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政策と活動

2022年度予算要望

2022年度予算編成に関する申し入れ

2021年12月14日

福岡市長  髙島宗一郎 殿
福岡市教育長  星子明夫 殿

日本共産党福岡市議団
団 長 中山 郁美
幹事長 倉元 達朗
綿貫 英彦
堀内 徹夫
松尾りつ子
山口 湧人

新型コロナウイルス感染症をめぐる危機は依然として続いており、いつ収束するのかはまだまったく見通せません。コロナ危機は社会の脆弱さや矛盾を明るみに出し、これまでのような社会・経済のあり方を変えざるを得ないという課題を世界全体に突きつけています。本市もその例外ではありません。

また、気候危機は、「非常事態」ともいうべき状況に立ち至っており、世界の多くの自治体が「非常事態」を宣言して、社会のあらゆる仕組みの「前例のないシステム移行」(IPCC1.5℃報告書)が求められています。

貴職は常々有事は平時とは異なるリーダーシップが求められているとして、その想定をタブー視しないことを訴えておられますが、コロナ危機や気候危機はいわば有事であり、これまでの常識にとらわれない思い切った改革が求められています。

ジェンダー平等の流れも、ここ1〜2年で大きな高まりを見せ、今や自治体運営においてもあらゆる政策にジェンダーの視点をつらぬく「ジェンダー主流化」を避けて通ることはできません。

折しも来年度は新たな福岡市基本計画策定に向けて起動する年度であり、この3つの問題に対する戦略を市政運営の太い柱に据えることは、これまでの市政に対する立場の違いを超えて取り組めるものです。新年度予算編成においてそのことを貴職に真摯に求めます。

私たちは、こうした立場から2022年度予算編成にあたっての重点要望を作成し、貴職にその実現を申し入れるものであります。

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2022年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1、コロナ危機対応、気候危機打開、ジェンダー平等を市政運営の前提に

コロナ危機対応、気候危機打開、ジェンダー平等は、いずれも社会や政治のありようを根本から見直すことを迫っており、立場の違いを超えて市政運営の前提・戦略の中心に据えられなければならない課題である。来年度は「第9次福岡市基本計画」の目標年次にあたり、新たな計画の策定が行われることになる。その際に、以下の(1)〜(3)の観点を盛り込むよう要求する。同時に、計画策定以前にも市政運営方針をはじめ新年度の施策全体に以下の(1)〜(4)の観点を盛り込むよう求める。

(1)コロナ危機に対応した戦略

新型コロナウイルス感染症をめぐる危機は社会のさまざまな問題を浮き彫りにした。非正規雇用で働く人たちが真っ先に仕事を奪われ、まともな補償もせずに「自粛」を押しつける政治が、中小企業、個人事業主、文化・芸術、イベント関係者を追い詰めた。「小さな政府」の名で公的部門が縮小させられ、医療や保健所が弱体化し、医療崩壊が現実となった。自民党・公明党の政権が長年とってきた弱肉強食と自己責任おしつけの新自由主義の政治がもたらした人災にほかならない。

また、ビジネスのあり方も大きく変わり、「外から人・企業を呼び込む」という旧態依然の経済政策の前提が大きく揺らぎ、コロナ以前のやり方をそのまま推進することには多くの市民の間から疑問の声が上がっている。

欧州での感染拡大などコロナ危機はまだ収束の方向が見えず、今後も続くと考えられる。経済・社会活動を再開しながら再び感染爆発・医療崩壊を絶対に起こさないコロナ対策、医療・介護・障害者福祉・保育などケアを厚くする政治への改革、「呼び込み」型から地域にある産業や企業など今ある地域の力を支援し伸ばす「内発」型の経済政策への転換など、コロナ危機への対応を市政の中心戦略の一つに据え、本市のあらゆる計画・施策をただちにその立場で見直すこと。

(答)

福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定した福岡市総合計画において、「都市の成長」と「生活の質の向上」の好循環を創り出すことを都市経営の基本戦略として掲げ、「人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市」を目指して、まちづくりを進めています。

これまでの取組みの結果、人口は161万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入は令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し、この成長の果実を活かして、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに取り組み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価されております。

新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、感染症の影響を受けた市民生活や中小企業などへの支援などを実施するとともに、必要な人員体制についても、柔軟かつ機動的な体制を整備し、全庁を挙げて取り組んでいるところであり、引き続き、市民の命と暮らしを守るため、感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立に向けた取組みを推進してまいります。

今後とも、感染症に強く、より国際競争力が高いまちづくりに積極的にチャレンジし、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりに取り組んでまいります。


(2)気候危機打開への戦略

本市は2040年度に温室効果ガス排出実質ゼロをめざす方針を打ち出している。もともと実質ゼロの達成には社会システムの「前例のない移行」(ICPP報告書)が必要であり、しかも、本市は政府よりも10年早く達成しなければならない。本市は「福岡市地球温暖化対策実行計画」を見直そうとしているが、一部局の計画変更で決して達成できる目標ではなく、開発や経済などのあり方を大もとから変えることが不可欠である。2040年度に本市で実質ゼロを達成することを市政の中心戦略の一つに据えるとともに、本市のあらゆる計画・施策をただちにその立場で見直すこと。

(答)

脱炭素社会実現に向けた取組みにつきましては、環境の分野にとどまるものではなく、施策や事業を計画実施するにあたり、市政全般において検討が必要なまちづくりの重要な視点であることから、現在、改定を進めている地球温暖化対策実行計画の趣旨が各計画・施策に反映されるよう連携を図りながら進めてまいります。


(3)ジェンダー平等の戦略

1990年代以降、世界は「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきた。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野で、計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくことである。そのためにも、市や企業の管理職はもちろん、各種団体・地域など、市政・市域のあらゆる場面で女性の参画を進めることが求められている。意思決定の場に女性を増やすことは、ジェンダー平等を進めるために欠かせないものである。2030年までに市の政策・意思決定の構成を男女半々にすることなど「ジェンダー平等」を市政の中心戦略の一つに据えるとともに、本市のあらゆる計画・施策をその立場でただちに見直すこと。

(答)

男女共同参画の推進につきましては、「男女共同参画基本計画(第4次)」において、市役所における女性管理職比率や、企業における女性管理職比率などの数値目標を掲げており、今後とも、第9次基本計画や「男女共同参画基本計画(第4次)」に基づき、福岡市のあらゆる施策に男女共同参画の視点を反映させ、関係局・区とも連携しながら全庁一体となって取り組んでまいります。


(4)国の悪政から市民を守る

「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本と」すると地方自治法第1条の二に定められているように、自治体本来の仕事は市民の暮らし・福祉をよくすることであり、国の悪政から市民を守ることでもある。岸田内閣が発足し来年度予算編成の作業が進められているが、安倍・菅政権の悪政を引き継ぎ、その影響が本市市民にも及ぼうとしている中で、この任務はますます重要である。

自民党が総選挙の公約に「自衛隊の明記」「緊急事態条項」など改憲4項目を掲げ、岸田首相が「憲法改正に向け、精力的に取り組んでいきます」と選挙後に述べるとともに、維新の会が「来年の参院選までに改正案を固めて(参院選の投票とともに)国民投票を実施すべきだ」と発言したことは重大である。憲法第9条の改定は、「緊急事態条項」の挿入とともに、日本を「海外で戦争する国」へと変えるものであり、本土防衛とは何の関係もない、米軍が海外で起こす無法な戦争の危険に本市市民をさらすことにつながる。市長として憲法改定への反対を表明し、国・国会に対して改定の動きを止めるよう求めること。

また、自民・公明政権の政策により格差と貧困が深刻化し、働く人の平均実質賃金は年22万円も減る中で、2度の消費税増税は本市市民の家計にも重くのしかかっている。国に対して、消費税を5%に減税するよう要求するとともに、法人税率(中小企業を除く)を安倍政権以前の28%に戻すなど、大企業と富裕層に応分の負担をさせる税制改革を求めること。

(答)

憲法の改正につきましては、国民的な議論を経て総合的に検討されるべきものと考えております。(総務企画局)

消費税につきましては、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、関係法により社会保障財源に位置づけられているものと認識しております。また、大企業や富裕層への課税につきましては、引き続き国の動向を注視してまいります。(財政局)

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2、医療・介護・障害福祉などケアを支える市政を

自公政権は社会保障費の自然増分を削減・抑制する路線を続けてきたが、岸田政権においてもそれを継承する構えである。新型コロナ対策の充実が引き続き重要課題となる中、新年度の社会保障関連予算は国民の命を守り「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するにふさわしい規模へと転換させなければならない。「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治体としても、国への働きかけとともに独自の努力を行うことが求められている。したがって、以下の点について要請する。

(1)コロナ対策

  • 日本でも、世界でもワクチン接種後の「ブレークスルー感染」が起きており、新たな変異株による感染もひろがる等、引き続き予断を許さない状況にある。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが極めて重要である。ところが自公政権は、「ワクチン一本やり」で、大規模検査を軽視し続けてきており、日本の人口当たりのPCR検査数は、諸外国と比べ桁違いに少なくなっている。本市においても検査の対象を原則有症状者と濃厚接触者に限ってきたため市中感染を見逃してきた。一部、対象が拡大されたとはいえ医療・介護・障害者施設などの職員等へ限定しており、頻度も不十分である。第6波を起こさせないためにも「いつでも、誰でも、無料で」という立場で、大規模・頻回・無料のPCR検査を行うよう方針を改め具体的な手立てをとること。

    (答)

    感染症対策につきましては、感染者の早期発見・早期隔離・治療が何より重要であり、幅広い検査を行うことが重要であると考えており、これまで、様々な手法により検査体制の拡充を図ってまいりました。

    感染に不安を感じる無症状者への検査につきましては、感染が拡大傾向にある場合の無料検査が県において実施されるなど、検査体制の拡充が進められており、県と連携しながら取り組んでまいります。

    今後も引き続き、国の動向や感染状況を踏まえながら、必要な方が迅速かつ確実に検査を受けられるよう、検査体制の充実に努めてまいります。

  • 新型コロナとの闘いの中、医療現場はまさに崩壊の危機に直面してきた。今後の感染拡大への備えとしてコロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、臨時の医療体制を整備することは急務である。「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など、感染拡大に備える体制を構築する手立てをとるよう国に強く求めること。県と連携し、臨時の医療施設の設置等、自治体独自で可能なあらゆる方策を打つこと。

    (答)

    医療提供体制につきましては、県単位で整備されており、現時点において、陽性者受入可能な病床が1,558床確保されております(令和4年1月31日時点)。

    今後感染拡大により患者数が増大した場合においても、スムーズな受入や病床運用が行えるよう、福岡市として、県や医師会と必要な連絡調整を行ってまいります。

    また、病状が悪化して入院が必要となった陽性者を一時的に受け入れる酸素ステーションが開設されております。自宅療養者に対する外来受診や往診についても、県や医師会と協力して体制整備を行っております。

    今後とも、感染状況に注視しながら、感染拡大に備え、県と連携してまいります。

  • この間、現場で必死にがんばっている医療従事者のボーナス・賃金のカットや、「コロナ倒産」が起きるような医療機関の経営悪化が生じてきた。国に対し、医療費抑制路線を中止し、医療機関の減収補てんと財政支援、医療従事者の待遇改善を行う手立てを取るよう強く求めること。

    (答)

    医療機関の支援につきましては、診療報酬の特例的対応のほか、国・県により新型コロナウイルス感染症患者に係る空床確保に対する補助や院内感染拡大防止対策に係る費用の補助などの各種の支援策が講じられておりますが、さらなる財政支援について、全国市長会や指定都市市長会などを通じ、引き続き国に対し要望を行ってまいります。

  • 新型コロナとの闘いによって、医療現場とともに保健所も逼迫状況に追い込まれ職員の平均残業時間は80時間の過労死ラインを大きく超え、中には225時間にも上る事例も生じた。感染者をつかむことも、必要なサポートをすることも困難になった教訓を踏まえ、保健所予算を2倍以上に増やし抜本的な人員増と体制強化を図ること。

    (答)

    保健所体制の強化につきましては、保健師などの職員の増員に加え、全庁を挙げた職員の応援や、民間専門職の人材派遣の増員、健康観察システム導入などの対応を行い、職員負担の軽減や業務の効率化を図るなど、業務量の増加に応じて対応しております。

    今後も、健康観察業務の委託や応援・受援体制の整備を行うなど、感染動向に応じて機動的に対応できる体制づくりに努めてまいります。


(2)国民健康保険

  • 本市の国保世帯の平均所得は77万3000円と低水準で、所得200万円以下の低所得者はその86%を占めている。10%の消費税増税と昨年2月以降のコロナ禍は低所得層が多い被保険者の経済的負担を増大させており、元々重い負担となっている保険料の軽減が強く求められている。しかし市長は、都道府県単位化による県への納付金負担が増となったにもかかわらず、一般会計からの法定外繰入れを不十分な額にとどめ、「収入未済」や「減免」分等を保険料に上乗せする方式を改めないまま、2020年度保険料を10年越しで全所得階層に及ぶ大幅引上げを行った。更に2021年度は法定外繰入れを更に7億円も削減し介護分を926円も引き上げ、子育て・現役世代に経済的打撃を与えている。「上乗せ方式」をやめるとともに、国や県の圧力をはねのけ、一般会計からの法定外繰入れを抜本的に増やし、保険料の大幅引下げをはかること。

    (答)

    国民健康保険料の料率の算定につきましては、法令などの定めに従い、必要とする保険料収入額を確保できるよう適正に行っております。福岡市におきましては、一般会計からの多額の繰入により保険料負担の軽減を図っておりますが、法定外繰入は、その財源が市の税金であるため、国保加入者以外の市民の方は、前期高齢者納付金と併せて、二重に負担する構造となっております。また、国は「決算補填等目的の法定外繰入金」を赤字と定義し、6年を目安に計画的・段階的な赤字の削減・解消に取り組むことを定めており、その額は縮小していく必要があります。

  • 子どもの均等割分については大きな請願運動を受け15歳以下の第二子を半額、第三子以降について全額免除という措置が実現したものの、対象年齢や減免割合に格差を設けることに道理はない。18歳までの全ての子どもを対象にし、全額免除とすること。併せて、国に対して全国知事会が要求している「公費1兆円の投入」で均等割、世帯割をなくし保険料の協会けんぽ並みへの引下げを可能にするよう求めること。

    (答)

    子どもに係る均等割保険料につきましては、子育て世帯の負担軽減を図るため、令和3年度から本市独自の措置として、多子世帯を対象に保険料の減免を実施しております。

    また、国においても、令和4年度から子育て世帯の経済的負担軽減の観点から、未就学児の均等割保険料を半額にする軽減制度が導入されることになっております。

    なお、国に対しましては、子どもに係る均等割保険料の軽減制度を拡充するよう要望するとともに、国民健康保険事業の安定的かつ持続的な運営ができるよう、医療保険制度の一本化などの抜本的改革や財政基盤強化のための国庫負担割合の引上げを引き続き要望してまいります。

  • 現在本市においては3人家族で所得747万円という到底高額所得者とは言えない世帯が年99万円もの保険料上限額を強いられている。賦課限度額の引上げは止め、「応益割」偏重の是正など、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。

    (答)

    保険料の算定につきましては、法令などの定めに従い、医療給付費などの見込総額から、国や県などの支出金などの見込総額を控除した額をもとに、収入未済や減免などの影響を考慮したうえで、必要とする保険料収入を確保できるよう適正に行っております。

    賦課限度額につきましては、政令により上限額が定められております。

  • 「都道府県単位化」は、国保の構造問題を解決しないまま自治体の主体性を奪い、住民負担増や滞納制裁強化、一般会計繰入の抑制等を強制するやり方でありすでに大きな影響を生み出している。中止するよう国に求めること。

    (答)

    国民健康保険の財政運営の都道府県単位化につきましては、持続可能な医療保険制度を構築し、将来にわたり国民皆保険制度を堅持するため、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、市町村は引き続き保険料の賦課徴収や保健事業などを行っております。

  • 治療費が窓口全額自己負担となる資格証明証交付世帯について本市においては6月末時点で7597世帯、短期証の発行は1万8080世帯に上り政令市最悪水準となっている。このことにより、加入者は受診を我慢して重症化・死亡するなど、手遅れ事例が本市内でも引き起こされている。「特別な事情」の確認は、丁寧な調査をすればできることであり、現に横浜市では、資格証明証や短期証の発行をしていない。面談できないことを理由に「特別な事情」を実質調査しないまま保険料滞納世帯に対し機械的に資格証・短期証を発行するやり方は許されず、他都市の例にならい、資格証・短期証への切り替えをやめること。

    (答)

    短期被保険者証や資格証明書につきましては、国民健康保険法において交付が規定されております。

    資格証明書につきましては、特別の事情もなく国民健康保険料を滞納し、納付に誠意が見られない世帯に対して交付しております。交付に際しましては、事前に対象となる世帯に対して、特別の事情に係る届出書やチラシなどを郵便で案内し、届出がない場合は電話などにより特別の事情の把握に務めるとともに、滞納世帯が負うリスクについて、パンフレットやホームページ、督促状の裏面などに明記し、周知徹底を図っております。

    今後とも接触の機会の確保を図りながら、国民健康保険法に基づいた適切な保険証の交付に努めてまいります。

  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか9.28%に過ぎず、極めて低い水準にある。新型コロナの影響を受けた世帯への保険料減免制度は「所得が前年に比べて30%以上減少」という条件になっているが、一般減免も含め「前年比20%以上」に改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して適用対象をひろげ、広報を充実させること。

    (答)

    保険料の減免につきましては、福岡市国民健康保険料減免基準に基づき、災害などにより損害を受けた場合や、所得が前年に比べて30%以上減少する場合、生活保護の適用を受けることになった場合など、保険料の納付が困難となった被保険者を対象として実施しております。

    また、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者などに対しては、令和2年度と同様に、国の財政支援の基準に基づき減免を実施しております。

    なお、市民への減免制度の周知につきましては、今後も国民健康保険加入の全世帯に発送する保険料決定通知書に同封のリーフレットや市政だより、ホームページなどでの広報に努めてまいります。

  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が9年連続0件という異常な事態となっている。「前年度比3割以上の減少」という収入要件によって、日常的に生活が厳しい人は適用されない等の矛盾が引き起こされ、制度の体をなしていない本減免制度について、要件を見直し、困窮者を救える制度へと改めること。

    (答)

    本制度は、失業などの特別な理由により収入が著しく減少し、一時的に一部負担金の支払いが困難となった場合の措置であることから、収入要件を設定しているものです。

  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、わずかな預金344円を差し押さえる事例や公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれているなど、異常なやり方が横行している。公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常、機械的なやり方はただちにやめること。

    (答)

    国民健康保険料を滞納している世帯につきましては、督促状や催告書などの文書や電話などにより可能な限り接触の機会を確保し、自主納付の説得に努めております。

    しかしながら、負担能力がありながら度重なる納付説得にも応じず、長期にわたり滞納を続けている世帯に対しましては、保険料収入の確保と被保険者間の負担の公平性確保の観点から、やむを得ず差押などの滞納処分を実施しており、今後とも法令を遵守し業務を行ってまいります。

  • 国の制度として拡充するまでの間、市独自で国保に個人事業主を含めた傷病手当を創設すること。

    (答)

    国民健康保険における傷病手当金につきましては、任意給付のため、その財源は保険料となります。今回、新型コロナウイルス感染症に限り、特例で国からの特別調整交付金が支給されることとなりましたが、国が示す対象者や基準を超えて支給した場合、超える部分については全額が保険者の負担となります。福岡市の国民健康保険運営状況を踏まえまして、国の基準どおりの支給を行うこととしております。


(3)後期高齢者医療制度

  • 後期高齢者医療制度について、福岡県の保険料は全国的に見ても高い水準のまま推移してきた。加えて、2017年度から強行されてきた特例軽減の段階的廃止縮小並びに賦課限度額の引上げ強行によって、保険料が引上げとなった世帯は約6割となっている。コロナ禍による生活困難もひろがる中、低所得・低年金の高齢者世帯を狙い撃ちにした大負担増は許されず、剰余金や各種基金を活用し、次期保険料は大幅に引き下げるよう広域連合に求めること。また、保険料特例軽減を復活させるよう国に求めること。

    (答)

    後期高齢者医療制度は、必要な医療費を被保険者の保険料、現役世代からの支援金及び、国・県・市町村の公費で賄う制度であり、被保険者の方にも応分の負担をお願いする仕組みとなっております。

    後期高齢者医療の保険料の算定につきましては、県後期高齢者医療広域連合において、運営安定化基金などの活用も含め、適切に対応していくこととされております。

    保険料の軽減につきましては、世帯の所得に応じて均等割の7割・5割・2割を軽減する減額制度が設けられております。国において、制度発足時の激変緩和措置として、平成20年度以降、本則の軽減を拡大する措置が実施されてまいりましたが、世代間・世代内の公平を図り、能力に応じた負担を求める観点から、平成29年度より段階的に見直しが行われました。

    福岡市といたしましては、国の動向を注視するとともに、制度改革による急激な変化への十分な配慮、丁寧な説明及び周知について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。

  • 後期高齢者の医療費窓口負担を2割へと倍増させる「高齢者医療費2倍化法」が100万人以上の反対署名を無視し自民・公明等によって強行成立させられた。2022年秋から実施されれば経済的理由による受診抑制を引き起こし、命を脅かす事態を生じさせることは明らかである。当事者からは「受診回数を半分に減らさなければならない」との声、子どもの世代からも「親への援助で家計が圧迫される」との声が聞かれる等、全世代に及ぶ最悪の負担増は許されない。高齢者の医療費窓口負担2倍化の実施を中止するとともに、高齢者を年齢で区切り、果てしない負担増と差別医療を押し付けている後期高齢者医療制度そのものを廃止し元の老人保健制度へ戻すよう国に求めること。

    (答)

    窓口負担割合の見直しにつきましては、後期高齢者医療制度を支える現役世代の負担増を抑制し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するため、国において法改正が行われたものです。

    なお、法の施行にあたっては、必要な受診が抑制されることがないよう、施行後3年間は、月あたりの負担増加額を最大3,000円とする措置も導入することになっております。

    福岡市といたしましては、国の動向を注視するとともに、制度改革による急激な変化への十分な配慮や、丁寧な説明及び周知について、様々な機会を捉えて国に要望してまいります。


(4)医療制度

  • 地域医療構想にもとづく、高度急性期・急性期病床の削減計画を中止するとともに感染症病床、救急・救命体制への国の予算並びにICUの病床数を2倍にするよう国に求めること。

    (答)

    地域医療構想は、主に入院を中心とした一般的な医療を提供する単位として設定された「2次医療圏」を基本として、令和7年における病床の必要数を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの機能毎に推計し、実現に向けた取組みを示すものです。

    福岡・糸島2次医療圏においては、回復期病床が不足することが見込まれており、既存の急性期又は慢性期病床から回復期病床への転換を図る取組みが進められております。

    感染症対策の充実及び救急医療体制の拡充につきましては、指定都市市長会などを通じ、引き続き国に対して要望を行ってまいります。

  • 診療報酬改定において、看護師の配置基準と労働条件の改善、新感染症に対応した診療報酬体系など抜本的に充実させるよう国に求めること。

    (答)

    看護師などの労働条件につきましては、労働環境の改善などに資する支援策を講じるとともに、十分な財政支援を講じるよう、全国市長会などを通して、引き続き国に対し要望を行ってまいります。

  • 住民の命と福祉を守る自治体を、医療切り捨ての先兵として使う「医療費適正化計画」は撤廃するよう国に求めること。

    (答)

    医療費適正化計画につきましては、高齢者の医療の確保に関する法律の規定に基づき、国民の生活の質の維持及び向上を確保しながらも、国民の健康の保持及び医療の効率的な提供の推進に関する目標を定めているもので、計画の目標達成を通して、結果として将来的な医療費の伸びの適正化を図り、国民皆保険を堅持していくことを目的とするものであり、適切に推進してまいります。

  • 無料低額診療は経済的困窮者にも医療を保障する重要な役割を果たしている。本市において実施する医療機関を増やすための取組みを県とも連携し強め、制度の広報を市ホームページだけにとどめず、ポスターやパンフレット等でも広く行うこと。また、国に対して薬剤費への制度適用を求め、他都市でも徐々に広がる独自助成にならい当面、本市独自でも実施すること。

    (答)

    無料低額診療事業は、社会福祉法の規定に基づき実施される第二種社会福祉事業として位置づけられ、事業の実施に当たっては届出制となっております。

    制度の広報につきましては、福岡市や生活自立支援センターのホームページに掲載するとともに、事業を実施している医療機関と連携し、周知に努めてまいります。

    また、薬剤費への制度適用につきましては、無料低額診療事業は社会福祉法に定める国の制度であり、国において対処すべき課題であると考えております。

  • 「福岡市健康先進都市戦略」(「福岡100」)については、「自助」「共助」を前提に、「国家戦略特区」を活用し、医療団体等からも問題が指摘されている「オンライン診療」や「オンライン服薬指導」などを活用にあたっての条件も付けず、市民合意もないまま進めている。ICTや製薬の関連大企業の利益最優先でつくられ、多くの問題をはらんでいる本戦略は、中止・撤回すること。

    (答)

    健康先進都市戦略は、保健福祉総合計画の基本理念や施策の方向性の具現化を牽引する先導的で具体的な取組みの戦略として、保健・医療・福祉分野などの有識者による会議で議論を重ねるとともに、議会などからいただいた意見も踏まえながら策定したものであります。

    「オンライン診療」の実証事業や「遠隔服薬指導」については、高齢化が進展するなか自宅などで安心して暮らすことのできる環境づくり、患者と医療施設・薬局双方の利便性向上やかかりつけ機能強化などを目指すものです。

    今後も引き続き、人生100年時代を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会の実現を目指し、関係各所との連携を図りながら取組みを進めてまいります。


(5)こども病院、市民病院

  • こども病院においては、小児・周産期医療の拠点としての重要な役割を果たす一方、地方独立行政法人福岡市立病院機構の方針の下、採算性が優先されている。10年以上も継続しているリフレッシュ休暇等を試行のままにするのは許されず、速やかに正式運用する等、職員の勤務諸条件を改善し、職員の合意を大切にする民主的な病院運営へと転換するよう指導すること。また、バスのルートや便数を抜本的に増やすようバス事業者に強く要請するとともに、職員の駐車場利用枠を増やすこと。

    (答)

    職員の勤務条件をはじめ、労務管理や経営のあり方につきましては、病院機構において地方独立行政法人法や同法に基づく内部規程などにより自律的に行われており、地方独立行政法人化した趣旨を踏まえ、適切な対応が図られております。

    バスの運行につきましては、引き続き、西日本鉄道(株)へ増便を要望するなど、交通利便性の向上へ取り組んでまいります。

    職員の駐車場利用につきましては、勤務実態や自家用車利用が特段必要と認められる場合及び緊急呼出や夜間勤務の状況などを考慮し、利用を許可しており、適切に対応されております。

  • こども病院、市民病院ともに医師、看護師等の不足が深刻となっている中で、新型コロナウイルス感染症により職員に大きな負担がかかっている。職員を正規で増員し、地域医療の拠点としての役割を果たせるようにすること。

    (答)

    病院機構の医師や看護師などにつきましては、新型コロナウイルス感染症に対応するため、院内の応援体制を構築するほか、他の医療機関からの外部専門医師の招へいなどにより、必要な人員を確保しております。

  • 新型コロナウイス感染症の深夜帯ワクチン接種において、労務管理をしないアルバイト方式で医師や看護師等を出務させ、実質9日連続での勤務を月に3回も行わせるなど本来の業務に支障をきたすようなやり方は問題である。緊急を要する場合においても、市民病院に押し付ける安直な方法はやめること。

    (答)

    新型コロナウイルスワクチンの深夜接種につきましては、副反応などに対応できる救急体制や駐車場を備えていることなどを踏まえ、市民病院の施設を利用して、市の直営により実施したものであります。

    また、出務いただく医療従事者につきましては、県看護協会を通した募集のほか、市民病院の職員に対し通常業務に支障のない範囲で出務希望を募ったものであります。

  • 唐人町の旧こども病院の跡地については市民の貴重な財産であり、開発業者や営利企業に売り渡すことは許されず、独立行政法人から取得し、医療・福祉の拠点、保育園や児童館など公共用地として活用すること。また、住民をなおざりにした企業いいなりの民間サウンディングはやめ、当該校区だけでなく隣接する校区の住民を含む跡地活用協議会などを設立し、市民の要望を反映させること。

    (答)

    こども病院跡地につきましては、新病院の整備費用に充てるため売却することを基本に検討することとしております。(保健福祉局)

    跡地活用の検討につきましては、行政需要がないことから、立地環境等を踏まえるとともに、民間サウンディングにより確認した民間アイデアも参考に、跡地の位置する校区の自治協議会と協議しながら、地域や福岡市にとって魅力ある跡地活用となるよう取り組んでおります。引き続き、地域としっかり協議しながら、検討してまいります。(住宅都市局)


(6)介護保険制度

  • 新型コロナ感染症の拡大を受け、訪問介護と通所介護では深刻な利用抑制が起こり、介護事業所が大幅な減収に見舞われている。政府は、コロナで経営難となっている事業所への「救済策」として、通所介護、ショートステイなどの報酬を加算したが、その結果、利用者が負担する1~3割の利用料も引き上がる事態となっている。市長は、国に対し、利用料・保険料に跳ね返らないよう公費を投入しながら、介護報酬の引上げを行うよう求めること。また、介護の基盤と、利用者・従業者の命と暮らしをコロナ危機から守るため、利用抑制や支出増に苦しむ介護事業所への減収補填を国に求めるとともに、市独自にも行うこと。そして、感染防護具の支給や施設の改修など、介護現場における感染拡大防止の取組みを支援し、介護施設の入居者に、PCR等の検査を実施すること。

    (答)

    介護保険制度は、全国共通の制度として運用されているものであり、介護報酬の基準や単価の設定などにつきましては、国の役割とされております。福岡市としましては、感染症の状況や国の動向などを注視しながら、適正な介護報酬の設定などについて、引き続き、国へ要望してまいります。

    介護現場における感染拡大防止の取組みへの支援につきましては、マスクなどの衛生資材の提供や、国の交付金などを活用した施設の改修への助成、無症状の感染者の早期発見を目的としたスクリーニング検査などを実施しております。なお、スクリーニング検査につきましては、令和3年度から、検査対象を介護施設等従事者に加え、施設の新規入所・入居者に拡大しております。

  • 介護職員の低処遇・長時間労働・人手不足はもともと大問題となっていたが、コロナ危機のなかで職員の過重労働はいっそう苛酷になっており、介護従事者の「コロナ離職」も相次いでいる。全産業平均より「月10万円低い」とされる介護職員の低処遇を解決することこそ、介護人材を確保し、長時間過重労働を解決するために不可欠である。市長は、国に対し、介護報酬の引上げをはじめ、介護福祉士や調理員等介護現場で働く全ての労働者の抜本的なベースアップの対策をとるよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費の補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。

    (答)

    介護職員の確保や処遇改善につきましては、国において、介護人材確保のための取組みをより一層進めることを目的に、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、その他の介護職員などを含め、さらなる処遇改善を進めるために、令和元年10月に介護報酬が改定され、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額8万円相当の引上げなどの処遇改善が図られております。

    また、令和3年4月にも介護報酬の改定が行われるとともに、令和4年2月から介護職員などの給与を引き上げるための新たな取組みも予定されておりますが、今後とも適切な介護報酬体系の確立など、更なる処遇改善について、引き続き国に要望してまいります。

    また、福岡市といたしましても、介護人材の就労や定着につながる取組みを推進してまいります。

  • 2021年8月に所得が低い施設利用者の食費・居住費を軽減する「補足給付」の資産要件を厳しくして対象を狭める改悪が行われた。これにより対象から漏れた利用者の負担が大幅に増えることになり、施設退所に追い込まれる利用者も出ることが懸念される。補足給付制度の改悪を撤回するよう国に求め、市として負担増の補填をおこなうこと。

    (答)

    補足給付制度の見直しにつきましては、在宅で介護を受ける方との公平性などの観点から、能力に応じた負担をしていただくものであり、一定額以上の預貯金等や収入がある方については、その預貯金等や収入に応じた負担をいただくものです。負担が増える方には見直しの趣旨や内容について丁寧に説明を行うとともに、個々の実情から判断し、食費などの軽減を行ったり、社会福祉法人などによる利用者負担軽減制度を案内するなど、引き続き、適切な対応を行ってまいります。

    また、国に対して、低所得者の負担軽減について、今後とも要望してまいります。

  • 本市の介護保険料はコロナ禍であるにもかかわらず、第8期福岡市介護保険事業計画でもまた引上げが行われ、基準額で前期より年1766円値上げされた。一般会計からの繰入れを含め、あらゆる手立てをとって介護保険料の引下げを図るとともに、滞納者に対するサービス取り上げ等のペナルティをやめること。

    (答)

    介護保険料につきましては、3年ごとに介護保険事業計画を策定する中で、必要な介護サービス費用などを見込み、設定しております。設定にあたりましては、介護給付費準備基金を活用し、保険料上昇の抑制を図ってまいります。また、低所得者の保険料の軽減を図るため、独自の減免制度を実施するとともに、平成27年度から、給付費の5割の公費とは別枠で国費、県費、市費を投入しており、今後もこれらの取組みを引き続き実施してまいります。

    また、滞納者に対する保険給付の制限につきましては、被保険者の負担の公平性を確保するため、介護保険法に基づき実施しております。

    なお、国に対して、国の負担割合を引き上げるといった財政支援措置や低所得者における保険料の負担軽減の拡大を図るよう、引き続き、要望してまいります。

  • 本市の特養ホーム待機者は、2019年12月時点で入所待ちが2607人であり、申込み者の数から「必要度の低い人」を除外する恣意的な判断によって実態より少ない人数に絞り込んだ上に、今期(2021年度~2023年度)における整備計画は240人分という極めて不十分なものになっている。このようなやり方は許されず、希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、早急に待機者解消を図ること。併せて、小規模多機能施設やグループホーム、宅老所などの基盤整備と公的補助を強化すること。また、「要介護1・2」の特養ホーム入所からの締め出しをやめ、入所条件を緩和するよう国に求めること。

    (答)

    特別養護老人ホームにつきましては、令和元年度に実施した特別養護老人ホーム利用申込者実態調査の結果などを踏まえ、令和3~5年度を計画期間とする第8期介護保険事業計画に整備目標量を定め、この計画に基づき、整備を進めてまいります。

    小規模多機能型居宅介護やグループホームなどにつきましては、介護保険事業計画に基づき、計画的に整備を進めるとともに、小規模多機能型居宅介護などの新規開設事業者に対しては、令和3年度から市費を投入し、建設費補助を増額しております。

    また、平成27年4月から、特別養護老人ホームは新規入所者について、原則、要介護3以上の中・重度の介護者を支える施設としての機能が強化されましたが、要介護1・2の方でも、居宅での生活が困難であると特別養護老人ホームが判断した場合には、保険者の意見を聞いたうえで施設への特例入所を認めております。

  • サービス付き高齢者向け住宅について、市として家賃の補助制度をつくり、不必要なサービスを受けることがないよう、入居者のくらしと権利をまもる仕組みづくりをすすめること。

    (答)

    サービス付き高齢者向け住宅につきましては、毎年度徴収する定期報告等で管理状況を把握するととともに、事業者に対して適宜必要な指示を行ってまいります。

    家賃の補助制度につきましては、「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」に基づき、高齢者等の住宅確保要配慮者の居住の安定確保に向けて、セーフティネット住宅への入居者負担低減など経済的支援策を設けております。

  • いきいきセンター(地域包括支援センター)がおこなう総合相談支援においては、年々相談件数が増加傾向でかつ内容が複雑化しており、職員一人当たりの業務量が非常に多く、多忙化している。地域の高齢者の実態を把握し、親身な対応を行っていくためにも、市として、いきいきセンターの体制強化のために抜本的予算増を図ること。

    (答)

    地域包括支援センターにつきましては、平成27年度に概ね中学校区単位となる57か所に増設しております。各センターでの従事職員については、相談への対応・支援に当たる職員を高齢者人口に応じて配置するとともに、これらの職員とは別に地域資源を活かした生活支援・介護予防活動の推進に当たる職員について、令和3年度に全圏域への配置を完了しております。

    なお、職員定数は、57か所に増設する前の平成26年度の156名から、令和3年度は264名まで増員してきております。


(7)高齢者施策

  • 高齢者乗車券については周知および申請方法を市政だよりやオンラインにとどめたことで、「やり方が分からない」と申請をためらう人がいるため、全対象者に申請書を送付する方法に改めること。要望の強い所得要件及び利用上限額廃止や、ICカードとタクシー助成券などの併用を可能にし、高齢者の移動権を保障すること。

    (答)

    高齢者乗車券は、70歳以上の市民の方々に広く認知され、利用されている制度であり、社会参加の促進に寄与しているものと考えております。

    新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と市民の利便性向上のため、令和2年度から、郵送・オンラインで申請を受け付け、郵送で交付する方法を導入するとともに、令和3年度から、地下鉄駅券売機やポイントチャージ専用機でICカードにチャージする方法を導入いたしました。

    今後とも、持続可能な制度としながら、利用者の利便性の確保に取り組んでまいります。

    なお、申請方法につきましては、市政だより、公民館だよりのほか、市施設や病院、薬局、郵便局、商店街、スーパー、コンビニエンスストアなどでの、申請書付きリーフレット設置などにより、広報を実施したところであり、今後とも、市民への周知に取り組んでまいります。

    また、ICカードとタクシー助成券の併用につきましては、高齢者乗車券制度は、交通費の一部を助成するものであり、最もよく利用する乗車券を一つ選択することとしております。

  • 加齢性難聴によって外出先で危険に遭いやすい、認知症を引き起こす、社会参加の妨げとなること等が指摘されているが、補聴器購入は高額なため費用の補助制度を求める要望が広がっている。他都市にならい補助制度をつくること。

    (答)

    加齢性難聴につきましては、国において、補聴器を用いた聴こえ方の補正による認知機能低下の予防効果などの研究が進められているところでございます。

    福岡市といたしましては、引き続き、身体障害者手帳を取得されている方に対して、補聴器購入に対する助成を行うとともに、国や他都市の動向を注視してまいります。


(8)被爆者支援

「黒い雨」訴訟広島高裁判決が確定し相談事業がますます重要になる中、本市原爆被害者の相談事業や被爆証言活動が「原爆被害者の会」の会員減少や高齢化によって極めて困難になってきている。事業を維持・充実させるための運営費補助金を増額すること。また、被爆体験を継承するために、新しい世代の「語り部」を養成する事業等を広島市や長崎市のように会と連携しながら市の責任で実施すること。また、障害者と同様に被爆者のふくふくプラザ駐車場使用料を早急に全額免除するとともに被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。

(答)

福岡市原爆被害者への対応につきましては、原爆被害者等援護事業として、被爆者及びその家族の福利厚生や生活相談事業、小・中学校などでの「証言(語り部)活動」を継続的に行っている団体に対し、事業費の一部を助成しており、今後も引き続き支援してまいります。

市民福祉プラザの駐車場使用料及び市営地下鉄・市営渡船の利用につきましては、条例及び規則に基づき対応してまいります。


(9)アスベスト

  • 5月の「建設アスベスト訴訟」で最高裁は国と建材メーカーの責任を認める判決を出し、6月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金の支給に関する法律」が成立した。しかし、判決は、屋外作業員や対象期間外に被害を受けた人は補償対象外である。また、給付金法で創設する補償基金には、建材メーカーが参加していない。そこで、これらの被害者も補償対象とすることや、メーカーによる基金への拠出を実現するよう国に要求すること。アスベスト曝露による健康被害を防ぐための規制強化、労働災害認定基準の大幅緩和、さらに建設アスベスト被害者の全面的、かつ早期解決に向け、裁判によらず簡易・迅速に救済する「被害者補償基金制度」の早急な創設などを市として積極的に国に要求すること。

    (答)

    アスベスト対策につきましては、国におきまして、石綿障害予防規則などにより安全確保のための規制整備がなされるとともに、健康被害にあわれた方につきましては、労働者災害補償保険法及び石綿による健康被害の救済に関する法律などに基づく支援制度が設けられ、状況の変化に応じて見直しも行われておりますので、引き続き、国の動向を注視してまいります。

    福岡市といたしましては、石綿健康被害救済制度の申請窓口である各区保健福祉センターにおいて、丁寧な相談対応に努めながら、適切に受付案内・情報提供を行ってまいります。

  • アスベスト対策を抜本的に強化するために、アスベストアナライザーをすべての解体現場で活用し、含有調査を行うこと。大規模災害時の飛散対応等のため、アスベスト使用建築物のハザードマップを公開し積極的に市民に周知すること。また、市民へのアスベスト被害に対する啓発活動を強めること。アスベストを扱う建設労働者の防じんマスクの普及につとめ、市内業者への購入補助を行うこと。また国民健康保険の特定検診の問診において職種や経歴に応じてアスベスト被害を明らかにできるように対策をとること。あわせて、アスベスト専門の部署を設置し、市職員の中に、石綿調査の公的資格制度である「建築物石綿含有建材調査者」などの専門家を育成、職員も大幅に増やすなど総合的なアスベスト対策をすること。

    (答)

    解体工事のアスベスト対策につきましては、令和3年4月の改正大気汚染防止法の施行により、アスベスト含有建材の使用の有無に関する事前調査の方法が法定化されるなど、規制の強化が図られております。アスベストアナライザーは、解体工事の立入検査時に、アスベスト含有の可能性のある建材が確認された場合に使用しております。

    市民への啓発活動につきましては、今後もホームページへの掲載や区役所でのパンフレット配布など、情報発信に努めてまいります。

    アスベスト専門部署の設置や専門家育成などにつきましては、環境省主催の技術講習会へ参加するなど、専門的知識の習得やスキルの向上を図るとともに、副市長をトップとする全庁横断的な推進組織である「アスベスト対策調整部会」のもと、関係部局が情報共有を図り、合同パトロールを実施するなど、連携して取り組んでおります。今後も、「アスベスト対策推進プラン(第二次)」に基づき、総合的なアスベスト対策に取り組んでまいります。(環境局)

    アスベストが使用された建築物は違反建築物ではなく、安全を確保するため封じ込め対策を取られているものなどもあり、風評被害を生む可能性もあることから、個人情報を含むものを公開することは課題が多いと考えております。(住宅都市局)

    特定健康診査につきましては、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づく内臓脂肪の蓄積に起因した生活習慣病予防のための健診であり、厚生労働省が示す問診票に基づき実施しており、「労働安全衛生法」における労働者に対する健診とは異なりますので、新たな問診項目を追加することは困難と考えております。(保健福祉局)

  • アスベスト使用建物の解体、建築、補修工事における事前調査やアスベスト除去費用について、建物所有者の負担を軽減する補助金制度の対象拡充を国に求めるとともに、市として独自の補助制度をつくり、「ゼロ・アスベスト」のまちづくりを進めること。

    (答)

    福岡市においては、良質な居住環境の形成と生活環境の保全を図るため、まずはアスベスト除去後も使用される建築物で多数の人が利用するものを補助対象としております。


(10)生活保護行政

  • コロナ禍で生活困窮者が急増し、国民の命と暮らしを守る最後のセーフティネットである生活保護がますます重要になる中、膨大な漏給、低すぎる補足率の解決が緊急に求められている。しかし、市は2020年5月に国が通知した生活保護についての弾力的な運用の通知をまともに周知せず、市のホームページの新型コロナ感染症に関する情報のなかで案内もしていない。その結果、コロナ禍のもとでの生活保護申請件数の伸びが、全国に比べて福岡市は3分の1以下になっている。札幌市が「生活保護の申請は国民の権利です」というポスターを作成し公共施設などに掲示しているが、このような取り組みにならって、本市として定期的な捕捉率の調査・公表、テレビやインターネットのCM活用、公共施設などへのポスター掲示、市政だよりへの1面への特集記事掲載などによる制度の周知徹底や相談の呼びかけ、誰もが手に取れるような場所に申請用紙を置くなど捕捉率向上策を講じること。また、申請権を保障するため「面接」「指導・助言」を口実に不当に生活保護を排除する「水際作戦」を根絶すること。このような改革をすすめるとともに、必要な人は誰でも受けられるよう生活保護法の「生活保障法」への改正を国に求めること。

    (答)

    福岡市におきましては、生活保護の相談があった場合、相談内容を具体的に確認し、「生活保護のしおり」を配布するなど、他法他施策の活用をはじめ生活保護の仕組みについて説明を行ったうえで、生活保護の申請の意思がある方には申請書を交付し、申請に必要な手続きを支援しております。

    各福祉事務所に対しましては、生活保護の申請の意思がある方の申請権を阻害しないよう指導するとともに、相談者の立場に立った懇切丁寧な対応を心掛けるよう、研修などを通して周知徹底を図っております。

    なお、生活保護法の改正などにつきましては、国において判断されるものと考えております。

  • 自公政権が強行した生活扶助の段階的な引下げと消費税の2回にわたる増税、長引くコロナで出費がかさむ中、保護利用者は1日3回の食事や毎日の入浴がかなわない等、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が奪われている状況にある。これまで切り下げた生活扶助費・住宅扶助費を元に戻し、基準引下げ路線を転換して、憲法に規定された生存権の保障にふさわしい水準に引き上げるよう国に求めること。

    (答)

    生活保護基準につきましては、生活保護法に基づき厚生労働大臣が定めるものとされております。また、生活扶助基準などにつきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、子どもの健全育成に必要な費用を検証するなど、社会経済情勢などを総合的に勘案して、国において見直しが行われたものと認識しております。

  • 新型コロナの感染防止対策としてのマスクや消毒用品等の購入による新たな出費は保護世帯に重くのしかかっており、下水道料金減免制度の復活、年末の福祉見舞金の支給など、市独自施策を行い、利用者の生活を支援すること。特に温暖化によって夏は災害並みの猛暑が続いており、暑さをしのぐための電気代がかさみ生活費を圧迫するため、市独自の夏季福祉見舞金を創設するとともに、必要な世帯全てがエアコンを購入できるよう、市独自に手立てをとること。

    (答)

    生活保護基準につきましては、生活保護法に基づき厚生労働大臣が定めるものとされております。また、生活扶助基準などにつきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、子どもの健全育成に必要な費用を検証するなど、社会経済情勢などを総合的に勘案して、国において定められております。

    なお、福岡市におきましては、平成12年度に個人給付施策の見直しを行い、福祉見舞金を廃止したところであり、福岡市独自に保護基準を超える給付を行うことは困難ですのでご理解願います。(保健福祉局)

    生活保護受給世帯に対する下水道使用料の減免制度につきましては、負担の適正化を図る観点から、平成28年6月に廃止したものであり、同制度の復活は考えておりません。(道路下水道局)

  • 全行政区の保護課面接室に1つ以上の監視カメラが設置されている。甚だしい人権侵害であり、トラブルのもととなっているだけでなく、申請・相談者に対して監視されているプレッシャーを与え、来所する人を減らす水際作戦の一種であり、直ちに撤去すること。

    (答)

    防犯カメラにつきましては、犯罪及び事故の未然防止のほか、来庁される市民や職員の安全を確保するために設置しております。なお、緊急かつやむを得ないと認められる場合にのみ録画するなど、相談者のプライバシーに十分配慮した運用としております。

  • 2013年生活保護法改定と2015年実施要領改定を根拠に、利用者の「資産申告」を強要することは問題である。本市でもこれを根拠に預金通帳の提出強要や財布の中身まで確認するなど著しい人権侵害さえ起きている。改定法は、利用者と福祉事務所とが協力して金銭管理の適正化を図るとしているだけで「資産申告」強要の根拠とはなりえない。本市として、「資産申告」は一切やめること。また、国に対し、誤解を招くような実施要領は撤回するよう求めること。

    (答)

    生活保護を受給している方からの資産の申告につきましては、生活保護法において、生活保護を受給している方が主体的に生計の状況を適切に把握する責務を具体的に規定し、福祉事務所が必要に応じて円滑に支援することを可能としたことを踏まえ、国の実施要領改正により、少なくとも12か月ごとに資産申告を求めることとされております。

    また、確認の方法につきましては、当該月に受給する保護費及び年金手当など収入の合算額を除いた預貯金などの額が1か月の最低生活費(医療扶助及び介護扶助を除く。)内の預貯金などの場合は、挙証資料を目視で確認するとともに、使用目的を聴取することとされております。

    なお、資産申告の確認に当たりましては、個々のプライバシーに配慮して行うよう、引き続き福祉事務所へ周知してまいります。

  • 「生活保護のしおり」の記載には、「一日でも早く自分の力で生活できるよう」など殊更自立を強調したり、保護を利用していても、居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有が認められる余地があることを記載していなかったりと問題がある。加えて、市ホームページでは保護利用者の居住用不動産や少額の保険、自動車、バイク等の保有について、あくまで「コロナ禍における弾力的な運用」であると強調し、コロナ禍でなくとも本来認められる余地があることを記載しておらず、問題である。誤った情報や誤解を招く内容がないよう精査して改善し、正確に周知すること。

    (答)

    生活保護につきましては、生活保護法に基づき、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが要件となっております。

    また、周知につきましては、生活保護の相談は個別に対応すべきものでありますので、生活保護の申請相談があった場合には、相談者の事情や状況に応じて資産の活用方法や弾力的な運用に関する事務連絡の内容を説明するなど、懇切丁寧な対応を心掛けるよう各区福祉事務所には周知徹底しており、「生活保護のしおり」や市ホームページにつきましても、分かりやすい内容となるよう努めてまいります。

  • 健康状態や年齢を無視した就労の強要は止めること。現場では、教育機関で学びたい利用者の願いにまったく耳を貸さず、就労指導をおこなったり、「何でもいいから急いで就職を」と機械的な指導をおこなったりする事例が起きており、このような指導は真の自立を遠ざけるものであるため止めること。

    (答)

    稼働能力の活用につきましては、国の通知により、「年齢や医学的な面からの評価だけではなく、その者の有している資格、生活歴・職歴等を把握・分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案すること」とされており、本人の能力に適した就労が実現できるよう、本人の意向を伺いながら寄り添った支援に努めてまいります。

    また、地域の求人状況には必ずしも本人の意向と一致するとは限らない状況もあるため、稼働能力の活用にあたっては、本人の能力や意向を基本としながら、まずは、現状における稼働能力の活用を支援するとともに、就労後の状況に応じて、転職による増収の相談を継続するなど、本人の稼働能力がより活かせるよう、効果的な支援に継続的に取り組んでおります。

  • 入院日数や通院回数に対する不当な削減指導やジェネリック医薬品の使用強制を行わないこと。

    (答)

    「長期入院患者の社会復帰対策」につきましては、長期入院患者の実態を適確に把握し、適切な医療扶助を実施し、その処遇を充実することによって患者の社会復帰を助長することを目的としており、入院治療の必要性が低く、受入先があれば退院可能な人を対象に、本人、家族、医療機関、福祉事務所が連携して社会復帰に向けた取組みを行っております。

    「頻回受診者に対する適正受診指導」につきましては、病状及び受診状況などを適切に把握した上で、適正な療養指導・助言を行うことを目的としており、実施に当たりましては、事前の嘱託医協議、主治医からの意見聴取などを経て適切な処遇が図られるよう努めております。

    また、後発医薬品の普及につきましては、国全体で取り組んでおり、その一環として、医師が後発医薬品への変更を不可としていない(一般処方名を含む)場合は、後発医薬品を原則として使用していただくことになっております。

  • 入院時、医療機関からの寝巻貸与代金については保護費に含まれず負担となっており、市独自に支給すること。おむつ代については医者の認定があるものだけに限定せず、必要額を市独自に補助すること。また、通院に必要な交通費の支給について説明をしていなかったケースが出てきている。通院移送費について周知徹底をすること。

    (答)

    生活保護費につきましては、生活保護法による保護の基準や実施要領に基づき決定しております。

    入院に際しての寝巻代の支給につきましては、入院を必要とする者が入院に際し、寝巻又はこれに相当する被服が全くないか又は使用に堪えない場合に支給できることとなっており、おむつ代につきましては、保護の実施要領で、常時失禁状態にある患者などが紙おむつなどを必要とする場合に支給できるものとなります。

    なお、福岡市におきましては、制度発足当時と比較して生活保護費などの措置水準などが向上していることなどから平成12年度に個人給付施策を見直したところであり、福岡市独自に保護基準を超える給付を行うことは困難です。

    また、通院移送費につきましては、「生活保護のしおり」にて周知しておりますが、個別に対応すべきものでありますので、生活保護受給者に対し、それぞれの事情や状況に応じて丁寧に対応してまいります。

  • ケースワーカーの平均担当世帯数を減らすことは利用者の生活に寄り添った援助を行うために重要だが、2021年度も102.1ケースで、国の標準世帯数を20以上も上回っている。そのためにトラブルや誤った情報を伝えるなどといった事例が多数見受けられる。日本弁護士連合会や多くの専門家も、職員を増やさないと寄り添ったケースワークはできないことを指摘しており、国の標準数を守れるように直ちに正規職員のケースワーカーを増員すること。

    (答)

    ケースワーカーにつきましては、今後とも必要数の確保に努めるとともに、専門知識を有する会計年度任用職員の活用や委託事業の実施など、事務の効率化を図ることにより、1人ひとりのケースワーカーが、保護受給者の実情に即したきめ細かな相談・支援が行えるよう、業務執行体制の整備に努めてまいります。

  • 本市のケースワーカーは大学を卒業して3年以内の職員が67%、経験年数4年以上はわずか2.2%と、依然として市職員としても、ケースワーカーとしても、経験が浅い職員が大半を占めるという現状である。日本弁護士連合会や学識者等から専門性の確保の必要性が指摘されており、社会福祉士や精神保健福祉士、弁護士など、国家資格を有する職員の採用や登用を行い、生活困窮者へのきめ細かな支援などノウハウが継承できる体制をつくること。

    (答)

    新任職員など経験年数が短い職員につきましては、配属直後に研修を実施し、生活保護業務に必要な基礎知識の習得と接遇の向上に努めております。

    また、通常の業務におきましても、先輩職員がトレーナーとして助言指導にあたるほか、係長による同行訪問や同席面接などの指導により、技能や接遇の向上を図っております。

  • 本市では、就労支援等事業や適正受診指導などのケースワーカー業務について民間企業等への委託をすすめているが、このやり方は公的責任の放棄や、保護利用者への管理強化などの問題点がある。政府が検討しているケースワーカーそのものの民間委託も含め、これ以上の外部委託はやめること。

    (答)

    被保護者就労支援事業や適正受診指導など生活保護業務に関する業務委託につきましては、被保護者の課題やニーズが多様化していることから、より個別具体的な支援を効率的・効果的に実施するため、専門的な知識や経験を有する事業者へ外部委託をしております。

  • 大学、専修学校等への進学者を強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方は、進学をあきらめる子どもを生むと同時に新たな貧困を生み出すため、仕組みを改めるように国に要求すること。教育扶助費や高等学校就学費用は実態に照らせばまだ不足しており、増額を国にも求めること。

    (答)

    被保護者就労支援事業や適正受診指導など生活保護業務に関する業務委託につきましては、被保護者の課題やニーズが多様化していることから、より個別具体的な支援を効率的・効果的に実施するため、専門的な知識や経験を有する事業者へ外部委託をしております。


(11)貧困対策

  • 生活福祉資金貸付は、コロナ禍のもとで一部要件が緩和されたり、制度の拡充が図られている一方、生活自立支援センターによる伴走型支援を貸付の条件にしているなど、貸付に厳しい条件が課せられており、必要な人が受けられない仕組みになっている。しかも、理由が明らかにされずに却下となる事例が頻発している。制度を抜本的に見直して、必要な人が利用できるようにすること、および却下理由を開示することについて国と県に要望すること。また、窓口はふくふくプラザで一本化せず、元にもどし、各区の社会福祉協議会で受けられるようにすること。

    (答)

    生活福祉資金貸付制度につきましては、国の要綱に基づき、県では県社会福祉協議会が実施主体となり、県下統一的な取扱いをしており、支援を必要とされる方に対しましては、生活自立支援センターにおいて生活状況や収入状況などの聞き取りを行い、1人ひとりの状況に応じた支援を行っております。

    また、窓口につきましては、感染予防の観点から郵送申請を原則としており、迅速かつ効率的な審査が行えることから、分散せず、ふくふくプラザを窓口としております。

  • 長引くコロナ危機によって、市民の暮らしはますます苦しくなっている。所得が低くなりがちな高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、貧困対策として有効な、ごみ処理手数料をはじめとする公共料金等の福祉減免を行うこと。特に、コロナ禍のもとで、使用量が増えている上下水道料金の減免は、他の政令市にならい、ただちに実施すること。

    (答)

    高齢者や障がい者、ひとり親家庭に対する公共料金などの減免につきましては、公営企業の独立採算性や受益者負担の原則など様々な課題もあることから、今後の経済状況や国の動向などを注視してまいります。(保健福祉局、こども未来局)

    水道は、市民生活を支え、生活の質の向上と都市の成長を支える重要なライフラインであり、将来にわたる安全で良質な水道水の安定供給のため、財政の健全化を図りつつ、配水管の更新をはじめ、浄水場の再編などに計画的に取り組んでいく必要があります。

    このような中で、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により水道料金収入の回復も遅れており、依然として厳しい経営状況が続くと見込まれます。

    福岡市の水道事業が置かれた状況を踏まえますと、水道料金の減免は、企業債残高の増大や施設の整備・更新の遅れを招き、将来に大きな負担を残すことになると考えております。

    なお、今後とも、個々の相談者の状況に応じた水道料金の支払期限の延長など、お客さまに寄り添った、きめ細かな対応を行ってまいります。(水道局)

    下水道使用料の支払いが困難なお客さまにつきましては、支払期限の柔軟な対応に加え、分割納付や延滞金の免除など、引き続き、丁寧に対応してまいります。(道路下水道局)

  • 厚生労働省の調査によれば、コロナ禍で解雇・雇止めが、非正規雇用で働く人を中心に12万人を超え、収入減など、生活に困窮する人が増加している。今こそ、市民全体の貧困実態・貧困率の調査を行い、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。また、子どもの貧困対策についても、他都市にならって子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て具体的な施策に取り掛かること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、出前相談会など必要な人に支援が届くようにアウトリーチを強化すること。

    (答)

    生活困窮者への支援に当たりましては、生活困窮の実態を把握し、生活困窮者を早期に支援に繋げることができるよう、様々な支援施策や福岡市の関係部局との連携を図りながら支援を実施してまいります。(保健福祉局)

    子どもの貧困対策につきましては、子どもの生活状況などに関する調査の結果なども踏まえ、「第5次子ども総合計画」に基づき、関係部局が相互に連携を図り、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援に取り組んでまいります。(こども未来局)

  • 水道料金・市営住宅家賃・住民税・国保料などの滞納は生活困窮のシグナルと捉え、ライフライン事業者の協力や局を越えた連携を行うこととなっているが、事業者には協力依頼を出しただけで、福岡市生活自立支援センターへの紹介人数さえも把握していないなど、実態は機能していない。少なくとも市の内部では局を越えた会議を定期的に開催し、積極的に実態を把握するなど、実効性ある仕組みを構築すること。

    (答)

    生活困窮者の把握につきましては、ライフライン事業者や、その他関係機関に周知を図ることで、生活に困窮された方が生活自立支援センターへの相談に繋がるよう取り組むとともに、相談者の状況に応じて関係機関と個別に情報共有を図るなど、連携して支援を実施しております。

    また、関係所属に対しましては、生活に困窮している方を把握した時は、必要に応じ生活自立支援センターや保護課への相談を促すよう、協力を依頼しております。

    令和3年8月には、保健福祉局のほか水道局や住宅都市局と「生活困窮者等の把握に向けた検討会」を開催し、各相談窓口への相談状況を共有するなど、連携強化を図っております。

  • 福岡市食育推進会議でも小中学校の欠食率について「徐々に悪くなっている」と分析するなど、朝食を毎日食べていない子どもが増えており、行政の責任で朝食欠食対策を行うこと。「子どもの食と居場所づくり支援事業」の補助金は4年目以降も減額することなく支給を継続するとともに、1か所あたりの補助を増額すること。

    (答)

    学校においては、給食の時間を中心に、担任や栄養教諭が食に関する指導を実施しており、子どもたちの成長期に必要な栄養素や栄養バランス、朝食を食べることの大切さを教えるとともに、保護者に対しても、家庭において食に関する理解が深まるよう、食育便りの配付や、入学説明会など様々な機会を通して啓発を行っております。子どもたちの望ましい食習慣が図られるよう、今後とも食に関する指導の充実に努めてまいります。(教育委員会)

    「子どもの食と居場所づくり支援事業」につきましては、今後とも、食事の提供と居場所づくりを行う団体のご意見も伺いながら、必要な見直しや改善を加え、より多くの担い手によって子どもたちを見守り支える活動が広がっていくよう取り組んでまいります。(こども未来局)

  • 市内のホームレスは依然増加傾向にあるため、安心して年を越せるよう年末年始も対応できる窓口を開設するとともに、市内の巡回を強化して、相談に応じ、支援すること。ホームレスが施設への入所を求めた場合、感染症の検査などの理由からその日に入所できない仕組みを改めるために一時宿泊所を確保すること。民間ボランティアやNPO支援団体への委託費を大幅に増額すること。ホームレス患者は、受診する時にはすでにひどい疾患を患っていることが多いため、医療機関の負担は大変重くなっている。コロナ感染対策も負担となる中、現行の入院協力金3000円では不足しており、大幅に増額すること。

    (答)

    年末年始における生活困窮者及びホームレスの方への対応につきましては、緊急を要する保護の相談や急な生活困窮が発生した場合に備え、年末は各区保護課に当番職員を配置し、年始は通常の閉庁日と同様に緊急連絡網を活用するなど相談体制の確保に努めております。

    ホームレス巡回相談につきましては、今後も専門の相談員が市内全域を巡回し、ホームレスの方の相談に応じるとともに関係機関への同行やつなぎなどの支援を積極的に行ってまいります。

    ホームレス自立支援施設への入所に当たりましては、感染症などの問題があり、病院での検診の結果が判明するまでの間、待機をお願いしておりますが、入所可能となるまでの間につきましては生活保護一時貸付金により対応しております。

    また、入院協力金につきましては、診察前の準備をするために医療機関へお支払いしているものですので、現行どおり継続してまいります。


(12)民生委員

民生委員の過重負担について、活動費のわずかな増額や若干の定員増だけでは根本解決には程遠く、定員まで充足できない校区を多数生み出している。本来行政が行うべきことを押し付けていないか等、徹底した検証を行い業務量について抜本的に削減するとともに活動費の大幅増額を行うこと。また、欠員が生じている地区を他地区の委員がカバーするやり方には無理があり、行政の責任において臨時の代替措置をとること。

(答)

民生委員の負担軽減につきましては、民生委員の改選毎に定数の見直しを行い、令和元年12月に26名の増員を行っており、令和4年度の改選においても、民生委員児童委員協議会と協議を行いながら、適切な定数の設定に努めてまいります。

また、民生委員の活動に資する施策として、地域包括支援センターの増設や、スクールソーシャルワーカーの増員、業務の削減として災害時要援護者台帳調査の廃止などに取り組んできたほか、これまでの様々な調査依頼やイベントなどへの参加依頼、各種団体からの役員就任依頼に対して、民生委員の意見を聞きながら精査を行っております。

超高齢社会を迎え、住民から民生委員に様々な相談が寄せられますが、民生委員が相談をつなぐ各行政機関の充実を図るとともに、会議や研修などの場で情報共有を図るなど、民生委員に過度な負担がかからないよう配慮しております。

また、民生委員が活動しやすい環境づくりに向け、令和2年度より活動費を増額するとともに、欠員地区をフォローする民生委員に対して、活動費を追加で支給しているほか、令和3年度より社会福祉協議会が実施する生活福祉資金返還督促の郵送化による負担軽減を実施しております。

今後とも民生委員の意見を踏まえ、なり手不足の解消に向けて取り組んでまいります。


(13)障害者施策

  • 合理的配慮の提供を民間事業者に義務付ける改正障害者差別解消法が2021年5月に成立したことを受け、本市でも法的義務とするよう福岡市障がい者差別解消条例を早急に改正するとともに、差別的取り扱いを禁じる実態規定に「何人も」と挿入すること。障害当事者や関係団体から成る「福岡市障がい者差別解消推進会議」については、障害当事者の比率を高めるとともに、差別体験等の実態に基づいて本市の施策のあり方を具体的に検証し改善につなげること。

    (答)

    条例の見直しにつきましては、条例の施行後3年を経過する令和4年度に、障がい者差別解消条例に基づき設置する「障がい者差別解消推進会議」において検討を行うこととしており、条例施行後の状況や、改正障害者差別解消法の内容を踏まえ、適切に対応してまいります。

    障がい者差別解消推進会議におきましては、福岡市の施策をはじめ、障がいを理由とする差別の解消に向けた様々な事項について、障がい者並びに福祉、医療、教育、雇用その他障がい者の権利の擁護について優れた識見などを有する委員よりご意見を伺っております。

  • 福祉乗車券・福祉乗車証については、「持続可能な制度とするため」等として障害の程度や所得によって交付対象を狭める差別的取り扱いは許されない。関係者から要望の強い療育手帳Bおよび精神障害者手帳2級まで拡充するとともに、所得制限を廃止すること。交付方法については選択肢をひろげ利便性を高めること。精神障害者に対する交通運賃割引を頑なに拒否しているJR及び福岡北九州高速道路公社に対し、「合理的配慮」の趣旨を踏まえ早急に実施するよう強く申し入れること。

    (答)

    福祉乗車券・福祉乗車証につきましては、将来にわたり持続可能な施策としていく必要があり、対象者や所得要件の見直しは予定しておりません。

    また、精神障がい者に対する交通運賃割引につきましては、様々な機会を通して、県や他自治体と連携を行いながら、JR及び有料道路各社において精神障がい者への交通割引制度の適用が図られるよう国に要望しております。

  • 障害者が65歳になるとそれまで受けてきた障害者サービスから介護保険サービスに半ば強制的に移行させられ、自己負担が増え、サービスが継承・継続されず利用者は肉体的にも精神的にも大きな負担を感じている。新高額障害福祉サービス等給付費が支給されるようになったものの、対象要件から外れる人も多い。介護保険の対象年齢でも障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるなど、新たな自己負担なしでサービス水準が維持できるよう市独自の手立てをとること。法の根拠となっている障害者総合支援法の第7条(介護保険優先)の廃止を国に求めること。

    (答)

    介護保険の対象となる障がい者の支援につきましては、障害者総合支援法などの規定により、介護保険に障がい福祉サービスと同内容のサービスがある場合は、介護保険による給付が優先されますが、介護保険の被保険者である障がい者から障がい福祉サービス申請があった場合は、具体的な利用意向などを把握した上で、障がい者の個々の状況に応じて必要なサービスの支給決定を行っております。

    また、平成30年度の制度改正により、障がい者が65歳以上になっても使い慣れた事業所においてサービスを利用しやすくする観点などから、高齢者や障がい児者が共に利用できる「共生型サービス」が創設されております。

    新高額障害福祉サービス等給付費につきましては、一定の要件を満たす高齢障がい者の介護保険に係る自己負担の一部を償還払いすることで、利用者負担の軽減を行っております。しかしながら、対象外となる方々もいることから、今後も引き続き国に対象者範囲の見直しを要望してまいります。

  • 本市では、聴覚障害当事者や関係団体からの長年の要望を受け緊急事態宣言期間中に限り市長会見で手話通訳を導入したものの、日常的な導入については「研究」として実施しておらず合理的配慮の提供義務に反し続けている。すべての市長会見に手話通訳者を配置すること。市主催の行事の際にも手話通訳者をつけること。

    (答)

    市長会見や市主催の行事における聴覚障がい者への配慮につきましては、福岡市職員が差別の解消に向け、特に合理的配慮の提供を適切に行うために必要な事項を定めた職員対応要領などにより周知を行っております。

    引き続き、全職員を対象としたeラーニングの実施などにより、障がい者に対する合理的配慮の提供について周知を図ってまいります。(保健福祉局)

    市長会見における、手話通訳につきましては、聴覚障がい者の手話の利用状況などを踏まえながら、引き続き研究してまいります。(市長室)

  • 「手話言語条例」は31道府県を含む420自治体へと広がり、政令指定都市を含め大きな流れとなっている。これ以上の先送りは許されず、本市においても早急に制定作業に入ること。

    (答)

    「手話言語条例」の制定につきましては、差別解消条例において、手話も言語に含むこととし、障がいのある方に対してコミュニケーション及び意思決定の支援などを保障する必要があるとの基本理念を定め、障がいを理由とする差別の解消を推進することとしており、同条例の普及や施行状況、国の動向を見守りながら、対応を検討してまいります。

  • 手話通訳者派遣事業の範囲を「社会生活上外出が必要不可欠なとき」等として狭めず、当事者の要望を踏まえひろげること。また、聴覚障害者用の情報提供施設について「春日市のクローバープラザで対応できている」とする冷たい姿勢は当事者の怒りを買っており、早急に福岡市内につくること。

    (答)

    手話通訳者の派遣につきましては、現在、医療機関や公共職業安定所などを利用する場合や、公的機関などが主催・共催する講演、会議に出席する場合など、社会生活上外出が必要不可欠なときにおいて、適当な通訳者が得られない場合に派遣しております。平成28年度からは社会生活上の必要性が高い、電気・ガス・水道の手続き・工事や携帯電話・ファックスなどの購入・修理も加えるよう派遣対象を拡充しております。

    聴覚障がい者用の情報提供施設につきましては、平成25年度から市民福祉プラザ内に聴覚障がい者情報センターを設置し、聴覚障がい者、盲ろう者及びその家族などへの相談対応や手話通訳者や要約筆記者の派遣など総合的なコミュニケーション支援を実施しております。

  • 日本手話通訳士協会によれば、コロナ禍のもと、多くの手話通訳者の仕事が激減し、収入が途絶えているケースもある。担い手が不足している手話通訳者の養成を確実にすすめるためにも、報酬の引上げ、市による直接正規職員としての雇用など、専門職にふさわしい待遇に引き上げること。

    (答)

    手話通訳者の派遣報酬につきましては、引き続き他都市の状況を研究してまいります。また、福岡市内の7区役所に会計年度任用職員として手話通訳職員を設置しております。

  • 雁ノ巣幼稚園跡地に「さくら園」が開設され、南部には療育センターが計画されているが、児童発達支援センターのニーズからすると足りていないために、通園距離が長く利用者に大きな負担となっている。身近なところに通えるよう、今後も計画的に増設するとともに、通園施設の指定にあたってはエリアの機械的な判断ではなく当事者の意向を反映させること。

    (答)

    福岡市における障がい児の療育環境につきましては、療育センターなどが計3か所、児童発達支援センターが8か所あり、現在、南部地域における児童発達支援の拠点となる療育センターの整備を進めているところであります。

    また、各児童発達支援センターでは、障がい児の居住地に応じた通園エリアを設定し、寄り添った利用調整をしており、今後とも、障がい児の療育環境の整備に取り組んでまいります。

  • 強度行動障害者の短期入所施設を増設するとともに、「強度行動障がい者支援事業」はノウハウの蓄積、人材の育成、事業者への支援などを充実すること。

    (答)

    短期入所施設につきましては、今後とも事業者と協力し、強度行動障がい者の受入れ拡大について努めてまいります。

    また、強度行動障がい者支援事業につきましては、激しい自傷他害行為などを日常的に繰り返す強度行動障がい者の安定した地域生活を支援するため、支援拠点施設(か~む)において、3か月程度を目途に集中的な支援を行うことで、個々の障がい特性に応じた支援方法を検討・策定し、行動問題の軽減と地域移行が促進されるよう取り組むとともに、支援拠点施設を直接利用しない場合でも、家族や事業所の相談に応じ、必要に応じて家庭訪問や事業所訪問を行い、適切な助言・指導などを行うことで、障がい当事者や家族が潜在化しないよう努めております。また、事業所職員の支援技術の向上を図るための研修や、強度行動障がい者を受け入れる事業所の負担軽減等を図るため、受入れ事業所と他の事業所の職員が共同で支援に当たる「共同支援事業」を実施しております。

    今後とも、強度行動障がい者への効果的・継続的な支援事業のあり方について、学識者、事業者、相談支援員などによる研究会でも検証の上、検討してまいります。

  • 障害者グループホームの低すぎる報酬単価の増額を国に求めること。あわせて、市の運営費補助を拡充するとともに、土地や建物の確保や新設時の改修費への補助を増額すること。また、利用者への家賃補助については、市が独自に上乗せ補助を行うこと。

    (答)

    障がい者グループホームにつきましては、障がい者の地域生活への移行を支援する生活基盤として重要であると考えており、これまで民間事業者による整備を基本とし、国の補助制度を活用するほか、福岡市独自の補助制度を創設しており、平成28年7月には消防用設備に対する補助上限額の引き上げ、平成31年4月には重度障がい者を受け入れる事業者への補助上限額の引き上げを行うとともに、令和2年度からは重度障がい者を受け入れる事業者への運営費補助制度を創設するなど充実を図っており、また、令和4年度からは、強度行動障がい者のグループホームへの受入を促進するため、運営費補助の対象を拡大することとしております。

    グループホームの設置数は、令和3年4月1日現在、前年と比較して55か所、339名分の増となっております。

    今後も補助制度の活用状況や効果を踏まえ、市営住宅の活用や情報提供の仕組みづくりなど、関係局と連携し検討するとともに、国に対して引き続き報酬単価の引き上げを求めてまいります。

  • 知的障害者の地域生活移行については、必要とする支援の質・量の確保、十分な所得保障や住宅手当の充実等、知的障害者の希望と選択を最大限尊重する仕組みを構築することなしに、進めることは許されない。入所施設も「終の住処」として利用できるようサービス提供や支援の実態について現場で適宜確認するとともに、設備や職員体制の充実を図り「親なきあと」の不安を取り除くこと。

    (答)

    入所施設につきましては、真に必要とする方たちが適切に利用できるよう、制度、財政両面からの支援を国に要望するとともに、障がい者の重度化、高齢化や「親なき後」の生活の安心も見据え、知的障がいを含めた障がい者などが、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、在宅で生活するために必要な支援の充実を図るなど、総合的な支援体制の構築に取り組んでまいります。

  • 国において、処遇改善加算がされたものの、障害者支援施設等労働者の賃金は全産業労働者平均まで未だ月10万円近くの隔たりがある。加算分を基本報酬に組み込んだ上で抜本的な引上げを図るよう国に求めること。また、市独自に処遇改善のための補助や家賃補助を創設すること。

    (答)

    障がい福祉サービスなどにおける福祉・介護職員などの処遇改善加算につきましては、特定処遇改善加算の創設など制度が拡充され、賃金改善が実施されておりますが、今後もさらに障がい福祉サービス事業所の経営実態に見合う報酬水準が確保され、良質な人材確保が図られるよう引き続き国へ要望してまいります。

    ます。

    なお、実地指導などにおいて賃金などに関する法令違反が確認された場合については、労働基準監督署などと連携し、改善を指導してまいります。

  • 障害者の一般就労は、収入を得るということだけではなく、就労によって本人が社会とのつながりを持ち、生活や人生を豊かにすることであり、重要な意味を持っており、障害者に対する継続した就労支援には就労支援事業所職員が安心して働ける雇用の安定性が不可欠である。NPOや社会福祉法人などA型事業所を営む法人が安心して就労支援事業を継続していくために、国に報酬単価の引上げを求めるとともに、職員の人件費の引上げや、専任で就職支援ができる担当者等の配置ができるよう市として独自に財政支援を行うこと。

    (答)

    就労継続支援事業所職員の処遇改善につきましては、良質な人材の確保や定着につなげ、サービスの質の向上や事業所の経営の安定化のため、事業所の経営実態に見合う報酬単価が設定されるよう、引き続き国に要望してまいります。

    また、事業所に対して処遇改善加算などの取得を促進するなど職員の処遇改善につながる取組みを進めてまいります。

  • 本市の障害者雇用は、法定雇用率を超えてはいるものの、その内訳は非正規雇用をあわせてのものであり、正規職員で達成できるよう採用枠を抜本的に増やすこと。民間企業に障害者の採用増を要請し促進するため、国任せにせず、本市独自の補助制度をつくること。

    (答)

    福岡市における障がい者の雇用につきましては、障がいの特性に応じた業務内容や職場環境に配慮しながら、今後とも計画的な採用を行い、雇用の拡大に努めてまいります。(総務企画局)

    民間企業の障がい者雇用につきましては、障がい者就労支援センターにおいて、企業訪問や企業セミナーなどを実施し、障がい者雇用の啓発・助言を行っております。

    今後とも、ハローワークや就労移行支援事業所などの関係機関や民間企業と連携を図りながら、障がい者の就労支援に積極的に取り組んでまいります。

    なお、障がい者の採用にあたっての助成につきましては、国の制度として特定求職者雇用開発助成金などの各種制度があり、企業などからの相談があった場合には、適切に情報提供を行ってまいります。(保健福祉局)

  • 障害者関連施設の指定管理者を社会福祉事業団から民間団体に移行する公募の動きや指定管理料の縮減は、事業団潰しを狙ったものであり、やめること。

    (答)

    社会福祉事業団は、福岡市の障がい児・者福祉分野における重要な機能を果たしているところであり、今後とも障がい福祉サービス事業への民間の参入状況を勘案しながら先駆的・高度専門的な分野や民間の取組みが進んでいない分野に重点的に取り組むとともに、社会福祉法人としての自主性や組織体制の適性化を図りながら、中・長期的視点に立った組織や機能の見直しを進めてまいります。


(14)ヤングケアラー支援

ヤングケアラーとは、高齢、障害、病気などケアが必要な家族がいる場合に、大人が担っている責任を引き受け、あるいは代替し、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子どものことである。適切な養育を受けられない、子どもらしい成長が阻害される、教育の機会を奪われるなど子どもたちにとって深刻な社会問題になっており、11月に専用相談窓口と専用相談ダイヤルが設置された。しかし、支援者や関係団体から相談事業だけでは不十分であり、「包括した家族支援が必要」と声があがっている。子どもたちの権利を守るために、ヤングケアラー専門の部署を早急につくり、有識者や支援者、関係団体とも密に連携し、相談後の対応を注視するなど情報の共有を図り、対策を練ること。あわせて当事者が体験を語る研修会の開催や市民への周知・啓発活動を行うこと。

(答)

ヤングケアラーにつきましては、要保護児童支援地域協議会の構成機関などが連携しながら支援を行っており、令和3年11月に開設したヤングケアラー専用相談窓口における専門のコーディネーターとともに、適切な支援に繋いでおります。今後とも、関係局と緊密に連携を取りながら、ヤングケアラーへの支援に取り組んでまいります。

また、引き続き関係機関への周知や研修を行うとともに、市民への啓発等にも取り組んでまいります。

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3、ムダな大型開発をあらため、市民の生活・安全優先のまちづくりを

(1)人工島事業

  • 土地処分については、立地交付金というプレゼントをつけた上に、原価割れで叩き売りをして最大421億円の大赤字を残す見込みになっている。基盤整備46億円、立地交付金45億円、自動車専用道路整備31億円など、この破綻した事業に2020年度も約152億円が投じられた。これ以上の税金投入はムダづかいであるとともに人工島だけを特別扱いする不適切な支出はやめること。

    (答)

    アイランドシティにつきましては、居住者が1万人を超え、まちの成熟が進むとともに、大規模物流施設の立地などによる港湾機能の強化が進んでおり、引き続き、福岡市の未来をリードする先進的モデル都市づくりや、国際物流拠点の形成など、福岡市の成長に寄与するようしっかりと取り組んでまいります。

  • 立地交付金制度全体額47億円のうち人工島立地企業への交付が45億円であり、あまりにも偏重した運用となっている。売れない土地の穴埋めのための異常なやり方を改め、これ以上の人工島立地企業への交付はやめること。

    (答)

    アイランドシティにつきましては、福岡市において産業集積を図る重点地域と位置づけており、今後とも、雇用助成の仕組みを加えた立地交付金制度等を活用して、積極的に企業誘致に取り組み、市民の雇用創出をはじめ税収の確保や地場企業の事業機会の増大を図ってまいります。

  • 港湾計画で定める博多港の国際海上コンテナ取扱量目標値130万TEUは、現在のペースで目標達成は「厳しい」と当局も認めざるを得ない状況である。さらに、人工島への5万トン級以上のコンテナ船の入港は、昨年度はなく、直近の5年間でわずか13隻である。15メートル水深の人工島D岸壁の整備や大型コンテナ船対応のための東航路整備事業は必要性がなく税金のムダづかいでありやめること。

    (答)

    博多港における国際海上コンテナ取扱個数は、新型コロナウイルス感染症の影響を一定程度受けているものの、中長期的に増加傾向で推移しております。

    このような中、アイランドシティ地区において国が進めていたC2岸壁延伸の工事が令和2年度末に完成し、福岡市が整備した岸壁背後のヤードと合わせ、令和3年9月1日に供用を開始しております。

    また、近年では、基幹航路を中心に数多くの大型船が投入されており、中国航路や東南アジア航路などアジア域内においてもコンテナ船の大型化が進んでいる状況にあります。

    博多港は、福岡市のみならず、九州・西日本の経済を支える重要な役割を果たしており、貨物の増加や船舶の大型化に対応し、船舶の安全かつ円滑な航行を確保するため、岸壁の整備や東航路の増深が必要であります。

    引き続き、D岸壁全体の早期完成に向けて国へ提言を行うなど、コンテナターミナルの機能強化を進めるとともに、港湾計画の目標値である「国際海上コンテナ取扱個数130万TEU」の達成に向けて戦略的に取り組んでまいります。

  • 民間住宅や道路・下水道などに助成する「住宅市街地総合整備事業」を使っての積水ハウスなど特定の大企業への露骨な税金投入はやめること。

    (答)

    アイランドシティは、(第九次)基本計画において「活力創造拠点」として位置づけ、「環境と共生し快適な居住環境を形成する先進的モデル都市づくりを進める」としていることから、新たな核となる住宅市街地づくりを行うため、引き続き、住宅市街地総合整備事業を活用し、環境に配慮した良質な住宅整備の誘導や道路などの都市基盤施設の整備を進めてまいります。

  • 「中長期的な視点で検討」などとしていまだに現存している必要のない鉄軌道の導入計画はきっぱりとやめること。

    (答)

    アイランドシティへの鉄軌道の導入につきましては、アイランドシティのまちづくりの進展や、東部地域の交通体系の変化の状況などを踏まえつつ、中長期的な視点に立ち検討を行ってまいります。

(2)港湾再編

  • コロナ禍でインバウンドが破綻して、ウォーターフロントネクストも大幅な見直しが迫られたなか、「博多港港湾計画」の前提が大きく崩れたにも関わらず、現計画に固執しようとしている。中央ふ頭や須崎ふ頭の新たな埋立てはやめて、同計画を大幅に見直すとともに、必要もない箱崎ふ頭地区の水面貯木場及び海面処分場の埋立ては、埋立費用だけで700億円と莫大な費用がかかるため、検討をやめること。

    (答)

    博多港港湾計画につきましては、概ね10年から15年程度の将来を目標年次とした、港湾の開発、利用及び保全の方針などを定める長期的な計画であり、具体化に向けては、必要性などを勘案し、関係局とも調整しながら進めてまいります。

    箱崎ふ頭地区の埋立てにつきましては、平成28年3月に改訂した博多港港湾計画に位置付けており、引き続き、総合的に検討を進めてまいります。

  • 第3セクター・博多港開発株式会社はケヤキ・庭石事件を起こすとともに、人工島事業の土地処分ができず、経営危機に陥り、市から多額の増資を受け、会社2工区を市に399億円で譲渡するなど、巨額の税金が投入された会社である。そもそも市の外郭団体の見直しでは、廃止も含めて検討されてきたものであり、このような会社に今後の埋立事業などを担わせることは許されず、会社はただちに解散し清算すること。

    (答)

    箱崎ふ頭地区の埋立てにつきましては、博多港開発株式会社の活用を含め、総合的に検討を進めており、同社がこれまでに蓄積したノウハウや資産を、今後も、博多港の機能強化など公共性の高い分野に役立ててまいりたいと考えております。

(3)世界水泳

2022年5月に開催される世界水泳選手権・福岡大会の本市負担は、当初見込みの35億円から95億円に膨れ上がっている。寄附金、協賛金についても、募集から4年間経過した現在でも、いくら集まっているのかさえ、明らかにされていない。コロナ収束も見通せず、開催自体が不透明な巨大イベントに莫大な市費をつぎ込もうとすることは許されず、大会の中止を提起するとともに、大会運営から手を引くこと。

(答)

2023年の世界水泳選手権は、各国からトップアスリートの参加が見込まれる、世界でも有数のスポーツイベントであり、本大会の開催は、市民スポーツの振興に加え、地域経済の活性化や国際都市福岡の都市ブランド力の向上に寄与する絶好の機会になります。そのため、開催都市として、国際水泳連盟をはじめとする関係機関との連携を図り、万全の受け入れ体制を整え、市民の皆さまに世界水泳を開催してよかったと思っていただけるよう努めてまいります。

(4)国家戦略特区

  • 「グローバル創業・雇用創出特区」は、まち壊しにつながるビルの高さ制限の緩和や解雇指南など市民を守るルールを壊す規制緩和であり、本市の特区指定を返上すること。また市が提案した電動キックボードの規制緩和について、歩道で歩行者に背後から衝突し、首の骨を折る重症を負わせて逃亡するという事故が大阪で発生するなど、全国で深刻な事故が相次いでいる。また、無免許や信号無視といった違反を起こしている利用者が多いなど、周辺住民から危険性を指摘する声が出ており、市の提案を撤回すること。

    (答)

    福岡市の国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」につきましては、スタートアップ支援による開業率の向上やイノベーションの推進による新たなビジネスなどの創出により、雇用の拡大を図ることを目的として取り組んでおります。

    福岡市につきましては、特区の指定からこれまでの成果として、創業のすそ野が広がり、多くの企業が生み出されるなど、創業都市としての存在感が格段に向上しております。また、既存企業とスタートアップ企業のビジネスマッチングも進めてまいりました。そうした取組みを継続しつつ、次のステップとして、数多く誕生した企業の中から世界を舞台として飛躍的に成長する企業が生まれることを目指し、グローバル展開やスケールアップの促進に取り組んでおります。

    「電動キックボード」につきましては、このような新しい技術やサービスの社会実装を促進することで、ラストワンマイルなどの交通課題を解決する一助となるものと考え、国家戦略特区制度を活用し、規制緩和を提案したものですが、国の新事業特例制度により、福岡市を含め全国の複数の自治体において実証実験が行われているものであります。

    今後とも、国家戦略特区を活用することにより、技術革新や市民ニーズの変化で、時代に合わなくなった規制を緩和し、新しい価値の創造にチャレンジする企業の支援や、既存企業と創業企業との連携による相互の成長を図り、福岡市の都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。

  • 株式会社mobbyが新事業特例制度を活用し、国から認定をうけ、2021年4月から中央区全域や南区の一部で、ヘルメットを着用せずに電動キックボードが運転できる公道実証を行った。また、市は「Fukuoka Smart East」の取り組みの一環として、自動運転バスの試乗体験を松島校区や貝塚公園で行った。市はそれらを追認・支援している。国会での審議・法改正もせずに、安全性が確認されていない技術を、営利企業の利益追求のため、いわば脱法的に一般社会で実施することは問題がある。市としてこのようなやり方を認めないこと。

    (答)

    「電動キックボード」につきましては、実施事業者や県警と連携し、交通ルールの周知や利用者への注意喚起など、市民の安全確保に努めてまいります。

    「自動運転バスの試乗体験」につきましては、警察庁が定めている公道実証実験のためのガイドラインに沿って実施したものでございます。なお、実施の際には、福岡県警と協議を重ね、安全性に十分に配慮しております。

    今後とも、新しい価値の創造にチャレンジする企業の支援や、既存企業と創業企業との連携による相互の成長を図り、福岡市の都市の成長と生活の質の向上を図ってまいります。

(5)天神ビッグバン、博多コネクティッド

「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は、ビルについての規制緩和、「賑わい創出」と称して地下道など関連施設建設や道路延伸へ既に数十億円投入しており、多額の税金投入、特定企業への不当な優遇などを行うものである。今年度は天神通線延伸に伴う用地取得費として新たに約38億円の補正予算が組まれ、それを用地全体に換算すると約158億円の用地費がかかる計算になり、「60億円程度に縮減できる」とされていた事業費は、移転補償費などを含めると今後、何十億、何百億円に膨らむかわからない。地価の暴騰、住民や中小業者の追い出し、渋滞・ラッシュ・災害混乱などのインフラのパンクを引き起こし、市民や零細企業には何の恩恵もなく、コロナ禍に伴う業績悪化やテレワークの普及でオフィスを縮小する企業が増えている中での大型開発は無謀である。天神通線の延伸をやめるとともに不要不急の大型開発を進める「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は中止すること。

(答)

「天神ビッグバン」につきましては、国家戦略特区による「航空法高さ制限の特例承認」を獲得したことを契機に、更新期を迎えたビルの建替え誘導や創業支援を図り、新たな空間と雇用を創出するプロジェクトとして取り組んでおります。また、「博多コネクティッド」につきましては、九州の陸の玄関口として更なる発展が期待されている博多駅周辺地区において、筑紫口駅前広場やはかた駅前通りの再整備など交通基盤の拡充とあわせ、ビルの建替え誘導や回遊性の向上などを図り、博多駅の活力と賑わいをさらに周辺につなげていくプロジェクトとして始動しております。

引き続き、規制緩和等により民間活力を最大限に引き出しながら、耐震性が高く、環境面や、感染症にも対応した先進的なビルへの建替えを誘導し、安全安心なまちづくりに向けた取組みを推進してまいります。(住宅都市局)

都市計画道路天神通線につきましては、都心部における幹線道路ネットワーク構築の観点から必要不可欠な都市交通基盤であり、沿道のまちづくりと一体となって効果的、効率的に実施できるこの機を逃すことなく着実に進めてまいります。(道路下水道局)

(6)ウォーターフロント・MICE・観光行政・宿泊税

  • ウォーターフロントの再整備計画は、もともと莫大な税金を投入し、呼び込み頼みの危険な計画だったところ、市は「感染症の影響により、これまで通り、『MICE』『クルーズ』『賑わい』が融合した一体的なまちづくりを進めることは難しい状況にある」として、計画の大幅縮小を打ち出し、事実上、破綻した。しかしながら、この計画「見直し」は中央ふ頭北側について見直すだけで、それ以外については温存、もしくはさらなる拡大を目論んでいる。コロナを経験した世界は、たとえパンデミックが収束しても単純に元の状態に回復することはなく、観光のあり方や働き方をはじめ、すべてが大きく様変わりすることは明らかである。特に、「外需頼み」「インバウンド頼み」という呼び込み型経済政策の脆弱さが浮き彫りとなり、地域の中小企業や市民の家計を応援する経済政策に切り替える必要性がいよいよ鮮明になっている。したがって、ウォーターフロント開発計画そのものを完全に中止すること。

    (答)

    ウォーターフロント地区(中央ふ頭・博多ふ頭)につきましては、ふ頭基部において、「オール・イン・ワン」のMICE拠点の形成とあわせ、賑わいや憩い空間の創出など、引き続き市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。

  • 宿泊税については二重課税や逆進性、不公正さに問題がある上にコロナ禍において、とりわけ零細な業者ほど税金を転嫁できず、身銭を切らざるを得ず、観光業は打撃を受け続けている。苦しい状況におかれ、重い負担が課せられている宿泊税は廃止すること。

    (答)

    宿泊税につきましては、議員提案により成立した観光振興条例の規定に基づき、新たな財源を生み出し、市民生活への負担を極力抑えつつ、次世代のための投資を行うことが重要であると考え、地域や宿泊事業者などからご意見を伺いながら、令和2年4月に課税を開始いたしました。

    特別徴収義務者である宿泊事業者の負担軽減として、特別徴収に係る事務費を支援するため、宿泊税報償金を交付する制度を導入しております。

    今後とも、宿泊事業者のご意見を伺いながら、宿泊税を課するとされた観光振興条例の趣旨を踏まえ、適切に課税してまいります。

(7)福岡空港

福岡空港は、コロナによる入国拒否や渡航制限を受け旅客数が激減し「東アジアトップクラスの国際空港」にすることを謳い文句にして、30年後に旅客数を現在の1.5倍にし、路線数を倍加させるなどといった見込みも破綻している。また、航空業が気候変動に与える影響は大きく、地球環境を保持する観点からも矛盾する。こうした無謀な計画を見直すように国・県に求めるとともに滑走路増設をやめるように要求すること。

(答)

福岡空港は、九州・西日本地域の経済を支える主要地域拠点空港として、重要な役割を果たしており、福岡市が「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」を目指すに当たって、その機能強化は極めて重要かつ喫緊の課題であると考えております。

福岡空港については、ピーク時間帯には増便が困難なほど過密化が進んでいることから、「総合的な調査」や「PI(パブリック・インボルブメント)」の実施などの様々な手順を経て、国において滑走路を増設することを決定し、平成27年度に事業着手されたところです。

福岡市としては、航空機混雑の抜本的解消や将来の航空需要に適切に対応していくため、今後とも滑走路増設の早期完成に向けて、国や県とともに取り組んでまいります。

(8)九州大学箱崎キャンパス跡地利用

  • 箱崎キャンパス跡地のまちづくりは、キャンパス周辺の4校区(東箱崎、箱崎、松島、筥松)が長年にわたって、住民の要望をまとめた「九大跡地利用4校区協議会」の提案の方向性や精神を踏まえることが必要である。今年2月の請願審査において、地元住民が求めている、元寇防塁跡のまちづくりへの保存・活用や防災拠点となる公園の整備、住民が集える集会所の設置は、グランドデザインの方向性と同じであり、住民要望を実現すること。九州大学総合研究博物館については、箱崎キャンパスの歴史的建造物を活かして保管・展示し、市民への公開、活用するなど、九州大学に住民要望の実現を求めること。

    (答)

    九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、地域の代表や学識経験者などからなる「箱崎キャンパス跡地利用協議会」のご意見も伺いながら、平成30年7月に、まちづくりに共通する整備ルールや将来の絵姿等を示す「グランドデザイン」を策定し、引き続き、まちづくりの具体化に取り組んでおります。

    今後も、地元住民のご意見などを踏まえ、九州大学等と連携してグランドデザインの実現を目指してまいります。

  • 貝塚公園について、住民は道路を通し分割することに反対であるにもかかわらず、こうした計画を盛り込んだ「貝塚駅周辺土地区画整理事業」により住民の声を無視した計画が進められようとしている。市は「地域の意見を聞く」と言いながら、いまだに、公園利用者や周辺4校区住民の意見をまともに聴取もしておらず、市民無視は許されない。現在の計画を撤回し、貝塚公園をそのまま残すこと。

    (答)

    九州大学箱崎キャンパス跡地における、都市基盤の整備手法や主体につきましては、良好な市街地の形成を図るため、エリアの特性や整備スケジュールなどを踏まえて九州大学とともに検討を行い、議会をはじめ、地域の代表や学識経験者などからなる「箱崎キャンパス跡地利用協議会」においても検討状況を報告しながら進めております。

  • 跡地を4つに分断する都市計画道路「堅粕箱崎線」「原田箱崎線」は、計画を見直すこと。

    (答)

    都市計画道路「堅粕箱崎線」「原田箱崎線」につきましては、周辺地域との連携や、アクセス性の向上を図るため、跡地のまちづくりにあわせて整備することとしております。また、地域の代表や学識経験者などからなる「箱崎キャンパス跡地利用協議会」においてご意見を伺いながら策定したグランドデザインにおいて、福岡市の骨格を担う道路ネットワークの機能補完・強化を図る、自動車の主要動線として位置付けております。

    今後も、地元住民のご意見などを踏まえ、九州大学等と連携して良好なまちの形成を目指してまいります。

  • 土壌汚染問題について、九州大学は調査を終了し、調査エリアの15%で基準値を超える有害物質が検出されたことを明らかにした。土壌汚染や地下水などの状況について、住民説明会が開催されておらず、市が責任をもって、九州大学に住民説明会の開催など適正な対処を求めること。

    (答)

    九州大学箱崎キャンパス跡地における土壌汚染の調査結果等につきましては、九州大学により適宜公表がなされており、引き続き市民や地域住民に対し広く周知を図られるよう、九州大学と連携し取り組んでまいります。(住宅都市局)

    九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、土壌汚染対策法に基づく適正な対応がなされており、当該土壌汚染に起因する周辺地域での地下水汚染がないことも確認されております。引き続き指導を徹底してまいります。(環境局)

  • 市長が九大箱崎跡地で推進しようとしている「FUKUOKA Smart EAST」(スマートイースト)は、AIやビッグデータ等の最先端技術を使って個人情報を勝手に利用する住民監視のまちづくりに他ならない。首相官邸主導の特例的な規制緩和で行うスーパーシティ構想につながるスマートイーストは、やめること。

    (答)

    「Fukuoka Smart East」は少子高齢化など、まちづくりの様々な課題を解決しながら、持続的に発展していくため、最先端の技術革新の導入などによる快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市を創造していくものであります。まずは、その先駆けとして、箱崎のまちづくりにおいて取り組み、それが全市に広がり、より多くの人々に届くよう進めてまいります。

  • 松浜厚生施設・職員会館跡地について、当初、九州大学と福岡市は住民に対して低層住宅用地だと説明していたにもかかわらず、8階建てのマンションが建設される予定となっている。マンション建設用地の隣には保育園もあり、子ども達への日影の影響が懸念されるなど、地元住民は、住環境が破壊されるのではないかと危惧している。市と地元住民との約束を反故することは許されず、マンションを建てさせない手立てをとること。

    (答)

    松浜厚生施設・職員会館跡地につきましては、都市計画道路原田箱崎線の用地買収対象者の移転先として、一部を活用しております。残った用地につきましては、九州大学が売却しており、取得した事業者が地元住民との話し合いを進めているところです。

    今後とも、事業者と地元住民の話し合いがスムーズに行われるよう、建築紛争の予防と調整に関する条例に基づき、調整に努めてまいります。

(9)住宅施策

  • 安倍・菅政治が進めた新自由主義による自己責任の押し付けが住宅困窮者を増やし、長期化するコロナ禍のもと、多くの市民が予期せずに住まいを奪われ、あるいはその維持確保が困難になりかねない事態に直面している。住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台である。高齢化・低所得・単身・非正規雇用などが広がる中で、コロナ危機により自助でなく公的な支えがより一層強く求められている。「福岡市住生活基本計画」「福岡市住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」は国に追随する「民間まかせ」「自己責任」「持ち家偏重」を基本とする住宅政策である。本市の借家戸数は6割を超えており、賃貸が多数である現実を踏まえ、市営住宅や家賃補助を抜本的に増やすなど「住まいは人権」との立場に立って、これらの計画の見直しをすること。

    (答)

    高齢者など住宅確保要配慮者への住宅の確保につきましては、住宅審議会での審議を踏まえ策定した「住生活基本計画」及び「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」に基づき、市営住宅を含む公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅を合わせた賃貸住宅市場全体での対応を基本とし、引き続き、重層的な住宅セーフティネットの機能強化に向け取り組んでまいります。

  • 公営住宅への入居可能な収入階層世帯を目安に、民間賃貸住宅に高齢者・低額所得者や子育て世帯などの入居を拒まないセーフティネット住宅は約3000戸あるにも関わらず、家賃低廉化補助制度の対象となる住宅は10戸、補助利用は2戸とわずかである。募集戸数を抜本的に増やすとともに事業者や市民に制度の周知を広げ、若者単身者も対象にすること。また、入居者自身に家賃を支給するよう制度を改め、セーフティネット住宅に限定せずに枠を広げることを国に求めることと合わせて、こうした制度を市独自で行うこと。

    (答)

    低額所得者等の住宅確保要配慮者の居住の安定確保につきましては、「住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画」に基づき、セーフティネット住宅への改修費補助や要支援世帯に対する入居者負担低減などの経済的支援策を設けており、引き続き、制度活用に向けて、広報・周知に取り組んでまいります。

  • 市営住宅の応募状況は、一般枠で11.4倍、単身の高齢者・身体障害者は32.6倍など、いまだに深刻な状況は改善されていない。市民の居住権を守り、必要な市民が入居できるよう、「市営住宅ストック総合活用計画」を見直し、大幅な新規市営住宅建設計画を立てるとともに、髙島市長就任当初より400戸以上も減っている管理戸数を当面建替え時に計画的に増やすこと。またUR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて市営住宅にするなど多様な供給方式の具体化を早急に行うこと。

    (答)

    市営住宅につきましては、管理戸数のうち約半数の住戸が、昭和40年半ばから50年代に整備され、順次、更新時期を迎えることから、現在、居住環境を維持保全し、将来にわたって安定的な運営を図っていくため、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づく、計画的・効率的な建替えや改善事業に、鋭意取り組んでおります。

    民間賃貸住宅の活用につきましては、福岡市と住宅事業者や福祉団体などで構成する「居住支援協議会」において、住宅確保要配慮者が民間賃貸住宅に円滑に入居できる支援策を実施するとともに、継続的に協議・検討を行っております。

  • 若者の多くは非正規雇用で低賃金のため、高い家賃に悩まされ、ダブルワークをする人も少なくない。市営住宅の現行の入居基準を見直し、年齢の制限を設けず、国も認めている若者の単身世帯枠をつくること。

    (答)

    若者の単身世帯枠につきましては、市営住宅条例において、心身障がい者やDV被害者、犯罪被害者など、より住宅困窮度が高い方は、高齢者に限らず入居申込ができることとしております。

  • 困窮する低額所得者が市営住宅に入居できるよう、収入基準の引上げを国に求めること。

    (答)

    市営住宅の入居収入基準につきましては、住宅困窮度の高い者に対し公平・的確に供給するために国が定めており、適宜見直しがされるものと考えております。

  • 住民による市営住宅の共益費徴収や、草取り、駐車場の管理、電灯交換などの設備管理、住民トラブルの解決等を管理組合に押し付けるのではなく、市および住宅供給公社が責任を持って行うこと。また、電灯は改修工事や故障時の交換を待たずに交換頻度が少ないLEDの利用を早急に進めること。

    (答)

    市営住宅における共益費の徴収などにつきましては、市営住宅条例及び同条例施行規則により、入居者には共用部分の光熱水費などの費用負担のほか、敷地内を適正な状態に維持していただく必要があることから、管理組合等による共同での履行をお願いしております。

    なお、管理組合活動を支援するため住宅供給公社に専任の係組織を設置しており、共益費回収などの支援に取り組んでおります。

    市が共益費を徴収することにつきましては、制度上の整理や良好なコミュニティ形成への配慮などの課題もありますので、地域の実情や現在行っている支援の効果などの状況を踏まえながら検討してまいります。

    LEDの利用につきましては、新築住宅において平成24年度から共用廊下灯を、平成27年度以降は、全ての照明器具をLED照明としております。また、既存住宅につきましても、引き続き、外壁改修工事や蛍光灯型照明器具が故障した際に、LED照明へ交換してまいります。

  • 市営住宅の建替えに伴う余剰地については、第一義的には市営住宅の増設を図ること。それ以外の場合でも、住生活基本計画に基づき民間売却ではなく住民要望を反映し、「高齢者福祉施設等の誘致」など公的に活用すること。また弥永住宅の余剰地には住民要望にそって、高齢者福祉施設や地域交流施設等を設置すること。

    (答)

    市営住宅につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、建替えや改善事業による機能更新を進めております。

    大規模な市営住宅を建て替える際は、土地の有効活用により将来活用地を創出し、公共施設の導入や、福祉関連部局と連携し、地域課題を踏まえた福祉施設の誘導を行うなど、地域拠点の整備を進めてまいります。

    今後も、将来活用地につきましては、公共利用を最優先にしながら、地元の意向も踏まえ、その規模や地域特性に応じて事業提案公募を実施するなど、活用方法を検討してまいります。

  • 市営住宅の指定管理化は、住宅の保守管理や緊急・小口の修繕において、実態を丁寧に調べ迅速に対応するなど住民要望が反映されない問題があり、市が委託した「市営住宅管理の施行に関する調査結果」においても、公募指定管理者の業務範囲が拡大することに対して「不安や懸念がある」とする意見が半数を上回っている。したがって、指定管理業者に関する管理を市住宅供給公社に戻すこと。

    (答)

    指定管理者制度は、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、経費の節減等のみならず、住民サービスの向上を目的とするものであります。

    市営住宅における指定管理者制度の導入につきましては、福岡市住宅供給公社が担う幅広い業務のうち、民間事業者が通常行っている施設の保守管理、緊急・小口修繕及び駐車場管理運営業務について、民間事業者の能力やノウハウを活用し、入居者サービスのさらなる向上などを図るため、一部の区において試行的に実施しております。

    市営住宅の管理のあり方につきましては、試行の成果と課題の検証を踏まえて検討してまいります。

  • 市営住宅の入居者の訪問介護や訪問看護およびデイサービスの送迎等の際に利用できる無料の来訪者用駐車場を確保すること。

    (答)

    市営住宅における来訪者用駐車場につきましては、入居者の親族などの来訪や介護サービスなどの訪問時の駐車スペースについてニーズが高くなっているため、市営住宅にコインパーキングの設置を行っております。

    今後も、入居者のニーズなどを踏まえながら、駐車場の適切な管理運営に取り組んでまいります。

  • 高齢化によりエレベーターのない市営住宅の高層階から低層階への住替え希望が高まっている。エレベーター新設など対策を講じること。

    (答)

    加齢、病気等によって階段の昇降が困難となった居住者に対しては、低層階への住替えを認めており、また、空き住戸がなく同一住宅での斡旋が見込めないときは、他の市営住宅への住替えを認めるなどの対応を行っております。

    また、エレベーターの設置につきましては、「市営住宅ストック総合活用計画」に基づき、特に老朽化が著しい中層住宅の建替えを推進するとともに、片廊下型の既存中層住棟への設置に努めております。

(10)中高層建築紛争

  • 「福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例」は現在、住環境を守りたいという住民の願いを実現する力となっておらず、「住民が合意しないものは建てられない」という姿勢に改めないと今後も紛争は続く。住民合意・罰則規定の導入など条例をより実効性のある内容に抜本的に改定すること。あわせて、現在の条例には解体については何の定めもなく、「知らないうちに解体が始まった」と騒音や振動に悩まされることがないよう、近隣住民への事前説明と周知の義務付けなど解体についての規制規定を盛り込むこと。

    (答)

    建築紛争の予防と調整に関する条例につきましては、建築基準法関係規定に定めのない標識の設置や事前説明の義務化などを法に上乗せして定めることにより、建築計画等について事前に周知し、建築主等と近隣住民が早めの話し合いを行うことで、建築紛争を未然に防止することを目的としております。

    建築紛争の解決は、建築主等と近隣住民双方の歩み寄りと協力により実現されるものであると考えております。

    また、建物がなくなる解体工事につきましては、解体業者において事前説明や家屋調査などを適宜行っていることから、事前説明等の義務付けまでの必要性は低いと考えております。

    今後とも、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。

  • 前項の抜本的改正が実現されるまで当面、当事者となる「住民」の範囲拡大、住民から要求があった場合の説明会開催の義務化、原則として説明会出席者全員が署名した議事録の提出、市の指導の義務化などを盛り込んだ条例改正を緊急に行うこと。

    (答)

    福岡市では、近隣住民等から説明会開催の要望があった場合は、建築主へこれに応じるよう指導を行い、概ね開催されている状況となっております。

    また、議事録につきましては、署名までは求めておりませんが、建築主及び近隣住民の双方で確認しておくことを促しております。

    建築紛争の解決は、建築主等と近隣住民双方の歩み寄りと協力により実現されるものであると考えており、今後とも、建築紛争の解決に向けた調整に努めてまいります。

  • 開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の積極的な周知と適用に努めること。

    (答)

    良好な住環境の形成・保全へ向けては、全市的な土地利用誘導の枠組みである用途地域などを基本としつつ、地域の状況や特性に応じたきめ細かなまちづくりのルールを定める制度である地区計画や建築協定などを活用することが有効であると考えており、令和3年12月末現在、133地区において地区計画を策定し、また、82地区で建築協定を認可しております。

    今後も、これらの制度の周知を図り、地元の方々と共働してルールづくりに取り組みながら、制度の積極的な活用に努めてまいります。

(11)公共交通・生活交通

  • 「JR筑肥線と市営地下鉄の乗り継ぎ割引料金と割引区域の拡大を求める請願」が全会一致で採択されたにも関わらず、2年近くも「協議している」として実質、何も改善されておらず、市の姿勢が問われている。市営地下鉄とJR筑肥線の乗継割引を現在の20円から東部の西鉄との乗継同様すみやかに60円へ拡大するようJR九州に強く申し入れること。公共交通事業者として、同じ市内の利用者に対し、割引額に差を付けることは許されず、JR九州が割引を実施しない場合でも、本市が先行して割引額を10円から30円に引き上げること。加えて連続割引区間について、2区から3区に拡大すること。

    (答)

    JR筑肥線から地下鉄への乗り入れの初乗り料金軽減につきましては、市議会において請願が採択されたことも踏まえ、JR九州と協議を進めておりますが、コロナ禍による鉄道事業の業績悪化を受け、経営改革を進めている中で、割引料金・区間の更なる拡大については困難との回答をいただいております。交通局におきましても、コロナの収束時期やポストコロナ時代における輸送人員の回復見通しなどが不透明である中、収入・支出両面の経営改善策を検討・実施している状況にありますが、請願採択の趣旨を踏まえ、今後の経営環境の変化を捉えながら、初乗り料金軽減に向けて引き続き、協議を続けてまいります。

    [参考]

    乗継割引とは別に乗車料金の負担軽減を実施中。

    ・定期券を除くICカード「はやかけん」または「SUGOCA」を使い、姪浜駅をまたがり地下鉄とJR筑肥線を利用した場合、一乗車につき10ポイントを付与するサービスを実施。

    ・地下鉄・JR九州・昭和バスの3事業者共同で利便性の高い「伊都キャンパス回数券」や「伊都シーサイド回数券」を発売。

  • 市営地下鉄やJR筑肥線の運行トラブルが起きた際に、折り返し運転や代替輸送を速やかに行うなど市の責任で市民の交通手段を確保すること。特に姪浜以西は、トラブルがあると姪浜駅に足止めされることが度々あるため、並行する路線バスへの乗り換えにとどめない対策を取ること。

    (答)

    福岡市地下鉄やJR筑肥線の運行トラブルが発生し、一部区間で運行ができなくなった場合は、可能な範囲での折り返し運転を行っております。なお、地下鉄線内に限らず、JR筑肥線につきましてもJR九州と連携し、可能な範囲で姪浜折り返しによるJR筑肥線の運行継続ができるよう、交通局においても体制を整えております。

    地下鉄線内の輸送障害に伴う代替輸送等の対応につきましては、交通局において判断、実施し、また、JR筑肥線内の輸送障害に伴う代替輸送等の対応につきましては、JR九州において、判断、実施されるべきものであると考えております。代替輸送につきまして、こうした対応が効果的かつ円滑に行われるよう他の交通事業者とも必要な協議を進めてまいります。

  • 市民の切実な願いである「生活交通の充実、整備について」の請願が採択され、公共交通空白地等における生活交通対策としてアンケート調査が実施されたが、交通不便地以外の市民も対象にしたものであり、実態に即した内容になっておらず、まともな対策が取られていない。市が責任を持つコミュニティバスの運行を早急に行うこと。また、西鉄は市内各地でバスの減便を強行し、住民は通院や買い物等の日常生活に大きな支障をきたしており、早急に増便を図るよう西鉄に強く要請すること。また、生活交通の確保を公共交通事業者の努力義務ではなく義務として明記するよう生活交通条例を改正すること。

    (答)

    公共交通による生活交通の確保に向けた取組みにつきましては、高齢化の進展などに伴い、今後ますます重要性が高まっていくと考えております。

    一方、郊外部における人口減少やバス乗務員の不足、今般の新型コロナウイルス感染症の影響などにより、バス路線の維持に課題が生じております。

    バス交通につきましては、重要な公共交通であり、今後とも市民や交通事業者と連携し、必要なサービスが確保されるよう努めてまいります。

    生活交通条例につきましては、現在の休廃止対策などに着実に取り組んでいくとともに、持続可能な取組みの一つとして展開の可能性があるオンデマンド交通について、まずは、運行内容の工夫等による試験的な運行に取り組むなど、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に努めてまいります。

  • 毎年のように視覚障害者が駅ホームから転落する死亡事故が後を絶たない。JR博多駅をはじめ、市内のJRおよび西鉄大牟田線各駅にホームドアを早急に設置するよう関係事業者に強く申し入れるとともに、国まかせではなく、市としても推進のための協議会を設置すること。また、ホームドアが設置されるまでの間、乗客の安全対策要員をホームに配置するとともにホーム中央に視覚障害者の道しるべとなる線状誘導ブロックを敷設するよう事業者に申し入れること。

    (答)

    鉄道駅におけるホームドアの設置につきましては、鉄道事業者による取り組みを踏まえながら、ホームドア以外の安全対策も含め、引き続き鉄道事業者と協議を行ってまいります。

    なお、JR筑肥線においては、JR九州によりホームドアの設置が進められ、令和3年3月13日より市内全駅で稼働しております。

  • JR九州が駅を無人化したことについて、車いすを利用する大分市内の3人が移動の自由を制限されて苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めた訴訟で、原告側弁護団は同社について“鉄道網を維持するため、多額の税金が投入されてきた事業体であり、一民間企業と全く同等にとらえるべきではない”と同社の社会的責任を追及している。また、本市でもJR香椎線の無人駅で「線路に子どもが降りていると通報しても何もしてくれない」など批判の声があがっている。全駅を有人に戻すよう、JR九州に求めること。

    (答)

    JR香椎線の駅無人化につきましては、JR九州に対して、引き続き、「駅遠隔案内システム」について、市民、利用者へ十分に説明するとともに、高齢者や障がい者をはじめ、市民への必要なサービスや安全性が確保されるよう、働きかけてまいります。

  • 早良南地域交流センター「ともてらす早良」への交通アクセスが不十分であり、とりわけ早良区南部から「行きたい時に行けない」という声があがり、住民よりさらなるバス増便などの要求が出ている。交通事業者との交渉を早急に進めるとともに、市がコミュニティバス・シャトルバスを運行することも含め、交通の利便性を図ること。

    (答)

    早良南地域交流センターへの交通アクセスにつきましては、これまで交通事業者へ働きかけをしてきており、令和3年11月の開館に合わせ、バスを増便していただいております。

    今後とも、市民が利用しやすい施設となるよう努めてまいります。(市民局)

(12)道路・交通安全

  • 生活関連経路のバリアフリー化は、前計画「道路整備アクションプラン2020」では目標を達成できなかったため、課題を明確にするとともに、新計画に基づき速やかに推進すること。また、重点整備地区以外の箇所についても、緊急性や必要性を踏まえて、全市的に生活関連経路のバリアフリー化を推進すること。あわせて、横断歩道等における歩車道境界部について、中央区天神の中央郵便局前のような段差がないものとし、視覚障害者の歩行の安全にも配慮した縁石を導入すること。

    (答)

    生活関連経路のバリアフリー化につきましては、令和3年6月に策定した「道路整備アクションプラン2024」に基づき、「ユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、引き続き、計画的に取り組んでまいります。また、生活関連経路以外の道路のバリアフリー化につきましても、必要性や緊急性などを勘案しながら取り組んでまいります。

    横断歩道等における歩車道境界部につきましては、視覚障がい者の安全性を確保しながら、高齢者などの円滑な移動にも配慮された構造となるよう、望ましい構造等について、引き続き、検討を行ってまいります。

  • 滋賀県大津市の保育園児死傷事故の現場と類似した153か所の横断歩道部のうち、今年度末までに90か所の車止め等の完了が見込まれているが、来年度予算で残る63か所についても、速やかに設置をすること。また、通学路に加え、学童保育や園児等の移動経路など、子どもの通行路を総点検し、危険箇所の安全対策を緊急に講じること。

    (答)

    交差点の交通安全対策につきましては、令和元年5月に滋賀県大津市で発生した、園外活動中の園児らが死傷した交通事故を受け、事故現場と類似する153か所の交差点を選定し、防護柵や車止めなどの交通安全施設の設置を進めております。また、通学路及び未就学児の移動経路につきましても、関係機関との点検により抽出された箇所において、防護柵の設置や路面標示などの安全対策を進めており、引き続き、早期の対策完了に向けて取り組んでまいります。

  • 市内では消えかかった横断歩道が増え、それが元で子どもや高齢者の事故も増えており、県に対し横断歩道や停止線の路面標示の改善と交通安全施策関連予算の増額を求めること。また、市として、消えかかっている路側帯などの路面標示について、道路維持費を増額し、早急に塗り直すこと。

    (答)

    横断歩道や停止線の改善につきましては、地域からの要望などを踏まえ、県公安委員会へ適切な維持管理を求めてまいります。(市民局)

    また、路面標示をはじめ、福岡市が管理する道路の維持管理につきましては、日常的なパトロールに加え、道路の「傷みカード」や「LINE通報システム」などによって、市民や企業などから寄せられる通報も踏まえ、不具合を早期に確認し、効果的・効率的な維持管理に取り組んでまいります。(道路下水道局)

  • 橋梁の長寿命化修繕計画に基づく橋梁修繕数は、2020年度までの目標289橋に対して175橋しか終了していない。「道路整備アクションプラン2024」では、今後4年間で対策が求められる49橋と、線路や道路の上にある11橋について、修繕をすることにしているが、抜本的な予算増額が必要である。国に補助金の抜本的増額を求めるとともに、市独自の予算化もして橋梁の修繕を急ぐこと。

    (答)

    橋梁の修繕につきましては、「福岡市橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、国の「道路メンテナンス事業補助制度」を活用しながら、計画的に橋梁の長寿命化に取り組んでまいります。

  • バス停留所の安全確保対策について、事業者や県警などを含む検討会が開かれたものの、いわゆる「危険なバス停」は7割が検討中のままになっている。事業者任せにせず、市がイニシアチブを取って、実態調査を行い、早急に対策を講じること。

    (答)

    バス停留所の安全性確保に向けた対策につきましては、平成30年8月に横浜市で起きた女子児童の死亡事故を受け、国が設けた基準に基づき、国及びバス事業者が主体となり抽出した「要対策バス停留所」のリストが令和2年12月に公表され、その後、バス停留所移設などが実施されております。

    今後とも、国、バス事業者及び交通管理者などの関係機関と連携し、バス停留所の安全性確保に取り組んでまいります。

  • 道路陥没を未然に防ぐために、日常パトロールや路面下空洞調査等の頻度を増やし、原因と劣化・優先度の分析をおこない、道路改修・維持対策を講じること。

    (答)

    道路の維持管理につきましては、日常的なパトロールに加え、市民や企業などへ通報の協力をお願いするとともに、路面下空洞調査を実施し、道路の損傷や空洞の早期発見と早期補修に取り組んでおります。

    また、これまで補修した空洞の発生要因を分析するとともに、下水道の整備時期などの地域特性も踏まえながら、空洞が発生しやすい箇所を抽出し、今後の調査路線を選定しております。

    今後とも、日常的なパトロールや空洞調査により、事故の予防保全に努めてまいります。

  • 自転車関連事故のうち対歩行者事故の割合は3倍化しており、その約6割が歩道上で発生していることから、自転車と歩行者との衝突事故をいかに減少させるかが課題である。本市は「自転車活用推進計画」で、自転車通行空間の2024年度までの整備目標を160kmとしているが、現時点での整備では物理的な分離をしている自転車道は中央区大手門地区など25.6%しかなく、36.3%が歩道に自転車道を記した歩行者との混在形態であり、43%が車道に矢羽根型路面表示等を記しただけの自動車との混在形態となっている。これでは、自転車の事故を減らすことは期待できない。したがって、歩道、車道と分離された自転車通行空間を整備するために、関連予算を抜本的に増額し整備を急ぎ、自転車対歩行者事故を減らす対策を行うこと。また、指導員を大幅に増員し、都心部以外の自転車事故発生件数の多い幹線道路などにも配置して、安全対策を抜本的に強化すること。あわせて飲食宅配代行サービスの配達員による自転車走行中の事故や交通トラブルは各地で相次いでおり、指導や啓発とともに、事業者と共同した交通安全教室の実施などをおこなうこと。

    (答)

    自転車通行空間につきましては、令和3年3月に策定した「自転車活用推進計画」及び令和元年9月に改正した条例(「道路の構造の技術的基準及び道路標識の寸法を定める条例」)に基づき、歩行者や自転車、自動車の安全を確保するため、原則として、車道部に積極的に整備してまいります。(道路下水道局)

    自転車利用者に対する啓発活動につきましては、「自転車の安全利用に関する条例」に基づき、自転車安全利用指導員などによる指導・啓発や、関係機関・団体と共働した毎月8日の自転車安全利用の日の街頭キャンペーンなどを積極的に行うとともに、企業などへ出前講座の開催を働きかけてまいります。

    自転車を利用する宅配事業者に対しましては、自転車の安全利用に関する動画などの配信依頼を行うとともに、宅配事業者と連携した自転車教室を開催しております。また、天神・大名地区や博多駅周辺地区などの都心部における、自転車安全利用指導員による指導・啓発などに引き続き取り組んでまいります。(市民局)

(13)水道

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、市民生活、中小企業の業況等は、なお厳しい状況にある中、水道を使う量が家庭でも商店でも増え、水道料金に連動する下水道料金とともに、市民に負担が重くのしかかっている。福岡都市圏では、志免町、久山町、太宰府市、篠栗町、宇美町で減免が実施されており、本市でも市民生活と中小企業の営業を守る立場から、低所得者世帯、社会福祉施設などについて、特別の減免措置を講じること。

    (答)

    水道は、市民生活を支え、生活の質の向上と都市の成長を支える重要なライフラインであり、将来にわたる安全で良質な水道水の安定供給が求められております。

    また、水道事業は、受益者負担の原則に則った独立採算制を基本に、水道料金収入を主たる財源として経営するものであることから、財政の健全化を図りつつ、配水管の更新をはじめ、浄水場の再編などに計画的に取り組んでいく必要があります。

    このような中で、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により水道料金収入の回復も遅れており、依然として厳しい経営状況が続くと見込まれます。

    福岡市の水道事業が置かれた状況を踏まえますと、水道料金の減免は、企業債残高の増大や施設の整備・更新の遅れを招き、将来に大きな負担を残すことになると考えております。

    なお、今後とも、個々の相談者の状況に応じた水道料金の支払期限の延長など、お客さまに寄り添った、きめ細かな対応を行ってまいります。

  • 2018年、国は水道法「改正」を強行し、国民の公衆衛生向上が目的である水道事業を変質させ、公共の財産である水を「商品化」する民営化への道を開いたが、大阪市、奈良市、浜松市などで民営化を住民が阻止し、世界でも民営化された水道が再公営化されるなどの動きの中、「水は人権」という声と運動が広がっている。水道事業は、安全・安心・安定的な水供給によって、憲法の生存権を保障するものであり、地方公共団体主体で健全な運営がなされるよう現行のまま直営を堅持し、民営化や広域化は行わないこと。

    (答)

    水道事業につきましては、「水道長期ビジョン2028」に基づき、福岡市が責任を持って主体的に運営し、計画的に事業を推進するとともに、他水道事業体との連携も図りながら、安全で良質な水道水の安定供給に取り組んでまいります。

  • 水道配水管の耐震化率は2020年度末で59.8%であり、残されている配水管の耐震改修について、現行の年間45kmの更新ペースでは完了まであと40年間もかかるため、さらに早めるよう計画を見直すこと。また、災害時などに水を供給しなければならない重要給水施設として414か所を指定し耐震ネットワーク工事を進めているが、未だ冷泉公園や小笹中央公園など18か所が未整備であり、工事を急ぐこと。さらに、この耐震ネットワークの対象となっていない避難所も多くあり、対象施設を抜本的に増やすこと。あわせて、本市の下水道管も67%が未耐震であり、早急に改善すること。

    (答)

    配水管につきましては、新設や更新の際に全て耐震管を使用し、長期的な財政収支の見通しを踏まえた上で、実質的な耐用年数内に更新できるよう、平成29年度から更新延長を年間45キロメートルにペースアップし整備を行っております。

    特に、耐震ネットワーク工事につきましては、「地域防災計画」で指定された避難所や救急告示病院に加え、多くの帰宅困難者が発生すると予想される西鉄天神駅など、重要給水施設414か所の給水ルートの耐震化を、令和6年度末までに全て完了できるよう進めてまいります。(水道局)

    下水道管の耐震化につきましては、下水道の根幹となる施設である処理場・ポンプ場に直結する幹線管渠や緊急輸送路下における重要な幹線管渠などに加え、老朽化の進行や腐食環境下にあり、破損のおそれの高い管渠などについて、令和4年度は、約40キロメートルの整備を進めてまいります。(道路下水道局)

  • 本市の1日最大給水量44万3539㎥に対し施設能力は78万900㎥あり、すでに過剰である。一方、1日の生産水量5万㎥の福岡地区水道企業団の海水淡水化施設は、年間約25億円の維持管理費等の経費をかけながら、実際の生産水量は、2018年以降、日量2万㎥程度に激減しており、稼働する必要はない。それにもかかわらず、地区水道企業団の「長期財政収支見通し2018」では、2025年から2027年にかけてさらに153億円をかけて設備更新をしようとしており、これはムダづかいにほかならない。したがって、海淡施設は廃止するよう福岡地区水道企業団に強く求めること。

    (答)

    海水淡水化施設につきましては、県策定の「福岡地域広域的水道整備計画」に位置づけられており、渇水時などにおける水の安定供給に寄与するものであることから、水資源に恵まれない福岡都市圏にとりまして必要な施設であると認識しております。

    なお、設備更新につきましては、福岡地区水道企業団において、更なるコスト削減に取り組まれると聞いております。

(14)防災対策

  • 地域防災計画
    同計画について以下の2点を見直すこと。
    • 市民の生命、身体及び財産を災害から守ることは、災害対策基本法第1条で「国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にする」と規定されている。しかしながら、本市「地域防災計画」の基本理念には、「共創による防災先進都市・福岡をめざして」として、「市民、企業、NPOとの共創」による取組とし、「自助、共助」をことさら強調し公的責任を明記していない。市民に防災の対策義務を押しつけるのではなく、市の責任で、地域防災力の向上に取り組むよう改めること。

      (答)

      「地域防災計画」において、災害時の被害を最小化し、被害の迅速な回復を図る「減災」の考え方を基本として、これを実現するため、自助、共助、公助が一体となった災害に強い共創のまちづくりを推進していくこととしております。

    • 政府は、新型コロナの感染拡大をうけ、避難所の過密抑制など感染症対策の観点を踏まえた防災の推進が必要であるとし、防災計画を修正した。本市「地域防災計画」の感染症対策についても、避難者のソーシャルディスタンス確保をはかるために過密抑制をすることとや避難所の抜本的な増設という観点を盛り込んだものに見直すこと。

      (答)

      「地域防災計画」につきましては、様々な災害の教訓などを踏まえ、適宜、見直しを行っており、避難所における新型コロナウイルス感染症を含む感染症対策についても、国の防災基本計画の修正などを踏まえ、見直しを行ってまいります。

  • 国土強靭化法にもとづいて策定された「福岡市地域強靭化計画」には、被災後の都市のイメージの回復、福岡市のブランド力の確保・向上策として、平時から都市のブランド力向上を行うことやMICE誘致、開催支援策を推進していくなど、災害対策とは関係のない事業も入っており、見直すこと。

    (答)

    地域強靭化計画につきましては、国のガイドラインにおいて、災害による風評被害や信用不安による、経済等への甚大な影響を回避するよう示されており、「福岡市地域強靭化計画」においても、災害による風評被害や信用不安による経済等への甚大な影響を回避すべく、平時から都市のブランド力向上を行うほか、MICE誘致、開催支援などを推進していくこととしております。

  • 避難対策
    • 2021年8月の大雨で、7万9025世帯、14万4992人に対し、土砂災害や浸水被害のおそれがあるとして避難指示を出した。しかしながら、実際に避難した住民は105人であり、避難すべき住民の0.07%程度しか避難していない。市民に避難に関する情報が速やかに伝わり、実際の避難行動に結びつくよう調査・研究すること。

      (答)

      災害時の避難行動につきましては、多様な伝達手段により、高齢者等避難や避難指示などの緊急情報を発信し、これらの情報をもとに、速やかな避難行動につなげていただくように努めてまいります。

    • 市の指定避難所数は一次避難所と収容避難所を合わせても434か所しかなく、コロナ禍を踏まえ、1人当たりの面積を4㎡確保すれば、最大で避難者は10万1000人しか収容できない状況であり、大規模災害が発生すれば避難してきた市民を収容することができない事態となることは明らかである。抜本的に避難所の増設をはかるとともに、不足分を公共施設や地域の集会所などで補足する計画を立てること。

      (答)

      災害時の避難につきましては、避難所のほか、親戚・知人宅やホテルなどの安全が確保できる場所に、各自の状況に応じて避難していただくよう事前に周知を行っており、避難所についても、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、一時避難所に加え、収容避難所も同時に開設するなど、より多くの避難所を確保することとしております。また、地元の民間施設と、災害時における利用に関する協定を締結するなど、地域の実情に応じ、指定避難所以外の避難所の確保にも取り組んでおります。

    • 九州で最も地震発生確率が高い警固断層が活動しても、避難者数を2万5000人としか想定しておらず、都心部の人口・勤労者・来街者は増加しており、考えられる最大規模の災害にともなう数に見直すこと。

      (答)

      地震などの災害対策につきましては、国・県の動向を踏まえ検討するとともに、必要に応じて「地域防災計画」の見直しを行い、災害に強い都市づくりを進めてまいります。

    • 避難所における人権やプライバシーを守るために必要な間仕切りは1校区あたり10セット、避難所用テントは20台しか備蓄していない。また、避難者の健康維持のための段ボールベッドの備蓄はしておらず、民間まかせとなっている。国からの支援や民間企業との協定だけでは、いつ必要な物資が届くのかわからず、避難直後から避難者のプライバシーや健康を守るために、市として必要数を備蓄すること。また、食料や水の備蓄は3日分しかなく、公的備蓄を抜本的に増やすこと。

      (答)

      避難所で使用する間仕切りや簡易ベッドにつきましては、公的備蓄の拡充に取り組んでいるところであり、これらに加え、企業などとの災害時応援協定や国からの物資支援も活用しながら、避難所の状況に応じ、適切に対応してまいります。

    • 土砂災害、浸水、津波のハザードマップや、揺れやすさマップについて、パソコンやスマートフォン等を活用することができない高齢者などにも、災害時に自分のいる地域でどういう被害が起きるのか、避難経路や避難場所はどこかなどが理解できるよう、地域まかせではなく、市の責任で校区ごとのマップを作成し、全世帯に配布すること。

      (答)

      ハザードマップにつきましては、災害種別毎に災害想定区域や市が指定する避難場所などを記載したハザードマップを印刷し、市民へ配布するとともに、市のホームページに掲載いたしております。

      また、市民が必要な時に必要な情報をパソコン・スマートフォンなどにより確認でき、複数の災害リスクを重ね合わせて表示することや任意の場所を拡大・印刷できる総合ハザードマップを配信しており、これらの活用について、出前講座などを通して市民への周知・啓発を図っております。(市民局)

      警固断層帯南東部で地震が発生した場合に、お住まいの地域がどのくらい揺れるかを強さ別に色分けした揺れやすさマップを配布するとともに、出前講座や耐震セミナ-を開催し、建物の耐震化の重要性について周知啓発に努めております。(住宅都市局)

    • 情報が入手できるよう避難所にテレビやラジオを設置し、快適に過ごすことができるよう畳などを設置すること。収容避難所には、冷暖房を付けるとともに、トイレは主として洋式に改修すること。また、避難直後から使用できるように、いすやベッドなどの備品をそろえるとともに、衣類やあたたかい食料・弁当が避難者にいきわたるようにすること。給水車の配置、通信の確保ができるよう、関係機関との事前協定を行うこと。

      (答)

      避難所の環境整備につきましては、公的備蓄の充実に努めるとともに、エアコンについても、民間事業者との災害協定に基づき、必要に応じて速やかに移動式エアコンなどを設置することとしております。

      今後とも、国のガイドラインなどに基づき、誰もが安心して避難生活を送ることができるよう、生活環境の整備に努めてまいります。

    • 福祉避難所については障害者や高齢者などの避難所としての機能を発揮できるよう万全を期すことが求められている。現在115か所を指定しているが、施設が被災し使用できない場合も想定し、指定箇所も抜本的に増やすこと。また、障害者や高齢者などの要配慮者が避難所をたらいまわしにされないように、直接、福祉避難所に避難できるように検討すること。福祉避難所の備蓄については市の責任で進めること。停電に備え、高齢者施設などに非常用自家発電設備をすすめるために、国に対する補助制度の継続、拡充を求めるとともに、市独自の補助制度をつくること。また、発電機等に必要な燃料の確保を市の責任で進めること。「避難行動要支援者名簿」に登録されている人のうち、避難計画が立てられているのは5%に過ぎないのは大問題である。名簿登録から漏れている方も含めて、避難誘導、具体的な移動の手段の手配などについて、通常時からきめ細かい個別計画を市の責任で策定するなどして対策を強化すること。被災時に施設運営で一番の課題となる職員不足については、協定を結んでいる他都市などとの協議を進め、福祉避難所に対する受け入れ体制を事前に確立すること。

      (答)

      福祉避難所につきましては、その開設が見込まれる施設に対して、引き続き、協定の締結を働きかけ、福祉避難所数の拡大に取り組むとともに、災害時に特に配慮を要する人の避難生活に必要となる物資を配付し、高齢者や障がい者が安心して避難できるよう、運営体制の強化を図ってまいります。また、直接避難については、国のガイドラインを踏まえ、検討を行ってまいります。

      高齢者施設などにおける非常用自家発電設備につきましては、国の交付金などを活用し、引き続き、整備促進を図るとともに、国に対し、補助制度の拡充を要望してまいります。なお、非常用自家発電設備のない障がい者福祉避難所に対しては、非常用電源装置の配備を進めてまいります。

      福祉避難所で必要となる職員及び発電機に必要な燃料などにつきましては、基本的に施設において確保することとなっており、必要に応じて、市においても対応してまいります。(保健福祉局)

      避難行動要支援者につきましては、避難支援等関係者向けガイドブックを作成・配布するほか、個別避難計画作成の支援を目的としたワークショップを実施するなど、個別避難計画作成の推進に努めております。(市民局)

    • 津波ハザードマップについて、避難の方向の記載はあるものの、区域内で避難できる高いビルなどが記載されていない。必要な津波避難ビルを確保し、ハザードマップに記載すること。また、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。

      (答)

      津波避難対策につきましては、平成28年2月に県が公表しました「津波浸水想定」を踏まえ、津波による浸水区域や市が指定する避難場所などを記載した津波ハザードマップを作成し、平成29年11月に対象校区に配布するとともに、市のホームページに掲載いたしております。

      また、市民が必要な時に必要な情報をパソコン・スマートフォンにより確認でき、複数の災害リスクを重ね合わせて表示することや任意の場所を拡大・印刷できる総合ハザードマップを配信しており、これらの活用について、出前講座などを通して市民への周知・啓発を図っております。

    • 年々集中豪雨の発生などによる危険が高まっているもとで、県が指定する市内の土石流災害にかかる特別警戒区域と警戒区域380件のうちハード事業が実施されているのは、わずか5件、1.3%、急傾斜地崩壊における特別警戒区域と警戒区域1398件 のうち、わずか4件、0.2%となっている。県に対して、ハード事業の大幅な前倒しを実施するよう求めるとともに、市としても安全確保の対策をおこなうこと。

      (答)

      土砂災害特別警戒区域などにおけるハード対策につきましては、関係法令に基づき、県が区域を指定し、対策事業を行うこととなっております。

      福岡市としましても、地域からの要望を踏まえて、県に対して、早期整備の要望を行ってまいります。

  • 木造戸建住宅の耐震化の助成制度については、対象外とされている1981年以後の住宅も対象とすること。市内の共同住宅の耐震診断と耐震改修助成の制度については、適用もほとんどされておらず、助成要件も緩和して抜本的に金額を引き上げ、制度の周知・広報も強めること。また、人命確保のための耐震ドア、窓や屋根の補強だけでも活用できるようにすること。

    (答)

    民間住宅の耐震化につきましては、「福岡市耐震改修促進計画」に基づき、共同住宅の耐震診断費助成及び木造戸建住宅や共同住宅の耐震改修工事費助成を実施しております。

    昭和56年以降の木造戸建住宅につきましては、平成29年5月に「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」が国から示されており、引き続き、所有者、リフォーム業者、設計者等に幅広く周知してまいります。

    共同住宅の耐震改修助成制度につきましては、制度要件の緩和を図っており、また揺れやすさマップの配布、管理組合などを対象とした出前講座の開催などにより、耐震化の重要性についての周知啓発に努めております。

    人命確保のための家屋以外の補強・支援につきましても、耐震シェルター・防災ベッドの設置も補助対象とするなどの耐震改修助成制度の拡充を図っておりますが、建築物を耐震化することが建物の倒壊を防ぎ、人命を守るために最も重要であると考えており、引き続き、現行の耐震改修助成制度の普及・活用と併せて、民間住宅の耐震化の促進に取り組んでまいります。

  • 自然災害で住宅が壊れた人に支援金を支給する被災者生活再建支援法について、最大でも300万円と少ない上に、「一部損壊」は対象外にされている。緊急に500万円に引き上げるとともに、被災の実情に応じた支援ができるように、額も対象も拡充することを国に求めること。また、本市の災害見舞金は、住家の全壊でも最高で6万円となっており、抜本的に引き上げること。

    (答)

    被災者生活再建支援金につきましては、これまでも指定都市市長会などにおいて、国に対し、対象範囲の拡充など制度の見直しを要請しており、引き続き国の動向を注視してまいります。

    福岡市災害見舞金につきましては、被害の程度などに応じて、引き続き支給してまいります。

  • 県が管理する市内の二級河川13水系のうち、改修計画がある河川はわずか5水系しかなく、現在改修を実施しているのは3水系となっている。2009年の水害で2級河川では、8河川、21か所において溢水が生じており、河床掘削、老朽化した護岸のかさ上げ・改修などの氾濫防止対策を急ぐよう県に要請するとともに、必要な河川には農業用ため池を治水池へ転用し雨水流出抑制を強化し、市有地や公園などの公的施設を活用して地下貯水施設等を設置すること。さらに、急激な浸水を避けるため、越水してもすぐに破壊しない耐越水堤防を整備し、避難する時間が確保できる対策を強めること。あわせて、バックウォーターや内水氾濫対策、浸水が予測される箇所のかさ上げ、バイパス雨水管などの整備、河床掘削や護岸整備を行うこと。

    (答)

    二級河川につきましては、河川管理者である県に対し、適切な維持管理及び河川改修の促進について要望してまいります。

    福岡市が管理する河川の治水対策につきましては、治水の根幹である河川の河道拡幅などの改修により流下能力の向上を図るとともに、治水池の整備などにより雨水の流出抑制に取り組んでまいります。

  • 人的被害を与える可能性のある防災重点ため池は市内で257か所あり、2021年度から防災工事のための調査が開始された。2020年度、82か所の市街化区域にある、ため池について調査を行った結果、7割について対応能力が不足していることが明らかとなった。災害を伴う大雨は毎年のように発生しており、調査や防災工事を早急に完了させるための財政措置を国に求めるとともに、市独自でも調査、工事をすすめること。また、防災重点以外のため池についても、耐震性や豪雨による洪水の危険性などの調査点検を行い、ハザードマップの策定や暫定的な避難方法の住民周知をすること。

    (答)

    防災重点農業用ため池につきましては、引き続き、安全向上のため、現況調査や排水施設の改良工事などを行うとともに、防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法に基づき、国庫補助を活用しながら、対策を推進してまいります。

    また、防災重点農業用ため池を含む農業用ため池につきましては、水利組合による日常点検や、業務委託による点検、職員による点検を実施しているほか、農閑期や、大雨・台風接近に関する警報などが予測された際は、事前に水位を下げる措置を講ずるなど、引き続き適切な管理に努めてまいります。

  • 福岡市は玄海原発から約35~60km圏内に位置しており、「福岡市地域防災計画」(原子力災害対策編)では実効性のある避難計画の策定が求められるが、屋内避難を基本としているため地震などの複合的な原子力災害に対応できていない。全市民の放射能被害を想定し、福岡市から他の都市への避難を含めた計画を立てること。

    (答)

    「地域防災計画(原子力災害対策編)」や「原子力災害避難計画」に基づき、対処体制の整備や実施要領の作成など対策の具体化を進めるとともに、国の「原子力災害対策指針」の改正の動向を踏まえながら、「地域防災計画」及び「避難計画」の見直しを行うなど、原子力災害対策の充実、強化に取り組んでまいります。

(15)消防

  • コロナ感染の拡大における救急活動は、消防職員に感染リスクの不安や発熱患者への対応など、さらなる負担を強いており、現場は疲弊しているのが実態である。本市の消防本部職員1人当たりの管轄人口は1464人であり、京都市や大阪市のほぼ2倍という状況は異常である。また、一般会計の歳出に占める消防費の予算の構成比は1.3%で政令市最低レベルとなっている。これらのことにより、本市の消防の体制は、国の指針に照らして、ポンプ車2台、救急車3台が足りず、人員は70人も不足しており、特に査察を行う予防要員は86.9%、救急要員は90.7%と依然として充足率が低いのは問題である。抜本的に予算を増額し、早急に「消防力の整備指針」に基づき、消防機材も人員も100%充足すること。

    (答)

    国が定める消防力の整備指針につきましては、包括的な整備水準を示しているもので、各自治体においては、地域の実情などを総合的に勘案し、消防体制を整備しております。

    福岡市では、これまで消防署所の適正配置等、実態に即した消防体制の強化を図ってまいりました。

    令和4年度につきましても、引き続き、必要な予算を確保し、車両、資機材及び人員の確保に努めてまいります。

  • 消防出張所内で起きた暴力事件が、市の指針では「懲戒処分」相当であるにも関わらず、加害職員は文書訓戒という軽い注意で終わっていることが議会質疑で明らかになったように、署内での人権侵害、パワハラ等は根絶されていない。また、「失敗ノート」に「電話は全て出ろ」「馬鹿がまた何かやっとる」といった言葉をメモさせられたあげく、大勢の前で読み上げさせられて「無能」「ゴミ」などと罵られた件については、消防局人事課による聞き取りで証言が得られないとして事実認定されなかったが、極めて不十分な聴取に終わっている可能性がある。さらに、被害職員の人権を侵す件についても聞き取りで証言が得られない等として事実認定をしなかった。これらは、本市の懲戒指針やパワハラ指針が機能していないことのあらわれである。市長が暴力・パワハラ根絶を宣言するとともに、指針を実効あるものに見直すこと。また消防職場での暴力・パワハラ・セクハラに対応するために、弁護士など第三者が参加する機関を設置すること。管理職を含む全職員を対象に、パワハラ・セクハラ・暴力の根絶、ジェンダー平等の推進をはかる研修を実施すること。

    (答)

    消防職員のハラスメント対策につきましては、国が定める法令などを踏まえ適切な措置を講じるとともに、ハラスメント撲滅の方針や相談窓口などの体制の周知・啓発に取り組んでおり、今後とも風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。

    消防職員に対するハラスメント防止等の研修につきましては、全職員を対象に継続的に研修を実施しているところであり、今後も、職場研修のほか、消防学校における各種の教育課程においてハラスメント防止の講義を取り入れるなどの取組みを推進してまいります。

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4、気候危機打開へ、地域と地球の環境守る先頭に

(1)気候危機

  • 気候危機とよぶべき非常事態が起こっている。世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題となり、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では世界の気温上昇を産業革命前と比べて「1.5度に抑える努力を追求する」と明記し、石炭火力発電は「段階的削減」となった。そういう中、地球温暖化に対する危機感を共有しようと、自治体などが「気候危機」や「気候非常事態」を宣言する例が相次いでいる。世界では1900以上の宣言があり、国内でも昨年11月の衆参両院を始め、100を超える自治体や地方議会、団体などで「気候非常事態宣言」が行われている。本市にも九州大学の学生等から宣言を行うよう求める請願が出されている。したがって、本市でも「気候非常事態宣言」をおこなうこと。

    (答)

    気候変動につきましては、令和2年6月に環境省が気候危機宣言を、令和2年11月に国会で気候非常事態宣言が決議されたところです。

    福岡市では、脱炭素社会の実現に向け、ゼロカーボンシティを表明し、地球温暖化対策実行計画の改定を進めており、引き続き、市民・事業者・行政が一体となって取り組んでまいります。

  • 政府は2050年までに温室効果ガス排出ゼロを宣言したが、2030年度の削減目標は「2013年度比で46%削減」で、これは2010年比にすると42%減であり、国連が示した「2030年までに2010年比45%減」という全世界平均よりも低い。政府の宣言実現のために、2030年までに、CO²を50~60%削減することを本市として国に求めること。また、排出ゼロと言いながら、石炭火力発電にしがみつく「第6次エネルギー基本計画」の見直しを国に求めること。

    (答)

    国の目標につきましては、パリ協定に基づく国際的な枠組みの下で、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、2030年度の削減目標を46%削減、さらに50%の高みをめざすと決定し、国連へ提出されているものと認識しております。

    また、電源構成につきましては、国がエネルギー施策の枠組みの中で、検討・決定されるものと認識しております。

  • 本市の温室効果ガス排出量の2030年度削減目標は2010年比に換算すると42%減にしかならず、これでは政府より10年早く2040年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると宣言していることの実効性がない。抜本的に削減目標を見直すこと。

    (答)

    2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロの達成に向けましては、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーなどの導入や利用による使用エネルギーの脱炭素化、森林など吸収源の保全に取り組んでいくほか、都市としての特性を踏まえ、環境にやさしい商品やサービスを選ぶ、いわゆるエシカル消費を広げていくことで、製造、流通過程での二酸化炭素削減などに取り組んでいきたいと考えております。

    これらにより、まずは2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度と比較して50%程度まで削減する方向で現在精査を行っております。

  • エネルギー消費を減らす省エネルギーは、CO²排出を減らすうえで決定的である。2030年までに2013年比で市域のエネルギー消費量40%削減をめざすこと。

    (答)

    省エネルギーにつきましては、エネルギー消費効率を高める点で重要であり、省エネ家電への買い替え、住宅用エネルギーシステムの導入促進などに、引き続き取り組んでまいります。

    エネルギー消費量の総量については、継続的に把握してまいりますが、再生可能エネルギー由来電力やグリーン水素などの二酸化炭素を排出しないエネルギー源を利用した場合、エネルギー消費量にかかわらず、二酸化炭素は排出されないことから、成果指標としてはなじまないと考えております。

  • 「ジャパン・クライメイト・イニシアチブ」は、“政府に対して2030年度までに電力全体の4割から5割を再生可能エネルギーでまかなえ”との全国紙全面広告を出し、参加団体である本市も名を連ねているが、本市の再生可能エネルギーによる2030年の発電規模目標は市内電力量のわずか8%という計画である。本市が2040年までに温室効果ガス排出の実質ゼロ宣言をしたことに見合うよう、本市の2030年の電力は50%を再生可能エネルギーによるものにする目標を持ち推進すること。

    (答)

    ジャパン・クライメイト・イニシアチブの表明内容は、国内の発電電力全体に占める再生可能エネルギーの割合を、2030年度までに40%~50%までの引き上げを行うべきというものであり、エネルギーの自給率とは直接結びつくものではないと認識しております。

    再生可能エネルギーにつきましては、福岡市の自然的、社会的条件に適した再生可能エネルギーの導入を促進していくとともに、消費地としての特性を踏まえ、再生可能エネルギー由来電力の利用を推進してまいります。

  • 本市の建築物等への太陽光発電は、環境省によれば各種再生可能エネルギー発電可能性量の中で最も多く年間4億7000万kWhとされている。市内では年間新築戸建て住宅では概ね3件に1件が太陽光発電を設置している水準で推移しており、引き続き積極的な導入を促進すること。

    (答)

    住宅用太陽光発電につきましては、発電した電力をためる蓄電池や、電気自動車と住宅が相互に充給電可能なⅤ2Hシステムの導入助成により、電力の自家消費の促進に引き続き取り組んでまいります。

  • 福岡市には風力発電の利用可能なエネルギー量が約90万世帯分の年間約4600GWhもある。同じ北部九州では唐津市や北九州市で風力発電が積極的に取り組まれており、福岡市は風況に恵まれないと決めつけていることには何の道理もない。風力発電に対する位置づけを抜本的に据え直し、他都市の実践に倣い、自然環境に配慮する仕組みを盛り込んだ上で、風速7m/s以上の海上などで積極的に取り組むこと。

    (答)

    風力発電につきましては、小型風力発電の実証実験において、高効率な風レンズ風車であっても、福岡市の風況では設置費用に見合う十分な発電量が得られなかったことから、現段階においては、太陽光発電のように広く導入を進めていくことは困難と考えております。

    今後とも、引き続き、技術革新の進展や民間事業者の動向などを注視し、必要な検討を行ってまいります。

  • 九州電力の再生可能エネルギーの出力抑制は2018年10月以来常態化しており、2021年度は95回となる見込みであり、これは“原発優先給電”の仕組みが再生可能エネルギー普及の最大の障害となっている。本市の西区大原と東区蒲田等の6か所のメガソーラー発電も大きな影響を受けており、再生可能エネルギー施策とも大きく矛盾する。したがって、市はこれを電力バランスの需給による仕方がないものとせず、九電と国に対して原発優先の「給電ルール」を見直し再生可能エネルギーを優先するよう強く要求すること。

    (答)

    優先給電ルールにつきましては、再生可能エネルギーの最大限導入と電力の安定供給を両立させていくために、各エネルギーの特性を踏まえ、国において定められているものと考えております。

    九州電力送配電(株)においては、再生可能エネルギーの出力制御量の低減に向けて、令和元年10月にオンラインによる制御時間の改善など運用の見直しが行われているほか、国においても、出力制御量の低減に向けた検討が進められているところであり、その状況を注視してまいります。

    引き続き、再生可能エネルギーの有効利用のため、連系線を活用した他地域への送電可能量の拡大などの基盤整備について、他都市と連携して国に対し働きかけてまいります。

  • 「2040年ゼロ」をめざすためには、広範な市民やあらゆる分野の民間団体、大企業から中小企業までが参加して、計画を策定することが必要である。中高校生や大学生など若者をはじめ、広く市民や企業・団体が参加する計画を策定すること。また、本市においても再生可能エネルギー事業に、幅広い事業者や市民、学生らが参加できるよう、予算規模と各種支援制度などを抜本的に拡充し、市民共同発電を真剣に育成していくこと。

    (答)

    地球温暖化対策実行計画の改定に当たりましては、市民、事業者、学識経験者などからなる地球温暖化対策実行計画協議会で意見を伺うほか、出前講座や市政アンケート調査、大学生を対象としたワークショップなど、幅広く意見を聞きながら進めているところです。引き続き、市民の方からの意見を伺いながら、計画改定を進めてまいります。

    また、再生可能エネルギーにつきましては、再生可能エネルギー由来電力共同購入事業EE電などを活用し、市民、事業者の利用推進に向けた普及啓発を行ってまいります。

  • 市役所本庁舎をはじめすべての公共施設で使用する電力を2040年に100%再生可能エネルギーに転換すること。また、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2013年比)すること。さらに、市有施設・市有地で太陽光や風力、小水力などの発電の活用を抜本的に拡大すること。その際は、環境保全や住民の健康に配慮すること。あわせて、本市の公用車948台中電気自動車はこの10年間ずっとわずか10台であり、ガソリン車などを電気自動車に更新していけば、2040年に100%電気自動車化は可能であることから、率先垂範すること。

    (答)

    市役所の業務にかかる温暖化対策の取組みにつきましては、2030年度までに電気やガスの使用に伴うエネルギー起源の二酸化炭素排出量を2013年度比で70%削減を目標として検討を進めており、その達成に向け、自家消費を目的とした太陽光発電設備を導入拡大するとともに、使用電力を原則、再生可能エネルギー由来電力に切り替えていくこととしております。(環境局)

    公用車につきましては、対象の車種が無い場合を除き、各車両の利用用途も踏まえ、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の優先的な導入を検討してまいります。(環境局・財政局)

  • 脱炭素化、省エネルギーと再エネルギーの推進は、新しい雇用を創出し、福岡の経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っている。本気で2040年にCO²排出実質ゼロをめざすならコロナ前に戻る従来型の「経済対策」ではなく、省エネ・再エネの推進を軸にした雇用創出とグリーン・リカバリー(緑の復興)を福岡市地球温暖化対策実行計画などに据えること。

    (答)

    脱炭素社会の実現に向けましては、環境への対応を制約として捉えるのではなく、成長の機会として捉え、対応していくことが重要なことから、現在、改定を進めている地球温暖化対策実行計画において、脱炭素経営への移行、関連イノベーションの創出などを取り組む方向性として位置づけることとして検討を進めております。

  • 政府は、「第6次エネルギー基本計画案」で、原発を唯一の「重要なベースロード電源」と位置づけ、2050年を展望して「必要な規模を持続的に活用していく」とし、2030年度の発電量(9340億kWh)の20~22%を原発で賄うとした。これは、規制基準審査未申請9基を除く27基(建設中2基含む)すべてを、2030年時点で運転期間40年を超える12基も含めて、フル稼働させる計画である。原発はひとたび事故を起こせば、極めて広範な地域に、長期にわたって深刻な被害を及ぼす異質の危険がある。温暖化対策を口実に原発の再稼働、新増設に固執する岸田政権の姿勢は許されず、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するよう、国に求めること。

    (答)

    原子力発電所の再稼働などにつきましては、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えております。(市民局・環境局)

  • 九州電力玄海原発3、4号機は原子力規制委員会の「新基準」の審査で合格し再稼働されているが、2020年12月の大阪地裁判決は、想定される地震の揺れ(基準値振動)が過少評価されているとし、原子力規制委員会の設置変更許可を取り消す判断をおこなっており、規制委員会の審査が安全を保障するものではないことが明らかになっている。したがって、市長は九電と国に対して、玄海原発の3・4号機の即時停止と早急な廃炉を強く要請すること。

    (答)

    新規制基準につきましては、福島第一原子力発電所の事故の教訓などを踏まえ、従来の基準から大幅に強化された基準であり、玄海原子力発電所3・4号機の再稼働につきましては、新規制基準に基づく国の厳格な適合性審査のもと、安全性が十分に確認され、再稼働に至ったと認識しております。

    今後とも、原子力発電所の安全確保と情報公開の徹底について、国及び県に要望を行うとともに、原子力災害対策の充実に努めてまいります。(市民局)

    原子力発電を含めた電源構成については、国のエネルギー政策の中で判断されるべきものと考えております。(環境局)

  • 原発の再稼働に対する同意権や事前了承権を、30キロ圏内の周辺市町村に広げる取り組みが、東海第二原発や静岡県浜岡原発で始まり、全国的にも広がっている。一方、本市が九電と締結した「原子力安全協定」は、2次給水系事故などの報告義務が除外されているなど全く不十分である。また、玄海原発で起きた火災事故について九電から本市への第一報があったのは、2021年8月7日の事故では1時間12分後、11月16日の事故では1時間22分後である。この対応は、放射能が漏れるような事故が発生した時に、仮に風速6m/秒の西風の下ではすでに放射能が市内に到達している時間であり、あまりに遅すぎる。したがって、どんな微細な事故であってもすべてを直接福岡市へただちに連絡させるとともに、事故後対策だけでなく、再稼働にあたっての本市への事前説明と事前了解権、立ち入り調査権を認める内容を盛り込むよう「原子力安全協定」の見直しをすること。

    (答)

    「原子力安全協定」につきましては、原子力災害に備えていく上で、重要かつ必要なものであり、今後の「原子力災害対策特別措置法」や「原子力災害対策指針」などの改正を踏まえながら、実効性ある協定となるよう検討を進めてまいります。

    今後とも、国や県と連携し、迅速な情報収集に努めてまいります。

(2)大気汚染・騒音

  • 国の騒音規制法に基づいて行われている「道路に面する地域における環境基準の達成状況」では市内の4418戸が昼夜ともに騒音レベルの環境値を超過している。また、市が独自に行っている自動車による騒音の定点観測地点11か所の測定では、昼間は4か所、夜間は6か所が環境基準を超えている。さらに、光化学オキシダントの昼間の1時間値が環境基準を超えた日数が香椎測定局では年間80日に達している。したがって、自動車による騒音、大気汚染などの原因を抑制するためにも、「自動車交通公害防止計画」を再び策定し、自動車交通の総量規制をおこなうこと。また、現在の交通量などから、騒音、振動、大気汚染の観測地点の選定についての見直しを行うこと。

    (答)

    自動車騒音につきましては、令和2年度は幹線道路の沿道住居などの96.4%で、昼夜ともに環境基準を達成しており、大気環境につきましても、自動車に起因する代表的な大気汚染物質である二酸化窒素は、平成22年度以降、福岡市内の全ての測定局で環境基準を達成しております。今後も引き続き、道路管理者と定期的に情報共有を図りながら、環境基準達成に向けて取り組んでまいります。

    また、騒音などの測定地点につきましては、今後とも国が定める事務処理基準に基づいて適切に実施してまいります。

  • JR福岡貨物ターミナル駅では、貨車の連結やブレーキの音、リフトの作業音などが、深夜2時まで鳴りやまず、周辺住民の受忍限度を超えている。市は、日本貨物鉄道株式会社に対し、貨車の運行時間を夜12時までとし、深夜の騒音を伴う作業をやめるよう、国土交通省や環境省とも連携を図って同社に実行させるとともに、防音壁を設置させ騒音被害を軽減させること。

    (答)

    福岡貨物ターミナル駅に関する騒音につきましては、市民の相談により騒音を測定し、鉄道事業者に騒音対策を要請してきたところであり、鉄道事業者においては、これまで、運行速度順守の徹底や騒音低減に向けたレールの改良を実施しております。

    また、在来鉄道の走行騒音につきましては、環境基準などが定められておらず、新設及び大規模改良に際してのみ騒音問題の未然防止などのための指針が定められている状況にあるため、既設の在来線についても指針などを策定し騒音対策を推進するよう国へ要望を行っております。

    今後も、市民の相談に応じて、鉄道事業者に対する騒音対策の要請などを実施してまいります。

(3)干潟保全

今日、世界で、干潟は水の浄化など自然の恵みをもたらすものであり、温室効果ガスである二酸化炭素の吸収にも重要な役割を果たしていると再認識されるようになり、保全が重視されてきている。11月18日、鹿児島県出水市の干拓地一帯が、例年1万羽を超えるツルが飛来する国内最大の渡来地としてラムサール条約に登録され注目されている。本市の和白干潟も、絶滅が心配されているクロツラヘラサギ・ズグロカモメ・ツクシガモなどが、餌となる貝、カニ、ゴカイなどの豊富な底生動物を求めてやってくる日本海側で最大規模の干潟である。33年にわたる和白干潟を守る保全活動は日本ユネスコ協会連盟から「未来遺産」に登録(2013年)され、2016年4月の環境省の「重要湿地」として発表された「ラムサール条約潜在候補地リスト」でも登録基準をクリアしている。本市として条約登録を「将来的な課題」とせず、登録に向けた地域住民の理解を速やかに得る手立てをとること。和白干潟の「特別保護地区」指定を国に申請し、ラムサール条約登録地にされるよう積極的な取組みを推進すること。

(答)

和白干潟のラムサール条約登録につきましては、まず国、県と連携して国指定鳥獣保護区の特別保護地区指定について地域住民の理解を深めていくことが必要であるため、将来的な課題であると考えております。

干潟の保全につきましては、「博多湾環境保全計画(第二次)」においても、重要な施策として位置づけており、今後も引き続き、市民、NPОなど多様な主体との連携、共働により干潟の保全に取り組み、和白干潟の重要性について、理解を深めるための取組みを進めてまいります。

(4)ごみ

  • 本市は2011年に策定した「第5次福岡市一般廃棄物処理基本計画」において、2030年度のごみ処理量を53万tとするとしており、これは前計画(第4次計画)よりも削減幅を下げる目標となっている。市はこの状況を、「人口が前計画の想定を上回って増加」したためなどと言い訳しているが、「福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」第3条には、「市は、あらゆる施策を通じて、廃棄物の減量を推進する」と責務が謳われていることからも許されない。したがって、市は、ごみ処理量の抜本的な削減を明確にした目標とするよう「第5次基本計画」を見直すこと。

    (答)

    「循環のまち・ふくおか推進プラン」の数値目標につきましては、今後の人口や事業所数の増加といった都市の成長を見込みごみ処理量を推計し、新規施策の効果や国の方向性も踏まえ設定しております。

    「循環のまち・ふくおか推進プラン」では、可燃ごみ組成の上位3品目である古紙、プラスチックごみ、食品廃棄物を重点3品目と位置づけ、重点的な施策を実施することとしており、今後もこのプランに基づき、市民・事業者とともに発生抑制と再利用の2Rに重点を置いた3Rの取組みを推進してまいります。

  • 海洋プラスチックごみをはじめプラごみ対策は、地球の将来がかかった大問題である。本市では、年間11万2000tのプラスチック類が焼却処理され、再生利用されているのは瓶と合わせて1万1000t程度である。そもそもプラスチックの焼却は化石燃料を燃やすことと同じであり、二酸化炭素排出により温暖化への深刻な影響を与えるものである。本市の家庭系プラスチックごみの焼却量を2030年度までにわずか3000tだけ減らす「第5次基本計画」は、2040年カーボンニュートラルとの整合性がない。したがって、2030年に使い捨てプラスチックは医療用など必要不可欠なものを除き排出をゼロにする計画を持つこと。また、国のプラスチック資源循環促進法の国会審議では、廃プラスチックの総量削減に後ろ向きの政府の姿勢が露呈しており、プラスチック製品の大量製造、大量消費という経済社会の在り方を見直し、生産から廃棄までメーカーが責任を負う拡大生産者責任を明確にして、プラごみ回収のコストを製造者側が負担するよう国に強く求めること。

    (答)

    プラスチックごみ対策につきましては、「循環のまち・ふくおか推進プラン」に基づき、発生抑制と再使用の2Rに重点を置いた3Rの取組みを推進しており、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を踏まえ、環境配慮設計や使用の合理化、代替素材の利用の促進に向けて、市民・事業者と連携しながら更なる取組みを推進し、使い捨てプラスチックの削減に努めるとともに、プラスチックごみの効果的な回収・リサイクル体制の構築に向けた課題を検証するため拠点にて回収を行うモデル事業を実施してまいります。

    また、プラスチック資源の分別収集及び再商品化に係る費用につきましては、市町村の負担軽減が図られるよう、引き続き国に要望してまいります。

  • 家庭ごみの収集運搬労働者は、コロナ禍の下でエッセンシャルワーカーとして不安を抱きながら業務をしているが、人口も処理量も増え仕事も増えているにもかかわらず、その賃金は低水準に据え置かれており、委託企業の多くで定期昇給がない。夜間戸別収集を維持・継続するためには、委託労働者の雇用の安定と労働条件の改善は不可欠である。したがって、市が危険手当として特別給付金を出すとともに、全職員がPCR検査等を定期的に受けられる予算を確保すること。また委託料の算定にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。

    (答)

    コロナ禍において、安定的にごみ収集業務を継続していくためには、収集時における手袋、マスクの着用や消毒の徹底などの感染防止対策にしっかり取り組むことが最も重要であると認識しており、委託料に感染防止対策に必要な経費を見込んでおります。

    また、委託料につきましては、社会情勢を適切に反映した改定を定期的に行っており、今後も安定的な事業継続が実施できる体制の確保に取り組んでまいります。

  • 高齢者や障害者などを対象にした粗大ごみの持ち出しサービスは無料にすること。

    (答)

    粗大ごみの持ち出しサービスにつきましては、従来の粗大ごみ収集運搬事業の追加サービスとして、高齢者や障がい者などを対象に新たに実施した制度であり、市民サービスの公平性を保つ見地から、受益者負担の原則により、利用される方々に経費の負担をお願いしております。

(5)盛り土

今年7月に発生した静岡県熱海市の大規模土石流では、大量の土砂が市街地をのみ込み、大きな犠牲と被害を出したが、土石流の要因が「盛り土」だった疑いが濃厚になっている。本市でも、危険な盛り土の総点検と情報開示をおこない、緊急な安全対策を急ぐこと。また、土砂災害特別警戒区域には盛り土をさせないことを「福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例」に盛り込み、違法な盛り土造成への規制を強化すること。さらに、西区今宿青木字油坂におけるソーラーパネル設置のための盛り土造成については、本市のこれまで指導・監督が極めて杜撰であったことが明らかとなっている。許可を取り消し、災害防止措置を直ちに講じるよう市が責任を持って対応すること。

(答)

盛り土などに起因する災害発生の防止につきましては、平成19年に制定した「福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例」に基づき、これまでも市民生活の安全に寄与することを最優先に、県とも連携しながら取り組んでおります。

現在、国において、盛土の総点検調査が行われており、災害の危険性のある箇所への対応や土地利用規制など、安全性を確保するために必要な対策などを検討していくと聞いております。国や県などの動向を踏まえ、適切に対応してまいります。

西区今宿青木字油坂における開発につきましては、災害防止措置を適切に実施できるよう、今後も引き続き指導を行ってまいります。

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5、コロナ危機に苦しむ中小企業、農林水産業を支援し、地域経済の立て直し

(1)中小企業・小規模企業者支援および地域経済振興

  • コロナ禍における本市の経済対策は、制度から漏れる業種・業者がまだまだ少なくないとともに、支給金額も不十分である。コロナで苦境に喘ぐ中小零細業者の事業継続、経営回復のためにきめ細やかな支援策を早急に作るとともに基本計画にも短期的・集中的ではなく時間をかけてしっかりと支援していくことを反映させること。

    (答)

    福岡市においては、これまで、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業への対応として、幅広い事業者への支援や、感染症の影響を特に受けた事業者への支援など、感染拡大防止と社会経済活動の維持の両立に向けた市独自の経済支援策を実施しております。

    コロナ支援策については、スピード感をもって適切に取り組む必要があると考えており、コロナの影響を受けた市内企業の事業継続と、雇用維持を支援するため、現在改定しております「みんなで応援!中小企業元気都市プラン」(基本計画)の中で、強化項目のひとつとして検討しているところであります。

  • 中小企業政策を創業、急成長型のベンチャー支援など特定の業種に重点化せず、現存する企業、雇用を守ることに改めること。本市の経済と雇用を支えている中小企業・小規模企業者向けの振興予算を抜本的に増やすこと。

    (答)

    中小企業の成長と発展を図ることは、本市における産業政策の基本課題であり、中小企業・小規模事業者が、社会経済環境の大きな変化の中で、持続的に成長・発展していくためには、新製品やサービスの開発、新市場の開拓など、イノベーションにチャレンジしていくことが重要であると考えております。このため、中小企業振興条例に基づき、「経営基盤の強化」として、中小企業振興の根幹であり、経済観光文化局予算の8割を占める商工金融資金制度の運用や、きめ細かな相談業務などによる経営支援を行うとともに、「持続的発展の促進」として、商店街や伝統産業など地域に密着した経済活動の活性化の支援、中小企業・小規模事業者の「多様で活力ある成長発展の促進」として、第二創業を含むスタートアップの支援・育成や、観光・集客戦略などに取り組んでおります。

    今後とも、これらの施策を積極的に推進し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を基本としながら、中小企業の支援に努めてまいります。

  • 「中小企業者の実態の把握」(中小企業振興条例第4条)の一環として、小規模企業者に特化した実態調査を実施すること。中小企業者や小規模企業者の意見を反映させるために、中小企業振興審議会の回数を増やし、部会を作るなどして、より専門的な活動ができるようにすること。審議委員に小規模企業者の代表を参加させること。

    (答)

    中小企業者の実態につきましては、経営の相談や診断・助言、「中小企業振興審議会」などの各種会議の場の活用のほか、小規模企業者を含む市内中小企業などを対象としたアンケート調査を行うことなどにより、把握に努めております。今後とも効果的な調査手法を研究し、中小企業者の置かれている現状・課題の把握に努めてまいります。

    また、各種施策の実施などを通して、幅広い方々からのご意見を施策に反映させるよう努めるとともに、個別の施策について、より専門的な意見が必要な場合は、専門家などによる委員会などを設置し、ご意見をいただき、適切に対応しております。

  • 地場中小企業・小規模企業の仕事づくりにつながる用途の制限がない住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム支援制度を創設すること。

    (答)

    住宅リフォーム助成制度につきましては、市民の安全安心な住宅の確保や良質な住宅ストックの形成を図るため、戸建住宅や共同住宅の耐震化や要介護などの高齢者がいる世帯を対象としたバリアフリーなどに対して助成を行っております。(住宅都市局)

    また、商店のリフォームなどに対する支援につきましては、商店街の共同施設の設置費用の一部を助成しております。(経済観光文化局)

  • 中小企業にとっても、脱炭素の取り組みは光熱費・燃料費削減などのコスト面だけでなく売り上げの拡大、融資獲得といった事業の成長につながる。「省エネ投資」のための融資制度の創設など脱炭素の取り組みを支援すること。

    (答)

    中小企業に対しては、エネルギー消費量の現状把握の支援やアドバイザーの派遣、省エネ手法の紹介などにより脱炭素の取組みを支援しているところです。(環境局)

    融資制度につきましては、既存の「環境・エネルギー対応資金」を中小企業の省エネ投資などを促進する融資メニューに改定するなど、市内中小企業の脱炭素に資する取組みを支援してまいります。(経済観光文化局)

  • 競争入札資格のない未登録業者に対して、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する小規模工事登録制度を実施すること。

    (答)

    小規模工事登録制度につきましては、発注のあり方や施工上の課題などの整理・研究を行っております。

  • 1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対して行っている「令和3年度官公需に関するアンケート調査結果」によると発注金額のうち地場中小企業の割合は約6%、地場小規模企業者にいたっては約1%に過ぎない。実態調査を行い現状を正確に把握するとともに公共事業を地元中小企業、特に小規模企業者へ優先して発注すること。

    (答)

    官公需につきましては、従来より地場中小企業の育成、振興を図る立場から、可能な限り地場中小企業へ優先して発注することを基本方針とし、公共工事の発注に当たっては、地場企業の受注機会の拡大を図るため、可能な限り分離・分割発注を行うよう努めるとともに、元請企業に対しては、特記仕様書において、下請発注や資材調達における地場企業活用の努力義務を課しております。

    官公需の発注状況につきましては、福岡市が1億円以上の発注をした公共工事施工業者に対してアンケート調査を毎年実施し、下請発注状況などの把握に努めております。

  • 官公需契約実績によれば中小企業者向け実績は金額でも件数でも5年前と比較して割合が減少している。地場中小企業者・地場小規模企業者向けの発注割合を増やすこと。

    (答)

    公共事業の発注につきましては、可能な限り分離・分割発注することで、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めており、引き続き、取組みを続けてまいります。

  • 市発注の公共事業の下請け、孫請けの賃金について、国から依頼された調査結果を準用して設計労務単価が支払われているかを調査するとともに抜き打ちでの調査も行うこと。あわせて、事業主が負担すべき必要経費(法定福利費、安全管理費)が適切に支払われていることも調べること。また、調査に基づいて指導すること。

    (答)

    福岡市におきましては、労務単価の運用に係る特例措置の実施やインフレスライド条項を適用し請負代金額を変更した場合は、元請業者と下請業者の間で既に締結している請負契約の金額の見直し、技能労働者への賃金水準の引き上げなどについて適切に対応することや、法定福利費等の適切な支払いなどを元請業者に対し文書で要請しております。

    さらに、下請契約を締結する全ての公共工事において、施工体制台帳及び施工体系図の提出を求め、各監督課にてその内容を確認しており、財政局においては、毎年実施している施工体制一斉点検の際に、下請契約の締結状況などについて現場で確認を行っております。

    なお、下請契約の適正化につきましては、「建設業法」に基づき、国または県において調査や指導あるいは監督処分などの措置がとられることとなっております。

  • 国が公契約に関する法整備を怠っている状態を放置することは許されず、本市の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける公契約条例の制定をすすめること。

    (答)

    公契約条例の制定につきましては、国において公契約に関する法制を整備するのが適当であると考えております。

  • 2023年10月からインボイス(適格請求書等保存)制度を導入するために、この10月から発行事業者登録が開始された。小規模企業者、個人事業主やフリーランスを取引から排除し、淘汰を推し進めるものであり、国に中止を求めること。

    (答)

    インボイス制度は、複数税率の下において適正な課税を確保する観点から、関係法の改正により令和5年10月1日から導入されることとなっております。

  • 自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を必要経費として認めない所得税法第56条は国連女性差別撤廃委員会からも見直し・検討を求められている。廃止するよう国に求めること。

    (答)

    所得税法第56条では、個人事業は家計と事業とを切り離して考えることが難しく、事業に関する様々な対価を適正に認定することが税務執行上困難であることから、その対価は必要経費に算入できないこととされております。

    一方、同法第57条では、事業専従者について、一定額を必要経費に算入できること、さらに青色事業専従者については、記帳・保存の義務を果たすことで給与支払額の全額を必要経費に算入できることとされておりますことから、家族従業者の労賃についても、税制上考慮されているものと考えております。

(2)雇用・労働条件

  • 過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにする働かせ方を強いる企業が少なくない。労働問題を県や国に任せるだけでなく、専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話やSNSを使った相談を実施すること。調査、相談、啓発を網羅した、違法・脱法的な働き方をなくすための条例をつくること。

    (答)

    労働問題につきましては、労働基準関係法令などに基づき、監督指導権限を有する国及び県が主たる役割を果たしており、福岡市はそれを補完する役割を担っていると考えております。

    国は、福岡市内において、労働局や労働基準監督署のほか、「総合労働相談コーナー」を3か所設置しており、また、平日の夜間及び土日も電話相談が可能な「労働条件相談ほっとライン」を設置するなど、国による労働相談の取組みが行われております。

    福岡市におきましても、市民相談室で労働問題に関する相談を受けた場合は、弁護士による法律相談を受け付けるほか、国の労働基準監督署や県の労働者支援事務所等の専門窓口につなぐなど、引き続き、国や県などの関係機関と連携を図りながら、取組みを進めてまいります。

    また、労働に関する法令や制度をわかりやすく解説した「働くあなたのガイドブック」及びガイドブックを抜粋した「働くあなたのリーフレット」を発行し、福岡市内の高等学校や専門学校、大学・短期大学、情報プラザや区役所などで配布するとともに、福岡市ホームページへ情報を掲載するなど、引き続き、周知・啓発に努めてまいります。

  • 「働くあなたのガイドブック」は、抜本的に作成部数を増やすとともに、どのように配布し活用されているのかを把握すること。また、「働くあなたのリーフレット」を市内の高校、専門学校生、大学生全員に渡せるように作成部数を増やすとともに、労働者向けリーフレットを作成すること。

    (答)

    労働に関する法律や制度を知ってもらい、安心して働き、豊かでゆとりある生活を送っていただくためには、若い時から労働関係法令などを学んでいただくことが重要であると考えております。このため、労働関係法令を分かりやすく解説し、労働相談窓口を紹介する「働くあなたのガイドブック」を令和2年度につきましては、令和3年1月に12,000部を発行し、福岡市内の全ての高等学校、短大、大学、専門学校に必要部数を送付したほか、合同会社説明会の会場や市関連施設などでも広く配布しているところであり、引き続き必要部数を発行し、配布してまいります。

    また、「ガイドブック」をもとに学生向けに編集した「働くあなたのリーフレット」を、令和3年1月に40,000部発行し、福岡市内の全ての高等学校、短大、大学、専門学校に必要部数を送付したところであり、引き続き必要部数を発行し、配布してまいります。

    さらに、「ガイドブック」及び「リーフレット」と同じ内容を福岡市ホームページに掲載し、誰もがその情報を手軽に得られるようにしており、今後とも、利用者のニーズを踏まえた周知・広報に努めてまいります。

(3)農林水産

  • コロナ禍のもとで、主食米の需要量見込みが大きく下がる可能性があるが、減反を押し付けないように国に要望すること。価格や需要安定、貧困対策のために政府備蓄米の買い上げを増やすなど抜本的な対策を要求すること。日本の経済主権・食料主権を守るために日米貿易協定やTPP、EPA、FFRはやめるよう国に求めること。

    (答)

    国の米政策につきましては、全国市長会などを通して、地域の声を反映させるとともに担い手の所得の安定・向上が図られるよう要望してまいります。

    また、国家間の協定につきましては、政府において適切に判断される問題であると考えておりますが、引き続き、国の動きを注視するとともに、全国市長会などを通して、国民への十分な説明や農林水産分野におけるTPP等関連対策の着実な実施を要望してまいります。

  • コロナ禍での減収対策としても野菜、花卉の価格安定制度の改善・拡充は大切であり、国に要望するとともに、市の「野菜花き生産安定事業」は品目を拡充すること。

    (答)

    国や県が実施している価格安定制度の改善や充実につきましては、生産者の声を聞きながら必要に応じ、国や県に要望してまいります。

    また、市の生産安定事業の品目の拡充につきましては、引き続き生産者ニーズの把握に努め、柔軟に対応してまいります。

  • 本市の農家の経営主の平均年齢が72.6歳となっている。農家戸数及び農業従事者数についても、2016年度と2020年度を比較すると、431戸(19%)、963人(27%)も減少している。農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすこと。

    (答)

    農家の後継者づくりにつきましては、青年農業者の育成支援や親世代の経営安定化を図ることで、次世代へ円滑に継承できるよう進めてまいります。

    また、農業技術を習得するためのインターンシップなどの研修や国補助を活用した経営確立のための資金交付、農業用機械・施設などの経費助成及び低利融資などにより、新規就農者の確保に向け取り組んでまいります。

    さらに、新規参入者につきましては、関係機関と連携し、新規就農相談や農地のあっせんなどを行ってまいります。

  • これ以上耕作放棄地を増やさない手立てをとるとともに、活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにすること。

    (答)

    耕作放棄地の活用につきましては、農業委員会と連携し、農地を借りたい人と農地所有者とのマッチングを行うとともに、再生に取り組む農業者への支援を行うなど耕作放棄地の活用に向けて検討してまいります。

  • 有害鳥獣による農作物への被害額は3921万円となっており影響は依然大きい。被害の多くを占めるイノシシ対策のためワイヤーメッシュ、電気柵の設置など予算を増やすこと。

    (答)

    有害鳥獣による農作物被害対策につきましては、引き続き、国の補助事業を活用した農地への侵入防止柵の設置や猟友会への活動支援など、県農林事務所、JA及び隣接する糸島市などと連携しながら、広域的な被害防止対策を推進してまいります。

    国や県に対しては、引き続き、県市長会などを通して支援の拡充などの申入れを行ってまいります。

    さらに、イノシシ被害対策につきましては、報奨金支給による負担軽減やICT・IoTを活用した効果的なわなの設置などにより捕獲活動を促進するとともに、出没しにくい環境づくりに関する市民啓発や講習会の開催、農地の自衛に取り組む農業者への支援など、地域とも協力しながらより効果的な対策を推進してまいります。

  • コロナ禍のもと、漁価の下落、販売量の低迷などで漁業従事者の暮らしと経営が悪化しているため支援は引き続き必要である。漁船保険料の助成制度を再度つくること。

    (答)

    漁船保険料の助成につきましては、令和2年度のコロナ禍における魚価の低迷などにより、売上が減少した漁業者を救済するための緊急対策として、経費の一部助成として実施したものであります。

    令和3年度からは、漁獲高の減少や魚価の低迷などの売上減少を補償する漁業共済の漁業者掛金の助成割合の引き上げを実施することで、漁業共済の加入促進を図り、漁業経営の安定に努めております。

  • 生物の生息・生育に適した水質・底質環境を成立させ、多様な生物が保全される博多湾になるように漁協が行っている漁場保全・環境改善活動への支援を拡充すること。離島漁業再生活動促進事業での支援を継続すること。

    (答)

    福岡市漁業協同組合が行う漁場保全・環境改善活動につきましては、アサリ再生活動や海底ごみ回収などの支援を継続するとともに、支援内容についても福岡市漁業協同組合と協議してまいります。

    また、離島漁業再生活動促進事業につきましては、小呂島、玄界島に対し、国の「離島漁業再生支援交付金」制度を活用し、アワビの種苗放流など持続的生産が可能な漁業環境づくりを推進してまいります。

  • 市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。また、市公共施設における木材使用量を増やすために利用促進を義務付ける条例を制定すること。

    (答)

    地域産木材の利用促進につきましては、これまでも先導的に、公共建築物における地域産木材を活用した木造・木質化を推進してきたところであり、地域産木材の流通の仕組みづくりなど一層の木材利用の促進に努めてまいります。

    また、木材利用促進の条例制定につきましては、他都市の事例などを参考に研究してまいります。

  • 原油高騰の影響を受けている農業者、漁業者を支える施策を緊急に講ずること。

    (答)

    原油価格が高騰した場合に備え、農業者、漁業者は、国が実施する燃油高騰対策のためのセーフティネットに状況に応じ加入されており、燃油価格が一定の基準を超えた場合には補てん金が支払われることとされております。今後も原油高騰による影響について注視してまいります。

  • 貨物船が防波堤に乗り上げ博多湾広域に油を流出させた事故で、漁業関係者は休漁を余儀なくされたり、風評被害を被ったりするなど大きな打撃を受けている。補償について保険会社と関係者任せにせずに、適切な関与を行うとともに公的責任を果たし、被害を最小に止めること。

    (答)

    福岡市漁業協同組合からの報告では、水産物への影響はないとのことですが、今後も油流出事故による漁業者への影響について注視してまいります。

    なお、漁業関係者が受けた損害につきましては、船主に対して、請求を行うことになると考えており、福岡市としても福岡市漁業協同組合の請求額全額が補償されるよう、必要なサポートを行ってまいります。

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6、すべての子どもの権利、個人の尊厳を大切にする教育・学校に

(1)学校におけるコロナ対策

新型コロナのデルタ株は感染力が強く、感染しにくいとされてきた子どもたちへの感染が広がった。感染者数が落ち着いてきた10月以降も、10代未満及び10代の感染者が確認され、2学期以降の学級閉鎖を実施した学校数は99校となった。今後の感染再拡大は予断を許さず、学校における感染対策の抜本的強化が求められている。

  • 文科省の「学校で児童生徒等や教職員の新型コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドライン」に基づき、学級で感染者が1人でも確認された場合、PCR検査を濃厚接触者に留めず、学級全体あるいは学年全体などを対象に検査すること。

    (答)

    学校で感染者が確認された場合につきましては、九州大学病院グローバル感染症センターの専門的な助言などを踏まえ、保健所と連携しながら、適切に対応していくとともに、今後とも学校における感染拡大防止に努めてまいります。

  • 学校での感染拡大防止のため、教育委員会の責任で、週2回程度の頻回検査を実施できる体制を整備すること。

    (答)

    学校におきましては、子どもたちに対して登校前の家庭での検温や登校時の学校での検温など、1日を通しての健康状態の把握を徹底しており、発熱等の症状がみられる場合は自宅での休養と医療機関の受診を促すなど、感染症対策を徹底しております。

    また、学校で感染者が確認された場合、感染者の最終登校日や最終出勤日に応じて学級閉鎖を行うなど、学校内での感染拡大防止に努めております。

  • 感染不安などで登校を見合わせている子どもの学びを保障するためにも、希望する児童生徒全員がオンライン授業を受けられる体制とネット環境の整備を教育委員会の責任で行うこと。

    (答)

    感染不安などで登校を見合わせている児童生徒のうち、希望する児童生徒に対しオンライン授業を実施し、学びの保障に努めております。あわせて、インターネットの環境がない家庭には、モバイルルーターを貸し出しております。

  • 全国一斉休校や授業時間の確保を優先した詰め込み教育、一方的な行事の削減と夏休みなどの短縮は、子どもたちに新たなストレスを与えた。コロナ危機の下で、学習指導要領どおりのカリキュラムを押しつけず、子どもの実態に応じて教育内容の精選を柔軟に行うよう各学校に助言すること。

    (答)

    教育内容につきましては、文部科学省が示す学習指導要領に基づき適切に授業を実施するとともに、各学校の状況に応じて適切な指導・助言を行ってまいります。

(2)少人数学級

教育委員会は、2021年度、コロナ対策として、教室内での身体的距離を確保するために、小中学校全学年で35人以下学級を実施した。しかし、学級数が増えるにも関わらず教員を増やさず、担任外教員を担任に振替えて対応したために、「コロナ感染にともなう保健所や保護者との対応が管理職に集中している」「毎日の消毒や検温、対面とオンラインの併用授業、子どもの心のケアなど業務は増える一方で、担任外教員と協力してやっていたことを全て担任1人でやらなければならない」など負担は限界に達している。ところが、政府は35人以下学級を段階的に拡大する一方で、来年度の教員定数を削減しようとしている。コロナ禍の子どもたち一人ひとりの学びと成長を支える手厚い教育を実現するためにも、市独自に必要な予算を確保し、教員を抜本的に増員して、来年度も引き続き35人以下学級を実施すること。あわせて、将来的に20~30人程度の少人数学級を実現するための法改正や予算の増額を国に求めること。

(答)

福岡市では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、令和3年度に小・中学校全学年で、35人以下学級を暫定的に実施しているところですが、検証の結果、学力向上やきめ細やかな指導の充実等への効果が認められたことなどを踏まえ、令和4年度以降、本格的に実施してまいります。

教職員の配置につきましては、学級編制の標準の段階的な引き下げや、小学校高学年における教科担任制推進に伴い、いわゆる義務標準法に基づき配当される教員定数に追加が予定されておりますが、これと併せて、35人以下学級の本格実施に当たり、学校体制の充実を図るため、本市独自に30人の非常勤講師を追加配置いたします。

また、教職員定数の充実については、今後とも国に要望してまいります。

(3)ICT教育

  • 教育におけるICTの活用は必要なことであるが、子ども1人に1台のタブレット端末を整備するGIGAスクール構想は、その教育効果や子どもの健康への影響などについての真剣な検討もないままに、当初の予定よりも大幅に前倒しで実施された。文科省は、「個別最適化された学び」とともにICTを活用して双方向型の「協同的な学び」を実現するなどとしているが、現場で行われようとしているのは、クラウド上の学習動画の視聴やAIドリルの活用という教育の孤立、画一化である。また、ICT活用の研修など教員の負担は増大している。ICTを使いさえすれば、子どものモチベーションが上がり、授業がよくなるわけではない。教員の深い教材研究による、子どもの実態に合わせた主体的な授業づくりこそ奨励し、タブレット端末の使用は強制とせず、個々の教員の判断に委ねること。

    (答)

    福岡市におきましては、端末を効果的に活用し、児童生徒が共に学び合う協働的な一斉学習や、AIドリルや福岡TSUNAGARU Cloudの学習動画を活用した学習を行うことにより、個々の習熟度に応じた学習を進めております。

    今後も1人1台端末を活用し、これまで培ってきた教育実践にICTを組み合わせ、児童生徒1人ひとりの可能性を最大限に引き出す学びの実現に努めてまいります。

  • タブレットを家庭に持ち帰り、AIドリルを活用した家庭学習が実施されている。そのAIドリルの結果や家庭学習の時間などが「学習ログ」としてクラウド上に蓄積される。こうした個人情報が教育産業に流出することは許されず、「学習ログ」の流出を防ぐ有効な手立てを講じること。

    (答)

    クラウド上に蓄積される学習ログに関しては、教員が取組み状況を把握することで指導において活用する以外においては、個人が特定されるものとならないよう、運用について徹底してまいります。

  • 教員のICT技術取得のための研修は、コロナ対策など業務過多となる中で、大きな負担となっている。教育委員会が責任をもって、ICT支援員を各学校1人ずつ配置すること。

    (答)

    ICT支援員については、現在各学校に月2回の派遣を行っており、加えて、常時、電話相談が可能な「ヘルプデスク」を設置するなど、学校のICT活用の支援を行っております。

    研修につきましては、各学校のICT活用推進リーダーを中心とした校内研修による教員全体のスキルアップを図るとともに、「学習支援アプリの操作方法」などの研修動画を常時視聴可能にするなど、教員が効率的にICT技術を取得できるよう努めてまいります。

  • 修学旅行出発前の2週間は登校せずにオンライン授業とする措置をとった学校がある。1日5時間の授業をすべてオンラインで2週間実施することは、子どもの健康に照らして問題があるのではないかという声があがっている。オンラインの適切な活用について、子どもの健康上の配慮すべき留意事項などを教育委員会として整理し、各学校に示すこと。

    (答)

    オンラインの適切な活用については、文部科学省から出された「児童生徒への配慮等に関する啓発リーフレット」を児童生徒、保護者に学校を通して配布し、健康に配慮した使い方を示しております。

    今後も、1人1台端末を使用する際は、児童生徒に健康に配慮し使用するよう、引き続き指導してまいります。

(4)福岡市教育振興基本計画

第2次福岡市教育振興基本計画は、少人数学級の拡大や特別支援教育の教員の加配、教育環境の整備などが抜け落ちており、低学年からの英語教育を押しつけ、財界要求のグローバル人材育成を強調するゆがんだものとなっている。よって、同計画は、コロナ禍で新たな不安とストレスをため込んだ目の前の子どもたちの実態から出発した手厚く、柔軟な教育の実現をめざし、憲法と子どもの権利条約の立場に立ち、一人ひとりの子どもの発達と人格の完成を土台に据えたものへと抜本的に見直すこと。

(答)

「第2次福岡市教育振興基本計画」は、福岡市の教育の大きな方向性を示す基本的な計画として策定しており、めざす子ども像や重視する教育の方法、推進すべき施策を定めております。

本計画で掲げるめざす子ども像「やさしさとたくましさをもちともに学び未来を創り出す子ども」の実現に向け、確かな学力の向上をはじめとした17の施策を、引き続き推進してまいります。

(5)教職員の働き方

  • 2020年度、過労死ラインを超える時間外在校等時間「月80時間以上」の教員の割合は、小学校が平均4.7%、中学校が平均7.7%であり、教育委員会が定める上限の目安である「月45時間以内」の教員の割合も小学校が平均64.5%、中学校が平均58.7%にとどまっている。2021年度は、小中学校全学年で35人以下学級実施に伴い、担任外教員が減らされたため、教員の負担は大きくなる一方であり、マンパワーが圧倒的に足りないと現場から悲鳴があがっている。さらに、新型コロナ対応も加わり、管理職をはじめとして対外的な業務も激増している。教員定数を抜本的に増やすよう国に求めるとともに、市独自に教員とスタッフを増やし、業務の削減を図るなど、長時間労働是正のためにあらゆる手立てをとること。1日の労働時間を10時間まで可能とする「1年単位の変形労働時間制」は、現在の長時間労働にお墨付きを与え、固定化させてしまうものであり導入しないこと。

    (答)

    教職員定数の充実につきましては、今後とも国に要望してまいります。

    教員の時間外在校等時間の縮減につきましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクール・サポート・スタッフなどの専門スタッフを配置・拡充するとともに、自動音声メッセージ機能付き電話の導入、教職員庶務事務システムや高等学校校務支援システムの構築などの取組を実施しております。引き続き、学校における働き方改革を推進してまいります。

    「1年単位の変形労働時間制」の導入につきましては、国が示す導入の条件や他都市の動向などに留意しながら、引き続き検討してまいります。

  • 新学習指導要領の全面実施により、年間の標準授業時間数は小学3年生が980時間、4~6年生は1015時間となり、ほぼ毎日6時間授業となっている。標準授業時間数はあくまで目安の数字であり、必ずしもその時間数を実施する必要はなく、子どもの実態に合わせて、柔軟に教育課程を編成するよう指導すること。また、教員の持ち時間の上限は、もともと所定の勤務時間で仕事が終わるように国が設定した「教員一人で1日4コマ(小学校で週20コマ、中学校で週18コマ)」に定め、教員定数を増やし、全体の授業時間数を減らすこと。

    (答)

    年間の標準授業時数につきましては、学習指導要領で示されており、各学校において教育課程を編成する際には、年度当初の計画段階から年間の標準授業時数を下回ることがないよう指導しております。

    教員の授業時数に関連する教員配置につきましては、義務標準法に基づき配当される教員定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について、今後とも国に要望してまいります。

  • 2020年度の文科省の「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」によると、年間の学校閉庁日の設定期間について、政令市の半数以上が「5日~10日未満」とするなど、全国的にとりくみが広がっている。本市は昨年度、土曜授業の代休の確保などのために短縮された夏休み中に12日間設定したが、今年度は4日間しか設定していない。教員は、夏季休業期間中に教室のワックスがけや壁塗り、会議や校内研修などに忙殺されており、年次有給休暇の平均取得状況は13.9日にとどまっている。教員が気兼ねなく休暇を取得できるように、夏休み中の業務を減らし、学校閉庁日を増やすこと。

    (答)

    学校閉庁日につきましては、平成30年度から児童生徒の夏季休業日の期間に原則3日間設定しているところでありますが、新型コロナウイルス感染症対策に伴う教職員の業務負担軽減などを考慮し、令和2年度は夏季休業期間中に12日間設定し、令和3年度は前後の週休日及び休日と合わせ9連休となるように設定しております。

    今後とも、教職員が休暇を取得しやすい環境づくりに努めてまいります。

  • 文科省が今年4月に公表した調査によると、精神疾患による病気休職者数は過去最多となった。新型コロナ対応だけでなく、業務は増え続け、肉体的にも精神的にも追い詰められている教員の実態がある。文科省は教員免許更新制の廃止の代わりに、教員の研修の全面的な記録を行政が管理するなどの研修への新たな統制を行おうとしている。そのような統制は許されず、教員の自主性が保障された研究・研修を奨励することこそ求められている。とりわけ新人教員をはじめとする若い教員が心を病むことのないように、学校で行われる研修で人権無視の理不尽な指導が行われているケースがないか実態を調査し是正を図ること。また、教員と子どもたちの関わりを妨げることになりかねない行政研修を大幅に削減し、権利としての教員の自主的な研究・研修のための時間を保障すること。

    (答)

    教員免許更新制の廃止に伴う代替的な研修の在り方につきましては、国の動向を踏まえながら適切に対応してまいります。

    特に、初任者に対しては教育公務員特例法に基づく初任者研修として、教育センターが行う研修と各学校で行う校内研修を実施しており、前者の中で「メンタルヘルス研修」も実施しています。

    また、教員が学校にいながら受講できるオンライン研修(双方向型)、デジタルコンテンツを学校でいつでも受講できるオンデマンド研修などの様々な研修形態を取り入れるとともに、研修の効率化を図ることで、教員が自主的に研究・研修を行う時間が確保できるよう、配慮しております。

  • 市立高校の専科の非常勤講師が会計年度任用職員に移行され、年収は増額となったが、授業準備のための出勤が求められ、受け持ちコマ数あたりの時間額は約2000円減少している。勤務時間が2倍となったにも関わらず、移行前と比べて時間額が半分に減額され納得がいかないと不満の声が上がっている。このような給与のあり方は元に戻し、制度を見直すこと。また、正規採用を大幅に増やし、講師頼みではない人事政策へと転換するとともに、常勤講師の給与や休暇制度など、処遇を改善すること。

    (答)

    教職員の採用につきましては、今後の退職者数などを踏まえ、計画的に行ってまいります。

    常勤講師及び非常勤講師の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示した運用の考え方を踏まえ、職務内容や職責などに応じて設定しており、今後とも、市全体の均衡も踏まえながら適切に対応してまいります。

  • 中学校教諭の時間外在校等時間を占める最も多い業務が「部活動指導」となっており、依然として、大きな負担となっている。学習指導要領に教育課程と部活動の関係性が明記されたが、部活動は本来生徒の自主的な活動であり、部活動への強制は行わないとともに、「顧問=教員」とする基本的な指導のあり方の見直しを検討すること。部活動の「休養日は週2日以上、土日のどちらか休み」と定めた部活動ガイドラインを徹底するとともに、教員の負担を減らすため、部活動支援員や部活動指導員などのさらなる増員を図ること。

    (答)

    部活動の休養日につきましては、「福岡市立中学校における部活動指導のガイドライン」や、「福岡市立高等学校における部活動指導のガイドライン」に基づき、週に2回以上の休養日を設定することとしており、各学校で徹底するよう指導しております。

    また、部活動の顧問につきましては、学校内の協議により決定しております。

    なお、平成30年度から、単独での指導や大会への引率ができる部活動指導員Aを、令和2年度から、小規模の部活動が大会に参加する際に教員に代わって監督業務を行う部活動指導員Bを配置するとともに、令和3年度からは引率もできるように業務を拡大しております。

  • この間、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどが増員されているが、拠点校配置になっていたり、週2日の配置にとどまっていたりと不十分である。子どもと保護者が気軽に相談でき、必要な支援を行う体制を整えることが求められており、これらの専門職員を会計年度任用職員ではなく正規職員として採用し、すべての学校に少なくとも1人配置すること。同様に、専門職である学校司書も1人が4~5校担当する体制ではなく、1校に1人配置すること。また、学校司書が会計年度任用職員に移行され、4年ごとに採用試験を受けることになっているが、専門性や継続性が求められる職種であることを考慮し制度を改めること。あわせて、養護教諭の複数配置をひろげること。

    (答)

    スクールカウンセラーにつきましては、令和3年度に大幅に増員しており、引き続き心のケアの充実に努めてまいります。

    スクールソーシャルワーカーにつきましては、全ての中学校区の拠点となる小学校に継続して配置するとともに、その一部を正規職員である拠点校スクールソーシャルワーカーとし、不登校児童生徒への対応を行う教育相談コーディネーターやスクールカウンセラーと連携し、組織的な教育相談体制を強化することによって、教育と福祉の両面からの支援を充実させてまいります。

    令和4年度につきましては、中学校ブロックの学校数などに応じてスクールソーシャルワーカーを増員し、相談体制の強化を図ってまいります。

    学校司書につきましては、全ての小・中学校に配置するため、令和元年度から7名増員し、43名に拡充しており、今後とも、学校司書の効果的な配置について検証してまいります。また、採用につきましては、任期ごとの公募を原則としておりますが、国が示した運用通知等を考慮し、勤務実績など客観的な能力の実証により、連続4回まで公募によらない再採用ができる制度となっており、今後ともこの制度に基づき適切に実施してまいります。

    養護教諭の配置につきましては、義務標準法に基づき配当される定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について国に要望してまいります。

(6)教育のあり方

  • 下着の色の指定や「ツーブロック、ポニーテールの禁止」など、合理的な理由なく子どもの表現の自由を規制し、人権侵害である校則が問題となっている。「社会規範意識をもつため」などと“決まりだから守れ”と客観的な基準を示さずに理不尽な校則を押しつけている。そのような中で、校則の見直しを求める声と運動が高まり、教育委員会は、弁護士など有識者による検討協議会を立ち上げた。その協議会の意見を参考に中学校長会は、今年8月、生徒が主体となり保護者とも一緒になって校則を考える「校則検討委員会」を各学校に設置するなどして、人権侵害の校則を見直すよう促している。教育委員会として各学校の校則見直しの実態をつかみ、指導するとともに、早急に人権侵害の校則を一掃すること。

    (答)

    校則につきましては、校長会作成の「よりよい校則を目指して」に基づき、各学校において、校内校則検討委員会を設置し、見直しが進められております。

    今後も各学校の校則検討のあり方や校則の内容把握に努め、各学校の校則が、生徒、保護者に理解され、人権に配慮したものとなるよう取り組んでまいります。

  • 教育委員会は、「髪が染めてある状態では教室にあげない」、眉毛を加工したら「太く大きく描く」「眉毛が生えそろうまで休み時間はトイレ以外は教室から出さない」などと子どもの尊厳や教育を受ける権利を侵害する生徒指導を「教育的指導の範囲」と容認している。県弁護士会によると、8割以上の中学校で下着検査が行われており、ある学校では「カッターシャツの下に着る下着の色は白」「柄シャツは脱がせて預かる」などと校則に明記されている。子どもを管理・規制する対象にし、教育上の合理的な目的もない生徒指導を容認する教育委員会の姿勢は断じて許されない。このような姿勢を深く反省し改めるとともに、明らかなハラスメントである下着検査や子どもの尊厳を傷つける生徒指導はやめること。

    (答)

    校則に関する指導につきましては、今後も規則を守らせることのみの指導ではなく、生徒の内省を促し、主体的に行動できるようにするなど、教育的効果を持つ指導となるよう取り組んでまいります。

  • ジェンダーフリーの観点から新標準服を導入したが、依然として頭髪や服装などの校則に男女別の記述が残っている学校もある。校則で男女を区別して規制することはやめること。

    (答)

    校則につきましては、今後も各学校の校則の内容把握に努め、生徒、保護者に理解され、ジェンダーフリーの観点など、時代の進展を踏まえた、より教育的効果を高める内容となるよう取り組んでまいります。

  • コロナ禍の下、全国一斉休校など誤った政策もあり、子どもたちに強いストレスが広がり、不登校も増えるなど、深刻な問題となっている。文科省によると、2020年度の児童生徒の自殺者数は499人と過去最多となった。本市でも、少なくとも過去5年間ゼロであったが、20年度は複数人の報告がされている。コロナ以前から増え続ける学習内容の詰め込みによるストレスに加え、コロナ感染という新しい不安とストレス、給食も黙って食べないといけないなどの窮屈な生活と我慢が押しつけられている。教育委員会として、ひとりの自殺者も出さないという毅然とした構えで、従来の取組みの延長ではなく、個人情報保護に配慮しながらも踏み込んだ実態調査を行うこと。また、授業時間の削減、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門職の各校配置などをはじめ、教員が子どもに余裕をもって接することができるようにして、子どものSOSに早期に対応する体制を整えること。

    (答)

    児童生徒の実態把握につきましては、毎月実施している学校生活の不安や悩みに関する教育相談アンケートや、教職員による児童生徒1人ひとりとの面談によって、心身の状況等を把握しております。また、児童生徒の心身の状況に応じて、各中学校区に配置しているスクールソーシャルワーカーや全市立学校に配置しているスクールカウンセラーが、必要な支援を行っております。

    令和4年度につきましては、中学校ブロックの学校数などに応じてスクールソーシャルワーカーを増員し、相談体制の強化を図ってまいります。

    今後も、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの配置を継続し、連携を図りながら問題の未然防止や早期発見に努めてまいります。

  • 本市で2020年度に把握されたいじめは、小学校で1819件、中学校で319件となり、一斉休校などの影響からそれぞれ前年度より減少しているが、ネットやSNSを使った誹謗中傷、からかいや悪口が増える傾向にある。いじめは、どんな形であろうと人権侵害である。学校及び教育委員会が、決していじめ対応を後回しにせずに、子どもに対する安全配慮義務、集団的に対応する学校の責務、被害者の「知る権利」を保障することなどを原則とし、いじめ問題にとりくむこと。さらに、いじめが命に関わったり、長期欠席の原因になったりする「重大事態」については、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」などに基づき、第三者委員会を設置して調査にあたるが、被害者側の訴えが無視されたり、あとになって事実関係が隠蔽されたりなど、被害者側が不信感を募らせ、二重三重に傷つくケースがある。「被害者側にも問題がある」という誤った姿勢を見直し、被害者側に心を寄せて、再発させないための措置を講じ、子どもが安全に生きる権利を保障する方向で「いじめ対策法」を運用すること。

    (答)

    いじめ問題への対応につきましては、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめ防止基本方針や各学校のいじめ防止基本方針を策定し、いじめの未然防止・早期発見に努めるとともに、いじめの関係児童生徒へのケアや相談体制の整備、重大事態における被害者への情報提供などを行うこととしております。

    その方針を実現する実効性のある組織として、いじめ問題対策連絡協議会やいじめ防止対策推進委員会の設置、各学校のいじめ防止基本方針に基づいて設置したいじめ防止対策委員会で、被害者に寄り添ったいじめ事案への解決に努めております。

    今後とも、いじめ防止対策推進法の基本理念に基づいた取組みを学校と連携しながら行ってまいります。

  • 教育委員会会議は、原則としてすべての会議を完全に公開とするとともに、市長の意向に付き従ってトップダウンで教育委員会の決定事項を現場に下ろして従わせるようなあり方は見直し、その都度現場にフィードバックをすること。

    (答)

    教育委員会会議につきましては、公開を原則としておりますが、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の規定に基づき、議会の議決を経るべき議案や人事に関する案件などに関しましては、教育長及び委員の議決により、非公開としております。

  • 全国一斉学力テストや福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査は、子どもと学校に管理と競争を押し付け、ドリルやテストを繰り返し、いかに前年度平均点を上回れるかを追求することが目的になっている。これは、教員の負担を増大させ、子どもの精神的なストレスともなっている。全国一斉学力テストは中止するよう国に求めるとともに、福岡市生活習慣・学習定着度調査は、やめること。

    (答)

    福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査につきましては、調査をもとに成果と課題を明らかにし、各学校がさらに取組みの改善を図りながら、学力の課題解決に向けた効果的・重点的な取組みを行っております。

    また、全国学力・学習状況調査につきましては、児童生徒の学力の実態把握と授業改善のために、全小・中学校の参加を継続してまいります。

  • 道徳の教科化は、上から目線で「いい子になれ」「ルールに従え」と子どもに教え込むもので、基本的人権や個人の尊厳、多様性にもとづく市民道徳のあり方に反している。道徳の教科化はやめるよう国に求めるとともに、学校教育全体の中で憲法に基づき、子ども一人ひとりが自分らしい価値観形成を図れるような市民道徳を育む教育にきりかえること。また、特定の価値観を押しつけたり、数値化したりして、評価を強制しないこと。

    (答)

    道徳科につきましては、引き続き学習指導要領に基づき、学習を実施するとともに、適切な評価を行ってまいります。

  • 「二分の一成人式」は様々な家庭事情を抱えた子どもに親への感謝を強要し、個人的な心情を発表させる例が少なくなく、問題である。キャリア教育の一環の「二分の一成人式」はやめること。あわせて、特定の立場だけを美化するゆがんだ起業家教育である「アントレプレナーシップ教育」はやめること。

    (答)

    2分の1成人式は、児童が、自分自身の成長を振り返ることができる大切な機会となっており、今後もキャリア教育の一環として継続してまいります。

    なお、各学校において2分の1成人式を行う際には、担任が家庭環境を把握し、児童が意欲的に学習に参加することができるように配慮しております。

    アントレプレナーシップ教育など、様々な教育施策につきましては、福岡市の子どもたちの学力をはじめ、これからの社会を生き抜く力を身につけさせるために実施しており、今後も推進してまいります。

  • 中学校の職場体験先に自衛隊が含まれている。安保法制が成立して以降、自衛隊と米軍の一体的な運用が加速している。憲法違反の集団的自衛権が付与された自衛隊は、一般の職業とは同列視できないものであり、一職場として、自衛隊を選定しないよう各学校を指導すること。

    (答)

    中学校における職場体験学習につきましては、総合的な学習の時間に位置づけており、体験する職場につきましては、学校が開拓した職場、生徒自身が探してきた職場、保護者や地域から受け入れの申し入れがあった職場などの中から、生徒が選択し、保護者の承諾を得て決定しております。

    自衛隊での職場体験につきましても、学習の一環として行っており、他の事業所と同様に職業の1つとして捉え、生徒の安全などを考慮し、実施しております。

  • 算数の授業中、指示したにも関わらず、途中の式を記入していないという理由で、複数の児童に対し頭をたたいたり、授業中にポケットに手を入れていた生徒に対し、従わなかったので当該生徒の額を拳で叩いたりなど、今年も体罰事案が発生している。「指導」の名のもとに暴力や暴言で子どもを追い詰め服従させることは、子どもの身体だけでなく心に複雑で深い傷を残すことになる。体罰は明らかな暴力であり、絶対に許されるものではない。毎年、発生する体罰については厳正に対処し、その根絶にとりくむこと。

    (答)

    体罰によらない教育につきましては、校長連絡会、生徒指導連絡会などにおいて、その趣旨の徹底を図るとともに、全教員が「体罰根絶宣誓書」に署名、唱和するなど、「体罰を決して許さない学校風土」を醸成し、体罰禁止の徹底を図っております。

    また、全校種の校長会会長や中学校体育連盟会長などで構成される「体罰によらない教育推進委員会」で、体罰の原因究明や未然防止についての協議を行っております。

    今後とも、体罰をなくす取組みの充実を図ってまいります。

  • 子ども、教員、保護者に対して、日の丸掲揚・君が代斉唱を実質強制するやり方を改めること。

    (答)

    国旗・国歌につきましては、教育基本法を踏まえ、各学校において学習指導要領の趣旨に沿った指導及び取扱いが適切に行われるように努めております。

    また、平成26年3月に、屋外の掲揚台などに、国旗・市旗・校旗を常時掲揚することについて、市立学校に通知しており、児童生徒が日ごろから国旗などに慣れ親しみ、国旗などを主体的に尊重する態度を育てる環境づくりに努めております。

  • 教科書採択方法については、児童生徒をよく知る教師自らがその役割を自覚し、教科書を吟味し、教育現場の意見が十分尊重されたうえで選定されるように、より民主的な方法へと改善すること。また、デジタル教科書は、「学習効果が上がる科学的根拠がない」「視力や睡眠、脳への影響が懸念される」など導入に慎重な声が出されており、その導入については拙速に進めるのではなく、慎重に検討すること。

    (答)

    教科書採択につきましては、平成29年度から、採択に係る組織を見直し、より公正性・透明性を高めております。学校の意見は、学校長の意見書として、全てを教育委員会に報告しております。

    デジタル教科書につきましては、ICTを活用し学校における教育の質をより高めていくために効果的に活用していくことが重要であり、1つのツールとして、児童生徒の健康面を考慮しながら、適切に導入を進めてまいります。

(7)教育予算

一般会計の約6.7%にとどまっている本市の教育予算(権限委譲分は除く)は、抜本的に増額すること。

(答)

福岡市が目指す子ども像の実現に向け、必要な予算を確保し、第2次福岡市教育振興基本計画に基づいた教育施策の充実に着実に取り組んでまいります。

(8)教育を受ける権利

  • 自公政権が2018年10月から段階的に生活保護基準の引下げを行い、それに連動する就学援助基準について、教育委員会は従来の生活保護基準の1.25倍という低い水準を独自に引き上げるなどの手立てをなにもとっていない。そのような中、コロナ禍で経済的困窮が広がり、就学援助の重要性は一層高まっている。就学援助基準を生活保護基準の1.5倍に引き上げ、支給額を増額すること。また、国が認めているクラブ活動費・生徒会費・PTA会費について項目に加え、国に対して財政措置を求めること。入学準備金を必要実態に合わせさらに引き上げること。

    (答)

    就学援助の認定基準につきまして、原則として、国が決定している生活保護基準に準じて定めております。

    また、就学援助の支給項目につきましては、保護者の経済的負担が大きく、全ての児童生徒に関わるものを選定しております。国に対しましては、十分な財政措置を講じるよう、要望しております。

    入学準備金につきましては、国の就学援助の国庫補助予算単価に準じて、支給額を定めております。

  • 不登校児童生徒数は年々増加し、2020年度は2719人と過去最高となっている。コロナ感染への不安や心に傷を抱えて不登校となっている児童生徒も多い。子どもの権利条約にある教育を受ける権利、安心して休む権利、子どもの意見表明権などを保障する立場から、学校復帰を前提としない適応指導教室の増設など、不登校児童生徒を支える多様な場への公的支援を拡充する方向での強化が求められている。よって、まつかぜ学級、はまかぜ学級、すまいる学級と同様の施設を増設すること。また、フリースクールなど学校以外のさまざまな学びの場をきちんと認め、公的支援を強め、学校と同等の支援を行うこと。出席扱いについて校長の裁量や、教育内容によって選別することは許されず、「民間施設についてのガイドライン」を見直して、すべてのフリースクールに通う子どもを学校の出席扱いとすること。

    (答)

    公的な施設や支援につきましては、これまで、はまかぜ学級、まつ風学級に加え、すまいる学級を2か所、適応指導教室として開設しており、運営の充実を図っております。

    また、フリースクールにつきましては、国のガイドラインを基に、教育委員会が作成した「民間施設についてのガイドライン」に基づき、学校長が、適切な相談・指導を受けていると判断した児童生徒については、出席扱いにするなどの対応を行っております。

  • 2022年4月に公立夜間中学が開校することになった。不登校などにより十分に学ぶことができないまま中学を卒業した「形式卒業者」や外国籍を有する人口の増加などニーズは明確であり、関係者の長年の運動の賜物である。教育委員会が行ったニーズ調査では、「公立夜間中学が開校したら入学したい」という意思を示している人が196人いることが明らかになった。教育委員会は、初年度の入学人数の想定を40人としているが、それを上回る応募があった場合も全員の入学を保障すること。また、開校後の様々な課題や困難に対応するためにも、関係団体との協議会などを設置し、公立夜間中学のあり方について、随時意見を聴きながら進めるようにすること。

    (答)

    想定している人数以上の方から入学の希望があった場合につきましては、入学希望者との面談を行ったうえで、要件を満たすすべての希望者が入学できるよう努めてまいります。

    協議会の設置につきましては、より良い学校づくりをしていくため、関係団体から意見を聞く機会を設けてまいります。

  • 千代中学校で行われている自主夜間中学「読み書き教室」が、緊急事態宣言中は休校となった。一般の中学校については、感染が急速に拡大していた9月などは「学びを止めない」という理由で休校の措置を取らなかったにもかかわらず、「読み書き教室」に学校施設を使わせないことは、同教室を学校教育の場として扱わない差別的な対応である。今後、感染再拡大による緊急事態宣言が発令されても、教育を受ける権利を保障するために、「読み書き教室」が開校できるようにすること。

    (答)

    自主夜間中学「よみかき教室」につきましては、生涯学習事業の一環として、千代中学校の施設を使用できるようにしており、今後とも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止における国や県の方針を踏まえ、公民館などの公共施設と同等の対応を行ってまいります。

(9)教育環境

  • 過大規模校が年々増加している。学校教育法施行規則によると、小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準としており、文科省は31学級以上の過大規模校について、速やかにその解消を図るよう促している。本市は過大規模校の状態が一定期間継続すれば適正化の手立てをとるとしているが、子どもの学校生活は一度きりであり、放置し続けることは許されない。「福岡市小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」を見直し、早急に過大規模校の解消のために、用地の取得を行い、分離・新設すること。

    (答)

    過大規模校への対応につきましては、「福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針」に基づき、児童生徒数の推移や住宅開発の動向を注視しながら、適切に取り組んでまいります。

  • 東区の千早小学校は、2021年度35学級となり、校区内に大型のファミリーマンション建設計画があるなど、27年度には42学級の規模となる見込みである。このような過大規模校が増加している原因は、市長が「都市の成長」などと、無秩序な開発による人口流入を推し進めているためである。都市部での学校用地の確保は困難で、プレハブや校舎増築の対応を繰り返し、運動場面積の縮小など教育環境の悪化を招いている。これ以上、過大規模校を生み出すことは許されず、市長は無秩序な開発行為をやめるとともに、他都市の事例に倣って、教育環境を守る立場から、教育委員会の責任で開発行為を抑制する仕組みを明記した条例制定などを早急に行うこと。

    (答)

    民間企業の開発行為について、学校教育の観点から規制することは様々な課題があり、困難であると考えておりますが、児童数の推移や住宅開発の動向を踏まえ、関係局と連携しながら、適切な教育環境の確保に努めてまいります。

  • 小中学校の理科室や音楽室などの特別教室へのエアコン設置については、PFI方式ではなく、分離分割発注で行い、早期の設置をめざすこと。その際、エアコンが設置されていない相談室やPTA会議室などにも設置すること。

    (答)

    特別教室への空調整備につきましては、短期間での整備が可能であること、財政負担の軽減や平準化の効果があることなどから、PFI方式による整備を進めており、令和4年度の可能な限り早い時期に整備できるよう、引き続き取り組んでまいります。

    また、相談室やPTA会議室などへの空調整備につきましては、必要性や優先順位等を総合的に判断していく必要があると考えております。

  • 猛暑による熱中症予防のために、体育の授業や学校行事で体育館を使えず、教育活動に支障が生じている。また、体育館は災害時の避難所としても活用されることから、25年度まで延長された緊急防災・減災事業債を活用するなどして、早急に体育館への断熱構造の整備とともに、エアコンを設置すること。

    (答)

    学校体育館への空調整備につきましては、空調を想定した断熱構造になっていないこと、整備に多額の費用が見込まれることなどから、今後の検討課題であると考えております。

  • 現在、肢体不自由学級がある学校と、福岡市福祉のまちづくり条例制定後に新設された学校には、エレベーターが設置されている。文科省は、学校施設のバリアフリー化に関する整備目標を示し、2025年度までの5年間に緊急かつ集中的に整備を行うとしている。特に、エレベーター設置については、車椅子を常時使用するなどの要配慮児童生徒等が在籍するすべての学校に整備することが求められている。現在、要配慮児童生徒が通う5校でエレベーターが設置されていない。そのため、階段の上り下りを保護者や学校生活支援員などが抱きかかえて移動しており、転倒して重傷を負う事故も発生している。児童生徒の安全確保と教員などの負担軽減、学校のバリアフリー化を促進するためにも、早急にすべての小中学校へエレベーターを設置する計画を立てるとともに、要配慮児童生徒が在籍する学校には、直ちに設置すること。

    (答)

    学校施設につきましては、福岡市福祉のまちづくり条例などに基づき、車椅子使用者用トイレやスロープ等による段差解消などのバリアフリー化に努めております。

    今後も、引き続き、学校施設の改修等の機会を捉え、バリアフリー化に取り組んでまいります。

    エレベーターの設置につきましては、要配慮児童生徒の入学、卒業年の見込みや既存校舎へ設置する際の技術的な課題などを踏まえつつ、設置に向けた検討を進めてまいります。

  • 学校のリフォームである大規模改造は築30年以上が対象となっているが、まだ着手されていない学校が45校も残されていることが明らかになった。築37年の早良小学校では、窓サッシの隙間から振り込んだ雨水で教室に水たまりができ、床の張り替えが必要となった。このような状況は他の学校でも発生している。毎年15校程度の改修ペースを抜本的に引上げ、大規模改造の未実施校については、早急に大規模改造を行うこと。また、大規模改造が終わった学校でも様々な問題が生じており、2度目の実施が必要なことが浮き彫りとなっている。金武中学校では、大雨の時に職員室前廊下に雨水が流れ込んでいる。ただちに必要な緊急対応を行うとともに、大規模改造終了後の経年劣化を改善するための再度の大規模改造など、方針策定を行うこと。

    (答)

    大規模改造につきましては、施設の老朽化の状況を勘案し、計画的に取り組んでおります。今後とも、予算の措置に努めながら、緊急度の高いものから優先的に実施してまります。

    また、大規模改造が一度完了した学校については、学校施設の状況に応じて、個別に必要な改修や修繕などを行い、良好な教育環境の確保に努めてまいります。

    金武中学校については、大雨強風時に窓枠にたまった雨水が風で吹き込み、床が濡れたもので、今後も状況を注視し、必要な対応を行ってまいります。

  • 公共施設を考える会の学校ウォッチングでは、トイレ不足問題が浮き彫りになった。金武中学校は、3階北校舎に6クラスあるのに、このフロアにはトイレがひとつも無く、姪浜小学校では、足の不自由な児童がいるフロアにトイレがなく対応に苦労しているという状況が報告されている。教育委員会は、段差のない廊下を通って他の棟の便所が使用できる場合は「不備便所」としないとしているが、これは現場の実態に合わない勝手な解釈を押しつけ、トイレ増設をしない言い訳となっている。「不備便所」の定義を改め、あらゆる手立てを駆使して必要なトイレを増設すること。また、トイレの洋式化について、20年度末時点で小学校約54%、中学校約53%の進捗状況であるが、洋式化計画を大幅に前倒しすること。

    (答)

    学校のトイレにつきましては、利便性の低い便所配置について、不備便所という定義を設け、その解消に計画的に取り組んできたところであり、今後も施設の状況を把握し、学校の実状なども踏まえ、児童生徒の快適な教育環境づくりのために、不備便所などの解消に努めてまいります。

    また、トイレの洋式化につきましては、大規模改造工事の他、単独事業としても実施しており、児童生徒数に対して洋便器が少ない、フロアごとにみると洋便器が不足しているなど課題がある学校を優先しながら、できるだけ早期の整備に努めてまいります。

  • 学校施設ブロック塀改修事業として、高さ1.2mを越える危険なブロック塀約3万mを特に優先して改修するとしている。しかし、今年度の改修計画が予定通り終わっても約1.7万mが残されている。予算を増額して、速やかに改修すること。また、通学路の危険なブロック塀の撤去も急がれる。抜本的に対象を広げ、補助額を増額して、通学路の危険なブロック塀をゼロにすること。

    (答)

    学校施設のブロック塀の改修につきましては、専門家による調査の結果を踏まえ、危険性が高いものから、できる限り早期に改修できるよう、予算の確保に努めながら取り組んでまいります。(教育委員会)

    危険なブロック塀の除却につきましては、福岡県ブロック塀等安全対策推進協議会の会員である県や関係団体と連携して、ブロック塀の調査・点検・啓発用リーフレットの配布などを行うとともに、除却をさらに促進するため、平成30年10月より助成上限額を増額した補助制度を改めて市政だより等に広報するなど、周知・啓発を図っております。(住宅都市局)

  • 学校プールの必要な改修を速やかに実施すること。また、猛暑のため授業を中止したところもあり、熱中症対策やプライバシー対策として全体を覆う日除けなどを設置すること。

    (答)

    学校プールの改修につきましては、今後とも予算の措置に努めながら、緊急度の高いものから優先的に実施してまいります。なお、プールの熱中症対策やプライバシー対策につきましては、プール改築の機会を捉え、プールサイドの一部に日除けテントを整備しております。

  • 学校用務員の配置が拠点校方式となっているため、用務員のいない学校では、施設及び設備の維持管理に不十分な点が目立ち、修繕の対応に時間がかかるようになっている。現場では、用務員の配置を求める声が強く、児童生徒の安全で快適な環境を整えるために、拠点校方式をやめて各校1人ずつ用務員を配置すること。

    (答)

    学校用務員が行う学校環境整備などに関する業務につきましては、平成26年度から拠点校制度を実施しており、今後とも、児童生徒の安全で快適な学習環境の確保などに配慮しながら取り組んでまいります。

  • 公共施設を考える会が行ったアスベストアナライザーによる調査では、体育館に落ちていた天井材からアスベストが検出された。また、調査では、アスベスト含有が疑われる波形スレートやPタイルの劣化が目立つという報告もある。アスベスト含有建材に破損などがないか点検し、破損している箇所は飛散防止対策を徹底するとともに、ある程度の劣化が認められる箇所については破損を待たずに補修を行うこと。さらに、大規模改造にあわせて計画的に学校施設の「ゼロ・アスベスト」を進めること。

    (答)

    学校施設の天井や壁、床、屋根などの仕上げ材として使用されている建材につきましては、工事施工年度によってはアスベストを含有している可能性もありますが、これらの非飛散性アスベストは、通常使用している状態では飛散する恐れはありません。

    破損した場合の取扱いにつきましては、学校施設管理マニュアルに記載するとともに、各学校に対し文書で周知しており、必要に応じて緊急修繕での対応を行っております。

    また、改修時に仕上げ材を撤去などする場合につきましては、事前に専門業者による調査を行い、アスベストの含有を確認したうえで、必要に応じ対策を講じております。

    今後とも、アスベストの処理につきましては、関係局とも連携し、関係法令に基づき適切に対応してまいります。

(10)学校給食

  • 子どもの健全な成長を保障し、栄養をしっかり取れる学校給食は教育の一環であり、全ての子どもにとって重要である。2017年度の文科省調査によると、1740自治体中82自治体で無償化、424自治体で一部補助が行われるなど、学校給食の無償化に向けた流れが強まっている。2020年4月から中核市である兵庫県明石市が中学給食の無償化を実施し、政令市では大阪市がコロナの経済対策として小中学校の給食の無償化に踏み出した。本市においても、コロナ禍の下、子育て世帯の経済的困窮は広がっており、学校給食の無償化を行うこと。

    (答)

    学校給食費につきましては、学校給食法などの法令により、保護者負担とされているもののうち、食材料費相当額のみを負担していただいております。

    なお、経済的な理由により支援が必要な世帯に対しましては、必要な援助を行っております。

  • 2021年7月1日時点で、学校給食公社の調理業務廃止に伴う退職者のうち再就職を希望する嘱託職員と非常勤職員あわせて10名の再就職が未定となっている。教育委員会は「再就職について責任をもつ」と何度も答弁してきたにも関わらず、その約束が果たされていないのは重大な問題である。早急に再就職先が決まるよう責任をもって支援すること。

    (答)

    学校給食公社の調理部門廃止に伴い退職した調理員の再就職支援は重要なことと考えており、本人の意向を踏まえ、今後も適宜、助言や情報提供を行うなど適切に対応してまいります。

  • 第3給食センターの求人広告によれば、調理員はパートで時給870円などと、公社よりも待遇が大幅に悪化していることは明らかである。他の給食センターでも頻繁に求人広告が出されている。調理員などが不足していれば、深刻な過重労働となり、給食にも影響が出ることが懸念される。よって、安心安全な給食を保障するためにも、調理員の待遇改善を行うよう指導徹底すること。

    (答)

    調理員の労働環境は重要なことと考えており、安全、安心でおいしい給食を提供するため、運営事業者に対しては、調理員が働きやすい職場環境づくりに努めるよう、必要に応じて要請してまいります。

  • 小学校給食の民間委託は中止し、現行の非常勤嘱託員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、直営で行うこと。

    (答)

    小学校給食の民間委託につきましては、引き続き安全・安心でおいしい給食の提供を基本としながら、給食調理や食器の洗浄、施設の清掃などの業務について、令和4年度は、67校において民間委託を実施いたします。

    なお、小学校の給食につきましては、業務の実態を考慮した非常勤職員制度を導入し、学校給食の充実を図っております。

  • 小学校の給食室のエアコン設置は33校にとどまっている。猛暑が続く中で、適切な温度を超えての調理業務は深刻である。各学校の給食室の温度の実態を把握するとともに、大規模改造を待たず、給食室へのエアコン等を計画的に設置すること。

    (答)

    小学校調理室の空調整備につきましては、職員の安全な労働環境の確保を図るため、学校の新設時や大規模改造時などの機会を捉え、これまで段階的な整備を進めてきたところであり、今後も引き続き、調理室の状況把握に努めるとともに、空調整備に取り組んでまいります。

(11)特別支援教育

  • 市立特別支援学校は8校しかなく、国の標準をこえて1クラスに8人詰め込んでいる。児童・生徒が安心して通学できるよう、抜本的に学校を増設すること。また、2021年9月文部科学省は、初めて特別支援学校の設置基準を策定し都道府県に通知した。既存校における基準の適用について、設置基準では「当分の間、なお従前の例によることができる」と猶予されながらも、「通知」には「可能な限り速やかに設置基準を満たすこととなるよう努めること」とされている。設置基準をふまえて、既存校の面積基準未充足の解消や図書室の設置など速やかな整備をすること。

    (答)

    特別支援学校の整備につきましては、設置義務のある福岡県に対して、福岡市内への県立特別支援学校の設置を要望するとともに、国の設置基準や障がいのある児童生徒数の推移などを踏まえ、特別支援教育の充実に必要な施設整備について検討をしてまいります。

    さらに、特別支援学校卒業生の就労率の向上を目指し、就労支援に特化した特別支援学校高等部を2校新設し、障がいのある生徒の自立支援を強化してまいります。

  • 市内小中学校213校のうち、自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置している学校は9.8%しかなく、当該障害を持つ児童生徒が、地元の小中学校に安心して通うことができない状況となっている。本市以外の政令市における当該支援学級の平均設置率は小学校88%、中学校で93%となっており、横浜市、川崎市ではすべての小中学校に設置されている。本市すべての小中学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置すること。また、LD・ADHD等指導教室を増設すること。

    (答)

    LD・ADHDなどの障がいのある児童生徒の支援体制につきましては、障がいの特性に応じた質の高い教育を行うため、拠点となる学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を設置しております。また、各学校に校内支援委員会を設置し、学校長、特別支援教育コーディネーターを中心として組織的に取り組む体制づくりを行うとともに、特別支援連携協議会を開催し、学校間や関係機関との情報共有などを行っております。

    自閉症・情緒障がい特別支援学級の整備につきましては、対象となる児童生徒数の増減及び居住地等の実態を踏まえ、検討してまいります。

    通級指導教室の整備につきましては、対象児童生徒数に応じて適切に設置してまいります。

  • 特別支援学級には、年度途中に通常学級から移る児童生徒が少なからず存在し、8人の定員以上となることもある。それを担任1人で受け持つという基準では不十分であり、緊急加配を行うとともに、国に対しては学級編制基準を現在の8人から6人に改善するよう求めること。また、市独自に小中学校の特別支援学級の教員を1クラス2人以上にするよう加配すること。

    (答)

    特別支援学級の教員定数につきましては、義務標準法に基づき配当される教員定数を適切に配分するとともに、教職員定数の充実について、今後とも国に要望してまいります。

  • 専門性の高い正規の教員を大幅に増やすこと。当面、学校生活支援員を大幅に増員し、支援が必要な児童生徒すべてに行き届くようにすること。また、肢体不自由児が通う学校には、肢体不自由学級の有無に関わらず、介助員を必要数配置すること。

    (答)

    特別支援教育に係る正規教員につきましては、その専門性を考慮し、平成14年度から、特別支援学校教諭の採用区分を設け、教員採用試験を実施しており、引き続き計画的な採用を行ってまいります。また、特別支援教育について学ぶ研修につきましては、充実に努めてまいります。

    学校生活支援員につきましては、児童生徒の実態及び学校運営の状況に応じて適宜任用しております。

    肢体不自由のある児童生徒の支援に関しては、児童生徒の状況に応じて、学校生活支援員を配置するように努めております。

    今後とも、学校生活や学習活動に困難を抱える子どもたちが、よりよく過ごすことができるよう支援の充実に努めてまいります。

  • 2020年度の発達教育センターへの就学相談件数は約1800件となり、年々増加している。そのうち8割以上が地域の学校への就学を希望している。療育センターや児童発達支援センターなどと連携し、子どもや保護者のニーズを積極的に把握するとともに、寄り添った就学相談を行い、意向を尊重し、就学を断念することがないように、必要な援助・配慮の体制を整えること。

    (答)

    障がいのある児童生徒の就学先につきましては、療育センターや児童発達支援センター、就学前施設や幼稚園、保育園等と連携して、児童の実態を十分に把握し、保護者の意向を踏まえて適切な学びの場を検討し決定するように努めております。

    障がいのある児童生徒が入学、進学する際には、学校と協議しながら、対象となる児童生徒に対する支援の充実に努めております。

(12)高校、大学の教育

  • 新型コロナ危機は、多くの学生に深刻な影響をもたらしている。アルバイト収入が激減し、「米が買えない」「一日一食しか食べていない」「オンライン授業になり、自宅にいる機会が増えて電気代が昨年に比べて増えた」など経済的困窮状態に追い詰められている。市が実施した「学生支援特別給付金」は、学生と保護者がどちらも非課税世帯であることなどと対象を限定したために、想定の半分以下しか支給できず、制度設計の失敗が明らかになった。日本民主青年同盟が実施した食糧支援に参加した学生から寄せられたアンケートには「もう一度給付金を支給してほしい」という声が圧倒的である。国は、困窮する学生に1人10万円の「緊急給付金」を支給するとしているが、その対象は狭く、全学生の2割以下である。要件を狭めず、困窮する全ての学生に給付金を支給するよう国に求めるとともに、市独自の「学生支援特別給付金」の対象を広げ、再度支給すること。

    (答)

    大学生等への支援につきましては、国の緊急給付金10万円などの支援策が実施されており、国や大学等における様々な支援が必要な学生に届くよう、分かりやすい周知に引き続き取り組んでまいります。

  • 学生の2人に1人が奨学金を借り、その返済のために生活が困難に陥り、自己破産する事例も少なくない。奨学金という名の「学生ローン」で借金させるのではなく、給付奨学金のさらなる拡充を国に求めるとともに、市独自の給付奨学金を創設すること。また、重要な役割を果たしている市教育振興会高校奨学金は希望者全員が借りられるよう改善すること。

    (答)

    教育振興会奨学金につきましては、中学生の進路保障を図るため、奨学金の貸与を実施しており、これまで、市民ニーズに対応するため、貸与金額、貸与人数及び入学資金等の貸与時期などを見直すとともに、奨学金を希望する全ての生徒が採用されるよう努めてきております。

    今後とも事業の安定運営を図りつつ、国・県の修学支援制度の動向も踏まえながら、適切に実施してまいります。

  • 文科省の調査では、コロナの影響により、今年4~8月にかけて中退・休学に追い込まれた学生が前年度よりもそれぞれ増加していることが明らかになった。学生からは「オンライン授業で大学の施設を使っていないのに、高い学費を満額払うのは理不尽だ」「学費を引き下げるために抜本的に教育予算を増やしてほしい」など学費の値下げを求める声が多数寄せられている。誰もがお金の心配なく学ぶことができるように、教育予算を抜本的に拡充し、大学への補助金を増やすなどして、入学金を廃止し、大学の学費をただちに半分に減額するよう国に求めること。

    (答)

    大学生につきましては、国や大学等において様々な支援策が実施されているところであり、必要な支援が学生に届くよう、分かりやすい周知に引き続き取り組んでまいります。(こども未来局)

  • 「市立高等学校活性化に向けた取組方針(第2次)」には、国公立大学への進学率やキャリア教育の推進、部活動の活性化、大会やコンテスト出場など競争と特定の成果を生徒に求める指標が定められている。過度な競争に駆り立てる「方針」は撤回すること。

    (答)

    市立高等学校活性化につきましては、各市立高等学校内における教職員による議論、ワーキンググループ及びプロジェクト会議などにおける教育委員会と市立高等学校での議論を通して、「市立高等学校活性化に向けた取組方針(第2次)」を平成29年度に策定し、令和元年度まで取り組んでまいりました。令和4年度においても、これまでの取組の成果と課題を踏まえ、教育委員会と学校が連携して第2次福岡市教育振興基本計画に基づき、魅力ある高校教育を推進してまいります。

  • 本市独自の私学助成は、1校平均約180万円でこの3年間変わっていない。コロナ禍の中での保護者の負担軽減のためにも拡充を図ること。

    (答)

    私立学校への助成につきましては、私立高等学校の教育の振興や保護者の負担軽減を図るため、国・県の助成を補完する目的で備品の整備などに対して助成を行っております。

(13)幼稚園類似施設

幼保無償化の対象になっていない「幼稚園類似施設」について、2021年度より、国の定める要件を満たす施設であれば満3歳以上の児童の保護者に対し、利用料の一部を助成しているが、対象も狭く、補助額は不十分で保護者の負担は大きい。本市として、幼稚園類似施設の実態を調査し、子どもの発達や成長を補償する一定の質をもった施設としての役割を認め、補助対象を広げること。また、市独自に補助を行い、保育料を実質無償とすること。

(答)

幼稚園類似施設等を利用する保護者への支援につきましては、令和3年度から国が定める要件を満たす当該施設を利用する満3歳以上の児童の保護者に対し、多様な集団活動事業の利用支援事業により、利用料の一部を助成いたしております。

(14)図書館

  • 今年度の総合図書館の資料収集経費の予算は2019年度から約2分の1となっている。貸出冊数も年々減少しており、公立図書館の本質的な役割である資料の収集と提供が弱まっている。市民のニーズを的確に把握し、予算を増額し総合図書館及び分館などの蔵書充実を図ること。また、図書館司書はほとんどが会計年度任用職員となっている。専門職にふさわしい待遇へ改善し、正規職員として増員を図ること。

    (答)

    図書資料費につきましては、適切な予算措置を行っており、資料収集方針に基づき、引き続き蔵書の充実に努めてまいります。

    また、総合図書館及び分館につきましては、現行の職員配置により、適切な運営を図ってまいります。

  • 日本図書館協会は、公立図書館について住民の生活・職業・生存と精神的自由に深く関わる機関であり、図書館を設置し、図書館サービスを実施することは、地方公共団体の責務であると述べている。しかし、本市は「福岡市総合図書館新ビジョン」に基づき、図書館サービスの向上を図るなどとして指定管理者制度を導入した。公立図書館は地方公共団体が直接経営すべきものであり、営利追求の場に変質させる指定管理者制度はやめて、直営に戻すとともに、運営への民間営利企業の参入を進めないこと。

    (答)

    指定管理者制度の導入につきましては、総合図書館新ビジョンに基づき、図書館サービスの向上を図るため、平成28年度から総合図書館の施設管理及び東図書館等の運営に導入しており、民間能力の活用により、多様化する市民ニーズに効率的かつ効果的に対応してまいります。

(15)社会教育施設

  • 公民館は「自治協議会のセンター」の役割が強調され、社会教育施設としての機能の側面が弱まっている。社会教育を支援する本来の役割を果たすため、館長や主事を補助する人員確保のための予算を増額すること。

    (答)

    公民館につきましては、社会教育法に基づく、「住民の生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与する」という設置目的に加え、公民館条例において、「住民の生涯学習及び地域コミュニティ活動への支援」を明確に位置づけております。公民館が担っている社会教育の役割につきましては、学級や講座などを実施することで地域住民の学習ニーズに応えるとともに、地域課題の解決のために、その学習成果を地域づくりなどのコミュニティ活動につなげていくことと認識しております。現在、公民館においては地域の課題や住民ニーズに対応した多様な公民館事業を展開しており、今後とも、生涯学習とコミュニティ支援の両方の観点から一体的な業務の推進に取り組むとともに、円滑な運営に努めてまいります。

  • 公民館の市民の利用にあたって、「目的内使用」で利用していたところが急に「目的外使用」となるなど、活動への行き過ぎた干渉や誤った対応が行われているケースが散見されており、幅広い市民の利用が保障されるよう、館長や主事等に対し、適切な対応のあり方について徹底すること。

    (答)

    公民館につきましては、社会教育法及び公民館条例に基づき、適切に利用が行われるよう今後とも努めてまいります。

  • 議員の「市政報告会」は、市民の市政参画を推進する上で重要なものである。会場使用料は政務活動費を充てることが認められた公共的なものであり、議会改革調査特別委員会においても、各議員が積極的に行うべきなどと意見が出されている。したがって、公民館を市政報告会の会場として利用する場合、「目的外使用」とする扱いはやめ、「目的内使用」とすること。

    (答)

    公民館につきましては、社会教育法及び公民館条例に基づき、市政報告会を含め、利用のあり方について様々な角度から検討を行ってまいります。

  • 南区における地域交流センターの整備については検討だけにとどめず、建設計画を早急につくること。

    (答)

    南区につきましては、地域特性の調査・分析を進めつつ、拠点施設について検討してまいります。

(16)文化行政

  • 本市の文化予算の約4割は博多座の運営費で占められており、それを除けば市民1人当たり約560円と貧弱である。文化予算の抜本的な増額を行うこと。

    (答)

    市民の文化芸術振興につきましては、令和元年6月に策定した「福岡市文化芸術振興計画」に基づき、すべての市民が文化芸術と触れ合う機会の創出や、文化芸術活動の支援などに取り組んでまいります。

  • 民間の劇場やミニシアター、ライブハウスは現状では商業施設や遊興施設として扱われ、何の支援もない。年間100日以上事業を行っている施設は劇場とみなして固定資産税の減免をはかるなど、積極的な支援を行うこと。

    (答)

    コロナ禍における文化・エンターテインメント分野への支援につきましては、関連イベントの開催を通してアーティストの活動継続と関連事業者の経済活動を支援しております。

    今後とも、ニーズなども踏まえながら、必要な支援に努めてまいります。

  • すべての小中学生が1年に1度は文化芸術に触れる機会をつくるために、全校が取り組める予算を確保すること。

    (答)

    文化芸術に触れる機会については、各学校の状況に応じて、学校長の判断により実施しております。

    引き続き、国や県・市などが主催する文化芸術活動関連事業を各学校に案内してまいります。

  • 18歳未満の使用が半数を超えた場合、すべての市民センターで使用料減免を行うこと。

    (答)

    市民センターの使用料につきましては、市民センター条例や同条例施行規則に基づき減免を行っており、18歳未満の者が半数以上の団体が利用する場合は、5割相当額を減免しております。

  • 市民センターのホールで子どもが舞台を見えやすくするための子ども用クッションの貸出しを行えるように指定管理者まかせにせずに市が備品として購入すること。拠点文化施設にも備えること。

    (答)

    市民センターにつきましては、民間の持つ優れた能力やノウハウを活かすことにより市民サービスの向上を図るため、指定管理者制度を導入しており、指定管理者の提案による企画事業の充実や受付時間の延長などを行ってきたところであり、今後とも利用者サービスの向上に努めてまいります。(市民局)

    拠点文化施設につきましては、子ども用クッションを備える予定としております。(経済観光文化局)

  • 文化芸術振興財団が行っている「ステップアップ助成プログラム」の助成事業数をさらに増やし、それに見合う補助を行うこと。

    (答)

    ステップアップ助成プログラムにつきましては、今後とも助成件数の拡充に努めるとともに、アドバイザーによる助言などにより文化芸術活動者のさらなる支援に取り組んでまいります。

  • 拠点文化施設は、社会包摂の場として役割を果たすよう検討を行うとともに、洗練された舞台芸術を「観る」ことだけではなく、舞台の創造、舞台芸術をささえる人材育成など本市における文化の拠点になるよう方針を明確化すること。

    (答)

    拠点文化施設につきましては、広く市民に鑑賞の機会を提供するだけでなく、市民の文化活動を支える場とすること、多様な人々が集う交流の場となること、社会課題の解決に貢献する場とすることなどを運営の基本方針としております。

  • 拠点文化施設内に整備予定の800席の劇場型ホールができたとしても、慢性的なホール不足は解消できない。演劇等の専門性に対応できる中規模ホール建設をさらに計画すること。

    (答)

    整備を進めている拠点文化施設には、これまでの市民会館を継承する大ホールに加え、新たに演劇などの専門性にも対応できる約800席の中ホールを計画しており、令和6年3月の開館を目指し整備を進めてまいります。

  • 音楽・演劇練習場の4施設は高い稼動率のため利用しづらい。新設について「検討」を理由に先延ばしすることは許されず、すべての行政区に設置する計画をつくること。また、ぽんプラザホール同様の小劇場を増設すること。

    (答)

    音楽・演劇練習場につきましては、市民の身近な文化活動を支える重要な施設と認識しており、各練習施設の利用状況や文化活動の現状、市民の需要などを踏まえ、誰もが利用しやすい練習環境づくりに向け、既存施設の更新に合わせた機能確保なども含め検討を進めてまいります。

(17)スポーツ行政

  • 市内スポーツ施設の土日祝日の応募倍率は野球場が57.8倍、テニスコートが14.4倍、体育館が7.2倍など高く、スポーツ基本法に定められた、国民のスポーツをする権利が保障されていない。身近なスポーツ施設を新・増設し、推進すること。老朽化しているスポーツ施設は改善し、スポーツ用具については適宜、更新すること。また、オリンピック競技に採用され、競技人口が増えているボルダリングやスケートボードができる公的な施設を設置すること。

    (答)

    身近なスポーツ施設の整備につきましては、福岡市民体育館及び九電記念体育館の後継施設として、平成30年12月に、総合体育館が開館するとともに、地区体育館などにおいては、大規模改修を実施するほか、開館時間の延長や利用コマの見直しなどにも取り組んでおります。

    スポーツ施設の維持補修及びスポーツ用具の更新につきましては、安全に利用ができるよう、今後とも計画的に進めてまいります。

    また、新たなスポーツへの対応につきましては、課題や市民ニーズなどを踏まえ、民間の活用など、そのあり方も含めた調査や検討が必要であると考えております。

  • 障害の種類や程度にかかわらず、スポーツを行うことができる環境を作ることは、市の責任である。市内体育館をはじめ、運動施設のバリアフリーを進めるなど利便性の向上を図ること。また、拠点施設である「障がい者スポーツセンター」について、以前からの改修要望である、トイレの洋式化と駐車場屋根の設置をすみやかに実施すること。多くの障害者が、スポーツやレクリエーションに親しむことができるためには、「障がい者スポーツセンター」が市内1か所では足りず、市有地を使って増設すること。

    (答)

    障がい者スポーツの環境づくりにつきましては、障がい者スポーツセンターや障がい者スポーツ協会を中心に、各種スポーツ教室や大会を開催するなど、スポーツを行う機会を提供しております。また、バリアフリーの推進については、福祉のまちづくり条例及びバリアフリー基本計画に基づく施設整備を進め、利便性の向上に取り組んでまいります。

    障がい者スポーツセンターの改修につきましては、利用者アンケートなどでいただいたご意見や指定管理者からの要望を踏まえ、利用者の安全性や利用頻度、アセットマネジメントの観点などから、緊急度や優先度を考慮のうえ取り組んでおり、令和3年度は、女性トイレの1か所を洋式化しております。

    また、障がい者スポーツセンターの増設につきましては、施設の利用状況などから現時点で必要性は低いと考えておりますが、引き続き状況を注視してまいります。

    今後とも、障がいのある方やご家族などの声を伺いながら、障がい者スポーツの振興及び環境づくりに取り組んでまいります。

  • 中学校のグランドは校庭開放によって地域のスポーツ振興に寄与しており、その必要な施設整備が求められている。堤小学校をはじめ、要求が出ている防球フェンスの設置を行うこと。早良区にソフトボールのできる運動公園をつくること。

    (答)

    小中学校のグラウンドにつきましては、学校施設開放事業において、学校教育に支障のない範囲で地域住民のスポーツ活動などの場として、既存施設の状況に応じたご利用をお願いしております。今後も適切な事業運営に努めてまいります。(教育委員会)

    早良区における、ソフトボールなどの球技が可能な新たな運動公園の整備につきましては、用地取得及び施設整備に多額の費用が必要であるなか、公園整備や改修など、現在継続中の事業も抱えていることから、財源捻出など乗り越えなければならない課題があります。今後ともご要望の趣旨も踏まえながら、検討してまいります。(住宅都市局)

  • 住民のスポーツ参加を増進するための施策をすすめる専門職員の確保、指導者の配置を行うこと。担い手としての活動を支えるために、スポーツ推進委員の位置づけを高め、研修費や必要経費への補助金を充実させ、地域でのスポーツ振興への支援や奨励をおこなうこと。地域団体などに、福岡マラソンや大規模スポーツ大会への動員・割り当てを強要しないこと。

    (答)

    福岡市のスポーツ推進委員につきましては、各小学校区に2名ずつ配置し、地域におけるスポーツ推進のための実技指導や指導助言などを行っております。

    今後も、地域の課題やニーズに応えていくため、スポーツ推進委員に対する研修の充実や指導に努めてまいります。

    また、今後とも、市民の皆様のご理解をいただきながら、様々なスポーツの大会や行事を開催してまいります。

  • 「受益者負担」の名のもとに、福岡市総合体育館をはじめ各区の市立体育館の駐車料金が有料化されている。スポーツに親しむことは、生きがいのある生活を営むうえで欠かすことができないことであり、利用者の減少につながる駐車料金の有料化はやめ、無料にすること。

    (答)

    総合体育館の駐車場の利用料金につきましては、福岡市総合体育館条例において上限額を定め、その範囲内で指定管理者が料金を定めております。

    また、地区体育館の駐車場につきましては、負担の公平性の確保をはじめ、不適正利用の防止や財源の確保を図るため、順次有料化を実施しております。

  • 福岡市の体育館やプールの利用料金について、65歳から69歳が半額、70歳以上は無料になっている。福岡市内にある民間のスポーツ施設についても、市民が利用する際、利用料金の補助制度を作ること。

    (答)

    市民のスポーツ施設利用における料金の補助制度につきましては、現在、多くの高齢者の方に福岡市の体育館やプールをご利用いただいており、新たな利用料金の補助制度は考えておりません。

  • 本市の体育館やプールなど、スポーツ施設の管理・運営に指定管理者制度が導入される中、コスト削減のために照明を間引く施設があるなど問題となっている。利用者の立場にたった運営のために、直営にもどすこと。

    (答)

    体育館及びプールの管理につきましては、民間のノウハウの活用により、柔軟で質の高い市民サービスを提供することを目的として、指定管理者制度を導入しており、今後も利用者のニーズの把握に努めながら、適切な施設管理を行ってまいります。

  • 2022年3月に、長年、市民に親しまれてきたボウリング場「西新パレスボウル」が閉鎖されようとしている。住民要求を把握し、存続のために必要な措置を取るよう、西日本鉄道株式会社に申し入れること。

    (答)

    西新パレスボウルにつきましては、運営主体である事業者が営業終了を決定されております。

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7、子どもの権利が守られ、安心して子育てできる福岡市に

(1)保育行政

  • 新型コロナは、感染しにくいと言われていた子どもたちに拡大し、2021年9月25日時点、市内で休園した認可保育所は今年度累計で90園に上り、昨年度累計の43園の2倍を超えている。感染者が5人以上確認されるクラスターも今年度はすでに9件認定されている。これまでも保育現場では、感染対策と子どもの発達の保障を両立させるための様々な努力が行われてきたが、「これ以上どんな努力をすればいいのか」と疲労感が増している。マスクの着用が難しい子どもたちも多く、密を回避できない保育現場と保護者の、「第6波」への不安が増大しており、感染対策の強化が求められている。
    • 保育所等で感染者が確認されたら、迅速にすべての子どもと職員を対象にしてPCR検査を行うとともに、定期的な検査を全額公費負担で行うこと。
    • 保育所等を通じて家庭に簡易検査キットを配布し、子どもの体調不良時にすぐに検査が行えるようにすること。在所中での体調不良時の対応として、保育所等にも簡易検査キットを配布すること。

      (答)

      発熱等の症状がある児童につきましては、国の通知に基づき、登園を控えるよう要請しております。

      保育所等で感染者が確認された場合につきましては、保健所と連携しながら、適切に対応していくとともに、今後とも保育所等における感染拡大防止に努めてまいります。また、保育所等に対して、国の事業を活用し、迅速な検査ができるよう抗原検査キットを配布しております。

    • 感染不安で登園を自粛する子どもの保育料や副食費などの自己負担を返還・免除すること。

      (答)

      新型コロナに係る保育料の取扱いにつきましては、陽性者により休園となった場合などに保育料を日割りで減額しております。

      また、副食費につきましては、費用を徴収する各施設において適切に対応いただいているものと考えております。

    • 保護者が新型コロナに感染した際、必要な場合は児童相談所で子どもを預かる支援を実施しているものの、実際にはそのような施策を利用できず、子どもの世話のために、治療に専念できない実態が存在している。保護者が身近なところで利用しやすい体制を確保すること。

      (答)

      保護者が新型コロナウイルスに感染し、様々な事情により子どもの養育ができない場合につきましては、こども総合相談センターにおいて、子どもを預かることとしております。

    • 感染の拡大に伴い保育園が臨時休園となり、保護者が医療従事者などで、休暇取得が困難な場合などに、今年度は訪問型保育サービスを利用した場合の利用費の一部補助が行われているが、全額補助するとともに、公立保育所の活用など代替保育の整備を市の責任で行うこと。

      (答)

      新型コロナウイルス感染症等により、保育所等が臨時休園となった場合の代替保育の実施につきましては、個別の状況を踏まえ、必要に応じて最も適切な対応を検討するとともに、令和3年度から、訪問型保育利用料の一部助成制度を開始いたしております。

    • マスクや消毒液、衛生資材の購入など感染対策に必要な経費の補助を増額すること。

      (答)

      保育所等においては、国の要綱に基づき、新型コロナウイルス感染拡大防止のための衛生用品・備品購入等の費用について、1施設あたり最大50万円の補助を引き続き行ってまいります。

    • 保育士の家族が感染したことによって、保育士自身が濃厚接触者となり勤務できない事態が発生している。一方で感染対策などの業務負担は増大している。人員確保を現場の対応に任せるのではなく、市が責任をもって臨時の保育士派遣等を行うこと。

      (答)

      保育士の確保につきましては、各保育所等において、それぞれの状況に合わせて実施されており、福岡市では、保育士への勤続手当の助成、潜在保育士への就職準備金の貸付、就労継続支援を目的とした相談窓口の設置、家賃の一部助成、奨学金の返済支援を引き続き実施するほか、新たに、国の方針による保育士等の収入引き上げのための助成を行うこととしております。

      さらに、遊具の消毒等の保育補助等を行う保育支援者の配置に要する費用の一部を助成しております。

    • 現在の面積基準や保育士配置基準では密が避けられず、感染症対策の観点から、直ちに見直すことが求められている。市独自に実施している充実保育士の配置も70日のみで到底足りないというのが実態である。配置基準の改善を国に強く要請するとともに、市独自に、保育士対子どもの人数を、0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善すること。あわせて、1947年以来変わっていない面積基準の改善に踏み出すよう国に求めるとともに、本市独自にも改善を図ること。

      (答)

      保育士の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、職員の配置に係る福岡市独自の措置として、充実保育士の雇用経費を助成しております。施設の面積基準につきましては、乳児一人あたりの面積が、国基準より広くなるように乳児室の基準を設定しております。今後とも国に対して充実改善を求めてまいります。

  • 2021年7月1日時点で、未入所児童は822人、待機児童は24人と、依然として希望する保育所に入れない子どもたちが多数残されている。大規模化をもたらす増築や企業主導型保育事業を推進するやり方ではなく、こども病院跡地をはじめ公共用地を活用して、適正規模の認可保育所を抜本的に増やすこと。また、現在、7園となっている公立保育所を増やして、せめて各行政区に設置すること。

    (答)

    待機児童の解消につきましては、地域の保育ニーズを的確に把握しながら、増改築など既存ストックの活用を中心として、受け皿確保に取り組んでまいります。

    また、公立保育所につきましては、7か所を存続させ、緊急時の対応とセーフティネット等を担う拠点となる保育所として充実してまいります。

  • いわゆる幼保無償化は対象年齢が3~5歳児に限定され、副食費が保護者の実費負担となるなど、真の無償化には程遠いものである。よって、対象年齢をすべてに広げるよう国に要請するとともに、0~2歳時の保育料をさらに引下げること。また、制服、遠足、文房具代等、「隠れ保育料」と呼ばれる実費徴収費が、保護者の重い負担となっている。子育て世代の負担軽減のために、これらの費用について無料とするよう国に求めるとともに、市独自の補助制度をつくること。

    (答)

    無償化の対象年齢や対象費用など、保育の根幹となる部分は、国の責任において検討され、制度設計されているものと考えております。

    なお、保育施設などの0~2歳児の保育料の設定につきましては、国の徴収基準額から20%相当額を減額した保育料体系としております。

  • 保育士の給与は、全産業平均より月7〜8万円近く低いと言われており、本市の保育士から「せめて月5万円あげてほしい」などと賃上げを求める強い要望が毎年寄せられている。岸田政権は、「保育士などの収入の引上げは最優先の課題」とし、月額9000円引き上げるとしたが、要望からは程遠く、まともな賃金が保障されていない状況は改善されない。また、専門性を高めるとともに、賃上げにつながるとして導入されたキャリアアップ研修は、一部の保育士に限られ、それに見合った賃金上昇にならず、現場からは休日を潰して研修を受けることや平日となると仲間の保育士の負担を増やしてまで研修を受けることに拒否感・罪悪感があるなどの声が強くあがっている。保育士がやりがいをもって働き続けたいと思えるように、賃金全体の底上げこそ求められており、公定価格を抜本的に見直し、直ちに月5万円引き上げるよう国に求めること。すくなくとも「福祉職俸給表」にもとづく賃金となるよう市独自の財政措置を行うこと。あわせて、処遇改善等加算Ⅰや処遇改善等加算Ⅱなどの加算が適切に利用されているか実態を把握するとともに、勤続年数に応じて、賃金が上昇するよう「福岡市保育士勤続手当」を増額すること。

    (答)

    保育士の給与につきましては、保育所委託費に上乗せして福岡市独自に必要な助成を行うほか、新たに、国の方針による保育士等の収入引き上げのための助成を行うこととしております。

    国に対しましても、引き続き公定価格の充実を求めてまいります。

    また、処遇改善等加算が適切に利用されているかにつきましては、毎年度対象園に報告を求め、適用状況を確認しております。

  • 保育士不足が深刻である。慢性的な人手不足で、残業が多く、有給休暇を希望通り取得できず、新たにコロナ対策の業務が増え、精神的なストレスも増している。求人を出しても応募がなく、人材派遣会社に依頼する保育所が増加している。厚労省の「保育分野における職業紹介事業に関するアンケート調査」によると、保育士の紹介料は一人につき平均76万円であり、それが経営を圧迫していると答えた割合が約7割となっている。また、非正規保育士が増えることで、正規保育士に負担が集中しているため、それを敬遠してあえて非正規を希望する保育士が増えている。保育士確保を現場の努力だけに押しつけず、配置基準を見直し、市の責任で保育士を確保すること。フルタイムで働く非正規職員の正規化を促すためにも、財政措置を行うこと。

    (答)

    保育士の確保につきましては、保育士への勤続手当の助成、潜在保育士への就職準備金の貸付、就労継続支援を目的とした相談窓口の設置、家賃の一部助成、奨学金の返済支援、保育補助等を行う保育支援者の配置費用の助成などの取組みを引き続き実施するほか、新たに、国の方針による保育士等の収入引き上げのための助成を行うこととしております。

    福岡市の職員配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、公定価格における加算に加え、福岡市独自の保育士の加配を行っているところであり、現時点で、福岡市として配置基準の変更等は検討しておりません。

    また、保育所職員の給与等につきましては、国の公定価格で賄われるべきものであり、職員の処遇につきましては、雇用主において判断されるものと考えております。

    今後とも必要な保育現場の改善について国に要望してまいります。

  • 保育士の離職防止のため、市独自の施策である家賃の一部助成や奨学金の返済支援が行われているものの、対象範囲と額は不十分である。家賃助成は、少なくとも毎月3万円に引き上げ、非正規職員や給食調理員にも適用することとし、奨学金の返済支援の補助を拡充すること。

    (答)

    保育士の家賃及び奨学金助成につきましては、保育の質の維持・向上の観点から、安定的に保育を行うことができる正規雇用の保育士の雇用を促進するため、助成の対象を正規保育士としております。家賃助成額については、福岡市における1人世帯の平均家賃月額及び私立保育所の平均住宅手当額の状況を踏まえ、補助の上限を月額1万円といたしております。奨学金助成上限額については、大学生と短大生等の日本学生支援機構奨学金の借入・返済状況を踏まえ設定しております。

  • 給食調理員の給与は、保育士と比べて賞与を含めて年間で約40万円の差がある。アレルギー食や宗教食への対応、0歳児一人ひとりの発達にあった離乳食づくりなどの専門性とともに、体調不良の子どもへの個別対応など、保育の一環である給食を担う調理員の役割と責任は大きい。保育士と同等の給与水準に改善するよう国に求めるとともに、調理業務の特殊性と専門性に見合う「特別手当」を創設するなど、格差是正のために市独自の手だてをとること。また、日常的に調理員が不足しており、家族がコロナの濃厚接触者となり、調理員自身も2週間の自宅待機を余儀なくされ、代わりの人員が確保できないまま給食業務を行った現場もある。給食調理員の配置基準を市独自に引き上げて財政措置を講じるとともに、臨時の調理員の派遣や代替職員確保の補助など手立てをとること。

    (答)

    保育所職員の給与などにつきましては、保育所委託費に上乗せして福岡市独自に必要な助成を行うほか、新たに、国の方針による保育士等の収入引き上げのための助成を行うこととしております。

    また、調理員の配置基準につきましては、国基準どおりとしておりますが、職員の配置に係る福岡市独自の措置として、パート調理員の雇用経費を助成しております。

    今後も、国に対して公定価格のさらなる充実を求めてまいります。

  • 産休・病休代替職員が確保できずに、「子どもを産めない」「精神疾患を発症しても休むことができない」などの実態が広がっている。「産休等代替職員設置費補助」をつくるよう国に求めるとともに、産休・病休等の代替職員の雇用のための市独自の助成を増額すること。また、早朝や延長の保育で交代の保育士を実際に増やして対応するためには現在の公定価格では不十分であり、実態に見合うよう公定価格の管理費の引上げを国に求めること。

    (答)

    産休・病休代替職員の人件費につきましては、福岡市独自に助成を行っております。 また、公定価格につきましては、今後も国に対してさらなる充実を求めてまいります。

  • 保育士の業務過多のひとつに日常的な記録などの書類作成がある。公的に提出する必要がある記録の作成が時間内に終わらず、休憩時間や自宅に持ち帰って書くことも日常茶飯事である。現場からは、「休憩も十分に取れない」「職員どうして子どもの姿やかかわり方を話し合える時間がない」という声が寄せられている。提出すべき書類の精査を行い、ICT導入などの小手先のやり方ではなく、保育士の抜本的な業務の削減を図るとともに、どうしても必要な業務については労働時間であることを明確にし、残業手当を支給すること。

    (答)

    保育士の負担軽減につきましては、保育帳簿の作成の効率化に資するよう、適宜様式の見直しを行うとともに、研修会や実地監査等においても、できるだけ省力化できるよう帳簿の記載方法等について助言等を行っております。

    また、保育業務のICT化により、保育帳簿の作成や園児の登降園管理、保護者への連絡等の機能を含むシステムを導入することで、保育業務の効率化を進め、保育士の負担軽減に引き続き取り組んでまいります。

    なお、適切な時間外勤務手当の支給につきましては、指導監査等の機会を通じて、引き続き、指導してまいります。

  • 家庭的保育事業や小規模保育事業などは、保育基準が条例で定められているものの、園庭の設置義務がなく、職員全員が保育士の有資格者でなくても良いなどと認可保育所より基準が低いため、保育の質の低下と保育所間での格差につながるなど問題になっている。すべての子どもの最善の利益と発達の権利を保障するため、条例を見直すとともに、必要な支援を強めながら規制緩和路線を改めること。

    (答)

    家庭的保育事業や小規模保育事業などにつきましては、家庭的保育事業等の設備及び運営の基準を定める条例を制定し、保育の質の確保に努めております。

  • 本市の認可外保育施設は、2021年4月1日現在310施設となっているが、1施設あたりの補助は、職員の健診費用など約1100万円にとどまっている。24時間保育や、一時・休日・延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、地域の子育て支援、家庭支援に大きく貢献し、保育行政の補完的役割を果たしている認可外保育所の職員給与・修繕費・管理への補助を創設すること。あわせて、認可化をめざしている施設への財政支援を強化し、認可化を進めること。

    (答)

    認可外保育施設の認可化につきましては、認可に必要な施設整備などの経費に対する助成を実施するなど、認可化へ向けた支援を行っており、今後も継続して支援してまいります。

  • サポート保育(障害児保育)の支援区分Ⅰ~Ⅲの補助単価では保育士を1人雇用することは難しい。支援が必要な子どもが複数人いて、補助を合算して保育士を1人雇えるのがやっとであり、子ども一人ひとりに応じた適切な援助ができない事態となっている。発達障害やグレーゾーンの子どもが増える中で、補助単価を抜本的に増額し、必要な保育士を確保すること。障害の程度が重い児童を受け入れられるように、1対1で個別対応が可能な保育所を抜本的に増やすこと。

    (答)

    特別支援保育(さぽ~と保育)につきましては、令和2年度から補助単価を増額するとともに、1対1での個別対応を要する児童を受け入れるため、新たな補助区分を創設しております。

(2)医療的ケア児、療育

  • 今年6月に「医療的ケア児と家族の支援法」が成立した。基本理念に「医療的ケア児の日常生活を社会全体で支える」ことを掲げ、保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするため、保育所や学校への看護師等の配置を求めている。医療的ケア児を身近な保育園で受け入れてほしいという声が高まっているが、今年度は公立と私立合わせて10か所13名の受け入れにとどまっている。すべての保育所で家族の付添いなしで通園できるように、必要な保育士や看護師を配置する費用助成の予算を抜本的に増額すること。また、不測の事態に対応できるよう、常に医療機関等と連携できる体制を市の責任で整えること。

    (答)

    医療的ケア児の支援につきましては、受け入れる保育所に対して、看護師配置費用を助成するとともに、訪問支援を実施しております。

  • 医療的ケア児を受入れている幼稚園等に看護師を派遣する幼稚園等看護師派遣事業は、1回あたりの看護師の派遣時間が60分という制度設計になっている。これでは十分な支援を行えず、利用したくても利用できないという声があがっている。訪問看護1回あたりの時間を増やし、抜本的に補助額を増額すること。

    (答)

    幼稚園への看護師派遣につきましては、幼稚園の標準教育時間が1日4時間であることを踏まえ、看護師の派遣時間を1回60分、1日最大2時間と設定しております。

  • 2024年度に「南部療育センター(仮称)」が設置される予定であるが、発達障害児の増加に伴い、現在の市内3箇所の療育センター等における相談数は年々増加しており、相談から診断を受けるまで約3ヶ月を要する状況は改善されず、療育施設はまだまだ不足している。また、現在の療育センター等それぞれの通園エリアで機械的な線引きが行われ、自宅から近い施設に通えなくなるなど困難が生じているケースもある。障害が確定していない子どもたちを含めて、必要なときに身近な地域で相談・診断、療育が速やかに受けられるよう、療育センター等をさらに増設し、通園エリアの機械的な線引きは行わず、柔軟に対応すること。あわせて保護者が付き添わなくても単独通園ができるような体制を整備するとともに、子どもの発達を保障する療育が行えるよう、専門性と職員の確保を行うこと。

    (答)

    福岡市における障がい児の療育環境につきましては、療育センターなどが計3か所、児童発達支援センターが8か所あり、現在、南部地域における児童発達支援の拠点となる療育センターの整備を進めているところであります。

    また、各児童発達支援センターでは、障がい児の居住地に応じた通園エリアを設定し、寄り添った利用調整を行っております。

    親子通園につきましては、こどもの特性に対する親の理解を深めることを目的に療育センター等で実施しております。

    今後とも、障がい児の療育環境の整備に取り組んでまいります。

(3)子どもの医療費助成

子どもの医療費助成について、2021年7月から、通院の助成対象を中学生まで拡大し、1医療機関につき、ひと月あたりの自己負担額を500円とした。コロナ禍で、とりわけ子育て世代には経済的困難が広がっており、決して自己負担は軽いものではない。名古屋市では2022年1月より入院に続いて通院についても政令市で初めて自己負担や所得制限を設けず高校卒業まで無料とするなど、助成対象の拡大や完全無料化の流れが強まるなかで本市の制度は遅れている。したがって、本市でも、入院・通院ともに助成対象を高校卒業まで拡大して通院時の自己負担をゼロにし、早急に子どもの医療費は完全無料とすること。

(答)

令和3年7月から通院助成対象を中学生まで拡大するとともに、子どもたちが家庭環境に左右されず安心して医療を受けられるよう、福岡市独自に小学生以下の自己負担の上限額を引き下げ、3歳から中学生まで1医療機関につき1月あたり一律500円までとする大幅な制度改正を行ったところです。

自己負担につきましても、継続的で息の長い取組みが必要であり、財源を確保しつつ、将来にわたり持続可能で安定した制度とするため、引き続き一定の自己負担をお願いするものであります。

(4)留守家庭子ども会

  • 2021年4月20日時点の登録児童数1万7084人に対して、児童が使用する専用面積は3月末で約2万8000㎡であり、子ども1人あたりの面積基準1.65㎡を確保できていない。実際の利用児童数で判断する姿勢を改め、子ども1人あたり1.65㎡を確実に保障するよう計画的に整備すること。また、各施設に、8㎡以上を確保した「静養するための機能を備えた区画」や、職員室、調理室、ホール(集会室)を備えるようにすること。さらに、安全、衛生上必要なトイレ、手洗い場を国の設置基準に沿って増設すること。

    (答)

    留守家庭子ども会施設につきましては、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」を踏まえ、今後とも、箇所ごとの実情に応じて計画的に整備などを進めてまいります。

  • コロナ対策として「3密」を避けながら、子どもの発達・成長を保障するためにも、支援単位については「1クラス30人程度」とすること。ひとつの大部屋で支援単位以上の子どもが過ごす状況もあり、密を避けられない場合は、学校と連携して、特別教室や余裕教室などを活用すること。

    (答)

    国は、放課後児童健全育成事業について、概ね40人を超えるクラブに関し、各クラブの状況に応じて適切と考えられる方法で支援の単位ごとの活動を実施することも可能としており、留守家庭子ども会につきましても、これを踏まえた対応を行ってまいります。

    また、留守家庭子ども会の専用施設だけでは密を避けることが困難な場合につきましては、学校と連携し、特別教室などの学校施設を活用してまいります。

  • 新型コロナのデルタ株により家庭内感染が増大し、学校や留守家庭子ども会でも感染が広がった。そのような中で、留守家庭子ども会で感染者が確認された場合の濃厚接触者の特定は、職員の自己申告に委ねられ、検査がまともに行われていない実態があり、職員と保護者から不安の声が寄せられている。感染対策の抜本的強化として、子どもや職員すべてを検査できる体制を整えることが必要である。1人でも感染者が確認された場合は、原則として子どもと職員全員を検査すること。

    (答)

    陽性者が判明した場合に実施される接触者等へのPCR検査につきましては、保健所からの指示に基づき適切に実施されるものと考えており、引き続き、保健所と連携して対応してまいります。

  • 留守家庭子ども会の感染症対策費は、運営委託費とは別に、2021年度は約5000万円が計上されているが、2020年度よりも減額されており、消毒液やマスクなどの購入に運営費から補填するところもある。国に対し補助金の増額を求めるとともに、市独自に感染症対策費を増額すること。あわせて、社会福祉法人が運営する民間学童保育施設の役割を明確にし、コロナ対策のための補助金を交付し、恒久的な独自の財政支援を行うこと。

    (答)

    手洗い石鹸や消毒液など、感染症対策に必要な経費につきましては、国の支援策を活用し、留守家庭子ども会の運営費に計上してまいります。

    民間学童への支援につきましては、福岡市では校区単位で留守家庭子ども会を設置しており、待機児童も生じていないことから、困難と考えておりますが、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費に関しては、感染の拡がりを予防するという点で重要であり、国や県と協議、調整を行いながら、適切に対応してまいります。

  • 留守家庭子ども会の支援員の配置状況は、支援員の人数が少なく、約2000人の補助支援員が支援単位ごとに、基本的に1人ずつ配置されている。補助支援員は、時給950円の有償ボランティアで雇用保険もない。そのため、新型コロナの影響で自宅待機を要請されても報酬すら出ない状況である。労働時間に応じて報酬を受け取り、指揮命令に従って支援員を補助しながら子どもの安全と成長を保障する重要な役割を果たしているにもかかわらず、労働者として雇用しないという脱法行為は許されない。補助支援員は有償ボランティアという扱いを改め、雇用関係を結び、正規化を図ること。

    (答)

    留守家庭子ども会の運営につきましては、地域や保護者で構成する校区の運営委員会と連携を図りながら実施しており、補助支援員は各運営委員会で登録の上、子ども達の見守りなどの活動にご協力していただいております。

    引き続き、支援員と補助支援員の役割分担を明確にし、地域の方が補助支援員として協力しやすい環境を整え、地域全体で子どもを見守り育んでまいります。

  • コロナ感染対策を万全にしながら子どもの成長・発達を保障するためにも、支援員増員とともに、正規化を図り、専門職にふさわしい待遇改善を行うこと。特に、支援単位ごとに放課後児童支援員の資格をもつ職員を複数配置すること。また、経験豊富な支援員であっても、4年ごとに採用試験を受けなければならないことになっており、希望すれば継続して雇用するよう制度を改めること。

    (答)

    総括支援員、主任支援員及び支援員の人員体制につきましては、「放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」に基づき、配置してまいります。

    また、総括支援員等の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示す運用の考え方や他都市の状況なども考慮しながら、適切に対処してまいります。

(5)児童館

児童館の利用者数はコロナ禍によりいったん減少したものの、依然として中高生の居場所としてニーズは高い。本市では中央区に1つしかなく、都心部から遠いところに住む市民は利用しづらいという不利益を被っている。また、市内に1館の体制では、国の児童館ガイドラインが定める児童館としての拠点性や地域性は発揮できないことは明らかである。地域に根ざし、専門職員が常駐する児童館は、公民館など他の施設や出前児童館などで肩代わりすることは不可能であり、早急に児童館を全ての行政区に設置するとともに、幼稚園・学校・こども病院・ゆめアール大橋の跡地など公有地を活用して計画的に増やすこと。

(答)

中央児童会館につきましては、市内全域から利用できるよう交通利便性の高い場所に設置し、子どもたちが自らの意思で自由に利用できる居場所となっております。

また、地域で行われている子育て支援活動のサポートや出前児童館を実施するなど、館内活動にとどまらず、館外において地域や関係機関と連携した活動も行っております。

専門職員のいる児童館を各区に設置することは予定しておりませんが、身近な地域において、子どもの発達段階に応じた遊びや活動ができる場の確保や機会の充実、中高生等を対象とした若者の居場所づくり、それを支援していく人材の育成・確保を図ることを基本として、施策を推進してまいります。

(6)児童虐待

  • 本市の児童虐待の相談対応件数はこの5年間全国の倍以上のペースで増え続け、2637件(2020年度)と過去最多を更新した。全国状況よりも深刻な現状にかんがみ、国が作成している児童相談所設置基準案である「管轄人口50万人に1か所」に準拠し、児童相談所を増やすこと。専門職である児童福祉司・児童心理司についても、児童虐待防止対策総合体制強化プラン(2018年12月策定)で示された2022年度目標の職員配置基準を達成することはもとより、それ以上の手厚い配置を進めること。また、その半数が経験年数3年未満という状況をあらためて継続性を強め、専門性を高めること。弁護士資格をもつ職員を複数名配置すること。

    (答)

    こども総合相談センターでは、児童虐待の相談・通告件数の増加や相談内容の複雑化・深刻化に対応するため、専門職である児童福祉司や児童心理司を増員するとともに、弁護士資格を有する職員を配置しており、今後とも、法定研修をはじめ研修内容のさらなる充実に努めるなど、職員の専門性の強化を図ってまいります。

  • 児童相談所内への児童心理治療施設の設置により、児童相談所の一時保護所の定員が40から10へと減らされたが、平均で14人、多い時で26人の子どもを受け入れたこともあった。不足する児童相談所の一時保護所の定員を増やすこと。

    (答)

    一時保護所につきましては、緊急一時保護を除き、子どもの状況等に適した環境で生活やケアの質が確保されるように、児童養護施設などに一時保護委託するなど、一時保護の場の地域分散化を進めてまいります。

  • 児童養護施設については、現行の本市の制度である、産休代替雇用や共済掛金への助成だけでは職員確保にはとうてい及ばず、処遇が改善され進路として希望が持てるように本市独自の支援をさらに拡充するとともに、国に対しても措置単価の引上げを要求すること。また、福岡育児院での違法残業など、職員が劣悪な労働環境に置かれないよう、労基署まかせや形骸化した「調査」ではなく、市として実効性のある監督を強化すること。

    (答)

    児童養護施設の職員への処遇につきましては、必要に応じて国への要望も行いながら、適切な援助体制が確保できるよう、取り組んでまいります。

    また、施設での労働環境につきましては、指導監査等の機会を通じて、引き続き必要な指導を行ってまいります。

(7)ひとり親家庭

ひとり親家庭の貧困率は50.4%と断トツの高さとなっている。すべてのひとり親家庭が「健康で文化的な最低限度の生活」ができる「福岡支援モデル」を策定するよう、以下の支援を求める。

  • 「福岡市ひとり親家庭実態調査結果」(2016年度、最新)において、「行政機関に対する要望」のトップは「年金・手当などの充実」であり、回答数の5〜6割に達するほど強い要望になっている。児童扶養手当について、支給開始5~7年後に半減させるという「一部支給停止措置」の廃止、所得制限の見直し、全体の6割を占める第1子のみ世帯への支援拡充、毎月支給への変更、支給年齢の20歳までの延長を国に求めること。あわせて、市独自の加算手当を創設すること。

    (答)

    児童扶養手当につきましては、平成30年度から全部支給の所得制限額の引き上げが実施されるなど、国において制度の見直しが行われており、今後とも国の動向を注視してまいります。

  • 前掲調査で2番目に回答数の多い項目は「医療保障を充実する」である。ひとり親家庭の医療費助成の所得制限をやめ、18歳まで完全に無料にすること。

    (答)

    福岡市のひとり親家庭等医療費助成制度につきましては、県の補助対象事業として県制度と同基準で実施しております。

  • 前掲調査で3番目に回答数の多い項目は、「県営住宅や市営住宅を増やす」である。福岡市の母子家庭で公営住宅に入居できているのは、17%しかなく、半分は民間借家やアパートなどで生活している。ひとり親家庭が入居できる市営住宅を抜本的に増やすとともに、ひとり親家庭への独自の家賃補助を行うこと。

    (答)

    入居時の収入基準の緩和や、抽選時の倍率優遇のほか、子育て世帯の別枠募集を行うなど、市営住宅に入居しやすい制度としております。(住宅都市局)

    ひとり親家庭に対する家賃補助につきましては、今後のひとり親家庭支援に関する国の動向などを注視してまいります。(こども未来局)

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8、憲法の平和・民主主義の理念を福岡市のすみずみに

(1)市長の政治倫理、政治姿勢

  • 市長の政治資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」の2020年報告内容によれば、政治資金パーティーで約2918万円の売上、1806万円の収益を上げており、利益率61%にも及ぶパーティー券の購入は対価的意義の乏しい事実上の寄附である。財界関係者や市の受注業者から巨額の政治資金を受け取ることは市政をゆがめるものとなる。市長政治倫理条例第3条には「道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しない」等の規定があり、「政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれ」(同条2)ているにも関わらず、市長は、利害関係者による購入の公開など「自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当た」(同前)ろうとしていない。このような疑惑をもたれる、市長の政治資金パーティーをやめること。

    (答)

    政治資金パーティーにつきましては、政治資金規正法の規定の範囲内で開催・実施したものであり、今後とも、法に則り、適切に対応してまいります。

  • 市政における最高責任者である高島市長の日程についてホームページで公表しているというが、詳細については市長室も把握することなく、事実上どこで何をしているのかわからない状況となっている。このような状況は異常であり、市長の日程を公開すること。また、登退庁盤については、「防犯上の理由」で表示しないというのは問題であり、表示すること。

    (答)

    市長の日程(行事等)につきましては、担当秘書が管理しており、対外的な行事を中心に、市ホームページに登庁日と併せて公表しております。

    また、登退庁表示につきましては、他都市で市長への面会強要等の事案が発生したことなどを踏まえ、セキュリティの観点から平成31年1月より、表示しない運用としております。

(2)住民参加

  • 国際金融機能やG7サミットの誘致など、市長が独断専行で物事をすすめるやり方に、市民や議会から大きな批判の声が出されている。また、さまざまな住民団体や要求団体との直接の対話を拒否する市長の姿勢は許されず、市政の進め方については市議会と市民の意見をよく聞き、住民投票・住民意向調査・住民討論会などを活用して、住民参画の上での政策決定を基本とすること。

    (答)

    様々な政策の推進に当たりましては、市民や関係者のご意見を丁寧に伺うとともに、市民の代表である議会との対話を真摯に進めながら、市政運営に取り組んでまいります。

  • 2020年度、本市が実施したパブリックコメントは7事案であるが、意見提出件数は多いもので133件、中には0件という事案もあり、市民の意見を広く聴取できていないのが実態である。パブリックコメントの周知方法や期間の延長など進め方を改善し、多くの市民意見を集めること。また、市の施策への反対意見を無視するなど、実質切り捨てることが行われており、少数意見を排除しないこと。あわせて、市民の意見を市政に反映させるために、説明会や懇談会など行政が出かけて行き意見を聞くこと。また、各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。

    (答)

    パブリック・コメント手続の実施にあたりましては、対象となる計画案や条例案などの資料を市ホームページに掲載するとともに、情報プラザや各区役所・出張所などで市民などに対し閲覧・配布を行い、ご意見を頂いております。また、意見を募集する対象事案名と募集期間等については、市政だよりにも掲載し、広く市民等に周知を図っております。

    福岡市においては、政策決定は、このパブリック・コメント手続などにより市民意見を伺いながら進めており、今後とも計画段階から市政へ参画できる機会の確保に努めてまいります。

    各種審議会等の委員の選任にあたっては、各所管局において、その設置目的、審議内容等を勘案した上で、効果的な選考方法を選択しております。市民公募枠につきましては、一部の審議会などで実施しておりますが、今後もその内容に応じて公募を検討してまいります。

  • 市有地の活用などにおける民間サウンディングは、大企業に意見を求め、その結論を市民や議会に押し付ける手法である。住民の声を聞かないこのような手法はやめること。

    (答)

    市有地の活用にあたっては、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性なども踏まえ、総合的に検討することとしており、民間サウンディングにつきましては、民間ノウハウの活用や市場性の判断などが必要な場合に個別に実施しております。

(3)「行革」、民間参入

  • 市長が2021年度から2024年度まで推進しようとしている政策推進プラン、行政運営プラン、財政運営プランは、人工島事業やウォーターフロント再整備構想、「天神ビッグバン」、「博多コネクティッド」などの大型開発は聖域にする一方、「持続可能な個人給付施策の構築」として第三子優遇事業、福祉乗車券、就学援助など、97事業1858億円の事業を見直し、縮小・廃止することは許されず、3つのプランは抜本的に見直すこと。また、この間、切り捨てられてきた市民サービスをもとに戻すとともに、行財政改革と称して、これ以上の市民生活サービス削減は行わないこと。

    (答)

    今後、少子高齢化の進展などに伴う社会保障関係費の増加や、公共施設等の改修・修繕などに係る財政需要の増大が見込まれております。

    このような状況にあっても、市民生活に必要な行政サービスを安定的に提供しつつ、重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源を確保できるよう、政策推進プランに基づき投資の選択と集中を図るとともに、歳入の積極的な確保や行政運営の効率化、既存事業の見直しなど徹底した事業の選択と集中や不断の改善に取り組んでまいります。

    また、中長期的に、「生活の質の向上」と「都市の成長」のために必要な施策事業の推進により税源の涵養を図りつつ、超高齢社会に対応する持続可能な仕組みづくりやアセットマネジメントの推進、市債残高の縮減に向けた市債発行の抑制などにより、将来にわたり持続可能な財政運営に取り組んでまいります。(総務企画局・財政局)

  • 市が「特別定額給付金事業」や「生活困窮者自立相談支援事業」を約10億円で「株式会社パソナ」に業務委託したものの、その業務の「手伝い」に市職員が7局からのべ約1700人も動員されていた。これは、公務員の営利企業への従事禁止などを定めた地方公務員法に違反するものであり許されない。契約どおりに業務を遂行できなかったパソナに委託費の返還を求めること。また、コロナ禍の給付事業の多くが大企業に業務を丸投げされており、再委託や労働者賃金の中抜きが行われている。不当なもうけを保証する委託業務のあり方について、抜本的に見直すこと。

    (答)

    特別定額給付金事業につきましては、当初の想定を大きく超える業務量が発生したことから、迅速に作業を進めるため、仕様書に定める業務計画書に基づく委託事業者との調整・協議を行い、市が行う業務と委託事業者が行う業務を明確に区分した上で、双方の人員体制を強化したものです。委託事業者は、委託業務を適切に履行しており、委託料の返還を求める必要はないものと考えております。また、委託事業者につきましては、提案競技方式による事業者の公募を実施し、選定しております。(市民局)

    生活困窮者自立相談支援事業につきましては、住居確保給付金の申請件数が急増し、当初の契約を大きく超える業務が発生したことから、これに対応する体制に強化するために契約変更をするまでの間の緊急的な措置として、市職員が業務に従事したものです。体制の整備後は従事しておりませんので、委託費の返還を求める必要はないものと考えております。また、委託事業者につきましては、提案競技方式による事業者の公募を実施し、選定しております。(保健福祉局)

    業務の遂行にあたっては、所管局において業務の性質や量などを勘案した上で実施手法を決定しており、必要に応じて民間の能力やノウハウを活用することとしております。(財政局)

  • PFI事業は大企業の参入を促進し、地元企業を排除する仕組みであり、住民サービスの後退につながるなど大きな問題となっている。市は、この間、給食センターや福岡市総合体育館など、市民の貴重な財産である公共施設の整備・管理運営にPFI方式を導入したが、労働者の賃金などの労働条件を把握しておらず、経費削減の実態もわかっていない。また、市が公共施設などの所有権をもったまま、運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の導入が港湾施設で計画され、新たな大企業の儲けの場にされようとしている。PFI方式やコンセッション方式はやめること。

    (答)

    市民の暮らしを支える公共サービスの提供や都市の成長に向けた社会資本の整備を、将来に向けて持続的に展開していくことは、市政運営上の重要課題であると考えております。

    今後の公共施設の整備に当たっては、依然として楽観できる状況にない財政状況下において、社会状況の変化や多様化する市民ニーズへ対応するとともに、将来のまちづくりのために必要な施設について効果的な施設整備・運営を行うという観点から、引き続き適切な事業手法を検討してまいります。

  • 市が責任を持つべき公的施設の管理・運営に指定管理者制度が導入され、人件費などの労働条件さえも市が把握できない事態が生じている。また、市民サービスの低下につながる不適切な管理・運営、行政の責任放棄も顕著となっている。営利企業参入を抜本的に見直して、原則直営に戻すこと。併せて、制度が導入されている施設にはモニタリングの基準を強化するとともに、抜き打ち点検や専門家による現場点検、現場労働者から直接、聞き取り調査をおこなうこと。

    (答)

    公の施設の管理・運営につきましては、「民間にできることは、民間に委ねる」という基本的な考え方のもと、施設個々の特性を踏まえ、民間のノウハウの活用により、柔軟で質の高い市民サービスの提供が可能と判断される場合に、指定管理者制度の積極的な導入を図っております。

    指定管理者の選定にあたりましては、制度の趣旨をより効果的に実現できるよう、幅広く公募するとともに、公の施設の適正な管理を確保するために、所管局においてモニタリングを実施し、その結果を踏まえ、指定管理者に対し必要な指導を行うこととしております。

    今後とも、モニタリングの充実を図るなど、指定管理者の業務執行について適切に点検・評価を行いながら、公の施設における市民サービスの向上と適正な管理運営の確保に努めてまいります。

  • 株式会社クリーンエナジーの操業に伴う、九州電力への配当金は13億7200万円にもなっており、市財政を食い物にしている同社を廃止し、直営に戻すこと。また、市政を財界いいなりに誘導する役割を果たしている、「福岡アジア都市研究所」は廃止すること。

    (答)

    外郭団体につきましては、「外郭団体のあり方に関する指針」における団体ごとの取組方針に基づき、事業や人員体制を見直すなど、団体の自主的な取組みの指導、支援などを行い、着実に取組みを推進してまいります。

(4)市職員の配置と労働条件等

  • 本市の人口1万人当たりの職員数は107人となっており、政令市最下位である。このような中、大型台風や集中豪雨などの災害対応や、コロナ感染への対応も充分にできない状況が明らかとなっている。市は職員を増やすことなく、「最小の経費で最大の効果」と称して、窓口業務などを民間委託している。公務職場の民間委託化によって、職員が継続的に従事することで蓄積される公務に必要な専門性やノウハウ、経験が失われている。また、住民からの苦情や発生した問題が、市政運営に反映されず、信頼を損なっている。よって、これ以上の民間委託化はやめ、職員定数を増やすこと。

    (答)

    人口あたりの職員数が少ないことにつきましては、福岡市がこれまで他都市に先駆けて、家庭ごみの収集や保育所の設置・運営、地下鉄駅業務などの民営化や民間委託などの民間活用を行ってきた結果などによるものであると考えております。

    地方自治法上、地方公共団体は「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことを基本としており、福岡市におきましても、新たな課題へ対応するため、必要な体制整備を行うとともに、業務の特性に応じて、民間が持つ専門知識や事業運営ノウハウなどを積極的に活用しながら、職員の適切な配置に努めております。

    今後とも、簡素で効率的な組織体制の整備と適切な職員配置に努めてまいります。

  • 残業時間を「年360時間以内」と定めている厚生労働大臣告示を超えて時間外勤務をさせられている職員が2020年度は748名となり、改善されるどころか悪化している。また、過労死ラインとされる月80時間を超える時間外勤務を行っている職員が2020年度は937人となっている。2021年度はコロナ禍のもとで職員をふやさず、長時間・過密労働は、過労死をうみだしかねない状況となっている。職員を抜本的に増やし、直ちに改善すること。

    (答)

    時間外勤務の縮減につきましては、職員の健康を保持し、職業生活と家庭生活の両立を実現させる観点から、重要なものであると認識しており、時間外勤務の上限規制をはじめとして、事前命令の徹底や業務の効率的な遂行などについて所属長に周知するとともに、全庁一斉定時退庁日を設定するなどの取組みを実施しております。

    また、職員配置につきましては、保健所など、感染症対応を行っている部署を中心に職員の増員を行うとともに、全庁的な応援体制を構築し、対応しているところです。

    今後とも、時間外勤務の縮減及び業務の質と量に応じた適切な職員配置に努めてまいります。

  • 市職員給与については、20年間で平均100万円近く引き下げられてきた。このような中、2021年人事委員会勧告に基づいて、市長が、コロナ禍で市民の命や健康を守るために奮闘している市職員の期末手当を0.15か月分引き下げ、年間平均給与を5万7000円引き下げたことは許されない。このことが公務員としてのモチベーションを低下させ、生活設計や地域の景気にも深刻な影響を与えている。臨時・非常勤職員を含む市職員給与の大幅賃上げを行なうこと。

    (答)

    職員の給与改定につきましては、地方公務員法の趣旨を踏まえ、毎年の人事委員会の給与勧告を尊重しながら、今後とも適切に対処してまいります。

  • 処遇を改善するという目的で導入された会計年度任用職員制度は、月収の大幅な減収によって悲鳴があがっている。法の趣旨に従って待遇改善を行うとともに、更新回数の上限を撤廃すること。

    (答)

    会計年度任用職員の勤務条件につきましては、地方公務員法に基づき、国が示した運用の考え方や他都市の状況なども考慮しながら、適切に対処してまいります。

(5)市有地

2021年に策定された財政運営プランでは、今後4年間に「民間事業者のノウハウも活用しながら」「市有財産の有効活用に取り組」むとしている。市は、脇山北公園やゆめアール大橋跡地、内野幼稚園跡地などを売却予定地としているが、そもそも市有地は市民の財産であり、営利企業のもうけのために売却するのは許されない。売却方針はあらため、不足している保育所や特別養護老人ホームなど、市民の生活を守るために活用すること。

(答)

公共施設跡地などの活用につきましては、公共利用を考慮しつつ、市民ニーズや地域の特性などを踏まえ、財源確保の観点に加えて、まちのにぎわいの創出や魅力の向上など、まちづくりの視点も取り入れながら、総合的に検討を進めてまいります。

(6)名義後援

  • 市は、「平和のための戦争展」の名義後援拒否に続いて、2019年までは「労働者の賃上げ、働くルールの確立、長時間労働の是正等、労働施策の推進に寄与する」ものであるとして名義後援を承諾してきた福岡中央統一メーデーを、2021年は「政治的な立場等、特定の主義主張に立脚しており」「行政の中立性を損なうおそれがあると判断される」として不承諾とした。これは前代未聞のことであり、言論や表現の自由に挑戦する断じて許しがたい態度である。不承諾の根拠となった「名義後援の承諾に関する取扱い要項」を抜本的に見直し、この間に同じ理由で不当に行ってきた名義後援の不承諾を撤回し、関係団体に謝罪すること。

    (答)

    名義後援につきましては、個人・団体が主催する各種行事などの趣旨に本市が賛同し、「福岡市」の名義の使用を認めるものであるため、名義後援の可否にあたっては、中立性や公平性など、行政としての基本的な立場を踏まえ、申請される催事ごとに適切な判断が必要であると考えております。

    なお、市民の表現活動は、自由に行うことができるものであり、福岡市の後援の有無によって制限を受けることはありません。

    今後とも、名義後援につきましては、取扱要領に基づき、適切に対応してまいります。

  • なみきスクエアの「ひまわり広場・会議室」は、市民に広く貸し出されているスペースであり、事実上「公の施設」として扱われている。しかしながら、市民団体などが利用する際には名義後援がなければ認めないとしており、これは「住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」とする地方自治法第244条の精神に反するものであり、運用を改めること。

    (答)

    なみきスクエア内の「ひまわりひろば」につきましては、東区役所庁舎の一部であり、その利用は、庁舎管理規則及び要綱などに基づき、原則として福岡市が主催、共催または後援する行催事について許可しております。

(7)消費者行政

本市の消費生活センターは、相談業務が営利企業に委託され、啓発や事業者指導をおこなう行政担当職員との円滑なコミュニケーションができず、消費者安全法が求める消費生活センターとは大きくかけ離れている。2020年度の相談件数は1万2555件とここ数年横ばいである。相談体制について、そもそも市が作った仕様書によると100%対応する体制になっておらず、十分な相談活動ができていないのは明らかである。仕様書の見直しを行うとともに、本来の消費生活センターの趣旨に立ち返り、市直営に戻すこと。

(答)

消費生活相談業務につきましては、その対応に豊富な経験と高い専門知識が必要とされることから、昭和48年度から専門の相談員を擁する団体に委託して実施しており、さらなる市民サービスの充実を図るため、委託事業者の提案競技方式による選定や、仕様書における月間応答率の導入などを実施しております。

今後とも、複雑・多様化する消費生活相談に十分かつ適切な対応ができるよう、相談員の資質の向上などを図ってまいります。

(8)デジタル化

  • 本市が進めている行政手続きの急速なデジタル化は、対面での窓口サービスや紙による手続きの縮小・廃止が懸念され、デジタル機器を所持していない人や使いこなせない人が行政手続きから排除されるおそれがある。加えて、デジタルを使いこなせない人への市の支援はあまりにも貧弱である。デジタルデバイド対策をさらに強めると同時に、市民の多様なニーズに応えるために、デジタル手続きとともに、紙による手続きを含めた対面での窓口サービスの拡充をはかること。

    (答)

    行政手続きのオンライン化などの取組みにつきましては、市民に最も近い基礎自治体として、子どもから高齢者まで、誰もがデジタル技術を活用できる環境づくりを進めるとともに、デジタルに不慣れで、対応が困難な高齢者などにも十分配慮しながら、利便性の向上を図っていくことが重要と考えており、公民館スマホ塾やリモート窓口の実証など、より多くの方がデジタル化のメリットを受けることができるよう取り組んでまいります。

    また、DXの取組みを推進することで、業務の効率化、生産性を高めることにより、相談業務など人のぬくもりが必要な業務に人員を再配置するとともに、デジタル化への対応が困難な来庁者に対しても、丁寧に対応してまいります。

  • デジタル関連法の成立にともなう個人情報保護条例の改定にあたっては、「地域の特性等に照らし、地方公共団体は法律の範囲内で条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは当然可能である」とする国の答弁をふまえ、本人の知らないうちに個人情報が利用されることがないよう、個人情報の自己コントロール権を保障するための市独自の措置を講じるようにすること。

    (答)

    個人情報保護条例の改正につきましては、個人情報保護法改正の趣旨や、今後国から示されるガイドライン等を踏まえ、適切に対応してまいります。

(9)ジェンダー平等

日本は、各国の男女平等の達成度を示す「ジェンダーギャップ指数2021」(世界経済フォーラム)で、156カ国中120位と、先進国として異常な低位を続けている。コロナ危機を経て、ジェンダー平等を求める国民の声は劇的に高まり、口先だけの「男女共同参画」や「多様性の尊重」でなく、ジェンダー格差を打開するために経済的・社会的差別をなくし、誰もが尊厳をもって自分らしく生きられる社会をめざすことが強く求められている。

  • 「福岡市特定事業主行動計画」においては2025年度までに課長級以上全体に占める女性の割合を20%程度とすることを目標にしているが、政府の目標40%程度と比べても低いものとなっており、大幅に引き上げること。管理職への登用を抜本的に強め、昇任などの差別を一掃する手立てをとること。また、政策方針決定への女性の参画を高め、現在35.3%である各種審議会への女性の参画率については、目標を50%に改め、「男女半々」の実現に向け、ジェンダー平等を推進すること。

    (答)

    職員の昇任につきましては、地方公務員法の「平等取扱の原則」、「任用の根本基準」の主旨を踏まえ、公平・公正に実施しております。

    女性職員の登用につきましては、係長級に占める女性の割合などを考慮しながら、目指すべき数値目標を設定しており、女性職員が管理職などとして相応しい経験を積み、能力の向上を図ることができるよう、今後とも、職域の拡大や研修機会の確保に努めるとともに、その能力を十分に発揮できるよう職場環境づくりを進めてまいります。(総務企画局)

    女性の意見や考えを政策および方針決定に反映するため、「男女共同参画基本計画(第4次)」において、あらゆる意思決定過程に男女が共に参画する多様性に富んだ社会を目指すことを基本目標の一つに掲げ、市の審議会等委員に占める女性の参画率を2025年度までに40%にすることを目標に定めております。今後とも、数値目標を達成できるよう、審議会ごとの状況や課題の分析を踏まえ、委員改選期には所管部署との事前協議を徹底した上で、庁内の推進組織である「男女共同参画推進協議会」において、実効性ある取組みを進めてまいります。(市民局)

  • ジェンダー不平等の大きな要因となっている男女間の賃金格差の解消に向け、市として市内事業所が男女別の賃金を調査・公表し、その是正計画策定を義務付ける条例をつくること。

    (答)

    「男女共同参画基本計画(第4次)」において、働く場において女性が能力を発揮して活躍できる社会を目指すことを基本目標の一つに掲げ、企業への啓発やスキルアップ講座など支援を行うこととしております。今後とも、働く場における男女の均等な機会と待遇が確保されるなど、男女を問わず、それぞれの個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。

  • 選択的夫婦別姓について、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は日本だけであり、国連の女性差別撤廃委員会も、日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告している。国民世論も、すでに7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成しており、夫婦別姓を可能にする法改正は待ったなしである。民法を改正し、選択的夫婦別姓を法制化するよう国に求めること。また、女性のみに課せられた再婚禁止期間、「世帯主」規定の廃止など、いまだ民法・戸籍法などに残る時代遅れの差別的な条項をなくすよう国に求めること。

    (答)

    国の「第5次男女共同参画基本計画」において、「男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」が重点分野に掲げられ、「家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進める。」こと、また「女性の再婚禁止に係る制度の在り方等について検討を進める。」ことが盛り込まれております。

    今後とも、国の動向を注視してまいります。

  • 刑法の性犯罪規定について、フラワーデモなどで多くの当事者や支援者から性被害の実態に見合った改正を求める声があがり、本市議会においても、「性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書」が採択されている。暴行脅迫要件の撤廃、同意要件の新設、地位関係利用型の犯罪化、公訴時効の廃止、性交同意年齢の引上げなどの改正を国に求めること。また、現在の性暴力被害者支援センター・ふくおかでSNSを使って気軽に相談ができる体制や、精神科受診の公費負担の拡充など抜本的に充実するとともに、本市独自のワンストップ支援センターや病院拠点型のセンターを創設すること。

    (答)

    刑法の性犯罪規定につきましては、国において、性犯罪における被害の実情を勘案し、実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討することとされておりますので、今後とも国の動向を注視してまいります。

    「性暴力被害者支援センター・ふくおか」につきましては、県及び北九州市と共同で設置し、平成27年12月からは24時間・365日対応、令和元年9月からは精神科医や弁護士等の専門職を配置、令和2年度からは子どもの性被害に対応できるよう心理職を配置するなど支援体制を強化しており、引き続き、複雑かつ多様化する相談に対応できるよう充実を図り、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。

  • 女性や子どもにとって、最も身近な性暴力である痴漢や盗撮について、本市における実態調査および相談窓口の設置、加害根絶のための啓発や加害者更生などの対策を講じること。

    (答)

    性暴力被害に対する相談窓口につきましては、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」を県及び北九州市と共同で設置し、平成27年12月からは24時間・365日対応、令和元年9月からは精神科医や弁護士等の専門職を配置、令和2年度からは子どもの性被害に対応できるよう心理職を配置するなど支援体制を強化しており、引き続き、複雑かつ多様化する相談に対応できるよう充実を図り、相談者に寄り添った支援に取り組んでまいります。

    また、性暴力加害者対策につきましては、令和2年度から県において加害者相談窓口が設置されており、相談状況などを把握するとともに、本市においても窓口の周知を図ってまいります。

  • コロナ禍でDV被害が増え、困難も多様化、複合化する中で、ニーズに沿った切れ目ない支援を行うことが必要であり、DVの相談支援体制の充実は急務である。各区の子育て支援課やアミカスに保育士や学習援助者を配置し、子連れの相談者が相談しやすい体制をつくること。民間シェルターへの補助金など支援の拡充、中長期滞在できる中間的施設(ステップハウス)の開設・運営へ助成するとともに、自立に要する費用の補助を拡充すること。男性DV被害者が気軽に相談できる体制の強化をはかること。また、国に対して保護命令の対象や期間の拡大、緊急保護命令の導入などDV防止法を改正するよう求めること。

    (答)

    DV相談につきましては、コロナ禍におきましても配偶者暴力相談支援センターを中心に、各区保健福祉センター家庭児童相談室及び男女共同参画推進センター・アミカスにおいて専門の相談員が被害者の相談に対応しております。今後とも、配偶者暴力相談支援センター機能の充実を図り、関係機関との連携を強化して被害者支援に努めてまいります。

    民間シェルターにつきましては、DV被害者の保護実績があり、本市と連携している団体への支援を引き続き行ってまいります。また、被害者が自立に向けた準備をするための居住施設(ステップハウス)や自立に要する費用の補助につきましては、市内に2か所設置している母子生活支援施設を利用して、自立を支援するとともに、各区役所におきまして、住居、就業、手当、給付金、貸付金等各種福祉制度の利用支援を引き続き行ってまいります。

    また、男性DV被害者の相談につきましては、配偶者暴力相談支援センターをはじめ、各区保健福祉センター家庭児童相談室や男女共同参画推進センター・アミカスにおいて対応しております。

    DV防止法の改正につきましては、引き続き国の動きを注視してまいります。

  • ハラスメントは女性をはじめとする労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為である。国に対し、ILO条約を批准できる水準のハラスメントの禁止を明確にした法整備を行うよう求めること。本市としてハラスメントが違法であることを明確にした「ハラスメント禁止条例」を制定すること。市職員のハラスメントの相談・調査・判断をすべて同じ部署で行うことは問題であり、啓発・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を設置すること。

    (答)

    各種ハラスメントにつきましては、全ての人の人権を尊重するという視点に立ち、「人権教育・啓発基本計画」に基づき取組みを進めており、企業を対象とした研修会を行うなどハラスメント防止に向けた啓発に努めるとともに、男女共同参画推進センター・アミカスや人権啓発センターなどにおいて、各種ハラスメントの相談に対応してまいります。(市民局)

    市職員のハラスメント対策につきましては、国が定める法令などを踏まえ適切な措置を講じるとともに、相談窓口の周知や啓発に取り組んでいるところであり、今後とも良好な職場環境づくりに努めてまいります。(総務企画局)

  • 同性婚を認める国・地域は約30にのぼり、日本でも同性婚を「認めるべき」が86%(18~29歳)(2021年3月、朝日新聞世論調査)と同性婚を認める世論が広がっている。また、「結婚の自由をすべての人に」と同性婚訴訟が全国で行われ、「男女と同じ権利を」という切実な訴えがされており、同性婚を認める民法改正を国に求めること。性的マイノリティ及び関係者の専門相談窓口を抜本的に増やすなど、相談事業を拡充すること。リーフレットの増刷やTVCMの活用など性的マイノリティの人権に関する宣伝啓発活動を拡充すること。性的少数者の約25%が、性的指向や性自認を本人の許可なく暴露する行為「アウティング」をされた経験をもっており、性的指向・性自認等を理由とした差別を禁じ、多様性を尊重する立場を市長が明確にするとともに、企業に対し勧告や指導が行えるなど性的多様性を尊重する包括的な条例を制定すること。また、性の多様性を認め合い、誰もが「個人の尊厳」を尊重される社会をつくるために、LGBT平等法を制定するよう国に求めるとともに、国の動きを待たずして、本市においても条例をつくること。

    (答)

    性的マイノリティへの支援につきましては、パートナーシップ宣誓制度や交流事業、専門電話相談事業を実施するとともに、リーフレットの活用や、人権啓発CM、ラジオ番組などを通して当事者の人権を尊重する啓発を行っております。

    今後とも、性的マイノリティ支援の充実に向け、国の動向や他都市の取組みなども含め検討してまいります。

  • リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、子どもを産む・産まない、いつ何人産むかを女性が自分で決める基本的人権である。性と生殖に関する健康や、それについての情報を最大限享受できることも、大事な権利の一環である。ところが日本では、性教育がきわめて不十分であり、子どもたちは、人間の生理や生殖、避妊についての科学的な知識も、互いを尊重し合う人間関係を築く方法も、自分の心や体を傷つけるものから身を守るすべも十分に学べないまま、成長している。子どもの年齢・発達に即した、科学的な「包括的性教育」を導入すること。

    (答)

    性教育につきましては、学習指導要領に基づき、性に関する正しい理解や、適切な行動をとれるよう、学校教育活動全体を通して指導しております。

  • コロナ禍で顕著になった「生理の貧困」対策として、アミカス等の相談窓口で災害備蓄用の生理用品を無償配布しているが、一時的な対策にとどめず、女性の健康や尊厳に関わる重要な課題として、公民館など公的な窓口での恒久的な無償配布、学校や地下鉄の駅など公的施設のトイレへの常備設置を実施すること。

    (答)

    生理用品の配布につきましては、公的備蓄品を活用するとともに、内閣府の地域女性活躍推進交付金に基づく事業として、コロナ下で困難や不安を抱えている女性や子どもへの配布を進めております。

    今後とも、コロナ下における社会情勢等の変化や国の動向などを注視してまいります。

(10)人権教育、同和

2004年に策定された「福岡市人権教育・啓発基本計画」は、実質同和問題や差別の問題に偏重しており、憲法で保障された幅広い人権を取り扱うものに改善すること。また、部落差別を理由にした団体や個人への特別扱いを一切やめ、一般行政に徹するとともに、行政の主導による市民と企業への「人権啓発」名目での「同和」研修の押しつけはしないこと。あわせて、「部落差別解消推進法」の運用において、参議院の付帯決議を厳守し、「同和」の特別対策に類するものの復活や、人権侵害を生み出しかねない特別な教育啓発や実態調査を実施しないこと。

(答)

「人権教育・啓発基本計画」につきましては、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、人権教育・啓発の取組みをより効果的かつ積極的に推進していくために策定しております。

人権教育・啓発につきましては、「人権教育・啓発基本計画」に基づき、学校・地域・企業などあらゆる場における取組みを推進しており、引き続き「人権という普遍的文化の構築」及び「人の多様性を認め合う共生社会の実現」に向けて、あらゆる人権問題の解決に向けた取組みを進めてまいります。

「部落差別の解消の推進に関する法律」につきましては、附帯決議を踏まえて、国と地方自治体の適切な役割分担のもと、同和問題の解決に向けた取組みを進めてまいります。

(11)ヘイトスピーチ、外国人

  • 民族差別をあおるヘイトスピーチを放置することは許されず、高島市長が毅然として根絶宣言を行うとともに、その立場に立った条例を制定すること。

    (答)

    ヘイトスピーチにつきましては、引き続き国や県などの関係機関と連携を図りながら、ヘイトスピーチ解消に向けた啓発に取り組んでまいります。

  • 福岡市の外国人居住者は2021年10月で3万5895人となっている。労働法令違反の働き方を強いられるなど、過酷な労働環境に加え、コロナ禍で解雇され苦しんでいる外国人居住者が急増する中、相談窓口がわからず、必要なサービスを受けることができない状況も生まれている。在留外国人が容易に相談窓口にアクセスできるよう公共施設・駅・商店街・スーパーマーケット・コンビニに協力依頼し、多言語でのポスターなどで周知するとともに外国人コミュニティなどのキーパーソンと連携して相談窓口の周知徹底を図ること。また、市独自の専用相談窓口を各区役所に設置すること。さらに、外国人居住者の人権保障をすすめていくために、市として総合的な多文化共生推進計画をつくること。

    (答)

    外国人労働者からの相談につきましては、福岡市外国人総合相談支援センターのほか、国の福岡労働局に設置されている「外国人労働者相談コーナー」などの専門窓口を紹介しております。専門相談窓口の周知につきましても、国と連携を図りながら周知を進めてまいります。また、国は、多言語での電話相談が可能な「外国人労働者向け相談ダイヤル」を開設するなど、外国人労働者の相談体制が整備されているところでございます。(経済観光文化局)

    福岡市外国人総合相談支援センターにつきましては、多言語で広報チラシを作成し、市の施設の他、大学等の教育機関や経済団体、在福公館、国際交流団体などの関係機関へ幅広く周知をしているほか、外国人が区役所で転入手続きを行う際に配布する封筒やパンフレットに多言語で掲載するなど、周知を図っております。

    区役所での外国人の相談につきましては、市民相談室や窓口において電話通訳、映像通訳を導入して対応しております。

    多文化共生の推進につきましては、平成18年に総務省が策定した「地域における多文化共生推進プラン」において、地方自治体に対して、多文化共生の推進に関する指針・計画を策定した上で、外国人住民を直接支援する主体としての取組みを求めております。福岡市におきましては、基本計画において、「アジアをはじめ世界の人にも暮らしやすいまちづくり」など多文化共生の推進に係る施策を位置づけるとともに、政策推進プランにおいて、様々な事業を推進しております。(総務企画局)

  • 日本には111万人の永住外国人が生活しており、地方参政権を付与すべきだという世論が高まっている。外国籍であっても、わが国の地方自治体で住民として生活し、納税を始めとする一定の義務を負っている人びとが住民自治の担い手となることは、憲法の保障する地方自治の根本精神とも合致する。永住外国人の地方参政権を保障するよう国に求めること。

    (答)

    福岡市では、多言語のワンストップ相談窓口や各区役所等に導入している電話通訳・映像通訳を活用し、外国人からの相談に対応しているほか、大学、日本語学校などの教育機関や経済団体、国際交流団体などの関係団体を通じて把握したニーズや意見を踏まえ、外国人にも住みやすく活動しやすいまちづくりに取り組んでおります。

    永住外国人の地方参政権につきましては、今後も外国人の生活環境の向上に取り組みながら、外国人を取り巻く社会状況の変化や国等の動向を注視してまいります。

(12)地域コミュニティ

自治協議会会長の平均年齢は2019年1月の調査時点で72.8歳、自治会・町内会長は68.9歳と、後継者不足が深刻になっている。根本的な問題は自治会・町内会の過重負担であり、市から地域への協力依頼の多さはその大きな要因となっている。市の調査によると、2020年度の協力依頼事項数は年間129件にもなっており、市の下請けにするこのようなやり方を抜本的に見直すとともに、本市のまちづくりの基本点として、「公助」を明確に打ち出すこと。また、自治協議会共創補助金交付要綱の第4条第2項の「その全てを実施しなければならない」という箇所を削除し、自治協議会が主体的に決定できるようにすること。また、住民の自治会加入を義務付ける条例化は問題であり、やめること。

(答)

平成28年度から、自治協議会と福岡市がパートナーとして、企業や商店街、NPO、大学など様々な主体と地域の未来を共に創り出す「共創」の取組みを推進いたしております。

令和4年度は、地域コミュニティの活性化に向けて、条例により自治協議会や自治会・町内会の位置づけを明確化し地域コミュニティ固有の価値の共有を図るとともに、校区が実情に応じた取組みを主体的に決定できるように、自治協議会共創補助金について、まちづくり基本事業の取扱いの柔軟化や運営費の上限額の引上げを行うこととしております。

また、地域への協力依頼に係る規則やガイドラインを制定し、協力依頼などに係るルールを徹底することにより、地域の負担軽減を図ってまいります。

今後とも、持続可能な地域コミュニティづくりに向け、「共創」の地域づくりを推進してまいります。

(13)投票・若者の政治参加の促進

  • 投票区について、距離や地形などを総合的に判断して分割し、投票所を抜本的に増やすとともに、すべての投票所のバリアフリー化をさらにすすめること。また、在宅投票制度、郵便投票、学生に対する不在者投票、在外投票、洋上投票など、制度を周知徹底し、投票機会の保障をはかること。

    (答)

    投票所の増設につきましては、投票所として使用するのに適した施設の有無などといった課題がありますが、地元の要望も聞きながら適切に対応してまいります。

    また、投票所のバリアフリーなど、投票環境の整備に努めてまいります。

    郵便等投票制度などにつきましては、選挙管理委員会のホームページや選挙時には市政だよりや選挙の特設サイトなどにより周知を行っております。また、郵便等投票制度につきましては、保健福祉局発行の「福岡市の障がい福祉ガイド」に掲載し、障がい者の方に直接お知らせしておりますが、今後も制度の周知に努めてまいります。

  • 期日前投票は導入以降、期日前投票所の増設なども行われ、国政・地方選挙問わず定着が進んできた。選挙実施のたびに利用割合が増加し、衆議院では40%程度、参議院では30%程度にまで上昇している。さらに投票率を高めるために、市内各地に「共通投票所の設置」「大学や高等学校、商業施設等への期日前投票所の設置」をすること。また、現在唯一の「共通投票所」である市役所1階と区役所は投票日当日も投票所として利用できるようにすること。さらに、病院や高齢者福祉施設への入院患者、入所者が施設内において不在者投票ができるよう、未指定施設等への働きかけを強めること。そのうえで、外出が困難な有権者の投票行動を保障するために、選挙管理委員会が立会人と一緒に、投票箱を持って車でまわり、施設や自宅など要望がある場所に行く「巡回投票」を行うこと。

    (答)

    期日前投票所の増設につきましては、投票環境向上の観点から重要であると認識しております。増設にあたっては、選挙事務に精通した職員の配置や、一定程度の広さがあり安定的に設置できる場所の確保などの課題がありますが、これらの課題を踏まえながら引き続き検討してまいります。

    また、投票日当日に市役所や区役所を共通の投票所とすることにつきましては、将来的に検討すべき課題であると考えております。

    入院患者・入所者の施設内での不在者投票につきましては、対象となる未指定施設に引き続き働きかけを行ってまいります。

    車などによる移動期日前投票所につきましては、主に山間部など、投票所まで距離が離れた選挙人の投票機会の確保のために活用されていると認識しておりますが、他都市の状況等を参考にしながら研究してまいります。

  • 選挙公報は有権者に候補者情報を届ける最も重要な公的媒体であるにもかかわらず、全市的に配布日が投票日直前だとの苦情も多い。少なくとも投票日の1週間前に有権者に届くよう手立てをとること。また、不在者投票の指定施設ではない、病院や高齢者施設にも、選挙公報を配布するようにすること。

    (答)

    選挙公報は、候補者などから公告示日又は一部の選挙では公告示日の翌日までに原稿が提出され、その後、印刷を開始し、業者委託により各戸に配布しております。

    大量部数の印刷及び配布であるため、各工程の時間短縮には困難を伴いますが、できるだけ早く配布できるよう取り組むとともに、各戸への配布前でも閲覧できるよう、市のホームページへの写しの掲載並びに、期日前投票所及び公民館での配架などの対応を引き続き行ってまいります。

  • 18歳選挙権によって高校生にも選挙権が広がり、主権者として政治に向き合い、投票する高校生が生まれている。しかし、政府は高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知をだしており、政治活動の自由を侵害している。高校生にも政治活動の自由があることを明確にし、「通知」を撤回するよう国に求めること。

    (答)

    高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等につきましては、今後も文部科学省通知に基づき、授業や特別活動などにおいて適切に指導を行ってまいります。(教育委員会)

(14)平和、基地

  • 高島市長は、2021年度も市民の反対を押し切って自衛隊に対して、本人の同意もなく、若者の名簿2万9536人分の提供を強行し、青年をはじめ市民の中に怒りが広がっている。全国の6割の自治体が個人情報やプライバシーを保護する観点から本人の同意なしの情報提供を拒否している中で、断じて許されない。また、自衛隊は憲法が禁じる集団的自衛権の行使を容認され、海外で「殺し殺される関係」に投げ込まれる危険があり、本市の青年をそのような場に送り出すことは認められず、自衛隊への対象名簿の提供はしないこと。

    (答)

    自衛隊への募集対象者情報の提供につきましては、個人情報保護審議会の答申及び付帯意見を踏まえ、従前はなかった自己の情報の提供を望まない対象者の除外措置を行う制度を設け、周知を図るとともに、新たに自衛隊と個人情報の取扱いに関する協定を締結するなど、個人情報の適切な管理の徹底を図っており、適切に募集対象者情報提供を実施しております。

  • 福岡空港の滑走路増設工事に伴い、同空港内にある米軍板付基地の施設(倉庫等)が移転され、福岡市はそのための経費をこれまでに2億7000万円負担している。さらに1972年に返還された米軍基地の跡地に残存していた燃料輸送管(パイプライン)に沿ってベンゼンなどの土壌汚染が確認され、汚染土の除去費用を約1億600万円支払っている。市は基地の返還を求めておきながら、米軍施設の移転費用や米軍基地が原因の土壌汚染対策費用を市が負担することは異常であり、米軍基地の移転費用や原状回復費の返還を求めるとともに、市は、米軍基地の固定・強化につながる税金の支出をやめること。米軍板付基地の即時全面返還と福岡空港の軍事利用の中止を、国と米国に対して強く要求すること。

    (答)

    滑走路増設事業として実施されている土壌汚染対策及び米軍施設の移設に要する費用につきましては、空港整備事業費に計上されていることから、本市もその費用の一部を空港法の規定に基づき負担しているものであります。(港湾空港局)

    板付基地の返還につきましては、市議会、市、自治協議会、男女共同参画協議会、労働団体などで組織している板付基地返還促進協議会を通じて、国や在日米軍司令部等に対して要望しており、今後も引き続き要望してまいります。(総務企画局)

  • 福岡市の「平和都市宣言に関する決議」にも、「博多港港湾施設管理条例」にも反する、博多港への米艦船及び自衛隊艦船の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。

    (答)

    軍艦などの入港につきましては、入港目的が友好親善、乗組員の休養などで商船の荷役等に支障がない場合は、港湾管理者として適切に対応しております。

    また、核兵器の問題につきましては、国の基本政策である非核三原則により措置されていると考えております。

  • 高島市長の就任以来、核兵器廃絶や非核三原則の遵守などをうたう「非核平和都市宣言」を求める議会請願が、被爆者団体や高校生など幅広い市民から、11年間に7回も出されている。高島市長は、「アジア太平洋都市宣言」や議会決議を理由に、頑なに拒否する異常な態度を改めて、市民の切実な願いを真正面から受け止め、ただちに宣言すること。

    (答)

    非核平和都市宣言につきましては、これまで福岡市においては、福岡市議会における「平和都市宣言に関する決議」に基づいて、市民の平和と安全を守り、世界の平和に貢献することを基本精神として市政運営を行うとともに、「アジア太平洋都市宣言」において、国際交流活動を通じて平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を内外に示しており、さらに平成24年12月策定の福岡市基本構想においても、その目的の中で、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくと謳っております。

    今後ともこれらの宣言などの趣旨を市政に活かしてまいります。

  • 国連の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会や、広島・長崎市の原爆資料館に、高校生をはじめ若者や親子を派遣するなどの事業について、北九州市等を見習って予算化すること。また、市として、原爆資料展をおこなうこと。

    (答)

    戦争の悲惨さ・被爆の実相を伝えていくため、博物館などにおける戦時関係資料の展示を行うとともに、小中学校においては様々な機会を捉えて平和学習を行っております。

    また、福岡市が参加する平和首長会議の取組みの一環として、原爆ポスター展の開催や小学校における被爆樹木の植樹を行うなど、平和意識の醸成に努めており、今後とも、関係局と連携しながら、取組みを行ってまいります。

  • 福岡市は広島市、長崎市に次いで被爆者が多く、また日本最大の引揚げ港を持ち、犠牲者1000人を超える大空襲を受けている。2021年9月、「福岡市に平和資料館の設置を求める会」が2万8千筆の請願署名を提出した。現在、戦争の史実を学ぶ公的な場は、市民福祉プラザの一角にある引き揚げ常設展示施設や、空襲で大きな被害が出た地区にある博多小の平和祈念室などに限られている。北九州市では2022年の開館を目指し、「平和資料館(仮称)」の準備を進めており、本市も常設の平和資料館を設置すること。

    (答)

    戦争体験などを通して平和の尊さを後世に伝えていくことを目的に、博物館における戦時関係資料やふくふくプラザにおける博多港引揚資料の常設展示などを行っており、今後とも、平和に関する取組みを実施することにより、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。

  • 市は引揚げ関係資料の展示の在り方について検討しているが、定期的に入れ替えを行うことは当初からの約束であり、市はその約束を反故にしてきた。あれこれ理由をつけて、入れ替えを先延ばしすることは許されず、毎年入れ替えを行うこと。また、資料について説明する学芸員も配置し、博多港引揚げの史実を学校教育の課題に位置付け、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを教える教材として使うこと。引揚げ記念碑「那の津往還」は記念樹とともに、ウォーターフロントの再整備の中で移転することなく、維持すること。

    (答)

    戦後、博多港が日本最大級の引揚援護港として果たした歴史的役割や、引揚者の労苦を後世に伝え、平和への願いを新たにするため、ふくふくプラザにおいて資料展「引揚港・博多」の常設展示を行っております。

    展示資料の入替えにつきましては、開設から10年目という節目を迎える令和3年度に向けて、令和2年度に展示入替検討委員会を設置し、効果的な展示方法と併せてご意見を頂き、検討を進めております。(保健福祉局)

    引揚げ港としての博多港の歴史を通して、平和の尊さを学ぶことは大切なことであると認識しております。また、教育委員会が、発行した人権読本「ぬくもり」の中学生版に「博多港の歴史から未来を考える」という教材を掲載し、学習の資料として活用できるようにしております。(教育委員会)

    引揚げ記念碑などが立地するウォーターフロント地区につきましては、引揚げの歴史や設置の趣旨なども踏まえ、ふ頭基部のまちづくりに取り組んでまいります。(住宅都市局、港湾空港局)

  • 2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効したことで、核兵器は国際法上、史上初めて違法となり、廃絶への新たな展望が開かれた。日本世論調査会が今年6~7月に実施した調査で、日本が「参加するべきだ」とした人が71%、2022年3月に開催が予定される第1回締約国会議にオブザーバーとして「参加するべきだ」とした人は85%となっている。福岡市議会でも「核兵器禁止条約を速やかに締結するよう政府や国会に求める意見書」を決議しており、平和首長会議に加盟する市長として、市長自ら首相に対して同条約の批准を強力に働きかけること。
  • 2022年3月、核兵器禁止条約の今後の運用を話し合う第1回締約国会議がオーストリアで開催される。今年10月には福岡市議会で「核兵器禁止条約第1回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加を求める意見書」が決議されるとともに、アメリカの「核の傘」のもとにあるドイツの次期政権が、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加をめざすことを決めており、第1回締約国会議へのオブザーバー出席を政府に求めること。

    (答)

    核兵器廃絶に向けた取組みについては、平和首長会議国内加盟都市会議として、政府に対し要請を行っております。

    国におきましては、核兵器のない世界の実現に向けて取り組んでいくとのことでございますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。

以上

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