政策と活動
市民無視、議会軽視で強引に進め、市の保健福祉行政を
大きく後退させる保健所統廃合に強く抗議する
2023年12月19日 日本共産党福岡市議団
福岡市議会は市が提案していた、現在7区全てにある保健所を廃止し中央区舞鶴の健康づくりセンター「あいれふ」に「一元化」、つまり保健所を統廃合するための関連議案を可決した。日本共産党市議団は髙島市長ならびに市長提案に賛同した政党・会派に強く抗議する。
市当局は保健所の統廃合を行う理由として「広域的機能と専門的機能が強化される」と説明している。しかし、広域的機能というなら、各区の保健所を残したうえで、感染症の拡大時などに連携してスピーディーに対応できるような組織強化こそ求められている。一か所に統合することで強化されるというのは机上の空論である。また、専門的機能というなら、医師や保健師などの専門家の配置や人員体制・組織体制の充実こそが求められている。
かつて、1990年代後半から進められた保健所再編と言う名の統廃合によって保健所の箇所数を減らした全国の自治体は、コロナ禍において大きな混乱が起き「救えるはずの命が救えなかった」という深刻な事態を多数生じさせた。本市においては市長が体制の強化をまともに行わなかったために各区の保健所業務がひっ迫したものの、各区の実情に応じた感染拡大防止や感染者のケアに尽力することができた。今回の保健所統廃合を強行することは、機能強化どころか逆に機能を維持することさえ難しくするものであり、コロナ禍の教訓を全く見ない愚策である。
また、市は「サービス低下にはならない」と賛意を求めたが、例えば精神保健福祉の業務について、区役所に窓口が残ったとしても措置入院が必要な場合の手続きは保健所でしか行うことはできないなど、以前よりサービスが低下することは明白である。機能強化と言いつつ、その真の狙いは、合理化と人員・経費削減を進めることに他ならず、現瞬間は各区に窓口を残すと言うが、福祉の切り捨てを断行してきた髙島市政のもと、いつまでも窓口が残る保証はない。
そもそも、統廃合の進め方も問題である。市民の命と健康を守る拠点といえる保健所のあり方については全市民的な問題であり、市長の判断だけで決められるものではない。それにもかかわらず、市民意見を聞くこともせず、保健所運営協議会や保健福祉審議会などの専門的機関にも一切諮らず、市民の代表たる議員にも議会開会1週間前の12月4日に知らせるという有様だった。わが党の追及に「市役所内部の組織改編であり、事前にはかる必要はない」と当局は苦し紛れのまったく理由ならない答弁に終始した。
今回のような重要案件を議会直前に知らされても、短期間で多様な市民意思を把握することは非常に困難であり、議員としての役割を果たすことができない。しかし、議会としてこのような進め方を認めることは、自らの存在意義を否定する行為であり、二元代表制を壊すことにつながりかねない。
関連議案は可決されたがたたかいはスタートラインに立ったばかりである。この問題を知った多くの市民が怒りの声をあげており、連日、議会傍聴に多くの方が駆けつけるなど方針撤回を求める動きが短期間で広がっている。
日本共産党市議団は市民無視、議会軽視で強引に進め、市の保健福祉行政を大きく後退させる保健所統廃合をストップさせるために市民と力を合わせて奮闘する。
以上