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日本共産党福岡市議団の政策と活動

2013年12月3日

政務調査費返還請求住民訴訟の地裁判決の確定をうけて

日本共産党福岡市議団

福岡市議会の2006年度政務調査費返還請求住民訴訟は、6年間に及ぶ裁判の末、11月18日の福岡地裁判決が確定し、終結しました。

1、判決全体の特徴について

確定した判決は、福岡市議会の2006年度政務調査費について、目的外支出が含まれていたことを認め、7会派と議員20人に対し合計2200万3,140円を返還するよう求める内容です。


会派支出額A返還請求額B返還認容額CC/AC/B
自由民主党90,288,29744,033,26712,327,75113.7%28.0%
公明党47,536,13321,702,7152,927,6226.2%13.5%
みらい福岡41,293,40718,206,9575,933,92414.4%32.6%
日本共産党23,358,1985,197,492356,9951.5%6.9%
民主・市民クラブ16,757,5004,656,334187,9841.1%4.0%
社民・市政クラブ16,719,9847,809,345171,6101.0%2.2%
ふくおか
ネットワーク
7,870,4931,122,71097,2541.2%8.7%
その他、無所属2,254,025780,78300%0%
合計246,077,737103,509,60322,003,1408.9%21.3%

※「返還請求額」は目的外支出として原告が返還を請求した額
※自民党と社民・市政クラブの額は会派分と議員分の合計額


判決を出すにあたって福岡地裁は、福岡市政務調査費に関する条例、使途基準、取扱にてらして、各会派のそれぞれの支出について、原告の主張とそれに対する会派側からの反証を検討し、その適否を個別に判断しました。

判決は、原告が個別の支出について目的外支出である又はそれが含まれると合理的な主張立証をした場合には、「被告及び被告補助参加人の側において、当該支出が目的外支出ではないことを主張立証する必要があり、的確な反論、反証をしない場合には、当該支出が目的外支出であること又は目的外支出が含まれていることが事実上推認されると解する」と述べ、会派・議員側に政務調査費の適正支出であったことを立証する責任を求めました。

わが党市議団は、こうした地裁の対応をふまえ、出納簿や証拠書類、陳述書などを積極的に提出し、すべての支出が適正であったことを立証しました(詳細は後述)。その結果、判決は原告が返還請求した額のほとんどを退け、認容したのは6.9%にとどまりました。

これに対し、自民党市議団は証拠をしめすこともほとんどなく、説明責任を放棄した結果、原告返還請求額の28%にあたる680万円余が「目的外支出」だとして、返還が求められることになりました。同じくみらい福岡も32.6%の593万円余です。

一方で、原告が主張した、8会派と議員28人に対する合計1億350万9,603円の返還請求額のうち、判決が認容したのは21%にとどまりました。判決が、控室経費について「按分割合が明らかでないからといって、機械的にその5割を目的外支出と認定するのは、本来政務調査費としての支出が認められるべきものについて広範囲に目的外支出と認定する危険性があるので、原告の主張は採用できない」、また異なる使途項目が混在する場合、「政務調査費からの支出を精査せずとも、目的外支出に当たる支出をひとつ見つければ、政務調査費からの支出全体につき一定の割合で目的外支出が混在するとの主張をすることが可能となり、不当である」と述べました。これは、根拠を具体的に示さずに「目的外支出が混在しているから一律に2分の1は返還すべき」とするような大括りの主張を認めなかったということです。

2、わが党市議団の政務調査費に関する基本的態度

わが党市議団は、地方自治法によって地方議会の「議員の調査研究に資するため必要な経費」として定められていた政務調査費が、地方議会の活性化と民主化及び地方自治の本旨である住民の福祉の増進の達成、並びに行政に対する監視のための重要な制度だと位置づけてきました。とりわけ市政野党として市当局の市政方針や市政のあり方を監視し、これを市民に報告するとともに、市民の声を市政と市議会に反映させ、また市民要求を実現するための提案を行うため、政務調査費を調査研究や広報広聴などの費用として積極的かつ適正に使用してきました。

同時に、議員一人月額35万円の政務調査費の使途にあたり、市民から誤解を招くような使用をしてはならないという立場で、政務調査費を政務調査活動以外の費用に充てることのないよう、条例や基準の他に独自の使途基準とルールを定め、日常的に出納簿を作成し、領収書等証拠書類のないものの支出は認めないなど、厳格に運用してきました。

政務調査費をめぐって、全国各地の地方議会で、不正使用や流用が問題となり、福岡市議会においても使途基準や情報公開は遅れた実態にありました。そこでわが党市議団は、政務調査費の使途基準を明確にすることや、使途内容を市民が知るためすべての領収書等を公開することを提案し、これを受け2006年度分から1件あたり5万円以上の支出に係る領収書等の証拠書類の写しを収支報告書と併せて議長に提出することを各会派と議員に義務付け、これらの書類が公開されることになりました。

わが党市議団は公開された各会派の政務調査費の使途実態を独自に調査し、自民党とみらい福岡による切手大量購入について、不正の疑惑を指摘し、真相究明と再発防止を2007年8月議長に申し入れました。

その後も、わが党市議団は、各派代表者会議などで、市民の納得を得られないような不透明・不適切な実態を戒め、厳格化・透明化を徹底するため、全国都道府県議会議長会が示した使途基準の他、全国の都道府県・市町村の監査勧告や住民訴訟の判決などによって確立されてきた行政的・司法的コンセンサスを踏まえて、あいまいさのない明確なルールを決めるべきだと提案しました。これを受け、2008年4月に政務調査費のガイドラインを定めた「政務調査費の手引き」が作成され、情報公開についても2008年度分から領収書等の証拠書類の写しの公開対象が1円以上に拡大されました。わが党市議団は政務調査費の厳格化と透明化に積極的役割を果たしてきたのです。

3、わが党市議団に対する返還請求と認容について

原告は、わが党市議団の2006年度政務調査費の収支報告書と5万円以上の領収書等証拠書類の写し、出納簿を見ただけで、目的外支出があると主張し、519万7492円の返還を請求しました。これに対し、わが党市議団と弁護団は上記のような基本的態度をしめしつつ、証拠書類なども提出して具体的かつ詳細に反証し、目的外支出は1円もないことを主張しました。

判決は、以下のように各支出について個別に判断し、目的外支出が35万6,995円あったとしました。

しんぶん赤旗購読料については、わが党市議団はしんぶん赤旗が一般商業紙には掲載されない政府や国会の動向、福祉や教育など市民生活に関わる全国各地の地方自治体、地方議会の取り組みなどの報道が貴重な情報源となっており、調査研究のために欠かせないものであることをしめし、政務調査費の支出として適正であることを主張しました。しかし、判決は自党の機関紙を購読することは政党活動と同視すべきだとして、その全額が政務調査費から支出できないとしました。わが党の主張が認められず極めて残念です。

コピー機消耗品や事務用品、備品、リース料、電話・通信代等の「控室経費」については、原告は控室で政党活動等を行っているとして一律5割が目的外支出だと主張したのに対し、わが党市議団は政党活動を行うのは地区委員会と地元事務所・後援会事務所であり、職員も財政も完全に区別していること、控室は政務調査活動と公務を行う場であることを主張しましたが、判決は議員活動の多面性に鑑み控室において「政務調査活動以外が行われている可能性までは完全に排除することはできない」と判断し、経費の1割が目的外支出に当たるとしました。

1件5万円以下の支出のうち領収書に書籍名が記載されていなかったために出納簿に明記できなかった件については、月刊情報誌の購読料であることを説明したものの、判決では採用されず、全額返還を求められました。わが党市議団は再発防止のためすべての領収書について記載内容を厳しくチェックするようすでに改善しています。

名刺印刷代については、政務調査活動以外にも使用することがあり得るとして、その5割が目的外支出だとされました。

一方、広報広聴費や調査旅費については、適正支出であったとのわが党市議団の主張が認められました。

判決確定を受け、速やかに市に返還します。

4、補助員雇用費について

裁判では、わが党市議団の事務局員(政務調査補助員)の雇用費が争点の一つとなりました。

原告は、補助員の行う業務に政務調査補助以外のもの(政党活動や後援会活動など)が含まれると主張し、政務調査費で支出した雇用費(給与、社会保険料など人件費)の2分の1(約329万円)を返還するよう主張しました。

わが党市議団と弁護団は、裁判の中で、詳細な準備書面、陳述書、証拠書類を提出し、補助員雇用費が政務調査費の適正な支出であり、原告の主張に根拠のないことを主張・立証しました。

補助員(2006年度当時は3人、途中から2人)は1日8時間、週5日の常勤雇用で、市議会の議員団控室に勤務していました。その業務内容は、市政から国政まで幅広い調査・研究・資料収集・文書管理・市民からの情報提供や相談への対応などを日常的に行うとともに、議員の議会質問や賛否判断、要望書作成などをサポートし、議会論戦や市政の重要問題を市民に知らせる広報ビラやパンフレットを作成し、市政報告会を準備し、アンケート調査・集計を行うなど、議員の政務調査活動を補助するものであり、それらの業務がいかに多面的かつ膨大なものであるかを、各業務時間もしめして具体的に説明しました。とくに、議員の調査研究の対象は、医療、介護、障害者・高齢者福祉、保育・子育て、教育、文化、雇用、中小企業対策と経済振興、農林水産業、住宅、建築、都市計画、港湾、交通、環境、行財政、公務員制度、地方制度、政治倫理など広範にわたるもので、日頃からこれらの分野の報道や文献、書類等に目を通し、法律や制度を活用し、市民の暮らしの向上のためにどういう施策が必要かを検討し、議会で質問し提案しなければならず、議員のこうした活動を補助する補助員の業務が極めて重要であることを主張しました。さらに、補助員が選挙活動などで出向した期間の人件費はあらかじめ政務調査費から除外しており、計上した雇用費はすべて政務調査費として適正であることを説明しました。

地裁判決はこの主張を全面的に認め、「目的外支出は混在していない」と明確に認定し、原告の主張を棄却しました。これは、調査研究・広報広聴などの政務調査活動の業務に専任していることが明白である控室常勤の補助員については、その人件費のすべてが政務調査費(現在は政務活動費)の対象となることを認めたものであり、「一律2分の1が妥当」とする判決が続く中で、全国的にみても画期的な判決と言えます。高く評価するものです。

5、他会派の不適切な使用が明らかに

判決は、他会派の政務調査費の不適切な使用を厳しく指摘しました。

自民党とみらい福岡が大量の切手を購入していたことについては、わが党市議団が不正使用・流用の疑惑があるとして問題提起したものです。両会派は裁判で具体的な反証をしなかったため、判決はあわせて2218万円の切手代について、その半額を目的外支出と認めました。判決は「切手は換金が極めて容易」「政務調査費の二重取りの危険が生じる」とも述べています。わが党の指摘と同じ判断をしたもので、評価できるものです。

公明党については、「市民相談のために会派控室に待機させた議員に対する日額3000円」の部屋当番費用115万2000円が全額目的外支出だとして返還が求められましたが、まともな理由もなく政務調査費が議員に支給されていた同党の不適切な実態が明らかになりました。

わが党市議団は、福岡市議会から政務活動費の不適切な使用を一掃するよう、他会派にも積極的に提案し、改善をリードしていくよう努力していきます。

さいごに

わが党市議団は、福岡市議会の政務調査費の厳格化と透明化を促進させるため奮闘すると同時に、自らの政務調査費の適正使用と管理、市民への公開・説明についても常に厳しく見直してきました。政務調査費は昨年の法改正をうけ今年度から「政務活動費」と変わりましたが、使途を無制限に拡大することは許されません。わが党市議団は、今回の福岡地裁の判決を受け、福岡市議会の民主化、活性化、情報公開などいっそうの改革に取り組む決意です。


以上



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