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日本共産党福岡市議団の政策と活動

こども病院裁判の地裁判決について

2015年3月 日本共産党福岡市議団

こども病院の人工島移転をめぐる住民訴訟で、福岡地裁は3月9日、用地購入代金の返還の請求を棄却する判決を出しました。

判決は、吉田元市長が「総合考慮」した判断に「裁量権の範囲の著しい逸脱又はその濫用があるとはいえない」としました。

こども病院の人工島移転問題は、当初から患者家族や医療関係者から強い反対の声があがり、署名が総計で36万筆超も集められるなど、「移転反対」の運動が大きく広がりました。人工島に移転すれば、救急搬送に時間がかかり危険性が増すことや、西部地域の小児二次医療体制が壊されることなどが危惧され、「人工島の破たん救済のために子どもの命を犠牲にするな」の世論が高まりました。言うまでもなく、市政の主人公は市民であり、市民の圧倒的多数が反対していることを問答無用で決定・推進してよいなどという「裁量権」は市長にも誰にも与えられていません。吉田元市長が住民投票条例の直接請求を拒否したことを見ても、とても市民世論を考慮したとは言えないのは明らかです。市議会でも、わが党市議団が繰り返し問題点を指摘したにもかかわらず、市当局は一顧だにしませんでした。今回判決はこうした点を踏まえておらず、「不当判決」と言わざるを得ません。

裁判の最大の争点は、吉田元市長が移転決定の根拠とした、現地建て替えの費用試算の正当性でした。市当局は「ゼネコン3社からヒアリングした」として現地建て替え費用の試算を1.5倍の128億円に水増しし、人工島移転のほうが費用が少ないと説明していました。ところが、裁判所による調査で、ゼネコン2社がヒアリングそのものを受けていないと回答し、市がウソの説明をしていたことが明らかになりました。

この点について判決は、ヒアリング内容を記録した公文書が残っていないことを指摘し、「公文書を作成すべきであった」「これを怠った点は厳しく非難されるべき」と述べました。また、現地建て替え費用の水増しの合理性についても「非常に疑わしいものといわざるを得ない」と述べました。これは私たちが議会で追及してきたことと基本的に一致するものです。

しかしながら、判決は、市当局が後から行った再試算が1.41倍だったことをもって、結果的には「著しく不合理な金額」ではないとしました。これでは、決定した後からその根拠を適当に仕立てること、いわば「後出しじゃんけん」を認めるようなものです。市民が怒ったのは、いかにも中立的な装いで行った「検証」で、実際には「人工島移転先にありき」の決定を強行し、反対世論を踏みつぶしたことであり、地裁判決がこの点を考慮しなかったのは極めて残念です。

今回判決をもってこども病院の人工島移転が正当化されるものではありません。さらに、「見直し」を公約して市民を裏切った高島市長が、被災した宮城県立こども病院院長などの忠告も無視して、人工島移転を決定し実行に移したことも決して免罪されるものではありません。わが党市議団は、子どもの命より人工島事業を優先させ、公約を踏みにじった吉田、高島両市長、議会勢力の無責任ぶりを引き続き追及するとともに、市内すべての子どもたちが等しく医療を受けることができるよう小児医療体制の確立へ力を尽くす決意です。


以上



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