとともに1校にとどめず各地に計画的に増設すること。その教育課程については当事者や専門家の意見を踏まえたものにすること。

    (答)

    不登校児童生徒数の増加の要因につきましては、文部科学省の調査結果において、コロナ禍による生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況であったことなどが背景にあるとされているほか、児童生徒の休養の必要性に関する考えが浸透したこと、SNSやゲームの普及により、家庭にいても容易に外部に繋がることができ、様々な経験が可能となったという社会の変化も影響しているとの意見もあります。

    福岡市においても同様に、不登校児童生徒数の増加の要因や背景は、個々の状況によって多様であると考えております。

    学びの多様化学校(不登校特例校)につきましては、他都市の状況などから、入学者を40人から60人と想定しているため、まずは1箇所の設置を予定しており、増設につきましては、開校後の状況を見ながら、検討してまいります。

    教育課程につきましては、不登校を経験した生徒の実態に配慮したものとなるよう、アンケート調査で把握した児童生徒や保護者の意見を参考にするとともに、専門家などの意見を伺いながら検討してまいります。

  • 「第2次福岡市教育振興基本計画」における不登校対策は小中学校と適応指導教室の連携やNPOとの共働事業などを通して不登校児童生徒を「学校へ復帰させる」ことを目指し、「復帰率」を65%にするという目標値まで掲げている。当事者や保護者にプレッシャーを与え追い込むことになりかねない復帰率目標は廃止すること。適応指導教室については学校復帰を前提とせず、教育を受ける権利、人格の完成を保障する場として位置付け、箇所数を増やすこと。フリースクールは子どもたちの重要な受け皿であるにもかかわらず公的助成がないために保護者にとって大きな経済的負担となっている。市として助成するとともに、国に対し財政措置を求めること。

    (答)

    「第2次福岡市教育振興基本計画」においては、「いじめ・不登校等の未然防止・早期対応」を施策の1つとして掲げており、1人ひとりの気持ちに寄り添ったきめ細かな支援を行い、安心して学校へ復帰することや社会的な自立を目指すこととしております。評価指標につきましては、同計画策定時において学校と不登校児童生徒の関わりを把握できるものとして設定しておりましたが、現在、次期教育振興基本計画の策定に向けて検討に着手しているところであり、その中で検討してまいります。

    校外適応指導教室につきましては、令和6年度、全区に拡大してまいります。

    フリースクールへの公的助成につきましては、現在、保護者に対してフリースクールの授業料を助成している政令市はなく、また、福岡市では、令和6年度に校外適応指導教室の設置を全区に拡大するとともに、令和7年度に学びの多様化学校(不登校特例校)を設置する等、不登校児童生徒の学びの場の確保に取り組むこととしており、今後も国や他都市の動向や踏まえながら、不登校児童生徒への支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。


(10)特別支援教育

  • 市立の特別支援学校が不足しており、小中学部においては1クラスに6人という国の標準を超えて8人詰め込んでいる。早急に増設して国の通知にも反する事態を解消するとともに図書室など必要な諸室を整えること。

    (答)

    特別支援学校の整備につきましては、設置義務のある福岡県に対して、福岡市内への県立特別支援学校の設置を要望するとともに、国の設置基準や障がいのある児童生徒数の推移などを踏まえ、特別支援教育の充実に必要な施設整備について検討をしてまいります。

    さらに、特別支援学校卒業生の就労率の向上を目指し、就労支援に特化した特別支援学校高等部を令和5年度に1校新設し、令和7年度にはさらに1校新設するなど、障がいのある生徒の自立支援を強化してまいります。

  • 自閉症・情緒障がい特別支援学級の設置率は未だ2割にとどまっており、ニーズに全く見合っておらず9割近くになっている全国政令市水準からも大きく立ち遅れている。全校への設置を進めること。また、多様な発達障害に対応できる指導教室の設置を開始すること。

    (答)

    自閉症・情緒障がい特別支援学級につきましては、対象となる児童生徒の状況や居住地などの実態を踏まえ、計画的な増設に努めてまいります。

    多様な発達障がいに対応するため、これまで、LD・ADHD等通級指導教室を設置してきており、今後も、対象となる児童生徒の状況や居住地等の実態を踏まえ、計画的な増設に努めてまいります。

  • 特別支援学級については8人を1人の教員が受け持つという現行の学級編成基準では一人一人に行き届く教育は困難である。市独自に2人担任体制をとり、国に対して加配の財政措置を求めること。また、基準そのものを現行の8人から6人に見直すよう国に求めること。

    (答)

    特別支援学級の教員定数につきましては、義務標準法に基づき配当される教員定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について、今後とも国に要望してまいります。

  • 特別支援学校や学級に配置する教員は専門性を身に付けた人員の配置を原則とし、採用枠を抜本的に増やすこと。また、人員不足を補う方策として、学校の求めに応えられるよう学校生活支援員や介助員を大幅に増やすこと。

    (答)

    特別支援教育に係る正規教員につきましては、その専門性を考慮し、平成14年度から、特別支援学校教諭の採用区分を設け、教員採用試験を実施しており、引き続き計画的な採用を行ってまいります。

    学校生活支援員や特別支援学級介助員につきましては、児童生徒の実態及び学校運営の状況に応じて適宜任用しております。

    今後とも、学校生活や学習活動に困難を抱える子どもたちが、よりよく過ごすことができるよう支援の充実に努めてまいります。

  • 発達教育センターにおける2022年度の就学相談件数は2206件と史上最高となっており、子どもにとっての適切な進路を選びたいという保護者の願いは切実である。速やかな判断ができるよう相談体制の拡充・充実を図ること。療育センターや児童発達支援センター、保育園や幼稚園等との連携を深め、子どもや保護者の希望を最大限尊重した学びの場を保障すること。そのために必要なバリアフリーのための施設整備や人員配置については遅滞なく行うこと。

    (答)

    障がいのある児童生徒の就学先につきましては、療育センターや児童発達支援センター、就学前施設や幼稚園、保育園などと連携して、児童の実態を十分に把握し、保護者の意向を踏まえて適切な学びの場を検討し決定するよう努めており、今後も、就学前施設などと連携してまいります。

    特別支援学級や通級指導教室につきましては、対象となる児童生徒の状況や居住地等の実態を踏まえ、計画的に増設に努めるとともに、要配慮児童生徒の入学・卒業年の見込みや既存校舎へ設置する際の技術的な課題などを踏まえつつ、エレベーター等の設置を検討してまいります。また、必要に応じて学校生活支援員の配置も検討してまいります。


(11)高校・大学の教育

  • 異常な高学費と物価高騰のあおりを受け、学生はアルバイト漬けだったり、食費を削ったり、もう限界といえる状況にある。日本民主青年同盟が実施する食料支援には多くの学生が食料を求め列をなす。学生への特別給付金を復活させ対象も拡充すること。

    (答)

    大学生などへの支援につきましては、国や大学などにおいて様々な支援策が実施されているところであり、必要な支援が学生に届くよう、分かりやすい周知に引き続き取り組んでまいります。

  • 負担能力を超えた高い学費と親の賃金が上がらないことから学生の3人に1人が平均300万円の奨学金という名の借金を背負っている。学費引き下げ、給付奨学金の拡充、貸与奨学金の返済を国の責任で半分に減らすことや入学金制度の廃止を国に求めること。市独自の給付奨学金をつくること。市教育振興会高校奨学金は希望者全員が借りられるようにすること。

    (答)

    大学生などへの支援につきましては、国や大学などにおいて様々な支援策が実施されているところであり、必要な支援が学生に届くよう、分かりやすい周知に引き続き取り組んでまいります。(こども未来局)

    教育振興会奨学金につきましては、中学生の進路保障を図るため、奨学金の貸与を実施しており、平成30年度以降、申込者のうち収入基準を満たした生徒全員を採用しております。今後とも事業の安定運営を図りつつ、国・県の修学支援制度の動向も踏まえながら、適切に実施してまいります。(教育委員会)

  • 市立高校の学科の改編や教育内容などの抜本的な見直しを進めるために外部の委員による有識者会議を設置して検討を行っている。学校関係者の意見抜きに見直しを進めることは許されず、見直しのあり方を抜本的に改めること。

    (答)

    専門学科を有する市立高校のあり方につきましては、現在、有識者会議を設置し、学科や教育内容などについて検討しており、適宜、学校とも協議しながら進めております。

  • 本市独自の私学助成は、1校平均約180万円で近年全く変わっていない。コロナ禍に加えて急激な物価高騰にある中で、保護者の負担軽減のためにも私学助成の拡充を図ること。

    (答)

    私立学校への助成につきましては、私立高等学校の教育の振興や保護者の負担軽減を図るため、国・県の助成を補完する目的で備品の整備などに対して助成を行っております。


(12)図書館

  • 図書館の資料収集経費が5年間で4割も減っており、「新刊本がない」「借りにくくなった」などの声があがっている。資料収集経費をはじめ図書館予算を増やすこと。

    (答)

    図書購入費などの資料収集経費につきましては、適切な予算措置を行っておりますが、今後も福岡市総合図書館資料収集方針に基づき、引き続き蔵書の充実に努めてまいります。

  • 図書館の仕事を具体的に担うのは、専門職である司書である。司書には、資料・情報を自ら適切に選択できるよう利用者に協力、支援するなどの役割がある。にもかかわらず、本市の図書館員の98%が会計年度任用職員となっており、正規職員はわずか2人である。専門職に相応しい待遇に改善し、希望者は正規職員にするとともに増員を図ること。

    (答)

    総合図書館及び分館につきましては、司書資格を有する職員を引き続き現行の通り配置し、適切な運営を図ってまいります。

  • 管理運営を民間企業に「丸投げ」する指定管理者制度は、図書館を営利追求の場に変質させる。司書の専門性の蓄積、長期にわたるコレクション形成、読書の自由を保障するためにも住民参加を大切にして直営で運営すること。

    (答)

    指定管理者制度につきましては、「福岡市総合図書館新ビジョン」に基づき、図書館サービスの向上を図るため、平成28年度から総合図書館の施設管理及び東図書館などの運営に導入しており、公共図書館としての役割を維持しながら、民間能力の活用により、多様化する市民ニーズに効率的かつ効果的に対応してまいります。


(13)社会教育施設

  • 市議会議員による市政報告会は、市民の市政参加にとって重要であり、社会教育や生涯教育の拠点である公民館の目的内利用に位置づけること。

    (答)

    公民館につきましては、社会教育法及び公民館条例に基づき運営をしており、市政報告会を含め、利用のあり方について様々な角度から検討を行ってまいります。

  • 社会教育法で定められている公民館における禁止行為は、営利事業や選挙期間以外の政談演説会、宗教活動や布教活動、その他、葬儀など他の利用の妨げとなるときなど、極めて限定的なものであり、市民の社会参加や自治活動を促すことに繋がる利用については認めるのが原則である。審査基準については、社会教育施設としての役割を明確にするとともに、誤った対応が起きないように公民館職員への研修、周知を図ること。

    (答)

    公民館につきましては、職員研修の実施や、審査基準を含め情報共有の徹底を図るなど、今後とも、市民に安心して快適にご利用いただける施設となるよう努めてまいります。

  • 市民センターも地域交流センターもノウハウを持っているとされる民間企業を指定管理者としているのに、ノウハウの発揮どころか、不適切な対応が多々生じている。市民が幅広く活用する公共施設における指定管理者制度については、事業者に対して市民への適切な対応を徹底するとともに、市が直接運営するよう制度を見直すこと。

    (答)

    市民センターや地域交流センターの運営につきましては、市民の皆様に安全に、安心してご利用いただける施設となるよう、今後とも指定管理者と連携を図りながら、市民サービスの向上に努めてまいります。

  • 南区における地域交流センターの設置方針を早急に決定し計画を策定すること。

    (答)

    南区における地域交流センターにつきましては、整備に向け、基本構想の検討を進めてまいります。

  • 社会教育を支援する本来の役割を果たすため、館長や主事を補助する人員確保のための予算を増額するとともに、公民館主事の大幅な待遇改善を行うこと。

    (答)

    公民館では、地域の課題や住民ニーズに対応した多様な事業を展開しており、今後とも、必要な予算を確保するなど、適切に運営してまいります。


(14)文化・芸術

  • 本市の文化振興費は2023年度の当初予算で36億円、一般会計の0.3%にすぎない。すべての市民の文化的に生きる権利、もっと自由に文化・芸術をつくり楽しむことを保障するために文化予算の抜本的な増額を行うこと。

    (答)

    文化芸術振興につきましては、福岡市文化芸術振興計画に基づき、市民が身近に文化芸術と触れあう機会の創出や、市民の文化芸術活動の支援などに取り組んでまいります。

  • 拠点文化施設内に整備予定の800席の劇場型ホールができたとしても、慢性的なホール不足は解消できない。演劇等の専門性に対応できる中規模ホール建設をさらに計画すること。

    (答)

    整備を進めている拠点文化施設には、これまでの市民会館を継承する大ホールに加え、新たに演劇などの専門性にも対応できる約800席の中ホールの整備を進めております。

  • 音楽・演劇練習場の4施設は高い稼動率のため希望者の多くが利用できない状況となっている。すべての行政区に設置する計画をつくること。また、ぽんプラザホール同様の小劇場を増設すること。

    (答)

    音楽・演劇の練習施設につきましては、高い稼働率となっていることから、令和4年度に移転した塩原音楽・演劇練習場において練習室を増やすなど、全市的な練習施設の機能拡充を図っております。

    今後とも、各施設の利用状況や、文化活動の現状、市民のニーズなどを踏まえ、誰もが利用しやすい練習環境づくりに向け、既存施設の更新に合わせた機能確保なども含め検討を進めてまいります。

  • 拠点文化施設は、社会包摂の場として役割を果たすよう検討を行うとともに、洗練された舞台芸術を「観る」ことだけではなく、舞台の創造、舞台芸術をささえる人材育成など本市における文化の拠点になるよう方針を明確化すること。また、使用料に市内の創造・鑑賞団体向けの減免制度をつくること。

    (答)

    拠点文化施設につきましては、広く市民に鑑賞の機会を提供するだけでなく、市民の文化活動を支える場とすること、多様な人々が集う交流の場となること、社会課題の解決に貢献する場とすることなどを運営の基本方針としております。また、利用料金につきましては、受益者負担の原則の下、市民の文化芸術活動の促進を図る観点を踏まえ、拠点文化施設条例に上限額を規定しているところであり、利用料金の減免は、公共性の高い行事などを対象に同条例施行規則において定めることとしております。

  • 民間の劇場やミニシアター、ライブハウスは現状では商業施設や遊興施設として扱われ、何の支援もない。年間100日以上事業を行っている施設は劇場とみなして固定資産税の減免をはかるなど、積極的な支援を行うこと。

    (答)

    市内のライブハウスなどへの支援につきましては、音楽関係団体を通して、各施設で行われるイベント情報などを発信しております。 今後とも、ニーズを踏まえながら、必要な支援に努めてまいります。

  • すべての小中学生が1年に1度は文化芸術に触れる機会をつくるために、全校が取り組める予算を確保し推奨すること。義務教育の期間だけでなく、就学前の子どもや、高校生、大学生に対する芸術鑑賞などの支援を強めること。

    (答)

    文化芸術に触れる機会につきましては、各学校の状況に応じて、学校長の判断により実施しております。引き続き、国や県・市などが主催する文化芸術活動関連事業を各学校に案内してまいります。(教育委員会)

    また、福岡市文化芸術振興計画に基づき、子どもをはじめ市民が文化芸術に触れ合う機会の創出に取り組んでまいります。(経済観光文化局)

  • 18歳未満の使用が半数を超えた場合、すべての市民センターで使用料減免を行うこと。

    (答)

    市民センターの使用料につきましては、市民センター条例などに基づき減免を行っており、18歳未満の者が半数以上の団体が利用する場合は、5割相当額を減免しております。

  • すべての市民センターのホールで子どもが舞台を見えやすくするため子ども用クッションの貸出しを行えるよう、指定管理者まかせにせず、市が備品として購入すること。

    (答)

    市民センターのホールにつきましては、令和5年度に子ども用クッションを備える予定としております。

  • 文化芸術振興財団が行っている「ステップアップ助成プログラム」の助成事業数をさらに増やし、それに見合う補助を行うこと。

    (答)

    ステップアップ助成プログラムにつきましては、今後も文化芸術活動者のニーズを的確に捉えながら、効果的な支援に取り組んでまいります。


(15)スポーツ

  • 市内スポーツ施設の土日祝日の応募倍率は野球場、ソフトボール場が65.8倍、テニスコートが18.9倍、体育館、運動室が9.4倍などと毎年倍率が上がっており、スポーツ基本法に定められた、国民のスポーツをする権利が保障されていない。そのことは、「福岡市スポーツ推進計画」で掲げている成果指標「身近なスポーツ環境に対する満足度」が56.5%と、初期値(2012年度)58.3%よりも下がっていることでも示されている。身近なスポーツ施設を新・増設すること。トイレや空調など老朽化しているスポーツ施設は改善し、スポーツ用具については適宜、更新すること。また、競技人口が増えているボルダリングやスケートボードなどの公的施設や、早良区にソフトボールのできる運動公園をつくることなど、160万市民が身近にスポーツ活動ができる施設を計画し、増設すること。

    (答)

    新たなスポーツへの対応を含め、スポーツ施設の新設や増設につきましては、課題や市民ニーズなどを踏まえ、民間の活用など、そのあり方を含めた検討が必要であると考えております。

    スポーツ施設の維持補修及びスポーツ用具の更新につきましては、安全に利用ができるよう、今後とも計画的に進めてまいります。(市民局)

    早良区におけるソフトボールのできる運動公園につきましては、大規模公園の全市的な適正配置の観点を踏まえ、検討してまいります。(住宅都市局)

  • 1年に1度もスポーツをしない障害者は約6割に及んでいる。障害の種類や程度にかかわらず、スポーツを行うことができる環境を作ることは、市の責任であり、市内体育館をはじめ、運動施設のバリアフリーを進めるなど利便性の向上を図ること。また、拠点施設である「障がい者スポーツセンター」について、以前からの改修要望である、トイレの洋式化と駐車場屋根の設置をすみやかに実施すること。多くの障害者が、スポーツやレクリエーションに親しむことができるためには、「障がい者スポーツセンター」が市内1か所では足りず、市有地を使って増設すること。

    (答)

    障がい者スポーツの環境づくりにつきましては、障がい者スポーツセンターや障がい者スポーツ協会を中心に、各種スポーツ教室や大会を開催するなど、スポーツを行う機会を提供しております。また、バリアフリーの推進につきましては、福祉のまちづくり条例及びバリアフリー基本計画に基づく施設整備を進め、利便性の向上に取り組んでまいります。

    障がい者スポーツセンターの改修につきましては、利用者アンケートなどでいただいたご意見や指定管理者からの要望を踏まえ、利用者の安全性や利用頻度、アセットマネジメントの観点などから、緊急度や優先度を考慮のうえ取り組んでおり、全てのトイレの洋式化を行ってまいります。

    また、障がい者スポーツセンターの増設につきましては、施設の利用状況などから現時点で必要性は低いと考えておりますが、引き続き状況を注視してまいります。

    今後とも、障がいのある方やご家族などの声を伺いながら、障がい者スポーツの振興及び環境づくりに取り組んでまいります。

  • 学校の施設は地域スポーツ活動の重要な拠点の一つであり、小・中学校のグランドは校庭開放によって地域のスポーツ振興に寄与しており、その必要な施設整備が求められている。その一方、防球フェンスが低すぎる学校が数十校あり、利用者や周辺住民から強い要望が出されており、スポーツ推進予算を増額して改善を行うこと。

    (答)

    小中学校のグラウンドにつきましては、学校施設開放事業において、学校教育に支障のない範囲で地域住民のスポーツ活動の場として、既存施設の状況に応じたご利用をお願いしております。今後も適切な事業運営に努めてまいります。

  • 福岡市総合体育館をはじめ各区の市立体育館の駐車料金が有料化されている。市民負担を増やす駐車料金の有料化はやめ、無料にすること。

    (答)

    総合体育館の駐車場につきましては、福岡市総合体育館条例において上限額を定め、その範囲内で指定管理者が料金を定めております。

    また、地区体育館の駐車場につきましては、負担の公平性の確保をはじめ、不適正利用の防止や財源の確保を図るため、順次有料化を実施しております。

  • 体育館やプールの利用料金は、65~69歳が半額、70歳以上は無料となっている。高齢者の健康増進のために、65歳以上はすべて無料にすること。あわせて、福岡市内にある民間のスポーツ施設についても、市民が利用する際、利用料金の補助制度を作ること。

    (答)

    体育館やプールの利用料金につきましては、65~69歳の料金を半額、70歳以上の料金を無料としております。また、民間のスポーツ施設利用における料金の補助制度については考えておりません。

  • 体育館やプールなど、スポーツ施設の管理・運営に指定管理者制度が導入されている。運営会社は利益を上げるために、トレーナーなどの人件費を抑制しており、そのため職員の離職率が高く、利用者から苦情も寄せられている。また、コスト削減のために空調を入れないとか、照明を間引くなど、快適なスポーツ環境とは言い難い問題も起こっている。利用者の立場にたった運営のために、直営にもどすこと。

    (答)

    体育館及びプールの管理につきましては、民間のノウハウの活用により、柔軟で質の高い市民サービスを提供することを目的として、指定管理者制度を導入しており、今後とも利用者のニーズの把握に努め、快適なスポーツ環境を維持しながら、適切な施設管理を行ってまいります。

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7.子どもの権利が守られ、安心して子育てできる福岡市に

(1)保育

  • 2023年10月1日時点で、未入所児童は1986人と依然として希望する保育所には入れない子どもたちが多く残されている。市長は保育の受皿確保のために企業主導型保育や定員増の大規模化などを推進してきたが、定員を上回って受け入れている保育所がある一方で、保育士不足により子どもを受け入れることができないなどの理由で10人以上定員割れしている保育所もある。企業主導型保育事業の拡大や定員増の増改築を推進するのではなく、公共用地を活用して適正規模の認可保育所を増設すること。また、現在7園である公立保育所を増やし、せめて各行政区に設置すること。

    (答)

    未入所児童への対応につきましては、地域の保育ニーズを的確に把握しながら、必要に応じ、既存保育所の増改築などにより、定員確保に取り組んでまいります。

    また、公立保育所につきましては、7か所を存続させ、緊急時の対応とセーフティネットなどを担う拠点となる保育所として充実してまいります。

  • コロナ禍での保育が今までの保育の「あたりまえ」を見直すきっかけとなった。登園自粛は、これまでよりも少人数の保育を経験することにより、保育士は現行の配置基準の劣悪さを再認識し、保護者は、登園自粛をしなければ保育が営めない脆弱な基準に直面した。そうした中、愛知を皮切りに、「子どもたちにもう1人保育士を」の運動が福岡でも広がった。「子どもたちにもう一人保育士を!@福岡」が今年10月に行った保育者向けアンケートには600人以上から有効回答が得られ「災害時にこどもの命を守れない」とする回答が85%となるなど現場の過酷な実態が浮き彫りになった。保育士がゆとりをもってより良い保育を行うためにも、基準の改善が緊急に求められている。配置基準の改善を国に強く要請するとともに、市独自に行っている充実保育士の雇用経費を増額し、0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善すること。

    (答)

    保育士の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、国において次年度以降に見直しの動きがございますので、国の動向を踏まえて対応してまいります。また、追加配置を行う保育所に対し、福岡市独自の支援として、雇用経費を助成しております。今後とも必要に応じて国に対して充実改善を求めてまいります。

  • 国の面積基準は75年前から変わっておらず、様々な弊害を起こしている。乳幼児特有の感染症やインフルエンザなどの発生を鑑みると、市独自の乳児室の改善にとどまらずさらに改善を図ることが求められる。0歳児、1歳児については、午睡中の死亡事故を防ぐため、数分おきに呼吸確認が求められるが、布団が重なり合う中確認する困難さがある。2歳以上の保育では、食事もおむつ替えも遊びも同じ場所で行われ、生活である保育場所として十分な面積が確保できていない。現在の施設面積、園庭面積の基準を抜本的に改善することを国に求めるとともに、本市独自の基準を乳児室以外にも設定すること。

    (答)

    施設の面積基準につきましては、乳児一人あたりの面積が、国基準より広くなるように乳児室の基準を設定しております。

  • 幼保無償化は対象年齢が3~5歳児完全無償、第2子以降についても無償となったが、副食費が保護者の実費負担となるなど真の無償化には程遠いものである。対象年齢をすべてに広げるよう国に要請すること。子育て世帯の負担軽減のために市独自に0~2歳児の保育料を国の徴収基準額から20%相当額を減額したとのことだが、これでは不十分でありさらに引き下げ、無償とすること。福岡市独自の多子世帯への負担軽減策として、令和5年4月から、第2子以降の保育料を所得制限などの要件を設けず無償化したがすべての子どもを対象にすべきであり、第1子から無償化すること。また、制服、遠足、文房具代など「隠れ保育料」と呼ばれる実費徴収費が重い負担となっている。物価高騰の影響が特に子育て世帯にのしかかる中で、これらの費用についても無料とするよう国に求め、市独自の補助制度をつくること。

    (答)

    0~2歳児の保育料につきましては、福岡市独自に国の徴収基準額から20%相当額を減額した保育料体系としております。

    さらに、市独自の多子世帯への負担軽減策として、第2子以降の保育料を所得制限などの要件を設けず無償化しております。

    また、実費徴収費につきましては、国の制度に基づき、生活保護世帯などを対象に費用の一部を助成しております。

  • 保育料無償化の下でそれまで保育料に含まれていた副食費が保護者の実費負担として切り離された。このことは物価高騰の中で保護者の大きな負担となっており、無償とするよう国に求めるとともに、第3子以降に限らず、助成対象を広げて副食費無償化の手立てをとること。

    (答)

    副食費につきましては、年収360万円未満相当世帯に対する国の免除制度に加え、保育所などを利用する第3子以降の児童の副食費を免除しております。

  • 保育士の賃金は、全産業平均より月5万円以上低いと言われており、現場の保育士からも「賃金に不満」「せめて月5万円あげてほしい」などと賃上げを求める強い要望が毎年寄せられている。コロナ禍を経て社会の土台を支える保育士の役割が一層重視されているが、まともな賃金アップは図られていない。また、専門性を高め、賃上げにもつながるとして導入されたキャリアアップ研修は一部の保育士に限られ、現場からは休日を潰して研修を受けることや仲間の保育士の負担を増やしてまで研修を受けることへの拒否感や罪悪感があるなどの声が強くあがっている。保育士がやりがいをもって長く働き続けられるように、賃金全体の底上げこそが求められており、公定価格を抜本的に見直して、ただちに月5万円の賃金引上げを行うよう国に求めること。加えて「福祉職俸給表」に基づく賃金となるよう市独自の財政措置を行い、「福岡市保育士勤続手当」は増額すること。

    (答)

    保育士の給与につきましては、保育所委託費に上乗せして福岡市独自に職員の処遇改善に必要な助成を行っております。 今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。

  • 保育士の慢性的な人手不足の中で、代替保育士の確保は困難であり、産休、育休の代替の保育士がいないなどの声が上がっている。求人を出しても応募がなく、派遣に頼らざるを得ない状況が続いている。保育士の確保を現場の努力だけに押しつけず、市の責任で保育士を確保すること。フルタイムで働く正規保育士の雇用を増やすための市独自の財政措置を行うこと。

    (答)

    保育士の確保につきましては、保育士への勤続手当や初任給調整措置費の助成、潜在保育士などへの就職準備金の貸付、就労継続支援を目的とした相談窓口の設置、家賃の一部助成、奨学金の返済支援、保育の周辺業務を行う保育支援者の配置費用の助成などに加え、令和6年度から保育士の負担軽減やブランクの長い保育士の現場復帰を図るため、保育補助者の雇用費を助成するとともに、必要な保育現場の改善について国に要望してまいります。

  • 保育士の離職防止のために市独自の施策である家賃の一部助成や奨学金の返済支援が行われているものの、その対象範囲と額は不十分である。非正規職員や給食調理員、認可外保育施設、院内保育所などにも適用することとし、家賃助成額は少なくとも月3万円に引き上げるとともに、奨学金返済支援の補助も拡充すること。

    (答)

    保育士の家賃及び奨学金助成につきましては、保育の質の維持・向上の観点から、安定的に保育を行うことができる正規雇用の保育士の雇用を促進するため、助成の対象を正規保育士としております。また、これらの助成は、保育ニーズに対応するため整備などを行ってきた認可保育所などにおける保育士の確保策として実施しているものであり、企業主導型保育事業を除く認可外保育施設は助成の対象としておりません。家賃助成額につきましては、福岡市における1人世帯の平均家賃月額及び私立保育所の平均住宅手当額の状況を踏まえ、補助の上限を月額1万円としております。奨学金助成上限額につきましては、大学生と短大生などの日本学生支援機構奨学金の借入・返済状況を踏まえ設定しております。

  • 保育の一環である給食を担う給食調理員の給与は、保育士と比べて賞与を含めて大きな差がある。アレルギー食や宗教食への対応、0歳児の1人ひとりの発達に応じた離乳食づくりなどの専門性とともに、保育士とともに子どもたちの安全と成長を見守るチームとしての調理員の役割と責任は大きい。保育士と同等の給与水準とするよう国に求めるとともに、市独自に調理業務の特殊性と専門性に見合う「特別手当」を創設するなど格差是正のための手立てを講じること。国の配置基準では調理員も到底足りておらず、基準の改善を国に求めるとともに、市独自にも配置基準を引き上げて財政措置を講じること。

    (答)

    保育所職員の給与などにつきましては、保育所委託費に上乗せして福岡市独自に職員の処遇改善に必要な助成を行っております。

    また、調理員の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、職員の配置に係る福岡市独自の措置として、パート調理員の雇用経費を助成しております。

    今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。

  • 保育所の開所時間は11時間だが職員の勤務時間は8時間のため、時間差勤務が行われている。早朝や夕方などの時間帯は特に忙しく、様々なトラブルが起きやすいが、保育士の人数がそろっていない時間である。事故がないようすべての保育時間で配置基準が満たされている必要があり、朝夕の保育士を実際に増やして対応するためには現在の公定価格では不十分である。実態に見合うよう財政措置をするよう国に求めるとともに、市独自に補助制度を設け、どの時間帯でも配置基準が満たされるようにすること。

    (答)

    保育士の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、職員の配置に係る福岡市独自の措置として、充実保育士の雇用経費を助成しております。

    今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。

  • 保育業務の負担軽減としてICT化が進められているが、公的に提出する必要がある記録の作成等は、労働時間内には終わらず、休憩時間や自宅に持ち帰って書くことが常態化しており、保育士の大きな負担となっている。ICT導入という小手先のやり方ではなく、抜本的な業務の削減を図るとともに、提出させる書類を精選するとともに、必要な書類作成については労働時間であることを明確にし、残業手当が支払えるよう運営費の増額を行うこと。

    (答)

    保育士の負担軽減につきましては、保育帳簿の作成の効率化に資するよう、適宜様式の見直しを行うとともに、研修会や実地監査などにおいても、できるだけ省力化できるよう帳簿の記載方法などについて助言などを行っております。

    また、保育業務のICT化により、保育帳簿の作成や園児の登降園管理、保護者への連絡などの機能を含むシステムを導入することで、保育業務の効率化を進めるとともに、令和5年度から保育所の働き方改革に取り組む保育所への支援を実施しており、保育士の負担軽減に引き続き取り組んでまいります。

    なお、適切な時間外勤務手当の支給につきましては、指導監査などの機会を通して、引き続き、指導してまいります。

  • 家庭的保育事業や小規模保育事業などは、保育基準が条例で定められているものの、園庭の設置義務がなく、職員全員が保育士の有資格者でなくても良いという国基準に、市は有資格者を1名義務付けてはいるが、認可保育所より基準が低いため、保育士の質の低下や保育所間での格差につながるなど問題である。すべての子どもの最善の利益と発達の権利を保障するため、条例を見直すとともに、必要な支援を強めて規制緩和路線を改めること。

    (答)

    家庭的保育事業や小規模保育事業などにつきましては、家庭的保育事業等の設備及び運営の基準を定める条例を制定し、保育の質の確保に努めております。

  • 本市の認可外保育施設は、2023年4月1日時点で327施設となっているが、職員の健診費用など助成額の合計は約1370万円、1園につきわずか4万1896円にとどまっている。コロナ禍を経て、とりわけ院内保育所では、病院と一体に市民の命を守ってきた。さらに24時間保育や一時・休日・延長保育、障害児保育など、多様な保育要求にこたえ、地域の子育て支援に貢献し、保育行政を保管する役割を果たしている認可外保育施設への職員給与・修繕費・管理への補助を創設すること。あわせて、認可化をめざしている施設への財政支援を強化し、認可化をすすめること。

    (答)

    認可外保育施設の認可化につきましては、認可に必要な施設整備などの経費に対する助成を実施するなど、認可化へ向けた支援を行っており、今後も継続して支援してまいります。

  • サポート保育(障害児保育)の支援区分Ⅰ~Ⅲの補助単価では保育士1人を雇用できない。支援が必要な子どもに保育士がつくことになれば、別の保育士がクラスをまたいで他の子どもたちを見守るなど、保育士を1人でも多く雇用できる補助単価の増額が現場から求められている。発達障害やグレーゾーンの子どもは年々増加しており、必要な保育士を確保できるように補助単価を抜本的に増額すること。障害の程度が重い子どもを受け入れられるように、1対1での個別対応が可能な保育所を抜本的に増やすこと。さらに医療的ケア児や障害の程度が重い子どもを受け入れる面からも看護師の配置が求められている。看護師配置を現場任せにせず、市として保育所ごとに複数配置する基準を設け、雇用費の助成を抜本的に増やすこと。

    (答)

    特別支援保育につきましては、1対1での個別対応を要する児童を受け入れるため、障がいの程度が重い児童の支援区分を創設しております。また、令和6年度からは対象児童の支援区分や人数にかかわらず、保育士1名分の雇用ができるよう、対象児童を受入れる保育所などに対して最低助成額を設定するなど、支援の充実を図ります。

    医療的ケア児の受け入れ体制につきましては、令和2年度から全ての公立保育所で医療的ケア児を受け入れる体制を整えるとともに、受け入れを行う民間保育所などに対し、看護師をフルタイムで配置可能な額の助成を行い、看護師配置に関しましても併せて助言などの対応を行っております。


(2)医療的ケア児、療育

  • 「医療的ケア児と家族の支援法」が成立し2年経つが、2022年度における医療的ケア児の保育所での受入れは、いまだに公立と私立あわせて13か所19人にとどまっている。すべての保育所で医療的ケア児を受け入れることができるように看護師を配置するとともに、必要な保育士を確保するための雇用費助成の予算を抜本的に増額し、医療的ケア児の受入れを増やすこと。また、たとえ看護師を配置できたとしても、不測の事態に対応するためには医療機関との連携は不可欠である。常に保育所と医療機関等とが連携できる体制を市の責任で整えること。

    (答)

    医療的ケア児の支援につきましては、受け入れる保育所などに対して、看護師配置費用を助成するとともに、障がいの特性理解や障がい児への適切な対応がなされるよう訪問支援、研修を実施しております。

  • 医療的ケア児を受け入れている幼稚園や保育所に看護師を派遣する幼稚園等看護師派遣事業は、1回あたりの看護師の派遣時間が60分、最大120分までという制度設計になっている。これでは開所時間の一部にとどまり、十分な支援とはいえず、2022年度の利用人数はわずか3人である。訪問看護1回あたりの時間を増やすために、抜本的に予算を増額すること。

    (答)

    幼稚園への看護師派遣につきましては、幼稚園の標準教育時間が1日4時間であることを踏まえ、看護師の派遣時間を1回60分、1日最大2時間と設定しております。

  • 2024年に「南部療育センター」が設置される予定であるが、発達障害児等の増加に伴い、現在の市内3か所の療育センター等における相談数は年々増加しており、単独通園施設の待機児童数も毎年発生している。相談から診断まで約1か月半から2ヶ月に改善されたもののまだまだかかりすぎている。療育施設はまだまだ足りておらず、相談・診断・療育が速やかに受けられるように、療育センターや単独通園施設など療育施設をさらに増設すること。言語療法士や作業療法士など専門家の指導が年間通して受けられるよう、専門職員の増員を行い、療育に欠かせないきょうだい児の託児を実施すること。

    (答)

    福岡市における未就学障がい児の療育環境としては、現在、相談、診断、療育機能を有する療育センターなどの施設が3か所、療育のみを行う児童発達支援センターが8か所あり、児童発達支援センターにおいては、言語聴覚士などによる専門的相談にも対応しております。

    南部地域における療育環境の整備につきましては、令和5年10月に建設工事を開始しており、今後とも地域や利用者、関係者などと意見交換しながら、整備を進めてまいります。

    また、令和4年度から、保育所などに通園しながら身近な地域で療育を受けられる児童発達支援事業所を、さらに、令和5年度からは、保育所の余裕スペースを活用した児童発達支援事業所を、モデル事業として設置しており、令和6年度から事業所の本格的な増設に取り組んでまいります。

    引き続き、多様化するニーズも踏まえ、療育など未就学障がい児に対する支援に取り組んでまいります。

  • 療育センター等に通う肢体不自由児が5歳になると単独通園になるが、自力での歩行ができないために保護者の付添いが求められている。療育時間も10時から15時までと短く、保護者のフルタイムでの就労と両立できない。医療的ケア児支援法は、保護者の就労を後押しするために療育支援の充実が自治体の責務として明記されている。保護者の要望の強い単独通園の利用時間の延長や延長保育制度の実施を行うこと。

    (答)

    令和6年度は、療育センターなどに通う肢体不自由児で単独通園となる5歳児のうち登園中に医療的ケアが必要となる児童を送迎するモデル事業を実施します。

    また、単独通園の対象児のうち、就労等により一時預かりが必要な児童について、令和6年度中に市立児童発達支援センターでの療育終了後の一時預かりを実施します。

  • 療育センター等の通園エリアは機械的な線引きが行われ、自宅から近い施設があるにも関わらず、行政区をまたいで通っているなどのケースもあった。南部療育センターの開所にともなう、エリアの新たな見直しについては、これまでのような機械的な対応を改めること。

    (答)

    市内の各児童発達支援センターでは、障がい児の居住地に応じた通園エリアを設定し、児童の年齢、発達の遅れなどを考慮した利用調整を行っております。南部療育センター開設に際し、新たなエリアを検討するに当たっては、できる限り障がい児及びその保護者に寄り添った利用調整を行ってまいります。

  • 本市は未就学児の療育について、障害の種別と年齢によって児童発達支援センターの利用頻度と利用時間を細かく定めており、センターと保育所の併用が認められないなど柔軟性に欠ける仕組みとなっている。近年、共働きで障害のある子を育てる家庭が増える中で保育園に通いながら療育を受けるというニーズは広がっているが、本市の規定では対応できず、「仕事を辞めざるを得ない」という声も複数あがっている。他都市では、幼稚園・保育園との並行通園による療育の強化も進んでいる。児童発達支援センターと保育所の併用を認めるよう規定を改善し、並行通園できる施設を増やすこと。また、保育所等訪問支援制度の周知と人員などの増員を行うこと。

    (答)

    「保育所等に通いながら療育を受けたい」とのニーズが増えており、令和4年度から、保育所などに通園しながら療育を受けられる児童発達支援事業所を、さらに、令和5年度からは、保育所の余裕スペースを活用した児童発達支援事業所を、モデル事業として設置しております。令和6年度から児童発達支援事業所の本格的な増設に取り組んでまいります。

    また、単独通園の対象児のうち、就労などにより一時預かりが必要な児童について、令和6年度中に市立児童発達支援センターでの療育終了後の一時預かりを実施します。

    保育所への訪問支援については申請内容に応じた支援を行っており、引き続き、利用しやすいサービスの提供体制を整えてまいります。

    今後とも、障がいの程度やその特性に応じた適切な支援を提供できるよう、障がい児の療育環境の整備に取り組んでまいります。


(3)子どもの医療費

47%の自治体が医療費無料化する中、ようやく本市も子どもの通院時の医療費助成対象を高校生世代まで拡大したが、1医療機関につき、ひと月あたりの自己負担額500円を残した。コロナ禍を経て長期化する物価高騰の中で、とりわけ子育て世代の経済的困難は深刻となっており、自己負担は決して軽いものではない。同じ政令市の名古屋市が18歳までの医療費無料化実現したが本市の制度は遅れている。したがって、本市でも、18歳までの入院・通院ともに通院時の自己負担をゼロにし、早急に子どもの医療費は完全無料とすること。また今年3月の全国知事会も子ども医療費について「全国一律の制度の早期創設」を訴えている。国に子どもの医療費無料化を求めること。

(答)

子ども医療費助成制度の自己負担につきましては、将来にわたり持続可能な制度とするため、引き続き一定の負担をお願いするものであります。

国に対しては、全国一律の子ども医療費助成制度を国の責任において創設するよう要望するとともに、全国市長会や県市長会など様々な機会を捉えて要望を行っており、引き続き要望活動に取り組んでまいります。



(4)放課後児童クラブ

  • 2023年4月20日時点で子ども1人あたりの面積基準1.65㎡を確保できていない施設が21か所と昨年より増えており、今年度に増改築等で4か所整備し、昨年同様その他は学校施設を活用するなどとしている。無秩序な住宅開発による学校の大規模化が毎年のように繰り返され放課後クラブの増築の場所もないなど、最低限の面積基準を満たしていない施設が後をたたない。子ども1人あたり1.65㎡を確実に保障するよう計画的に整備すること。また、各施設に、8㎡以上を確保した「静養するための機能を備えた区画」や、職員室、調理室、ホール(集会室)を備えるようにすること。さらに、安全、衛生上必要なトイレ、手洗い場を国の設置基準に沿って増設すること。

    (答)

    放課後児童クラブにつきましては、今後とも、国の通知や条例に基づき、学校施設の活用を含め、計画的に整備を進め、利用児童の状況や現場の意見も踏まえながら、遊びと生活の場に必要な機能を整備し、放課後の居場所の充実に取り組んでまいります。

  • 子どもの発達・成長を保障するためにも、支援単位については「1クラス30人以下」がとすることが必要であり、今後の新たな感染症対策にとっても必要な適正規模とすること。

    (答)

    支援単位の児童数につきましては、国が示す基準に基づき、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」において、概ね40人以下と定めており、引き続き、条例などに基づき、適切に対応してまいります。

  • 子どもの成長・発達を保障する支援員は専門職であり正規雇用が基本である。支援員を待遇の低い会計年度任用職員でなく、正規職員として大幅に増員すること。専門職にふさわしい処遇改善を行うこと。

    (答)

    総括支援員、主任支援員及び支援員の人員体制につきましては、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」に基づき、配置してまいります。

    また、総括支援員などの勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示す運用の考え方や他都市の状況なども考慮しながら、適切に対処してまいります。

  • そもそも少なすぎる支援員を補うため、有償ボランティアである約2000人の補助支援員が配置されている。労働時間に応じて報酬を受け取り、指揮命令に従って支援員を補助しながら労働者として雇用しないという脱法行為は許されない。補助支援員と雇用関係を結び、正規化を図ること。

    (答)

    放課後児童クラブの運営につきましては、地域や保護者で構成する校区の運営委員会と連携を図りながら実施しており、補助支援員は各運営委員会で登録の上、子ども達の見守りなどの活動にご協力していただいております。

    引き続き、支援員と補助支援員の役割分担を明確にし、地域の方が補助支援員として協力しやすい環境を整え、地域全体で子どもを見守り育んでまいります。

  • 社会福祉法人が運営する民間学童保育施設へ、発達の保障や児童の居場所を求めて入所希望は増加している。国はコロナ禍の下で民間の学童保育施設も給付対象とした。このことは民間といえ、放課後児童の育成の役割を果たしていると認めたものである。しかし本市は社会福祉法人が営む民間の学童保育施設へ何の支援もしていない。放課後児童クラブにしか支援しない態度を改め、保護者の選択肢を広げる立場から民間にも恒久的な独自の財政支援を行うこと。

    (答)

    福岡市では、子どもの安全への配慮から、小学校敷地内に全ての放課後児童クラブを設置し、学校と連携しながら運営しており、待機児童も生じていないことから、民間学童への助成が必要とまでは考えておりません。


(5)児童館

本市では中央区に1つしかなく、都心部から遠いところに住む市民は利用しづらいという不利益を被っている。また、市内に1館の体制では、国の児童館ガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性は発揮できないことは明らかである。地域に根ざし、専門職員が常駐する児童館は、ゼロ歳児から高校生までが自由に利用できる居場所で、利用状況をみれば極めてニーズが高いのは歴然としている。また、乳幼児を抱える保護者にとっては交流や相談の場でもある。公民館など他の施設や出前児童館などで肩代わりすることは不可能であり、早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、幼稚園・学校・公民館の跡地など公有地を活用して計画的に増やすこと。

(答)

中央児童会館につきましては、市内全域から利用できるよう交通利便性の高い場所に設置し、子どもたちが自らの意思で自由に利用できる居場所となっております。また、地域で行われている子育て支援活動のサポートや出前児童館を実施するなど、館内活動にとどまらず、館外において地域や関係機関と連携した活動も行っております。

専門職員のいる児童館を各区に設置することは予定しておりませんが、身近な地域において、子どもの発達段階に応じた遊びや活動ができる場の確保や機会の充実、中高生などを対象とした若者の居場所づくり、それを支援していく人材の育成・確保を図ることを基本として、施策を推進してまいります。



(6)児童虐待

  • 本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、3057件(2022年度)と9年連続で過去最多を更新した。また小中学生に配布している教材用タブレット端末を使った相談対応事業により、子ども本人からの相談も急増し、その数は前年度の6.8倍になっている。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、2022年3月30日に定められた国の新たな「児童相談所運営指針」において管轄区域内の人口は「基本としておおむね50万人以下」であることとされたことをふまえ、児童相談所を増やすこと。児童相談所内への児童心理治療施設の設置により、児童相談所の一時保護所の定員が40から10へと減らされ、児童養護施設などに割り振っているが、そもそも一時保護を想定した施設ではないため受け入れには人員や施設の面で困難がある。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やし、環境整備を行うこと。

    (答)

    一時保護所につきましては、警察からの身柄付一時保護の急増などに対応するため、一時保護所の改修を行い、令和6年度から定員を10人から20人に増員いたします。

  • 専門職である児童福祉司・児童心理司について、児童虐待防止対策総合体制強化プランで示された2023年度目標の職員配置基準にもとづき児童虐待相談対応件数等を勘案すると同年度の児童福祉司は83人、児童心理司は41人必要であるが、本市の児童福祉司は77人、児童心理司は36人にしかならない。全員を正規雇用にして、早急に基準を達成できるよう採用数を増やすこと。また、半数が経験年数3年未満という状況をあらためて継続性を強め、専門性を高めること。弁護士資格をもつ職員を複数名配置すること。

    (答)

    こども総合相談センターでは、児童虐待の相談・通告件数の増加や相談内容の複雑化・深刻化に対応するため、専門職である児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、弁護士資格を有する職員を配置しており、今後とも、法定研修をはじめ研修内容のさらなる充実に努めるなど、職員の専門性の向上を図ってまいります。

  • 児童養護施設等を退所した若者が社会生活を営んでいくうえで課題となっていることや不安に思っていることについて具体的に把握するために、市としてアンケート調査などにとりくみ、進学・就労支援などを強化すること。また施設職員について現行の本市の制度である、産休代替雇用や共済掛金への助成だけでは職員確保にはとうてい及ばず、処遇改善のための本市独自の支援をさらに拡充するとともに、国に対しても措置単価の引上げを要求すること。

    (答)

    児童養護施設の入所児童などの自立に向けた支援につきましては、それぞれの子ども・若者の状況に応じた相談・支援を行いながら、状況に応じて措置延長や社会的養護自立支援事業を活用するほか、就職・進学の際、国の基準による支度金に加えて福岡市独自の支度金の支給を実施しております。

    また、児童養護施設の職員への処遇につきましては、必要に応じて国への要望も行いながら、適切な援助体制が確保できるよう、取り組んでまいります。


(7)ひとり親家庭

ひとり親家庭の貧困率は44.5%と断トツの高さとなっている。特に母子世帯は、育児もありフルで働けず、就労していても非課税世帯が多く、物価高騰のもとでより大きな経済的打撃を受けて生活状況が非常に厳しい状況である。また、子どもの年齢が上がるほど教育費も上がり食費などを削って何とか生活しているのが実態である。すべてのひとり親家庭が「健康で文化的な最低限度の生活」ができる「福岡支援モデル」を策定するよう、以下の支援を求める。

  • 「福岡市ひとり親家庭実態調査結果」(2021年度)において、「行政機関に対する要望」のトップは「年金・手当などの充実」であり、回答数の6割という強い要望になっている。児童扶養手当について、所得制限の緩和による第1子の拡充、第2・3子以降への加算額の大幅引上げ、毎月支給化、18歳から20歳未満までの支給延長を国に求めること。あわせて、市独自の加算手当を創設すること。また、児童扶養手当の支給が開始から5~7年後に半減になる一部支給停止措置はやめること。

    (答)

    児童扶養手当につきましては、国において所得制限額の引き上げや多子加算額の拡充が予定されており、国の通知等に基づき、本市においても速やかに対応してまいります。

  • 前掲調査で2番目に回答数の多い項目は「医療保障を充実する」である。ひとり親家庭等医療費助成制度の所得制限をやめ、18歳まで完全に無料にすること。

    (答)

    福岡市のひとり親家庭等医療費助成制度につきましては、県の補助対象事業として県制度と同基準で実施しております。

  • 前掲調査で3番目に回答数の多い項目は、「県営住宅や市営住宅を増やす」である。福岡市の母子家庭で公営住宅に入居できているのは、14%しかなく、半分は民間借家やアパートなどで生活している。市営住宅におけるひとり親世帯への収入基準緩和・抽選倍率優遇や子育て世帯一般の別枠募集では十分ではなく、市営住宅そのものを大幅に増やすこととあわせて、ひとり親家庭が入居できる枠を抜本的に増やすとともに、ひとり親家庭への独自の家賃補助を行うこと。

    (答)

    市営住宅につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、建替えや改善事業による機能更新を進めております。

    また、子育て世帯の入居につきましては、入居時の収入基準の緩和や、抽選時の倍率優遇のほか、子育て世帯の別枠募集を行うなど、市営住宅に入居しやすい制度としております。

    ひとり親世帯を含む住宅確保要配慮者に対しましては、セーフティネット住宅において、入居者負担低減などの経済的支援を設けており、引き続き、制度活用に向けて、広報・周知に取り組んでまいります。(住宅都市局)

    ひとり親家庭に対する家賃補助につきましては、自立促進を目的として令和4年度から一定の条件で返済が免除となる住宅支援資金の貸付を実施しており、引き続き、周知に取り組むとともにひとり親家庭支援に関する国の動向などを注視してまいります。(こども未来局)

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8、あらゆる分野でジェンダー平等を進める

(1)市職員における男女賃金格差是正

2022年度の市職員の平均給与は女性が男性の83.7%となっており、年収で約106万円、40年働けば生涯賃金で約4200万円もの差となっている。市職員における男女賃金格差の是正をはかること。また、2022年度の市職員の管理職に占める女性の割合は市全体で19.1%でありきわめて低い。計画的に女性管理職を増やす手立てをとり、意思決定の場における「男女半々」の実現をめざすこと。

(答)

市職員における男女の給与の差異につきましては、管理職に占める男性の割合が高いことが影響していると考えられるため、女性職員の活躍推進について、引き続き、「特定事業主行動計画」に基づき取組みを進めてまいります。



(2)女性が多数を占める会計年度任用職員等の待遇改善

本市の会計年度任用職員のうち約8割は女性であり、全体の約8割が年収300万円以下となっている。このような働かせ方が女性の低賃金を生み出す要因となっており、公務職場で非正規を増やすことは市が率先して男女賃金格差を広げることであり、許されるものではない。ジェンダー格差をなくしていくためにも、会計年度任用職員をはじめとする非正規職員の待遇改善をはかること。

(答)

会計年度任用職員の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示した運用の考え方や他都市の状況なども考慮し、適切に設定しており、適正な水準であると考えております。



(3)市職員の生理休暇

2022年度に一度でも生理休暇を取得した市職員の割合は3.8%と非常に少ない。生理休暇を取得しやすい職場環境の醸成をはかること。また、会計年度任用職員の生理休暇は無給となっており、有給で取得できるようにすること。

(答)

生理休暇につきましては、関係職員団体からの要求や国の動向などを踏まえ、令和6年4月から有給の特別休暇とするとともに、引き続き、職員への制度の周知に努めてまいります。



(4)市内民間事業所の男女賃金格差是正

ジェンダー不平等の大きな要因となっている男女間の賃金格差の解消に向け、市として市内事業所に対し、男女別の賃金を調査・公表して、その是正計画策定を義務付ける条例をつくること。

(答)

男女の賃金格差の解消につきましては、「男女共同参画基本計画(第4次)」に基づき、男女の固定的役割分担意識の解消や、企業におけるワーク・ライフ・バランス及び女性活躍の推進に取り組んでおります。

今後とも、働く場における男女の均等な機会と待遇が確保されるなど、性別に関わりなく、個性や能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。



(5)性暴力・痴漢

  • 女性や子どもにとって、最も身近な性暴力である痴漢や盗撮について、市内の被害件数さえ把握していないのは問題であり、市独自の実態調査や相談・支援センターの増設、加害根絶のための啓発や加害者更生などの対策を講じ、政治の責任で痴漢を根絶すること。

    (答)

    性暴力被害の件数につきましては、県警察から情報提供を受けており、今後とも県警察に対し協力を求めてまいります。

    性暴力被害に対する相談窓口につきましては、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」を県及び北九州市と共同で設置し、平成27年12月からは24時間・365日対応、令和元年9月からは精神科医や弁護士等の専門職を配置、令和2年度からは子どもの性被害の対応に熟練した心理職を配置するなど支援体制を強化しており、引き続き、複雑かつ多様化する相談に対応できるよう充実を図り、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。

    また、性暴力加害者対策につきましては、令和2年度から県において加害者相談窓口が設置されており、相談状況などを把握するとともに、福岡市においても窓口の周知を図ってまいります。

  • 「性暴力被害者支援センター・ふくおか」においてはSNSを使って気軽に相談ができる体制や、被害者の精神科受診の公費負担の拡充など抜本的に充実するとともに、本市独自のワンストップ支援センターや病院拠点型のセンター創設および警察を通さなくても病院で証拠保全ができる体制をつくること。

    (答)

    「性暴力被害者支援センター・ふくおか」につきましては、県及び北九州市と共同で設置し、平成27年12月からは24時間・365日対応、令和元年9月からは精神科医や弁護士等の専門職を配置、令和2年度からは子どもの性被害の対応に熟練した心理職を配置するなど支援体制を強化しており、引き続き、複雑かつ多様化する相談に対応できるよう充実を図り、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。

  • 性暴力規定を見直し、性的同意年齢の引き下げや「不同意性交等罪」を創設した改正刑法が施行された。引き続き、すべての性暴力被害者を救済し、新たな被害者を生まないために、積極的な同意がなければ性犯罪とする「イエス・ミーンズ・イエス」規定創設や公訴時効の撤廃・延長などさらなる改正を検討するよう国に求めること。

    (答)

    刑法の性犯罪規定につきましては、国における性犯罪に関する刑事法検討会や法制審議会での議論及び国会での審議を経て改正刑法が成立し、令和5年7月から施行されたところであり、性犯罪に対して適切に対処されるものと認識いたしております。



(6)DV

昨年、全国の警察が受理したDVの相談件数が19年連続で最多を更新する中、精神的暴力にも保護命令を拡大する改正DV防止法が成立した。相談内容も多様化・複合化し、高度な専門性と継続性をもった相談・支援体制が求められており、DVの相談員について無期雇用の常勤職員、原則異動のない専門職にすること。各区の子育て支援課やアミカスに保育士や学習援助者を配置し、子連れの相談者が相談しやすい体制をつくること。民間シェルターへの補助金など支援の拡充、中長期滞在できる中間的施設(ステップハウス)の開設・運営へ助成するとともに、自立に要する費用の補助を拡充すること。男性DV被害者が相談しやすい体制の強化をはかること。また、国に対して退去命令の対象に精神的暴力を含むことや緊急保護命令の導入などDV防止法をさらに改正するよう求めること。

(答)

DV相談につきましては、配偶者暴力相談支援センターを中心に、各区保健福祉センター家庭児童相談室及び男女共同参画推進センター・アミカスにおいて専門の相談員が被害者の相談に対応しております。今後とも、配偶者暴力相談支援センター機能や関係機関との連携により、被害者支援に努めてまいります。

民間シェルターにつきましては、支援団体と連携し、引き続き支援を行ってまいります。また、ステップハウスや自立に要する費用の補助について、母子生活支援施設の活用や各区役所において、住居、就業、手当、給付金、貸付金など各種福祉制度の利用支援を行ってまいります。

男性DV被害者の相談につきましては、配偶者暴力相談支援センターをはじめ、各区保健福祉センター家庭児童相談室や男女共同参画推進センター・アミカスにおいて対応してまいります。



(7)生理の貧困

コロナ禍で顕著になった「生理の貧困」対策は、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題として、生理用品を学校トイレに常設することが全国的に広がっており、近隣の古賀市や福津市では全小中学校のトイレや主な公共施設での生理用品の配布を行っている。本市においても南市民センターや博多区役所では民間企業と提携した生理用品の無料提供サービスをおこなっているが、学校トイレには設置されていない。すべての学校トイレと市民センターや公民館、地下鉄の駅など公的施設に生理用品を設置すること。

(答)

生理用品の配布につきましては、新型コロナウイルス感染症への緊急対策として拡充された内閣府の地域女性活躍推進交付金に基づく事業として、様々な不安を抱えている女性や子どもへの配布を進めております。 今後とも、社会情勢や国の動向などを注視してまいります。



(8)ハラスメント

ハラスメントは女性をはじめとする労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為であり、働き続けることを阻害する大きな要因の一つになっている。国に対し、ILO条約を批准できる水準のハラスメントの禁止を明確にした法整備を行うよう求めること。本市としてハラスメントが違法であることを明確にした「ハラスメント禁止条例」を制定すること。部局によっては市職員のハラスメントの相談・調査・判断を同じ部署で行うことがあることは問題であり、啓発・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を設置すること。

(答)

各種ハラスメントにつきましては、全ての人の人権を尊重するという視点に立ち、「人権教育・啓発基本計画」に基づき取組みを進めており、企業を対象とした研修会を行うなどハラスメント防止に向けた啓発に努めるとともに、人権啓発センターや男女共同参画推進センター・アミカスなどにおいて、各種ハラスメントの相談に対応してまいります。(市民局)

市職員のハラスメント対策につきましては、国が定める法令などを踏まえ適切な措置を講じるとともに、相談窓口の周知や啓発に取り組んでいるところであり、今後とも良好な職場環境づくりに努めてまいります。(総務企画局)



(9)同性婚・LGBT

  • 同性婚を認める国・地域は約36にのぼっている。日本でも「同性カップルが結婚(法律婚)できないのは憲法違反だ」とする裁判が各地で起き、札幌地裁と名古屋地裁が同性婚を認めない現行の民法などの規定を「違憲」と判断し、東京地裁と福岡地裁では「違憲状態」との判断が下された。本市議会においても、「同性婚の法制化の議論を求める意見書」が採択されている。世論調査(2022年3月朝日新聞)でも全体の72%が、同性婚を「認めるべき」と回答するなど、世論が広がっている。同性婚を認める民法改正を国に求めること。

    (答)

    同性婚につきましては、国の動向を注視してまいります。

  • 今年度、国会においてLGBT理解増進法が成立したが、その内容は「多数者が認める範囲」でしか性的少数者の人権・尊厳は認められないとのメッセージになっており、逆に理解を阻害し、差別を助長しかねない。性的少数者への差別・偏見を拡大することのないよう、性的指向・性自認等を理由とした差別を禁じ、多様性を尊重する立場を市長が明確にするとともに、LGBT差別禁止条例をつくること。

    (答)

    性的マイノリティへの支援につきましては、パートナーシップ宣誓制度や交流事業、専門電話相談事業を実施するとともに、リーフレットの活用や、人権啓発CM、ラジオ番組、講演会などを通して当事者の人権を尊重する啓発を行っております。

    今後とも、性的マイノリティ支援の充実に向け、国の動向や他都市の取組みなども含め検討してまいります。


(10)パートナーシップ制度

本市のパートナーシップ宣誓制度は、対象を一方又は双方が性的マイノリティの場合のみと限定しているため、受領証提示の際に意図せぬカミングアウトにつながる恐れがある。性的マイノリティではない異性間の事実婚も対象とすること。また、全ての民間事業者に是正勧告ができるパートナーシップ条例を制定すること。

(答)

パートナーシップ宣誓制度につきましては、当事者の声を伺うとともに、他都市の取組みなども踏まえながら、制度の充実を図ってまいります。



(11)選択的夫婦別姓

選択的夫婦別姓について、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけであり、国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告している。国民の間では、とりわけ若い世代の中での賛成意見が多数であり、8割近くが選択的夫婦別姓制度の導入に賛成している。民法を改正し、選択的夫婦別姓を法制化するよう国に求めること。

(答)

国の「第5次男女共同参画基本計画」において、「家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」ことが盛り込まれており、今後とも、国の動向を注視してまいります。



(12)緊急避妊薬

どんな避妊法でも完全ではなく、性暴力被害を受けた時に特に有効であることから、緊急避妊薬が必要とされている。性交後72時間以内に服用すれば約8割の妊娠を防ぎ、内服が早ければ早いほど避妊効果が高いとされている。G7のうち日本以外の全ての国では医師の処方箋なしに購入でき、世界保健機関(WHO)も推進している。しかし、日本では医師の処方箋が必要とされ、保険も適用されないため、価格も高額である。厚生労働省が行ったパブリックコメントでは約4万6000件もの意見が集まり、緊急避妊薬の薬局販売に賛成が約98%となっている。子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決めるリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の観点から、緊急避妊薬を安心して入手しやすくする手立てを講じるよう国に求めること。

(答)

性暴力被害を受けた場合の緊急避妊薬につきましては、県において公費負担制度を設けており、福岡市民も対象となっております。

また、国の「第5次男女共同参画基本計画」において、「予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性が、緊急避妊薬に関する専門の研修を受けた薬剤師の十分な説明の上で対面で服用すること等を条件に、処方箋なしに緊急避妊薬を適切に利用できるよう、薬の安全性を確保しつつ、当事者の目線に加え、幅広く健康支援の視野に立って検討する。」ことが盛り込まれており、今後とも、社会情勢や国の動向を注視してまいります。

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9、憲法の平和・民主主義の理念を福岡市のすみずみに

(1)市長の政治倫理

  • 市長の政治資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」の2022年報告内容によれば、政治資金パーティーで過去最高の約7286万円の売上、約6186万円の収益を上げており、利益率85%にも及ぶパーティー券の購入は対価的意義の乏しい事実上の寄附である。自民党の主要5派閥が政治資金パーティー収入で政治資金収支報告書への多額の不記載があったことが明らかとなり、そもそも寄附と比べ透明度が低いという構造的問題が明瞭となるなかで、このような手法で資金を集めることには問題がある。また、財界関係者や市の受注業者から巨額の政治資金を受け取ることは市政をゆがめるものとなる。市長政治倫理条例第3条には「道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しない」等の規定があり、「政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれ」(同条2)ているにも関わらず、市長は「公開の義務はない」などと言って、利害関係者による購入の公開など「自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当た」(同前)ろうとしていないのは問題であり、このような疑惑をもたれる、市長の政治資金パーティーはやめること。

    (答)

    政治資金パーティーにつきましては、政治資金規正法の規定の範囲内で開催・実施したものであり、今後とも、法に則り、適切に対応してまいります。

  • 市政における最高責任者である髙島市長の日程についてホームページで公表しているというが、詳細については市長室も把握することなく、事実上どこで何をしているのかわからない状況となっている。このような状況は異常であり、市長の日程を公開すること。また、登退庁盤については、「防犯上の理由」などとして表示しないというのは理由にならず、表示すること。

    (答)

    市長の日程(行事等)につきましては、担当秘書が管理しており、対外的な行事を中心に、市ホームページに登庁日と併せて公表しております。 また、登退庁表示につきましては、他都市で市長への面会強要等の事案が発生したことなどを踏まえ、セキュリティの観点から平成31年1月より、表示しない運用としております。


(2)統一協会問題

統一協会の関連団体である世界平和女性連合が市の公共施設を使用して留学生の弁論大会開催を予定していた問題について、わが党や市民の批判を受けて市が許可を取り消したのは当然の判断である。統一協会とその関連団体が「霊感商法」や多額の献金の強要、集団結婚などで多数の被害者を出してきた反社会的なカルト集団であることは明瞭であり、市として統一協会とその関連団体について反社会的集団であると規定すること。また、表彰や名義後援、公共施設の使用等において統一協会とその関連団体に対して市がお墨付きを与えた実績がないか等について全庁にわたる調査を行い、今後もそのようなことがないようにすること。

(答)

旧統一教会とその関連団体の位置づけにつきましては、法律等に基づき国で定められるべきものと考えております。

公共施設の利用につきましては、国の見解が示されるまでの間、旧統一教会とその関連団体からの申請に対する許可を保留することとしております。

市独自の表彰制度や名義後援などにつきましては、福岡市が社会的に問題のある団体の活動を支持しているとの誤解を与えることがないよう、今後とも適切に対応してまいります。(総務企画局・市長室)


(3)住民参加

  • 大阪・関西万博への突然の参加表明やタクシーのライドシェア推進の立場で動くなど市長が独断専行で物事をすすめるやり方に、市民や議会から大きな批判の声が出されている。また、著名人や実業家などとの対談企画は旺盛に行う一方、さまざまな住民団体や要求団体との直接の対話は拒否するという市長の姿勢は許されない。市政の進め方については市議会と市民の意見をよく聞き、住民投票・住民意向調査・住民討論会などを活用して、住民参画の上での政策決定を基本とすること。

    (答)

    様々な政策の推進に当たりましては、市民や関係者のご意見を丁寧に伺うとともに、市民の代表である議会との対話を真摯に進めながら、市政運営に取り組んでまいります。

  • 2022年度、本市が実施したパブリックコメントは6事案であるが、意見提出件数は少ないものでは3件、多いものでも79件である。市民の意見を広く聴取できていないのが実態であり、パブリックコメントの周知方法や期間の延長など進め方を改善すること。また、市の施策への反対意見についても検討するなど少数意見を排除しないこと。あわせて、多様な市民の意見を市政に反映させるために、説明会や懇談会など行政が出かけて行き意見を聞くこと。また、各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。

    (答)

    パブリック・コメント手続の実施にあたりましては、対象となる計画案や条例案などの資料を市ホームページに掲載するとともに、情報プラザや各区役所・出張所などで市民などに対し閲覧・配布を行い、ご意見を頂いております。また、意見を募集する対象事案名と募集期間等については、市政だよりにも掲載し、広く市民等に周知を図っております。

    福岡市においては、政策決定は、このパブリック・コメント手続などにより市民意見を伺いながら進めており、今後とも計画段階から市政へ参画できる機会の確保に努めてまいります。

    各種審議会等の委員の選任にあたっては、各所管局において、その設置目的、審議内容等を勘案した上で、効果的な選考方法を選択しております。市民公募枠につきましては、一部の審議会などで実施しておりますが、今後もその内容に応じて公募を検討してまいります。

  • 市有地や公共用地の活用などにおける民間サウンディングは、大企業に好き勝手に意見を出させ、事業者の公募中はその情報を一切公開しないまま結論だけを市民や議会に押しつけるものであり、民主主義にもとる手法である。九州大学箱崎キャンパス跡地の開発では「アリーナ」など住民が全く望んでいないものが開発候補にあがるなど住民の声が反映されないことが明らかになった。このような住民の声を聞かない手法はやめること。

    (答)

    市有地の活用に当たっては、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性なども踏まえ、総合的に検討することとしており、民間サウンディングにつきましては、民間ノウハウの活用や市場性の判断などが必要な場合に個別に実施しております。


(4)「行革」・民間参入・業務委託

  • 市長が2024年度まで推進する政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、人工島事業やウォーターフロント再整備構想、「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」などの大型開発は聖域にする一方、「持続可能な個人給付施策の構築」として第三子優遇事業、福祉乗車券、就学援助など、97事業1858億円の事業を見直し、縮小・廃止しようとしている。地方自治体の本来の役割は、住民の福祉の増進を図ることであり、3つのプランは抜本的に見直すこと。また、この間「事業の選択と集中」と言って切り捨てられてきた市民サービスをもとに戻すとともに、これ以上の市民生活サービス削減は行わないこと。

    (答)

    今後、少子高齢化の進展などに伴う社会保障関係費の増加や、公共施設等の改修・修繕などに係る財政需要の増大が見込まれております。

    このような状況にあっても、市民生活に必要な行政サービスを安定的に提供しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源を確保できるよう、政策推進プランに基づき投資の選択と集中を図るとともに、行政運営プラン及び財政運営プランに基づき、歳入の積極的な確保や行政運営の効率化、既存事業の見直しなど徹底した事業の選択と集中や不断の改善に取り組んでまいります。

    また、中長期的に、「生活の質の向上」と「都市の成長」のために必要な施策事業の推進により税源の涵養を図りつつ、超高齢社会に対応する持続可能な仕組みづくりやアセットマネジメントの推進、市債残高の縮減に向けた市債発行の抑制などにより、将来にわたり持続可能な財政運営に取り組んでまいります。

  • 本市では、コロナ禍におけるワクチン接種業務や給付金業務などを、大手派遣会社などの大企業に随意契約で業務委託したことによって、コールセンターに全くつながらない、給付金がいつまでたっても届かない、問い合わせにまともに答えないなどの問題が噴出した。本来ならば臨時に職員を増やしてでも対応すべきであった業務を民間営利企業へ大規模業務委託したことにより、労働者に払われるべき賃金がピンハネされ、大企業のもうけづくりに利用されたものであり、「効果的、効率的な行政運営」とは程遠い事態となった。このような民間営利企業への大規模業務委託はやめ、労働者の適切な賃金や待遇を保障する市の直接雇用に切り替えていくこと。本市が業務委託した会社が他都市で人員配置を契約通りにおこなわず、委託金の返還に追い込まれている事例が相次いでおり、本市においても不正がないか調査すること。

    (答)

    民間企業への業務委託につきましては、民間の優れた能力やノウハウを生かすことで市民サービスの向上が図られる場合などには、市による適切な管理監督のもと、民間活用に取り組み、効果的、効率的な行政運営に努めてまいります。(総務企画局)

    福岡市が発注した業務委託につきましては、契約に沿って適切に行われているものと認識しております。(財政局)

  • 本市でのPFI事業は、各給食センター、小中学校の空調システム、総合体育館、美術館、科学館、マリンメッセ、早良南交流センター、拠点文化施設などで実施されてきており、今後も市営住宅、学校校舎、下水道事業、水道事業、公園、博物館、今宿野外活動センター、環境局西部工場などでの検討をしていくことにしている。この事業は、施設の建設や所有を営利企業に任せるもので、担当する民間事業者に長期間にわたる莫大な利益をもたらす一方、「タラソ福岡」のような事業者の経営破綻や、利益確保のための経費節減による利用者への冷遇、公共施設の管理・運営を長年にわたって民間事業者のノウハウ任せとなり市民や議会への情報開示ができないなど、「事業コスト削減、質の高い公共サービス提供」の謳い文句とは程遠い。また、これまで公務として公共サービスを担ってきた労働者は経費削減のために非正規労働者に置き換えられ、さらに安価な下請事業者に交代させられる例も出てきている。PFI事業はやめること。

    (答)

    市民の暮らしを支える公共サービスの提供や都市の成長に向けた社会資本整備を、将来に向けて持続的に展開していくことは、市政運営上、重要であると考えております。

    今後の公共施設の整備に当たっては、社会状況の変化や多様化する市民ニーズへ対応するとともに、より効果的な施設整備・運営を行うという観点から、引き続き適切な事業手法を検討してまいります。

  • 指定管理者制度によって本市では406の公的施設の管理運営が民間に任されている。民間管理で多様化する住民ニーズに対応し、経費の削減、住民サービス向上が期待できるとしてきたが、人件費などの労働条件さえも市が把握できず、市民サービスの低下につながる不適切な管理・運営、行政の責任放棄も顕著となっている。例えば、東市民センターでは、トイレが破損したり、駐車場の出口が常に渋滞したりする等、基本管理ができていない。営利企業参入を抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。あわせて、制度が導入されている施設にはモニタリングの基準を強化するとともに、抜き打ち点検や専門家による現場点検、現場労働者から直接、聞き取り調査をおこなうこと。

    (答)

    公の施設の管理・運営につきましては、「民間にできることは、民間に委ねる」という基本的な考え方のもと、施設個々の特性を踏まえ、民間のノウハウの活用により、柔軟で質の高い市民サービスの提供が可能と判断される場合に、指定管理者制度の積極的な導入を図っております。

    指定管理者の選定にあたりましては、制度の趣旨をより効果的に実現できるよう、幅広く公募するとともに、公の施設の適正な管理を確保するために、所管局においてモニタリングを実施し、その結果を踏まえ、指定管理者に対し必要な指導を行うこととしております。

    今後とも、モニタリングの充実を図るなど、指定管理者の業務執行について適切に点検・評価を行いながら、公の施設における市民サービスの向上と適正な管理運営の確保に努めてまいります。

  • 株式会社クリーンエナジーの操業に伴う、九州電力への配当金は15億1900万円にもなっており、市財政を食い物にしている同社を廃止し、直営に戻すこと。また、市政を財界いいなりに誘導する役割を果たしている、「福岡アジア都市研究所」は廃止すること。

    (答)

    外郭団体につきましては、「外郭団体のあり方に関する指針」における団体ごとの取組方針に基づき、事業や人員体制を見直すなど、団体の自主的な取組みの指導、支援などを行い、着実に取組みを推進してまいります。


(5)市職員の配置・労働条件

  • 本市の人口1万人当たりの職員定数は政令市で2番目に少ない110人で、災害や、感染症などの事態では、本来の業務の遂行を止めなければならない状況も生まれるなど、住民の福祉の向上という行政の役割を果たせていない。また、2022年度の超過勤務は、法定時間外労働の上限である「年360時間以内」を超えている職員が755人、「月45時間以内」を超えている職員が3871人となっており、長時間・過密労働が、過労死をうみだしかねない状況をつくっている。職員定数を抜本的に増やすこと。

    (答)

    人口当たりの職員数が少ないことにつきましては、福岡市がこれまで他都市に先駆けて、家庭ごみの収集や保育所の設置・運営、地下鉄駅業務などの民営化や民間委託などの民間活用を行ってきた結果などによるものであると考えております。

    時間外勤務の縮減につきましては、職員の健康を保持し、職業生活と家庭生活の両立を実現させる観点から、重要なものであると認識しており、時間外勤務の上限規制をはじめとして、事前命令の徹底や業務の効率的な遂行などについて所属長に周知するとともに、全庁一斉定時退庁日を設定するなどの取組みを実施しております。

    職員配置につきましては、新たな課題への対応が必要な部署を中心に職員の増員を継続するとともに、災害対応などには全庁的な応援体制を構築し、対応しているところです。

    今後とも、時間外勤務の縮減及び業務の質と量に応じた適切な職員配置に努めてまいります。

  • 会計年度任用職員は、2023年5月時点で6039人となっており、その処遇は78.8%が年収300万円未満と劣悪となっている。また、学校司書やスクールソーシャルワーカー、学童保育支援員などの極めて専門性の高く継続性が求められる職員が、会計年度任用職員として、低賃金で有期雇用であることは問題である。正規職員として採用すること。臨時・非常勤職員などの非正規労働者はただちに時給1500円以上にすること。

    (答)

    会計年度任用職員を含む福岡市職員の給与につきましては、地方公務員法に基づき、市内民間給与の状況を反映した人事委員会の報告及び勧告を尊重し、国及び他の地方公共団体の職員との均衡などを考慮しながら決定する必要があり、今後とも適切に対処してまいります。

    また、会計年度任用職員が常勤職員として任用される場合には、競争試験などにより常勤職員としての能力実証を改めて行う必要があります。

  • 2023年人事委員会勧告に基づいて、市職員の月例給は3188円、ボーナスは0.10月分、平均年間給与は9万1千円引き上げられた。しかしながら、20年前と比較すると年間で平均100万円近く引き下げられており、公務員としてのモチベーションを低下させ、生活設計や地域の景気にも深刻な影響を与えている。市職員給与の大幅賃上げを行なうこと。

    (答)

    福岡市職員の給与につきましては、地方公務員法に基づき、市内民間給与の状況を反映した人事委員会の報告及び勧告を尊重し、国及び他の地方公共団体の職員との均衡などを考慮しながら決定する必要があり、今後とも適切に対処してまいります。

  • 市は職員をまともに増やすことなく、「最少の経費で最大の効果」と称して、窓口業務をはじめ多方面において民間委託している。公務職場の民間委託化によって、職員が継続的に従事することで蓄積される公務に必要な専門性やノウハウ、経験が失われている。また、住民からの苦情や発生した問題が、市政運営に反映されず、信頼を損なっている。よって、これ以上の民間委託化はやめ、正規職員を基本とすること。

    (答)

    地方自治法上、地方公共団体は「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを基本としており、福岡市におきましても、新たな課題へ対応するため、必要な体制整備を行うとともに、業務の特性に応じて、民間が持つ専門知識や事業運営ノウハウなどを積極的に活用しながら、職員の適切な配置に努めております。

    今後とも、簡素で効率的な組織体制の整備と適切な職員配置に努めてまいります。


(6)市有地

2021年に策定された財政運営プランでは、「民間事業者のノウハウも活用しながら」「市有財産の有効活用に取り組(む)」としている。そもそも市有地は市民の財産であり、営利企業のもうけのために売却や貸付をすることは許されないが、実際には、各地の事業所や市有施設跡地の売却、北別館や大名小学校跡地などのような長期賃貸方式での貸付が行われている。民間営利企業への売却、貸付方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、市民の生活を守るために活用すること。

(答)

公共施設跡地などの活用につきましては、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性などを踏まえ、財源確保の観点に加えて、まちのにぎわいの創出や魅力の向上など、まちづくりの視点も取り入れながら、総合的に検討を進めてまいります。



(7)名義後援

  • 市は今年の「平和のための戦争展」の名義後援をいったんは承諾したものの、終了後に「特定の主義主張に立脚した内容が含まれ、行政の中立性を損なう」という理由で取り消した。しかし、そもそもこういった取り組み自体を応援するのが名義後援であり、展示されている作品一つ一つの中身を行政がチェックするようなことは、思想信条の自由を掲げた憲法に違反する重大な越権行為である。このような偏狭な取り扱いのもとになっている「名義後援の承認に関する取扱い要領」を抜本的に見直し、この間に同じ理由で不当に行ってきた映画「標的」などの名義後援の不承諾や取り消しを撤回し、関係団体に謝罪すること。

    (答)

    名義後援につきましては、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの誤解を与え、行政の中立性を保てなくなる場合などには、所管局が定めた取扱要領に基づき、承諾の可否を慎重に判断しており、引き続き、適切に対応してまいります。

  • 東市民センターの「ひまわり広場・会議室」は、市民に広く貸し出されているスペースであり、事実上「公の施設」として扱われている。しかしながら、市民団体などが利用する際には名義後援がなければ認めないとしており、これは「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」とする地方自治法第244条の精神に反するものであり、運用を改めること。

    (答)

    なみきスクエア内の「ひまわりひろば」につきましては、東区役所庁舎の一部であり、その利用は、行政財産の目的外使用となるため、庁舎管理規則及び要綱などに基づき、原則として福岡市が共催または後援する行催事について許可しております。


(8)消費者

  • スマートフォンやインターネットを使った消費者被害が広がっている。特に未成年者契約の取消権がなくなったことで若年層の多重債務や消費者被害が懸念されており、中学校・高等学校等での体系的な消費者教育を強めること。また、消費生活センターの公式SNSを立ち上げ、SNSを活用した啓発や相談に取り組むこと。

    (答)

    消費者教育につきましては、学習指導要領に社会科・公民科、家庭科などの教科を中心に指導することと示されており、児童生徒の発達段階を踏まえ、市場の働きと経済、金銭の管理などの学びを通じて、基礎的な知識の獲得と判断力の育成に取り組んでまいります。(教育委員会)

    消費生活センターにおきましては、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校における消費者教育が効果的に実施されるよう、消費者教育教材の提供や講師の派遣、若年者に特徴的な消費者トラブルについての注意喚起情報の提供などの支援を行っております。

    また、市ホームページやSNSを活用した注意喚起情報の発信を行うとともに、インターネットによる相談対応も行っているところであり、今後とも、若年者の消費者被害防止に向けて取り組んでまいります。(市民局)

  • 本市の消費生活センターは、日本で唯一相談業務が営利企業に委託され、啓発や事業者指導をおこなう行政担当職員との円滑なコミュニケーションができず、消費者安全法が求める消費生活センターとは大きくかけ離れている。相談体制について、そもそも市が作った仕様書によると100%対応する体制になっておらず、十分な相談活動ができていないのは明らかである。仕様書の見直しを行うとともに、本来の消費生活センターの趣旨に立ち返り、市直営に戻すこと。

    (答)

    消費生活相談業務につきましては、その対応に豊富な経験と高い専門知識が必要とされることから、昭和48年度から専門の相談員を擁する団体に委託して実施しており、さらなる市民サービスの充実を図るため、委託事業者の提案競技方式による選定や、仕様書における月間応答率の導入などを実施しております。

    今後とも、複雑・多様化する消費生活相談に十分かつ適切な対応ができるよう、相談員の資質の向上なども図りながら、相談体制の充実に取り組んでまいります。


(9)デジタル化・マイナンバー

  • 市はデジタル社会に必要なツールだとして国とともにマイナンバーカードの普及を推進し、コンビニでの証明書等の発行手数料に差をつけるなどの平等原則に反する行為を行っている。しかし、マイナンバーカードをめぐって、別人の情報が閲覧できる、公金受取口座に本人ではない口座が登録されるといった重大なトラブルが次々と発覚するなかで、多くの市民が不安に感じており、このまま推進することは許されない。マイナンバーカードの普及推進はやめ、国に事業の見直しを求めること。

    (答)

    マイナンバーカードはオンラインで確実に本人確認ができ、デジタル社会を支える基盤となるものであり、福岡市におけるDXを推進する上でも重要な役割を担うものであります。

    今後とも個人情報の保護に万全を尽くしつつ、一層の普及に取り組んでまいります。

  • 本市が進めている行政手続きの急速なデジタル化は、対面での窓口サービスや紙による手続きの縮小・廃止が懸念され、デジタル機器を所持していない人や使いこなせない人が行政手続きから排除されるおそれがある。一方でデジタルを使いこなせない人への市の支援はあまりにも貧弱である。デジタルデバイド対策をさらに強めると同時に、市民の多様なニーズに応えるために、デジタル手続きとともに、紙による手続きを含めた対面での窓口サービスの拡充をはかること。

    (答)

    行政手続きのオンライン化などの取組みにつきましては、子どもから高齢者まで、誰もがデジタル技術を活用できる環境づくりを進めるとともに、デジタルに不慣れで、対応が困難な高齢者などにも十分配慮しながら、利便性の向上を図っていくことが重要と考えており、公民館スマホ塾やリモート窓口など、より多くの方がデジタル化のメリットを受けることができるよう取り組んでまいります。

    また、DXの取組みを推進することで、業務の効率化、生産性を高めることにより、相談業務など人のぬくもりが必要な業務に人員を再配置するとともに、デジタル化への対応が困難な来庁者に対しても、丁寧に対応してまいります。

  • デジタル関連法は、国や自治体がもつ膨大な個人情報のデータを企業に開放し、利活用しやすくすることが大きな目的となっており、市民のプライバシー権の侵害、利益誘導・官民癒着の拡大につながるものである。「地域の特性等に照らし、地方公共団体は法律の範囲内で条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは当然可能である」とする国の答弁をふまえ、本人の知らないうちに個人情報が利活用されることがないよう、個人情報の自己コントロール権を保障するための市独自の措置を講じること。

    (答)

    個人情報の保護につきましては、改正個人情報保護法や、国のガイドラインなどを踏まえ、適切に対応してまいります。


(10)人権教育・同和

「福岡市人権教育・啓発基本計画」は、実質同和問題や差別の問題に偏重している。しかし今、ジェンダー平等、子どもの権利、労働者の権利、外国人の権利など、日本社会のあらゆる分野で「人権後進国」の矛盾が噴き出しており、社会の不公平の拡大と分断を招いている。憲法で保障された幅広い人権を取り扱うものに「計画」を改善し、学校をはじめ社会教育活動の中での人権教育の見直しをすること。また、行政の主導による市民と企業への「人権啓発」名目での「同和」研修の押しつけはしないこと。あわせて、「同和」の特別対策に類するものの復活や、人権侵害を生み出しかねない特別な教育啓発や実態調査を実施しないこと。

(答)

「人権教育・啓発基本計画」につきましては、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、人権教育・啓発の取組みをより効果的かつ積極的に推進していくために策定しております。 人権教育・啓発につきましては、「人権教育・啓発基本計画」に基づき、学校・地域・企業などあらゆる場における取組みを推進しており、引き続き「人権という普遍的文化の構築」及び「人の多様性を認め合う共生社会の実現」に向けて、あらゆる人権問題の解決に向けた取組みを進めてまいります。



(11)ヘイトスピーチ・外国人

  • 人種や民族差別をあおるヘイトスピーチを放置することは許されない。ヘイトスピーチがどのような状況にあるのか、現状把握し、差別解消に向けた計画策定を行うこと。また、市長が毅然として根絶宣言を行うとともに、その立場に立った条例を制定すること。

    (答)

    ヘイトスピーチにつきましては、引き続き国や県などの関係機関と連携を図りながら、ヘイトスピーチ解消に向けた啓発に取り組んでまいります。

  • 福岡市の外国人居住者は2023年10月末で4万4147人となっている。コロナ禍の下では、給付金やワクチン接種、発熱外来など、外国人居住者が情報を入手できないこともあった。在留外国人が容易に相談窓口にアクセスできるよう公共施設・駅・商店街・スーパーマーケット・コンビニに協力依頼し、多言語でのポスターなどで周知し、外国人コミュニティなどのキーパーソンと連携して相談窓口の周知徹底を図るとともに、市独自の専用相談窓口を各区役所に設置すること。また、福岡市外国人総合相談支援センターで相談員が対応できるのは、英語、中国語、韓国語に限られており、必要なサービスを受けることができない状況が続いている。外国人居住者の人権保障をすすめていくために、市として総合的な多文化共生推進計画をつくること。さらに、外国語が母語の子どもへのサポートを強め、ベトナムやネパール出身者による母国語教室の運営への支援を行うこと。

    (答)

    多言語での情報発信につきましては、福岡市ホームページに新型コロナワクチンに関する情報や経済支援に関する各種給付金の案内を多言語で掲載するとともに、大学や日本語学校、領事館や経済団体などを通じて、周知を行っております。

    外国人からの生活に関わる相談を一元的に受け付けている外国人総合相談支援センターについても、多言語で広報チラシを作成し、市の施設をはじめ、大学等の教育機関や経済団体、在福公館、国際交流団体などの関係機関へ幅広く配布しているほか、外国人が区役所で転入手続きを行う際に配布するパンフレットに多言語で掲載するなど、周知を図っております。また、同センターには、英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語の相談員・相談支援員を配置しており、その他の言語についても電話通訳を使用して21の外国語で相談ができる体制を整えております。

    区役所での外国人の相談につきましては、市民相談室や窓口において電話通訳、映像通訳などを導入して対応しております。

    多文化共生の推進につきましては、平成18年に総務省が策定した「地域における多文化共生推進プラン」において、地方自治体に対して、多文化共生の推進に関する指針・計画を策定した上で、外国人住民を直接支援する主体としての取組みを求めております。福岡市におきましては、基本計画において、「アジアをはじめ世界の人にも暮らしやすいまちづくり」など多文化共生の推進に係る施策を位置づけるとともに、政策推進プランにおいて、様々な事業を推進しております。

    母語教育につきましては、一部母国等の支援を受けて実施されておりますが、今後とも他都市などの取組みを参考にしながら、行政としての支援について研究してまいります。

  • 日本には115万人の永住外国人が生活しており、地方参政権を付与すべきだという世論が高まっている。外国籍であっても、わが国の地方自治体で住民として生活し、納税を始めとする一定の義務を負っている人びとが住民自治の担い手となることは、憲法の保障する地方自治の根本精神とも合致する。永住外国人の地方参政権を保障するよう国に求めること。

    (答)

    福岡市では、多言語のワンストップ相談窓口や各区役所等に導入している電話通訳・映像通訳などを活用し、外国人からの相談に対応しているほか、大学、日本語学校などの教育機関や経済団体、国際交流団体などの関係団体、外国人コミュニティのキーパーソンを通じて把握したニーズや意見を踏まえ、外国人にも住みやすく活動しやすいまちづくりに取り組んでおります。

    永住外国人の地方参政権につきましては、今後も外国人の生活環境の向上に取り組みながら、外国人を取り巻く社会状況の変化や国等の動向を注視してまいります。


(12)地域コミュニティ

「共創による地域コミュニティ活性化条例」が制定されたが、加入率の低下と担い手不足問題の解決には程遠く、ましてや従前どおりに地域課題を町内会・自治会、校区自治協議会などに担わせることの後ろ盾として条例をちらつかせるのには無理がある。そもそも、自治会や町内会は任意組織であるにもかかわらず、住民が町内会への加入を現場で押しつけられたり、町内会の活動や運営を縛ったりするものになっているところに矛盾がある。その上、防災や福祉について公的責任の明記がないままに、民生委員の推薦や、災害時に援護が必要な人の避難計画の作成など、本来市の責任である事業が事実上町内会に丸投げされている。町内会の行政下請化を強化しかねない条例を撤回し、町内会や市民の自主的活動を真に応援すること。

(答)

平成28年度から、自治協議会や自治会・町内会と福岡市がパートナーとして、企業や商店街、NPO、学校など様々な主体と地域の未来を共に創り出す「共創」の取組みを推進いたしております。 地域コミュニティの活性化に向けて、令和4年度に条例を制定し、その趣旨や地域コミュニティの大切さを周知するとともに、地域支援体制の強化を行っております。 また、令和4年度に地域への協力依頼に係る規則やガイドラインを定め、令和5年度からは、依頼事項一覧を作成し、地域との意見交換を開始したところであり、協力依頼などに係るルールを徹底することにより、地域の負担軽減を図ってまいります。 今後とも、持続可能な地域コミュニティづくりに向け、「共創」の地域づくりを推進してまいります。



(13)投票促進・若者の政治参加

  • 投票区について、距離や地形など総合的に判断して分割し、投票所を抜本的に増やすとともに、すべての投票所のバリアフリー化をさらにすすめること。また、在宅投票制度、郵便投票、学生に対する不在者投票、在外投票、洋上投票など、制度を周知徹底し、投票機会の保障をはかること。

    (答)

    投票所の増設につきましては、投票所として使用するのに適した施設の有無などといった課題がありますが、地元の要望も聞きながら適切に対応してまいります。また、投票所のバリアフリーなど、投票環境の整備に努めてまいります。

    郵便等投票制度などにつきましては、選挙管理委員会のホームページや選挙時には市政だよりや選挙の特設サイトなどにより周知を行っております。また、郵便等投票制度につきましては、福祉局発行の「福岡市の障がい福祉ガイド」に掲載し、障がい者の方に直接お知らせしておりますが、今後も制度の周知に努めてまいります。

  • 期日前投票は導入以降、投票所の増設なども行われ、国政・地方選挙問わず定着が進んできた。選挙実施のたびに利用割合が増加し、国政選挙では40%程度まで上昇している。2023年の統一地方選挙では商業施設等への期日前投票所の設置が若干進んだが、さらに投票率を高めるために、市内各地に「共通投票所の設置」「大学や高等学校、商業施設等への期日前投票所の設置」をすること。また、市役所1階ならびに区役所を投票日当日の「共通投票所」として利用できるようにすること。さらに、病院や高齢者福祉施設への入院患者、入所者が施設内において不在者投票ができるよう、未指定施設等への働きかけを強めること。そのうえで、外出が困難な有権者の投票行動を保障するために、選挙管理委員会が立会人と一緒に、投票箱を持って車でまわり、施設や自宅など要望がある場所に行く「巡回投票」を行うこと。

    (答)

    期日前投票所の設置につきましては、選挙人の利便性向上のために重要であると認識しており、令和5年4月の統一地方選挙において、市長選挙で設置した大型商業施設4か所に加え、天神地区の7区集合型の期日前投票所を、市役所からソラリアプラザに変更して設置しました。商業施設での期日前投票所の設置は、選挙の数に応じた一定のスペースの確保、他のイベントなどの予約との調整、選挙事務に精通した職員の確保などの課題がありますが、施設側と早期に協議を行い、可能な限り設置できるように、引き続き取り組んでまいります。また、投票日当日に市役所や区役所を共通の投票所とすることにつきましては、将来的に検討すべき課題であると考えております。入院患者・入所者の施設内での不在者投票につきましては、対象となる未指定施設に引き続き働きかけを行ってまいります。車などによる移動期日前投票所につきましては、主に山間部など、投票所まで距離が離れた選挙人の投票機会の確保のために活用されていると認識しておりますが、他都市の状況等を参考にしながら研究してまいります。

  • 選挙公報は有権者に候補者情報を届ける重要な公的媒体であるが、全市的に配布日が投票日直前だとの苦情も多い。それにもかかわらず、まともな手立てがとられていないのは問題であり、少なくとも投票日の1週間前に有権者に届くよう手立てをとること。また、不在者投票の指定施設ではない、病院や高齢者施設にも、選挙公報を配布するようにすること。

    (答)

    選挙公報は、候補者などから公告示日または一部の選挙では公告示日の翌日までに原稿が提出され、その後、印刷を開始し、業者委託により各戸に配布しております。

    大量部数の印刷及び配布であるため、各工程の時間短縮には困難を伴いますが、できるだけ早く配布できるよう取り組むとともに、各戸への配布前でも閲覧できるよう、市のホームページへの写しの掲載並びに、期日前投票所及び公民館での配架などの対応を引き続き行ってまいります。

  • 18歳選挙権によって高校生にも選挙権が広がった。しかし、政府は高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知をだしており、政治活動の自由を侵害している。高校生にも政治活動の自由があることを明確にし、「通知」を撤回するよう国に求めること。また、若い世代の投票率向上のためにも市として中高校生向けの主権者教育を抜本的に強めること。

    (答)

    市立高校などにおける政治的教養の教育、生徒による政治的活動及び主権者教育につきましては、今後も文部科学省通知や学習指導要領に基づき、授業や特別活動などにおいて適切に指導を行ってまいります。(教育委員会)

    中高生を対象とした日頃の選挙啓発につきましては、模擬投票を取り入れた明るい選挙出前授業など、学校と連携して引き続き取り組んでまいります。(選挙管理委員会事務局)


(14)平和、基地

  • 高島市長は、2020年からの4年間で、市民の反対を押し切って自衛隊に対して、本人の同意もなく、多数の当事者が知らないうちに延べ12万人もの若者の名簿提供を強行し、青年をはじめ市民の中に怒りが広がっている。このことは、憲法の保障するプライバシー権や自己情報コントロール権を侵害するものであり、断じて許されない。また、自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められず、自衛隊への対象名簿の提供をやめること。

    (答)

    自衛隊への募集対象者情報の提供につきましては、自己の情報の提供を望まない対象者を除外することとし、その周知を図るとともに、自衛隊と個人情報の取扱いに関する協定を締結するなど、個人情報の管理を徹底したうえで、適切に実施しております。

  • 国は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「土地利用規制法」)にもとづく「注視区域」および「特別注視区域」として福岡空港・米軍板付基地から1キロ以内の地域など数か所を指定区域候補としている。土地利用規制法上の「注視区域」などに指定されると、住民の個人情報などを国に提供することが求められ、「機能阻害行為」と政府に判断された場合には土地・建物の利用中止が勧告されることもあり、その結果、土地価格の低下などを引き起こすこともありうる。住民の基本的人権を守るために土地利用規制法にもとづく区域指定に反対を表明し、市が所有する保護すべき個人情報を国に提供しないこと。また、土地利用規制法に関する件について市が国から得ているすべての情報を開示するとともに、市の対応と経過を広く市民に知らせること。

    (答)

    注視区域及び特別注視区域の指定につきましては、重要土地等調査法に沿って、国が適切に手続きを行うものと認識しております。また、国からの要請につきましては、法に基づき必要な協力を行ってまいります。

  • 福岡空港内にある米軍板付基地で1972年に返還された米軍基地の跡地に残存していた燃料輸送管(パイプライン)に沿ってベンゼンなどの土壌汚染が確認され、福岡市が汚染土の除去費用を約2億200万円支払っている。市は基地の返還を求めておきながら、米軍基地が原因の土壌汚染対策費用を市が負担することは異常であり、米軍基地の原状回復費の返還を求めるとともに、米軍基地の固定・強化につながる税金の支出をやめること。また、有害物質であるポリ塩化ビフェニール(PCB)の廃棄物が米軍基地内に保管されている疑いが報道されている。事実を確認し一刻も早い撤去を要求すること。そのうえで、米軍板付基地の即時全面返還と福岡空港の軍事利用の中止を、国と米国に対して強く要求すること。

    (答)

    滑走路増設事業における土壌汚染対策などにつきましては、国が設置・管理する空港の整備の一環として実施されていることから、空港法の規定に基づき、福岡市もその費用の一部を負担したものであります。(港湾空港局)

    ポリ塩化ビフェニールの廃棄物の報道につきましては、引き続き情報収集に努めてまいります。

    基地返還につきましては、市議会、市、自治協議会、男女共同参画協議会、労働団体などで組織している板付基地返還促進協議会を通じて、国や在日米軍司令部等に対して引き続き要望してまいります。(総務企画局)

  • 博多港への米艦船の入港は友好親善などの目的であっても許されるものではなく、福岡市の「平和都市宣言に関する決議」にも「博多港港湾施設管理条例」にも反している。米軍艦及び自衛隊艦船の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。

    (答)

    軍艦などの入港につきましては、入港目的が友好親善、乗組員の休養などで商船の荷役などに支障がない場合は、港湾管理者として適切に対応しております。

    また、核兵器の問題につきましては、国の基本政策である、非核三原則により措置されていると考えております。

  • 市長の就任以来、核兵器廃絶や非核三原則の遵守などをうたう「非核平和都市宣言」を求める議会請願が、被爆者団体や高校生など幅広い市民から、13年間に8回も出されているが、市長は「アジア太平洋都市宣言」や議会議決を持ち出し、理由にならない理由で、頑なに拒否する異常な態度を続けている。市民の切実な願いを真正面から受け止め、ただちに宣言すること。

    (答)

    非核平和都市宣言につきましては、これまで福岡市においては、福岡市議会における「平和都市宣言に関する決議」に基づいて、市民の平和と安全を守り、世界の平和に貢献することを基本精神として市政運営を行うとともに、「アジア太平洋都市宣言」において、国際交流活動を通じて平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を内外に示しており、さらに平成24年12月策定の福岡市基本構想においても、その目的の中で、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくと謳っております。

    今後ともこれらの宣言などの趣旨を市政に活かしてまいります。

  • 国連の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会や、広島・長崎市の原爆資料館に、高校生をはじめ若者や親子を派遣するなどの事業について、北九州市等を見習って予算化すること。また、市として、原爆資料展をおこなうこと。

    (答)

    戦争の悲惨さ・被爆の実相を伝えていくため、博物館などにおける戦時関係資料の展示を行うとともに、小中学校においては様々な機会を捉えて平和学習を行っております。

    また、福岡市が参加する平和首長会議の取組みの一環として、原爆ポスター展の開催や小学校における被爆樹木の植樹を行うなど、平和意識の醸成に努めており、今後とも、関係局と連携しながら、取組みを行ってまいります。

  • 福岡は広島、長崎に次いで被爆者が多く、また日本最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲を受けている。現在、戦争の史実を学ぶ公的な場は、市民福祉プラザの一角にある「引揚港・博多」常設展示施設や、空襲で大きな被害が出た地区にある博多小の平和祈念室などに限られている。北九州市では2022年4月に、「北九州市平和のまちミュージアム」が開館し、小中学生をはじめ、多くの市民が訪れている。本市にも冷泉小学校跡地など公共用地を活用して常設の平和資料館を設置すること。

    (答)

    戦争体験などを通して平和の尊さを後世に伝えていくことを目的に、博物館における戦時関係資料やふくふくプラザにおける博多港引揚資料の常設展示などを行っており、今後とも、平和に関する取組みを実施することにより、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。

  • 昨年福岡市市民福祉プラザ1階の「引揚港・博多」関係資料の常設展示がリニューアルオープンして1年以上が経過したが、まだ一度も展示が入れ替えられていない。定期的に入替えを行うことは当初からの約束であり、毎年入替えを行うこと。また、資料について説明する学芸員も配置し、博多港引揚げの史実を学校教育の課題に位置付け、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを教える教材として使うこと。引揚げ記念碑「那の津往還」は記念樹とともに、ウォーターフロントの再整備の中で移転することなく、維持すること。

    (答)

    戦後、博多港が日本最大級の引揚港として果たした歴史的役割や、引揚者の労苦を後世に伝え、平和への願いを新たにするため、ふくふくプラザにおいて資料展「引揚港・博多」の常設展示を行っております。

    特定のテーマに沿った資料を展示する「特集展示コーナー」を活用し、展示の充実に努めてまいります。(福祉局)

    引揚げ港としての博多港の歴史を通して、平和の尊さを学ぶことは大切なことであると認識しております。また、教育委員会が、発行した人権読本「ぬくもり」の中学生版に「博多港の歴史から未来を考える」という教材を掲載し、学習の資料として活用できるようにしております。(教育委員会)

    引揚げ記念碑などが立地するウォーターフロント地区につきましては、引揚げの歴史や設置の趣旨なども踏まえ、ふ頭基部のまちづくりに取り組んでまいります。(住宅都市局、港湾空港局)

  • ロシアによるウクライナへの軍事侵攻やアメリカが中国やロシアと対立を深める中で、核兵器使用の危険が危惧されている。一方、核兵器禁止条約に賛同する国は増え続け、9月19日現在69か国が批准し、署名した国は93か国に達し、国連加盟国の過半数の97に迫ろうとしている。福岡市議会でも「核兵器禁止条約を速やかに締結するよう政府や国会に求める意見書」を決議しており、平和首長会議に加盟する市長として、市長自ら首相に対して同条約の批准を強力に働きかけること。

    (答)

    核兵器廃絶に向けた取組みについては、平和首長会議国内加盟都市会議として、政府に対し要請を行っております。 国におきましては、核兵器のない世界の実現に向けて取り組んでいくとのことでございますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。

  • イスラエルの大規模攻撃によって、パレスチナ・ガザ地区できわめて深刻な人道的危機が起こっており、ジェノサイドの重大な危険という一刻の猶予も許されない事態に陥っている。それにも関わらず日本政府は米国の顔色をうかがい、ハマスの無差別攻撃への非難は行ってもイスラエルの国際法違反の無法行為については批判せず、国際社会の多数が求める「即時停戦」「休戦」に背を向ける態度を取っている。双方に「即時停戦」を働きかける外交努力を行い、イスラエルの国際法違反の蛮行については強く中止を求めるよう国に要請すること。

    (答)

    パレスチナ・ガザ地区での情勢につきましては、国におきまして、事態の早期沈静化と人道状況の改善を求めて、各国との会談など様々な働きかけが行われていると認識しており、今後とも国の動向を注視してまいります。


(15)改憲と戦争できる国づくり

岸田政権は、昨年末「安保3文書」を閣議決定し、歴代政府が憲法違反としてきた敵基地攻撃能力を保有し、そのために今後5年間で軍事費を43兆円にも増やしてGDP比2%へと倍増する大軍拡に突き進んでいる。この大軍拡の本質は、米国が推進する対中国軍事包囲網づくりの最前線に日本が立つということであり、「先制攻撃」を基本原則にすえる米軍の「統合防空ミサイル防衛」戦略に組み込まれることに他ならない。集団的自衛権の行使により自衛隊が米軍と融合して相手国に攻め込んだ結果、膨大な報復攻撃を呼び込み、本市も含めた日本全土に戦火が及ぶことになる重大な問題である。本市市民の命を危険にさらす「敵基地攻撃能力の保有」を行わないよう国に求めること。また、岸田首相は国会の所信表明演説で、憲法改定は「先送りのできない重要な課題」だと強調したが、憲法第9条の改定はこうした米国の海外での戦争への全面参加を意味するものであり、改定をやめるよう国に求めること。

(答)

国の安全保障のあり方につきましては、国の専管事項であり、国におきまして十分な議論を行っていただきたいと考えております。 また、憲法の改正につきましては、国民的な議論を経て総合的に検討されるべきものと考えております。

以上

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