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政策と活動

2017年度予算要望

2017年度予算編成に関する申し入れ

2016年12月9日

福岡市長  髙島宗一郎 様
福岡市教育長 星子明夫 様

日本共産党福岡市議団
団 長 星野美恵子
幹事長 中山 郁美
ひえじま俊和
倉元 達朗
熊谷 敦子
綿貫 英彦
堀内 徹夫

安倍政権は憲法違反の戦争法(安保法制)の強行、沖縄への米軍新基地建設の押し付け、原発再稼働とあわせ、国会でのTPP承認案・関連法案、「年金カット法案」、「カジノ法案」の強行採決など、国民無視・国会軽視の暴走政治に突き進んでいます。経済を見ても、大企業は空前の利益をあげ内部留保を積み上げる一方、非正規労働者の増大、賃金の連続減少など貧困と格差を拡大させており、アベノミクスの大失敗がいよいよ鮮明になっています。安保法制廃止と立憲主義回復・アベノミクス反対・強権政治反対・安倍政権のもとでの憲法改悪反対という野党と市民の共同が広がり、「自公と補完勢力」と対決するという新しい対決構図が生み出されており、地方自治体の長もその政治的立場が鋭く問われる時代となっています。

そうしたなか、7年目に入った高島市政は安倍政権にひたすら追随し、人工島の破たん救済に税金投入を続けながら、西鉄をはじめ地元財界7社会といっしょに立ち上げた「福岡地域戦略推進協議会」をテコに大型開発と規制緩和の絵を描き、国家戦略特区をバネにウォーターフロント再整備と天神ビッグバンを次々具体化するなど、財界からの資金支援の見返りとばかりに異常な大企業応援政治に突き進んでいます。一方で、「行革」を口実に、生活保護世帯の下水道料金減免廃止や就学援助のカットなどを強行しましたが、子ども・市民を切り捨てる市政は許されません。また、「平和のための戦争展」の後援取消問題に見られるように、人権と民主主義をないがしろにする高島市長の姿勢は重大です。

本来、地方自治体の役割は住民の生活と福祉を守ることです。国の悪政に対し市民の立場からきっぱりモノを言い、市民生活を守る防波堤となること、また、市民の暮らしと中小企業・業者の営業を支える景気対策こそ、いま求められています。わが党は、憲法と地方自治法の精神に立って、福祉・子育て・教育の充実や地域経済・雇用対策、安心・安全なまちづくりと環境保全など、市民生活の応援を基本にした市政へと抜本的に転換することを強く要求するものです。

よって、貴職が2017年度予算編成にあたり、以下の重点要望を実現されるよう申し入れます。

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2017年度福岡市予算編成に関する日本共産党の重点要望

1、安倍暴走政治への追随をやめ、憲法と地方自治法の精神に立った市民本位の行財政運営へ転換を

(1)自民・公明両党と安倍政権が立憲主義を破壊し、国民多数の反対世論を踏みにじって強行成立させた戦争法(安保法制)は、集団的自衛権の行使など、アメリカが起こす戦争に、世界中で切れ目なく自衛隊が参戦する道をひらくものである。安倍政権は南スーダンPKOに派兵している自衛隊に「駆けつけ警護」などの新任務を付与したが、南スーダンでは国連に対する政府軍の攻撃、大規模戦闘などが繰り返されており、自衛隊が「殺し、殺される」最初のケースになりかねない現実の危険が迫っている。日本の貢献は憲法9条に立った非軍事の人道支援、民生支援の抜本的強化へと転換すべきである。南スーダンからの自衛隊の撤退とともに、憲法違反の戦争法を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するよう政府に強く要求すること。市長は政府に対し、軍拡予算と武器輸出を改め、また沖縄・辺野古の米軍新基地建設や東村高江のオスプレイ着陸帯建設など民意に反する強権的な基地押し付けをやめるよう要求すること。あわせて、「国防軍」創設や事実上の戒厳令を可能にする「緊急事態条項」を盛り込んだ「自民党改憲案」を掲げる安倍政権が憲法改悪を狙うなか、市長として恒久平和主義や先駆的な人権規定を持つ憲法の改悪に反対し、憲法を生かした国づくりをめざす立場を明確にすること。

(2)「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざすとしたアベノミクスの4年間、日銀の「異次元金融緩和」による4兆円もの企業減税によって大企業は3年連続の史上最高益を更新した一方で、労働者の実質賃金は年17万5000円も減り、家計消費は実質13か月連続で対前年比マイナスとなった。超富裕層がますます富む一方で、非正規雇用労働者が増大して国民全体の所得が低下するなかで中間層が減少し、また日本の貧困率が16.1%へと悪化してOECDワースト6位となり、ワーキングプア世帯が就業世帯の9.7%へと2倍化し、「貯蓄ゼロ世帯」が30.9%へと急増するなど、アベノミクスが格差と貧困をいっそう拡大し、社会と経済の危機をさらに深刻にしている。大企業が儲ければ庶民にしたたり落ちてくるという「トリクルダウン」の経済政策は完全に失敗した。市長は、アベノミクス追随の経済政策をやめるとともに、大企業優遇税制の是正やタックスヘイブンを使った税逃れ対策など能力に応じた負担を求める税金の集め方の改革、社会保障・教育・子育て支援など格差と貧困の是正につながる予算増額を柱とした税金の使い方の改革、長時間労働の規制や最低賃金引上げなど人間らしく働けるルールの確立、中小企業振興など産業構造の改革という、格差と貧困をただす経済民主主義の改革を求めること。あわせて消費税10%への増税の中止を強く要求すること。

(3)国家戦略特区について

  • 福岡市版アベノミクスとして高島市長が推進する「グローバル創業・雇用創出特区」は、外国企業の呼び込みと創業促進を口実に、雇用など様々な市民を守るルールを壊す規制緩和を進め、また「天神ビッグバン」などと称して大規模なまちこわしを進めるものに他ならない。市長は「都市の成長と暮らしの質の向上の好循環」などというが、市内大企業の税収が1.5倍になる一方で市民の平均給与収入や市民一人あたりの家計の可処分所得がマイナスになっているというこの間の経済指標で明らかなように、「都市の成長」論は根拠がなく神話に過ぎないことが明白になった。市民を犠牲にして財界の儲けづくりに突き進むことは許されず、本市の特区を撤回し、推進をやめること。
  • 高島市長は特区の目玉として、創業企業に対する法人市民税(法人税割)の全額免除を導入しようとしているが、市長が重視する「国際」「先進的IT」など特定の企業活動だけを特別扱いして支援することは行政の公平性を損なうものと言わなければならない。特区減税は撤回すること。
  • 「創業支援」を名目にして使用者(経営者)側に立って助言や指導を行うために設置された「雇用労働相談センター」をただちに廃止すること。

(4)新たな行革プランと民間丸投げ路線について

  • 「行財政改革プラン」(2016年度まで)によって、市立幼稚園の全廃や生活保護世帯の下水道料金減免廃止、市営渡船志賀島航路縮小など、市民の反対を無視して、子どもや低所得者を狙い撃ちにした切り捨て・負担増が強行された。高島市長は、毎年100億円の予算をつぎ込む人工島など不要不急の大型開発のムダづかいを「聖域」にしながら、ウォーターフロント再整備など新たな巨大プロジェクトの財源づくりのために、「投資の選択と集中」「行政運営の効率化」など行革路線をいっそう推進する新たな「財政運営プラン」を策定し、2017年度から実施しようとしている。教育、福祉、医療、文化、交通など市民サービスを切り捨て、高齢者をはじめ市民に負担増を押し付けることは許されず、新たな行革プランの策定を中止するとともに、ムダづかいの一掃、市民生活応援と地域経済活性化による税収増を柱にした市民本位の財政再建へと抜本的に転換すること。
  • 市民の貴重な財産である公共施設の整備・管理にPFI方式など民間手法を導入して西鉄やJR九州、九州電力などに丸投げし、公的責任を完全に放棄するやり方は、大手ゼネコンなど大企業だけが儲けて地場中小企業に恩恵のないもので問題である。行政が直接責任を持ち、利用者の要望に沿った公共施設の整備と管理・運営となるよう、あり方を抜本的に見直すこと。
  • 公の施設の指定管理者制度について、市長は公募と麻生グループや人材派遣会社パソナなど民間営利企業の参入を推進しているが、公共性、公平性、非営利、人権保障、福祉的措置などの原則が歪められ、企業の儲け道具に変質させられているのが実態である。市民サービスの低下や不適切な管理・運営、現場労働者の非正規化・低賃金・人減らし・劣悪な労働条件など問題が多いにもかかわらず、民間だからと言って行政や議会がチェックできない仕組みとなっていることは重大である。また、福祉団体やシルバー人材センターが競争にさらされて結果的に仕事を奪われていることも問題である。指定管理者制度による営利企業参入を抜本的に見直して、原則直営に戻すとともに、新たな営利企業参入を中止すること。営利企業が指定管理者となっている施設に対して、おざなりなモニタリングは許されず、抜き打ち点検や専門家による現場点検、現場労働者からの聞き取り調査も含めて公共性確保の観点から厳しくモニタリングを行い、問題があれば指定取り消しなど毅然と対処すること。問題のある企業は企業名を公表するとともに、他の施設を含め指定管理者指定の対象から除外すること。
  • 外郭団体・第3セクターの見直しについては、開発や呼び込みを推進するための団体や、市民生活に関わりがなく不必要な団体を廃止すること。「博多港開発株式会社」から出資を引き揚げ、解散させること。九電の利益を保障するために利潤分を上乗せし市財政を食い物にしている「株式会社福岡クリーンエナジー」を解散させ、東部清掃工場を直営化すること。「福岡アジア都市研究所」は市の100%出資で毎年1億円もの補助金を出しながら、役員の多くを財界関係者が務め、市政を財界いいなりに誘導するブレーンの役割を果たしていると言わざるを得ず、解散させること。。

(5)市職員の配置と労働条件等について

  • 本市職員数は、市民千人当たりの職員数が前年度6.3人から6.1人とさらに低下し、引き続き、政令市最低となっており、すでに職員の労働強化と過重負担は深刻である。誇りとやりがいをもって市民のための仕事をしたくても、人員の制約のもとで思うような仕事ができないのが現実である。これ以上職員数を削減すれば危機的な事態を招き、ひいては市民サービスを低下させるものに他ならない。本市職員数を、多様化する市民ニーズと人口増加による業務量に見合う増員を行うこと。特に、区役所や福祉関係、教育、防災など必要な部署を増員し、嘱託・臨時職員を定数化すること。また、技能労務職関係業務の退職不補充を改めること。さらに、若い職員の昇任の機会を奪う退職者役付再任用は無原則に拡大しないこと。
  • 市職員の長時間・過密労働の働き方の改善は急務である。時間外勤務の実態について全庁的な調査をすること。サービス残業を根絶し、超過勤務手当は実態どおり支払うなど、賃金・労働時間などの労働条件を改善すること。
  • 区役所をはじめ各職場で職員削減と一体に、派遣や業務委託など低賃金・不安定な非正規雇用への置き換えが進められているが、「官製ワーキングプア」を生み出すものであり許されない。嘱託職員は、毎年2700人を超え、臨時的任用職員も900人を超えている。行政職場でありながら非公務員である労働者を超低賃金で使い捨てて市外民間企業や人材派遣会社がボロ儲けし放題という異常事態となっている。行政責任を放棄する非正規への置き換え政策を改め、区役所などの派遣導入や業務委託の拡大を中止して正規職員を配置すること。継続する業務の部署の非常勤職員は正規職員にすること。
  • 税務職場等における派遣社員導入について「クーリング期間」を空けながら継続することは派遣法に抵触する行為であり、派遣社員導入をただちに中止し、本市正規職員を配置すること。
  • 市職員給与については、これまで長年にわたって賃金引き下げ、抑制政策によって、公務員としてのモチベーションに影響するばかりか、生活設計や地域の景気にも深刻な影響を与えている。国に準じて実施した「給与制度の総合的見直し」は、賃金の地域間格差、雇用形態による格差を拡大することで、公務・民間を問わず、地方における総人件費抑制を公務職場から具体化するものである。臨時・非常勤職員を含む市職員給与の大幅賃上げで、地域再生に結びつく公務員賃金の改善を図ること。
  • ごみ清掃や下水道などの委託人件費は低水準に据え置かれており、算定にあたっては、委託労働者の基本給や各種手当を増額し、労働条件の改善を図るよう市が責任を持って委託企業を指導すること。
  • 高島市長が酒気帯び運転をした職員を懲戒免職したことの裁判で、裁量権の範囲の逸脱として免職処分を取り消す最高裁判決が下り、市の敗訴が確定した。ところが市長はこの判決について記者会見で「誤ったメッセージ」「原則免職という方針は変えない」などと最高裁判決を批判する姿勢を示したが、重大問題である。一律懲戒免職というやり方を見直すこと。

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2、国保・医療・年金・介護・福祉・障害者施策など社会保障制度の改悪を中止し充実を

安倍政権は社会保障費の伸びを3年間で1.5兆円程度に抑えるとしており、2017年度予算編成においては6400億円の「自然増」分を5000億円に圧縮しようとしている。社会保障費の「自然増」を「聖域なく」見直すとしている「財政健全化計画」に基づき歳出削減の対象にもっぱら医療・年金・介護等社会保障を挙げるやり方は、憲法25条が全ての国民に保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を脅かし国民の暮らしと安心の土台を崩壊させるものである。「住民の福祉の増進を図ることを基本」とする地方自治体として国のこのようなやり方を容認することは許されず、地方から声を上げるとともに独自の役割を果たすことがまますます重要になっている。

(1)国民皆保険制度の根幹である国民健康保険制度の充実について

  • 本市の国保世帯の平均所得は約87万円、所得200万円以下の低所得者がその約86%を占める中、所得233万円の3人世帯で約42万円、122万円の1人世帯で約20万円等、異常に高い保険料が「払いたくても払えない」事態を生み出し、保険料滞納世帯が国保世帯の20.4%にのぼる等深刻な事態となっている。本市の保険料が異常に高くなっているのは、保険料の未納見込み分や減免分等32億円、高額所得者の賦課限度額の超過額55億円等を保険料に上乗せしていることに加え、法定外繰り入れ予算を最高時と比較し約34億円も削減していることにある。「上乗せ方式」をやめ繰り入れを大幅に増やし保険料を引き下げること。
  • 国に対して、まずは、「応益割」部分を国の支出で1人1万円引き下げ、中・低所得者の負担軽減により逆進性を緩和し、その後は25%台に引き下げられた国庫負担割合を元に戻すよう要求すること。
  • 現在本市においては3人家族で所得590万円という到底高額所得者とは言えない世帯が年89万円もの保険料上限額を強いられている。賦課限度額の引き上げは止め、「応益割」偏重の是正等、逆進的な国保料を生み出している算定式の見直しこそ行うこと。
  • 治療費が窓口全額自己負担となる「資格証明書」交付世帯について本市においては9,130世帯で加入世帯の4.1%、期限を区切った「短期証」の発行は26,002世帯で加入世帯の11.6%、滞納世帯の62.4%にも上り全国最悪となる中、受診を我慢して重症化・死亡する等許されない悪循環を引き起こしている。面談できないことを理由に「特別な事情」を調査しないまま保険料滞納世帯に対し機械的に資格証・短期証を発行するやり方は許されず、他都市の例にならい、資格証・短期証への切り替えをやめること。
  • 本市の保険料減免世帯比率はわずか4.3%に過ぎず、極めて低い水準にある。市独自減免制度については、当面、「所得の減収が前年比20%以上」に適用するよう元に戻して改善するとともに、所得減少の場合のみにとどめず中小零細業者や低所得者層の実態に即して、適用対象をひろげること。
  • 国民健康保険法44条に定める失業など所得減少世帯に対する窓口一部負担金減免制度について、本市では適用が4年連続0件という異常な事態となっている。担当部署に対する周知徹底、医療機関への要請や市政だより等の活用による広報等について抜本的な対策を図り、必要な世帯の活用を促進するとともに国に対して厳しい基準を見直すよう求めること。
  • 本市における国保料滞納者に対する差し押さえは、2015年度4,696件(約8億3000万円)と件数においては3年間で2倍以上となった。中には僅かな預金を差し押さえる事例や公的手当が入る口座を狙い撃ちにしたものも含まれている等、そのなりふりかまわぬ異常なやり方に対し批判が高まっている。国会においては厚生労働大臣が「ぬくもりをもった行政を徹底していく」と答弁しており、公的手当をはじめ年金、子どもの学資保険さえも差し押さえる冷酷、異常、機械的なやり方はただちにやめること。
  • 「国保の構造問題」を解決しないまま住民負担増や滞納制裁強化、一般会計繰入の抑制等につながる「都道府県単位化」については全国知事会も反発しており、中止するよう国に求めること。
  • 建設国保等、国保組合が取り組んでいる独自給付事業は公的医療保険の本来の趣旨にかなったものであり、国庫補助を維持するよう国に求めること。

(2)後期高齢者医療制度について

  • 後期高齢者医療制度が強行されて以来、3回にわたる保険料値上げが行われ、4回目にあたる今期は剰余金を活用し若干引き下げられたものの福岡県の保険料は全国一高いままである。保険料が払えず滞納した本市のお年寄り3,277人の内、1,282人が正規の保険証を取り上げられ短期証となっている。61億円余積み立てられている財政安定化基金の活用等あらゆる手立てを取り保険料負担を軽減するとともに、滞納者を差別し屈辱を与える短期証発行はやめるよう広域連合に求めること。
  • 安倍内閣は新年度、保険料の「特例軽減」を打ち切り現在の2倍、3倍、5倍、10倍の保険料負担となる世帯を生み出すなど、約6割の被保険者に負担増を押し付けるとともに、窓口負担を2割へと倍増させようとしている。低所得・低年金の高齢者世帯を狙い撃ちにした大負担増は許されず計画を撤回するとともに、高齢者を年齢で区切り、負担増と差別医療を押し付けている後期高齢者医療制度そのものをただちに廃止し元の老人保健制度へ戻すよう国に求めること。

(3)医療制度の改善について

  • 医療費負担の上限を定める「高額療養費制度」について安倍政権は年収370万円以上の「現役並み」所得者に対し44,000円から最低でも80,000円以上に、370万円未満の一般所得者は月12,000円が57,600円以上に引き上げ、外来のみの負担を軽くする上限特例も廃止しようとしており、「これではもう病院にかかれない」という悲痛な声がひろがっている。また、療養病床で医療の必要性が比較的低いとされた人の光熱費を1日320円から370円に引き上げ、食費と合わせ月52,500円もの負担を押し付け、経済的理由で退院を迫られる患者を増やそうとしている。医療を受ける権利を奪う負担増路線を中止するよう、国に求めること。
  • 2006年に医療型療養病床の大幅削減と介護型療養病床の全廃が決定されて以降、診療報酬の連続引き下げも行われる中、入院患者が医療機関から追い出される事態がひろがってきた。更に安倍政権が強行した「医療・介護総合法」を受け福岡県は2025年に向けて2900床の削減構想を打ち出そうとしている。市長は「医療難民」を増大させ、患者・家族、医療現場に多大な負担と困難を背負わせる強権的な病床削減、「患者追い出し」強化を止めるよう国と県に求めること。
  • 年間2.6兆円もの診療報酬削減が続けられてきたことにより、医療機関は経営危機に陥り、「医療崩壊」を引き起こす大きな要因となっている。市長は2002年からの連続削減以前の報酬水準に戻すよう国に求めること。
  • 歴代政権の失政により引き起こされている医師、看護師不足が「医療崩壊」の一因となり、本市においても産科、小児科等で顕著となり、住民の医療を受ける権利が脅かされ、急患診療所の運営にも影響を及ぼしてきた。市長は、「医師数抑制」路線を転換し大学等への医師増員、養成への支援強化とともに地方の医師確保を困難にする等問題の多い「新専門医制度」の実施延期を国に求めるとともに本市独自に医師、看護師増員対策を進めること。
  • 本市において無料低額診療を実施する医療機関を増やし、制度の広報を充実させるとともに国に対して支援の強化を求めること。併せて国に対しては薬剤費への制度適用を求め、他都市にならい当面、本市独自に助成すること。
  • 安倍政権は「新成長戦略」に医療分野も位置づけ、「患者申出療養」を設け保険外治療を拡大、医療法人と社会福祉法人を統合した「持ち株会社型法人」の創設を可能とする医療法人制度への改変による大企業の手法持ち込み、TPP参加による「混合診療」の解禁や薬価の高騰、医療への営利企業の参入など医療の安全や治療の平等を脅かす規制緩和を次々に進行させている。市長は日本の医療を日米大企業の新たな儲け口とするために国民の命と健康を犠牲にする医療の営利化・市場化につながるあらゆる動き及びTPPに反対し、国民皆保険に基づく医療体制の充実を図るよう国に求めること。

(4)こども病院、市民病院について

  • 市長は市民との約束通り唐人町の旧こども病院の跡地に西部地域の小児医療を守る「新しい小児科」を設置するとともに医療・福祉の拠点等、公共用地としての活用を具体化すること。
  • 患者が新こども病院への通院に利用できる唯一の公共交通手段であるバスについては、ルートや便数の不足が顕著となっており患者、職員等に大きな不便をもたらしている。病院としてシャトルバスを運行する手立てをとるとともに、当面ルートや便数を抜本的に増やすようバス事業者に強く要請すること。駐車場の職員利用については拡充をはかること。
  • 市立病院機構においては医師、職員不足が引き続き深刻となっており、職員を正規で増員すること。市民病院職員の雇止めに対して「不当解雇」として訴訟となっている問題をはじめ、職員の処遇や運営をめぐって強権的なあり方など労務管理の問題が顕著となっている。麻生グループ主導の経営手法や人事のあり方を排し、公立病院本来のあり方に立ち返るとともに、タイムカードを直ちに設置運用するよう指導すること。
  • 地域内科医療機関の連携拠点として呼吸器、消化器等の慢性疾患から高次医療まで対応し、重要な役割を果たしている成人病センターを存続するよう福岡市医師会に要請すること。

(5)廃止が計画されている「タラソ福岡」の健康増進施設は、利用者等から「廃止しないでほしい」などの声があがっており、存続させること。

(6)真に安心できる年金制度の確立

  • 年金保険料の際限ない値上げ、繰り返される給付削減、支給開始年齢の先送り等、年金制度の連続改悪の強行に加え、安倍政権が発動させた「マクロ経済スライド」により怒りはひろがり、訴訟も行われている。そのような中、安倍政権は現臨時国会において賃金の下げ幅に合わせて年金額も削減する「年金カット法案」をわずかな審議時間にもかかわらず、衆議院厚生労働委員会において強行採決するという暴挙をはたらいた。市長は国に対し、保険料の引き上げをやめ、減らない年金制度へと転換するとともに、「年金カット法案」は直ちに廃案にするよう求めること。
  • 公的年金制度の中に最低保障の仕組みがないのは先進国では我が国だけであり、財源は消費税増税ではなく無駄の一掃、富裕層・大企業への優遇是正、応能負担の原則に立った所得税の累進課税の強化等によって確保し最低保障年金制度を確立するよう国に求めること。
  • 国民には年金支給削減や保険料引き上げを押し付けながら、「国民共通の財産」である年金積立金の株式運用を拡大し国民の将来を危機にさらすことは許されず、やめるよう国に求めること。

(7)介護保険制度の改善について

  • 2014年6月に可決された「医療・介護総合法」により昨年度から要介護2以下が特養ホーム申し込みから締め出されたのに続き、昨年8月より一部利用者への利用料2割への引き上げ、低所得者の施設利用の際の「補足給付」の対象者絞り込みが強行実施されている。さらに新年度からは、条例によって「要支援1・2」と認定された人の訪問介護と通所介護を「介護予防・日常生活支援総合事業」へと移行させ利用者は専門家によるケアやサービスを取り上げられ、事業者は報酬の3割カットを強いられ経営危機に陥れられるなど、介護保険が崩壊の危機にさらされている。「保険あって介護なし」という状況を作り出すことは許されず、市長は、サービスを受けられなくなったり負担増となった利用者については当面市独自に従前までのサービスが負担増なしに受けられるよう手立てをとるとともに、条例を撤回し市独自にこれまでのサービスを維持すること。
  • 国の社会保障審議会の部会において、財務省案にもとづき要介護1・2についても在宅サービスを保険給付から外し生活援助や福祉用具貸与を原則10割自己負担にする、デイサービスを地域支援事業化する、介護保険の利用料を一律2割負担とする等、「国家的詐欺」とも言える大改悪案が検討されている。介護難民を大量に生み出す改悪案に対し介護職員や福祉用具業者の団体からも中止要望や署名が出されており、検討を中止するよう国に強く求めること。
  • 本市の今期介護保険料は第4段階(基準額)では市民税本人非課税世帯でありながら年額69,256円、第12段階では年額160,860円等、その高い水準に悲鳴が上がっている。保険料の減免制度を拡充し利用料については補助制度を創設するとともに国の制度として実効性のある保険料、利用料の減免制度をつくるよう求めること。
  • 本市の特別養護老人ホーム待機者は、約5,000人も生み出されており、老老介護や家族の介護離職を生み出すなど深刻な事態を拡大させており、抜本的な増設が急がれている。しかし、今期(2015年度~2017年度)における整備計画は僅か804人分で、実際にこの2年間は544人分のみの整備という極めて不十分なものとなっている。市長は希望者全員が速やかに入所できる計画へと見直し、小学校跡地等の公共用地を無償貸与し早急に待機者解消を図ること。また、生活支援ハウスの増設やグループホーム、宅老所などへの支援強化を図ること。
  • 特別養護老人ホーム等の居住費と食費を補助する「補足給付」の要件を厳しくする改悪によって対象者が狭められ、月5万円の国民年金しか収入が無いのに月13万円の利用料負担をせまられる等の事態まで生じ、負担増に耐えられない入所者が退所等を余儀なくされる事態も生じている。国に対し、改悪前に戻すよう要求するとともに、当面本市独自の補助制度を設けて救済し、低所得者対策を拡充すること。
  • 介護労働者の平均賃金は月21万円足らずであり、全産業平均より9万円も低い中、安倍政権が前年度予算で介護報酬本体を4.48%も減額する等改悪を続けていることにより、更に深刻な状況となり離職者や事業所の廃業が相次ぐだけでなく、利用者へのサービス後退や事業所による追加徴収も生じるなど、本市においても介護崩壊の危機に直面している。市長は、国の介護報酬引き下げに反対し大幅な引き上げを求めること。その際、保険料上昇につながらないよう引き続き国費で措置し増額するよう求めること。また、本市において介護施設職員の人件費に補助を行う独自制度を設けるなど介護人材確保のための方策を講じること。

(8)高齢者など個人給付等の拡充について

  • 次期保健福祉総合計画においては「『配る福祉』から『支える福祉』へ」などとして、高齢者それぞれの地域でのボランティア活動状況等によって「インセンティブ」等と称し高齢者乗車券の額に格差をつけ全体として縮小することや敬老金・祝い品の縮小・廃止を行おうとしている。財源不足を理由に高齢者の社会参加を支える施策を切り捨てたり給付に格差をつけるやり方は絶対許されず、見直しを中止すること。また、老人医療費助成制度を復活するとともに、老人クラブの補助金を増額し活動を支援すること。
  • 高齢者乗車券は所得制限を撤廃し全ての高齢者に交付するとともに、タクシー利用はバスや地下鉄との併用も可能にし一回500円までという制限を無くすこと。また、申請については窓口だけでなく郵送でも認め、広報も充実させ対象者全員が利用できるように改善すること。
  • 福祉バスの補助金については貸切バス料金の高騰に見合うだけの引き上げを図ること。

(9)本市原爆被害者の相談事業が「原爆被害者の会」の会員減少等によって困難になってきており、維持・強化するための運営費補助を拡充するとともに、ふくふくプラザの駐車場使用料を全額免除すること。被爆者全員に市営地下鉄や渡船の福祉乗車(船)証を交付すること。また、国や県に対し、被爆二世の希望に応じて「被爆二世健康手帳」を交付し、被爆者援護法に定める健康管理手当支給の疾病について被爆二世の希望者に医療費の助成をおこなうとともに、原爆症認定を被爆者の実態にあった方法に改善するよう求めること。

(10)薬害C型肝炎に関し、カルテの有無等で救済対象を限定するなどの対応を改めすべての被害者の救済をはかり、製薬企業にも謝罪・補償・再発防止をおこなわせるなど、全面解決にとりくむよう、国に求めること。薬害B型肝炎に関しては、体制を整備し大幅に遅れている和解金支払いを急ぐとともにすべての被害者救済を進め、治療費助成を創設するよう求めること。併せてウィルス性肝炎患者の治療推進と生活支援に向け、肝炎対策基本法の更なる充実を図るとともにウィルス性肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成制度の創設を求めること。

(11)子宮頸がん予防ワクチン接種後の副反応が本市の女性も含めて多く報告されており、国と製薬会社に対して損害賠償などを求めた訴訟も行われている。原因究明と被害者の救済が急がれており、国に対し接種者全員の追跡調査・検証を急ぎ実施するとともに、医療費の補償・無償化をはじめ進学や就労支援等、被害者の立場に立った支援策を講じるよう求めること。

(12)アスベスト(石綿)対策について

  • アスベスト(石綿)はじん肺のほか、肺がんや中皮腫などを引き起こす原因物質であり、職業病としてだけでなく家族や付近住民など広く一般国民にも被害が及ぶため早急な対策が求められている。アスベスト訴訟においては、2008年の提訴以来4回にわたって国の責任が断罪され、今年1月には京都地裁判決で建材メーカーの責任も認められたが、その根絶や被害者の根絶に向けた法令の改定はいまだ不十分である。アスベスト暴露による健康被害を防ぐための安全確保の規制強化、労働災害認定基準の大幅緩和、さらに「原告の生命あるうちの早期解決を」の願いを国、被告企業に真摯に受け止めさせ、建設アスベスト被害者の全面的、かつ早期解決に向け、裁判に頼らずとも十分な補償がなされる基金制度の創設などを国に要求すること。
  • アスベストの和解手続き促進のための厚生労働省ポスター等を市庁舎だけでなく病院等へも掲示し、積極的に被害者救済の広報に努めること。市の公共工事においてアスベスト使用建築物の解体、修理、廃棄物処理等々での徹底したアスベスト粉塵対策を取るとともに、廃棄場を確保すること。成形板をふくむアスベストの被害や対策について市民への周知や広報を強化すること。
  • 発注者の責任や立ち入り検査の徹底など、アスベスト除去や解体に伴う二次被害を阻止するために大気汚染防止法が改正されたが、改正の趣旨を実効あるものにするため関係業界、業者に対する監督・指導を強めるとともに、そのための体制を強化し、アスベスト使用の建物についてのハザードマップを作製すること。成形板をふくめアスベストを扱う建設労働者の防塵マスクの普及につとめ、市内業者への購入補助をおこなうこと。また国民健康保険の特定健康診査の問診において職種や経歴に応じて石綿被害を明らかにできるように対策をとること。

(13)生活保護行政の充実について

  • アベノミクスと髙島市政のもとで貧困と格差はさらに拡大し、本市において生活保護世帯は本年7月分で33,290世帯となり増え続けている。しかしながら、生活保護の捕捉率は2割から3割とも言われており、本市でも約13万世帯が生活保護を受けずに最低生活基準以下で暮らしていることが推測される。このような膨大な「受給漏れ」、低すぎる捕捉率こそ改善されなければならない。したがって、市政だよりへの掲載など制度の周知徹底を抜本的に強めること。申請の意思があるにもかかわらず「面接」「指導・助言」を口実に不当に保護申請を排除する「水際作戦」を厳しく戒めること。捕捉率向上の年次計画を設定すること。
  • 申請権を保障するために、必要な申請用紙を各区福祉事務所のカウンターおよび誰でも手に取れるわかりやすい場所に常設し、相談者にもれなく申請用紙を渡して、いつでも申請できるようにすること。また、だれでも無条件に申請できる権利があることを必ず告げること。
  • 病気や年齢等を無視した就労の強要は止めること。また、「何でもいいから急いで就職を」と本人の意思とかけ離れた無理な就労指導は真の自立を遠のけるため改めること。保護決定前から就職活動を要求し、それを決定の「要件」にしないこと。
  • 憲法、生活保護法および「必要な方々に対しては適切な生活保護の適用が図られるよう努められたい」と求めた2010年4月14日付通知の趣旨に沿った対応を徹底するように職員の研修をおこなうこと。また、保護決定は 14日以内の法定期限を厳守するとともに、保護費の支給明細書を受給者本人に分かるように改善すること。
  • 「食事は1日2食」「風呂を我慢する」など本市の保護受給者が国の制度改悪で苦しい生活を強いられている状況を放置することは許されず、福岡市として国に生活扶助費、住宅扶助費の引き上げを求めるとともに、ナショナルミニマムにふさわしい水準への改善・向上を要望すること。また、母子加算の堅持と老齢加算の復活を国に求めること。
  • 今年6月におこなった下水道料金減免廃止は保護受給者に3億4000万円の新たな負担を与え、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を奪っている。厚労省の見解を自分たちの都合の良い具合に捻じ曲げて、それを減免廃止の理由にし、加えて当事者の声を聴こうともせずに廃止を検討し、廃止を発表した後、多くの受給者が反対の声をあげたにもかかわらず、耳を貸そうとしなかったことは冷酷であり許されない。今回の減免廃止の影響を市は調査して実態を掴むとともに減免制度を復活させること。
  • 人権侵害を引き起こしている「生活保護ホットライン」は市民の分断を狙った卑劣なバッシングにつながるものであり直ちに廃止すること。
  • 本市のケースワーカーの平均担当世帯数は100を超え、なかには128を超えるケースを持つ職員もいる。国が定める標準を大きく上回っており、多忙を極めているため、受給者の力になろうと思っても、忙しすぎて心寄せた対応にならないことが少なくない。慢性的なケースワーカー不足を放置することは許されず、ただちに正規職員を増員して利用者や相談者に親身に相談に乗れるようにし、生活に困窮している全ての人に救済の手が差し伸べられるようにすること。
  • 経験3年未満のケースワーカーが8割を超え、4年以上のキャリアを持つケースワーカーは1割に満たないという歪な体制を改め、経験が生かされる福祉の専門家集団を養うよう人事・組織のあり方を見直すこと。
  • ケースワーカーから言われなき中傷、人を貶める行為などを受けたという訴えがいくつも寄せられており、受給者の人権を侵害する行為は根絶すること。
  • 教育扶助費や公立高校の所要額を目安にしている「高校就学費用」は実態に照らせば大幅に不足しており抜本的に見直し増額すること。また、大学、専修学校等への進学者については強制的に世帯分離して保護を打ち切るやり方をやめるよう要求すること。
  • 生活保護の夏季一時扶助費の新設と期末一時扶助費の大幅増額を求めるとともに、それが実現していない現状では、市独自の「福祉手当」を創設し、夏期・年末にそれぞれ支給すること。また、生活保護世帯のエアコン購入のための社会福祉協議会からの借り入れについては手続きの簡素化、支給までの期間の短縮など改善を県に要求すること。
  • 保護世帯がいつでもどこでも安心して医療を受けられるために、病院を選ぶ権利を保障するとともに、医療扶助適正化という名の下に受給者の医療機関を選ぶ権利を奪い、受診機会を奪い、後発医薬品(ジェネリック)使用の強制で薬を選ぶ権利を奪うことは改めること。また、医療機関への通院にかかる交通費について制度を周知し、実費を全額支給すること。
  • 行政の手抜かりや勝手な都合で、生活保護の「不正受給」扱いにされる不当なケースや保護費の過払いによるトラブルが後を絶たない。生活保護法78条に該当する、いわゆる「不正」の扱いについて行政側の誤り・行き過ぎがないか調査するとともに、保護行政全体に強権的な対応がないかチェックする第三者機関を設置すること。

(14)ホームレスには病気で集団生活ができない人などがいるため「いったん施設に入り、そこで一般就労を確保できた者のみがアパートに移行できる」ことを前提としている現行の支援制度だけでは不十分である。「まず安定した住まいを確保した上で支援をおこなう」という「ハウジングファースト・アプローチ」は東京都でも一定の成果を出しており本市も導入を検討すること。また、施設入所を申し込んでもすぐに入所することはできないという対応を改めること。あわせて民間ボランティアやNPO支援団体への補助金を大幅に増額すること。また、ホームレスや保護受給者を食い物にする「貧困ビジネス」(囲い屋)等については、実態を調査・把握し適正に対処すること。あわせて急迫保護入院の場合、退院即打ち切りでなく、療養が継続できるよう居宅の確保や就労の斡旋などの抜本的な自立支援策を講じること。ホームレス患者受け入れ医療機関への入院協力金を増額すること。

(15)貧困対策について

  • 生活保護世帯が過去最多になるなど貧困の広がりが進んでいる。しかし、本市は実態の把握さえおこなおうとしていない。市民全体の貧困実態・貧困率の調査をおこない、本市独自の目標・指標を定めて総合的な貧困削減計画をつくること。また、子どもの貧困対策については「子どもの貧困に関する実態調査」をおこなっているが、その結果をもとに現況をあきらかにして具体的な目標を掲げなければ意味はない。他都市にならって子どもの貧困率を公表し、削減目標を立て母子家庭への直接給付など具体的な施策に取り掛かること。これらを推進するために、生活保護の担当部局とは別に、貧困・生活困窮対策の独自の部局をつくること。生活保護申請や生活困窮者相談を役所で待つのではなく、真に必要な人に支援が届くようにアウトリーチを強化すること。
  • 高齢者や障害者、ひとり親家庭に対して、水道・下水道・ごみなど公共料金等の福祉減免をおこなうこと。住民税などの独自減免を促進すること。
  • 生活困窮者への対策として、生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金貸付制度を無利子・無保証人にするなど抜本的に拡充すること。申し込みから貸付まで2、3ヶ月かかったり、厳しい条件がある個人向け・離職者向け・個人事業者向けのセーフティーネット貸出制度は使いやすくなるよう改善、拡充すること
  • 水道料金、市営住宅家賃、住民税の滞納は生活困窮のシグナルと捉え、局を越えた連携をおこない、滞納世帯に「生活保護のしおり」などを届け、アウトリーチによって積極的な相談に乗り出す体制をつくること
  • 本市がおこなっている「子どもの食と居場所づくり支援事業」の予算の拡充をすること。また、自主的に学習支援などをおこなっている活動団体へ財政的支援をおこなうこと。

(16)民生委員は児童委員を兼ねており、貧困・高齢世帯の見守りなど、地域福祉におけるその役割はますます重要になっているが、活動における負担はますます重くなり、担い手不足は深刻な問題となっている。民生委員の活動負担軽減が図られるように、業務量の抜本的削減、定数の抜本増を行うこと。選出における推薦に際して、町内会や地域団体に過度の負担を押しつけることのないようにするとともに、欠員等が生じた場合に市の責任で補充する仕組みをつくること。また、活動費を引き上げること。

(17)障害者施策について

  • 本年8月に「福岡市障がいを理由とする差別を解消するための条例検討会議」が立ち上がり、条例案に盛り込む具体的な内容について検討が始まっている。この条例について、前文に憲法・障害者権利条約・障害者差別解消法を踏まえたことをうたうとともに、差別禁止・合理的配慮について分野別にわかりやすく示し、市の支援や財政措置、法律の専門家や障害当事者などの人材を充てるワンストップの相談体制の整備、差別解消のための推進会議の設置などの規定を盛り込むこと。また、事業者の合理的配慮の提供は「努力義務」ではなく「義務」とすること。さらに、市の他の条例や施策を、この条例で定められる障害者差別禁止の点から見直すこと。
  • 「保健福祉総合計画」で障害者への手当について「個人給付事業なども含め、再構築の必要」「重度心身障がい者福祉手当のあり方について検討を行います」とされているが、現行施策の削減・廃止はせず、本市における市独自の負担軽減制度や、重度心身障害者福祉手当を充実させること。重度心身障害者医療費助成制度は所得制限をすべてなくすこと。
  • 障害者が65歳になるとそれまでうけてきた障害者サービスではなく介護保険による給付に強制的に移行させられる。担当の介護ヘルパーが次々に変わるなどサービスが継承・継続されていない事例もあり、利用者が障害者総合支援法でのサービスと介護保険法でのサービスとの選択ができるようにすること。また、64歳まで障害者福祉サービスを給付され、65歳以降も同様のサービスを介護保険より受けている場合、新たに生じる利用料1割の自己負担は重く、住民税非課税の者については福岡市が補助すること。
  • 療育センターは現在の3カ所では不足しており、増設計画を立てること。
  • 重度障害者入院時コミュニケーション支援事業は使いづらく、利用登録が6人しかいない。施設利用者にも適用できるようにするとともに、診療、治療の介助、食事・排せつ、書類作成、買い物にも利用できるよう対象を広げるなど、使いやすく改善すること。
  • 手話についての理解や周知を深め、手話による意思疎通手段の選択、情報取得、利用機会の拡大・保障をめざす「福岡市手話言語条例」を制定すること。
  • 手話通訳者派遣の要件は厳しく、実際に「社会生活上外出が必要不可欠なときにおいて、適当な付き添いが得られない場合」でも利用できないケースが少なくない。障害者差別解消法を踏まえ、重要な契約締結など、派遣用件を大幅に緩和し利用しやすくすること。
  • 聴覚障害者用ビデオテープの制作・貸出などをおこなう情報提供施設を福岡市内につくること。
  • 視覚障害者の同行援護事業の利用上限時間や利用条件を緩和すること。また、目的地到着後の「見守り」状態を一律に「中抜き」とせず、実態にあわせて取り扱いを見直すこと。
  • 精神障害者に対する交通運賃割引をおこなうようJRや西鉄等に強く申し入れること。本市が渡船の運賃割引を行わないのは許されず、ただちに実施すること。電車・バスについての福祉乗車券の形式をICカードに限定せず、障害者の身体状況にもとづいて様々な形式にできるようにすること。療育手帳を持っている小児の市営地下鉄の料金割引については、切符購入のたびに駅員を呼んでシステムを操作してもらわなければならず、合理的配慮の観点から直ちに改善すること。
  • 行動障害の強い自閉症者が利用できる短期入所施設を増やし、必要なときに必要なだけ利用できるようにすること。また、現在行っている「強度行動障害者集中支援モデル事業」を検証の上、本格実施して利用を広げること。
  • 精神科病院の病棟・病床の一部を「居住系施設」に転換することは、障害者権利条約第19条に定める居住地選択の権利、「特定の生活施設で生活する義務を負わない」とする定めに反するものであり、このような転換をやめるよう国に求めること。
  • 地域生活に移行するための大切な「受け皿」となる障害者グループホーム等への設置費、運営費補助は実態にあっておらず、大幅に増額して施設増設を推進すること。
  • 「親よりも子どもに先に死んでほしい」という声が出るほど障害者を持つ親は、自分が死んだ後、子どもの面倒を見てやれない不安を常に持っている。このような不安を少しでも和らげるために、地域でも施設でも安心して暮らせるようにし、とりわけ地域に返すなどとして本人の意思に反して施設から追い出すことなく、施設も「終の住処」としても利用できるようにすること。
  • 障害者の雇用について、本市職員の採用を抜本的に増やすとともに、民間企業に採用増を要請し、そのための本市独自の補助制度をつくること。
  • 障害児・者の日常生活・補装具の購入に対する国の給付が不十分な中、経済的負担は大きいものがあり、市民税非課税世帯以外にも市独自に支援制度を創設すること。また、車いす・杖・補装具等の申請・給付決定の手続きを簡素化するとともに、車いすの修理において行政の事務手続きにかかる時間を短縮すること。
  • ガイドヘルパーによる病院内移動や散歩、政治活動、宗教活動等の移動支援について他の自治体では認められているにもかかわらず本市では厳しく制限・排除している実態について、識者からも障害者に対する基本的人権侵害だとの厳しい批判の声が上がっている。プライバシー侵害にもあたる利用者の細かい利用報告書の提出義務付けを含め、異常なあり方を改善すること。また、就学している障害児をスクールバスの乗降場所まで送迎するさいに、移動支援事業を利用できるようにすること。
  • 自転車の危険走行等によって安全をおびやかされている視覚障害者等の安全を守る手立てを検討すること。誘導ブロック上の放置自転車は大変危険であり、この問題に特化したパトロールをおこなうこと。
  • 市内の無年金障害者の実態・生活を調査し、担当部局を設置すること。特別障害給付金をすべての無年金障害者に広げるよう国に求めるとともに、市として給付のない無年金障害者に対する施策の検討を行うこと。
  • 国の障害基礎年金が更新時に支給を打ち切られる事例が相次いでいる。不当な支給打ち切りをやめるよう国と年金機構に求めるとともに、要件緩和を国に求めること。

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3、人工島、ウォーターフロント、天神ビッグバンなど大型開発とまちこわしをやめ、防災・生活・安全優先のまちづくりへ転換を

(1)人工島事業について

  • 高島市長は土地分譲が順調に進んでいるかのように宣伝しているが、建設単価さえも下回る分譲単価の大幅引き下げ、土地を買ってくれた企業への数億円もの交付金を投げ渡して、ようやく売却しているのが実態である。同時に、こども病院・新青果市場、拠点体育館などの公共施設を強引に誘致し、その用地を市が購入している。開発の核と位置付けられたまちづくりエリアのセンター地区の「賑わい」の大型集客施設構想もとん挫し、結局できたのは、スーパー銭湯と調剤薬局であり、今後、商業施設を併設した14階建てのホテルや広大な駐車場を建設するとしている。このように人工島事業は「1円の税金も使わない」をいう約束だったが、事業者決定済分をふくめれば土地分譲収入1688億円のうち市と住宅供給公社が税金・公金で買った金額は667億円にもなっている。高島市政の6年間で977億円もの莫大な予算をあてる一方で、融資銀行団には約束どおり返済している。土地分譲が計画どおりにいっても160億円から421億円もの最終赤字となる。毎年100億円もの事業推進予算は税金の無駄使いの最たるものであり、人工島破たん救済の税金投入をやめること。
  • 世界の海運業界は生き残りのために、ネットワーク拡充による積荷運搬の効率化や売上高の拡大を目指す再編が相次いでいる。このような中、世界最大の海運会社である「マースク・ライン社」が欧州航路での日本寄港から今年の7月で撤退した。これは、大型船を入れても採算に見合うだけの貨物がもはや日本国内に存在しないことを意味している。国が基幹航路の維持、拡充のために集中投資をしてきた、京浜港や阪神港へも欧州航路が撤退した中で、博多港への大型コンテナ船の入港の見込みは全くなく、実際に人工島への6万トン級以上のコンテナ船は、2014年から1隻も入港しておらず、国際海上コンテナの取扱量についても大きくは伸びていない。従って、15メートル水深の人工島D岸壁の整備や東航路整備事業は税金の無駄使いでありやめること。
  • みなとづくりエリアの土地について、2015年度に12件の分譲が決まり3年連続で完売したといっているが、その進出計画を見ると、単なる倉庫・配送センター用地や事務所、新青果市場関係者事業用地である。港湾関連用地に大型物流センターを誘致し、「国際物流拠点にする」という計画は完全に破綻している。したがって、4工区の残りの分譲地、23.9haの需要はなく、134億円の税金を投入する地盤改良や基盤整備などの事業は凍結すること。
  • 民間住宅や道路、下水道などに助成する「住宅市街地総合整備事業」は、303億円も人工島に投入されており、こうした特別扱いはやめること。
  • 人工島進出企業に対する企業立地交付金額が見込みを含めて42社、218億円となっている。進出企業の操業開始後13社の雇用人数の合計は1337人のうち509人が非正規となっている。雇用効果のない人工島進出企業への立地交付金をやめること。あわせて、今年3月末に人工島特別枠を終了したにもかかわらず、駆け込み申請をした企業に対し後から交付することなど許されず、交付を中止すること。

(2)「天神ビッグバン」構想とは大企業のビル30棟の建替えを促進し、高さ制限や容積率の規制緩和で、床面積を1.7倍にまで増やすことを可能にしてやるものである。さらに「東のゲート」では水上公園を市の条例まで捻じ曲げ、格安で西鉄に貸し与えぼろ儲けの場所に変質させた。「西のゲート」の大名小学校等跡地では、運動場規模の広場や校舎の一部を保存するという住民と市長との正式な約束にも責任を持たず、開発業者に丸投げしたプランを公募し、西鉄グランドホテルの巨大化プランも明らかになった。このような異常な財界・西鉄言いなりの開発計画は許されない。この構想は、天神の交通渋滞、避難場所不足、地価高騰による住民や商店追い出しなど、市民の命と暮らしを脅かすとともに、地下道の設置や新たな天神通線の整備等々への公費の投入で市民に莫大な借金を押し付け、市民生活にも市財政にも大変な悪影響を及ぼすものであり、直ちに中止すること。

(3)市はウォーターフロントの再整備計画で「日本政府の成長戦略に寄与」「東アジア有数のインバウンド都市を目指」すなどとして、中央ふ頭等の大改造計画に突き進んでいる。民間提案にはカジノ=統合型リゾート構想も含まれているが、これまでに市が明らかにしただけでも、サンパレスや国際センターの解体をはじめ、大型クルーズ船が複数同時着岸できる岸壁、新たな埋立、初めてコンセッション(運営権)方式を導入する第2期展示場、立体駐車場、回遊のための巨大な歩道橋、都市計画道路、新たなホールやホテルづくりなどとなっている。こうした再整備計画はまさに市民にとって不要不急のものであり、総事業費を明らかにしないまま、莫大な市費を投入することは許されない。一部の開発企業のみを儲けさせ、市財政に破たんをもたらす再整備は直ちに中止すること。

(4)福岡空港の乗降客数は、若干増えつつあるとはいえ2015年で2097万人であり、「2010年には2780万人に」なるとの滑走路増設計画当初の推計には遠く及ばず、増の要因は増減要素が不安定な国際線であり、「過密化」の主な原因は格安航空会社参入や航空機の小型化によるもので、特に朝夕のラッシュ時に「混雑」しているのが実態である。容量は誘導路増設等で、大幅な改善がなされ、国・市の財政状況、今後長期に渡る人口減予測、さらに少子高齢化の実態から見ても空港問題は、このラッシュ時間帯のダイヤ見直しや、近隣空港との連携等で解決すべきであり、不必要な滑走路増設を行うことはやめるよう国や県に要求するとともに、本市としてこの計画から撤退すること。また国は西鉄などの財界要求に従い2019年度をめどに、滑走路を含む空港施設を民間委託する方針を発表したが、これは、空港の安全性や公共性を脅かし、公的責任をあいまいにするものであり市長は民間委託に反対すること。

(5)都市高速道路延伸事業について、人工島への延伸は2.5㎞で292億円、空港への延伸は地下水位が高く、水害常襲地帯での危険なトンネル工事のため2㎞で500億円もの経費を要するが、これによる時間短縮はどちらもわずか10分前後である。莫大な公費を投入する、このような不要不急のムダな高速道路延伸計画は直ちに中止すること。

(6)九州大学箱崎キャンパス跡地問題について

  • キャンパス跡地のまちづくりにおける都市基盤の整備手法・主体について、約20haの南ゾーンを「再開発方式」とし、「URとの土地の共有化」をおこなって速やかに基盤整備をおこない、約30haの北ゾーンいついては福岡市による「土地区画整理事業」を実施するとしている。跡地を南北に分け、「URと共同の再開発」(南)と「区画整理」(北)に区分し、南から売却・基盤整備を急ぐというやり方は、住民要望を無視するやり方でありやめること。
  • 九州大学が募集した「箱崎キャンパス跡地に関する民間提案」の中にはイオンモールやイトーヨーカドーなどの企業も入っている。巨大ショッピングモールが立地すれば、箱崎商店街など近隣の商店街に大きな打撃を与えるだけではなく、周辺の交通量が激増し住環境破壊になることは明らかである。地域住民が反対し、九大箱崎キャンパス跡地利用協議会での反対の声が出されている、住民要望とはかけ離れた巨大ショッピングモールへの売却はしないように九州大学に要請すること。
  • 跡地利用計画については、キャンパス周辺の4校区(東箱崎、箱崎、松島、筥松)が長年にわたって、住民の要望をまとめた「九大跡地利用4校区協議会」の提案の方向性や精神を踏まえたものにするために、市が責任を持って土地を確保し子どもの文化ホールや児童館、保育園、子ども家庭支援センター、特養ホームなどの複合施設を整備すること。また、各種救難資材の備蓄施設をつくり、市民の避難場所として活用するとともに研究機能も備えた防災ステーション拠点を設置すること。九州大学総合科学博物館が管理している世界的に希少なアンモナイトの化石や昆虫など約750万点の研究資料について、箱崎キャンパスの歴史的建造物を生かして、保管・展示し市民に公開するよう手だてを取ること。また、キャンパス内の近代化産業遺産群に指定された近代建築物や樹木を保存、活用すること。
  • 箱崎キャンパスで出土した元寇防塁の跡とみられる石積み遺構について、九州大学は「蒙古襲来に備えて薩摩国が築造を担った防塁の一部である可能性が高い」と発表している。国の史跡に指定されるように申請し、元寇防塁跡を保存、活用し公園として整備すること。
  • 土壌汚染問題について
    • 旧工学部2号館跡地の土壌汚染について、箱崎3丁目付近だけではなく、キャンパス周辺の住民が安心して生活できるように地下水調査を実施すること。また、汚染箇所をコンクリートで固めたり、粘土質の土で覆ったりするなどして、有害物質が含まれる土や砂が周辺の住宅に飛散する事が絶対にないように、九州大学に対して、徹底した対策を取るよう指導すること。
    • 九州大学は、理学部や農学部などの広大な区域の土壌が有害物質に汚染されている可能性を指摘している。箱崎中学校や公園を含めた施設配置計画などのゾーニング論議は一旦中断し、キャンパス全体の土壌汚染調査と対策を最優先に行ない、箱崎中学や公園などは汚染されていない場所に配置を見直すこと。
  • 第9回九州大学箱崎キャンパス跡地利用協議会で、貝塚駅前広場の整備、にぎわい・交通機能導入とあわせた貝塚公園の再整備をすることが明らかになった。それによると貝塚公園を分割し、一部をキャンパス南エリアに新規整備をするとしている。同公園は子どもたちが交通機能を学ぶ、市内唯一の交通公園であるとともに、市内の保育園や小学校などの遠足の場所、家族連れで1日中遊べる貴重な場所となっている。貝塚公園を一方的に再配置することは許されず撤回すること。今後のあり方について、利用者や九大箱崎キャンパスの周辺4校区住民の意見を聞くこと。

(7)市民の財産である公共施設跡地を民間に売却することは許されない。大名小学校跡地については、運動場規模の広場の確保や校舎の保存等を市長が地元自治協やPTA会長と約束し、調印までされているにもかかわらず、市が行った提案公募には反映されておらず、住民の不信と怒りが沸き起こっている。民間売却でなく地元との約束を誠実に履行するとともに、保育園や特別養護老人ホーム等々の公的活用を行うこと。青果市場跡地についても公的に活用すること。

(8)香椎駅周辺地区土地区画整理事業については、住民や商店街等との話し合いを促進し、商店街の活性化につながるまちづくり計画にむけて住民参加で見直すこと。

(9)公営・公的住宅行政について

我が国での住宅政策は、長い間持ち家支援策が優先され、全住宅の62%を占める一方で、住宅に関する公的責任を大きく後退させ、いまやわずか5.3%にすぎない。「住生活基本法」は、「住生活の安定の確保及び向上」を基本目的にしながら、肝心の居住者、国民の住生活に関する権利規定がないきわめて不十分なものであり、逆に政府は公営住宅の削減と入居階層の貧困層の限定化をすすめてきた。さらに、建物の安全検査の民間まかせと安上がり競争を奨励した建築行政によって、耐震強度・杭工事偽装事件や欠陥エレベーターの死亡事故等々、住宅の安心・安全が脅かされる事態となっている。格差と貧困が広がるなか、市民の居住権を守るため、市場任せでなく国・自治体が積極的に介入し、民間住宅関連業者とも連携して、市民の居住生活の改善・向上の取り組みを進めなければならない。

  • 市営住宅の応募状況は、2015年度1万2105件もの申し込みがあるにもかかわらず入居はわずか945戸しかできず、一般枠の倍率はいまだに14.5倍である。特に単身高齢者は何と一昨年29倍だったものが昨年は39.3倍になるなど、何十回応募しても入居できない事態がいっそう深刻になっている。必要な市民が入居できるよう、大幅な新規市営住宅建設計画をたてるとともに、当面建替え時に管理戸数を増やすこと。またUR賃貸住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど多様な供給方式の具体化を早急に行い、公営住宅を大幅に増やすこと。
  • 市営住宅の建替えに伴う余剰地については、民間売却でなく住民要望を反映し、公的に活用すること。また弥永住宅の余剰地には住民要望にそって、高齢者福祉施設や地域交流施設等を設置すること。
  • 従来、特別随時募集制度等で救済されていた「家主の都合により突然の退去要求を受けた世帯」については、新制度では救済されない。高齢者等だけでなく一般の低所得世帯にとっても結局路頭に迷わざるを得ない深刻な問題である。住宅に真に困窮したこれらの世帯の救済策を早急に講じること。
  • NPO法人ビッグイシュー基金の2014年12月調査によれば、年収200万円未満の若者の77.4%が親との同居で生活を維持しているとして若者の住まいの貧困を告発している。市営住宅における若年子育て枠をより拡大するとともに、低所得の単身世帯枠をつくること。また特定優良賃貸住宅だけでなく、一般の民間住宅入居に際しても家賃補助制度をつくり、若者が安心して暮らせるよう支援を強めること。
  • UR都市機構は値上げ周期の短縮や高齢者等への家賃据え置き対象切り下げ等のルール見直しをすすめている。これが実施されれば低所得の居住者や、高齢で年金生活者が多数を占める居住者の生活を破壊し、本市の住宅政策にも大きな悪影響を与えることは明らかである。家賃制度は居住者の所得に応じた応能家賃にすることを含めて検討を行うとともに、UR賃貸住宅の用途廃止計画を中止し、公共住宅として守り充実させるよう国に求めること。

(10)分譲マンションの共用部分のバリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去などの支援とともに、大規模修繕など、マンションを長持ちさせるとりくみの支援を行うとともに、公共性を持つ集会所、通路、ゴミ置き場、公園などは固定資産税を減免し、維持管理費等の補助、防犯灯や受水槽の電気代等の補助などを行うこと。また住民の立場で活動するマンション管理士の育成や活用、管理組合団体などの自主的な助け合いのとりくみへの支援、行政の相談体制の整備などの支援体制を充実すること。

(11)空き家の倒壊等による被害の防止のため、市の体制強化をはかるとともに、取り壊しによる固定資産税の軽減措置を行うよう国に要求するとともに、空き家を貴重な社会的資産にするために空き家情報の提供、住宅の改修への様々な公的支援を行うなど老朽危険空き家をなくすための必要な施策を早急に実施すること。

(12)中高層建築物等建設にかかる紛争について

  • 近年、住民の努力で守られてきた良好な住環境を破壊する強引な中高層住宅建設の深刻な事例が後を絶たない。開発規制を強化するために用途地域の見直しを行うとともに、用途地域変更の住民提案、建築協定、地区計画の周知と積極的適用に努めること
  • 高さ制限を強化するための「新高度地区の導入」についてはもともと市が提案し、市議会でも2012年に実行を求める請願が採択されたにも関わらず実行を先延ばしし続けることは議会軽視も甚だしく、建築物の高さによる圧迫感の軽減、周辺環境と調和した街並みの形成等のためにも当初案を土台に早急に実施すること
  • 本市には「建築紛争の予防と調整に関する条例」があるにもかかわらず、建築業者が実質的な話し合いに応じず、工事を強行する事態が後を絶たない。住環境を守る市民の願いに応え、他都市ですでに実施されている標識設置期間の延長や、近隣説明会の義務付けと範囲の拡大等々の改善は即時行うとともに、住民合意を前提にするなどより実効性を持つ内容に抜本的に改定すること。また市は住民の立場で建築業者に対し、条例を遵守した真摯な話し合いを行い、住環境を守るよう強く指導すること。また工事協定も結ばないまま一方的に工事強行を行うなど誠意がみられない業者に対しては、市工事の入札時にペナルティを課すなどの罰則規定を盛り込むこと。また、そのためにも都市計画・まちづくりに関し、自治体独自の条例制定権を全面的に認めるよう、国に対して法改正を要求すること。

(13)緑地保全(保全林)の地区指定を促進するとともに、予算を大幅に増額し、都市緑地の保全・買取を積極的に推進すること。併せて緑の再生にも計画的に取り組むこと。保存樹事業については、所有者の負担軽減策を講じること。また緑地公園は都心の貴重な「森」であり市民や子どもたちが安心して活用できる場となるよう維持管理を徹底すること。また貴重な緑である西区・愛宕山の緑地保全を行うこと。

(14)市は水上公園において、公園面積をごまかし緩和措置を最大限に使って、公園面積の36%もの広さで公園機能と関係のない営利目的の店舗をつくるために西鉄に格安で貸し付けた。本来都市公園は市民の憩いの場所であるとともに、避難場所ともなる大切なオープンスペースであり、このように民間企業の利潤追求のために公園を占有させないこと。

(15)動物園再生計画の実施は、市民等の関心を高め入場者数は着実に増えている。さらに市民や飼育職員の意見も十分反映させ、計画的に予算を確保し、植物園エリアとの相互活用も含めてよりよい整備計画を着実に進めること。また既存の施設についてもより動物本来の自然生態を魅せる展示方法の導入や飼育環境の改善などの工夫を行うとともに、改修計画を前倒しして推進すること。あわせて、受益者負担などとして入場料の値上げを行うことは収入増どころか入場者を減らし、動物園の役割を後退させることになるのは明らかであり、もとに戻すこと。

(16)交通対策について

  • 地下鉄七隈線の工事に伴う陥没事故は過去2回発生し、国土交通省九州運輸局から文書警告をうけたにもかかわらず、ライフラインの寸断や周辺ビルの営業等にまで被害が広がる今回の大規模な事故が起こったことに市民は大きな衝撃を受けており、市長の責任は極めて重大である。その後の地面沈下時の対応等含め情報がすべて公開されているのかとの市民の不信がさらに募っている。事故原因について、第3者委員会任せにすることなく、市としても設計や施工、地盤・地質など事前の調査、市の管理体制に問題はなかったのか等々、徹底した原因究明と再発防止策を行い、常に市民に公開するとともに、誠実に被害者への補償を行うこと。また運行中の地下鉄の線路・駅舎等の安全・点検体制を強化すること。
  • 住民の要望も聞かず一方的に強行されたJR香椎線の駅の無人化によって、利便性・安全性が大きく後退しただけでなく、障害者の利用制限や事故や犯罪の誘発など利用者の不安が高まっており、従前の有人駅に戻すようJR九州に強く働きかけること。
  • 公共交通不便地における生活交通対策として必要なコミュニティバスの運行について、南区柏原地区での本格運行や東区美和台での試行運行などが始まったが、全市的には極めて不十分である。交通不便地やそれに準ずる地域については市が積極的に市の制度の普及や要望の聞き取りをおこなうとともに、市が運行の主体となることや、財政措置を行うなどの支援を具体化し、本格的運行を促進すること。また高齢化と、近隣商店街の衰退等により、新たな買い物難民もうみ出されており、通院など含めた生活交通網の充実を図るため早急に生活交通条例の抜本的見直しを行うこと。
  • 天神地区を中心に都心部への交通流入量を抑制する対策の具体化が求められており、パークアンドライドなどの対策を推進するとともに、公共交通機関への乗り換え促進をはじめ自動車交通の総量抑制に取り組むこと。
  • 市長は西鉄の要請を受け、連節バスを使い天神・博多駅・ウォーターフロント循環の高速輸送システム(BRT)の導入を強行している。しかしながら連節バスが、車両の流れを妨げ、より交通渋滞を引き起こすことは必至であり導入をやめること。あわせて3億円もかけてのバス停整備などの公金投入は行わないこと。
  • 西鉄貝塚線と地下鉄との乗り継ぎを解消し、区間を三苫駅まで延伸する相互直通運転のために、西鉄との協議を急ぎ、早期に事業化すること。
  • 高齢者や障害者等が要望しているノンステップバスの導入率は未だ22.7%に過ぎず、2020年度までに導入率70%を目指すという国目標達成のため、本市においても実効性のある年度目標を定め、積極的に導入を図ること。また、市内のJR駅及び西鉄大牟田線のホームドアについては、新技術の活用を含めて直ちに設置するよう関係事業者に強く申し入れるとともに、推進のための協議会を設置すること。
  • 南区がんセンター入り口交差点・都市高速道路高架下の渋滞緩和対策を具体化すること。

(17)天神や博多駅周辺を、「歩いて出かけたくなるまち」などと称した駐車場の附置義務制度の規制緩和は、市長が進める「特区」を利用した新たな都心開発を推進するために、民間企業が大規模なビルを建てて集客をするのに駐車場の設置義務を免除してやるという特別扱いのサービスであり、このことによって都心の交通混雑を招くことは必至である。この規制緩和を撤回すること。あわせて、利用時間の制限や市民負担増につながりかねない料金体系などの民間駐輪場の設置基準「見直し」についても、逆に違法駐輪や放置自転車を増やすことになり、強行しないこと。

(18)2014年3月に策定した「福岡市自転車空間ネットワーク整備計画」は、2022年までの10ヵ年で約100kmを追加整備するとしているが、現状は、わずか15kmと極めて遅れている。従って、自転車レーン整備については、その整備を急ぐこと。併せて、指導員の配置など積極的に進め、放置自転車対策のため駐輪場の増設を図るとともに、交通安全の講習会の実施を強化するなど、目標と計画を明確にして取り組みを推進すること。

(19)水道事業について

  • 不要不急の五ケ山ダム(1万トン/日)が、来年度完工するが、水道用水の1日最大給水量(43万5800トン)に対し、施設能力(77万7700トン)はすでに過大である。総事業費1960億円もの小石原ダム整備計画を始め、さらなる新たな水源開発はやめるよう、国と県や福岡地区水道企業団に要求すること。
  • 乙金浄水場については民間委託化をせず、従来方式により市直営で運営・管理すること。
  • 当初、生産水量5万トン/日で整備された海水淡水化施設(総事業費408億円)は、筑後川水系の安定水量のため、この5年間の実際の供給水量は、日量3万トン台から2万トン台に激減して、その必要性は著しく低下して来ている。したがって、莫大な費用をかける施設更新を中止し、抜本的に縮小するよう、福岡地区水道企業団に強く求めること。

(20)原発について

11月9日、原子力規制委員会は玄海原発3・4号機の審査書案を了承した、来年秋にも玄海原発が再稼働される可能性がでてきている。いま求められることは、6年近くとなる福島原発事故の原因究明であるのに、安倍政権は、原発を「重要なベースロード電源」として、将来にわたって推進することを決め、原発再稼働への暴走を続けている。国民世論は、鹿児島県と新潟県という二つの原発立地県の知事選挙で、原発再稼働反対を掲げた知事が誕生したように、どんな世論調査でも再稼働反対は5割を超えている。日本中の原発が2年近く停止した「稼働原発ゼロ」(2013年9月~15年8月)の体験を通じて、日本社会は原発なしでもやっていけることが国民的認識となった。電力需給の面でも、原発再稼働の必要はない。さらに、熊本地震をはじめ毎年のように起きる大きな地震に示されるように、日本で大地震が起きないといえる場所はなく、原発は直ちにやめるべきである。九州電力は、川内原発に続き、玄海原発でも、緊急時対策所としての免震重要棟建設を撤回し、福島原発事故の教訓を無視して再稼働に突き進もうとしているが、あまりにも無責任である。そういう中、九州においても、「原発なくそう九州玄海訴訟」の原告は1万人を超え、原発ゼロを求める世論と運動は画期的な高まりを見せている。川内原発はただちに停止の措置をとるとともに、玄海原発をはじめ日本中のすべての原発の再稼働路線をきっぱり中止し、「原発ゼロの日本」に本格的に踏み出すべきである。

  • 市として九電と国に対して、玄海原発の3・4号機の再稼働中止と全機の早急な廃炉を強く要請すること。
  • 熊本地震では甚大な被害で屋外退避せざるをえない状況が出たが、原子力災害の避難計画は屋内退避を基本としており、複合的な災害によっては安全に避難できないことになる。本市の避難計画では、155万市民が避難することは不可能であり、250キロメートル圏内の住民が影響を受けるような最悪規模の事故も想定した地域防災計画・避難計画に抜本的に見直すこと。国まかせでなく市独自に避難指示が出せるよう専門機関を設置すること。
  • 九電と締結した原子力安全協定は、事故時に直接福岡市への連絡をさせるとともに、事故後対策だけでなく、再稼働や施設の変更にあたっての本市への事前説明・了解、立入調査などの内容を盛り込むよう見直しをすること。
  • 高島市長は原発再稼働については「国の判断にゆだねる」とするなど、安倍政権追随の姿勢であり、155万市民の長としてこんな無責任な態度は到底許されない。市として「脱原発宣言」を行うこと。

(21)再生可能エネルギーの推進について

  • 本市には太陽光・風力の市内利用可能量をすべて導入すれば市内全世帯の電力消費をまかなえる潜在能力がある。しかし本市の「福岡市環境・エネルギー戦略有識者会議」の提言で出されている再生可能エネルギーの目標は、国の低い目標でさえ20%をめざしているのに、2030年で市内電力量のわずか8%を担うものでしかなく、市として2030年までに電力需要の4割を再生可能エネルギーと省エネルギー技術でまかなう目標を定めること。
  • 市有施設・市有地で太陽光、風レンズ風車などの風力、小水力などの発電の活用を前項の目標にふさわしく抜本的に拡大すること。太陽光発電の「屋根貸し」を公共施設でもすすめるとともに、民間施設や個人住宅で普及するため、補助金制度を抜本的に充実すること。家庭や市民共同のとりくみに、適正な買い取り価格を保障するよう、国と電力会社に働きかけること。その際は、環境保全や住民の健康に配慮すること。
  • 九州電力は、「電力が不安定になる」と言って、再生可能エネルギー接続を制限・拒否し、政府もこうした電力会社の姿勢を容認・支援している。「原発固執政治」が、再生可能エネルギー普及の最大の障害となっている。電力買取り制限をおこなわないように九電と国に求めること。
  • 自治体による家庭等の低圧電力売買を主な目的として設立された日本初の事業会社・みやまスマートエネルギー株式会社を参考に、再生可能エネルギーを100%小売りする地域エネルギー会社設立について本市でも研究すること。

(22)原発事故子ども・被災者支援法は具体化されたが、支援対象者は福島県の中でも限定されており、内容も原発被災者の実態にあったものになっていない。同法の支援対象地域を狭めないよう国に求めるとともに、「避難者いじめ」も報道されていることから、福島の避難者が相談できる部署を区役所や教育委員会等に設置すること。また、福島原発事故からの福岡市内への避難者は39世帯85人となっているが、避難者が安定した生活基盤を確保した上で生活再建を図るという観点から、2017年3月末日をもっての制度の打ち切りはしないこと。

(23)防災の強化について

  • 2016年4月14日に発生した熊本地震では、16日未明に発生した本震と合わせ、断層地震としては例の少ない震度7が2度も襲い、新耐震基準の建物であっても倒壊や半壊など大きな被害を受けた。福岡市には、30年以内に6%の確率で地震が発生するとされている警固断層があり、また、西には日向峠-小笠木峠断層帯、東には宇美断層、西山断層帯が延びている。いつどこで熊本地震のような地震が起きてもおかしくないと専門家も指摘している。防災対策は、災害が発生した後の応急対策や復旧・復興対策だけでなく、災害の発生を抑え、被害の拡大を防止するための予防対策を重視した対策に転換する必要がある。熊本地震のような、震度7が連続するような被害想定への見直しをすること。「2万5千人」という想定避難者数を福岡市の人口増、天神や都心部への勤労者の増加と来客者の増加に合わせて見直すこと。国の被災者生活再建支援金の支給額を最大500万円へ引き上げるよう要求すること。避難所の必要物資を抜本的に増やし、避難者数に見合う数量の確保をすること。住宅の耐震改修への市の助成制度を抜本拡充するとともに、木造戸建住宅では現在対象外とされている1981年以後の住宅でも、改修費を助成対象とすること。
  • 公共施設の耐震性を確保することは、地震に対する予防対策の基本である。ところが、本市の対応は、予防対策を後回しにし、防災の基本を逸脱している。2015年末時点で、災害対策本部となる博多区役所と、7団地16棟1854戸の市営住宅(耐震化率94.4%)、東部水処理センターの耐震改修が残されている。また、水道施設は40%、下水道施設は56%など公共土木構造物の耐震改修は根本的に遅れたままである。早急に、公共施設の耐震改修を行うこと。
  • 災害発生時には被災者救助の中心的役割を担う市の消防の体制は、国の指針に照らして、ポンプ車は3台、救急車は4台、人員は65人も不足しており、特に救急要員の充足率は90.2%となっている。市民の命を守る上で重要な消防力であり、国の指針を満たすよう早急に増車・増員すること、救急救命士も大幅に増員すること。消防水利の整備をすること。
  • 市職員の災害対策体制については、熊本地震を受けて、新たな想定の下、主な災害の経験や訓練などを考慮の上、避難勧告・避難指示発令時に、実際に対応できるものとなっているか、毎年、検討するとともに、特に、区役所の地域連絡・広報班は、水防第1・第2配備の体制を強めて、市民への広報活動が迅速に、広範囲に、行われるようにすること。特に、広報車については、一気に稼働できる体制を作ること。また、サイレンの鳴る防災無線や有線放送を、那珂川、室見川、瑞梅寺川、樋井川の各水系と、土砂災害特別警戒地域に設置すること。
  • 荒津の石油コンビナートや、西戸崎の石油タンク、東浜のガスタンク等の震災時の安全が懸念されているにもかかわらず、地盤の耐震化、液状化対策も不十分なまま放置されている。大規模災害が発生した際の労働者・住民の安全、ライフラインの確保だけでなく、応急対策をすすめるうえでも臨海部の安全対策はとりわけ急務である。事業所まかせでなく、市として、国や関係行政機関と連携して、消防・防災体制と避難体制を抜本的に強化すること。また、危険物貯蔵所施設の耐震化状況を早急に調査し、耐震対策と津波対策を徹底し、安全性を確保すること。
  • 民間建築物耐震化促進事業の耐震改修助成を抜本的に引き上げ、住宅の耐震化目標を前倒しして実現すること。助成要件も緩和して、人命確保のための耐震ドア、耐震ベッド、窓や屋根の補強だけでも活用できるようにすること。また制度の周知・広報も強めること。
  • 本市に影響を及ぼす地震・津波として、警固活断層や菊川断層、西山断層を震源・波源とする地震・津波に対ずる想定外を想定し、最悪の事態に備える見直しをただちに行うこと。
  • 最悪の津波を想定し、津波避難ビルの必要数の確保、避難ビルの認証シールやオートロック対策など実効性ある対策を早急にとること。
  • 地域での高齢者などの要援護者の避難支援体制を、自主防災組織任せにせずに、市が責任を持ってつくり上げること。
  • 市内にある757か所の急傾斜地崩壊危険箇所については、年々集中豪雨発生などによる危険が高まっている。地権者の協力も得ながら、県に指定区域の拡大を求めるとともに、市としても積極的な取り組みをすすめること。
  • 現在有床診療所153施設のうち、スプリンクラーが設置されているのが39施設であり極めて遅れている状況である。早急に全診療所にスプリンクラーと火災自動通報装置を設置できるように国に予算の増額を求めるとともに市が独自支援をおこなって設置させること。併せてすべての福祉・医療施設についても、国と市の責任で設置をすすめること。
  • 市街地を流れる河川の浸水防止対策については、周船寺川を前倒しし、必要な河川改修事業を県に要求していくこと。あわせて、必要な河川には、市有地や公園などの公的施設を活用して、地下貯水施設等を設置すること。また、調整池やバイパス雨水管などの整備、河床掘削や護岸整備を行うこと。
  • 今泉など天神周辺地区の浸水対策は緊急性が求められている。雨水整備レインボープランとして進められている雨水幹線整備や貯留施設、浸透施設等の前倒し整備を早急にかつ安全に行うこと。また下水道の分流化についても年次計画を立て事業を推進すること。
  • ため池の震災対策については、市内300か所のため池のうち105か所で県による調査が行われ、耐震性について判定A(優先的な詳細調査が必要)が40か所、B(詳細調査が必要)が33か所ある。耐震性や豪雨による洪水の危険性などの調査点検を行うとともに、ハザードマップの策定や暫定的な避難方法の住民周知をすること。

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4、地球温暖化対策をはじめとする環境問題について

(1)地球温暖化対策について

  • 2016年の国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)で、京都議定書に代わる地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」の具体化作業が始まったが、日本は、世界第5位の温室効果ガスの大量排出国でありながら、安倍政権が示している「2030年度までに18%削減(1990年度比)」という目標はEUやアメリカにくらべても極めて低く、国際合意ともなっている「気温上昇を産業革命(1850年頃)以前から2度未満におさえる」ことには貢献できないもので、EU並みに「1990年度比で40%削減」を目標にするよう国に求めること。
  • 現在着手されている「福岡市地球温暖化対策実行計画」(素案)の策定にあたり市として以下の立場で臨むべきである。東京都が国よりもいっそう踏み込んだ削減目標を決めたように、国の低い削減目標に従属することをやめ、「1990年度比で40%削減」に準じた市全体の排出総量の積極的な削減目標を定めること。そのさい基準年度を2004年度にせず、国際基準である1990年度にすること。そのために最大の排出部門である業務部門での削減をすすめるため大規模事業所に総量削減を義務づける手だてをとること。温暖化ガス削減へ天神やウォーターフロントなどの無計画な都市の乱開発を抑制する観点を盛り込むこと。また、原発ゼロでも温室効果ガスは減っており、原発再稼働を前提とせずに再生可能エネルギーと省エネルギーを推進するため2020年に市内一次エネルギーの2割を担う目標を「計画」にも盛り込むこと。

(2)微小粒子状物質、いわゆるPM2.5は粒径が非常に小さいため肺の奥深くまで入りやすく健康への影響が懸念されているが、本市では2015年度全測定局で環境基準を達成していない。本市でも観測・調査研究・周知などの取り組みが始まっているが、国内の自動車排ガスなどを含めた発生源研究、健康への影響調査をいっそう強化するとともに、黄砂の影響や大気汚染物質の排出量を減らすため国際的な協力について市としても検討すること。

(3)光化学オキシダントについては、2015年度も昨年に続いて全測定局で環境基準値を達成していないもとで、市も「光化学オキシダントは、自動車や工場・事業所などから排出される窒素酸化物と、ガソリンや用材等に含まれる揮発性有機化合物が、太陽の紫外線によって光化学反応をおこして生成されます」(市のリーフレット)として市民に自動車利用の抑制を求めているにもかかわらず、「福岡市自動車交通公害防止計画」の策定を終了してしまった。光化学オキシダントの原因についての研究・調査を強化するとともに、少なくとも究明されるまでの間、「自動車交通公害防止計画」を再び策定して自動車交通の総量抑制に努めること。

(4)自動車交通騒音については、市が経年的に定点観測している11地点では、2地点以外は昼間・夜間のいずれも環境基準を達成しておらず、住環境を破壊している。国、県とも図って、直ちに抜本的な改善対策を講じること。

(5)博多湾の水質汚染はCOD75%値で、西部海域を除き、東部と中部海域は依然として環境基準を達成しておらず、生態系に重大な影響を与えている実態を直視し、早急に改善策を講じること。

(6)和白干潟については、休息場や餌場として、クロツラヘラサギ、ミヤコドリなど多様な希少種が飛来し、国指定鳥獣保護区に指定されている。市長は、和白干潟・今津干潟や多々良川河口については、将来的な課題とせず、「特別保護地区」指定を国に申請するとともに、ラムサール条約登録地に選ばれるよう積極的な取組みを行うこと。

(7)ごみ行政について

  • 本市のごみ処理量の状況は2012年度以降から増加傾向に転じ、「新循環のまち・ふくおか基本計画」の2016年度の中間目標は事業系も家庭系も達成し得ておらず、「計画」は破綻状況となっている。したがって、家庭の消費段階でごみを削減させるやり方は限界にきており、生産者が製品の生産・使用段階だけでなく廃棄・リサイクルまで責任を負う「拡大生産者責任」の立場で計画目標を抜本的に見直すこと。
  • 現行のごみ「4分別」収集を他都市並みに多分別に増やすとともに、地域のミニリサイクルステーションを増設整備すること。とりわけ、紙類は「燃えるゴミ」とはせずに、市の責任で分別収集すること。
  • 西部および臨海3Rステーション事業は、民間委託されて運営に混乱を生じており、ボランティア会員等の創意・工夫が尊重され、労働条件が守られるなど、民主的な管理運営がなされるよう指導していくこと。
  • 「廃プラスチック類の取扱いについては、まず発生抑制を、次に再生利用を促進し、それでもなお残った廃プラスチック類については…熱回収を行うことが適当である」という環境省の基本指針があるにもかかわらず、本市はプラスチック製容器包装を分別せず、大型焼却炉を稼働させるために燃やしている。全国の市町村の7割が何らかの分別を行い、政令市の中でこうした分別をしていないのは、福岡市をふくめわずか3市のみである。環境省も焼却による熱回収よりも、リサイクルの方が「CO2の排出量は少ない」としており、本市もプラスチック製容器包装の分別を行い、その再資源化をめざすこと。併せて、「拡大生産者責任」の立場で、プラスチックごみ発生を抑制する手だてをとること。

(8)産業廃棄物の投棄によって引き起こされている環境汚染は深刻な社会問題となっている。「福岡市産業廃棄物処理施設の設置に係わる紛争の予防及び調整に関する要綱」を条例化するとともにパトロールを強化し、違反者への罰則規定を厳格化すること。

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5、中小企業・小規模企業の営業を守る総合的施策、農林水産業の再建を

(1)中小企業・小規模事業者対策および経済対策について

中小企業・小規模事業者は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在であり、本市では企業の98.7%、働く人の72%を占め、雇用の担い手となっている。地域に根をおろし、モノづくりやサービスでの需要にこたえ雇用を生み出している中小企業の役割はますます大きくなっている。しかしながら、安倍自公政権のすすめてきた経済政策―いわゆるアベノミクスや消費税の大増税、社会保障の改悪は、中小企業、小規模事業者にあらたな困難をつくりだしている。さらに、日銀の「異次元金融緩和」によってつくりだされた円安は、原材料費などの値上がりで経営を圧迫し、経営と存続が深刻な状況となっている。

  • 高島市長のすすめる、国家戦略特区を活用したスタートアップ都市づくりに91億円、観光・集客戦略の推進には21億円など企業や人を呼び込む施策には莫大な予算をつける一方で、中小企業・小規模事業者の振興予算は、融資と金融対策を除いて、わずか2億2285万円と極端に予算が低いままである。福岡市の経済と雇用を支えている中小企業・小規模事業者の振興予算を抜本的に増やすこと。
  • 福岡市中小企業振興条例の全面改正について
    • 改正に際して、小規模企業の経営状況などの実態を把握すること。また、全事業所の実態を把握するために悉皆調査を実施すること。
    • 改定される中小企業振興条例に中小企業者や小規模事業者の意見を反映させるために、中小企業振興審議会だけではなく、商店街、中小企業者、小規模事業者、業界団体などからの意見を反映させるシステムを作ること。
    • 条例改定にあたって、前文には中小企業の中でも圧倒的に多い小規模事業者の果たす役割を盛り込むとともに、中小企業、小規模事業者の振興によって地域循環型経済をつくることを明記すること。市の責務について、地域の中小企業、小規模事業者の役割を重視し,その振興を行政の柱としていくことを明確にするとともに小規模事業者への配慮規定を盛り込むこと。
  • 景気回復のための経済対策には公共事業だけでなく、地場中小企業・小規模企業の仕事づくりにつながる民間需要の拡大が不可欠である。住宅リフォーム助成制度は中小業者の仕事おこし、地域経済の活性化とともに住宅の寿命をのばすなど環境対策としても効果が明らかとなっており、福岡県内で21市町村、全国では4県603市区町村の自治体が実施している。住宅リフォーム助成制度の創設を拒否し続ける異常な姿勢をやめ、地場中小企業・小規模企業の仕事づくりになる、対象工事を限定しない制度を本市でも創設すること。また、長年棚上げにされている、競争入札資格のない未登録業者に、自治体が建設工事や修繕工事等を発注する小規模工事登録制度を直ちに実施すること。
  • 官公需が地域の中小企業の仕事起こしに役立つよう、運用状況を調査し、地元中小企業や小規模企業へ生活密着型の公共事業を優先して発注すること。その際、中小企業とは分けて小規模企業に対する官公需の発注状況についても把握すること。また、トライアル発注認定事業の改善・充実をはかること。
  • 建設業界では低賃金などの理由で若者の入職が減り、技術継承が危ぶまれる事態となっている。今年度、公共工事設計労務単価が全国平均で4.9%、福岡県で4.5%引き上げられた。高島市長は2016年2月9日に「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」という通知で、下請業者に対し技能労働者への適切な水準の賃金の支払いを要請したが、下請代金の未払いや大手ゼネコンによる低単価発注などをやめさせるためのルールが守られておらず、実態を調査し対策を講じること。また「公契約に関する基本法の制定を求める意見書」が本市議会で採択されるなど公契約法(条例)の制定を求める運動と世論は大きく広がっている。川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国17自治体に広がり、福岡県内でも直方市で公契約条例が制定されている。自治体の仕事を受注する企業に人間らしく働ける賃金と労働条件を義務づける「公契約」条例の制定をすすめること。
  • 一般競争入札の運用にあたっては、地元中小企業・業者の仕事確保の観点から、一定額以下は大企業を排除する逆ランク制度を採用すること。
  • マイナンバー制度の施行に伴い、従業員とその家族の番号管理に加え、番号が流出しないような措置やパソコン管理においても番号の流出防止のためにインターネットから遮断し、専用のソフトまで購入しなければならないなど、中小企業、小規模事業者の費用負担及び実務が大変な状況である。マイナンバーをやめるよう国に求めること。
  • 国に対し全業種100%保証の「セーフティーネット融資」の復活を求めるとともに年利1%未満、保証料全額補助の恒常的な融資制度をつくること。また、市の融資制度で不必要な書類など強要しないよう、銀行や保証協会に対して改善を求めること。あわせて、福岡市市民福祉プラザに一本化された生活福祉資金貸付金の窓口を各区の社会福祉協議会に戻すこと。
  • 2013年度に本市が実施した商店街実態調査結果に見られる商店街の状況について、2009年度に比べ、1商店街当たりの平均空き店舗数は増加している。さらに、商店街の会員や役員の平均年齢も50歳代から60歳代が7割を超えているなど、商店街の実態は依然として厳しい状況に置かれている。一方、市の商店街活力アップ支援事業、商店街空店舗等再生事業などの商店街支援策の活用は非常に少ないままである。地元商店街や商店を守るため、実態や要望を踏まえた十分な支援をおこなうとともに商店街対策予算の増額と体制強化を図ること。あわせて全国の55自治体で実施されている、店舗の新築、増築、リニューアルや備品購入などに対する助成を行う「商店リニューアル助成事業」を創設すること。また、スーパーなどの店舗の撤退などによって、市内でも買い物弱者が広がり続けており、市として、高齢者の人口分布や徒歩での行動範囲、生鮮食料品を取り扱う店舗の分布など、高齢者の買い物支援を考えるために必要な情報を集約、分析し、その情報を商店街などに提供すること。あわせて、2013年度から始まった「地域との共生を目指す元気商店街応援事業」について商店街などが支援を受けやすいように改善するとともに予算を抜本的に増やすこと。

(2)雇用の改善について

  • 安倍首相は、「企業が世界で一番活動しやすい国」をつくるといい、労働法制の規制緩和をすすめている。労働時間規制を全面的に外す「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)を導入し、何時間働いても事前に決めた時間分しか払われない「裁量労働制」を営業職などにも拡大する労働基準法一部改定案を国会に提出している。さらには、職務や勤務地を限定した「限定正社員」をつくり、その職務の廃止や事業所の閉鎖があれば解雇できるようにする制度や、「金さえ払えば解雇できる」仕組み(解雇の金銭解決)の導入など、「クビ切り自由の国」づくりがねらわれている。こうした労働法制の規制緩和を許せば、日本社会全体が、労働者を「使い捨て」「使いつぶし」にする総ブラック企業化し、「働く人が世界一住みにくい国」にされてしまうのは明らかである。国に対して、残業時間の法的規制、インターバル規制によって、過労死を生み出す長時間過密労働を解消することを求めるとともに、非正規から正規への流れをつくるため、労働者派遣法を抜本改正して、派遣労働は一時的・臨時的なものに制限すること。また、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、派遣法などに「均等待遇」「同一労働同一賃金」の原則を明記し、格差をなくすよう求めること。
  • 長時間過密労働、パワハラ、セクハラ、いじめ、残業代未払いなどを特徴とするブラック企業問題が深刻化している。大広告代理店電通の女性社員が自殺し、長時間労働が原因と労災認定されるなど、過労死や過労自殺とみられる労働者の死亡事例も後を絶たない。ブラックバイト問題についても、共産党市議団のアンケート調査の結果、福岡市内でもアルバイトする際に労働条件を文書で明示された事例は皆無といっていいほどなく、市内において相当のトラブルが起こっていることは明らかである。したがって、過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにするブラック企業の根絶に向けて、福岡市として専門職員を配置した労働相談窓口を各区につくり、街頭相談や電話相談を行うとともに、労働者向け対策リーフレットを作成し、身近な所で入手できるように普及、啓発すること。また、ブラックバイトに関しては大学や高校と連携をして周知徹底と相談体制を構築すること。あわせて、ブラック企業規制条例を策定すること。
  • 全国でも本市でも労働者全体の4割にも及ぶ、派遣労働者、契約社員やパート、期間社員などの非正規労働者は、正規労働者の6割弱という低賃金に加えて、短期・細切れの雇用契約の更新をくり返し、つねに雇用不安をかかえて働いている。高島市長が直接地元財界や大企業に正規雇用の維持・拡大を強く要請すること。中小企業への大胆な支援をはかりながら、ただちに最低賃金時給1000円を実現し、1500円以上をめざすよう国に要請すること。
  • 福岡市の発行している「働くあなたのガイドブック」は、ブラック企業やブラックバイトを根絶するためには大事な広報物である。しかしながら、2015年度に9000部作成しただけで、配布部数は大学1708部、高校1050部、専門学校991部、学校以外が2519部の6268部となっている。市内11大学には7万人以上の学生が在籍し、高校生についても公立私立合わせて4万人以上在籍しており、全く行き渡っていない状況となっている。また、多くの若者が就職活動のために訪れるハローワークにも不足しているのが実態である。来年度の改訂に向けては、若者の意見や実態を反映させ、事例もわかりやすく記述するなど内容を充実させるとともに、作成部数についても高校生や大学生、専門学校生に対して1人残らず行きわたるように抜本的に作成部数を増やすこと。また、高校生向けガイドブックを作成すること。あわせて、高校の授業での活用、卒業生への配布の復活など積極的な活用を図ること。

(3)農林水産業の振興について

  • 農産物の関税撤廃によって日本の食料と農業に壊滅的打撃をあたえる環太平洋連携協定(TPP)は、JAをはじめとする農業関係者が大反対している中、米国のトランプ次期大統領がTPP離脱を表明している。日本がこの国会で批准する合理的な理由はなく、政府に対して批准せず、ただちに協定づくりから撤退することを求めること。
  • 豊凶変動や価格の乱高下が避けられない農産物の価格保障は、再生産を保障し、農家の意欲と誇りを高めるうえで決定的であり、食料自給率を向上させる基礎的条件である。農畜産物の特性を踏まえて品目別の価格・経営安定制度の導入、あるいは現行制度の充実・改善を国に求めるとともに、国土や環境の保全など農業の多面的な機能を評価して、農地面積などを対象にした各種の直接支払い(所得補償)の抜本的な充実を求めること。また、本市において生産量が多い花卉、野菜の価格安定対策や助成制度の改善・拡充を国に要望するとともに、地産地消の取り組みを強化し本市農業を守ること。
  • 燃油や飼料などの生産資材価格の高騰が経営に与える影響の大きい施設園芸や畜産などには、貸付制度では対応できず、国の補助も不十分である。直接補てん措置が不可欠であり、市独自の制度をつくること。
  • 2014年に本市の農家の経営主の平均年齢が70歳を超え、農家戸数及び農業従事者数についても減り続いている。一方で、農林業総合計画における本市の新規就農数の目標はわずか8人という極めて低い目標になっている。農業従事者が増加するような目標を設定し農家の後継者づくりについては、生活支援や資金、技術、農地の面での総合的な支援体制を整え、農業への新規参入者を増やすことと同時に青年就農給付金制度を本市のような都市近郊農業にも充分に活用できるよう要件の緩和を国に要求すること。あわせて、本市として、ふくおか農業塾の定員の拡充を図ること。このような担い手を増やす施策を充実させ、これ以上耕作放棄地を増やさず、現在の耕作放棄地の活用については市民農園や体験農業、学校農園、農業ボランティアなどさまざまなチャンネルで市民の多くが農業・農村にふれ、生産にかかわる取り組みができるようにすること。また株式会社への農地取得・利用を認める政府方針に反対すること。
  • 有害鳥獣による農作物への被害額について、大幅に減少しているものの2015年度は5717万円となっており、被害は未だになくなってはいない。引き続きワイヤーメッシュ、電気柵の設置などを行うこと。また該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査、増えすぎる鳥獣を適正な密度に減らす地域や自治体の取り組みを支援するよう国に申し入れること。また、鳥獣が街中に下りずに生息できる森林環境の整備をはじめ国が鳥獣被害対策交付金を大幅に増やし、農家や自治体の防護柵・電気柵・わなの設置、捕獲物の利用などへの支援を強めるよう申し入れること。
  • 3市場を移転統合した新青果市場について、人工島に移ったことで遠くなった小売業者・生産者から時間がかかり高速代及びガソリン代の負担が増えたと悲鳴があがっている。負担軽減について関係者の要望にこたえるとともに、中継所の利用手数料の新たな負担を押し付けないこと。また、卸売棟から離れた駐車場を利用している業者が、当初の市との取り決め通り、卸売場東・入荷通路での車両への積み込みができるように改善すること。
  • 林業は地場産業であるとともに、森林は、木材資源の供給とともに、国土や環境の保全、水資源の涵養、生物多様性の保全など、国民生活にとって欠かせないものとなっている。また、低炭素社会にむけた大きな可能性を持っており育成していかなければならない。しかし、安い外材の影響で市内産木材の需要が伸びず、荒廃森林も増えている。市内産木材を使用した住宅建設や改修に対してインセンティブを与え、地元木材の利用・販売促進に努めること。公共建築物や住宅、道路施設、土木事業等への市内産木材の使用を広げること。あわせて、木質バイオマスエネルギー基礎調査の結果を踏まえ、小規模な熱供給と発電との併用利用や農業用ハウスボイラーでの活用に取り組むこと。また、農林水産政策研究所において、家庭導入効果や地元企業での利用は地域経済の活性化に効果があることが報告されている木質バイオマスについて、早急に本市公共施設への木質バイオマスを燃料とした器具の導入を図ること
  • 燃油や資材価格の上昇による経費増大と産地魚価の低迷が、漁業と漁民経営の存続を深刻に脅かしている。本市の沿岸漁業の漁家戸数、就業者数も年々減少し就業者の平均年齢も59歳弱となり後継者不足が深刻である。福岡市の漁業を守るため、漁民の所得保障と価格安定対策を国に求めるとともに、漁場環境の保全、改善や後継者問題に取り組むために振興策の充実をはかり予算を増やすこと。同時に新規就業者に一定期間、生活費を補てんする制度を国の制度とし確立する事を求めること。また、石油価格や漁船・漁具、養殖用飼料の価格高騰による経営困難を打開するため、軽油引取税などの免税措置を恒久化し、資材価格の安定と省資源型漁船や漁法にたいする援助を強め、消費者価格の安定をはかるよう国に求めること。

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6、憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもを人間として尊重する教育・文化行政の推進を

今日、拡大する教育格差、いじめや体罰・暴力、その異常さが国際機関から厳しく指摘されている過度の「競争」や「管理」等、様々な問題に多くの国民が心を痛めており、教育の深刻な行き詰まりの打開が求められている。しかし安倍政権は「海外で戦争する国」を加速させる軍拡予算を過去最大にする一方、教育予算を抑制しようとしている。また、「グローバル人材の育成」という財界要求に沿った人づくりのため英語偏重教育を強行し、道徳を教科化する一方、教職員と生徒の政治的自由を奪おうとする等、教育の分野でも暴走している。高島市長はこれら政権の動きに追随し教育予算を最低水準に抑制し続け、市立幼稚園全廃や給食の民営化等の行革を強行する一方「グローバル教育」「起業家教育」偏重へと歪めている。今こそ平和と民主主義を土台とした憲法と子どもの権利条約を生かし、全ての子どもの「人格の完成」を目指し一人一人を人間として尊重する教育への抜本転換こそが求められている。

(1)一般会計の6~7%台で推移し史上最低水準となっている本市の教育予算は、抜本的に増額すること。

(2)「新しいふくおかの教育計画」について

  • 本市の教育計画は、「世界に羽ばたく人材育成」などとして、英語教育をことさら強調し低学年に拡大するなど歪んだ内容となっている。財界要求に基づき各教科のバランスを壊し、発達段階を無視するやり方は教育の目的から逸脱するものであり、見直すこと。
  • 「グローバルチャレンジ・イン釜山」等、選抜された生徒のみに公費投入する事業は問題であり中止し、全ての児童・生徒の人格の完成を基本に据えた計画へと改めること。
  • 子どもと学校間の競争を激化し、教職員の困難を増大させている一斉学力テストは、やめること。
  • 中学校における職場体験学習の受け入れ先に自衛隊を選定する事態について全国的に問題になっている中、本市においても昨年度6校67人が自衛隊で戦闘機や装甲車の見学など重大な体験をしていることが確認されている。自衛隊はその存在そのものについて「違憲」「合憲」の議論が分かれているばかりでなく、自殺率が高く、労働権も認められていないなど、他の一般の職業とは同列視できない異質のものである。更に、集団的自衛権行使容認と「戦争法」強行によって「駆けつけ警護」等の新任務を付与され戦闘地域である南スーダンに派遣され「殺し」「殺される」軍隊に変えられようとしている。この自衛隊を一職場として「職場体験」先に選定することは生徒の発達上問題があり、憲法の精神にも反するものでありやめるよう指導すること。
  • 学校に対する日の丸掲揚、君が代斉唱の強制をやめること。
  • 相次ぐ体罰の根源にある要因を教育委員会として解明し、根絶のために取り組むこと。

(3)教育条件、体制の整備・充実について

  • 35人以下学級拡充が4年生までで打ち切られることにより困難がひろがっている。教育委員会が行った「教育意識調査」においても教職員、保護者ともに全学年での35人学級実施が多数の願いとなっていることが浮き彫りとなっており独自の「ガイドライン」を理由に拡充しない姿勢は異常であり許されない。ガイドラインは破棄し当面本市独自の常勤講師の採用等必要な手立てをとり、全ての学年、学校に拡充すること。
  • 教職員給与の政令市移管にあたっては、給与水準など労働条件は維持・向上させた上で正規教員増による少人数学級の拡充に足を踏み出すこと。
  • 土曜授業の実施や夏休みの短縮は、子どもから休息や自由な時間を奪い、教職員の多忙化に拍車をかけ、地域行事や子どもたちの習い事・自主活動にも影響を与えており、見直すこと。
  • 後を絶たないいじめの根絶に向けて、いじめは人権侵害であると位置づけ、学校及び教育行政の子どもに対する安全配慮義務、集団的に対応する学校の責務、いじめられた子、いじめた子に対する徹底したケア、被害者の真相を「知る権利」を保障することを原則として取り組むこと。「いじめ防止対策推進委員会」は実効性を持たせること。
  • 貧困と格差の拡大の下、給食費さえ払えない低所得の保護者も生み出される中、今年度就学援助の基準改悪が強行されたことにより既に前年度より千数百人の認定減となっており、関係者の怒りがひろがっている。「生活保護基準に連動させないよう」との国の通知の趣旨を踏まえ、基準を元に戻すとともに、クラブ活動費・生徒会費・PTA会費について項目に加え、国に対して財政措置を求めること。
  • 義務教育無償の原則にもとづき、他都市にならい給食費を無料化すること。
  • 不登校生に対応するまつかぜ・はまかぜ学級と同様の施設を増設するとともに民間のフリースクールへの助成を行うとともに、夜間中学を設置し教育を受ける権利を保障すること。
  • 中学校部活動の相次ぐ廃止に歯止めをかけるために、当面補助指導員の更なる充実のための予算増額を図り、顧問の確保・育成のための抜本的な方策を検討すること。また市大会、県大会等上位大会出場旅費も不足している事態を解消するため関連予算を増額すること。過度な練習による成長期の子どもへの影響、顧問教師の長時間労働の実態等を考慮し関係者の意見を踏まえながら週二回の休養日を設けるなど実効性のある措置をとること。
  • 「学校規模適正化」については子どもを中心に考え、情報の公開と住民合意を基本に据え、一方的な押し付けを行わないこと。また、一人あたりの校地面積の縮減による詰め込みにならないよう配慮すること。
  • 危険な通学路について専門家による実態調査を行い、住民要望を踏まえ、関係局と共に「ゾーン30」の設定などの改善策を早期に完了させること。
  • 教育委員会会議については完全公開とすること。
  • 自然教室等のバス不足問題については子どもと教職員に多大な迷惑をかけており、市長部局とも協議し解決をはかること。
  • 廃止された朝鮮学校への補助金を復活させること。

(4)教職員体制について

  • 教職員は休みたくても休めず慢性的な長時間過密労働を強いられ、精神疾患等による休職者は減らない等、健康破壊が深刻である。実態調査においても月80時間を超える勤務時間外の活動が明らかになっており、「校務支援システム」では抜本的な対策にはなっていない。過重・超過勤務の抜本是正のため、人的加配など実効性ある措置を取るとともに、休暇を取りやすい環境を整え教職員の休憩室については法令通り適正に設置すること。教職員の「全体の奉仕者」としての責務や勤務実態を無視した給与等削減をやめるとともに非常勤講師等の賃上げを図ること。また、異常な非正規化を改め、必要な人員は正規で採用するとともに、地域行事等勤務時間外の活動への参加押し付けは行わないよう指導すること。
  • いじめや不登校をはじめとする諸問題を改善するために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、学校司書等の専門職員の位置づけはますます重要になっており、現場の願いも切実である。これら専門職員を正規化し全校配置するとともに養護教諭の複数配置をひろげること。
  • 過度な競争や管理教育ではなく一人一人の子どもの人権・命を大切にする教育を推進するために、教職員研修は同和偏重からこどもの権利条約等の関係法令や発達の観点などを学び生かす研修へと改め充実させること。

(5)学校教育施設について

  • 学校施設の老朽化が進む中で改修費は現状維持に留まっている。大幅に校舎校地等維持補修費を増額して学校施設の改修をもっと進めること。施設・設備をはじめとする学校環境・安全点検は現場だけに押し付けず、予算を組んで専門家により少なくとも年1回は行うとともに築30年以上の大規模改造未実施校について全て来年度着手すること。また、プールについては財政負担を理由に改築しない方針を撤回し必要な改修・改築は速やかに実施すること。
  • 各学校に用務員が常駐しておらず、人の数も減って現場ではすでに不都合が生じており、用務員の配置については拠点校方式を改め、元の各学校に配置すること。
  • エアコン使用について冬は「10度を下回る」、夏は「30度を上回る」場合などの不当な干渉はやめ、国の学校環境衛生基準やそのマニュアル通り「児童生徒等に生理的、心理的に負担をかけない最も学習に望ましい条件、冬期18度から20度、夏期25度から28度」の環境を保つよう学校現場の裁量に任せること。また、理科室などの特別教室や、不登校ぎみの生徒のためのステップルームへのエアコン設置をおこなうこと。市立高校のエアコン電気代は市が負担すること。
  • 学校のいたる所にスレート板やPタイル等、アスベスト含有材が使用されており、破損時には飛散し危険であるにもかかわらず、対処方法等について学校への周知は不十分である。学校からアスベストを全て撤去する指針を策定し、当面の取り扱いについては緊急対策を図るとともに、対処後の報告を義務付けること。
  • トイレが不足している学校については増設を行うとともに「臭い」「汚い」「暗い」「プライバシーが守れない」等の問題について早急に解消すること。洋式トイレの増設を急ぐこと。
  • 生徒数が1,000名を超えている実質過大規模校が増えている。教室不足等の問題を放置することは許されず、地域コミュニティに混乱をもたらす校区調整ではなく、早急に分離・新設を行い、当面教室の増設等、緊急の対応を行うこと。また、教育環境整備の観点から人口の流入抑制等の対策を他局とも協議し行うこと。
  • 学校の樹木については専門業者が入った点検、剪定の回数を増やし、せめて1年に一度のペースに引き上げるなど樹木の適正な管理をおこなうこと。

(6)おいしく、安全な給食のために

  • 学校給食センター再整備については学校給食公社の廃止・職員リストラ、麻生グループ等大企業の儲けづくりを一体として進めるPFI手法により強行される中、異物混入も後を絶たないなど、質においても問題が浮上している。また小学校給食においても嘱託調理員のリストラと一体に民間委託が拡大されている。給食センター再整備についてはPFI手法を中止し、公社方式を存続するとともに小学校給食の民間委託は中止し現行の非常勤職員制度を改め、文部科学省基準以上の人員を市の正規職員で配置し、責任を持った調理を直営で行うこと。また、狭隘化や老朽化をはじめ労働環境が劣悪となっている給食室・控室については大規模改造を待たず直ちに改善すること。
  • 那の津給食センター跡地を日清製粉・大陽製粉に随意契約で譲ることは理由もなく許されず、公共用地として活用すること。また、第三給食センター用地の取得の経緯は、特定業者に多額の利益をもたらすための出来レースだった疑惑があり、徹底調査をおこなうとともに選考をやり直すこと。

(7)特別支援教育について

  • 通常学級で学ぶLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など発達障害児に対応する支援体制の遅れにより、困難が拡大している。通級指導教室を増設するとともに、「介助員」「支援員」を大幅に増員して必要な児童・生徒に行き届くようにすること。「支援員」については、2ヶ月という短期の臨時的任用という配置は問題であり、安定・継続できる雇用体系とすること。
  • 東福岡及び生の松原特別支援学校の2校についてやっと増築が実現し当面の教室不足は解消するものの、今後も特別支援学校の教室不足や狭隘化が想定される。今後の生徒数を見据え、学校増設、教室増設に先手を打って取り組むこと。
  • 博多高等学園については入学希望者が増え選抜により入学できない生徒が生み出されている。希望する全員が入学できるように増築や増設、定員増をはかること。また、特別支援学校を卒業した生徒の希望する進路保障に向けた対策を抜本的に強化すること。
(8)高校・大学等の教育について

  • 実質教育委員会からの押し付けとなっている「市立高等学校活性化に向けた取組方針」は撤回し、特色ある教育の推進は現場での民主的な議論に基づく自主性に任せること。本市独自の私学助成は拡充を図ること。
  • 18歳選挙権の実施に伴い、高校における主権者教育が益々重要になっており、規制強化ではなく教材の援助を含め、現場での教育が自由闊達に行えるよう支援すること。
  • 重要な役割を果たしている市教育振興会高校奨学金は入学支度金の貸付時期の前倒しが図られたものの、所得要件や定員により希望しても借りられない事態を生み出している。希望者全員が借りられるよう改善するとともに、給付制の奨学金を創設すること。併せて国に対し、奨学金制度については給付制を一部にとどめるのではなく希望者全てにひろげるよう求めること。
  • 異常に高い大学学費を国公立、私立ともに10年間で半分に引き下げられるよう国立大学運営交付金、私大助成の金額を計画的に引き上げ公立大学への補助制度を創設するよう国に求めること。

(9)幼稚園教育について

  • 多くの保護者、地域住民が存続を願い議会請願も継続審議となったにもかかわらず市立幼稚園を強引に廃止することは許されず、廃止計画を撤回し存続させる手立てをとること。
  • 私立幼稚園の運営は幼児の減少や人件費の負担増などで極めて厳しい状況にある一方、障害児の受け入れ、預かり保育の実施による対応にも苦慮しており、教諭の待遇改善を図るためにも、運営費補助等を大幅に増額すること。

(10)図書館について

本市の住民100人あたりの図書館蔵書数は政令市最低レベルであり、予算を増やし総合図書館及び分館等の蔵書充実を図るとともに、地域による格差を是正するため、図書館増設を急ぎ、当面「移動図書館」(仮称)を実施すること。また、司書は正規職員として増員すること。図書館を営利追求の場に変質させる指定管理者制度はやめ直営に戻すとともに、運営への民間営利企業の参入を進めないこと。

(11)社会教育等施設について

  • 公民館に対し「自治協議会のセンター」などとして仕事が押し付けられており、社会教育施設としての責任を果たせない事態をも生み出している。本来の役割を果たすため必要な人員を確保できるよう予算を増額すること。公民館の利用については、社会教育法第23条に基づく禁止事項以外であれば、幅広く市民の使用ができるものであり、目的外利用も含め、市民の利用にあたっては、使用者の活動への行き過ぎた干渉や、誤った対応が行われているケースが散見されており、館長や主事に対し、適切な対応のあり方について徹底すること。
  • 公民館の目的外利用料が講堂で6倍に、その他の部屋で3.5倍に値上げされ、多くの市民から、悲鳴が上がっている。利用料金を元に戻すこと。
  • 早良区に建設予定の地域交流センターの整備にあたっては、ホールをはじめ諸室の設計に利用者の声を取り入れるとともに、早良区北部南部双方向から乗り換えなしで行けるバス路線の充実を図ること。南区における整備計画を急ぐこと。

(12)文化行政について

  • 市内における演劇等の専門性に対応できる中規模ホールが不足している。拠点文化施設整備だけに終わらせずに800席の劇場型ホールを建設すること。また800席の子どものための劇場型ホールを小学校、中学校跡地などに建設すること。
  • 2016年3月から4月に行われた「福岡市拠点文化施設基本計画(案)」に対するパブリックコメントには647件もの意見が寄せられた。しかしながら8月に策定された「福岡市拠点文化施設基本計画」には、「文化を創造し発信する施設にしてほしい」「練習室の増設」などの市民意見が反映されておらず、文化団体、利用者団体や幅広い市民の参画のもと、基本計画を見直すこと。また拠点文化施設の活動については、洗練された舞台芸術を「観る」ことだけではなく、北九州芸術劇場のように、舞台作品の創造、舞台芸術をささえる人材育成など、福岡市における文化の拠点にすること。
  • 音楽・演劇練習場についてなみきスクエア、千代、大橋、祇園の4施設について8割から9割の高い稼動率となっており、利用しづらい状況が続いている。音楽・演劇練習場がない西部地域に早急に施設を設置すること。また、ぽんプラザホールも稼働率が高く、利用しづらい状況にあり、同様の小劇場を増設すること。
  • 東区の「なみきスクエア」の「なみきホール」について、後方・バルコニー席では前列からも後列からも舞台面が見えづらく、席によっては全く見えないところもあり、早急に改善すること。
  • 九州交響楽団の補助金については継続するとともに、各種文化団体への補助金の充実を図ること。

(13)文化財について

埋蔵文化財行政の拡充を図るためにも関連予算の増額と専門職員の増員を含め体制強化を図ること。埋蔵文化財センターの収蔵物の活用にあたっては、市民への展示・公開を積極的に行う展示スペースを確保すること。また文化財を調査・研究、保存・管理していく体制を充実させること。

(14)スポーツ行政の推進について

スポーツ基本法は、「スポーツは国民の権利」という基本理念を明確に位置づけ、地方自治体のスポーツ振興の責務を明記している。福岡市におけるスポーツ行政は、福岡の都市を売り込むことなどを目当てに、思いつき的なスポーツイベントの誘致や派手な事業に予算をつぎ込むなど、後退とゆがみが生じている。

  • 各区体育館、市民プールなど老朽化しているスポーツ施設は増築・改善・充実をすること。また身近なところで気軽に使える運動場や各種スポーツ施設、運動公園を新・増設すること。そのためにも国に対して、公共スポーツ施設整備費の復活・増額を図るよう求めること。
  • 障がいのある人もない人も、スポーツできる権利を保障するための身近な環境整備やバリアフリー化、運動広場の改良は、自治体の義務である。障がい者が、スポーツ・レクリエーション等の活動を通して、障がい者スポーツの振興と障がい者の心身の健康増進、社会参加推進を図り、障がいの有無にかかわらずスポーツを行うことができる本市のスポーツ環境を作ること。
  • 住民のスポーツ参加を増進するための施策をすすめる専門職員の確保、指導者の配置を行うこと。担い手としての活動を支えるために、身近で自主的なスポーツクラブの支援や奨励を実施すること。
  • 千代町の市民体育館については、人工島の拠点体育館建設後も、当面は耐震改修等をおこなって使用をすること。九電記念体育館と弓道場は存続させること。
  • 本市の体育館やプールなどのスポーツ施設の管理については、指定管理者制度の導入により民間管理会社などがおこなっているところがあるが、利用者から「照明が暗い」など、機械的対応に不満の声があがっている。利用者の立場にたった運営のために、指定管理者制度をやめ、直営にもどすこと。

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7、一人ひとりの子どもが大切にされ、安心して子育てできる市政に

(1)「中学生までの医療費無料化」を求める市民の声に押され、入院は中学3年生まで無料化されたものの、通院については自己負担を導入した。これまで無料だった3歳以上から就学前までには4億4000万円、子ども1人あたり年間約1万円の負担増が押しつけられ、受診抑制の危惧が広がっており、ただちに無料に戻すこと。6万8千人分の請願署名で求められた声に応え、通院についても中学卒業まで、自己負担をやめ無料にすること。あわせて、子どものメガネ・コンタクトにかかる費用も助成対象とすること。

(2)保育行政について

  • 髙島市政発足前は1104人だった未入所児童は今や1608人と大幅に増加している(4月1日時点)。厚労省が「待機児童」定義の見直しをはじめ、未入所児童全体を視野に入れた対策に移行せざるをえなくなっているように、認可保育所の新設でなく詰め込みや認可以外の手法に頼る高島市政のやり方が破綻したことを証明するものとなった。適正規模の認可保育所を、新築中心に抜本的に増やし、保育所に入れない子どもをなくすこと。また、減らし続けてきた公立保育所を増やすこと。以前行っていた市有地の無償貸与を復活させるとともに、民有地の借り上げに対する市独自の補助制度をつくること。
  • 国家戦略特区の規制緩和を使って公園に保育所を作るやり方は、単なる公園潰しであり、やめること。
  • 認可保育所は現行基準でも狭いうえに、市が現場に詰め込みを押し付けている中で、現場からは「かみつきも多く、ゆったりした環境であればトラブルも減る」などと抜本的な改善を求める声があがっている。厚生労働省は「保育の実施は定員の範囲内で行うことが原則」としており、保育環境を悪化させ、現場の混乱を増大させる詰め込み強要をやめること。本市の面積基準はわずかな上積みをしているとはいえ諸外国と比較しても低い水準であり、保育所の面積基準を抜本的に引きあげるとともに、財政措置を拡充すること。
  • 全国の認可保育所の定員は平均106人であり、本市の現場からも90人を適正規模とするよう要望が出ている。本市では300人もの定員を擁する認可保育所も存在しており、「マンモス園」を適正な規模へ解消する手だてをとること。
  • 保育施設の職員配置基準については、保育士対子どもの人数を0歳児は1対2、1歳児は1対4、2歳児は1対5、3歳児は1対10、4・5歳児は1対15へと改善をすること。また、障害児を受け入れる保育所全てに正規の保育士を配置できるよう助成を拡大すること。さらに、病気の発症しやすい幼児のために看護師等を配置するなど財政的補助をおこなうこと。
  • 「子ども・子育て支援新制度」において、保育標準時間認定対応の常勤保育士等の人件費の追加や加算の新設など、市町村からの委託料は増額されたものの、早朝や延長の保育で交代の保育士を実際に増やして対応することができておらず、実態に見合うよう運営費すなわち公定価格の引き上げを国に求めること。
  • すべての子どもの最善の利益と発達の権利を保障するため、小規模保育事業をはじめ、児童福祉法24条2項に定められた、保育所以外の施設・事業においても、福岡市の責任で認可保育所と同等に保育基準を引き上げること。
  • 本市において、営利企業が保育にもうけ本位で参入することを許さない手立てをとること。 
  • 豊かな「食育」としてしての給食を目指すために、3歳以上児の主食を含めた完全給食を実施すること。あわせて、給食は「自園方式」を原則とし、外部委託を規制すること。
  • 市費繰り入れを増やし、保育料を引き下げること。併せて認可外保育所を利用する保護者への補助限度額をさらに引き上げて負担軽減を図ること。生活保護世帯に支給されている実費徴収補足給付は基準額上限が月2500円しかなく、文房具・制服・遠足・行事参加をまかなうことは到底できず、国に引き上げを求めるとともに、市独自に上乗せをすること。
  • 市は保育士の給料が「新制度」で上がったかのように言うが、専門職である保育士の給料は、本市においても全職種平均よりも依然として年間80万円も低く、保育士不足を深刻化させる要因となっている。少なくとも「福祉職俸給表」のもとで働く公務労働者と同水準の賃金、諸手当、一時金を実現するよう予算措置をすること。長時間保育手当、研修費、被服費など保育協会への補助金を復活させること。また、非正規職員の賃金を時間額1500円以上にし、フルタイムで働く非正規職員を正規職員にするために、財政措置をおこなうこと。年休の消化や休憩の代替のための人員を確保できるように本市独自の手だてを講じること。民間の保育職場の調理員の格付けを保育士並みにするよう、本市独自の手だてをとること。
  • 認可外保育所は、24時間保育や、一時・休日・延長保育、障害児保育など、市民の多様な保育要求に応え、地域の子育て支援、家族支援に大きく貢献し、保育行政の補完的役割を果たしている。認可外保育所の職員給与・修繕費・管理費への補助を創設すること。併せて、認可化をめざしているところには、財政支援をさらに増やすこと。
  • 政令市のほとんどが実施している産休明け保育を、本市においても市の責任で早急に実施すること。また、保育ニーズを踏まえて、休日保育、病児・病後児デイケア事業など特別保育事業を拡充させること
  • 子どものアレルギー疾患について、除去食の給食を行っている保育所に補助を行うこと。

(3)留守家庭子ども会について

  • 留守家庭子ども会の支援単位を必ず40人以下とするとともに、各単位に主任支援員を複数配置すること。支援単位ごとに専用の設備と専用室を備えること。
  • 施設の面積基準である子ども1人あたり1.65㎡を確実に保障し、年度の変動で狭隘施設が生じないよう、十分な余裕をもって改善すること。条例に定める「静養するための機能を備えた区画」を、8㎡以上を確保した専用室とすること。保育室以外に職員室、調理室、ホール(集会室)を備えるようにすること。
  • 子どもの成長・発達のためにも経験豊かな主任支援員・支援員こそ必要である。主任支援員については長く見通しをもって続けられるよう定年までの継続雇用をするとともに、年功給・一時金・退職金制度を導入すること。支援員については任期付き雇用を撤廃し、希望する職員については、そのまま採用すること。
  • 専門職にふさわしく、主任支援員・支援員・補助支援員の賃金を大幅に引き上げること。また、超過勤務分や勤務日以外の行事参加の手当については賃金保障をすること。
  • 現在の勤務時間体系では子どもがいる保育時間中から事務作業などを始めねばならず、引き継ぎ時間も確保されていない。主任支援員については1日5時間45分以上の勤務時間を確保できるようにすること。
  • 利用料と運営費の負担をさらに軽減すること。
  • 障害児など特別な配慮を必要とする子ども1〜2人につき1人の支援員を配置すること。

(4)社会福祉法人が学童保育所を運営し、独自の努力によって「発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう…児童の健全な育成」(本市条例)を図っている。しかし、予算不足など運営は困難を極めており、利用者の負担も重い。社会福祉法人が行っている学童保育所への実態調査を行い、役割を明確にし、支援をすること。

(5)放課後等デイサービスの指導員は資格が必要なく、障害や子どもの発達をふまえた専門的視点がない人もおり、「事実上テレビを見せているだけ」のような事業者もいる。こうした中で、同サービスにあずけた子どもの障害の状況が悪化するケースさえ生まれている。放課後等デイサービスの指導員に、保育士・介護福祉士・社会福祉士などの専門的な資格を求めるとともに、そのために、事業を行っているNPOや社会福祉法人などに対して必要な支援を行うこと。

(6)児童館は子どもたちが放課後や休日に安心してすごすことができる重要な施設であるが、本市には中央児童会館一つしかなく、同館は建て替えられた際に民間ビルの一角に押し込められ、低層階を商業施設としたために子ども・若者のための十分なスペースが確保されない状況となってしまった。子どもたちが児童館を身近に利用できるよう、公有地を活用して小学校区ごとに専門職員のいる児童館の建設をめざし、まずは各区に早急に設置すること。早良区の地域交流センターは、中高生の居場所を求める住民要望を無視することは許されず、そのためのスペースを設置し、専門職員を配置すること。

(7)児童虐待防止について

  • 本市の児童虐待の相談は過去最多となり、深刻な状況である。親身な相談活動ができるように専門職である児童福祉司、児童心理司、弁護士資格をもつ職員を大幅に増員すること。児童家庭支援センターは設置されたものの、児童相談所自体は不足しており、一時保護所の不足解消をふくめ児童相談所を増設すること。経験年数が2〜3年の職員が多数という状況を改め、職員の継続性と専門性を高めること
  • 児童養護施設の職員配置基準について条例を改善し、人員増をはかること。

(8)現在、養育・専門里親には里親手当や生活費等が支給されているが、進学の経済負担は大きく、十分ではない。里親支援として福岡市独自に養育費についての加算を行うこと。

(9)ひとり親家庭への支援について

福岡市のひとり親家庭は2万2747世帯にのぼり、20年前の1.3倍にもなっている。特に母子家庭の状況は深刻で、8割の世帯が働いているが、その55%が非正規労働者であり、平均手取り収入は月14万6414円、過半数が年収200万円未満となっている(2011年度「福岡市ひとり親家庭実態調査結果」)。経済的支援の拡充は喫緊の課題である。

  • ひとり親家庭の入院・通院にかかる医療費について所得制限を外し、18歳まで完全に無料にすること。
  • 福岡市の母子家庭の44.5%が民間アパート・借家に住んでおり、ひとり親家庭に対して家賃補助を行うこと。
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金は依然制限が多く必要なときに借りにくくなっており、借りやすいよう制限を緩和するとともに、貸付額を増額するよう国に求めること。また、各種貸付制度は申し込みから貸与まで1か月かかっており、半月(2週間)以内に短縮するよう借入れ手続きを簡素化すること。
  • ひとり親家庭の命綱である児童扶養手当の支給額を第一子から抜本的に拡充し、所得制限を見直すとともに、支給開始5年後に半減する措置をやめるよう国に求めること。あわせて、結婚歴のないシングルマザーにも、死別・離婚の場合と同じように寡婦控除が適用されるよう、所得税法改正を求めること。

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8、女性の声を市政に生かし、真の男女平等社会実現へ

日本の女性のおかれている地位には、男性と比較して大きな格差と差別があり、日本の女性にとって、解決すべき要になる問題は、こうした格差と差別の是正にある。日本の男女平等の到達は、発達した資本主義国のなかでもっとも遅れており、国連・女性差別撤廃委員会や人権規約委員会などの国際機関から繰り返し改善が指摘されている。顕著なのは、女性労働者の賃金が非正規も含むと男性の半分にすぎず、欧米諸国では、女性の賃金は男性の賃金の8~9割に差が縮小している一方、日本では正規と非正規の均等待遇が義務づけられていないため、パートや非正規の女性たちは、不安定な雇用で低賃金におかれている。また、ヨーロッパでは出産・子育て期の女性の8割が働いているが、保育や雇用の条件や環境が遅れている日本では、妊娠・出産を機に6割の女性が仕事を辞めており、「保育園落ちた日本死ね」と当事者も声を上げる状況となっている。安倍政権がいう「女性の活躍推進」には、男女の格差の是正や女性に対する差別の撤廃の言葉も政策もなく、「成長戦略」のために女性を活用するということしかない。そのような中において、真の男女平等社会実現のためには、市独自ですすめる取り組みや予算の充実が求められている。

(1) 労働における男女差別撤廃について

  • 福岡市男女共同参画基本計画第3次において、2020年までに福岡市役所における女性管理職比率を15%程度とすることを目指すとあるが、現状では11%にとどまっている。女性の採用、管理職への登用を積極的に進め、昇任などの差別を一掃する手立てをとること。仕事と家庭の両立支援に加え、ロールモデルの確立や、能力に応じた登用の機会の拡大等、実効性ある取り組みを進めること。また、政策方針決定への女性の参画を促進するために審議会等委員の改選時において各種審議会の女性参画率40%の目標を達成すること。
  • 自営業・農業において、妻など家族従業者への給与を必要経費として認めない所得税法56条は、人権侵害であり後継者づくりも阻害しているものである。また、国連女性差別撤廃委員会の「最終見解」や「第4次男女共同参画基本計画」でも女性の家族従事者としての役割が適切に評価されるよう見直しを求めている。青色申告にすれば給料を経費にできるという同法57条は、申告の仕方で納税者を差別するもので、人の給与など税法上の人格にかかわることで差をつけるべきでなく、直ちに廃止するよう国に求めるとともに、病気や出産のときも安心して休めるような支援制度をつくるよう要求すること。

(2)本市の女性労働実態調査では、依然として「再就職を希望する女性と企業のマッチング」や「リーダーや管理職を目指す女性の能力開発や意識向上のための研修の実施」などが行政への要望としてあげられているが、いまだ対策は不十分であり、関連事業の充実と予算増をはかること。

(3)憲法24条は「個人の尊厳と両性の本質的平等」をうたっているが、いまだ民法に差別的規定が残されている。選択的夫婦別姓の導入、男女で異なる結婚最低年齢を18歳に統一する、再婚禁止期間を廃止する、戸籍法に残る婚外子差別規定を撤廃するなど、家族に関する法律上の差別を全面的になくすため、民法の改正をおこなうことを国に求めること。

(4)性的マイノリティの人たちの人権と生活向上のために

ひとりひとりの人間の性的指向や性自認は実に多種多様であり、社会の中には「異性愛者」のほかにLGBT(性的マイノリティ)・SOGI(性的指向と性自認)の人たちがいるが、いまだに誤解や偏見が根強く存在している。憲法14条の「法の下の平等」にたって、性的マイノリティ等にたいする差別と偏見をなくし、権利をまもる立場から、本市として性の多様性を尊重する社会の実現を推進すべきである。「パートナーシップ条例」を制定すること。LGBTの専門部署をつくり、相談窓口の設置、職員研修の充実、啓発活動の拡充等をおこなうこと。同性カップルが市営住宅に入居応募できるようにするとともに、公的書類における不必要な性別欄を撤廃すること。学校現場でLGBTへの理解を深め、性の多様性を尊重する教育をおこなうこと。性別の区分けの無い「みんなのトイレ」(多目的トイレ)をすべての公共機関に設置をすること。国に対し、保険適用に性同一性障害を加えるよう求めること。

(5)セクハラやパワハラ、マタハラなどは女性労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為であり、罰則などの強制力をもった「セクシャル・ハラスメント防止条例」をつくること。当面セクハラや女性労働者の様々な訴えに対し、民民の関係とするのでなく、被害者の保護、助言・指導・勧告が効果的に行えるよう、市としても相談・苦情処理・紛争解決のできる専門の窓口を各区に設置すること。

(6)DV被害の防止、被害者の保護と自立支援について

  • 本市への2015年度のDV相談は5155件と増えており、早急な対策が必要である。各区の子育て支援課に臨床心理士を配置するとともに、アミカスを含めて子連れの相談者のために保育士や学習援助者の体制をつくること。また相談支援体制の充実及び関係機関の連携強化を図り休日・夜間の相談体制を整え、切れ目のない支援に取り組むこと。
  • 自立に要する費用の補助、2施設しかない母子寮の増設、2つの民間シェルターへの補助金など支援の拡充、一時保護から自立に向う中間的施設(ステップハウス)の開設・運営への助成を図ること。
  • デートDV防止教育等若年層への教育啓発の実施対象校を拡大し、充実させること。
  • 警視庁の調査によると、近年女性から男性へのDV被害が増加している。男女ともに加害者更生をはかるために調査研究をおこない、加害者へのカウンセリングや教育など対策強化をはかり、時間をかけて更生できるプログラムが行える相談機関を設置すること。

(7)男女共同参画推進センターは南区のアミカス一か所しかなく、各室の利用率も高い状況である。低料金で気軽に利用できる便利なセンターを各区1か所建設すること。

(8)日本軍「慰安婦」問題は、日本が起こした侵略戦争のさなか植民地にしていた台湾、朝鮮などの女性たちを強制的に集め、性行為を強要した非人道的行為である。昨年12月の日韓外相会議では、日本政府は「軍の関与」を認め、「責任を痛感している」とし、韓国政府と協力して、慰安婦の名誉と尊厳の回復をおこなう事業を行うとした。しかしその後、安倍首相は「官憲による強制連行を示す記述はなかった」と言い、また岸田外相は「性奴隷というのは適切ではない」などとして、軍の作った慰安所に入れ、性奴隷状態にしたことを否定する態度をとっていることは極めて問題である。また2016年2月に行われた「国連女性差別撤廃委員会の日本報告審査」でも、日本政府代表は同様の主張をおこなっている。日本政府が歴史の真実に対して「性奴隷制」の加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任を果たすよう強く要求すること。

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9、癒着のない清潔、公正、市民参加、平和の市政 を

(1)高島市長の政治資金管理団体「アジアリーダー都市研究会」の2015年報告内容によれば、政治資金パーティで約3300万円余の収益を上げている。市長就任後の5年間で大規模な政治資金パーティを5回開き、小規模の12回とあわせて得た利益は合計で約1億4000万円に達する。財界関係者などから巨額の政治資金を受け取ること自体、市政を歪めるものであり、さらに参加者に市の受注業者が含まれていることは税金の還流に他ならない。財界との癒着を生み出す政治献金である政治資金パーティはやめること。また、高島市長が財界人や芸能人、スポーツ関係者とは会っても、市民運動団体とは会わない、市民の声をまともに聴かないなど批判の声が上がっており、市民無視の姿勢を改めること。

(2)市は、市民団体が夏に開いた「平和のための戦争展福岡2016」について、名義後援を承諾したものの、終了後に「虚偽の申請をした」という理由で取り消しをおこなった。市職員が身分も名乗らず来場し、他の名義後援行事では行っていない異常な監視をおこない、直前に作成した「名義後援の承諾に関する取扱い要領」に違反するとしたものであり問題である。本来名義後援制度は、市民の自主的な活動を後援することを通じて市の事業目的を実現させるものであるが、今回の市のやり方は、市民の自由な表現・言論活動が委縮させられ、名義後援制度の意義は失われることになる。今回、主催団体に対して「虚偽の申請をした」と一方的に決めつけ、取り消した上に今後3年間後援しないと通告したやり方は異常であり許されず、撤回、謝罪して名誉回復を図ること。あわせて「名義後援の承諾に関する取扱い要領」を抜本的に改善すること。

(3)市民意見募集やパブリックコメントについては、形だけはあたかも市民の意見を聞くかのようにしながら、市の方針に反対する意見は取り入れず、都合のいい意見だけを取り入れるやり方は改め、要望を政策決定に取り入れること。あわせて各種審議会など委員の市民公募枠を新設・拡大すること。

(4)現在本市の総合評価方式入札は、技術提案能力や施工能力などで対応できない地場中小企業者の受注機会が少なく、結果的に大手ゼネコンに有利な方式であり、地場中小企業の受注機会を確保する方式にするなど抜本的な見直しをおこなうこと。また評価内容について「知的財産権保護の立場から公表できない」などとして議会にも明らかにせず、談合の有無も含めてチェックできない状態であり、評価内容の公開を行うこと。また特命随意契約やプロポーザル方式の在り方については、特定業者との癒着構造によって入札の公正・公平さが失われかねず、制度の総点検を行い抜本的な見直しをおこなうこと。現在この方式による受注工事は財政局で一本化されており、所管の委員会での説明が不十分であるためチェックできない状態である。従ってしかるべき報告を各委員会でおこなうこと。

(5)今日市民の消費生活相談は複雑・多様化しているが、その相談事業は公平性・中立性が保たれなければならない。しかし、本市の相談業務は営利団体である株式会社に委託されており、県弁護士会は「営利団体への業務委託は不適切である」との意見書を提出している。また消費生活相談業務への県弁護士会からの派遣は「非弁活動に該当する可能性がある」として、これまで行っていた相談者・消費生活相談員と弁護士の3者を交えた法律相談業務ができない事態となっており、現場から「サービスの低下が懸念される」という意見が出ていることは問題である。相談活動は委託業務ではなく市直営でおこなうこと。また相談員全員を研修に参加させ消費相談体制を強化すること。

(6)特定非営利活動(NPO)法人は、福祉や社会教育、文化、芸術、環境保全などの分野で社会貢献の重要な役割を果たしているものの、人材や資金の確保に苦労している。空き店舗の借り上げや空き教室の活用など活動場所の提供を進めるとともに、NPO法を整備して法人格がとりやすい制度にすること、また認定NPO法人の優遇税制の維持発展をおこなうよう国に求めること。

(7)法務省の「犯罪白書」によれば、一般刑法犯の検挙人数に占める65歳以上の高齢者の割合は高止まりしており、市として高齢者の孤立をなくす居場所づくりや貧困をなくす取組みをおこなうこと。また、30歳以上の男女を対象とする内閣府の「男女間における暴力に関する調査2014」によると「男性から無理やりに性交させられた」という女性は350万人も上る深刻な事態である。加害者を訴追するための証拠保全、警察への被害者届けが早期に行われるようワンストップ支援センターを強化すること、強姦罪の要件を見直すことなど国に要望すること。さらに、町交番を増やし、夜間は不在になる「空き交番」をなくすよう県警に申し入れること。あわせて防犯パトロールについては、強制的なものではなく、住民が自主的に参加できるようなものになるよう支援すること。

(8)同和事業が集結し一般事業へと移行したにもかかわらず、本市がいまだに続けている部落解放同盟福岡市協議会への2400万円もの補助金の支出と特別扱いをやめること。本市の「人権教育・啓発基本計画」は、「同和問題の解決に向けた取り組みの手法・成果を生かす」などとして、実質同和問題や差別の問題のみに矮小化しており、このように人権を侵し、差別を温存する同和行政・同和教育の延長となるニセ「人権教育」の押し付けはやめ、憲法で保障された幅広い人権を取り扱うものに改善すること。市職員の研修、校区の人権尊重推進協議会などの学習会での同和・部落差別問題の押しつけはやめること。学校研修、連絡会等を通じての解放同盟の教育介入を排除し、「全市一斉人権教育研修会」については、廃止するとともに、学校やPTAへの「同和研修」の強要、解放同盟の運動や主張に加担する「研修」名目での職員の出張及び加配教員の偏重配置をやめること。国会に提出された「部落差別解消法案」については、国に廃案を求めること。

(9)在日韓国・朝鮮人や中国人を罵倒するヘイトスピーチとデモは本市においても観光客や外国人が多い天神などの街頭で行われている。民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶するために、条例制定も含め、断固たる立場にたつこと。ヘイトスピーチを繰り返す団体に対して、公園や公共施設の使用を認めないなど適切な対応をとること。

(10)地域コミュニティ活動について

  • 本市のまちづくりの基本点として、「公助」を明確に打ち出すこと。市が自治会・町内会にさせている業務を抜本的に見直すこと。福岡市活力あるまちづくり支援事業補助金交付要綱で、補助対象事業の「その全てを実施しなければならない」という箇所を削除すること。
  • 自治会が行っている防犯灯の維持管理については、もともと行政が行うべき社会インフラである。自治会の意見を聞きながら、LED化にともなって、徐々に市に移管すること。

(11)投票率向上の取り組みについて

  • 投票所を抜本的に増やすとともに、バリアフリーにすること。また、在宅投票制度、郵便投票の制度を周知徹底すること。投票所への送迎のための巡回バスを運行すること。
  • 市内の大学内や来客の多い博多駅などの商業施設内、地下鉄構内などに期日前投票所を設置すること。病院や高齢者福祉施設への入院患者、入所者が施設内において不在者投票ができるように改善すること。
  • これまでの選挙において、選挙公報が投票日前日にしか届かなかったという苦情が市民からたびたび寄せられている。印刷、配布が迅速にできるよう手立てをとること。

(12)平和行政と基地問題について

  • 2016年10月27日、国連総会の第1委員会は、核兵器禁止条約の締結交渉を来年開始する決議案を、賛成123カ国という圧倒的多数で採択した。2017年3月と夏に、核兵器禁止条約の交渉が、国連で開催される。これは、核兵器が人類史上初めて「違法化」されることになり、「核兵器のない世界」への扉を開く画期的なことである。「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(「ヒバクシャ国際署名」)が、世界で数億を目標に開始されている。平和首長会議に参加する本市においても、署名用紙を市役所や区役所、市民センターなどの玄関に置き、市民に署名を呼びかけること。
  • 2003年のイラク戦争の時に、福岡空港と博多港が、自衛隊の出発地・到着地として使われた。米軍板付基地は、米軍機が毎週、飛来しており、市民にとっても危険な事態である。市長は、米軍板付基地の即時全面返還を国と米軍に対して強く要求するとともに福岡空港の軍事利用に反対すること。博多港への米軍艦及び自衛隊艦船の入港を拒否するとともに、「非核神戸方式」を導入すること。
  • 市長は、議会が議決した「平和都市宣言に関する決議」だけでよしとせず、被爆者が多く居住する本市として非核自治体宣言を行うこと。
  • 広島、長崎の被爆から71年を経て、核兵器の禁止・廃絶へ、世界が大きく動こうとしている。若い世代に戦争の悲惨さ・被爆の実相を伝えていくためにも、国運の軍縮大使や各国政府代表などが参加している原水爆禁止世界大会や、広島市や長崎市の原爆資料館などに、高校生をはじめ、若者の派遣をおこなうとともに、原爆資料展をおこなうこと。また、博多港引揚げに関する資料収集を再開し、保管場所の設置や大々的な展示会を実施すること。博多港引揚げの史実を学校教育の課題に位置付け、子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを教える教材として使うこと。引揚げ記念碑「那の津往還」と記念樹は、移転することなく、維持すること。福岡大空襲や原爆、引き揚げなどに関する常設の平和資料館を設置すること。こうした総合的な平和事業や平和啓発活動をおこなうための予算を大幅に増やすこと。
  • 自衛隊が導入する新型輸送機MV22オスプレイを佐賀空港に配備する計画をめぐり、周辺住民から騒音や米海兵隊による同機の使用には不安や怒りの声が上がっている。佐賀空港へ配備されれば、自衛隊春日基地や福岡空港へ飛来することが想定され、市民への危険性が危惧される。オスプレイの県内上空での訓練など一切拒否するよう国に要求すること。

以上

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