政策と活動
2023年10月10日
「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」にもとづく区域指定に関する要請
福岡市長 髙島宗一郎殿
日本共産党福岡市議団
団長 中山郁美
幹事長 倉元達朗
市議 堀内徹夫
市議 綿貫康代
政府は9月11日、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「土地利用規制法」)にもとづく第3回の指定候補として、全国25都道府県の180カ所を提示しました。本市も福岡空港・米軍板付基地から1キロ以内の地域など数か所が区域指定候補とされており、現在、それに伴って政府から福岡市への「意見聴取」が行われています。
土地利用規制法上の「注視区域」および「特別注視区域」に指定されると、自治体は、国の求めに応じて区域内の土地・建物の所有者や賃借人などの情報および土地の利用状況に関する情報を国に提供する義務が生じます。また、司令部機能を有する「重要施設」などの「機能を阻害する行為」や「機能を阻害する明らかなおそれ」があると判断された場合、内閣総理大臣が区域内の土地・建物の利用中止の勧告・命令を行うことができるとし、命令に応じない場合、罰則を科すことができるとしています。
何が「機能を阻害する行為」であるのかは政府判断に委ねられており、住民の思想信条や所属団体、家族・友人関係などについて、広範な調査・監視がおこなわれる危険があります。また、それにともなって土地・建物の価格の低下などの損害が生まれる可能性もありえます。
そもそも土地利用規制法は、法律に定めるべき事項の多くを政令等に白紙委任するものであるという点で立法国会中心主義に違反するものであるとともに、市民のプライバシー権や財産権などの基本的人権を侵害・制約するおそれがあり、また、思想良心の自由、表現の自由を侵害する憲法違反の法律です。さらには、憲法が保障する地方自治の本旨を侵害する法律であり、各方面から廃止を求める声が上がっている問題だらけの法律です。
今回、「区域指定が見込まれる区域の実情を把握するため」として行われている、福岡市への「意見聴取」は、自治体に区域指定に関しての意見を求めるものではなく、区域指定候補となっている地域やその区域外縁近傍で過去に「機能を阻害する行為」がなかったかなどの情報を集めるものになっています。
このような「意見聴取」という名の国の情報収集に協力することは、市民の基本的人権を侵害するものであり、断じて認めるわけにはまいりません。
以上のことから、わが党としては以下の事項について、貴職に対して緊急に要請するものです。
- 土地利用規制法にもとづく区域指定に反対するとの意見表明を国に対しておこなうこと
- 今回の「意見聴取」にあたって、市が所有する住民基本台帳など保護すべき個人情報を国に提供しないこと
- 土地利用規制法に関する件について市が国から得ているすべての情報を市民に開示することとともに、市の対応と経過をすみやかに広く市民に知らせること
以上