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九大箱崎跡地における優先交渉権者決定について

2024年4月25日 日本共産党福岡市議団

一、九州大学箱崎キャンパス跡地(東区)のうちの南側部分について、住友商事・JR九州・西鉄・西部ガスなどで構成するグループが4月18日、土地利用事業者募集の優先交渉権者に決定されました。今回対象とされた開発区画の面積は約28.5haにおよび、跡地(再開発対象区域)全体約50haの大半を占めるもので、跡地利用を方向づける決定的な影響を与えます。

一、同グループの事業提案はスマートシティです。NTTが社運をかけて開発している次世代の光通信技術(アイオン)を使い、「エリア全体を見守るスマートマネジメントセンター」「AI見守りカメラ」「健康情報を一元化するPHR(個人的な健康情報の記録)基盤」「顔認証決済」「GPSアプリ」などを街中で個人情報を収集する提案がされています。企業が各種サービスを提供するかわりに、住民の個人情報は一元的に管理される危険があります。そうなれば住民の個人のプライバシーと権利は侵害され、中国のような「監視社会」に導く恐れがあります。また、新技術はうまく機能しなかったり、他の技術思想に取って代わられ、短期間で陳腐化したりする心配も拭えず、「九州大学箱崎キャンパス跡地グランドデザイン」(2018年)の「持続的に発展し、100年後の未来に誇れるまちをつくる」というコンセプトにそぐわないものです。刻々変わるIT技術と、本来数十年を想定すべき都市インフラとの間には大きな矛盾があり、これから箱崎に住み続けることになる住民を、「大企業の先端技術の実験モルモット」として扱うことは許されません。

一、地元住民の一番の願いは、校区の提案においても、メディアや地元団体のアンケートでも、いずれも「大きな防災公園」でしたが、その願いは無視され、小さな分割された公園として申し訳程度に盛り込まれているに過ぎません。「良好な都市環境や憩い・市民活動の場の提供、防災性・安全性向上のため、十分な空地を有する公園を確保する」といった「グランドデザイン」の「基本的事項」にすら反するものであり、跡地利用全体が住民の願いに背く方向へと大きく傾いたと言わなければなりません。

一、今回の決定は密室・非公開で進められました。公募での開発提案の概要を市議会でただしても、市側は「知らない」の一点張りでした。しかも、優先交渉権者を決定する審査会に副市長が出席したにもかかわらず、副市長が何を発言し、その発言がどのような市の意思決定過程を経て決まったのか、現在に至るまで完全に秘密にされています。跡地の大半を占める区画の開発について、事業者の決定前に関与はおろか、事業の概要すら市民が一切知ることができないなど、異常というほかありません。

一、反対が強かった巨大アリーナ案が退けられたのは、住民の運動・世論の大きな成果です。しかし、地元住民の中では「まともな説明を受けていない」という声が引き続き広がっており、メディアでも紹介されています。「福岡ペイペイドーム」7個分にもあたる都心部での巨大開発にかかわるものであり、市民に対する十分な情報開示と説明を行った上で、住民投票によってこの事業提案の賛否を問うことをわが党は提案します。

一、自民・公明政権は「スーパシティ」法をつくって大企業のもうけづくりに奉仕する「スマートシティ構想」を全国で推進してきましたが、福岡市の髙島市政が地元財界と一体となって進めている今回の動きはまさにその一環です。住民の願いを踏みにじって進められる「財界中心」の政治を今こそ転換させなければなりません。わが党はそのために奮闘し、「住民が主人公」の地方自治を取り戻すために全力をあげる決意です。


以上


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