2009年9月28日
9月議会を終えて
日本共産党福岡市議団
自民・公明政権の退場という総選挙の直後に開かれた福岡市の9月定例議会(10〜18日)で、日本共産党市議団は建設的野党としての役割を市議会でも果たすべく奮闘しました。
今回、国の経済対策関連や豪雨災害対策など総額265億円の大型補正予算が提案されました。経済・雇用対策として132億円余が計上されましたが、その多くは国の臨時交付金の活用です。日本共産党は、地元中小企業・業者を支援する経済活性化策として、「住宅リフォーム助成事業」(予算規模5億円)を提案していましたが、盛り込まれませんでした。一方、人工島につなぐ海の中道大橋の拡幅など不要不急の公共事業が追加されていたため、日本共産党は関連予算案に反対しました。
今から本格化する来年度予算編成にあたっては、市民生活の安全・福祉・教育の充実のためになる生活密着型の公共事業への切り換え、地域経済の主役である中小企業・業者の仕事づくりに本腰を入れてとりくむべきです。
豪雨被害から住民を守る対策強化を要求
今回の補正予算には7月の集中豪雨の災害復旧や浸水対策として総額19億7000万円余が盛り込まれました。市内を流れる多々良川、須恵川、那珂川、若久川、樋井川、周船寺川などで護岸が壊れたり氾らんしたりし、床上・床下浸水は千棟以上です。当局は「記録的豪雨だった」などと言い逃れの答弁に終始しましたが、過去2回の水害でも被害にあった住民からは「人災じゃないか」という声もあがっており、行政の責任は重大です。日本共産党は、今回大きな被害を免れた御笠川における総合治水対策の教訓をふまえて、河川の早急な改修、貯水施設や雨水幹線の整備などを要求しました。
「新こども病院」PFI(民間手法)導入議案に自民・公明・民主・みらい・福政が賛成
市が人工島に移転させる計画の「新こども病院」の建設と管理運営にPFIを導入するための議案(上限額約174億円、19年4ヵ月間の債務負担行為を定める病院事業会計補正予算案)が提出されました。PFIとは公共施設の建設と管理運営を民間企業に一括委託することによって民間資金と経営手法を活用するもの。近江八幡市や高知県のPFI病院が次々破たんし、各界から「公立病院にPFIはなじまない」という声があがる中、市長が議案提出を強行しました。
市当局は、「より安全で確実に新病院を整備するため」などと言って当初計画を大幅に変更しました。建設後の管理運営のうち医療関連業務のほとんどをPFIの対象から除外し、建設費用の資金調達についても9割を市の借金でまかない、その結果PFI導入によるコスト削減は当初計画の約85億円から約17億円に変更されるとの説明でした。しかし、市が説明すればするほどPFIの危険性が強調され、PFI導入のメリットのないことが浮き彫りになるという矛盾に陥っています。さらに市は市立病院を「地方独立行政法人」化した上でPFIを導入しようとしていますが、これでは行政や議会のチェックは極めてあいまいとなり、PFIが失敗すれば病院廃止もありうるという危険な計画です。
こうした重大問題を抱える議案に、自民、公明、民主、みらい、福政が賛成し成立しました(反対は共産、ネット、社民)。日本共産党はまともな資料も提出しない市当局を追及するとともに、議会がやすやすと認めてよいのかとそのチェック機能を厳しく問いました。こども病院の人工島移転反対、調査特別委員会設置を求める世論と運動と共同し、引き続き奮闘します。
人工島に20億円かけ埋め立て推進
人工島の市5工区の埋め立てを完成させるため約31万平方メートルの造成を行う約20億円の工事請負契約議案が、自民、公明、民主、みらい、社民、福政の賛成で可決されました。5工区は9000人の住宅開発という計画で、当局は「将来のために必要」などと強弁しましたが、住宅需要の見通しは何もありません。無駄な公共事業中止というのが総選挙の民意であり、新政権も川辺川ダムなどの中止に動く中、不要不急の人工島埋め立てをこれ以上推進することは許されません。
「障害者の応益負担廃止」「奨学金充実」の意見書を全会一致で可決
日本共産党は、新政権に対して「障害者自立支援法の応益負担の廃止を求める意見書」と、給付制奨学金制度の創設などの「奨学金制度の充実を求める意見書」を立案して各会派に呼びかけました。協議の結果、自民、公明を含めて全会一致で可決されました。これは、障害者の生活と権利を守るたたかい、子どもの貧困をなくすたたかいをさらに前にすすめるものです。また「大胆できめ細かな雇用対策を求める意見書」も全会一致で可決しました。
自民はカナダ、民主はアメリカへ視察旅行
市議の海外視察が今回から議会の承認事項となり、自民党6市議のカナダ視察(9月下旬から8日間)と民主党4市議のアメリカ視察(11 月に11日間)が提案されました。福祉・環境や地域振興などを視察するとの名目ですが、公費を使った観光旅行ではないのか疑問が残ります。日本共産党は市議の特権的な海外視察を廃止するよう求める立場から反対しました。
以上