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日本共産党福岡市議団の政策と活動

2012年5月28日

「自宅外禁酒」に関する申し入れ

福岡市長  髙島 宗一郎 様
福岡市教育長  酒井 龍彦 様

日本共産党福岡市議団
団 長 宮本 秀国

去る5月21日、市長名・教育長名による「自宅外での飲酒について」との通知が本市職員・教職員にあてて出されました。これは2月、4月の飲酒運転の発生に続き、5月17日に公社職員が贈収賄容疑で逮捕され、翌18日には飲酒にからむ暴行・傷害事件が発生し、不祥事が続発したことを受けたものです。通知は「非常事態における措置」として「1ヵ月の間、すべての職員は、公私を問わず、自宅外での飲酒を原則行わない」と述べています。いわゆる「禁酒令」は前代未聞、異例の対応であり、不祥事以上に全国的に注目されることになっています。市民からは「やりすぎではないか」「市長のパフォーマンス」「期間限定とはいえ市内の飲み屋や料亭、屋台、酒類販売業者らには大きな打撃となる」など様々な意見があがっています。

私たちは、相次ぐ本市職員等による不祥事・犯罪に対し強い憤りを感じるものです。当然のことながら、事件を起こした職員については、法に則って厳正に対処すべきです。しかしながら、事件と関係のない職員まで巻き込む今回の「禁酒令」には極めて大きな問題があると考えます。

まず、「禁酒令」が職員に対する強制であることです。市長は報道機関の取材に対し「外で飲酒しただけでは法律的に人事上の処分はできないが、厳しい対応で臨む」と述べていますが、これは処分をちらつかせた事実上の強制です。

本来、職員が職務以外の時間にどこで飲酒しようとも、それは極めて私事、プライベートなことです。自宅外で飲酒することは全く個人の自由であり、これを制限することは憲法で保障された幸福追求権やプライバシー権の侵害にあたる可能性があります。たとえ市長であっても職員に対し基本的人権を無視したことを強制することはできません。専門家や他の首長などからも「稚拙だ」「越権行為」など危惧する指摘がされているところです。

市長が職員のプライバシーを制限し、違反者を処分するには法的根拠が必要です。地方公務員法第29条は、懲戒処分規定として①法や条例に違反した場合、②職務上の義務違反や職務怠慢、③全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合、と定めており、勤務時間以外であっても犯罪行為など当該公共団体にとって重大な損失や悪影響を与えるような行為があれば処分の対象となり得ます。自宅外飲酒がこれに該当しないことは明白です。

また、上から押し付けるやり方は問題があります。飲酒運転については、2006年に本市職員が起こした3児死亡飲酒事故を契機に、本市職員は「飲酒運転根絶」を誓い、様々な対策が取られてきました。多くの職員は真面目に飲酒運転根絶に取り組んでおり、職員のアイデアをもとに検討された「飲酒運転等不祥事再発防止アクションプラン」が今月はじめ策定されました。市長自身も記者会見で「いわゆる全庁的にどっと指示を出すというものではなく」と、職員の自主性を強調して説明していました。しかしながら、このプランが実施されようという時に、自主性とは逆の「禁酒令」を髙島市長が上から一方的に出したことによって、着実な取り組みと機運を壊してしまうのでないかと、懸念せざるを得ません。市長が感情的に自らの思いつきで、法的根拠を持たない手法をトップダウンで決めて押し付けるやり方は、「独裁」を掲げる橋下「大阪維新の会」の政治手法に通じるものがあります。こうした反民主主義的な手法では不祥事がなくならないばかりか、新たな問題を生じさせることになりかねません。

さらに、市長が「ショック療法も必要」などと主張し、飲酒運転と贈収賄事件を一緒くたに論じていることです。言うまでもなく飲酒運転と贈収賄とは全く別の問題であり、それぞれ、なぜ繰り返されるのか、原因や背景を冷静に分析し、どうすれば根絶できるのか、再発防止策をしっかり講じる必要があります。


飲酒運転の根絶については、これまでの本市の取り組みに問題や弱点がなかったのか、十分検証する必要があります。そして研修と啓発を強化し、民主的な討論と自己研鑽に基づいて、一人ひとりの職員が自覚と誇りを日々高めていくことが求められます。

同時に、おおもとには、本市職員等が仕事に対するやりがい、働きがいを見出しにくい職場の現状があるのではないでしょうか。住民奉仕を自らの仕事とする公務員にとって、福祉や教育を削り、開発ばかりに狂奔するような市政では働きがいを持てないのも当然です。市民から福岡市に住んでいてよかったと言われるような充実感を得られる仕事を増やしていくことこそ市長の責任です。また、本市が続けてきた人員削減によって、多くの職場が深刻な人手不足に陥り、職員は多忙を極め、非正規への置き換え政策の影響も受けて職員間の連携・連帯が希薄となっているのが実態です。「連帯責任」を強要すれば、職員同士が互いに監視しあう、ギスギスした関係を拡大することになりかねません。多忙化を解消し良好な職場環境をつくることが欠かせません。

また、飲酒とは関係なく、税金を食い物にした贈収賄事件が繰り返される原因は、本市行政において官業のゆ着が一掃されていないからです。業者とのゆ着関係に陥る構造的問題を改めて洗い出し、一掃するとともに、不正を許さない仕組みをしっかりとつくるべきです。さらに、市長自身が政治資金パーティー開催などで財界から支援を受けるようなゆ着関係を断ち切る必要があります。

以上のように、いま市長がやるべきは、職員のみならず各方面に影響を及ぼす「禁酒令」ではなく、住民の福祉の増進という自治体の本来のあり方に立ち返り、検証と自己分析を深め、本市行政のトップとしての責任を明確にし、科学的で誰もが納得のいく再発防止策を講じることです。

以上の観点から、わが党市議団は、市長ならびに教育長に対し、以下の事項について要請いたします。


  • 職員に対する事実上の強制である、いわゆる「禁酒令」はただちに撤回すること。
  • 職員による飲酒運転の根絶と、贈収賄事件の再発防止のため、以下の改革を実施すること。
    • 飲酒運転を根絶するための研修と啓発を強化し、職場の民主的討論を促進すること。
    • 今回贈収賄事件の原因と背景を徹底究明し、再発防止のため業界とのゆ着関係を一掃する措置を強化すること。
    • 不祥事を生まない、働きがいのある職場づくり、上意下達でなく風通しのよい民主的な職場づくりを本格的に進めること。人手不足となっている職場の正規職員を思い切って増やすこと。

市長・教育長に『禁酒令』に関する申し入れを行いました


以上


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