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日本共産党福岡市議団の政策と活動

2013年7月16日

中央保育園の移転問題に関する申し入れ

福岡市長  髙島 宗一郎 様

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国
副団長 星野美恵子
幹事長 中山いくみ
熊谷 敦子
綿貫 英彦

貴職におかれましてはますますご健勝のことと存じます。

中央児童会館の建て替えに伴う中央保育園の移転をめぐり、保護者や保育士、市民から不安や疑問の声、移転反対の署名運動が広がり、移転の着工が延期されました。こうした中で、我が党市議団が6月議会で髙島市長に質問を行うとともに、保護者らも記者会見を行い、それらの運動におされて、市長が保護者らとの面会を表明せざるをえなくなるなど、市政上の重大な問題となっています。我が党市議団は、その後に判明した新たな事実もふまえ、市長に対しこの問題の解決のために申し入れを行うものです。


(一)

今回の中央保育園移転には子どもたちに4つの重大な困難が押し付けられています。

第一に、移転先が風俗店に囲まれ風営法に抵触するということです。

髙島市長は「風営法は保育園の立地を規制するものではない」としていますが、問題の本質をまったく理解していないものだと言わねばなりません。

風営法でこの規制がもうけられたのは、地域の清浄性が害されるのを防ぐだけでなく、性風俗産業と子どもの近接によって青少年の健全育成上弊害が生じると判断しているからにほかなりません。市の担当者が「幼児は性風俗産業の害悪を理解できない」と保護者らに言い放ち、市議会で撤回に追い込まれたように、「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」という風営法の精神、および子どもの権利についての理解を欠いたまま、髙島市政がこの移転を推進してきたのは明らかです。

第二に、一方通行の狭い道路にしか面していないことです。

接する道路は西側の6メートル足らずの一方通行道路のみで、停車の余裕もありません。車がすれすれで通り、雨がふれば傘をさして車道にはみ出さざるをえない道を300人もの子どもと送迎の保護者が行き交います。12日に現地を視察した髙島市長自身、「路肩が狭いし、保育士さんが非常に不安に思うことは私も共感した」と述べざるをえないほどです。市は歩道や車止めをもうけたり、ごく一部だけ歩道を拡大するなどとしていますが、問題を何ら解決するものではありません。

第三に、非常時の避難の確保に重大な問題があることです。

後述の通り300人もの巨大規模の保育園は全国の政令市でもほとんど例がなく、一般的にみても、これだけの人数の子どもを避難させるのさえ異例なことです。さらに今回のケースでは、それだけの人数の子どもを、移転される保育園の裏側のパチンコ店の「景品交換所」を通って避難させるという至難な方法がとられています。このような無理な方法が採用されるのは他に経路がないためであり、まさに、この土地を選定したがゆえに生じた問題です。防災は「想定外を想定せよ」と言われますが、地震と火災が重なってパチンコ店も被災するなど、想定条件を多少変えるだけでも、300人もの子どもが安全に避難できないケースが無数に生じることは容易にわかるはずです。

第四に、300人というマンモス保育園計画になっていることです。

保育所の定員は、適正規模が60人とされ、政令市の定員の平均は104人となっており、300人という規模は明らかに異常です。じっさい、300人以上の保育園は、政令市でわずか5市、21園しかないのです。市長は待機児童対策を口実にしていますが、求められているのは、必要な場所に適正な規模で配置することであり、安全や環境に不安がある場所に、詰め込みのマンモス園をつくることではありません。

この4つの問題は、小手先の「善後策」で解決されるようなものは一つもありません。中央児童会館現地に同園を建て替え、待機児童対策を別途講じることにすれば何の問題も生じなかったものです。もともとの市の計画では現在の中央児童会館の土地で建て替えを行うことになっていました。ところが、公的責任を解体する新自由主義的政策をすすめてきた髙島市長は、「民間で担えるものは民間に委ねる」という旗印のもとに、従来の市の方針を覆し、「まちの賑わい創出や回遊性の向上に繋がる民間施設の導入」を打ち出したのです。まさに髙島市長が、西鉄や福岡地所などの儲けの確保のために、無理な「民間施設の導入」を最優先させたことがこれらの問題を引き起こしたといわねばなりません。

「児童憲章」には「すべての児童は…わるい環境から守られる」とうたわれ、「子どもの権利条約」には「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」と定められています。髙島市長は、大企業の儲けの確保を、子どもの「最善の利益」の上に起き、「わるい環境」を子どもに押し付ける、最悪の子ども行政をすすめています。このまますすめるなら、子どもの「最善の利益」が犠牲にされ、市政に大きな禍根を残します。計画の抜本的見直しなくして問題は解決しないことは明らかです。


(二)

さらに、中央保育園の移転先の土地取得をめぐり様々な疑惑が取りざたされていますが、6月議会の我が党の質問をへて、疑惑はいっそう濃厚になったと言わざるを得ません。

第一に、候補地の選定が不透明なことです。2011年5月に候補地の選定を開始し、同年7月に市政運営会議で決定されるまで、複数の候補地から2カ所にしぼりこまれ、現在の候補地に決定されていますが、土地所有者への交渉・接触もないなど、その過程は不自然さに満ちています。土地売買が可能かどうかも確かめずに市の方針として決定するなど常識では考えられません。また、150名規模の保育園を建設する土地を複数探す選択肢は、どのような理由・経緯で外されたのかも明らかになっていません。

第二に、市が移転先の土地を取得するさいの購入額8億9900万円の根拠に関する疑惑です。市は「不動産鑑定評価と不動産評価委員会の検査を経たので問題ない」とする立場をとっています。しかし、不動産登記簿謄本によれば同地の極度額は約8億円とされており、もともとその水準の価格だったのではないかと推察されます。そうであるとすれば、2011年7月に現予定地に市が決めてから同年11月に不動産会社・福住(福岡市中央区・河野孝雄社長)に売却依頼をするまでの間に、同地は徳増興産から福住にあわただしく売却されており(9月)、その短い期間に一瞬にして約1億円前後の転売益が生じていた可能性があります。いわゆる「土地転がし」があったかどうかを知るために、市の決定前後で土地の売買価格がどのように変化したかを明らかにする必要があります。

第三に、市が移転先の土地の売買契約を交わした福住に、市の港湾局長や博多港開発の社長を歴任した酒井勇三郎氏が「再就職」しており、酒井氏がこの売買に何らかの関与をしていたのではないかという疑惑です。酒井氏は市の土地決定の直前に同社へ天下っており、およそ偶然といえるものではありません。

第四に、この問題で政治家の関与があったのではないかという疑惑です。移転について疑問の声をあげていた同園の保護者に対して、ある政治家から「もう決まったことやけん、ごちゃごちゃ言わんときない」と電話があったとされています。

このような点が明らかにされない以上、今回の件が、「土地転がし」を目的として、市関係者や政治家が関わり、「移転予定地の購入はじめにありき」で強引に進められたのではないかという疑惑がぬぐいされません。まさに政治家や市幹部をまきこんだ一大腐敗事件に発展した人工島のケヤキ・庭石事件を彷彿とさせるものがあります。

先に、こども病院の人工島移転をめぐり、こども病院移転計画調査委員会がその不透明さについて「猛省を促す」と厳しく指摘したことをうけ、髙島市長は「市政の重要な政策課題の意思決定を行うに当たって、透明性を確保し、市民への説明責任を果たすことが不可欠なことは言うまでもない」と市職員に通知しました。自らのこの言明に照らすなら、積極的な疑惑解明と市民への説明が求められます。


以上の観点から、わが党市議団は、市長に対し、以下の事項について要請いたします。


  • 中央児童会館の建て替え計画を根本的に見直し、それに伴う中央保育園の移転計画は白紙に戻し、保護者・保育士が参加する委員会をもうけて計画を再検討すること。
  • 天神地区の待機児童対策のために、学校跡地の活用などをふくめ、早急に別の対策を講じること。
  • 土地取得をめぐる一連の経過・疑惑について、客観的立場で検証できる第三者機関を設立し、徹底した調査と解明を行い、市民に公表すること。
  • この問題をめぐって、髙島市長が中央保育園の保護者・保育士らと面会するにあたり、単に結論を説明し押し付ける場とするのではなく、その声・意見をよく聞き、施策を根本から見直す契機とするよう、誠実に対応すること。

以上


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