政策と活動
2022年11月30日
急激な物価高騰から市民を守る緊急対策の要請
福岡市長 髙島宗一郎殿
日本共産党福岡市議団
団長 中山郁美
幹事長 倉元達朗
市議 綿貫英彦
市議 堀内徹夫
市議 松尾りつ子
市議 山口湧人
急激な物価高騰は、低所得世帯ほど生活に深刻な打撃を与えています。
総務省が発表した10月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は昨年同月と比較して3.6%の上昇率となり、第2次オイルショックの影響が続いていた1982年2月以来、40年8か月ぶりの水準となっています。主な要因は、原材料価格の上昇に加えて、急速な円安の影響が重なった食料品の値上げラッシュで、昨年同月比で5.9%上回りました。
国は「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金で手当てする」と言いますが、異常円安に歯止めがかからない現状では、給付金などの一時的な対策だけでは到底足りません。
そのためには、わが党が11月10日付で示した「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」で示している通り、国民生活への当面の影響を緩和しながら、同時に実体経済を立て直す、「やさしく強い経済」への改革が必要です。
特に、賃上げを軸にして内需を活発にすることが必要ですが、教育・福祉の負担軽減によって家計の可処分所得を増やすこともその一助となります。この点で、地方自治体である本市が取れる手立てとして社会保障・教育の公的負担の軽減や給付の増額などを実施することが緊急に求められています。
1. 生活保護世帯への緊急の支援策を
物価高騰の最も大きな打撃を受けているのは、生活保護世帯です。
それに加え、2013年から行われた生活保護基準の引下げは生活保護法に違反するとして、国を訴えた「新・生存権裁判」で、原告勝訴の判決が全国で相次いでいることは重大です。判決では、国の引下げが専門家の議論を経ておらず、改定の手続きについても客観的な統計との整合性を無視したものとして断罪されています。現行の基準が違法であるとすれば、国の一時的な給付金支給により現行の基準が確保されたと仮定しても、生活保護世帯は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障されない危険があります。
こうした中で、髙島宗一郎市長は「生活保護基準については、国において適切に定められたものと考えております」(3月3日本会議)と答弁しています。つまり、国の違法な基準を擁護するという、市としての判断を明確に行なっているものであり、「国の問題だから」と言って保護世帯に対して何も手を打たないことは重大な不作為になります。
よって本市の保護世帯に対して、下水道使用料の減免制度の復活、福祉手当の創設、国の給付金への大幅上乗せなど、緊急の支援策を行うよう要請します。
2. 国民健康保険料・介護保険料の負担軽減、学校給食の無償化を
物価高騰のなかで、医療・介護という命にもかかわるところでの負担増や重い負担は、非人道的であるとともに暮らしを破壊します。負担軽減こそ行うべきです。
本市の国民健康保険料の負担は年収300万円の3人世帯では所得の18%にも及びます。先の9月議会でも市は「所得に対する保険料負担が重くなる」と認めています。また、介護保険料は髙島市政になって年間の標準額で2万円以上引き上げられました。
そこへ物価高騰が襲っており、そうした中でのこれらの保険料の重さについて9月議会でわが党が問うた際に、市も「負担感にも一定の影響を及ぼしている」と答弁せざるを得ませんでした。「介護保険・国民(健康)保険も高く、家賃・光熱費他を支払い、手元に残るのはほんのわずか。どうにかしてください」などの訴えがわが党の市民アンケートにも多数書き込まれています。
また、学校給食の無償化は県内の他自治体でも物価対策として緊急に実施されています。本市でもわが党だけでなく他の野党会派からも要望が出され、さらに複数の与党会派からも議会で「他市で無償化なのに福岡市では有償ということを子どもたちにどう説明すべきか」「すぐ取り組むべき」とする意見が出されています。
これらの点を踏まえ、緊急に、高すぎる国民健康保険料・介護保険料の負担軽減、学校給食費の無償化を要請します。
3. 高齢者乗車券の拡充を
「福岡市高齢者居住安定確保計画」によれば、「低所得世帯」とされる年収300万円未満の本市世帯は、全世代では4割台ですが、世帯主が65歳以上の高齢世帯では63%、うち借家の場合には85%にも及んでいます。本市の高齢単身者の半数以上が借家であることからすれば、この物価高騰の中で、多くの方が著しい貧困・困窮の状況に喘いでいることは疑いありません。
実際、わが党の市民アンケートには「満額でない年金を少額ながらいただいておりますが、コロナで仕事もなくなり、毎日の生活が苦しくて苦しくて……私どもの力ではどうにもなりません」「年金生活をしていますが、年金だけでは生活が困難なので、生活をしていくことができるような仕事がほしいです。まわりに迷惑をかけずに生きていけるような改革を」などの悲痛な訴えが寄せられており、心が痛まずにはいられません。
こうした中で、ガソリン代は2年前に比べると1.4倍に高止まりしています。ドイツでは今夏、燃料費・生活費の高騰や気候変動政策の一環として、月9ユーロ(約1300円)で「乗り放題」となったチケットが発行されました。その後継政策として、同国のベルリン市では10〜12月までの3か月間、市内の一部区間で「乗り放題」となる交通チケットが販売されています。
本市でもこの立場から、高齢者乗車券の最大補助額を2万円程度に引き上げ、所得制限を緩和するなどの拡充を緊急に要請します。
以上